JP4130718B2 - ウレタン−アクリル水分散体とその製造方法 - Google Patents

ウレタン−アクリル水分散体とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テ―プや医療用テ―プの支持体などとして用いられるウレタン−アクリル水分散体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンは、ポリオ―ルやポリイソシアネ―トの種類などにより、物性を大きく変化できるので、工業的に広く利用されている。また、アクリルポリマ―は、耐候性や耐熱性にすぐれるため、広く応用されているが、熱可塑性ポリマ―であるが故に、感温性に劣ることも認められている。このため、従来より、上記両ポリマ―の特徴を生かす工夫が行われ、アクリルポリオ―ルを用いたポリウレタンが耐候性にすぐれたものとして、検討されている。
【0003】
また、近年、環境対策面から、特開平10−53709号公報などにおいて、水分散型のポリウレタンの検討がなされている。しかし、水媒体中での主鎖延長が十分に行われにくく、物性的に限度があり、また高分子量のポリウレタンを水に分散させるには有機溶剤が必要となつたり、乳化剤を使用する必要があり、耐水性などに悪影響を与える問題があつた。一方、アクリルポリマ―は、乳化重合が容易で、それにより高分子量体を得ることができるが、乳化剤を使用する必要があるため、物性や耐水性に悪影響を与える問題があつた。
【0004】
このような物性や耐水性を解決する方法として、米国特許第5,173,526号明細書に、アクリルとウレタンをハイブリツド化する試みがなされている。しかし、この方法でも、ポリマ―の物性を調整するのは容易ではなく、とくに、伸び特性にすぐれたものは得られにくく、粘着テ―プや医療用テ―プの支持体などに適したポリマ―物性を得ることは難しかつた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に照らし、ウレタン−アクリルポリマ―が乳化剤を用いることなく水に安定に分散された水分散体であつて、そのフイルム化物の耐水性にすぐれ、かつ機械的強度や伸び特性などの物性にすぐれて、この物性の設計が容易である、粘着テ―プや医療用テ―プの支持体などに適したウレタン−アクリル水分散体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物、つまりウレタンポリマーとアクリルポリマーとの複合体からなる水分散物を適宜の手法で調製したのち、これにさらに別のアクリル成分として特定の単量体を加えて重合処理する方法により、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分およびアクリル成分の量がそれぞれ特定範囲にある室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマーを生成させるようにすると、上記ウレタン−アクリルポリマーが乳化剤を用いることなく水に安定に分散された水分散体が得られ、そのフイルム化物は耐水性にすぐれ、かつ機械的強度や伸び特性などの物性にすぐれて、この物性の設計が上記単量体の組成調整などにより容易に行える、粘着テープや医療用テープの支持体などに適したウレタン−アクリル水分散体が得られることを知り、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、ポリオール成分10〜50重量%、ポリイソシアネート成分2〜20重量%およびアクリル成分40〜90重量%からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマーの水分散体であって、そのフイルム化物の引張試験での引張弾性率が0.5Kg/mm2 以上で、破断伸びが300%以上であることを特徴とするウレタン−アクリル水分散体、特に、上記フイルム化物を50%伸張させたときの1分後の応力残存率が40%以下である上記構成のウレタン−アクリル水分散体上記ポリオール成分がポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを主体とする上記構成のウレタン−アクリル水分散体、を提供しようとするものである。
【0008】
また、本発明は、上記構成のウレタン−アクリル水分散体の製造方法として、a)ポリオール成分、ポリイソシアネート成分およびアクリル成分からなるウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製し、b)この水分散物にその固形分20〜90重量%に対し、上記以外のアクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマーのガラス転移温度が273K以上となる非粘着化用単量体80〜10重量%を加えて、重合処理することを特徴とするウレタン−アクリル水分散体の製造方法、特に、上記のb工程において、非粘着化用単量体が(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマーのガラス転移温度が300K以上となる単量体である上記構成のウレタン−アクリル水分散体の製造方法、を提供しようとするものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上記のa工程において、(イ)ポリオール成分とポリイソシアネート成分を用いてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを合成し、これにアクリル成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を混合し、この混合物を上記プレポリマーのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による上記プレポリマーの主鎖延長および上記単量体の重合を行って、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製する上記構成のウレタン−アクリル水分散体の製造方法係るものである。
【0010】
また、本発明は、上記のa工程において、(ロ)ポリオール成分に、アクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としこれにカルボキシル基含有単量体を加えた単量体混合物を共重合させてなる分子内にカルボキシル基および水酸基を有する重合体を混合し、この混合物にポリイソシアネート成分を反応させてイソシアネートプレポリマーを合成し、このプレポリマーを上記カルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による主鎖延長を行って、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製する上記構成のウレタン−アクリル水分散体の製造方法係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリオ―ル成分は、1分子中に2個またはそれ以上の水酸基を有するものであつて、ポリエ―テルポリオ―ルまたはポリエステルポリオ―ルを主体としたものが好ましく用いられる。このポリオ―ル成分の分子量は、ゲルパ―ミエ―シヨンクロマトグラフイ―(GPC)により測定される数平均分子量が500〜4,000の範囲にあるのが好ましい。ポリオ―ル成分の分子量が小さすぎると、ウレタンのハ―ドセグメントが多くなり、生成ポリマ―が硬くなりすぎ、また分子量が大きすぎると、水への分散性に劣りやすい。
【0012】
上記のポリエ―テルポリオ―ルは、エチレングリコ―ル、ジエチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ヘキサメチレングリコ―ルなどの2価アルコ―ル、トリメチロ―ルプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト―ルなどの3価アルコ―ルなどの低分子ポリオ―ルに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを付加重合させてなるものが用いられる。また、上記のポリエステルポリオ―ルは、上記の2価アルコ―ル、ジプロピレングリコ―ル、1,4−ブタンジオ―ル、1,6−ヘキサンジオ―ル、ネオペンチルグリコ―ルなどのアルコ―ルと、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物などが用いられる。
【0013】
本発明におけるポリイソシアネ―ト成分としては、芳香族、脂肪族または脂環式のポリイソシアネ―トをいずれも使用できる。ポリオ―ル成分との速やかな反応および水との反応の抑制の点から、イソホロンジイソシアネ―ト、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト、シクロヘキサン−1,4−ジイソシネ―トなどの脂環式ポリイソシアネ―トを使用するのがとくに好ましい。また、ポリイソシアネ―ト成分は、上記のようなジイソシアネ―トが好ましいが、必要によりトリ以上のポリイソシアネ―トを使用することもできる。
【0014】
本発明におけるアクリル成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としたものであり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜14の範囲にあるものが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどの1種または2種以上が用いられる。
【0015】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、単量体の全量中、50重量%を超えない範囲で、共重合可能な他の単量体が用いられる。具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有単量体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ―トなどの水酸基含有単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレンまたはその誘導体、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、オリゴエステル(メタ)アクリレ―ト、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレ―トなどである。これらの単量体も、本発明にいうアクリル成分に含まれる。
【0016】
本発明においては、上記のポリオ―ル成分10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%と、上記のポリイソシアネ―ト成分2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%と、さらに上記のアクリル成分40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%とを用いて、室温で非粘着性(粘着性を全く示さない状態のほか、指圧程度ではほとんど粘着性を示さない微粘着状態を含む)のウレタン−アクリルポリマ―を構成させるようにしたものであり、またこのポリマ―を乳化剤を用いることなく水中に均一に分散させるようにしたものである。
【0017】
ここで、ポリオ―ル成分が10重量%未満となると水への分散性に劣つたり、ポリマ―が硬くなり、50重量%を超えるとポリマ―の初期弾性率や応力低下率が十分なものとなりにくい。また、ポリイソシアネ―ト成分は、ポリオ―ル成分に対応して、その使用量が決められるが、この使用量が2重量%未満となると水への分散性に劣り、20重量%を超えるとポリマ―の伸びが小さくなりやすい。さらに、アクリル成分が40重量%未満となるとポリマ―の引張弾性率や応力低下率が悪くなり、90重量%を超えると水への分散性に劣りやすい。
【0018】
本発明において、上記構成からなる室温で非粘着性であるウレタン−アクリルポリマ―の水分散液は、これを塗布、乾燥して作製されるフイルム化物の引張試験(断面積:約2mm2 、長さ:10mm、300mm/分の引張速度)による引張弾性率が0.5Kg/mm2 以上、好ましくは1Kg/mm2 以上、より好ましくは3Kg/mm2 以上(通常30Kg/mm2 以下、好ましくは20Kg/mm2 以下)であり、また破断伸びが300%以上、好ましくは400%以上、より好ましくは500%以上(通常3,000%以下、好ましくは2,500%以下)であることを特徴としている。また、上記水分散液は、上記フイルム化物を50%伸張させたときの1分後の応力残存率が40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下(通常15%以上)であることをも特徴としている。
【0019】
このため、本発明の水分散液より得られるフイルム化物は、耐水性にすぐれ、かつ強度や伸び特性などにすぐれるものとして、またこれら物性の調整をアクリル成分の組成などにより容易に行えるものとして、粘着テ―プやドレツシング、救急絆、外科用テ―プなどの医療用テ―プの支持体などに有効利用でき、それにより、貼り付け時のテ―プ応力の低減、端末からの浮きの発生防止、被着体への応力による締め付け低減などの種々の効果が奏される。
【0020】
本発明において、上記構成からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―の水分散液は、a)ポリオ―ル成分、ポリイソシアネ―ト成分およびアクリル成分からなるウレタン−アクリルハイブリツド水分散物を調製し、b)この水分散物にその固形分20〜90重量%に対し、上記以外のアクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマ―のガラス転移温度が273K以上となる非粘着化用単量体80〜10重量%を加えて、重合処理することにより、容易に製造することができる。すなわち、上記a工程だけでは、上記各成分の種類や量を選択して、ウレタン−アクリルポリマ―の水への分散性と室温での非粘着性、フイルム化物の強度や伸び特性、また応力残存率などを調整することは容易ではないが、上記a工程に上記b工程を付加することにより、上記選択による上記特性の調整を容易に行うことができる。
【0021】
a工程においては、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分およびアクリル成分からなるウレタン−アクリルハイブリッド水分散物、つまりウレタンポリマーとアクリルポリマーとの複合体からなる水分散物を調製する。この方法としては、(イ)ポリオール成分とポリイソシアネート成分を用いてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを合成し、これにアクリル成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を混合し、この混合物を上記プレポリマーのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による上記プレポリマーの主鎖延長および上記単量体の重合を行って、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製する方法が、好ましい。
【0022】
また、別の方法として、(ロ)ポリオール成分に、アクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としこれにカルボキシル基含有単量体を加えた単量体混合物を共重合させてなる分子内にカルボキシル基および水酸基を有する重合体を混合し、この混合物にポリイソシアネート成分を反応させてイソシアネートプレポリマーを合成し、このプレポリマーを上記カルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による主鎖延長を行って、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製する方法も、好ましい。
【0023】
上記(イ)の方法においては、まず、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を用いて、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを合成する。ここで、ポリオール成分としては、ウレタンプレポリマーにカルボキシル基を導入するため、前記のポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールのほかに、カルボキシル含有ポリオールとして、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール酪酸などが用いられる。
【0024】
このようなポリオ―ル成分とポリイソシアネ―ト成分との反応にあたり、触媒として、ジブチルすずジラウレ―ト、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタンなどを用いるのがよい。ポリオ―ル成分の使用量は、ポリイソシアネ―ト成分に対し、NCO/OH比(当量比)が2〜9の範囲となるようにするのがよく、過少では水分散物の安定性が悪くなり、過多となると未反応のポリイソシアネ―ト成分が多くなつて最終ポリマ―の伸び特性が悪くなる。アクリル成分との相溶性を良くするため、上記反応に際し、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ―トなどの水酸基含有単量体を併用してもよい。
【0025】
つぎに、このようにして得たカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―にアクリル成分を混合し、上記プレポリマ―のカルボキシル基を塩基で中和したのち、水に分散させる。アクリル成分には、前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体が用いられ、そのポリマ―が粘着性を示すものであつても、非粘着性を示すものであつてもよい。アクリル成分の使用量は、ウレタンプレポリマ―との合計量中、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%となるようにするのがよく、過少ではb工程における非粘着化用単量体の均一混合が難しくなり、過多となると安定な水分散物が得られにくい。
【0026】
中和のための塩基としては、カルボキシル基と反応し、かつイソシアネ―ト基と反応しないものであればよく、一般には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミンなどの第三級アミンが好ましく用いられる。このような塩基による中和処理は、アクリル成分の混合後に行つても、混合前に行つてもよい。また、水への分散は、窒素置換した所定量の水に中和後の混合物を攪拌しながら滴下して行えばよく、攪拌は通常の攪拌機を用いてもよいし、必要によりホモミキサやホモジナイザなどを用いて行つてもよい。
【0027】
このように水に分散させたのち、イソシアネ―ト基の反応による上記ウレタンプレポリマ―の主鎖延長と、アクリル成分である上記単量体の重合を行つて、分子鎖長の長いウレタン−アクリル核ポリマ―を生成させ、この核ポリマ―が水中に安定に分散された水分散物、つまりウレタン−アクリルハイブリツド水分散物を調製する。上記の主鎖延長に際し、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのポリアミンを、残存するイソシアネ―ト基に対し、当量となる割合で用いて、反応させるのが望ましい。また、上記の重合に際しては、ラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリルなどのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物を、単量体100重量部あたり、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部用いて、反応させるようにすればよい。
【0028】
また、上記(ロ)の方法においては、まず、アクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としこれにカルボキシル基含有単量体を加えた単量体混合物を共重合させて、分子内にカルボキシル基および水酸基を有する重合体を製造する。この重合体は、GPCによる数平均分子量が3,000〜20,000、カルボキシル基が0.0007〜0.003当量/g、水酸基が0.00005〜0.0007当量/gであるのがよい。分子量が低すぎるとポリマーが硬くなりすぎ、高すぎると水への分散性に劣りやすい。また、カルボキシル基が少なすぎると水への分散性に劣り、多すぎると水を吸収するだけで分散しなくなる。さらに、水酸基が少なすぎるとポリイソシアネート成分に対するポリオール成分との共反応性に劣り、ウレタン−アクリル成分の相分離が起こってポリマー物性が不安定となり、多すぎるとポリマーが硬くなる。
【0029】
このような重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これにカルボキシル基含有単量体を加えた単量体混合物を、重合開始剤と水酸基を有する連鎖移動剤を用いて、常法により共重合させることにより、得ることができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有単量体については、前記のものを使用でき、そのコポリマ―が粘着性を示すものであつても、非粘着性を示すものであつてもよい。重合に際し、水酸基を有する連鎖移動剤の使用量を調整し、温度や時間などの重合条件を選択することにより、重合体の分子量を前記範囲に容易に設定できる。また、この分子量の設定に加えて、カルボキシル基含有単量体の使用量を調整することにより、重合体の分子内に含まれるカルボキシル基の量を前記範囲に容易に設定できる。
【0030】
さらに、水酸基を有する連鎖移動剤の使用量を調整することにより、分子量の設定とともに、重合体の分子内に含まれる水酸基の量を前記範囲に容易に設定できる。また、水酸基を有する連鎖移動剤を用いると、上記水酸基が重合体の分子末端に導入されることになり、このように分子末端に導入すると、これとポリイソシアネ―ト成分との反応により分子鎖長の長いウレタンプレポリマ―が生成し、最終的に高分子量化したときの物性に好結果が得られる。なお、この水酸基を有する連鎖移動剤とともに、必要により、前記した水酸基含有単量体を用いて、この単量体に由来する水酸基を重合体分子内の任意の位置に導入させてもよい。本発明に用いられる重合体の分子内に含まれる水酸基の量には、上記の任意位置に導入される水酸基も当然含まれるものである。
【0031】
水酸基を有する連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノ―ル、1−メルカプト−2−プロパノ―ル、3−メルカプト−1−プロパノ―ル、p−メルカプトフエノ―ルなどが挙げられる。重合開始剤としては、2,2−アゾビスイソブロニトリルなどのアゾ系開始剤や、ベンゾイルパ―オキサイド、クメンハイドロパ―オキサイドなどの過酸化物系開始剤が用いられる。これらの重合開始剤は、重合体の分子量などに応じて、適量の使用量が選択される。
【0032】
なお、上記の重合体の製造は、ポリオ―ル成分の存在下で行う、つまりポリオ―ル成分に上記の単量体混合物、重合開始剤および水酸基を有する連鎖移動剤を加えて重合させるのが望ましい。この方法では、ポリオ―ル成分が重合溶媒として機能するため、有機溶剤などを使用することなく、穏やかな重合反応を安定に進めることができ、また生成重合体の一部がポリオ―ル成分にグラフトするため、ポリオ―ル成分と重合体との相溶性に好ましい結果が得られる。
【0033】
このような方法により、ポリオ―ル成分と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としこれにカルボキシル基含有単量体を加えた単量体混合物を共重合させてなる分子内にカルボキシル基および水酸基を有する重合体との混合物が得られるが、上記両成分の割合は、ポリオ―ル成分が20〜80重量%、上記重合体が80〜20重量%であるのがよく、このような割合となるように、重合前にポリオ―ル成分と単量体混合物の使用量を適宜決めればよい。ポリオ―ル成分が過少では水分散性に劣り、過多となると水分散物の安定性が悪くなる。なお、上記重合体の製造をポリオ―ル成分の非存在下で行う場合には、重合後にポリオ―ル成分と混合して、上記同様の混合物を調製する。
【0034】
つぎに、このような混合物にポリイソシアネ―ト成分を反応させてイソシアネ―トプレポリマ―を合成し、このプレポリマ―を上記重合体のカルボキシル基を中和して、水に分散させる。上記反応に際し、ポリイソシアネ―ト成分は、混合物中の水酸基の全量に対して、2〜5倍当量、好ましくは2.1〜3倍当量の使用量とするのがよく、過少ではこの段階で主鎖延長が起こつて高粘度となるため水分散が難しくなり、過多となると未反応のポリイソシアネ―ト成分が残存する心配がある。また、上記の反応は、反応系内の水分を除去したのち、ジブチルチンジラウレ―トなどの適宜の反応触媒を加えて加熱処理する方式で行えばよい。中和には、トリエチルアミンやアンモニアなどの塩基が用いられる。分散は、中和後の上記プレポリマ―に水を加えるか、中和後の上記プレポリマ―を水に加えて行えばよく、その際、攪拌しながら均一に分散させる。
【0035】
このようにして水に分散させたのち、イソシアネ―ト基の反応による上記ウレタンプレポリマ―の主鎖延長を行つて、分子鎖長の長いウレタン−アクリル核ポリマ―を生成させ、この核ポリマ―が水中に安定に分散された水分散物、つまりウレタン−アクリルハイブリツド水分散物を調製する。ここで、上記の主鎖延長に際しては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのポリアミンを、上記ウレタンプレポリマ―に残存するイソシアネ―ト基に対し、当量となる割合で用いて、反応させるのが望ましい。
【0036】
b工程においては、上記a工程における(イ)または(ロ)の方法により調製された、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分およびアクリル成分からなるウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を用いて、この水分散物に、上記以外のアクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマーのガラス転移温度が273K以上となる非粘着化用単量体を加えて、重合処理するものである。ここで、上記ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物としては、(イ)の方法では低分子量のカルボキシル含有ポリオール(2,2−ジメチロールプロピオン酸など)を用いているため、これがポリイソシアネート成分と反応せずに未反応として残存したときに、ポリマー物性に悪影響を及ぼすことがあるが、(ロ)の方法ではカルボキシル基が最初から重合体のポリマー鎖内に導入されているため、上記未反応として残存しても、ポリマー物性に対する悪影響が少ないという利点を有しており、本発明にとくに好ましく用いられる。
【0037】
このようなウレタン−アクリルハイブリツド水分散物に加える非粘着化用単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマ―のガラス転移温度が273K以上、好ましくは300K以上となる単量体であり、前記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはこれと共重合可能な他の単量体との中から、上記ガラス転移温度を示すものが選択使用される。このような非粘着化用単量体は、上記ハイブリツド水分散物の固形分との合計量中、80〜10重量%、好ましくは70〜20重量%となる割合で、用いられる。
【0038】
すなわち、上記の非粘着化用単量体は、ウレタン−アクリルハイブリツト水分散物の固形分(前記のウレタン−アクリル核ポリマ―)20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%に対して、非粘着化用単量体が80〜10重量%、好ましくは70〜20重量%となる割合で、用いられる。上記範囲外となると、重合処理中に凝集物が発生したりなどして、安定な水分散体が得られにくい。また、上記の非粘着化用単量体の使用量は、最終的に得られるウレタン−アクリルポリマ―のポリオ―ル成分、ポリイソシアネ―ト成分およびアクリル成分の各割合が前記範囲、つまり、ポリオ―ル成分が10〜50重量%、ポリイソシアネ―ト成分が2〜20重量%、アクリル成分が40〜90重量%となるように、適宜選択されなければならない。上記範囲外となると、既述のとおり、水分散性、弾性率、伸び、応力低下性などのいずれかの面で支障をきたしやすい。
【0039】
重合処理は、ウレタン−アクリルハイブリツド水分散物に非粘着化用単量体を加え、この単量体を上記水分散物のウレタン−アクリル核ポリマ―粒子に十分に吸収させ、重合開始剤を加えて常法により加熱処理する方法により、行われる。重合開始剤としては、一般の乳化重合に使用される過硫酸アンモニウムなどの過酸化物や水溶性のアゾ化合物が用いられるが、水中にイオン生成物を発生しないアゾ化合物を用いるのが最も好ましい。また、油溶性の重合開始剤を使用するときは、あらかじめ非粘着化用単量体に混合して添加すればよい。
【0040】
このようして得られるウレタン−アクリル水分散体は、室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が乳化剤を使用することなく水中に均一に分散された、固形分濃度が通常25〜60重量%の水分散体であつて、そのフイルム化物は、耐水性にすぐれ、かつ前記した引張弾性率および破断伸び、また前記した応力残存率(応力緩和性)を示すものである。このウレタン−アクリル水分散体には、フイルム化物の弾性率を向上させたり、着色するなどのために、必要に応じて、架橋剤、充填剤、顔料、繊維状物質、発泡剤などを配合してもよく、また、老化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤を配合することもできる。
【0041】
このようなウレタン−アクリル水分散体は、剥離性基材上に塗布し、乾燥することにより、厚さが通常10〜200μmのフイルム化物とすることができる。このフイルム化物は、前記の特性を有しているため、これ単独でまたは他のプラスチツクフイルムや紙などとの積層体として、工業用はもちろん人体に貼り付ける片面または両面の粘着テ―プやドレツシング、救急絆、外科用テ―プなどの医療用テ―プの支持体などとして、広く使用することができる。この使用に際し、貼り付け時のテ―プ応力の低減、端末からの浮きの発生防止、被着体への応力による締め付け低減などの種々の効果を発現できる。また、上記本発明のウレタン−アクリル水分散体は、上記特性を生かして、フイルム化物のほか、各種の物体表面に施される塗膜などとしても、利用することができる。
【0042】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。また、ポリオ―ル成分や重合体(アクリルポリマ―)の水酸基量(当量/g)はNMRにより、重合体(アクリルポリマ―)のカルボキシル基量(当量/g)はアルコ―ル性水酸化カリウムによる電位差滴定により、それぞれ測定される値を意味する。
【0043】
実施例1
ポリオ―ル成分として、ジエチレングリコ―ルアジピン酸エステル100部(数平均分子量:2,500、水酸基価:41)と、N−メチルピロリドン31部に溶解したジメチロ―ルプロピオン酸12.4部と、ヒドロキシエチルアクリレ―ト0.35部とを混合溶解し、80℃で加熱脱気して水分を取り除いた。4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト49.2部を加え、さらに、ジブチルすずジラウレ―ト0.0298部を加えて、65℃で3時間反応させて、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を合成した。
【0044】
このウレタンプレポリマ―にアクリル酸ブチル100部を加えて攪拌し、これにさらにトリエチルアミン9.4部を加えて攪拌し、中和した。別のフラスコに蒸留水611部を入れ、1.5時間窒素置換したのち、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。この滴下後、エチレンジアミン4部を蒸留水で3倍に希釈して加え、さらにアゾビスイソブチルバレロニトリル0.02部を加えて、60℃に加熱して2時間反応させ、主鎖延長および重合を行つた。
【0045】
このようにして得られたウレタン−アクリルハイブリツド水分散物に、さらに水467部を加え、攪拌しながら、アクリル酸ブチル50部およびメタクリル酸メチル150部からなる非粘着化用単量体混合物(コポリマ―のガラス転移温度:319K)を加えて、上記水分散物のウレタン−アクリル核ポリマ―粒子に吸収させた。ついで、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.5部を加え、窒素気流下60℃で3時間加熱して、重合処理した。これにより、ポリオ―ル成分21重量%、ポリイソシアネ―ト成分10.5重量%、アクリル成分63重量%(残りの成分には中和剤やウレタンの主鎖延長剤などが含まれる)からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が水に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0046】
実施例2
非粘着化用単量体混合物として、アクリル酸ブチル20部およびメタクリル酸メチル180部(コポリマ―のガラス転移温度:361K)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリオ―ル成分、ポリイソシアネ―ト成分およびアクリル成分の量が実施例1と同じである室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が水に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0047】
実施例3
数平均分子量3,000のポリプロピレングリコ―ル(水酸基:0.00067当量/g)50部に、アクリル酸ブチル45部およびアクリル酸5部からなる単量体混合物、水酸基を有する連鎖移動剤として2−メルカプトエタノ―ル1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部を加えて、窒素気流下、50℃で6時間重合反応を行い、粘稠液体を得た。
【0048】
この粘稠液体は、GPCによる測定で、ポリプロピレングリコ―ルに由来する数平均分子量3,000のピ―クと、重合体(アクリルポリマ―)に由来する数平均分子量7,500のピ―クが認められ、ポリプロピレングリコ―ルと上記重合体の混合物であることが確認された。分析の結果、上記重合体のカルボキシル基は0.0014当量/g、水酸基は0.00025当量/gであつた。
【0049】
このような混合物からなる粘稠液体を、100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去したのち、イソホロンジイソシアネ―ト11.8部(全水酸基に対して2.3倍当量)を加え、ジブチルチンジラウレ―ト0.01部を加えて、65℃で3時間反応させ、イソシアネ―トプレポリマ―を合成した。
【0050】
このイソシアネ―トプレポリマ―に、トリエチルアミン7部(カルボキシル基に対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和したのち、攪拌しながら、水150部を加えて、上記プレポリマ―を水に分散させた。ついで、エチレンジアミン1.8部(残存するイソシアネ―ト基に対して等当量)を水16.2部で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応させ、主鎖延長を行つた。
【0051】
このようにして得られたウレタン−アクリルハイブリツド水分散物に、さらに水250部を加え、攪拌しながら、アクリル酸ブチル10部およびメタクリル酸メチル40部からなる非粘着化用単量体混合物(コポリマ―のガラス転移温度:330K)を加えて、上記水分散物のウレタン−アクリル核ポリマ―粒子に吸収させた。ついで、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.02部を加えて、重合反応を開始し、50℃で4時間保持したのち、70℃に昇温して1時間保持し、冷却した。このような重合処理によつて、ポリオ―ル成分29重量%、ポリイソシアネ―ト成分7重量%、アクリル成分58重量%(残りの成分には中和剤やウレタンの主鎖延長剤などが含まれる)からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が水に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0052】
実施例4
非粘着化用単量体混合物として、アクリル酸ブチル10部、アクリル酸エチル10部およびメタクリル酸メチル30部(コポリマ―のガラス転移温度:302K)を使用するようにした以外は、実施例3と同様にして、ポリオ―ル成分、ポリイソシアネ―ト成分およびアクリル成分の量が実施例3と同じである室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が水に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0053】
実施例5
数平均分子量3,000のポリテトラメチレングリコ―ル(水酸基:0.00067当量/g)50部に、アクリル酸ブチル25部、アクリル酸エチル20部、アクリル酸4.5部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5部からなる単量体混合物、水酸基を有する連鎖移動剤として2−メルカプトエタノ―ル1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部を加えて、窒素気流下、50℃で6時間重合反応を行い、粘稠液体を得た。
【0054】
この粘稠液体は、GPCによる測定で、ポリテトラメチレングリコ―ルに由来する数平均分子量3,000のピ―クと、重合体(アクリルポリマ―)に由来する数平均分子量7,400のピ―クとが認められ、ポリテトラメチレングリコ―ルと上記重合体との混合物であることが確認された。また、分析の結果、上記重合体(アクリルポリマ―)のカルボキシル基は0.0012当量/g、水酸基は0.00033当量/gであつた。
【0055】
このような混合物からなる粘稠液体を、100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去したのち、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト15.2部(全水酸基に対して2.3倍当量)を加え、さらにジブチルチンジラウレ―ト0.01部を加え、65℃で3時間反応させることにより、イソシアネ―トプレポリマ―を合成した。
【0056】
このイソシアネ―トプレポリマ―に、トリエチルアミン6.3部(カルボキシル基に対して等当量)を加えて、カルボキシル基を中和したのち、攪拌しながら、水150部を加えて、上記プレポリマ―を水に分散させた。ついで、エチレンジアミン1.9部(残存するイソシアネ―ト基に対して等当量)を水17.1部で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応させ、主鎖延長を行つた。
【0057】
このようにして得られたウレタン−アクリルハイブリツド水分散物に、さらに水280部を加え、攪拌しながら、アクリル酸ブチル16部およびメタクリル酸メチル64部からなる非粘着化用単量体混合物(コポリマ―のガラス転移温度:330K)を加え、窒素気流中で1時間攪拌して、上記水分散物のウレタン−アクリル核ポリマ―粒子に吸収させた。50℃に昇温し、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)〕プロパン0.02部を加え、重合反応を開始し、50℃で4時間保持したのち、70℃に昇温して1時間保持し、冷却した。この重合処理により、ポリオ―ル成分24.6重量%、ポリイソシアネ―ト成分7.5重量%、アクリル成分64重量%(残りの成分には中和剤やウレタンの主鎖延長剤などが含まれる)からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が水に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を得た。
【0058】
上記の実施例1〜5の各ウレタン−アクリル水分散体を、離型処理したポリエステルフイルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの均一なフイルムを作製した。このフイルムを用いて、下記の方法で引張試験を行い、引張弾性率および破断伸びを測定し、また下記の方法で応力残存率を測定した。これらの結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0059】
<引張試験>
フイルムを断面積約2mm2 となるようにサンプリングし、引張試験機として、オ―トグラフAGS−50D型(島津製作所製)を用い、試験サンプルの長さを10mmとし、300mm/分の引張速度で引張試験を行い、そのときの応力−ひずみ曲線の最初の直線部分から、下記の式にしたがつて、引張弾性率を計算した。また、破断時の強度(破断強さ)および破断伸びを読み取つた。
Figure 0004130718
F:引張応力
A:断面積
ΔL:歪み(伸び)の変化量
Lo:サンプルの初期長さ
【0060】
<応力残存率>
上記の引張試験と同じサンプルで、かつ同じ引張試験機を用いて、300mm/分の引張速度で引張り、50%伸張時点(5mm)で引張試験を止め、その後の応力の変化を読み取り、下記の式に示すように、50%伸張時点の応力に対して、1分後の応力を、応力残存率とした。
Figure 0004130718
【0061】
Figure 0004130718
【0062】
以上の結果から明らかなように、上記の実施例1〜5の方法により、乳化剤を使用することなく、室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が水に安定に分散されたウレタン−アクリル水分散体を製造でき、この水分散体によれば、造膜性にすぐれて、良好な耐水性を示すとともに、引張り特性(引張弾性率、破断強さおよび破断伸び)が良好で、また応力残存率の低い、応力緩和性にすぐれたフイルムを作製できるものであることがわかる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマ―が乳化剤を用いることなく水に安定に分散された水分散体であつて、そのフイルム化物の耐水性にすぐれ、かつ機械的強度や伸び特性などの物性にすぐれて、この物性の設計が容易である、粘着テ―プや医療用テ―プの支持体などに適したウレタン−アクリル水分散体とその製造方法を提供できる。

Claims (4)

  1. a)ポリオール成分、ポリイソシアネート成分およびアクリル成分からなるウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製し、b)この水分散物にその固形分20〜90重量%に対し、上記以外のアクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマーのガラス転移温度が273K以上となる非粘着化用単量体80〜10重量%を加えて、重合処理することからなり、かつ上記のa工程において、(イ)ポリオール成分とポリイソシアネート成分を用いてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを合成し、これにアクリル成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を混合し、この混合物を上記プレポリマーのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による上記プレポリマーの主鎖延長および上記単量体の重合を行って、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製するか、または(ロ)ポリオール成分に、アクリル成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分としこれにカルボキシル基含有単量体を加えた単量体混合物を共重合させてなる分子内にカルボキシル基および水酸基を有する重合体を混合し、この混合物にポリイソシアネート成分を反応させてイソシアネートプレポリマーを合成し、このプレポリマーを上記カルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による主鎖延長を行って、ウレタン−アクリルハイブリッド水分散物を調製することにより、ポリオール成分10〜50重量%、ポリイソシアネート成分2〜20重量%およびアクリル成分40〜90重量%からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマーの水分散体であって、そのフイルム化物の引張試験での引張弾性率が0.5 Kg mm 2 以上で、破断伸びが300%以上であるウレタン−アクリル水分散体を製造することを特徴とするウレタン−アクリル水分散体の製造方法。
  2. フイルム化物を50%伸張させたときの1分後の応力残存率が40%以下である請求項1に記載のウレタン−アクリル水分散体の製造方法
  3. ポリオール成分がポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを主体とする請求項1に記載のウレタン−アクリル水分散体の製造方法
  4. b工程において、非粘着化用単量体が(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマーのガラス転移温度が300K以上となる単量体である請求項1〜3のいずれかに記載のウレタン−アクリル水分散体の製造方法。
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