JP4759183B2 - スピン処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は基板を回転テーブルによって回転させながら処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置や半導体装置の製造過程においては、ガラス基板や半導体ウエハなどの基板に回路パタ−ンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板に対して処理液による処理及び洗浄が行なわれたのち、乾燥処理が行なわれる。
【0003】
基板に対してこのような一連の処理を行なう場合、上記基板を回転テ−ブルに保持し、この回転テ−ブルとともに回転させ、それによって生じる遠心力を利用する、スピン処理装置が用いられる。
【0004】
一般に、スピン処理装置は処理槽を有し、この処理槽内にカップ体が配置されている。このカップ体は上面が開口しており、内部には回転テーブルが設けられている。この回転テーブルには上記基板が着脱可能に保持される。上記カップ体の底部には複数の排出管が周方向に所定間隔で接続されている。各排出管はそれぞれ気液分離器に接続され、この気液分離器には排出ポンプが接続されている。
【0005】
上記スピン処理装置によって基板を処理する場合、まず、基板を保持した回転テーブルを数10〜数100r.p.mの低速度で回転させながら基板に処理液としてのフッ酸などの薬液を供給する。
【0006】
薬液による処理を所定時間行なったならば、同じく処理液としての純水を供給し、基板から薬液を洗浄除去する。ついで、回転テーブルを1000〜2000r.p.m程度の高速度で回転させることで、基板に付着した処理液を遠心力によって除去し、この基板を乾燥処理する。
【0007】
上述した如く基板を処理する際、排出管に接続された排出ポンプを作動させる。それによって、排出ポンプの吸引力が排出管を通じてカップ体内に作用するから、この排出管によって基板から飛散する処理液を含むカップ体内の気体が排出されることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カップ体の底部には、通常2〜4本の排出管がカップ体の周方向に沿って所定間隔で接続されている。そのため、カップ体内に作用する排出ポンプの吸引力は、排出管が接続された部分が他の部分に比べて高くなる。つまり、カップ体内には、周方向全体にわたって排出ポンプによる吸引力が排出管を介して均一に作用し難い。
【0009】
そのため、カップ体内の排出ポンプの吸引力が作用し難い部分では、基板から飛散してカップ体の内周面で反射した処理液が排出され難くなり、ミスト状となってカップ体内を浮遊して基板に再付着し、汚染の原因になるということがあった。
【0010】
この発明は、基板から飛散した処理液がカップ体から排出されずに基板に再付着することがないようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、基板を回転させながら処理するスピン処理装置において、
周壁に複数の導入口部が形成されたカップ体と、
このカップ体内に設けられ上記基板を保持するとともに駆動源によって回転駆動される回転テーブルと、
上記カップ体の底部に設けられこのカップ体内から気体及び液体を排出する排出部と、
この排出部に接続され上記カップ体内に吸引力を作用させる排気装置と、
上記カップ体の内周面と上記回転テーブルとの間に上下方向に所定間隔で離間して設けられ上記排気装置の吸引力によって上記カップ体内から上記排出部へ排出される気体を整流する複数の整流リングと、
上記カップ体の周壁の外側に一端を上記導入口部に連通させて設けられ末端が閉塞されていて、この末端に上記排出部が接続されるとともに、上記一端から末端に行くにつれて断面積が漸次大きくなるよう形成された導入路と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置にある。
【0012】
請求項2の発明は、上記カップ体には偶数の排気部が設けられ、同じ数の排気部がそれぞれ気液分離器に接続され、各気液分離器には1つの排気装置から分岐された排気管が接続されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0013】
請求項3の発明は、排気部の数は4つで、気液分離器の数は2つであって、2つの排気部が1つの気液分離器の長手方向両端部に接続され、上記排気管は上記気液分離器の長手方向中央部に接続されていることを特徴とする請求項2記載のスピン処理装置にある。
【0014】
請求項4の発明は、上記整流リングは内周縁が外周縁よりも高くなるよう板面を傾斜させて設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0015】
請求項5の発明は、上記カップ体の周壁には、このカップ体の内部と上記排出部とを連通する導入口部が形成され、
上記カップ体の内周面と上記整流リングの外周縁との間には、上記整流リングを通過したカップ体内の気体と液体を上記導入口部へ強制的に流入させるガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0017】
請求項6の発明は、上側に位置する整流リングの下端は、下側に位置する整流リングの上端よりも下方若しくはほぼ同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0018】
請求項7の発明は、複数の整流リングは、下側に位置する整流リングの傾斜方向上端に係合する第1の係合部と、上側に位置する整流リングの傾斜方向下端に係合する第2の係合部とが形成された保持部材によって上下方向に所定間隔で離間して保持されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0019】
請求項8の発明は、最下端に位置する整流リングの傾斜方向下端には、この整流リングを上記カップ体内に支持するための脚が周方向に所定間隔で設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0020】
請求項9の発明は、複数の整流リングは、上記カップ体内に立設された支柱部材によって保持されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0021】
この発明によれば、カップ体内に設けられた整流リングの整流作用によってカップ体内に排出装置の吸引力を均一に作用させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1乃至図5はこの発明の第1の実施の形態を示す。図1と図2に示すスピン処理装置はカップ体1を有する。このカップ体1は箱型状の処理槽2内に設けられている。カップ体1は中心部に向かって高く傾斜した底板3を有し、この底板3の周辺部には周壁4が設けられている。この周壁4には、図2に示すように周方向に等間隔で偶数、たとえば4つの導入口部5が開口形成されている。
【0024】
上記底板の中心部分には通孔6が形成され、この通孔6には中空状の駆動軸7が挿通されている。なお、通孔6は遮蔽板6aによって閉塞されている。
【0025】
上記底板3の下面の中心部分には駆動モータ8が取り付けられ、この駆動モータ8の図示しない回転子に上記駆動軸7が連結されている。この駆動軸7のカップ体1内に突出した上端には、図2に示すように平面形状がほぼ十字状の回転テーブル9が取り付けられている。
【0026】
上記回転テーブル9は上記駆動軸7の上端に連結固定された基部11と、この基部11に周方向に所定間隔で一端部を連結した4本のアーム12とから構成されている。各アーム12の先端部にはそれぞれ一対の係合ピン13が立設されている。各アーム12の先端部と上記基部11とには、それぞれ支持ピン14が立設されている。
【0027】
上記回転テーブル9には、たとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の矩形状の基板15が角部を各アーム12の先端部に設けられた一対の係合ピン13に係合させ、この角部の下面と中心部の下面とをそれぞれ上記支持ピン14に支持されて着脱可能に保持される。
【0028】
したがって、上記駆動モータ8が作動すると、上記回転テーブル9は基板15を保持した状態で図2に矢印Aで示す反時計方向に回転駆動されるようになっている。なお、上記遮蔽板6aは上記基部11の下面に取付けられている。
【0029】
図1に示すように、上記カップ体1の周壁4の上端には、リング状の反射防止部材16が周方向全長にわたって設けられている。この反射防止部材16は傾斜部16aと、この傾斜部16aの内周縁に垂設された垂直部16bとを有し、上記傾斜部16aは上記周壁4に連結された外周縁が内周縁よりも低くなるよう傾斜している。
【0030】
それによって、回転テーブル9を回転させることで、基板15に付着した処理液の一部が斜め上方に向かって飛散しても、その処理液は傾斜部16aの下面で下方に向かって反射するから、基板15に再付着するのが防止される。
【0031】
上記カップ体1の周壁の外側には、各導入口部5と対応する部分にカバー体22が設けられている。各カバー体22は、上記導入口部5側に位置する一端から上記回転テーブル9の回転方向に沿う他端部にゆくにつれてカップ体1の外周面との間隔が漸次大きくなる導入路23を、上記カップ体1の周方向に沿って形成している。つまり、導入路23は、一端から他端に行くにつれて断面積が漸次大きくなるよう形成されている。
【0032】
上記導入路23の末端は閉塞されていて、この閉塞端部には排出部としての排出口24が形成されている。この排出口24には図1に示すように排出管25の一端(上端)が接続されている。
【0033】
上記導入路23の断面積が一端から他端に行くにつれて漸次大きく形成されていることで、導入路23の末端が閉塞されていても、導入路23内に後述するごとくカップ体1内から流入する気体の圧力が急激に上昇するのを抑制する。それによって、上記導入路23流入した気体を上記排出口24を通じて上記排出管25へ円滑に排出することが可能となる。
【0034】
4本の排出管25のうち、カップ体1の径方向一端側に位置する2本の排出管25、つまり周方向において隣り合う一対の排出管25は第1の気液分離器26Aに接続され、径方向他端側に位置する2本の排出管25は第2の気液分離器26Bに接続されている。各排出管25には流量調整弁としてのバタフライバルブ30を介して上記各気液分離器26A,26Bに接続されている。
【0035】
図3に示すように、各気液分離器26A,26Bは、径方向一端側と他端側に設けられた各一対の排出管25の間隔よりも長尺な直方体状に形成された本体26を有する。この本体26の上面の長手方向一端部と他端部とにはそれぞれ一対の排出管25が気密に接続されている。
【0036】
各排出管25の下端部は上記本体26内に突出している。上記本体26の内底面、つまり底壁は長手方向両端から中央部に向かって低く傾斜する逆への字状の第1の傾斜面27に形成されている。
【0037】
上記本体26の一側面の長手方向中央部には、上記本体26の内部に連通する平面形状がL字状の排気口体29が接続されている。一対の気液分離器26A,26Bに接続された排気口体29には、図1と図2に示すようにそれぞれ排気管31の一端が接続されている。一対の排気管31はカップ体1の径方向中心に対して対称形状になっており、それぞれの他端はT字管32を介して排気装置としての排気ポンプ33の吸引側に接続されている。
【0038】
上記本体26の一側面の高さ方向下端部で、長手方向中央部、つまり上記排気口体29よりも下方で、第1の傾斜面27の最も低くなる位置には排液管34が接続されている。この排液管34からは、気液分離器26A,26B内に滴下する液体である、基板15を洗浄処理した処理液が排出される。
【0039】
上記本体26内には、上記排気口体29と排液管34との間の高さに、本体26の内底面の第1の傾斜面27とほぼ同じ逆への字状に屈曲された透孔部材35が設けられている。この透孔部材35は、例えばパンチングメタルのように多数の透孔35aを有する板材によって形成されている。
【0040】
上記本体26の一端と他端とに接続された一対の排出管25の下端部は、上記透孔部材35の下面側に貫通している。つまり、排出管25の下端面は透孔部材35の下面側に位置している。そして、この排出管25の下端面は、上記第1の傾斜面27に対してわずかな間隔で平行に離間対向する第2の傾斜面28に形成されている。
【0041】
つまり、カップ体1に接続される4本の排出管25を2本1組としてそれぞれ気液分離器26A,26Bの両端部に接続し、この気液分離器26A,26Bの長手方向中央部に排気口体29を接続し、この排気口体29に排気管31を介して排気ポンプ33を接続した。そのため、排気ポンプ33の吸引力を、4本の排出管25に均等に作用させることができる。
【0042】
なお、各排気管31に作用する吸引力はバタフライバルブ30によって調整可能となっている。
【0043】
図1と図2に示すように、上記カップ体1内には、周壁4の内周面と、回転テーブル9の回転領域の外側との間の部分に整流手段41が設けられている。この整流手段41は図5に示すように上下方向に所定間隔で離間して保持された複数の整流リング42からなる。
【0044】
各整流リング42は、内周縁が外周縁よりも高くなるよう板面が傾斜し、上下に位置する各一対の整流リング42間には周方向の複数箇所、たとえば3〜6箇所に保持部材43が設けられている。この保持部材43によって上下一対の整流リング42のうち、下側に位置する整流リング42に対し上側に位置する整流リング42が所定間隔で保持されている。
【0045】
上記保持部材43は、図5に示すように帯状の部材の一端に下側の整流リング42の上端(内周縁)に着脱可能に係合する断面コ字状の第1の係合部44を形成し、他端に上側の整流リング42の下端(外周縁)に着脱可能に係合する第2の係合部45を形成している。さらに、保持部材43の中途部には第1の係合部44を形成した端部を上方へ屈曲させる屈曲部46が形成されている。
【0046】
そして、保持部材43は、その第1の係合部44を下側の整流リング42の内周縁に係合させ、第2の係合部45を上側の整流リング42の外周縁に係合させることで、下側の整流リング42の上方に上側の整流リング42を所定間隔で離間させて保持している。
【0047】
なお、保持部材43の中途部に屈曲部46を形成しなくとも、保持部材43の長手方向一端と他端とに形成される第1の係合部44と第2の係合部45との角度を調整することで、下流側の整流リング42の上方に上側の整流リング42を所定の間隔で保持することができる。
【0048】
最下端に位置する整流リング42の外周縁には、周方向に所定の間隔で複数の脚47が所定の角度で屈曲形成されている。そして、最下端の整流リング42は、その脚47によってカップ体1の底板3上に設けられ、この最下端の整流リング42の上方に複数の整流リング42が保持部材43によって所定の間隔で順次積層保持されている。
【0049】
積層された複数の整流リング42は、これらの板面を平行かつ上記回転テーブル9に保持された基板15の板面に対して所定の角度θ(図5に示す)、たとえば20〜50度の範囲、この実施の形態では45度の角度で傾斜している。
【0050】
それによって、基板15を乾燥処理する際、この基板15の周縁から外方へ飛散した処理液は、図5に矢示Zで示すように上下に位置する一対の整流リング42の内周縁間の隙間から流入して上側の整流リング42の下面に衝突するから、その下面から下方に向かって反射して下側の整流リング42の上面に衝突し、この上面を流れて下方へ滴下することになる。
【0051】
なお、上側に位置する整流リング42の下端は、下側に位置する整流リング42の上端よりも下方に位置している。それによって、基板15から飛散して一対の整流リング42の間に流入した処理液が上側の整流リング42の下面に衝突せずに上下一対の整流リング42間を通過するのを阻止している。
【0052】
なお、上側に位置する整流リング42の下端は、下側に位置する整流リング42の上端とほぼ同じ高さであってもよい。
【0053】
上記排気ポンプ33の吸引力は排出管25、導入路23、導入口部5及び積層された整流リング42の隙間を介してカップ1内に作用する。上記整流リング42は上下方向に所定間隔で設けられ、かつカップ体1の内周面全長にわたって設けられている。
【0054】
そのため、複数の排出管25を介してカップ体1内に作用する吸引力は、上記整流リング42によって周方向に分散される。つまり、カップ体1内には排気ポンプ33の吸引力が周方向においてほぼ均一に作用することになる。
【0055】
図2に示すように、上記整流リング42の外周縁には、整流リング42を通過した気流を上記導入口部5から上記導入路23へ強制的に流入させるためのガイド部材48が設けられている。
【0056】
上記ガイド部材48は、上記導入口部5の基板15の矢印Aで示す回転方向に沿う下流端に基板15の回転方向に沿って傾斜し、かつ所定間隔で積層された複数の整流リング42の高さ方向全長にわたって設けられている。上記整流リング42の外径寸法はカップ体1の内径寸法よりも小さく設定されている。それによって、カップ体1の内周面と整流リング42の外周縁との間には図2に示す隙間49が形成されている。
【0057】
上記カップ体1内の気体は、排気ポンプ33の吸引力及び基板15の回転によって生じる遠心力で上下方向に所定間隔で設けられた複数の整流リング42の間を通過して上記導入口部5に導入される。その際、気体の一部は導入路23へ流入せず、カップ体1の内周面と、整流リング42の外周縁との間の隙間49(図2に示す)に入り込む。そして、その隙間49を上昇し、最上段の整流リング42の上面側を通って基板15側へ戻り、基板15に付着して汚染の原因になることがある。
【0058】
しかしながら、上記ガイド部材48を上記導入口部5の下流端に設けたことで、整流リング42を通過した気流は上記導入口部5の下流端から上記隙間49に流入せず、上記導入23へ強制的に流入させられるようになっている。
【0059】
このような構成のスピン処理装置によれば、洗浄処理された基板15を乾燥処理する場合、基板15を保持した回転テーブル9を高速度で回転させると、その回転によって基板15に付着した処理液は図2に矢印Bで示す基板15の回転方向である、回転の接線方向に沿って飛散する。
【0060】
矢印B方向に飛散した処理液は、図5に矢印Zで示すように整流手段41の所定間隔で積層された上下一対の整流リング42の間に流入し、上側の整流リング42の下面に衝突する。この整流リング42は内周縁が外周縁よりも高くなるよう板面を傾斜させているから、下面に衝突した処理液は下方に向かって反射し、その下方に位置する整流リング42の上面に衝突し、この上面に沿って流れて外周縁から滴下する。
【0061】
上記整流リング42の外周縁から滴下した処理液は、導入口部5に発生する吸引力によってカップ体1内の気体とともに導入路23から排出管25へ吸引されて排出されることになる。その結果、基板15から飛散した処理液がカップ体1の内周面で反射して基板15側へ戻り、その基板15に再付着するのが防止される。
【0062】
上記カップ体1内には、回転テーブル9が高速回転することで、矢印Bで示す処理液の飛散方向と同方向の気流が発生し、その気流には排気ポンプ33の吸引力が排出管25、導入路23、導入口部5及び整流手段41を構成する整流リング42を介して作用する。
【0063】
上記排気ポンプ33の吸引力は、上下方向に所定間隔で設けられた整流リング42を介してカップ体1内に作用することで、この整流リング42の整流作用によってカップ体1の周方向全長にわたってほぼ均等になる。
【0064】
そのため、カップ体1内の処理液を含む気体は、それぞれ導入口部5及び導入路23を介して4つの排出管25からほぼ均等に排出されることになる。その結果、処理液を含む気体がカップ体1内で滞留するのを防止できるから、滞留した気体に含まれる処理液が基板15に再付着して汚染の原因になるのが防止されることになる。
【0065】
上記導入口部5の下流端に、カップ体1の内周面と整流リング42の外周縁との隙間49を塞ぐガイド部材48を設けたことで、積層された整流リング42を通過した気流は上記導入口部5から導入路23へ強制的に流入させられる。
【0066】
そのため、整流リング42を通過した気流が導入口部5に吸引されずにカップ体1の内周面と整流リング42の外周縁との隙間49に入り込み、その隙間49を上昇して最上段の整流リング42の上面を通って基板15側へ流れ、その気流に含まれる処理液が基板15に再付着するのを防止することができる。
【0067】
上記整流手段41の保持部材43は、一端に形成された第1の係合部44を、上下一対の整流リング42のうちの、下方に位置する整流リング42の内周縁に係合させ、他端に形成された第2の係合部45を上方に位置する整流リング42の外周縁に係合させている。
【0068】
つまり、保持部材43は、その第1の係合部44を除く部分が整流リング42の内周縁よりも下方に位置する。そのため、回転する基板15から飛散して上下一対の整流リング42の間に流入した処理液は、整流手段41の整流リング42を保持した保持部材43に衝突することなく、上側の整流リング42の下面に衝突して下方へ反射する。そのため、基板15から飛散した処理液が保持部材43で反射して基板15に再付着するのを防止できる。
【0069】
上記整流手段41の最下端に位置する整流リング42には、複数の脚47が周方向に所定間隔で設けられている。そのため、最下端の整流リング42の内周側と外周側とは、周方向に所定間隔で設けられた脚47間の空間部分を介して連通しているから、最下端の整流リング42の内周側から外周側へ処理液や気体を確実に流出させることができる。
【0070】
また、整流リング42は、保持部材43の第1、第2の係合部44,45に内周縁と外周縁を着脱可能に係合させて積層されている。そのため、整流手段41の保守、点検時などには整流リング42を容易に分解したり、組立てることができる。
【0071】
図6はこの発明の整流手段41の変形例を示す第2の実施の形態である。この実施の形態は、複数の整流リング42を上下方向に所定間隔で保持するために、上記第1の実施の形態の保持部材43に代わり、複数、例えば3〜6本程度の支柱部材51を用いるようにした。
【0072】
各支柱部材51はカップ体1の底板3上に周方向に所定間隔で立設され、各整流リング42には支柱部材51に嵌合する取付け孔52が穿設されている。そして、整流リング42は、取付け孔52を支柱部材51に嵌合させ、所定の高さ位置で、表面が所定の傾斜角度になるよう取付け固定されている。
【0073】
このような構成であっても、複数の整流リング42を上記第1の実施の形態と同様、上下方向に所定間隔で、しかも内周縁が外周縁よりも高くなる所定の角度で傾斜させて設けることができる。
【0074】
【発明の効果】
この発明によれば、カップ体内の内周面と回転テーブルとの間に整流リングを設けたから、この整流リングの整流作用によってカップ体内に排気ポンプの吸引力を周方向にわたってほぼ均一に作用させることができる。
【0075】
そのため、カップ体内の処理液を含む気流をカップ体内で部分的に滞留させることなく、周方向全体にわたってほぼ均一に排出できるから、基板から飛散した処理液が基板に再付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すスピン処理装置の概略的構成の縦断面図。
【図2】図1のX−X線に沿う横断面図。
【図3】気液分離器の断面図。
【図4】気液分離器の側面図。
【図5】整流手段の断面図。
【図6】この発明の第2の実施の形態を示す整流手段の断面図。
【符号の説明】
1…カップ体
9…回転テーブル
25…排出管
33…排気ポンプ
41…整流手段
42…整流リング
43…保持部材
44…第1の係合部
45…第2の係合部
47…脚
48…ガイド部材
51…支柱部材

Claims (9)

  1. 基板を回転させながら処理するスピン処理装置において、
    周壁に複数の導入口部が形成されたカップ体と、
    このカップ体内に設けられ上記基板を保持するとともに駆動源によって回転駆動される回転テーブルと、
    上記カップ体の底部に設けられこのカップ体内から気体及び液体を排出する排出部と、
    この排出部に接続され上記カップ体内に吸引力を作用させる排気装置と、
    上記カップ体の内周面と上記回転テーブルとの間に上下方向に所定間隔で離間して設けられ上記排気装置の吸引力によって上記カップ体内から上記排出部へ排出される気体を整流する複数の整流リングと、
    上記カップ体の周壁の外側に一端を上記導入口部に連通させて設けられ末端が閉塞されていて、この末端に上記排出部が接続されるとともに、上記一端から末端に行くにつれて断面積が漸次大きくなるよう形成された導入路と
    を具備したことを特徴とするスピン処理装置。
  2. 上記カップ体には偶数の排気部が設けられ、同じ数の排気部がそれぞれ気液分離器に接続され、各気液分離器には1つの排気装置から分岐された排気管が接続されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
  3. 排気部の数は4つで、気液分離器の数は2つであって、2つの排気部が1つの気液分離器の長手方向両端部に接続され、上記排気管は上記気液分離器の長手方向中央部に接続されていることを特徴とする請求項2記載のスピン処理装置。
  4. 上記整流リングは内周縁が外周縁よりも高くなるよう板面を傾斜させて設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
  5. 上記カップ体の周壁には、このカップ体の内部と上記排出部とを連通する導入口部が形成され、
    上記カップ体の内周面と上記整流リングの外周縁との間には、上記整流リングを通過したカップ体内の気体と液体を上記導入口部へ強制的に流入させるガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
  6. 上側に位置する整流リングの下端は、下側に位置する整流リングの上端よりも下方若しくはほぼ同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
  7. 複数の整流リングは、下側に位置する整流リングの傾斜方向上端に係合する第1の係合部と、上側に位置する整流リングの傾斜方向下端に係合する第2の係合部とが形成された保持部材によって上下方向に所定間隔で離間して保持されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
  8. 最下端に位置する整流リングの傾斜方向下端には、この整流リングを上記カップ体内に支持するための脚が周方向に所定間隔で設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
  9. 複数の整流リングは、上記カップ体内に立設された支柱部材によって保持されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
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