JP4381090B2 - ウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法 - Google Patents

ウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム形成材や、塗料、接着剤、粘着剤などに利用できるウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法に関するものである。
ポリウレタンは、ポリオールの種類やイソシアネートの種類などで物性を大きく変化できるため、フィルム形成材や塗料、接着剤、粘着剤などに工業的に広く利用されている。また、アクリル系ポリマーも耐候性や耐熱性にすぐれるため、広く応用されているが、熱可塑性ポリマーのため、感温性に劣ることも認められている。この両者の特徴を活かす工夫が従来より行われており、アクリルポリオールによるポリウレタンも耐候性にすぐれたポリウレタンとしてシーリング材などに実用化されている。
また、近年では、環境対策面から、製造工程で有機溶剤を用いずにポリウレタンを合成することがよく行われており、たとえば特開平10−53709号公報には、水分散型のポリウレタンを合成する方法が開示されている。しかし、この方法では、水分散体中でのウレタンの主鎖延長が十分に行われにくく、ポリマー物性的に限度がある。一方、高分子量のポリウレタンを水に分散させるには、環境対策上望ましくない有機溶剤を用いたり、乳化剤を用いる必要があり、耐水性などに悪影響を与えやすい。

また、アクリル系ポリマーは、乳化重合が容易であることが知られているが、乳化重合時に使用する乳化剤のため、物性面や耐水性に悪影響を与えるおそれがある。この耐水性や物性面を解決するために、米国特許第5,173,526号明細書には、アクリルとウレタンをハイブリッド化する試みが行われている。
本件出願人も、ウレタン−アクリル水分散体に関し、乳化剤を用いないで、ウレタンの水分散体をシードとしてアクリル系モノマーを重合させるシード重合法を提案しており、これより得られるウレタン−アクリル水分散体を粘着剤(特許文献1,2参照)やフィルム(特許文献3参照)に利用することを提案している。
特開2000−154364号公報(第2〜5頁) 特開2000−154366号公報(第2〜5頁) 特開2000−230115号公報(第2〜7頁)
しかし、上記提案のシード重合でも、目標とする特性が十分に得られない場合があり、そのため、シードとなるウレタンの水分散体の組成や、添加するアクリル系モノマーの組成や量を変える工夫が種々なされているが、それらの組み合わせが多すぎて、物性面の調整が煩雑になるという課題も認められている。

本発明は、このような事情に照らし、乳化剤を用いることなく水に安定に分散された、皮膜化ないしフィルム化したときの造膜性が良好で、耐水性にすぐれ、目標物性の調整が容易である、フィルム形成材や塗料、接着剤または粘着剤に利用できるウレタンーアクリル粒子内混合物水分散体の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の目的に対して、鋭意検討した結果、乳化剤を用いずに調製できるウレタンの水分散体をシードとして、アクリル系モノマーのシード重合を行い、その後、得られたウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体をシードとして、再度アクリル系モノマーのシード重合を行うことにより、またこのようなシード重合をさらに1回ないし2回以上繰り返すことにより、造膜性や耐水性にすぐれるとともに、前記提案のような1回のシード重合を行う方法に比べて、目標物性の調整が容易であるウレタンーアクリル粒子内混合物水分散体が得られることを知り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、乳化剤を用いずに調製したウレタンの水分散体をシードとして、そのシードポリマー100重量部に対して、アクリル系モノマー(A1)を50〜800重量部加えて、乳化剤を加えないでシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1)を得、つぎに、この水分散体(B1)をシードとして、そのシードポリマー100重量部に対して、アクリル系モノマー(A2)を50〜800重量部加えて、乳化剤を加えないでシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2)を得ることを特徴とするフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法に係るものである。

また、本発明は、ウレタンーアクリル粒子内混合物の水分散体(B2)を得たのち、さらにこの水分散体(B2)をシードとして、そのシードポリマー100重量部に対して、アクリル系モノマー(A3)を50〜800部加えて、乳化剤を加えないでシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B3)を得る上記構成のフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法を提供できるものである。さらに、本発明は、上記のシード重合操作をさらに2回以上繰り返すことからなるフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法を提供できるものである。
また、本発明は、上記のウレタンの水分散体が、分子量1,000〜4,000のポリオールとカルボキシル基含有ポリオールとの混合物に水酸基の全量に対し1.5〜4倍当量のポリイソシアネートを反応させ、さらにカルボキシル基を中和させたイソシアネート化合物を水に分散させ、その後イソシアネート基を反応させた水分散体である上記構成のフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法を提供できるものである。

とくに、上記のポリオールとカルボキシル基含有ポリオールとの混合物が、分子量1,000〜4,000で、水酸基を0.0005〜0.003当量/g有するポリオール20〜80重量%と、分子量3,000〜20,000で、カルボキシル基を0.0007〜0.003当量/g有し、水酸基を0.00005〜0.0007当量/g有するアクリルポリオール80〜20重量%との混合物である上記構成のフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法を提供できるものである。

なお、本明細書において、上記したポリオールやアクリルポリオールなどの分子量は、とくに断らない限り、数平均分子量を意味するものとする。
このように、本発明のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法によれば、有機溶剤などを使用しないため、環境面での効果が大きく、また乳化剤を用いないため、耐水性が良好であり、しかもウレタンの水分散体を最初のシードとしてアクリル系モノマーのシード重合を少なくとも2回繰り返すことにより、目標とする特性の調整が容易で、たとえば後記の実施例に示すように、弾性率のコントロールや、伸び、透湿性などの物性の改善ないし調整を容易に行えるといった種々の効果が奏される。
本発明において、ウレタンの水分散体とは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物であって、分子骨格中にカルボキシル基を有するポリウレタンが、乳化剤を使用することなく水に分散されてなるものである。通常は、分子量1,000〜4,000のポリオールとカルボキシル基含有ポリオールとの混合物に水酸基の全量に対し1.5〜4倍当量のポリイソシアネートを反応させ、さらにカルボキシル基を中和させたイソシアネート化合物を水に分散させ、その後イソシアネート基を反応させてなる水分散体が用いられる。このような水分散体としては、乳化剤を用いていない市販品をそのままあるいは希釈して使用してもよいし、上記の方法で合成したものを使用してもよい。
ウレタンの水分散体の合成において、ポリオールは、1分子中に少なくとも水酸基を2つもしくはそれ以上有するものであり、たとえば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールやこれらの混合物が挙げられる。

これらのポリオールの分子量は1,000〜4,000であるのがよい。分子量が小さすぎるとウレタンのハードセグメントが多くなり、アクリルとの相溶性が悪くなり、また分子量が大きすぎると水への分散性に劣りやすい。また、これらのポリオールの水酸基は0.0005〜0.003当量/gであるのが望ましい。
上記のポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価のアルコールや、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどの低分子ポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを付加重合させてなるものが用いられる。

また、上記のポリエステルポリールとしては、上記のような2価のアルコールや、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物からなるポリオールが用いられる。
また、カルボキシル基含有ポリオールは、ポリウレタンにカルボキシル基を導入するためのものであり、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などの低分子量ポリオールのほか、高分子量ポリオールとしてカルボキシル基を有するアクリルポリオールが用いられる。これらのポリオールを、必要により併用してもよい。

上記のカルボキシル基を有するアクリルポリオールとしては、分子量が3,000〜20,000で、カルボキシル基を0.0007〜0.003当量/g有し、水酸基を0.00005〜0.0007当量/g有しているのが望ましい。
このようなアクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カルボキシル基を有する単量体と、必要に応じて水酸基を有する単量体とを含む単量体混合物を、水酸基を有する連鎖移動剤の存在下、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブロニトリルなどのアゾ系開始剤や、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤を用いて、通常の重合反応を行わせることにより、得ることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどが用いられる。

また、カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などが用いられる。さらに、水酸基を有する単量体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが用いられる。また、水酸基を有する連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、p−メルカプトフェノールなどが用いられる。
上記の重合反応において、水酸基を有する連鎖移動剤の量を調整して、分子量を3,000〜20,000の範囲に設定する。分子量が小さすぎると弾性率が高くなりすぎ、物性面での適用範囲が狭くなり、また大きすぎると水への分散性に劣るようになる。また、カルボキシル基を有する単量体の量を調整して、カルボキシル基を0.0007〜0.003当量/gに設定する。カルボキシル基の量が少なすぎると水への分散性が劣り、多すぎても水を吸収するだけで分散しないため、好ましくない。
また、水酸基を有する連鎖移動剤の使用により重合体の分子末端に水酸基を導入でき、さらに必要により水酸基を有する単量体を共重合させることにより、重合体の分子内にも水酸基を導入できる。このように導入される水酸基は、ポリイソシアネートとの反応に関与させるため、0.00005〜0.0007当量/gに設定する。水酸基の量が少なすぎると上記反応に関与させにくく、重合体が相分離して、得られる材料の物性が安定しなくなり、また多すぎると材料自体が硬くなりすぎる。
ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどの分子量1,000〜4,000のポリオールと、カルボキシル基含有ポリオールとの混合物において、両ポリオールの使用割合は、カルボキシル基含有ポリオールの種類に応じて、適宜設定される。

カルボキシル基含有ポリオールとして、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などの低分子量ポリオールを使用する場合は、この低分子量ポリオールが全ポリオール中20重量%以下となる割合とするのが望ましい。
また、カルボキシル基含有ポリオールとして、前記の重合反応により得られるカルボキシル基を有するアクリルポリオールを使用する場合は、このアクリルポリオールが全ポリオール中80〜20重量%となる割合とするのが望ましい。すなわち、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオール20〜80重量%に対して、上記のアクリルポリオールが80〜20重量%となるようにするのが望ましい。
カルボキシル基を有するアクリルポリオールを得るための前記の重合反応を、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどの存在下で行うと、生成するアクリルポリオールの一部がポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールにグラフトし、両ポリオールの相溶性が良好になり、また重合反応が穏やかになるため、好ましい。その際、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが20重量%未満となると、上記効果が得られにくく、80重量%を超えると水分散物の安定性が悪くなる。
このようなポリオール混合物に反応させるためのポリイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環族のポリイソシアネートが挙げられる。ポリオ−ル混合物との速やかな反応や、水との反応の抑制の観点からは、好ましくは、イソホロンジイソシアネート、シクロへキサン1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジシクロへキシルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネートや、へキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートが用いられる。なお、イソシアネート基と水酸基との反応にあたり、触媒として、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどを用いることができる。
ポリイソシアネートの使用量は、ポリオール混合物の水酸基の全量に対して、1.5〜4倍当量となる割合、つまり、当量比(NCO/OH比)が1.5〜4.0となる割合、とくに好ましくは2.0〜3.0となる割合とするのがよい。当量比(NCO/OH比)が1.5未満となると、水分散物の分散安定性が悪くなり、また上記当量比が3.0を超えると、後で添加するアクリル系モノマー(A1)のシード重合反応が不安定になり、いずれも好ましくない。
このようにポリオール混合物とポリイソシアネートとを反応させ、さらにカルボキシル基を中和させてなるイソシアネート化合物を水に分散させる。カルボキシル基を中和するアルカリには、トリエチルアミンやアンモニアなどが用いられる。

イソシアネート化反応とカルボキシル基の中和反応とは、必要によりその順番を逆にしてもよい。また、イソシアネート化合物を水に分散させるにあたり、イソシアネート化合物に水を加えてもよいし、水にイソシアネート化合物を加えてもよい。この際、当然ではあるが、均一になるように攪拌を行うのが望ましい。
この水分散後、イソシアネート化合物に残存するイソシアネート基を反応させてウレタンの水分散体を調製する。つまり、上記イソシアネート基を用いて主鎖延長を行い、高分子量化することにより、ポリウレタンが水に安定に分散された水分散体を調製する。上記主鎖延長のために、ジアミン化合物を用いてイソシアネート基同士を結合させ、高分子量化すればよい。ジアミン化合物は、原料であるポリイソシアネートの使用量を勘案して、フリー(遊離)のイソシアネート基を反応させうる当量が用いられる。また、加熱によりイソシアネート基の水による自己縮合反応を利用してもよい。
なお、上記の水分散時にさらにアクリル系モノマーを加えることにより、分散系の粘度を下げて水に分散しやすくし、イソシアネート基を用いた主鎖延長を行うと同時に、アクリル系モノマーの重合反応を行ってもよい。この重合反応は、ウレタンの骨格形成前にアクリル成分が導入されるため、後述するシード重合には該当しないものである。つまり、この方法で生成する水分散体も、本発明のウレタンの水分散体に含まれる。
本発明においては、上記のようなウレタンの水分散体をシードとして、これにアクリル系モノマー(A1)を加えて、1回目のシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1)を得る。

シード重合に際し、重合開始剤には、一般の乳化重合に用いられる過硫酸アンモニウムなどの過酸化物や水溶性のアゾ化合物を使用できるが、中でも、水中にイオン生成物を発生しないように、アゾ化合物が好ましく用いられる。また、油溶性の重合開始剤を用いる場合は、あらかじめアクリル系モノマー(A1)に混合させておいてもよい。
上記のアクリル系モノマー(A1)は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体としたものであり、必要により、これと共重合可能な他のモノマーを、モノマー全体の30重量%以下の割合で併用したものであってもよい。
このような他のモノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、スチレンまたはその誘導体、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
このようなアクリル系モノマー(A1)は、ウレタンからなるシードポリマー重量部に対して、50〜800重量部、好ましくは80〜500重量部の割合で使用する。アクリル系モノマーが50重量部未満では、物性の改良効果が不十分となり、また800重量部を超えると、重合安定性が低下するため、いずれも好ましくない。
本発明においては、このような1回目のシード重合により、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1)を得たのち、この水分散体(B1)をシードとして、これにさらにアクリル系モノマー(A2)を加えて、2回目のシード重合を行うことにより、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2)を得、最終目標とするウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体を製造する。

この2回目のシード重合においても、1回目のシード重合の場合と同様の重合開始剤が用いられる。また、アクリル系モノマー(A2)は、1回目のシード重合の場合と同様の理由により、水分散体(B1)を構成するウレタンとアクリルとの粒子内混合物からなるシードポリマー100重量部に対して、50〜800重量部、好ましくは80〜500重量部の割合で用いられる。
また、本発明においては、このような2回目のシード重合により、ウレタンーアクリル粒子内混合物の水分散体(B2)を得たのち、この水分散体(B2)をシードとして、これにさらにアクリル系モノマー(A3)を加えて、3回目のシード重合を行うことにより、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B3)を得、最終目標とするウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体を製造することもできる。

この3回目のシード重合でも、1回目および2回目のシード重合の場合と同様の重合開始剤が用いられる。また、アクリル系モノマー(A3)は、1回目のシード重合の場合と同様の理由により、水分散体(B2)を構成するウレタンとアクリルとの粒子内混合物からなるシードポリマー100重量部に対して、50〜800重量部、好ましくは80〜500重量部の割合で用いられる。
さらに、本発明においては、上記した3回目のシード重合操作を、必要により、さらに2回ないしそれ以上繰り返すことにより、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B4)、(B5)、(B6)、……を得、これを最終目標とするウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体とすることもできる。

以上説明した2回ないし3回以上のシード重合において、各回で使用するアクリル系モノマー(A1)、(A2)、(A3)、(A4)……は、その組成が同一であってもよいし、異なっていてもよい。各回で組成の異なるアクリル系モノマー、たとえば、ガラス転移温度や親水性材料の比率などが異なるアクリル系モノマーを使用することにより、最終目標とする物性をより容易に改善ないし調整することができる。
このような改善ないし調整については、以下の実施例で詳しく説明する。2,3の例について簡単に述べると、たとえば、水分散体(B1)のフィルムが伸びの小さな脆い物性を示す場合、アクリル系モノマー(A2)の物性を柔らかくすることで、弾性率は大きく変化せずに伸びを大きくでき、結果的に破断強さを大きく増大できる。

また、水分散体(B1)が粘接着性を示すものである場合に、これに加えるアクリル系モノマー(A2)を選択することにより、その粘接着性を変えることなく弾性率を小さくして応力を分散できる効果を付与させることができる。

さらに、アクリル系モノマー(A2)中に親水性の大きなモノマーを混入することで、水分散体(B1)のフィルムや粘着剤に1回のシード重合では重合安定性との兼ね合いで付与できないレベルの透湿性を付与させることができる。
本発明の方法により上記のように物性が改良ないし調整される理由については、必ずしも明らかではない。類似組成の材料を分子レベルでブレンドすることにより、その単独や平均値では達成できないレベルになることが知られており、本発明の上記2回以上のシード重合によっても上記と同様の効果が奏されているものと推察される。また、とくに異なる組成のアクリル系モノマーをウレタン−アクリル均一分散粒子内で塊状状態で重合させることで、ラジカルの連鎖移動も当然伴うため、シードポリマーへのグラフト物の生成なども起こり、単にブレンドする以上の効果が発揮されるものと推察される。
つぎに、本発明の「実施例1〜6」(2回のシード重合)とこれらの実施例に対応する「比較例1〜6」(1回のシード重合)を記載する。また、本発明の「実施例7」(3回のシード重合)と「比較例7」(シードとして乳化剤を含むアクリルの水分散体を使用)を記載する。以下、「部」とあるのは「重量部」を意味する。
ジエチレングリコールアジピン酸エステル100部(分子量2,500、水酸基0.0008当量/g)に、N−メチルピロリドン31部に溶解したジメチロールプロピオン酸12.4部を添加し、80℃に加熱脱気して水分を取り除いた。4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート48.3部を添加し、さらにジブチルすずラウレート0.0298部を添加し、65℃で3時間反応させて、イソシアネート化を行った。

このようにして得たイソシアネート化合物(ウレタンプレポリマー)に、トリエチルアミン9.3部を添加し、攪拌した。これに、別途フラスコ内で1.5時間窒素置換した蒸留水224部を、滴下ロートを用いて、滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン4部を蒸留水で3倍に希釈して添加した。60℃に加熱して2時間反応を行い、ウレタンの水分散体(B0−1)(固形分39.5重量%)を得た。
つぎに、このウレタンの水分散体(B0−1)126.6部(固形分50部)に、水506部を加え、攪拌しながら、アクリル酸ブチル60部とメタクリル酸メチル140部とからなるアクリル系モノマー(A1−1)を添加し、ウレタンの水分散体に吸収させた。これにさらに、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イル)〕プロパン0.5部を添加し、窒素気流下で60℃に加熱して、3時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1−1)(固形分29.7重量%)を得た。
ついで、この水分散体(B1−1)に、その固形分100部に対して、水130部と、アクリル酸ブチル50部とメタクリル酸メチル50部とからなるアクリル系モノマー(A2−1)を加え、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕0.1部を加え、窒素気流下で55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−1)(固形分30.2重量%)を得た。

この水分散体を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=10/37/53であった。
比較例1
実施例1で得たウレタンの水分散体(B0−1)126.6部に、水1,090部を加え、攪拌しながら、アクリル酸ブチル185部とメタクリル酸メチル265部とからなるアクリル系モノマーを加えて、均一に攪拌した。これにさらに、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕0.4部を加えて、窒素気流下で55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体を得た。

この水分散体を構成するポリマーの組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=10/37/53であった。つまり、この比較例1は、実施例1と同じ組成の水分散体を、1回のシード重合で得たものである。
実施例1で得たウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1−1)に、その固形分100部に対し、水463部と、アクリル酸ブチル100部とメタクリル酸メチル100部とからなるアクリル系モノマー(A2−2)を加え、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕0.2部を加えて、窒素気流下で55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−2)(固形分30.3重量%)を得た。

この水分散体を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=6.7/41.3/52であった。
比較例2
実施例1で得たウレタンの水分散体(B0−1)126.6部に、水1,673部を加え、攪拌しながら、アクリル酸ブチル310部とメタクリル酸メチル390部とからなるアクリル系モノマーを加えて、均一に攪拌した。これにさらに、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕0.7部を加えて、窒素気流下で55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体を得た。

この水分散体を構成するポリマーの組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=6.7/41.3/52であった。つまり、この比較例2は、実施例2と同じ組成の水分散体を、1回のシード重合で得たものである。
上記の実施例1,2および比較例1,2の各水分散体を、離型紙上に均一に塗布し、乾燥後、そのフィルムを断面積約2mm2 になるようにサンプリングし、以下の引張り試験に供した。この結果は、表1に示されるとおりであった。
<引張り試験>
引張り試験機としてオートグラフAGS・50D型(島津製作所製)を用い、試験サンプルの長さ10mmで、50mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、その時の応力−ひずみ曲線を得る。その応力−歪み曲線の最初に直線部分から、引張り弾性率を計算する。また、破断時の強度および破断伸びを読み取った。

引張り弾性率=(F/A)/(ΔL/Lo)
F:引張り応力
A:断面積
ΔL:歪み(伸び)の変化量
Lo:サンプルの初期長さ










表1
┌────┬───────┬───────┬───────┐
│ │引張り弾性率 │ 破断強さ │ 破断伸び │
│ │(N/mm2 ) │(N/mm2 ) │ (%) │
├────┼───────┼───────┼───────┤
│実施例1│ 96.5 │ 19.8 │ 700 │
│ │ │ │ │
│比較例1│ 56.1 │ 13.6 │ 500 │
├────┼───────┼───────┼───────┤
│実施例2│ 96.2 │ 26.5 │ 900 │
│ │ │ │ │
│比較例2│ 35.5 │ 13.7 │ 550 │
└────┴───────┴───────┴───────┘
上記の表1の結果から明らかなように、実施例1と比較例1との対比および実施例2と比較例2との対比より、本発明の2回のシード重合を採用することにより、1回のシード重合を採用する方法に比べて、最終ポリマー組成が同じであっても、破断強さが大きく、伸びが大きいフィルムが得られていることがわかる。これより、本発明のシード重合を繰り返すことでフィルム物性を容易に強靭にできることが確認された。
ウレタンの水分散体(B0−2)として、ポリウレタンディスパージョン(三井武田ケミカル株式会社製の「タケラックW−511」)を使用した。この水分散体50部(固形分40重量%)に、水200部と、アクリル酸ブチル40部とメタクリル酸メチル40部とからなるアクリル系モノマー(A1−2)を加え、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕0.08部を加えて、窒素気流下で、55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1−2)(固形分30.2重量%)を得た。
つぎに、この水分散体(B1−2)100部(固形分30.2部)に、水71.7部と、アクリル酸ブチル9部とメタクリル酸メチル21.2部とからなるアクリル系モノマー(A2−3)を加え、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕0.02部を加えて、窒素気流下で55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−3)(固形分30.3重量%)を得た。

この水分散体を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=10/34.9/55.1であった。
比較例3
実施例3で用いたウレタンの水分散体(B0−2)(ポリウレタンディスパージョン)50部に、水436部と、アクリル酸ブチル69.8部とメタクリル酸メチル110部とからなるアクリル系モノマーを加え、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕0.3部を加えて、窒素気流下で55℃に加熱して、5時間反応を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体を得た。

この水分散体を構成するポリマーの組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=10/34.9/55.1であった。つまり、この比較例3は、実施例3と同じ組成の水分散体を、1回のシード重合で得たものである。
上記の実施例3および比較例3の両水分散体を、離型紙上に均一に塗布し、乾燥後、そのフィルムを断面積約2cm2 になるようにサンプリングし、前記と同様にして、引張り試験に供した。この結果は、表2に示されるとおりであった。
表2
┌────┬───────┬───────┬───────┐
│ │引張り弾性率 │ 破断強さ │ 破断伸び │
│ │(N/mm2 ) │(N/mm2 ) │ (%) │
├────┼───────┼───────┼───────┤
│実施例3│ 51.7 │ 25.8 │ 1,200 │
│ │ │ │ │
│比較例3│ 93.2 │ 13.1 │ 400 │
└────┴───────┴───────┴───────┘
上記の表2の結果から明らかなように、2回のシード重合を採用する実施例3では、1回のシード重合を採用する比較例3に比べて、最終ポリマー組成が同じでも、破断伸びが大きくかつ破断強さも大きいフィルムが得られることがわかる。これより、本発明のシード重合を繰り返すことでフィルム物性を容易に強靭にできることが確認された。
ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1−2)をシードとした2回目のシード重合を行う際に、アクリル系モノマー(A2−3)のほかに、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製の「ブレンマーPE−350」)3部を加えてシード重合を行った以外は、実施例3と同様にして、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−4)(固形分30.3重量%)を得た。

この水分散体を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/ポリエチレングリコールモノメタクリレート=9.5/33.2/52.5/4.7であった。
比較例4
ウレタンの水分散体(B0−2)(ポリウレタンディスパージョン)をシードとしたシード重合を行う際に、アクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとからなるアクリル系モノマーのほかに、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製の「ブレンマーPE−350」)9.93部を加えてシード重合を行った以外は、比較例3と同様にして、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体を得た。

この水分散体を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/ポリエチレングリコールモノメタクリレート=9.5/33.2/52.5/4.7であった。つまり、この比較例4は、実施例4と同じ組成の水分散体を、1回のシード重合で得たものである。
上記の実施例4および比較例4の水分散体を、離型紙上に均一に塗布し、乾燥して、試料フィルムを作製した。この試料フィルムの水蒸気透湿度を、以下のように、測定算出した。この結果は、表3に示されるとおりであった。
<水蒸気透湿度>
口径40mmのガラス容器に、精製水20mlを入れ、容器上部を試料フィルムで覆い、ガラス容器の側面に粘着テープを巻いてガラス容器と試料フィルムを密着シールした。これを40℃,30%RHの条件下で24時間保存し、保存前後の精製水の重量差から水蒸発量を求めた。この水蒸発量から、試料フィルム1m2 あたりの水蒸気透湿量(水蒸気透湿度)を算出した。
表3
┌────┬────────────────┐
│ │ 水蒸気透湿度 │
│ │ (g/m2 /24時間) │
├────┼────────────────┤
│実施例4│ 810 │
│ │ │
│比較例4│ 408 │
└────┴────────────────┘
上記の表3の結果から明らかなように、2回のシード重合を採用する実施例4では、1回のシード重合を採用する比較例4に比べて、最終ポリマー組成が同じであっても、水蒸気透湿度が大きくなっていることがわかる。これより、本発明のシード重合を繰り返すことで透湿性を大きく付与できることが確認された。
ウレタンの水分散体(B0−3)として、ポリウレタンディスパージョン(三井武田ケミカル株式会社製の「タケラックW−6060」)を使用した。この水分散体100部(固形分30重量%)に、水140部を加えて、均一に攪拌した。これにさらに、アクリル酸ブチル54部とメタクリル酸メチル6部とからなるアクリル系モノマー(A1−3)を加え、窒素気流下で1時間撹拌し、アクリル系モノマーを水分散しているウレタン粒子に吸収させたのち、50℃に昇温して、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イル)〕プロパン0.1部を加え、重合反応を開始した。50℃に4時間保持したのち、70℃に昇温して3時間保持して、冷却し、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1−3)(固形分30重量%)を得た。
つぎに、この水分散体(B1−3)100部に、水140部を加え、均一に攪拌したのち、アクリル酸ブチル60部からなるアクリル系モノマー(A2−4)を加えて、前記の1回目のシード重合と同様の重合操作を行うことにより、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−5)を得た。

この水分散体を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=11.1/86.7/2.2であった。
比較例5
実施例5で用いたウレタンの水分散体(B0−3)(ポリウレタンディスパージョン)100部(固形分30重量%)に、水560部を加え、均一に攪拌したのち、アクリル酸ブチル234部とメタクリル酸メチル6部とからなるアクリル系モノマーを加えて、実施例5の1回目のシード重合と同様の重合操作を行うことにより、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体を得た。

この水分散体を構成するポリマーの組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル=11.1/86.7/2.2であった。つまり、この比較例5は、実施例5と同じ組成の水分散体を、1回のシード重合で得たものである。
上記の実施例5および比較例5の両水分散体を、厚さが25μmのポリエステルフィルムに、乾燥後の厚さが40μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥して、試料サンプル(粘着テープ)を作製した。このサンプルについて、以下のように、接着力と保持力を測定した。この結果は、表4に示されるとおりであった。
<接着力>
被着体として#280のサンドペーパーでサンディングしたステンレス板(SUS板)とガラス板を用いた。試料サンプルを20mm×100mmの大きさに裁断し、これを上記の被着体に2kgのローラーを1往復させる方式で圧着した。23℃で20分間経過後、その剥離に要する力(N/20mm幅)を測定した(180度剥離、引張り速度300mm/分、23℃,65%RH雰囲気下)。
<保持力>
フェノール樹脂板に試料サンプルを10mm×20mmの接着面積で接着し、20分経過後、80℃下に20分放置し、ついで、フェノール樹脂板を垂下して、試料サンプルの自由末端に500gの均一荷重を負荷し、80℃において試料サンプルが落下するまでの時間を測定した。
表4
┌────┬─────────┬─────────┬────────┐
│ │接着力(SUS板)│接着力(ガラス板)│ 保持力 │
│ │ (N/20mm幅)│ (N/20mm幅)│ (分) │
├────┼─────────┼─────────┼────────┤
│実施例5│ 3.5 │ 3.2 │ >240 │
│ │ │ │ │
│比較例5│ 1.4 │ 1.8 │ 60 │
└────┴─────────┴─────────┴────────┘
上記の表4の結果から明らかなように、2回のシード重合を採用する実施例5では、1回のシード重合を採用する比較例5に比べて、最終ポリマー組成が同じであっても、接着力と保持力がともに高くなっていることがわかる。これより、本発明のシード重合を繰り返すことで接着性能を大きく向上できることが確認された。
分子量3,000のポリテトラメチレングリコール(水酸基0.00067当量/g)50部の存在下、アクリル酸ブチル25部、メタクリル酸メチル20部、アクリル酸4.5部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5部を、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部を用いて、窒素気流下、50℃で6時間重合反応を行った。

このようにして、分子量3,000のポリテトラメチレングリコールと、カルボキシル基を0.0012当量/g、水酸基を0.00033当量/g有する分子量7,400のアクリルポリオールとのポリマー混合物からなる粘稠液体を得た。
つぎに、この粘調液体を100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した。これに、4,4−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート15.2部(全水酸基に対して2.3倍当量)を加え、ジブチルチンジラウレート0.01部を加えて、65℃で3時間反応させて、水酸基をイソシアネート化した。さらに、トリエチルアミン6.3部(カルボキシル基に対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和した。

このように中和したイソシアネート化合物に、攪拌しながら、水150部を加えて、水に分散させた。これにさらに、エチレンジアミン1.9部(残存するイソシアネート基に対して等当量)を水17.1部で希釈した溶液を加え、65℃で3時間反応させることにより、骨格中に中和されたカルボキシル基を有するポリウレタンが水に安定に分散されてなる、ウレタンの水分散体(B0−4)を得た。
つぎに、この水分散体100部(固形分42.6重量%)に、水156部を加え、均一に攪拌したのち、アクリル酸ブチル70部とアクリル酸2−エチルへキシル30部とからなるアクリル系モノマー(A1−4)を加えて、窒素気流下で1時間撹拌し、アクリル系モノマーを水分散しているウレタン粒子に吸収させ、50℃に昇温して、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリンー2イル)〕プロパン0.05部を加えて、重合反応を開始した。50℃に4時間保持したのち、70℃に昇温して1時間保持して、冷却し、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1−4)(固形分40重量%)を得た。
つぎに、この水分散体(B1−4)100部に、水162部と、アクリル酸ブチル72部とイソボルニルアクリレート8部とからなるアクリル系モノマー(A2−5)を加え、前記の1回目のシード重合と同様の重合操作を行うことにより、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−6)を得た。

この水分散体(B2−6)を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−エチルへキシル/イソボルニルアクリレート=9.9/76.4/7/6.7であった。
比較例6
実施例6で得たウレタンの水分散体(B0−4)100部に、水737部と、アクリル酸ブチル327部とアクリル酸2−エチルへキシル30部とイソボルニルアクリレート29部とからなるアクリル系モノマーを加え、さらに2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリンー2イル)〕プロパン0.2部を加えて、重合反応を開始した。50℃に4時間保持したのち、70℃に昇温して1時間保持して、冷却し、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体を得た。

このようにして得た水分散体を構成するポリマーの組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−エチルへキシル/イソボルニルアクリレート=9.9/76.4/7/6.7であった。つまり、この比較例6は、実施例6と同じ組成の水分散体を、1回のシード重合で得たものである。
上記の実施例6および比較例6の両水分散体を、厚さが25μmのポリエステルフィルムに、乾燥後の厚さが40μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥して、試料サンプル(粘着テープ)を作製した。このサンプルについて、前記と同様にして、接着力(SUS板)と保持力を測定した。この結果は、表5に示されるとおりであった。

表5
┌────┬───────────┬────────┐
│ │ 接着力(SUS板) │ 保持力 │
│ │ (N/20mm幅) │ (分) │
├────┼───────────┼────────┤
│実施例6│ 8.5 │ >240 │
│ │ │ │
│比較例6│ 5.5 │ 70 │
└────┴───────────┴────────┘
上記の表5の結果から明らかなように、2回のシード重合を採用する実施例6では、1回のシード重合を採用する比較例6に比べて、最終ポリマー組成が同じであっても、接着力と保持力がともに高くなっていることがわかる。これより、本発明のシード重合を繰り返すことで接着性能を大きく向上できることが確認された。
実施例5で2回目のシード重合で得たウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2−5)(固形分30重量%)100部に、水140部を加えて、均一に攪拌したのち、さらにアクリル酸ブチル50部とアクリル酸エチル5部と6−ヒドロキシへキシルアクリレート5部とからなるアクリル系モノマー(A3−1)を加えて、実施例5の2回目のシード重合と同様の重合操作を行い、つまり、3回目のシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B3−1)を得た。

この水分散体(B3−1)を構成するポリマーの最終組成(重量%)は、ウレタン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/6−ヒドロキシへキシルアクリレート=3.7/84.4/0.7/5.6/5.6であった。
比較例7
水240部に、乳化剤としてドデシル硫酸アンモニウム3部を溶解させ、アクリル酸ブチル70部とアクリル酸エチル30部とからなるアクリル系モノマーを乳化させ、窒素気流下で過硫酸アンモニウム0.1部を用いて、65℃で重合反応を行い、つまり、通常の乳化重合を行い、アクリルの水分散体(固形分30重量%)を得た。

このアクリルの水分散体(固形分30重量%)100部に、水140部を加えて、均一に攪拌したのち、さらにアクリル酸ブチル50部とアクリル酸エチル5部と6−ヒドロキシへキシルアクリレート5部とからなるアクリル系モノマーを加えて、実施例7と同様の重合操作を行い、アクリルの水分散体を得た。
上記の実施例7および比較例7の両水分散体を、厚さが25μmのポリエステルフィルムに、乾燥後の厚さが40μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥して、試料サンプル(粘着テープ)を作製した。この試料サンプルについて、以下のように、耐水接着力を測定した。この結果は、表6に示されるとおりであった。
<耐水接着力>
試料サンプルを20mm×100mmの大きさに裁断し、これをガラス板に2kgのローラーを1往復させる方式で圧着し、23℃で20分間経過後、その剥離に要する力(N/20mm幅)を測定した(180度剥離、引張り速度300mm/分、23℃、65%RH雰囲気下)。また、圧着して貼り付けた試料サンプルを水中に浸漬し、室温で1週間放置して取り出し、表面の水分を拭き取ったのち、上記と同様に接着力を測定した。
表6
┌────┬──────────┬───────────┐
│ │ 接着力〔初期〕 │ 接着力〔水浸漬後〕 │
│ │ (N/20mm幅)│ (N/20mm幅) │
├────┼──────────┼───────────┤
│実施例7│ 5.6 │ 4.9 │
│ │ │ │
│比較例7│ 6.2 │ 0.1 │
└────┴──────────┴───────────┘
上記の表6の結果から明らかなように、実施例7の方法では乳化剤を使用することなく安定な水分散体が得られているため、乳化剤を使用した比較例7の方法に比べ、水浸漬後でも接着力は大きく低下せず、耐水性にすぐれていることが確認された。

Claims (4)

  1. 乳化剤を用いずに調製したウレタンの水分散体をシードとして、そのシードポリマー100重量部に対して、アクリル系モノマー(A1)を50〜800重量部加えて、乳化剤を加えないでシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B1)を得、つぎに、この水分散体(B1)をシードとして、そのシードポリマー100重量部に対して、アクリル系モノマー(A2)を50〜800重量部加えて、乳化剤を加えないでシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B2)を得ることを特徴とするフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法。
  2. ウレタンーアクリル粒子内混合物の水分散体(B2)を得たのち、さらにこの水分散体(B2)をシードとして、そのシードポリマー100重量部に対して、アクリル系モノマー(A3)を50〜800部加えて、乳化剤を加えないでシード重合を行い、ウレタンとアクリルとの粒子内混合物の水分散体(B3)を得る請求項1に記載のフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法。
  3. ウレタンの水分散体は、分子量1,000〜4,000のポリオールとカルボキシル基含有ポリオールとの混合物に水酸基の全量に対し1.5〜4倍当量のポリイソシアネートを反応させ、さらにカルボキシル基を中和させたイソシアネート化合物を水に分散させ、その後イソシアネート基を反応させた水分散体である請求項1または2に記載のフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法。
  4. 分子量1,000〜4,000のポリオールとカルボキシル基含有ポリオールとの混合物は、分子量1,000〜4,000で、水酸基を0.0005〜0.003当量/g有するポリオール20〜80重量%と、分子量3,000〜20,000で、カルボキシル基を0.0007〜0.003当量/g有し、水酸基を0.00005〜0.0007当量/g有するアクリルポリオール80〜20重量%との混合物である請求項3に記載のフィルム形成材または粘着剤用のウレタン−アクリル粒子内混合物水分散体の製造方法。
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