JP4740001B2 - 逆セル型製氷機 - Google Patents

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Description

本発明は、下向きに開口した複数の製氷室を有する冷却器と、冷却器の製氷室を下方から閉塞するよう傾復動可能に配設され、各製氷室に対向する位置に噴水孔を備えた水皿を備え、噴水孔から各製氷室内に噴水して製氷を行う所謂逆セル型製氷機に関するものである。
従来、この種製氷機、特に、逆セル型製氷機は、下向きに開口した多数の製氷室を有する冷却器と、この冷却器の製氷室を下方から閉塞するよう傾復動可能に配設され、各製氷室に対向する位置に噴水孔を備えた水皿と、この水皿と一体的に設けられ、当該水皿上面からの水を受けて貯留する水タンクと、この水タンク内の水を吸い上げて噴水孔から噴出させる循環ポンプと、水皿の上面に散水する散水器等にて構成される。
そして、当該逆セル型製氷機は、水皿が製氷室を閉塞する水平閉塞位置で循環ポンプを運転し、水皿内の水を噴水孔より噴射して製氷室内に氷を生成する製氷工程と、水皿が製氷室を開放する傾斜開放位置で冷却器を加熱して製氷室内に生成された氷を製氷室から脱離する離氷工程を交互に繰り返して製氷を行うものであった。
具体的に、製氷工程では、先ず、散水器から水タンク内に給水が行われ、この水タンク内の水が満水になると、循環ポンプが駆動され、当該循環ポンプにより噴水孔から当該水タンク内の水が各製氷室内に噴出される。同時に、冷却装置の圧縮機が駆動され、冷却器内にて冷媒が蒸発される。この冷却器における当該冷媒の蒸発による吸熱作用により各製氷室が冷却される。これにより、各製氷室内に氷が生成されていく。このとき、噴水孔から噴出した水のうち、氷に成らず余った水は水タンク内に回収される。
上述した製氷工程により製氷室内に氷が生成されると、次に、離氷工程に移行する。当該離氷工程では、水平閉塞位置にて製氷室を閉塞していた水皿が下方向に傾動される。このとき、水タンク内に残った水は排水口からドレンパン上に流される。また、散水器から水皿上に散水されて、水皿の表面に付着している氷が洗い流される。当該洗浄水も水タンクに流れ落ちた後、排水口からドレンパン上に流される。尚、下方向に傾動した水皿は傾斜開放位置にて停止される。
一方、離氷工程に移行すると、冷却装置の圧縮機からホットガス(高温高圧の冷媒ガス)が直接冷却器に流れる。これにより、氷が製氷室から脱離して、当該脱離した氷は落下して下方に設けられた貯氷部内に貯えられる。
そして、離氷が完了すると、水皿が上方向に復動され、前記水平閉鎖位置に到達したところで停止されて、その状態で再び製氷工程に移行し、再び上述した製氷工程及び離氷工程を繰り返す。
このように、従来の逆セル型製氷機では離氷工程において、水皿を傾動する際に散水器から水皿上に散水し、水皿の表面に付着した残氷を洗い流して、離氷完了後に水皿が復動されて、水平閉塞位置に戻る際に前記水皿表面に付着した残氷が水皿と製氷室の間に挟まって、水皿が製氷室を完全に閉塞していない状態で、次の製氷が開始される不都合を解消していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−227268号公報
ところで、上述した従来の逆セル型製氷機では、消費水量が多いという問題があり、従来より当該逆セル型製氷機の消費水量を削減することが切望されていた。特に、製氷に利用されずに水タンク内に残った製氷残水や水皿の洗浄水は、再利用されること無く、そのまま全て廃棄されており、当該製氷機における排水量が供給される水(消費水量)の半分以上にも及んでいた。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、従来廃棄されていた水タンク内の水を有効に利用して、逆セル型製氷機の消費水量を削減することを目的とする。
本発明の逆セル型製氷機は、下向きに開口した多数の製氷室を有する冷却器と、この冷却器の製氷室を下方から閉塞するよう傾復動可能に配設され、各製氷室に対向する位置に噴水孔を備えた水皿と、この水皿と一体的に設けられ、水皿上面からの水を受けて貯留する水タンクと、この水タンク内の水を吸い上げて噴水孔から噴出させる循環ポンプと、水皿の上面に散水する散水器とを備え、水皿が製氷室を閉塞する水平閉塞位置で循環ポンプを運転し、水皿内の水を噴水孔より噴射して製氷工程を行い、水皿が製氷室を開放する傾斜開放位置で冷却器を加熱して離氷工程を行うものであって、製氷工程から離氷工程に移行する際、当該離氷工程に移行後も循環ポンプを所定時間継続して運転することを特徴とする。
請求項2の発明の逆セル型製氷機は、上記発明において給水温度、給水圧、冷却器の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、温度及び/又は水圧が低い場合に延長する方向で循環ポンプを継続運転する所定時間を調整することを特徴とする。
請求項3の発明の逆セル型製氷機は、請求項2に記載の発明において給水温度、給水圧、冷却器の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、温度及び/又は水圧が低い場合、水皿の傾動開始後の初期段階において当該水皿の傾動を一時停止させることを特徴とする。
本発明によれば、下向きに開口した多数の製氷室を有する冷却器と、この冷却器の製氷室を下方から閉塞するよう傾復動可能に配設され、各製氷室に対向する位置に噴水孔を備えた水皿と、この水皿と一体的に設けられ、水皿上面からの水を受けて貯留する水タンクと、この水タンク内の水を吸い上げて噴水孔から噴出させる循環ポンプと、水皿の上面に散水する散水器とを備え、水皿が製氷室を閉塞する水平閉塞位置で循環ポンプを運転し、水皿内の水を噴水孔より噴射して製氷工程を行い、水皿が製氷室を開放する傾斜開放位置で冷却器を加熱して離氷工程を行う逆セル型製氷機において、製氷工程から離氷工程に移行する際、当該離氷工程に移行後も循環ポンプを所定時間継続して運転するので、離氷工程開始後も水タンク内に残っている水を使って所定時間噴水を行えば、噴水口から噴射された水が水皿表面に落下するので、水皿上面に散水して水皿表面に付着した氷片を落とすのと同様の効果を得ることができる。
これにより、離氷工程における水皿上面の残氷を落とすための散水を無くし、若しくは、散水量を減らすことができるようになるので、散水して廃棄される水量を削減することができる。従って、当該逆セル型製氷機における消費水量を削減することができる。
更に、上述のように離氷工程における水皿上面への散水を無くし、或いは、散水量を減らせることで、水タンク内の水は製氷工程において、冷却器によって冷やされる水皿上面を通過してきた水が殆どとなる。従って、製氷工程において製氷用水の給水完了後の水タンク内の水の温度が低くなっており、水タンク内の水温を早期に低下させることが可能となり、製氷能力の向上を図ることができる。
また、散水器により供給される水の温度(給水温度)、圧力(給水圧)、冷却器の温度、又は外気温度により、離氷工程において水皿上面に付着した氷片(残氷)の流れ落ち易さが相違する。特に、冬季などには、給水温度、給水圧、冷却器の温度、又は外気温度が低くなり、このような条件の下では、水皿上面から残氷が落ち難くなる。同様に、製氷機の容量の大小関係によっても上述した残氷の問題が生じ、特に、一度に生成される氷の量が多い大型の製氷機ほど、水皿上面に残る氷片も多くなるので、水皿表面から当該氷片を落とすのに時間がかかってしまう。
そこで、請求項2の如く給水温度、給水圧、冷却器の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、温度及び/又は水圧が低い場合に延長する方向で循環ポンプを継続運転する所定時間を調整すれば、離氷工程後も継続して噴水する時間を長くすることができるので、水タンク内に残っている水を利用して、当該水皿上面の残氷を効果的に落とすことができるようになる。
特に、請求項3の如く給水温度、給水圧、冷却器の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、温度及び/又は水圧が低い場合、水皿の傾動開始後の初期段階において当該水皿の傾動を一時停止させれば、水タンク内の水が排水されずに当該タンク内に一時的に留まるので、循環ポンプによる噴水のための水も確保される。
これにより、離氷工程における水皿上面の残氷を落とすための散水を行わず、或いは、散水量を極力低減でき、より一層の節水効果を得ることができる。
本発明は、所謂逆セル型の製氷機における節水を目的とするものであり、この目的を製氷工程から離氷工程に移行する際、当該離氷工程に移行後も循環ポンプを所定時間継続して運転することにより実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
図1は本発明の一実施例の製氷機Iの正面図、図2は製氷機Iの側面図をそれぞれ示している。実施例の製氷機Iは、断熱箱体から成る本体3の前面に開閉可能な断熱扉4を備え、該断熱扉4にて閉塞された本体3内に貯氷庫Sが構成されている。そして、貯氷庫Sの上部の本体3内に製氷部IUを配し、下部には図示しない冷却装置の圧縮機及び凝縮器等が収納された機械室Mが構成されている。
実施例の製氷機Iは、下向きに開口する多数の製氷室1Aが区画形成された冷却器1と、冷却器1の各製氷室1Aを下方から閉塞する水皿5とを有する製氷部IUを備え、水皿5が製氷室1Aを閉塞する所定の水平閉塞位置で、循環ポンプ9を運転して当該水皿5内の水を噴水孔8から各製氷室1A内に噴射して製氷工程を行い、水皿5が製氷室1Aを開放する所定の傾斜開放位置で冷却器1を加熱して離氷工程を行う所謂逆セル型と称される製氷機である。ここで、上記製氷部IUの構成を図3乃至図5を用いて詳述する。図3は水皿5が水平閉塞位置にある状態の製氷機Iの製氷部IUの側面図、図4は水皿5が傾斜開放位置にある状態の製氷機Iの製氷部IUの側面図、図5は製氷部IUの平面図をそれぞれ示している。
当該製氷部IUは、各製氷室1Aと、その上壁外面に冷却装置の蒸発パイプ2を備えた上記冷却器1と、図3に示す如き所定の水平閉塞位置において各製氷室1Aを下方から余裕を持って閉塞し、各製氷室1Aに対向する位置に図8に示す如く噴水孔8及び戻り孔14が形成された水皿5と、該水皿5と一体的に設けられ、水皿5上面からの水を受けて貯留する水タンク6と、水タンク6内の水を送水管7及び図示しない分配管を経て前記噴水孔8から噴出し、各製氷室1Aへ循環せしめる循環ポンプ9と、水皿5を傾動及び復動せしめる正逆転可能な高ギヤ比の減速モータ10を備えた駆動手段としての駆動装置11と、給水電磁弁12の開放時に給水源からの水(水道水など)を水皿5の上面に散水する散水器13と、水タンク6の所定の水位を検出するフロートスイッチFSW等にて構成される。
前記減速モータ10は、支持梁15に固定された取付板16に支持されており、当該減速モータ10の出力軸10Aには、相互に出力軸10Aの半径方向の逆方向にそれぞれ延出した第1のアーム17A及び第2のアーム17Bを有する駆動カム17が取り付けられている。この駆動カム17の第1のアーム17Aの端部にはコイルバネ18(図4)の一端が取り付けられており、このコイルバネ18の他端は水皿5の他端部の側面に連結されている。これにより、水皿5の他端部はコイルバネ18を介して第1のアーム17Aの端部に連結されたかたちとされている。また、水皿5の一端部は水皿ヒンジ27を介して、支持梁15に回動自在に枢支された回動軸19に取り付けられている。
前記水皿5は、水平閉塞位置において各製氷室1Aを下方から閉塞するよう傾復動可能に配設されている。具体的には、当該水皿5の傾復動は、前記減速モータ10と、その出力軸10Aに取り付けられた前記第1のアーム17Aと、第1のアーム17Aの端部と水皿5の他端部との間に連結された前記コイルバネ18とから成る駆動装置11によって行われる。
そして、この水皿5の位置は、減速モータ10の出力軸10Aに取り付けられた非接触式の水皿位置検出スイッチ30によって検出される。水皿位置検出スイッチ30は、水皿5の傾復動と共に移動する磁石32と、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置において磁石32の磁力線に夫々対応する図示しない磁気反応素子とから構成される非接触式の水皿検出手段である。当該水皿位置検出スイッチ30は、水皿5を傾復動させる減速モータ10の出力軸10Aに取り付けられた取付具35の先端に磁石32を配すると共に、前記磁気反応素子の一方を減速モータ10の出力軸10Aの上側に、他方を減速モータ10の出力軸10Aに対して当該上側に取り付けられた磁気反応素子の半径方向(出力軸10Aの下側)に取り付けている。
具体的には、一方の磁気反応素子が減速モータ10の正転により駆動カム17が図3乃至図4において反時計回りに回転し、水皿5が前記水平閉塞位置に到達したところで、取付具35に設けられた磁石32に対応する位置に配設される。そして、磁石32がこの一方の磁気反応素子に対応する位置に到達すると、当該磁気反応素子が磁石32の磁力線を検知して出力を発生し(以下、ONという。尚、磁石32の磁力線を検知していないときはOFF)、これによって被接触で水皿5の水平閉塞位置が検出される。
また、他方の磁気反応素子は、減速モータ10の逆転により駆動カム17が図3乃至図4において時計回りに回転し、水皿5が前記傾斜開放位置に到達したところで磁石32に対応するように配されている。このように磁石32が当該磁気反応素子に対応する位置に到達すると、磁気反応素子が磁石32の磁力線を検知して出力を発生し(以下、ONという。尚、磁石32の磁力線を検知していないときはOFFしている)、これによって、非接触で水皿5の傾斜開放位置が検出される。
一方、水タンク6の回動軸19にて枢支される一端側とは反対側となる他端側(図4の右側)の下部先端には図示しない排水口が形成され、当該排水口の水タンク6の外方周囲(前方周囲)は当該排水口から排出される水タンク6内の水を水タンク6の直下に形成されたドレンパン28上に誘導するための排水案内部材26にて被覆されている。当該排水案内部材26により、排水口から排出される水は、ドレンパン28下部に形成された貯氷部Sに流れることなく、全て水タンク6の直下に位置するドレンパン28上に流れる。
当該ドレンパン28内底部には排水管36の一端が接続される。この排水管36はドレンパン28内にて開口する一端から下方向に延在し、他端は貯氷部S底部に接続された排水管37内にて開口する。従って、ドレンパン28上に流下した水、及び、貯氷部S内に貯えられた氷が溶けた水等、当該製氷機Iにて生じる全ての排水が貯氷部S底部に接続された当該排水管37から製氷機I外部に廃棄される。
前記散水器13は、水皿5の上方であって、冷却器1の一側(図3及び図5において冷却器1の左側)に配置されている。当該散水器13の底部には製氷室1Aに散水するための複数の孔13Aが形成され、上面は蓋部材24にて閉塞されている。そして、散水器13の一端は散水器ホース23を介して前記給水電磁弁12の出口に接続される。当該給水電磁弁12の入口には給水パイプ20の一端がナット38より取り付けられ、周辺部はパッキン39によりシールされている。この給水パイプ20は製氷機Iの外部に延出し、他端は給水源に接続されている。そして、給水電磁弁12が開放されると、給水源からの水(水道水等)が給水パイプ20を通って当該製氷機I内に入り、給水電磁弁12、散水器ホース23を介して散水器13に流入し、当該散水器13の底面に形成された孔13Aから水皿5の上面に散水される。
そして、冷却器1の側面には、当該冷却器1の温度を検出するための冷却器温度センサ21が設置され、水タンク6内には水タンク内の水温を検出する水温センサ22が設置されている。尚、本実施例の製氷機Iには汎用のマイクロコンピュータ等により構成された制御手段が内蔵されており(図示せず)、この制御手段により製氷機Iの全ての動作が制御されている。具体的には、当該制御手段の入力側に冷却器温度センサ21、水温センサ22、外気温度を検出する図示しない外気温度センサや冷却装置の冷媒回路内の各冷媒温度を検出する温度センサ、散水器にて供給される給水源からの水の温度(給水温度)や圧力(給水圧)を検出する図示しない給水センサ、更に、水皿位置検出スイッチ30、フロートスイッチFSWなどが接続される。
また、出力側には循環ポンプ9、水皿5を傾復動するための駆動装置11の減速モータ10、給水電磁弁12、冷却装置の図示しない圧縮機等が接続され、これらの運転や開閉が前記制御手段の入力側からの入力情報に基づき、制御されている。
特に、本発明の逆セル型製氷機Iでは、制御手段に入力される散水器13から供給される給水温度、給水圧、冷却器1の温度、又は、外気温度のうち何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、循環ポンプ9の運転、水皿5の傾動動作、及び、給水電磁弁12の開閉が制御されている。
本実施例では後述する動作で詳しく説明するが、制御手段の入力側に接続された冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度情報に基づき、離氷工程における給水電磁弁12の開閉が制御されるものとする。
以上の構成で次に本実施例の逆セル型製氷機の動作を図3、図4及び図6乃至図10を用いて説明する。始めに、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度が通常の温度である場合、即ち、通常運転時、若しくは、本実施例の製氷機として小型の製氷機を使用した場合における動作について図6の(C)に示す制御図に基づき説明する。先ず、前記制御手段により電源が投入(ON)されると、図7に示すように水皿5が水平閉塞位置に初期設定される。そして、給水電磁弁12が開放されて、図7に矢印に示すように散水器13から水皿5上面に散水され、当該水皿5に形成された戻り孔14を通って水タンク6内に給水される。
上記給水電磁弁12の開放と同時に循環ポンプ9及び冷却装置の前記圧縮機の運転が開始される。当該循環ポンプ9の運転開始により、水タンク6内の水が送水管7、図示しない分配管を経て噴水孔8から各製氷室1Aに循環される。また、噴水孔8から噴出した水のうち、氷に成らず余った水は、戻り孔14から水タンク6内に回収される。
また、当該水タンク6内への給水はフロートスイッチFSWにて水タンク6内の水が所定の水位に到達することが検知されるまで継続される。そして、水タンク6内の水が所定水位溜まったことが検知されると、前記給水電磁弁12が閉塞される。また、上記圧縮機の運転により、蒸発パイプ2内に冷媒が流入し、冷却器1から吸熱する。これにより、冷却器1の各製氷室1Aに供給される水が冷却されて、徐々に氷が生成されて行く。このとき、各製氷室1A内の氷の成長に伴い、水タンク6内の水は徐々に減少する(図8)。尚、水タンク6内の水は、上述したように循環ポンプ9の運転により、図8の矢印で示すように送水管7、図示しない分配管を経て噴水孔8から各製氷室1Aに噴出され、氷にならなかった水は、戻り孔14から水タンク6内に回収される循環を繰り返す。
そして、各製氷室1A内の氷の生成は、例えば、水タンク6の水温を検出することで判断できる。具体的には、制御手段は水温センサ22の出力に基づいて水タンク6内の水温を取り込み、水温が例えば+3℃以下に3秒間達しているか否か判断する。あるいは、冷却器温度センサ21が所定の温度まで下がっているか否か判断する。そして、この条件が満たされるまで待ち、当該条件が満たされると、次に、制御手段がその機能として有する製氷タイマの積算を開始し、上記製氷タイマの積算が所定の積算値に達するまで継続する。
そして、製氷タイマが所定の積算値に達すると、制御手段は各製氷室1A内に氷が生成されたものと判断する。このように、制御手段により各製氷室1A内に氷が生成されたと判断されると、次に、離氷工程に移行する。離氷工程に入ると、先ず、駆動装置11の減速モータ10が反転される。これにより、第1のアーム17Aが時計方向に回転して、水皿が下方向へ徐々に傾動する。また、離氷工程の初期段階には循環ポンプ9は停止されることなく、運転が継続して行われる。即ち、図8の矢印に示すように水タンク6底部に残った水を吸い上げて、噴水孔8から各製氷室1Aに循環する動作が継続して行われる。
この場合、制御手段は当該離氷工程に移行してから、予め設定された所定時間、循環ポンプ9を継続して運転する。本実施例では、離氷工程に移行し、減速モータ10が反転されてから15秒間、循環ポンプ9を継続して運転するものとする。そして、離氷工程が開始して15秒経過すると、制御手段により循環ポンプ9が停止される。
一方、減速モータ10の反転により、水皿5が傾斜開放位置まで傾動すると、取付具35の磁石32が水皿位置検出スイッチ30の他方の磁気反応素子に対応する位置まで移動して(図4)、当該磁気反応素子がONすると、制御手段は減速モータ10を停止させる。これにより、水皿5の傾動が停止し、水タンク6内の水は前記排水口から排水案内部材26を通って、ドレンパン28上に流れる。
一方、離氷工程に移行すると同時に、図示しないホットガス電磁弁が開かれて、冷却装置の圧縮機からホットガス(高温高圧の冷媒ガス)が直接蒸発パイプ2に流入する。これにより、氷の表面が加熱されて製氷室1Aから水皿5上に落下し、更に、当該水皿5の回動軸19にて枢支される一側とは反対側となる他側(図4において水皿5の右側)から貯氷部Sに落下して当該貯氷部S内に貯えられる。
このとき、離氷が完了したか否かの判定は、冷却器1の側面に設けられた冷却器温度センサ21の検知温度が予め設定された離氷完了温度を超えたか否かにより行われる。そして、離氷が完了すると、前記ホットガス電磁弁が閉じられると共に、駆動装置11の減速モータ10が正転される。これにより、第1のアーム17Aが反時計方向に回転して、水皿5が上方向へ徐々に復動する。そして、水皿5が水平閉塞位置に到達すると、取付具35の磁石32が回動軸10Aの上方に位置する水皿位置検出スイッチ30の一方の磁気反応素子に対応する位置まで移動して(図3)、当該磁気反応素子がONすると、制御手段により減速モータ10の運転が停止されて、水皿5の復動が停止する。
その状態で、再び製氷工程に移行する。即ち、給水電磁弁12が開放され、散水器13から水タンク8内に水(給水源からの水道水)が供給されると共に(図7)、循環ポンプ9及び冷却装置の運転が開始され、前記各製氷室1Aへの噴水と冷却器1の冷却が行われて、氷の生成が行われる上述した動作を繰り返す。
ところで、従来の逆セル型製氷機は、消費水量が非常に多く、消費水量を削減することが切望されていた。特に、従来のこの種の製氷機は、全工程において使用される水は、給水電磁弁12を操作して供給される給水源からの水道水が全てであり、これらの水のうち、実際に製氷されなかった水(水タンク内に残った製氷残水や水皿の洗浄水)は、再利用されること無く、そのまま全て廃棄されていた。このため、当該製氷機における排水量が供給される水(消費水量)の半分以上にも及んでいた。
ここで、従来の逆セル型製氷機の循環ポンプ9及び給水電磁弁12による給水制御について図6の(A)を用いて説明する。従来、循環ポンプ9は制御手段により製氷工程のみ運転され、離氷工程に移行すると運転が停止されていた。そして、水皿5が所定の傾斜開放位置に到達する所定時間前、例えば、15秒前になると、制御手段は前記給水電磁弁12を開放し、散水器13により水皿5の上面に散水を行っていた。これにより、当該水皿5上面の残氷は、散水器13より供給される給水源からの水(水道水)により洗い流されて、水タンク6内に落下した後、ドレンパン28、排水管36、排水管37を通って、製氷機外部に廃棄されていた。
そこで、当該排水を利用して給水源からの給水を減らして、消費水量の削減を図ることで係る節水に寄与できると考えられるが、水タンク内に残った前述した製氷残水には水道水に含まれるカルキやミネラル分等の不純物が濃縮されて残っているため、製氷に当該残水を利用することは好ましくない。
そこで、本発明では離氷工程において水皿5上面の残氷を洗い流すための散水に着目し、上述したように製氷工程から離氷工程に移行する際、離氷工程に移行後も循環ポンプ9を停止することなく所定時間継続して運転するものとする。即ち、離氷工程開始後も所定時間継続して循環ポンプ9を運転して、水タンク6内に残っている水を噴水孔8より水皿5の表面に噴射する。
このような循環ポンプ9の継続運転によって、図9に示すように離氷工程開始後も水タンク6内に残っている水が噴水孔8から噴射され、水皿5表面に付着した氷片(残氷)が噴水により洗い流される。そして、水皿5を洗い流した当該洗浄水の殆どは戻り孔14から水タンク6内に落下し、循環ポンプ9により吸い上げられて噴水孔8から噴射される循環を繰り返す。そして、循環ポンプ9を延長して継続運転する所定時間(離氷工程開始から15秒)経過すると、制御手段は循環ポンプ9の運転を停止する。このような、循環ポンプ9の継続運転により、水皿5表面に付着した氷片が当該噴水により全て洗い流されるので、従来の離氷工程において、散水器13により水皿5の上面に散水して、残氷を落とすのと同じ効果を得ることができる。
これにより、離氷工程における水皿5上面の残氷を落とすための散水を無くし、散水して廃棄されてしまう水量を削減することができる。これにより、消費水量の削減を図ることができる。特に、従来の散水を行った場合、水タンク6内に回り込む水が多くなるので、水タンク6内には給水時のままの温度(常温)の水が多量に蓄えられるが、本発明により散水を無くし、或いは、減らすことで、この回り込み水が無くなり、或いは、減らせるので、給水源からの給水は水皿5が閉じた後の散水が殆どとなる。
このように、水皿5が閉じた後の散水による水は、冷却器1によって冷やされる水皿5上面を通過して来た水なので、結果として水タンク6内の水温を製氷工程の早い時点から低下させることが可能となり、その分、氷を早期に生成することができる。即ち、前述したように制御手段はフロートスイッチFSWの出力に基づいて水タンク6内の水温を取り込み、水温が例えば+3℃以下に3秒間達しているか否か判断し、この条件が満たされると前記製氷タイマの積算が開始されるが、水タンク6内の水温が早期に低下することで、水温が+3℃以下まで低下する時間が短縮されるので、その分、早期に製氷工程が終了することとなる。従って、本発明により、逆セル型製氷機Iの製氷能力の向上を図ることができるようになる。
ところで、上述した逆セル型製氷機の動作は、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度が通常の温度である通常運転時、若しくは、本実施例の製氷機として小型の製氷機を使用した場合の動作であり、この場合には、離氷工程移行後に、予め設定された所定時間(15秒間)前記循環ポンプ9の運転を継続するだけで、水皿5上面の散水を行うことなく充分に水皿5表面の残氷を洗い流すことができる。しかしながら、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度が通常の温度より低い場合、或いは、本実施例の製氷機として上記小型の製氷機より容量の大きい中型の製氷機を使用した場合には、離氷工程移行後の上記所定時間の延長だけでは水皿5表面の残氷を洗い流すことができない恐れがあった。
そこで、本実施例の製氷機は、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度が予め設定された温度T1よりも低い場合には、離氷工程において散水器13からの散水を所定の短時間行うものとする。具体的な動作を図6の(D)を用いて説明する。
先ず、製氷工程における動作は図6の(C)を用いて詳述した動作と同様であるためここでの説明は省略する。そして、製氷工程から離氷工程に移行する際、上記通常運転時と同様に制御手段は当該離氷工程移行後も循環ポンプ9を所定時間継続して運転する。即ち、前述と同様に減速モータ10が正転されてから15秒間、循環ポンプ9を継続して運転するものとする。そして、離氷工程が開始して15秒経過すると、制御手段は循環ポンプ9の運転を停止する。
更に、水皿5が所定の傾斜開放位置に到達する所定時間前、例えば、15秒前になると、制御手段は前記給水電磁弁12を開放する。これにより、図10に矢印で示すように散水器13から水皿5の上面に散水が行われる。これにより、上記循環ポンプ9を運転して噴水孔8から水皿5表面に噴水する効果と、散水器13による散水の効果により、水皿5の残氷を完全に洗い流すことができる。この場合、散水器13による散水は、前記循環ポンプ9による水皿5表面への噴水の効果により、短時間にて終了することができる。尚、水皿5の上面への散水、及び当該散水により洗い流された氷片は図10に矢印で示すように水タンク6に流下し、当該水タンク6の排水口から排水案内部材26を通って、ドレンパン28上に流れ、その後、排水管36、貯氷部Sの排水管37を経て逆セル型製氷機Iの外部に廃棄される。
他方、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度が前記温度T1より更に低い温度である場合、或いは、本実施例の製氷機として上記中型の製氷機より容量の大きい大型の製氷機を使用した場合には、水皿5表面の残氷はより一層落ち難くなるので、上述した循環ポンプ9の運転による水皿5への噴水と散水器13による短時間の散水では充分に残氷を洗い流せない恐れがある。そこで、本実施例では、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度が上記温度T1より低く設定された所定の温度T2以下に低下した場合、図6の(E)に示すように離氷工程において散水器13からの散水を前記時間を更に拡大して行うものとする。これにより、運転条件や製氷機の容量に拘わらず、水皿5上の残氷を確実に洗い流すことができる。また、この場合も循環ポンプ9による水皿5表面への噴水の効果により、循環ポンプ9による水皿5表面への噴水を行わない場合より短時間で着氷を洗い落とすことができる。
尚、本実施例では、制御手段が冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度に基づき、当該冷却器1の温度が低い場合に離氷工程において給水電磁弁12を開放して、散水器13による散水を行うと共に、当該給水電磁弁12の開放時間を冷却器1の温度により調節するものとしたが、当該冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度に限らず、その他の出力の情報に基づき、給水電磁弁12を制御しても構わない。即ち、制御手段の入力側に接続された給水センサ(図示せず)により検出される給水温度や給水圧、上記冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度、又は、図示しない外気温度センサにて検出される外気温度のうちの何れか一つ若しくはこれら複数の情報に基づいて、制御手段は、温度、若しくは、水圧、或いは、温度及び水圧が低い場合に給水電磁弁12を所定時間開放して散水器13による散水を行うと共に、給水電磁弁12の開放時間を調節するものとしても本発明は有効である。
また、上記実施例1では制御手段は、当該離氷工程に移行してから、予め設定された所定時間、循環ポンプ9を継続して運転するものとしたが、本実施例では、給水温度や給水圧、冷却器1の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくはこれら複数の情報に基づいて、制御手段は、温度、若しくは、水圧、或いは、温度及び水圧が低い場合に延長する方向で前記循環ポンプ9を継続運転する所定時間を調整するものとする。
加えて、このように上述した温度、若しくは、水圧、或いは、温度及び水圧が低い場合、制御手段は、水皿5の傾動開始後の初期段階において、駆動装置11の減速モータ10を停止し、当該水皿5の傾動を一時停止するものとする。
具体的には、制御手段は、入力側に接続された給水センサにより検出される給水温度や給水圧、冷却器温度センサ21にて検出される冷却器1の温度、又は、外気温度センサにて検出される外気温度のうちの何れか一つ若しくはこれら複数の入力情報に基づいて、制御手段は、温度、若しくは、水圧、或いは、温度及び水圧が予め設定された設定値より高い通常運転時には、前記実施例1のように、離氷工程に移行してから、予め設定された所定時間(例えば、15秒間)、循環ポンプ9を継続して運転する。このように通常運転時には、当該循環ポンプ9による継続運転により水皿5の上面の残氷を洗い流すことができる。
一方、冬季など、給水温度、給水圧、冷却器の温度、又は外気温度が低くなる条件の下では、水皿5上面から残氷が落ち難くなる。即ち、水皿5表面から氷片を落とすのにより時間がかかるので、上述した所定時間(例えば、15秒間)の継続運転では水皿5の上面の残氷を洗い流すことができない恐れがある。そこで、本実施例では、前記給水温度、給水圧、蒸発器1の温度、又は外気温度のうちの何れか一つの温度又は水圧、若しくはこれら複数の温度及び水圧が予め設定された所定値以下に低下した場合には、延長する方向で前記循環ポンプ9を継続運転する所定時間を調整するものとする。
例えば、通常運転時には離氷工程に移行してから15秒間循環ポンプ9を継続して運転するものとしたが、前記給水温度、給水圧、蒸発器1の温度、又は外気温度のうちの何れか一つの温度又は水圧、若しくはこれら複数の温度及び水圧が予め設定された所定値以下に低下した場合には、更に長い時間循環ポンプ9を継続して運転する。
これにより、離氷工程後に循環ポンプ9を継続して運転し、水皿5表面に噴水する時間をより長くすることができるので、水タンク6内に残っている水を利用して、当該水皿5上面の残氷を効果的に落とすことができるようになる。その結果、散水器13による散水を無くして、或いは、より短時間とすることができるようになり、消費水量をより一層削減することができるようになる。
この場合、上記循環ポンプ9の運転時間の延長に加えて、水皿5の傾動開始後の初期段階において、駆動装置11の減速モータ10を停止し、当該水皿5の傾動を一時停止するものとすれば、水タンク6内の水が排水されずに当該タンク6内に一時的に留まるので、循環ポンプ9による噴水のための水も確保される。
これにより、水皿5表面の残氷が流れ難い条件であっても、当該循環ポンプ9による噴水を充分に長時間行うことができるので、離氷工程時における散水器13による散水を無くし、或いは、散水時間を極力短縮することができる。総じて、より一層の節水効果を得ることができる。
本発明の一実施例の逆セル型製氷機の正面図である。 図1の逆セル型製氷機の側面図である。 図1の逆セル型製氷機の水皿が水平閉塞位置にある状態の製氷部の側面図である。 図1の逆セル型製氷機の水皿が傾斜開放位置にある状態の製氷部の側面図である。 図1の逆セル型製氷機の製氷部の平面図である。 逆セル型製氷機の水皿、給水電磁弁及び循環ポンプの制御を示す図である。 製氷工程開始時における水の流れを示す模式図である。 製氷工程終了直前における水の流れを示す模式図である。 離氷工程開始時における水の流れを示す模式図である。 離氷工程の散水時における水の流れを示す模式図である。
符号の説明
I 製氷機
IU 製氷部
S 貯氷庫
FSW フロートスイッチ
1 冷却器
1A 製氷室
2 蒸発パイプ
3 本体
4 断熱扉
5 水皿
6 水タンク
7 送水管
8 噴水孔
9 循環ポンプ
10 減速モータ
10A 出力軸
11 駆動装置
12 給水電磁弁
13 散水器
14 戻り孔
17 駆動カム
17A 第1のアーム
17B 第2のアーム
18 コイルバネ
19 回動軸
20 給水パイプ
21 冷却器温度センサ
22 水温センサ
26 排水案内部材
28 ドレンパン
30 水皿位置検出スイッチ

Claims (3)

  1. 下向きに開口した多数の製氷室を有する冷却器と、該冷却器の製氷室を下方から閉塞するよう傾復動可能に配設され、前記各製氷室に対向する位置に噴水孔を備えた水皿と、該水皿と一体的に設けられ、前記水皿上面からの水を受けて貯留する水タンクと、該水タンク内の水を吸い上げて前記噴水孔から噴出させる循環ポンプと、前記水皿の上面に散水する散水器とを備え、前記水皿が前記製氷室を閉塞する水平閉塞位置で前記循環ポンプを運転し、前記水皿内の水を前記噴水孔より噴射して製氷工程を行い、前記水皿が前記製氷室を開放する傾斜開放位置で前記冷却器を加熱して離氷工程を行う逆セル型製氷機において、
    前記製氷工程から離氷工程に移行する際、当該離氷工程に移行後も前記循環ポンプを所定時間継続して運転することを特徴とする逆セル型製氷機。
  2. 給水温度、給水圧、前記冷却器の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、温度及び/又は水圧が低い場合に延長する方向で前記循環ポンプを継続運転する所定時間を調整することを特徴とする請求項1に記載の逆セル型製氷機。
  3. 給水温度、給水圧、前記冷却器の温度、又は、外気温度のうちの何れか一つ若しくは複数の情報に基づき、温度及び/又は水圧が低い場合、前記水皿の傾動開始後の初期段階において当該水皿の傾動を一時停止させることを特徴とする請求項2に記載の逆セル型製氷機。
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