JP4758455B2 - 乗員保護装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、車両の側面衝突時等にインフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員を保護するエアバッグ袋体を備える乗員保護装置に関する。
この種の乗員保護装置は、例えば、特開2000−289556号公報に示されていて、同公報には、乗員のドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体が、車両の側面衝突時等に、インフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員の頭部と胴部を保護可能な乗員保護装置が開示されている。
上記した公報の乗員保護装置では、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体にて乗員の頭部と胴部を保護可能である。しかし、上記した公報の乗員保護装置は、乗員の胴部、特に、乗員の胸部や腹部の保護を図ったものではなく、乗員の胸部や腹部に大きな荷重が加わる可能性があって、改善の余地がある。
また、この種の乗員保護装置は、例えば、特開平9−202203号公報に示されていて、同公報には、乗員のドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体が、車両の側面衝突時等に、インフレータから供給されるガスにより膨張展開して乗員の頭部と胸部を保護可能な乗員保護装置が開示されている。
上記した公報の乗員保護装置では、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体にて乗員の頭部と胸部を保護可能である。しかし、上記した公報の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体が、乗員の体形やドアの形状を考慮した形状となっていないため、膨張展開したエアバッグ袋体によって乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わる可能性があって、改善の余地がある。
本発明の一つの目的は、車両の側面衝突時等に、乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制すること(例えば、膨張展開するエアバッグ袋体から乗員の上腕部を介して乗員の胸部に加わる荷重を低減すること)にある。
本発明の一つの特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における車両側面視で乗員の胸部と重なり車両の前方斜め下方に向けて伸びている乗員の上腕部に対応する部位に、乗員の肩部に対応する前記エアバッグ袋体の上部および乗員の腰部に対応する前記エアバッグ袋体の下部の膨張展開時における車幅方向の厚みに比して、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が車両側面視で重なるように形成されていて、この領域は前記上腕部が伸びる方向に沿った長円形状に形成されていることにある。
本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開した状態にてドア内側に対向する乗員側部の車幅方向に突出する車両側面視で乗員の胸部と重なり車両の前方斜め下方に向けて伸びている乗員の上腕部を収容可能な凹部を有していて、この凹部は、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における前記上腕部に対応する部位にて、前記エアバッグ袋体の前端から後方に切り欠いた形状であることにある。
本発明の他の特徴は、インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における車両側面視で乗員の胸部と重なり車両の前方斜め下方に向けて伸びている乗員の上腕部に対応する部位に、乗員の肩部に対応する前記エアバッグ袋体の上部および乗員の腰部に対応する前記エアバッグ袋体の下部の膨張展開時における車幅方向の厚みに比して、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が車両側面視で重なるように形成されていて、この領域は前記上腕部に対応する部位からエアバッグ袋体の前端にまで延びる形状に形成されていることにある。この場合において、前記エアバッグ袋体が膨張展開時においてドア内側のアームレスト部を収容可能な凹部を有していて、この凹部は、前記エアバッグ袋体の上部に形成した上部膨張部と、前記エアバッグ袋体の下部に形成した下部膨張部との間に形成されていて、前記上部膨張部と前記下部膨張部が前記アームレスト部を上下方向にて挟むように配置されていることも可能である。
上記した本発明の乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体がインフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部と車体間に介在する。このため、車体の一部が車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体にて乗員が車室内の車幅方向中央部に向けて押動されて、乗員の肩部から腰部が保護される。
ところで、この乗員保護装置においては、膨張展開するエアバッグ袋体から乗員の上腕部を介して乗員の胸部に加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員の胸部に大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、上記した各発明において、前記エアバッグ袋体の下部には、乗員の大腿部側方にて膨張展開する膨張部が形成されていることも可能である。この場合には、車両の側面衝突時等に乗員の大腿部をもエアバッグ袋体にて押動することが可能である。
以下に、乗員保護装置の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は乗員保護装置の第1実施形態(参考例)を概略的に示していて、この第1実施形態の乗員保護装置は、車両におけるシートAのシートバックAaに組付けられて使用されるものであり、乗員Bのドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体10と、このエアバッグ袋体10にガスを供給するインフレータ20を備えている。
エアバッグ袋体10は、車両の側面衝突時等にインフレータ20から供給されるガスにより乗員Bのドア側にて図1および図2に示したように膨張展開して、乗員Bの肩部Baから腰部Bdを全体的に保護するものであり、シートバックAaと略同一の上下方向寸法を有している。また、エアバッグ袋体10は、所定形状のエアバッグ素材を半分に折り合わせて、周縁部11を気密的に接合することにより袋状に形成されており、図1に示したように、膨張展開した状態にて膨張部15の車両前後方向略中央部分で上下方向略中央部分に上下一対の非膨張部12,13が形成されている。
各非膨張部12,13は、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を形成するためのものであり、乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して設けられていて、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されている。また、各非膨張部12,13は、側面視にて略長円(楕円)形状に形成されていて、これらの間にはインフレータ20からのガスを前方に向けて流すためのガス通路14が形成されている。また、各非膨張部12,13は、シートバックAaの上下方向に沿うようにして直線状に配置されていて、上記した領域がシートバックAaに略平行な方向を長手方向として形成されている。
ところで、エアバッグ袋体10は、図3に示したように、上部10aと下部10bを上下方向中央部10cに折り重ねた後に車両前方から後方に向けてロール折り(または蛇腹折り)されて折り畳まれており、折り畳まれた状態にて車両のシートバックAaに組付けられるようになっている。なお、エアバッグ袋体10の上部10aと下部10bを上下方向中央部10cに折り重ねる際には、図3の(b)に示したように、上部10aと下部10bの全体をそれぞれ内側に折り曲げて上下方向中央部10cに重ねた後に、上部10aと下部10bの各先端部をそれぞれ折り返して重ねている。また、ロール折りは、前端から内側に巻き込むようにして行われている。
インフレータ20は、車両の側面衝突時等(この状態は図示省略のセンサによって検出される)に動作して、ガスをエアバッグ袋体10に噴出供給するものであり、エアバッグ袋体10内に組付けられている。また、インフレータ20は、その下端とその下部前方にガス噴射孔21,22を有していて、下方に向けて開口するガス噴射孔21からガスを下方に向けて噴射可能であり、前方に向けて開口するガス噴射孔22からガスを前方に向けて噴射可能である。
上記のように構成したこの第1実施形態の乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、該当するセンサ(図示省略)が検知する加速度が設定値以上でインフレータ20が動作すると、インフレータ20の各ガス噴射孔21,22からエアバッグ袋体10にガスが供給されて、エアバッグ袋体10が乗員Bの側方にて膨張展開して乗員Bの肩部Baから腰部Bdと車体(図示省略のドア)間に介在する。このため、車体の一部が車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体10にて乗員Bが車室内の車幅方向中央部に向けて押動されて、乗員Bの肩部Baから腰部Bdが保護される。
ところで、この第1実施形態の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体10における膨張部15の上下方向中央部分10c、すなわち、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに対応する部分に、両非膨張部12,13により、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域が形成されている。このため、エアバッグ袋体10にて乗員Bが車室内の車幅方向中央部に向けて押動されるときには、エアバッグ袋体10の上部10aと下部10bが当たる乗員Bの肩部Baと腰部Bdには大きな荷重が作用するものの、エアバッグ袋体10の上下方向略中央部分が当たる乗員Bの胸部Bbや腹部Bcには大きな荷重が作用しない。したがって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この第1実施形態の乗員保護装置においては、両非膨張部12,13によって形成された上記した領域がシートバックAaに略平行な方向に長手方向を有している。このため、この第1実施形態においては、上記した領域を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、この第1実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、エアバッグ袋体10における膨張部15の上下方向略中央部分に、側面視にて略長円形状に形成されているため、乗員Bの着座位置が前後方向にて異なる場合にも、同領域を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、この第1実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が、エアバッグ袋体10における膨張部15の上下方向略中央部分に両非膨張部12,13により形成されていて、上下方向にて二分割されており、これらの間にはガス通路14が形成されている。このため、車両の側面衝突時等にインフレータ20のガス噴射孔22から供給されるガスは、エアバッグ袋体10にてガス通路14を通して車両前方へ素早く供給される。これによって、エアバッグ袋体10の車両前後方向での膨張展開を早めることが可能であり、エアバッグ袋体10を乗員Bと車体間に素早く介在させることが可能である。
また、この第1実施形態においては、車両の側面衝突時等に乗員Bの側方にて膨張展開するエアバッグ袋体10が、上部10aと下部10bを上下方向中央部10cに折り重ねた後に車両前方から後方に向けてロール折り(または蛇腹折り)されて折り畳まれている。このため、車両の側面衝突時等にエアバッグ袋体10は、先ず車両前後方向に膨張展開し、その後に上下方向に膨張展開する。したがって、エアバッグ袋体10が折り畳まれた状態にてシートバックAaに組付けられていても、エアバッグ袋体10は、車両の側面衝突時等に、乗員Bと車体間に素早く入り込んで的確に膨張展開する。
上記した第1実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に上下一対の非膨張部12,13を形成して実施したが、これに代えて、図4および図5、図6および図7、図8および図9、図10および図11、図12および図13、または、図14および図15にてそれぞれ概略的に示した各変形実施形態(参考例)のように構成して実施することも可能である。
図4および図5は、第1変形実施形態を示していて、この第1変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に一つの非膨張部12aが形成されている。この非膨張部12aは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、シートバックAaに略平行な方向に長手方向を有している。このため、この第1変形実施形態においては、上記した領域を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。なお、この第1変形実施形態においては、下方にのみガス噴射孔21を有するインフレータ20が採用されている。
図6および図7は、第2変形実施形態を示していて、この第2変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に4個の非膨張部12b1〜12b4が形成されている。各非膨張部12b1〜12b4は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、シートバックAaに略直角の方向に長手方向を有している。
図8および図9は、第3変形実施形態を示していて、この第3変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に3個の非膨張部12c1〜12c3が形成されている。各非膨張部12c1〜12c3は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、シートバックAaに略平行な方向に長手方向を有している。なお、この第3変形実施形態においては、下方にのみガス噴射孔21を有するインフレータ20が採用されている。
図10および図11は、第4変形実施形態を示していて、この第4変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に5個の非膨張部12d1〜12d5が形成されている。各非膨張部12d1〜12d5は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、側面視にて略円形形状に形成されている。
図12および図13は、第5変形実施形態を示していて、この第5変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に非膨張部12eが形成されている。非膨張部12eは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、側面視にてジグザグ形状に形成されている。なお、この第5変形実施形態においては、下方にのみガス噴射孔21を有するインフレータ20が採用されている。
図14および図15は、第6変形実施形態を示していて、この第6変形実施形態においては、エアバッグ袋体10の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成するために、エアバッグ袋体10に非膨張部12fが形成されている。非膨張部12fは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、これによってエアバッグ袋体10の膨張部15が前方に向けて開いたコ字形状に形成されている。なお、この第6変形実施形態においては、下方と上方にガス噴射孔21,22を有するインフレータ20が採用されている。
上記した各実施形態においては、エアバッグ袋体10が乗員Bの肩部Baから腰部Bdを全体的に保護するように構成して実施したが、図16にて概略的に示した第2実施形態(参考例)のように、エアバッグ袋体110の下部に乗員Bの大腿部Bf側方にて膨張展開する膨張部116を膨張部115に一体的に形成して、エアバッグ袋体110が乗員Bの肩部Baから腰部Bdと大腿部Bfを保護するように構成して実施することも可能である。
また、この第2実施形態においては、エアバッグ袋体110における乗員Bの上腕部Beに対応する部位に非膨張部117が形成されていて、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が追加されている。なお、この第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と実質的に同じであるため、100番台の同一符号を付して、その説明は省略する。
上記のように構成したこの第2実施形態においては、上記した第1実施形態の作用効果と同様の作用効果が期待できることは勿論のこと、車両の側面衝突時等に乗員Bの側方にて膨張展開するエアバッグ袋体110の下部に、乗員Bの大腿部Bf側方にて膨張展開する膨張部116が膨張部115に一体的に形成されているため、車両の側面衝突時等に乗員Bの大腿部Bfをもエアバッグ袋体110にて押動することが可能である。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この第2実施形態においては、エアバッグ袋体110における乗員Bの上腕部Beに対応する部位に、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域を追加したものであるため、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcおよび上腕部Beに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
上記した第1実施形態および第2実施形態においては、エアバッグ袋体10または110の膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが薄い領域を乗員Bの胸部Bbと腹部Bcに対応して形成して、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能としたが、図17および図18(a)にて概略的に示した第3実施形態(参考例)、図20にて概略的に示した第4実施形態(参考例)、図21にて概略的に示した第5実施形態(参考例)、図22にて概略的に示した第6実施形態(参考例)、または、図23にて概略的に示した第7実施形態(参考例)のように構成して実施することも可能である。
図17および図18(a)に示した第3実施形態は、エアバッグ袋体210の下部210b(乗員Bの腰部Bdに対応する部分)の内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするガス圧制御手段を設けて、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能としたものである。
また、図17および図18(a)に示した第3実施形態では、エアバッグ袋体210の下部210bの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするガス圧制御手段として、エアバッグ袋体210に形成した仕切り壁212と、下方にのみガス噴射孔221を有するインフレータ220が採用されている。仕切り壁212は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、前後方向に延びており、後端がインフレータ220に近接していて、上方へのガス流れを抑制している。
このため、この第3実施形態においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体210の下部210bに当たる乗員Bの腰部Bdが、大きなガス圧で押されて素早く移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて素早く押して移動させることが可能である。
また、この第3実施形態においては、図18(a)に示したように、エアバッグ袋体210の下部210bが、膨張展開時において他の部分に比して、車幅方向の厚みが大きくなるように設定されている。このため、車両の側面衝突時等には、エアバッグ袋体210の下部210bに当たる乗員Bの腰部Bdが大きく移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて大きく押して移動させることが可能である。
上記した第3実施形態においては、エアバッグ袋体210の下部210bの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするように構成して実施したが、上下逆の構成として、図17に仕切り壁212を仮想線にて示すとともに、図18(b)に示したように、エアバッグ袋体210の上部210aの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするように構成して実施することも可能である。
この場合には、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体210の上部210aに当たる乗員Bの肩部Baが、大きなガス圧で押されて素早く移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて素早く押して移動させることが可能である。
また、この場合には、エアバッグ袋体210の上部210aが、膨張展開時において他の部分に比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されているため、車両の側面衝突時等には、エアバッグ袋体210の上部210aに当たる乗員Bの肩部Baが大きく移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて大きく押して移動させることが可能である。
また、上記した第3実施形態においては、エアバッグ袋体210の下部210bの内圧を、他の部分の内圧に比して大きくするように構成して実施したが、図19に示した実施形態のように、エアバッグ袋体210に上下の仕切り壁212,213を形成するとともに、上下にガス噴射孔221,222を有するインフレータ220を採用して、エアバッグ袋体210の上部210aおよび下部210bの内圧を、中間部210cの内圧に比して大きくするように構成して実施することも可能である。
図20に示した第4実施形態は、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを、他の部分(シートバックAaに略平行な方向に長手方向を有する上下方向中央部分310c)に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段を設けて、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の中央部に向けて押して移動させることが可能としたものである。
また、図20に示した第4実施形態では、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを他の部分に比して先行して膨張展開させる膨張制御手段として、エアバッグ袋体310に形成した誘導壁312と、上方および下方にガス噴射孔321,322を有するインフレータ320が採用されている。エアバッグ袋体310の誘導壁312は、上部310aおよび下部310bと上下方向中央部分310cを区画して、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bにガスを流した後に上下方向中央部分310cにガスを流すガス流れ調整手段であり、エアバッグ袋体310に縫製により形成されている。
このため、この第4実施形態においては、車両の側面衝突時等に、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bに当たる乗員Bの肩部Baおよび腰部Bdが、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに比して先行して押されて移動する。これによって、車両の側面衝突時等には、乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を抑制した状態にて、乗員Bを車室内の車幅方向中央部に向けて押して移動させることが可能である。
また、この第4実施形態においては、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bに遅れて膨張展開する上下方向中央部分310cがシートバックAaに略平行な方向に長手方向を有するため、同部分を乗員Bの胸部Bbから腹部Bcの側部に沿わせて位置させることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。
また、この第4実施形態においては、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを上下方向中央部分310cに比して先行して膨張展開させる膨張制御手段が、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bにガスを流した後に上下方向中央部分310cにガスを流すガス流れ調整手段であり、その一構成であるエアバッグ袋体310の誘導壁312がエアバッグ袋体310に縫製により形成されている。これにより、膨張制御手段を簡易に形成することが可能である。
上記した第4実施形態においては、エアバッグ袋体310の上部310aおよび下部310bを上下方向中央部分310cに比して先行して膨張展開させるように構成して実施したが、エアバッグ袋体310の上部310aまたは下部310bを上下方向中央部分310cに比して先行して膨張展開させるように構成して実施することも可能である。
図21に示した第5実施形態は、エアバッグ袋体410に、膨張展開時に乗員側を乗員Bの側方形状に沿った形状とする形状調整手段、具体的には、エアバッグ袋体410内にて車幅方向に延在する複数のストラップ412a,412b,412cを設けたものである。各ストラップ412a,412b,412cは、両端部にてそれぞれエアバッグ袋体410に固着されている。
このため、この第5実施形態においては、エアバッグ袋体410から乗員Bへの局所的な荷重入力を抑制することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの肩部Baや腰部Bdは勿論のこと胸部Bbや腹部Bcに加わる荷重を的確に抑制することが可能である。また、この第5実施形態においては、形状調整手段を複数のストラップ412a,412b,412cにて構成したため、形状調整手段を簡易に形成することが可能である。
図22に示した第6実施形態は、シートAのシートクッションAbにエアバッグ袋体510を設けたものであり、エアバッグ袋体510は膨張展開時に乗員Bを上方へ移動させる。このため、この第6実施形態においては、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbと車両側の凸部、例えば、ドアに設けたアームレスト部(図示省略)が当接することを抑制することが可能であり、乗員Bの胸部Bbへの荷重入力を抑制することが可能である。
図23に示した第7実施形態は、シートバックAaにエアバッグ袋体610を設けたものであり、エアバッグ袋体610は、乗員Bのドア側背面とシートバックAa間にて膨張展開する第1膨張部610aと、乗員Bのドア側側面とドア(図示省略)間にて膨張展開する第2膨張部610bとを有していて、乗員Bの胸部Bbを車両のドアから遠ざける斜め前方に移動させることが可能である。
このため、この第7実施形態においては、エアバッグ袋体610の第1膨張部610aおよび第2膨張部610bにて、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbを車両のドアから遠ざける斜め前方に的確に移動させることが可能であって、乗員Bの胸部Bbと車両のドアに設けられているアームレスト部が当接することを抑制することが可能であるとともに、エアバッグ袋体610の第2膨張部610bにて、ドアから乗員Bへの荷重入力を抑制することが可能である。
図24および図25は乗員保護装置の第8実施形態(本発明(請求項2および5に係る発明)の実施形態)を概略的に示していて、この第8実施形態の乗員保護装置は、車両におけるシートAのシートバックAaに組付けられて使用されるものであり、乗員Bのドア側の側部にて膨張展開可能に配設したエアバッグ袋体1010と、このエアバッグ袋体1010にガスを供給するインフレータ1020を備えている。
エアバッグ袋体1010は、車両の側面衝突時等にインフレータ1020から供給されるガスにより乗員BのドアC側にて図24および図25に示したように膨張展開して、乗員Bの肩部Baから腰部Bdに至る胸部Bbと腹部Bcを含む側方部位を全体的に保護するものであり、通常時には折り畳まれてシートバックAaに収納されている。
また、エアバッグ袋体1010は、所定形状のエアバッグ素材を半分に折り合わせて、周縁部1011を気密的に接合することにより袋状に形成されており、膨張展開した状態にてドアC内側に対向する乗員B側部の車幅方向に突出する凸部である乗員Bの上腕部Beを収容可能な凹部1012を有している。エアバッグ袋体1010の凹部1012は、エアバッグ袋体1010の該当部位を予め切り欠いた形状とすることにより形成されている。
インフレータ1020は、車両の側面衝突時等(この状態は図示省略のセンサによって検出される)に動作して、ガスをエアバッグ袋体1010に噴出供給するものであり、エアバッグ袋体1010内に組付けられている。また、インフレータ1020は、その上下両端にガス噴射孔1021,1022を有していて、上方に向けて開口するガス噴射孔1021からガスを上方に向けて噴射可能であり、下方に向けて開口するガス噴射孔1022からガスを下方に向けて噴射可能である。
上記のように構成したこの第8実施形態の乗員保護装置においては、車両の側面衝突時等において、該当するセンサ(図示省略)が検知する加速度が設定値以上でインフレータ1020が動作すると、インフレータ1020の各ガス噴射孔1021,1022からエアバッグ袋体1010にガスが供給されて、エアバッグ袋体1010が乗員Bの側方にて膨張展開して乗員Bの肩部Baから腰部Bdと車体のドアC間に介在する。このため、車体の一部が車室内に侵入する際には、エアバッグ袋体1010にて乗員Bが車室内の中央部に向けて押動されて、乗員Bの肩部Baから腰部Bdが保護される。
ところで、この第8実施形態の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体1010が、膨張展開時に、ドアC内側に対向する乗員側部の車幅方向に突出する凸部である乗員Bの上腕部Beを収容可能な凹部1012を有している。このため、この乗員保護装置においては、乗員Bの上腕部Beに対応するエアバッグ袋体1010の凹部1012によって乗員Bの特定部位、例えば胸部Bbが上腕部Beを介して局部的に押圧されることを抑制することが可能である。したがって、車両の側面衝突時等に、乗員Bの特定部位、例えば胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、この第8実施形態の乗員保護装置においては、エアバッグ袋体1010の凹部1012がエアバッグ袋体1010の該当部位を予め切り欠くことにより形成されているため、エアバッグ素材の容積・重量を小さくすることが可能である。このため、エアバッグ袋体1010をコンパクトに折り畳むことが可能であり、これをシートバックAaにコンパクトに収納することが可能である。
上記した第8実施形態においては、エアバッグ袋体1010の該当部位を予め切り欠くことにより該当部位に凹部1012を形成したが、これに代えて、図26〜図28または図29および図30にてそれぞれ概略的に示した各変形実施形態のように構成して実施することも可能である。
図26〜図28は、第8実施形態の第1変形実施形態(本発明(請求項1および5に係る発明)の実施形態)を示していて、この第1変形実施形態においては、乗員Bの上腕部Beに対応する部位に長円形状の非膨張部1013を形成することにより、エアバッグ袋体1010に凹部1012が形成されている。長円形状の非膨張部1013は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、その周囲には膨張部1014が形成されている。このため、この第1変形実施形態においては、エアバッグ袋体1010の膨張展開時における剛性を確保した上で、エアバッグ袋体1010の該当部位に凹部1012を形成することが可能である。
図29および図30は、第8実施形態の第2変形実施形態(本発明(請求項3および5に係る発明)の実施形態)を示していて、この第2変形実施形態においては、乗員Bの上腕部Beに対応する部位に前端にまで延びる非膨張部1013aを形成することにより、エアバッグ袋体1010に凹部1012が形成されている。非膨張部1013aは、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されている。
上記した各実施形態においては、乗員Bの上腕部Beを収容可能な凹部1012をエアバッグ袋体1010に形成して実施したが、図31および図32にて概略的に示した第9実施形態(参考例)のように、ドアC内側の凸部、例えば、アームレスト部Caを収容可能な凹部1112をエアバッグ袋体1110に形成して実施することも可能である。エアバッグ袋体1110の凹部1112は、ドアC内側のアームレスト部Caに対応する部位に長円形状の非膨張部1113を形成することにより、形成されている。長円形状の非膨張部1113は、折り合わせたエアバッグ素材を部分的に接合することにより形成されていて、その周囲には膨張部1114が形成されている。
この第9実施形態においては、エアバッグ袋体1110が膨張展開時においてドアC内側のアームレスト部Caを収容可能な凹部1112を有している。このため、エアバッグ袋体1110がドアC内側のアームレスト部Caによって押動されることが抑制されて、エアバッグ袋体1110から乗員Bの胸部Bbに加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、この第9実施形態においても、長円形状の非膨張部1113の周囲に膨張部1114が形成されているため、上記第8実施形態の第1変形実施形態と同様に、エアバッグ袋体1110の膨張展開時における剛性を確保した上で、エアバッグ袋体1110の該当部位に凹部1112を形成することが可能である。
上記した第9実施形態においては、ドアC内側のアームレスト部Caを収容可能な凹部1112をエアバッグ袋体1110に形成して実施したが、図33および図34にて概略的に示した第10実施形態(参考例)のように、ドアC内側のアームレスト部Caを上下方向にて挟むように配置される上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bを採用して実施することも可能である。
上部エアバッグ袋体1210Aは、乗員Bの肩部Baに対応して配置されていて、シートAのシートバックAaに組付けられており、内部にはインフレータ1220Aが組付けられている。下部エアバッグ袋体1210Bは、乗員Bの腰部Bdに対応して配置されていて、シートAのシートバックAaに組付けられており、内部にはインフレータ1220Bが組付けられている。また、この第10実施形態においては、上部エアバッグ袋体1210Aが、膨張展開時に、下部エアバッグ袋体1210Bに比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されている。
各インフレータ1220A,1220Bは、独立していて別個に作動可能であり、この第10実施形態においては、下方のインフレータ1220Bが上方のインフレータ1220Aより先に作動して、下部エアバッグ袋体1210Bを上部エアバッグ袋体1210Aに比して早く膨張展開させるように設定されている。
上記のように構成した第10実施形態においては、車両の側面衝突によりドアCが車室内に侵入する際に、両エアバッグ袋体1210A,1220BがドアC内側のアームレスト部Caにより押動されることは殆どなく、上部エアバッグ袋体1210Aにて主として乗員Bの肩部Baが車室内の車幅方向中央部に向けて押動され、下部エアバッグ袋体1210Bにて主として乗員Bの腰部Bdが車室内の車幅方向中央部に向けて押動される。したがって、車両の側面衝突時等に、乗員Bの胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
また、この第10実施形態においては、上部エアバッグ袋体1210Aが、膨張展開時に、下部エアバッグ袋体1210Bに比して車幅方向の厚みが大きくなるように設定されている。このため、ドアCのアームレスト部Caより上方部位と乗員Bの肩部Ba間の比較的大きな上部空間およびドアCのアームレスト部Caより下方部位と乗員Bの腰部Bd間の比較的小さな下部空間を、上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bにて、的確に埋めることが可能であり、乗員を適切に保護することが可能である。
また、この第10実施形態においては、下部エアバッグ袋体1210Bが上部エアバッグ袋体1210Aに比して早く膨張展開するように設定されている。このため、ドアCのアームレスト部Caより上方部位と乗員Bの肩部Ba間の上部空間に比して小さな空間であるドアCのアームレスト部Caより下方部位と乗員Bの腰部Bd間の下部空間にて、下部エアバッグ袋体1210Bを的確に膨張展開させることが可能である。
また、この第10実施形態においては、上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bに、独立したインフレータ1220A,1220Bがそれぞれ設けられている。このため、各インフレータ1220A,1220Bの作動タイミングを独立して制御することが可能であり、上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bを独立してタイミングよく膨張展開させることが可能である。
上記した第10実施形態においては、ドアC内側のアームレスト部Caを上下方向にて挟むように配置される上部エアバッグ袋体1210Aと下部エアバッグ袋体1210Bを採用して実施したが、図35に示した変形実施形態(本発明(請求項3、4および5に係る発明)の実施形態)のように、エアバッグ袋体1210に上部膨張部1210aと下部膨張部1210bを形成するとともに上部膨張部1210aと下部膨張部1210b間にドアC内側のアームレスト部Caを収容可能な凹部1210cを形成して、上部膨張部1210aと下部膨張部1210bがドアC内側のアームレスト部Caを上下方向にて挟むように配置されるように構成して実施することも可能である。
この変形実施形態の場合には、上方にのみガス噴射孔1221を有するインフレータ1220を採用することで、上記した第10実施形態と同様の作動を期待することが可能である。また、この変形実施形態においては、上部膨張部1210aにおける乗員Bの上腕部Beに対応する部分に非膨張部1213が形成されていて、膨張展開時に、乗員Bの上腕部Beに対応する部分が他の部分に比して車幅方向の厚みが小さくなるように設定されている。
このため、エアバッグ袋体1210の上部膨張部1210aによって乗員Bの上腕部Beが押圧されることが抑制されて、エアバッグ袋体1210の上部膨張部1210aから乗員Bの上腕部Beを介して乗員Bの胸部Bbに加わる荷重を低減することが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの胸部Bbに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
図36および図37は第11実施形態(参考例)を示していて、この第11実施形態においては、エアバッグ袋体1310内にストラップ1315a,1315bが設けられている。上方のストラップ1315aは、図36に示したように、乗員Bの上腕部Beに対応して設けられていて、エアバッグ袋体1310が膨張展開したときに形成される凹部1312aの形状が、乗員Bの上腕部Beに沿った形状となるように、エアバッグ袋体1310の膨張を規制する。下方のストラップ1315bは、図37に示したように、乗員Bの腹部Bcに対応して設けられていて、エアバッグ袋体1310が膨張展開したときに形成される凹部1312bの形状が、乗員Bの腹部Bcに沿った形状となるようにエアバッグ袋体1310の膨張を規制する。
このため、この第11実施形態においては、エアバッグ袋体1310の凹部1312aと乗員Bの上腕部Beとの接触面積を上記各実施形態に比して多くすることが可能であるとともに、エアバッグ袋体1310の凹部1312bと乗員Bの腹部Bcとの接触面積を上記各実施形態に比して多くすることが可能である。したがって、車両の側面衝突時等に乗員Bの上腕部Beと腹部Bcに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
図38は第12実施形態(参考例)を示していて、この第12実施形態においては、エアバッグ袋体1410が立体裁断された二枚のエアバッグ素材の周縁部を気密的に接合することにより袋状に形成されている。このため、エアバッグ袋体1410は、膨張展開時に、ドアC側がドアC内面に実質的に沿った外形形状となり、乗員B側が乗員Bの側面に実質的に沿った外形形状となる。
また、エアバッグ袋体1410は、膨張展開時に、ドアC内側とこれに対向する乗員Bの側部の空間を埋める膨張部1414を備えている。したがって、この第12実施形態においては、エアバッグ袋体1410と乗員Bの実質的な接触面積を大きくすることが可能であり、車両の側面衝突時等に乗員Bの側部すなわち肩部Ba、胸部Bb、腹部Bcおよび腰部Bdに大きな荷重が局部的に加わるのを抑制することが可能である。
員保護装置の第1実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図1のS1−S1線に沿った断面図である。 図1に示したエアバッグ袋体の折り畳み方を示す説明図である。 第1実施形態の第1変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図4のS2−S2線に沿った断面図である。 第1実施形態の第2変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図6のS3−S3線に沿った断面図である。 第1実施形態の第3変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図8のS4−S4線に沿った断面図である。 第1実施形態の第4変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図10のS5−S5線に沿った断面図である。 第1実施形態の第5変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図12のS6−S6線に沿った断面図である。 第1実施形態の第6変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図14のS7−S7線に沿った断面図である。 員保護装置の第2実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 員保護装置の第3実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図17のS8−S8線に沿った断面図である。 第3実施形態の変形実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 員保護装置の第4実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 員保護装置の第5実施形態(参考例)を概略的に示す要部横断平面図である。 員保護装置の第6実施形態(参考例)を概略的に示す要部縦断側面図である。 員保護装置の第7実施形態(参考例)を概略的に示す要部横断平面図である。 員保護装置の第8実施形態(本発明(請求項2および5に係る発明)の実施形態)を概略的に示す側面図である。 図24のS11−S11線に沿った縦断断面図である。 第8実施形態の第1変形実施形態(本発明(請求項1および5に係る発明)の実施形態)を概略的に示す側面図である。 図26のS12−S12線に沿った縦断断面図である。 図26のS13−S13線に沿った横断断面図である。 第8実施形態の第2変形実施形態(本発明(請求項3および5に係る発明)の実施形態)を概略的に示す側面図である。 図29のS14−S14線に沿った縦断断面図である。 員保護装置の第9実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図31のS15−S15線に沿った縦断断面図である。 員保護装置の第10実施形態(参考例)を概略的に示す側面図である。 図33のS16−S16線に沿った縦断断面図である。 第10実施形態の変形実施形態(本発明(請求項3、4および5に係る発明)の実施形態)を概略的に示す側面図である。 員保護装置の第11実施形態(参考例)を概略的に示す縦断正面図である。 図36のS17−S17線に沿った横断断面図である。 員保護装置の第12実施形態(参考例)を概略的に示す縦断正面図である。
110…エアバッグ袋体、117…非膨張部(厚みの薄い領域)、120…インフレータ、B…乗員、Ba…肩部、Bd…腰部、Be…上腕部、Aa…シートバック、C…ドア、Ca…アームレスト部、1010…エアバッグ袋体、1012…凹部、1210…エアバッグ袋体、1210a…上部膨張部、1210b…下部膨張部、1210c…凹部

Claims (5)

  1. インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における車両側面視で乗員の胸部と重なり車両の前方斜め下方に向けて伸びている乗員の上腕部に対応する部位に、乗員の肩部に対応する前記エアバッグ袋体の上部および乗員の腰部に対応する前記エアバッグ袋体の下部の膨張展開時における車幅方向の厚みに比して、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が車両側面視で重なるように形成されていて、この領域は前記上腕部が伸びる方向に沿った長円形状に形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
  2. インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体は、膨張展開した状態にてドア内側に対向する乗員側部の車幅方向に突出する車両側面視で乗員の胸部と重なり車両の前方斜め下方に向けて伸びている乗員の上腕部を収容可能な凹部を有していて、この凹部は、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における前記上腕部に対応する部位にて、前記エアバッグ袋体の前端から後方に切り欠いた形状であることを特徴とする乗員保護装置。
  3. インフレータから供給されるガスにより乗員の側方にて膨張展開して乗員の肩部から腰部を保護するエアバッグ袋体がシートバックと略同一の上下方向寸法を有している乗員保護装置であって、前記エアバッグ袋体の膨張展開時における車両側面視で乗員の胸部と重なり車両の前方斜め下方に向けて伸びている乗員の上腕部に対応する部位に、乗員の肩部に対応する前記エアバッグ袋体の上部および乗員の腰部に対応する前記エアバッグ袋体の下部の膨張展開時における車幅方向の厚みに比して、膨張展開時における車幅方向の厚みが薄い領域が車両側面視で重なるように形成されていて、この領域は前記上腕部に対応する部位からエアバッグ袋体の前端にまで延びる形状に形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
  4. 請求項3に記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体が膨張展開時においてドア内側のアームレスト部を収容可能な凹部を有していて、この凹部は、前記エアバッグ袋体の上部に形成した上部膨張部と、前記エアバッグ袋体の下部に形成した下部膨張部との間に形成されていて、前記上部膨張部と前記下部膨張部が前記アームレスト部を上下方向にて挟むように配置されていることを特徴とする乗員保護装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載した乗員保護装置において、前記エアバッグ袋体の下部には、乗員の大腿部側方にて膨張展開する膨張部が形成されていることを特徴とする乗員保護装置。
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