JP4746729B2 - ウレタン−アクリル水分散体とその水蒸気透湿性シ―ト類 - Google Patents

ウレタン−アクリル水分散体とその水蒸気透湿性シ―ト類 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタン−アクリル水分散体と、そのフイルム成形体からなる水蒸気透湿性シ―ト類(シ―ト、テ―プなど)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、絆創膏などに代表される医療用テ―プやシ―トなどでは、むれを防ぐために、水蒸気透湿性を上げる検討がなされている。たとえば、汎用的には、シ―トに穴をあけたり、不織布を使用するなどの検討がなされている。その他、ポリウレタン製のテ―プやシ―トを使用する試みもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記汎用法では、水蒸気のみならず、水分を通す問題があり、さらに強度に劣るという問題もあつた。また、ポリウレタン製のものでは、透湿性が十分でなく、しかも応力緩和性に劣るため、絆創膏などの医療用としては、その特性が不十分で、実用性に乏しいものであつた。
【0004】
本発明は、このような事情に照らして、水蒸気のみを通して水分は通さない、いわゆる水蒸気透湿性シ―ト類であつて、その機械的強度が強く、しかも応力緩和性にすぐれるものを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、ウレタン成分とアクリル成分とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリルポリマ―の水分散体を使用すると、これをフイルム成形したものが水蒸気のみを通して水分は通さない水蒸気透湿性シ―ト類として良好に機能し、ウレタン成分とアクリル成分との量や組成などを適宜調整することにより、機械的強度が強く、しかも応力緩和性にすぐれたものとなり、絆創膏などの医療用のテ―プなどに好適に利用できることを知り、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタンからなるウレタン成分と、アクリルモノマーを重合させて得られるアクリル成分とから構成されて、かつウレタン成分10〜90重量%とアクリル成分90〜10重量%とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリルポリマーの水分散体を調製し、このウレタン−アクリル水分散体を剥離性基材上に塗布し、乾燥して、厚さが10〜200μmのフイルム成形体からなる水蒸気透湿性シートを製造する方法であって、上記のウレタン−アクリル水分散体の調製に際し、下記の(a),(b)

(a)ポリオールとポリイソシアネートとからウレタンプレポリマーを生成する際に、ポリオールの一部を、アクリルモノマーを原料としたアクリルポリオールと置換することにより、アクリル成分をあらかじめ導入したウレタンプレポリマーを生成し、これに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマーの主鎖延長を行う方法

(b)上記(a)の方法において、プレポリマーの主鎖延長を行ったのち、再度アクリルモノマーを加えて重合する方法

のうちのいずれかの方法を用いることを特徴とする水蒸気透湿性シートの製造方法に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるウレタン−アクリル水分散体は、ポリオ―ルとポリイソシアネ―トとを反応させて得られるポリウレタンからなるウレタン成分と、アクリルモノマ―を重合させて得られるアクリル成分とから構成されて、その分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリルポリマ―が水中に均一にかつ安定に分散された水分散体を指すものである。
【0008】
このようなウレタン−アクリル水分散体は、種々の方法で調製できるが、その中でも、乳化剤を用いる必要のない方法として、▲1▼ポリオ―ルとポリイソシアネ―トとからウレタンプレポリマ―を生成し、これにアクリルモノマ―を加え、上記プレポリマ―に含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマ―の主鎖延長とアクリルモノマ―の重合を行う方法、▲2▼上記と同様にウレタンプレポリマ―を生成し、これに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマ―の主鎖延長を行つたのち、アクリルモノマ―を加えて重合を行う方法、▲3▼上記と同様にウレタンプレポリマ―を生成する際に、ポリオ―ルの一部を、アクリルモノマ―を原料としたアクリルポリオ―ルと置換することにより、アクリル成分をあらかじめ導入したウレタンプレポリマ―を生成し、これに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマ―の主鎖延長を行う方法により、容易に調製することができる。
【0009】
上記▲1▼,▲2▼の方法において、ウレタン成分の原料であるポリオ―ルとしては、1分子中に少なくとも2個またはそれ以上の水酸基を有する低分子ポリオ―ルや高分子ポリオ―ルが用いられる。低分子ポリオ―ルには、エチレングリコ―ル、ジエチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ヘキサメチレングリコ―ルなどの2価のアルコ―ル、トリメチロ―ルプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト―ルなどの3価アルコ―ルなどがある。高分子ポリオ―ルには、ポリエチレングリコ―ル、ポリプロピレングリコ―ル、ポリテトラメチレングリコ―ルなどのポリエ―テルポリオ―ル、前記2価のアルコ―ル、ジプロピレングリコ―ル、1,4−ブタンジオ―ル、1,6−ヘキサンジオ―ル、ネオペンチルグリコ―ルなどのアルコ―ルとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物であるポリエステルポリオ―ル、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオ―ル、ポリカ―ボネ―トジオ―ル、アミン変性エポキシ樹脂のようなエポキシポリオ―ルなどがある。
【0010】
ウレタン成分の他の原料であるポリイソシアネ―トとしては、芳香族、脂肪族、脂環族のポリイソシアネ―トが用いられる。その中でも、ポリオ―ルとの速やかな反応および水との反応抑制の観点から、イソホロンジイソシアネ―ト、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネ―ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―トが好ましい。ポリイソシアネ―トは、上記のようなジイソシアネ―トに限らず、トリないしそれ以上のイソシアネ―トであつてもよい。ポリイソシアネ―トの使用量は、ポリオ―ルに対して、NCO/OH(当量比)が1.1〜3.0となる割合とするのがよい。少なすぎるとウレタンの凝集性が低くなり、また多すぎるとウレタンの物性に柔軟性がなくなり、機械的強度と応力保持性の調整に好結果を得にくい。
【0011】
ポリオ―ルとポリイソシアネ―トを反応させて、ウレタンプレポリマ―を生成するにあたり、このプレポリマ―の分子内にカルボキシル基を含ませて、その中和による水分散化を可能とするため、ポリオ―ルの一部として、カルボキシル基含有ポリオ―ルが用いられる。具体的には、2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸、2,2−ジメチロ―ル酢酸、2,2−ジメチロ―ル酪酸などがあり、とくに2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸が好ましい。これらは、反応を速やかに進行させるため、N−メチルピロリドンのような溶媒を少量使用し、これに溶解して添加するのがよい。また、上記反応に際しては、ポリイソシアネ―トと水との反応を抑えるため、乾燥空気や窒素などで置換したり、各原料を脱水操作しておくのがよい。反応触媒として、ジブチルすずジラウレ―ト、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどを用いてもよい。
【0012】
上記▲1▼の方法では、このように生成したウレタンプレポリマ―に対し、まず、アクリルモノマ―を加え、ついで、上記プレポリマ―に含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマ―の主鎖延長とアクリルモノマ―の重合を同時にまたは連続的に行うものである。また、上記▲2▼の方法では、上記のように生成したウレタンプレポリマ―を、まず、これに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマ―の主鎖延長を行つたのち、これにアクリルモノマ―を加えて、その重合を行うものである。
【0013】
アクリル成分の原料となるアクリルモノマ―には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。その他、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレ―トなどの水酸基含有(メタ)アクリレ―ト、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなども使用できる。また、スチレン、酢酸ビニル、マレイン酸、イタコン酸などの他のモノマ―を併用してもよく、これら他のモノマ―を共重合させてなるものも、本発明にいうアクリル成分に含まれる。
【0014】
ウレタンプレポリマ―に含ませたカルボキシル基を中和するには、塩基として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミンなどが用いられる。この中和後、水に分散させるには、中和物を水中に加えてもよいし、中和物の中に水を加えるようにしてもよい。その際、撹拌しながら分散させるのが好ましく、通常の撹拌機による撹拌のほか、ホモミキサやホモジナイザなどを使用して攪拌してもよい。ウレタンプレポリマ―の主鎖延長に際しては、ポリアミンを添加して行うのが望ましい。ポリアミンの添加量としては、残存NCO当量に対して1当量になるようにするのがよい。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが用いられる。
【0015】
また、アクリルモノマ―の重合に際しては、重合開始剤を添加して、所定温度に加熱して行うことができる。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕などのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物などが用いられる。重合開始剤は、油溶性でも水溶性でもよく、粉末状のものは水または少量の有機溶剤に溶かして使用される。重合開始剤の使用量としては、アクリルモノマ―100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部とするのがよい。
【0016】
上記▲3▼の方法では、ポリオ―ルとポリイソシアネ―トを上記と同様に反応させてウレタンプレポリマ―を生成する際に、ポリオ―ルの一部を、アクリルモノマ―を原料としたアクリルポリオ―ルと置換して、アクリル成分をあらかじめ導入したウレタンプレポリマ―を生成し、これに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマ―の主鎖延長を行うものであり、上記の中和、水分散および主鎖延長については、前記と同様にして行うことができる。
【0017】
アクリルポリオ―ルは、アクリルモノマ―として前記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに前記した水酸基含有(メタ)アクリレ―トとさらに(メタ)アクリル酸やマレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有モノマ―を加えたモノマ―混合物を、2−メルカプトエタノ―ル、1−メルカプト−2−プロパノ―ル、3−メルカプト−1−プロパノ―ル、p−メルカプトフエノ―ルなどの水酸基含有連鎖移動剤の存在下、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤や過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系開始剤を用いて共重合させて得られるものが、とくに好ましく用いられる。また、このようなアクリルポリオ―ルは、高分子ポリオ―ルなどの存在下で上記共重合を行わせて得られるものが、さらに好ましい。これは、高分子ポリオ―ルなどとアクリルポリオ―ルとの相溶性に好結果が得られるためである。
【0018】
このようにして得られるアクリルポリオ―ルは、分子内に水酸基含有(メタ)アクリレ―トおよび水酸基含有連鎖移動剤に由来する水酸基を有し、この水酸基がポリイソシアネ―トとの反応に関与し、また分子内にカルボキシル基含有モノマ―に由来するカルボキシル基を有し、このカルボキシル基が上記反応で生成するウレタンプレポリマ―の分子内に導入される。このため、上記▲3▼の方法では、ポリイソシアネ―トとの反応に際し、前記した2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸などのカルボキシル基含有ポリオ―ルを使用する必要はとくにない。
【0019】
本発明においては、上記▲1▼〜▲3▼の方法のほか、これらを適宜組み合わせることにより、ウレタン−アクリル水分散体をさらに容易に調製することができる。たとえば、▲4▼上記▲1▼の方法において、プレポリマ―の主鎖延長とアクリルモノマ―の重合を行つたのち、再度アクリルモノマ―を加えて重合する方法、▲5▼上記▲3▼の方法において、プレポリマ―の主鎖延長を行つたのち、再度アクリルモノマ―を加えて重合する方法などが挙げられる。なお、これらの方法において、再度加えるモノマ―としては、上述のアクリルモノマ―以外に、スチレン、酢酸ビニルなどの他のモノマ―をこれら単独で使用してもよく、もちろん、これら他のモノマ―とアクリルモノマ―とを併用してもよい。
【0020】
本発明において、このような種々の方法で調製されるウレタン−アクリル水分散体は、ウレタン成分の原料であるポリオ―ルおよびポリイソシアネ―トの使用量と、アクリル成分の原料であるアクリルモノマ―の使用量を調整することにより、ウレタン成分が10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%で、アクリル成分が90〜10重量%、好ましくは80〜20重量%、より好ましくは70〜30重量%となるように設定される。ここで、ウレタン成分が10重量%未満となり、アクリル成分が90重量%を超えると、水分散体の安定性に劣るようになり、また、ウレタン成分が90重量%を超え、アクリル成分が10重量%未満となると、フイルム成形体の機械的強度や応力緩和性などの特性に劣りやすくなる。
【0021】
また、本発明において、このようなウレタン−アクリル水分散体は、そのフイルム化物(厚さ:50μm)の引張試験(断面積:約2mm2 、長さ:10mm、引張速度:300mm/分)による引張弾性率が0.5Kg/mm2 以上、好ましくは1Kg/mm2 以上、より好ましくは3Kg/mm2 以上(通常30Kg/mm2 以下、好ましくは20Kg/mm2 以下)であり、また上記フイルム化物を50%伸張させたときの1分後の応力残存率が50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下(通常15%以上)であり、さらに水蒸気透湿度が500g/m2・24時間以上、好ましくは600g/m2・24時間以上、より好ましくは700g/m2・24時間以上であることを大きな特徴としている。
【0022】
このような引張弾性率、応力残存率および水蒸気透湿度を有していることにより、そのフイルム成形体が絆創膏などの医療用のテ―プなどとして望まれるすぐれた機械的強度、応力緩和性および水蒸気透湿性を備えたものとなる。これに対して、上記の各物性が前記範囲外になると、上記いずれかの特性が損なわれるようになる。なお、上記の各物性を前記範囲内とするためには、前記した水分散体の調製方法において、ウレタン成分とアクリル成分の割合とともに、上記両成分を構成する原料組成を選択する、とくにアクリル成分の原料であるアクリルモノマ―組成を適宜選択するなどの方法がとられる。
【0023】
本発明において、このようなウレタン−アクリル水分散体は、固形分濃度が通常25〜60重量%となるように調製されるが、この水分散体をフイルム成形体用の材料としてそのまま使用してもよいし、必要によりポリビニルアルコ―ルやその他の分散性改良剤、増粘剤などを添加して使用してもよく、さらに老化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤を添加して使用してもよい。
【0024】
このようなウレタン−アクリル水分散体は、これを剥離性基材上に塗布し、乾燥するなどして、厚さが通常10〜200μmとなるフイルム成形体とすることができる。このフイルム成形体は、水蒸気のみを通して水分は通さない、いわゆる水蒸気透湿性シ―ト類として使用でき、既述したように、その機械的強度が強く、しかも応力緩和性にすぐれていることから、絆創膏などの医療用テ―プや、その他各種用途に幅広く利用することができる。
【0025】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。本発明は以下の実施例にのみ限定されない。以下、部とあるのは重量部を意味する。

なお、以下に記載の「実施例1〜3」のうち、「実施例2,3」が本発明の特許請求の範囲に含まれる水蒸気透湿性シートの製造方法の例を示したものであり、「実施例1」は本発明の特許請求の範囲には含まれない、参考例としての水蒸気透湿性シートの製造方法の例を示したものである。
【0026】
実施例1
還流冷却管、ガス導入管(兼脱気用管)、撹拌機、温度計を備えたフラスコに、ジエチレングリコ―ルアジピン酸エステル(数平均分子量2,500、水酸基価43.6)100部を投入し、100℃で加熱脱気して水分をとり除いた。常圧に戻し、これに4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト53.71部、ヒドロキシエチルアクリレ―ト0.86部、ジメチロ―ルプロピオン酸15部を乾燥したN−メチルピロリドン37.5部に溶解して加えた。これにジブチルすずジラウレ―ト0.08部を加え、65℃で4時間反応させて、分子内にカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマ―を得た。
【0027】
このプレポリマ―を30℃まで冷却し、これにアクリル酸ブチル96.14部およびメタクリル酸メチル96.14部を加え、よく撹拌したのち、トリエチルアミン22.63部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水576.7部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン3.15部を蒸留水28.35部で希釈して加え、1時間撹拌した。1時間窒素置換後、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.08部をメタノ―ル1部に溶解しかつ蒸留水1部で希釈して加えた。これを60℃に加熱して5時間反応させ、さらに70℃加熱して2時間反応させた。このように主鎖延長および重合を行い、ウレタン成分50重量%とアクリル成分50重量%とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0028】
実施例2
ポリプロピレングリコ―ル(数平均分子量3,000、水酸基価37.1)50部の存在下、アクリル酸ブチル45部およびアクリル酸5部を、水酸基含有連鎖移動剤として2−メルカプトエタノ―ル1部、重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を用いて、窒素気流下、50℃で6時間重合反応を行い、粘稠液体を得た。この粘稠液体は、上記のポリプロピレングリコ―ルと生成した分子内にカルボキシル基を含有するアクリルポリオ―ルとの混合物からなるものであつた。
【0029】
この粘稠液体を100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した。これにイソホロンジイソシアネ―ト10.2部を加え、さらにジブチルチンジラウレ―ト0.03部を加え、65℃で3時間反応させて、分子内にカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマ―を得た。このウレタンプレポリマ―にトリエチルアミン7.02部を加えて、カルボキシル基を中和した。この中和物に撹拌しながら水276.08部を加え、水に分散させた。これにエチレンジアミン1.39部を水12.5部で希釈して加え、65℃で3時間反応させた。
【0030】
このように主鎖延長を行い、ウレタン−アクリル核ポリマ―粒子を含有する水分散物を得た。この水分散物に、さらに水116.7部を加え、均一に撹拌後、アクリル酸ブチル10部およびメタクリル酸メチル40部を加えて、窒素気流中で1時間撹拌して、上記モノマ―混合物を水分散しているウレタン−アクリル核ポリマ―粒子に吸収させた。ついで、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.02部を加え、重合反応を開始し、60℃で5時間保持し、さらに70℃に昇温して2時間保持した。この重合反応によつて、ウレタン成分36重量%とアクリル成分64重量%とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0031】
実施例3
実施例2と同様にして、ウレタンプレポリマ―を主鎖延長して得たウレタン−アクリル核ポリマ―粒子を含有する水分散物を使用し、この水分散物に、さらに水116.7部を加え、均一に撹拌後、アクリル酸ブチル10部、アクリル酸エチル10部およびメタクリル酸メチル30部を加えて、窒素気流中で1時間撹拌して、上記モノマ―混合物を水分散しているウレタン−アクリル核ポリマ―粒子に吸収させた。ついで、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.02部を加え、重合反応を開始し、60℃で5時間保持し、さらに70℃に昇温して2時間保持した。この重合反応によつて、ウレタン成分36重量%とアクリル成分64重量%とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0032】
上記の実施例1〜3の各ウレタン−アクリル水分散体を、離型処理したポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に塗布し、乾燥機中120℃で5分間乾燥し、厚さが50μmのフイルム化物を作製した。このフイルム化物を用いて、下記の方法で、引張弾性率、応力残存率および水蒸気透湿度を測定した。これらの測定結果は、表1に示されるとおりであつた。なお、表1には、比較例1として、市販の医療用ドレツシングポリウレタンフイルム(厚み50μm)について、上記と同様に測定した結果を併記した。
【0033】
<引張弾性率の測定>
フイルム化物を断面積約2mm2 となるようにサンプリングし、引張試験機として、オ―トグラフAGS−50D型(島津製作所製)を用い、試験サンプルの長さを10mmとし、300mm/分の引張速度で引張試験を行い、そのときの応力−歪み曲線における最初の直線部分の応力−歪みを読み取り、下記の式にしたがつて、引張弾性率を算出した。
Figure 0004746729
F:引張り応力
A:断面積
ΔL:歪み量
Lo :サンプルの初期長さ
【0034】
<応力残存率の測定>
上記と同じサンプルで、かつ同じ引張試験機を用いて、300mm/分の引張速度で引張り、50%伸張時点(5mm)で引張試験機を止め、その後の応力の変化を読み取り、下記の式に示すように、50%伸張時点の応力に対して、1分後の応力を、応力残存率とした。
Figure 0004746729
【0035】
<水蒸気透湿度の測定>
口径40mmのガラス容器に精製水20mlを入れ、容器上部をサンプルフイルム化物で覆い、ガラス容器の側面に粘着テ―プを巻いてガラス容器とフイルム化物を密着シ―ルした。これを40℃,30%RHの条件下で24時間保存し、保存前後の精製水の重量差から水蒸発量を求めた。この量から、フイルム化物1m2あたりの水蒸気透湿度(水蒸気透湿量)(g/m2・24時間)を算出した。
【0036】
Figure 0004746729
【0037】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜3の各ウレタン−アクリル水分散体は、そのフイルム化物の引張弾性率が0.5Kg/mm2 以上、50%伸張させたときの1分後の応力残存率が50%以下で、水蒸気透湿度が500g/m2・24時間以上であり、市販フイルムに比べて、機械的強度が強く、応力緩和性にすぐれ、水蒸気透湿度も満足できるものであることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、ウレタン成分とアクリル成分とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリルポリマ―の水分散体からなるウレタン−アクリル水分散体をフイルム成形材料としたことにより、絆創膏などの医療用テ―プなどに有用な水蒸気透湿性シ―ト類として、水蒸気透湿性に加えて、機械的強度が強く、かつ応力緩和性にすぐれるものを提供できる。

Claims (1)

  1. ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタンからなるウレタン成分と、アクリルモノマーを重合させて得られるアクリル成分とから構成されて、かつウレタン成分10〜90重量%とアクリル成分90〜10重量%とからなる分子内に中和されたカルボキシル基を有するウレタン−アクリルポリマーの水分散体を調製し、このウレタン−アクリル水分散体を剥離性基材上に塗布し、乾燥して、厚さが10〜200μmのフィルム成形体からなる水蒸気透湿性シートを製造する方法であって、上記のウレタン−アクリル水分散体の調製に際し、下記の(a),(b)

    (a)ポリオールとポリイソシアネートとからウレタンプレポリマーを生成する際に、ポリオールの一部を、アクリルモノマーを原料としたアクリルポリオールと置換することにより、アクリル成分をあらかじめ導入したウレタンプレポリマーを生成し、これに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、上記プレポリマーの主鎖延長を行う方法

    (b)上記(a)の方法において、プレポリマーの主鎖延長を行ったのち、再度アクリルモノマーを加えて重合する方法

    のうちのいずれかの方法を用いることを特徴とする水蒸気透湿性シートの製造方法。
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