JP4358410B2 - スピン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は基板を回転テーブルによって回転させながら処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置や半導体装置の製造過程においては、ガラス基板や半導体ウエハなどの基板に回路パタ−ンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板に対して処理液による処理及び洗浄が行なわれたのち、乾燥処理が行なわれる。基板に対してこのような一連の処理を行なう場合、上記基板を回転テ−ブルに保持し、この回転テ−ブルとともに回転させ、それによって生じる遠心力を利用する、スピン処理装置が用いられる。
【0003】
一般に、スピン処理装置は処理槽を有し、この処理槽内にスピンカップが配置されている。このスピンカップは上面が開口しており、内部には回転テーブルが設けられている。この回転テーブルには上記基板が保持される。
【0004】
上記カップ体の底部には排出管が接続され、この排出管は上記処理槽の底壁を貫通して外部に導出され、気液分離器を介して排気ポンプに接続されている。
【0005】
したがって、排気ポンプを作動させれば、上記カップ体内の空気及び処理液が上記排出管から外部へ排出されるようになっている。
【0006】
上記スピン処理装置によってたとえば洗浄された基板を乾燥処理する場合、回転テーブルに基板を保持してこの回転テーブルを高速度で回転させることで、基板に付着した処理液を遠心力で飛散させ、乾燥させるようにしている。基板から飛散した処理液は、上記排出管に生じた吸引力によってカップ体内から排出されるようになっている。
【0007】
ところで、回転テーブルを回転させると、カップ体内にはその回転によって回転テーブルの回転方向に沿う気流が発生し、その気流に乗って基板に付着した処理液も飛散し、カップ体の内周面に衝突する。
【0008】
一方、カップ体には上述したように底部に排出管が接続されている。そのため、カップ体の内周面に衝突した気流は、カップ体の底部に接続された排出管に吸引され難いため、一部が上昇気流となってしまう。その結果、その上昇気流に処理液がミスト状となって含まれるため、そのミストが乾燥処理された基板に再付着して汚染の原因になるということがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、実開平6−62536号公報に示されるように、カップ体の内周面に周方向に沿って整流用溝部を形成し、回転テーブルの回転によって生じる気流を、上記整流用溝部に沿って流し、この整流用溝部に連通する1つの排気口へ排出するようにしたスピンドライヤーが提案されている。
【0010】
しかしながら、このような構成によると、回転テーブルの回転によって生じる気流は、最長でカップ体の内周面のほぼ全周に沿って流れることになるなど、カップ体の内周面に沿って流れる距離が長くなるため、その流れの途中で渦流や上昇気流が発生し易いということがあった。
【0011】
さらに、整流用溝部に沿って流れた気流を1つの排気口から排出するようにしているため、回転テーブルの回転によって生じる気流の量や速度が変動すると、上記排気口から円滑に排出されにくいということもあった。
【0012】
これらの結果、気流に含まれるミストがカップ体内で浮遊し、回転テーブルに保持された基板に再付着して基板の汚染の原因になるということがあった。
【0013】
この発明は、回転テーブルの回転によってカップ体内に生じる気流を円滑に排出できるようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、基板を回転させて処理するスピン処理装置において、
カップ体と、
このカップ体内に設けられ上記基板を保持した状態で回転駆動される回転テーブルと、
上記カップ体の周壁に周方向に所定間隔で開口形成された複数の導入口部と、
一端が上記導入口部に連通され他端が閉塞されるとともに、この他端を上記一端よりも上記回転テーブルの回転方向下流側に位置させて設けられ上記回転テーブルの回転によって上記カップ体内に回転テーブルの回転方向に沿って生じる気流が上記導入口部から導入される導入路と、
この導入路の他端に設けられ上記回転テーブルの回転によって上記導入路に導入された気流を排出する排出部と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置にある。
【0015】
請求項2の発明は、上記導入路は、上記カップ体の周方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0016】
請求項3の発明は、上記導入路の断面積は、上記導入口部に連通した一端から上記排出部が設けられた他端にゆくにつれて漸次大きくなることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0017】
請求項1の発明によれば、回転テーブルが回転することで生じる気流は、カップ体の周壁に周方向に所定間隔で形成された複数の導入口部からそれぞれ導入路を通じて排出部へ排出されるから、回転テーブルの回転によって生じる気流がカップ体の内周面に沿って流れる距離が短くなるため、気流の乱れを生じることなく、比較的円滑に排出される。
【0018】
請求項2の発明によれば、導入路をカップ体の周方向に沿って形成したことで、回転テーブルの回転によって生じる気流が上記導入路へ円滑に流入させることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、導入部の断面形状を気流の流れ方向に沿って漸次大きくしたことで、この導入部に流入した気流の圧力変動を少なくして円滑に排出することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1と図2はこの発明の第1の実施の形態を示し、図中1はカップ体である。このカップ体1はベース板2上に設けられている。つまり、カップ体1は中心部に向かって高く傾斜した底板3を有し、この底板3の周辺部には周壁4が設けられている。この周壁4には、図2に示すように周方向に等間隔で4つの導入口部5が開口形成されている。
【0022】
上記底板2の中心部分には通孔6が形成され、この通孔6には中空状の駆動軸7が挿通されている。なお、通孔6は遮蔽板6aによって閉塞されている。
【0023】
上記ベース板2の下面の中心部分には駆動モータ8が取り付けられ、この駆動モータ8の図示しない回転子に上記駆動軸7が連結されている。この駆動軸7のカップ体1内に突出した上端には平面形状がほぼ十字状の回転テーブル9が取り付けられている。
【0024】
上記回転テーブル9は上記駆動軸7の上端に連結固定された基部11と、この基部11に周方向に所定間隔で一端部を連結した4本のアーム12とから構成されていて、各アーム12の先端部にはそれぞれ一対の係合ピン13が立設されている。さらに、各アーム12の先端部と上記基部11とには、それぞれ支持ピン14が立設されている。
【0025】
そして、上記回転テーブル9には、たとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の矩形状の基板15が角部を各アームの先端部に設けられた一対の係合ピン13に係合させ、この角部の下面と中心部の下面とをそれぞれ上記支持ピン14に支持されて着脱可能に保持される。
【0026】
したがって、上記駆動モータ8が作動すると、上記回転テーブル9は基板15を保持した状態で図2に矢印Aで示す反時計方向に回転駆動されるようになっている。
【0027】
図1に示すように、上記カップ体1の周壁4の上端には、リング状の反射防止部材16が設けられている。この反射防止部材16は、上記周壁4に連結された外周端が内周端よりも低くなるよう傾斜して設けられた傾斜部16aと、この傾斜部16aの内周端に垂設された垂直部16bとからなる。
【0028】
上記カップ体1の周壁の外側には、各導入口部5と対応する部分にカバー体22が設けられている。各カバー体22は、上記導入口部5側に位置する一端から上記回転テーブル9の回転方向に沿う他端部にゆくにつれてカップ体1の外周面との間隔が漸次大きくなる導入路23を、上記カップ体1の周方向に沿って形成している。つまり、導入路23は、一端から他端に行くに断面積がつれて漸次大きくなるよう形成されている。
【0029】
上記導入路23の末端は閉塞されていて、この閉塞端部には排出部としての排出口24が形成されている。この排出口24には図1に示すように同じく排出部としての排出管25の一端が接続され、この排出管25の他端には気液分離器26を介して排気ポンプ27が接続されている。この排気ポンプ27の吸引力は、上記排出口24及び導入路23を介して上記導入口部5に作用するようになっている。
【0030】
上記カップ体1内に設けられた回転テーブル9が回転駆動されると、その回転によって気流が生じる。この気流は回転テーブル9の回転方向、つまり図2に矢印Bで示す反時計方向で、かつ回転テーブル9の回転の外周に対して接線方向に沿って生じる。
【0031】
回転テーブル9の回転によって生じる気流Bは、回転テーブル9の回転による遠心力と、導入口部5に作用する排気ポンプ27の吸引力とによってカップ体1の周壁に形成された導入口部5からカバー体22によって形成された導入路23へ流入する。
【0032】
導入路23に流入した気流Bは、この導入路23の一端から他端へと流れ、この他端部に形成された排出口24を通じて排出管25へ吸引され、気液分離器26で液体と気体とに分離される。
【0033】
このような構成のスピン処理装置によれば、洗浄処理された基板15を乾燥処理する場合、基板15を保持した回転テーブル9を高速度で回転させると、その回転によって気流Bが生じる。この気流Bは回転する基板15の回転方向、つまり回転の接線方向に生じる。
【0034】
回転テーブル9の回転方向に生じた気流Bは、カップ体1の周壁4に形成された導入口部5から導入路23へ流入し、この導入路23の末端部に形成された排出口24から排出管25へ吸引排出される。
【0035】
回転テーブル9の回転によって生じる気流Bには、基板15から飛散した洗浄液が含まれるから、気液分離器26では気体と液体とが分離され、それぞれが別々に排出される。
【0036】
回転テーブル9の回転によって生じる気流Bは、カップ体1の周壁4に周方向に沿って所定間隔で形成された複数の導入口部5から導入路23へ流入する。つまり、排出されるから、回転テーブル9の回転によって生じた気流Bは、カップ体1の内周面に沿ってほとんど流れずに導入口部5へ流入する。
【0037】
そのため、回転テーブル9の回転によって生じる気流Bは、ほとんどが流れに乱れが生じる前にそれぞれの導入口部5へ流入し、渦流や上昇気流となることがほとんどないから、気流Bに含まれるミストがカップ体1内で浮遊して基板15に再付着するのを防止することができる。
【0038】
各導入口部5に連通する導入路23は、導入口部5側から排出口24側に行くにつれて断面積が次第に大きくなるよう形成されている。そのため、導入路23に流入した気流が排出口24から排出管25へ流入するまでに、導入路23内の圧力が上昇するのを防止するから、導入路23に流入した気流Bがカップ体1内へ戻る逆流現象が生じるの防止する。
【0039】
したがって、そのことによっても気流Bの排出が円滑に行なわれ、気流に含まれるミストがカップ体1内に浮遊して基板15に再付着するのを防止することができる。
【0040】
導入口部5は、回転テーブル9の回転によって生じる気流Bの流れ方向に沿う、カップ体1の周壁4に沿って形成されているから、そのことによってもカップ体1内に生じる気流Bが導入口部5から導入路21へ円滑に流入し易くなり、カップ体1内に渦流や上昇気流が生じるのが抑制される。
【0041】
カップ体1の周壁4の上端には傾斜部16aと垂直部16bとを有する反射防止部材16が設けられている。そのため、回転テーブル9の回転によって生じる気流がカップ体1の周壁4の内周面に衝突することで、上昇気流が生じるようなことがあっても、その上昇気流に含まれるミストは反射防止部材16の傾斜部16aの内面に衝突して付着し、さらには垂直部16bに衝突して付着するから、カップ体1内で浮遊して基板15に再付着するのを防止できる。
【0042】
図3はこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は、カップ体1の周壁4の周方向に2つの導入口部5を約180度間隔で形成し、これらの導入口部5にそれぞれカバー体22によって形成された導入路23の一端を連通させている。導入路23は、上記第1の実施の形態と同様、カップ体1の周壁4に沿って形成されているとともに、導入口部5側の一端から排出口24が形成された他端に行くにつれて断面積が漸次大きくなるよう形成されている。
【0043】
それによって、第1の実施の形態と同様、回転テーブル9の回転によって生じる気流を、渦流や上昇気流とせずにカップ体1内から円滑に排出することが可能となる。
【0044】
なお、第1の実施の形態では導入口部5及び導入路23がそれぞれ4つ形成されているのに対し、第2の実施の形態では2つであるから、数が少ない分、気流がカップ体の内周面に沿って流れる距離が長くなるが、1つの場合に比べば、その距離を十分に短くできるから、渦流や上昇気流の発生を抑制することが可能である。
【0045】
つまり、導入口部5の数は、4つあるいは2つに限定されず、3つあるいは5つ以上であってもよく、要は複数であればよいことになる。
【0046】
また、基板としては矩形状のガラス製基板だけに限られず、円形状に半導体ウエハなどであってもよいこと勿論である。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、回転テーブルが回転することで生じる気流を、カップ体の周壁に周方向に所定間隔で形成された複数の導入口部からそれぞれ導入路を通じて排出部へ排出するようにした。
【0048】
そのため、回転テーブルの回転によってカップ体内に生じる気流は、そのカップ体の内周面に沿って流れる距離が導入口部の数に応じて短くなることで、その流れの途中で上昇気流や渦流などになり難くなるため、気流に含まれるミストがカップ体内で浮遊して基板に再付着するのを防止することができる。
【0049】
請求項2の発明によれば、導入口部に連通する導入路をカップ体の周方向に沿って形成した。
【0050】
そのため、回転テーブルの回転によって生じる気流が上記導入路へ円滑に流入し易くなるから、導入口部から導入路に流入した気流を円滑に排出することができる。
【0051】
請求項3の発明によれば、導入部の断面形状を気流の流れ方向に沿って漸次大きく形成した。
【0052】
そのため、気流が導入部に流入して排出部から排出されるまでの間に導入部内の圧力が上昇するのを防止できるから、そのことによっても気流を円滑に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すスピン処理装置の概略的構成の縦断面図。
【図2】図1のX−X線に沿う横断面図。
【図3】この発明の第2の実施の形態を示すスピン処理装置の横断面図。
【符号の説明】
1…カップ体
5…導入口部
9…回転テーブル
23…導入路
24…排出口(排出部)
25…排出管(排出部)
Claims (3)
- 基板を回転させて処理するスピン処理装置において、
カップ体と、
このカップ体内に設けられ上記基板を保持した状態で回転駆動される回転テーブルと、
上記カップ体の周壁に周方向に所定間隔で開口形成された複数の導入口部と、
一端が上記導入口部に連通され他端が閉塞されるとともに、この他端を上記一端よりも上記回転テーブルの回転方向下流側に位置させて設けられ上記回転テーブルの回転によって上記カップ体内に回転テーブルの回転方向に沿って生じる気流が上記導入口部から導入される導入路と、
この導入路の他端に設けられ上記回転テーブルの回転によって上記導入路に導入された気流を排出する排出部と
を具備したことを特徴とするスピン処理装置。 - 上記導入路は、上記カップ体の周方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
- 上記導入路の断面積は、上記導入口部に連通した一端から上記排出部が設けられた他端にゆくにつれて漸次大きくなることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
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