JP4737737B2 - 水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法 - Google Patents

水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法に関する。より詳しくは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック及び共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックを包含し、該ビニル芳香族単量体単位及び該共役ジエン単量体単位を特定量で含むブロック共重合体を水添して得られる特定の水添率を有する水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法であって、(1)該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合して、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液が該熱水中に分散してなる分散液を得、(2)該分散液を、熱水を含有するスチームストリッピング槽に導入し、その際、該分散液を該スチームストリッピング槽の気相に、該分散液の蒸気圧P及び該スチームストリッピング槽内の気相の圧力Pが次の関係:P≧Pを満たす条件下で該熱水の表面に向かって噴出させることによって該分散液を導入し、スチームストリッピングにより該炭化水素溶媒を除去して該水添ブロック共重合体の多孔性クラムを得ることを特徴とする方法に関する。
本発明の方法によって、望ましい多孔性クラムを長時間、安定に且つ効率的に製造することができる。また、本発明の方法によって得られる多孔性クラムを脱水工程及び乾燥工程に付すことにより、多孔性乾燥クラムを長時間、安定的に製造することができる。製造される多孔性乾燥クラムは、ハンドリング性が良好であるだけでなく、含水率が低く、油吸収性に優れるため、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤を十分な量吸収することができる。そのため、このような多孔性乾燥クラムを、熱可塑性樹脂と、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤とから成形用樹脂組成物を製造する際の改質剤として用いると、外観特性に優れた成形品を製造することができる。
従来技術
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック及び共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物(以下、屡々、単に「水添ブロック共重合体」と称す)は、耐候性、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性に優れるだけでなく、加硫することなしに従来の加硫ゴムと同等の強度および弾性特性を常温で示す。そのため、このような水添ブロック共重合体は、日用雑貨品、自動車用部品、弱電部品、各種工業用品などの広い分野で用いられている。
水添ブロック共重合体は、ペレット、クラムなど様々な形態で市販されている。一般に、クラム状の水添ブロック共重合体は、液状添加剤(軟化剤、シリコンオイルなど)と熱可塑性樹脂とから成形用樹脂組成物を製造する際の改質剤として使用されている。改質後の成形用樹脂組成物から得られる成形品が優れた外観特性をもつためには、改質剤として使用されるクラムは油吸収性に優れること、具体的には、液状添加剤(軟化剤、シリコンオイルなど)を速やかにかつ充分な量吸収できることが必要である。
上記水添ブロック共重合体を製造するための重合や水添反応は、通常、触媒に対して不活性な炭化水素溶媒中で行われる。生成する水添ブロック共重合体は、炭化水素溶媒に均一に溶解しているか、あるいは懸濁した状態で得られるため、溶媒を除去する必要がある。溶媒を除去する方法として種々の方法が挙げられるが、その一つとして該水添ブロック共重合体の溶液または懸濁液を熱水中に注入し、溶媒を水蒸気と共に留去するスチームストリッピング法が知られている。この方法によって溶媒の除去を行うと、クラム状の水添ブロック共重合体を得ることができる。
日本国特開昭50−89494号公報(米国特許第4,087,484号に対応)には、特定の界面活性剤の存在下でスチームストリッピングを行い、溶媒を除去する方法が記載されている。日本国特開昭61−218614号公報には、スチームストリッピングで溶媒を除去した後、二軸ベント押出機で揮発分を除去することにより、クラムを製造する方法が記載されている。また、日本国特開平8−301929公報(米国特許第5,616,652号に対応)には、加熱した水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液をスチームストリッピングすることによって、多孔性クラムを製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、溶媒の除去に伴い粘調となった重合体が脱溶媒槽に付着したり、団塊状になったりする欠点があり、クラムを長時間、安定的に製造することは難しい。
一方、日本国特公平2−18321公報では、重合体溶液と熱水とを界面活性剤及び/又は分散剤の存在下で混合し乳化液を得、得られた乳化液を脱溶媒槽の気相部に噴出する方法を開示している。しかし、この方法を水添ブロック共重合体に応用した場合、得られる水添ブロック共重合体の湿潤クラムは粒径が小さいために、クラムの回収が難しいだけでなく、脱水工程に付した際にクラムは脱水不良となり、運転に支障をきたすなどの不利が生じる。したがって、この方法で得られた湿潤クラムを用いて乾燥クラムを長時間、安定的に製造することは難しい。
このように、従来の溶媒除去方法では、多孔性クラムを長時間、安定的に製造することはできなかった。
発明の概要
このような状況の下で、本発明者らは従来技術に伴う上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ビニル芳香族単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック及び共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックを包含し、該ビニル芳香族単量体単位及び該共役ジエン単量体単位を特定量で含むブロック共重合体を水添して得られる特定の水添率を有する水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法であって、(1)該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合して、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液が該熱水中に分散してなる分散液を得、(2)該分散液を、熱水を含有するスチームストリッピング槽に導入し、その際、該分散液を該スチームストリッピング槽の気相に、該分散液の蒸気圧P及び該スチームストリッピング槽内の気相の圧力Pが次の関係:P≧Pを満たす条件下で該熱水の表面に向かって噴出させることによって該分散液を導入し、スチームストリッピングにより該炭化水素溶媒を除去して該水添ブロック共重合体の多孔性クラムを得ることを特徴とする方法によって、望ましい多孔性クラムを長時間、安定に且つ効率的に製造することができることを、意外にも知見した。また、この方法によって得られる多孔性クラムを脱水工程及び乾燥工程に付すことにより、ハンドリング性が良好であるだけでなく、含水率が低く、油吸収性に優れる多孔性乾燥クラムを長時間、安定的に製造することができることを知見した。このようにして製造される多孔性乾燥クラムは軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤を十分な量吸収することができるため、このような多孔性乾燥クラムを、熱可塑性樹脂と、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤とから成形用樹脂組成物を製造する際の改質剤として用いると、外観特性に優れた成形品を製造することができる。これらの知見に基づいて、本発明を完成した。
したがって、本発明の一つの主要な目的は、脱水工程及び乾燥工程に付すことによって多孔性乾燥クラムとした際に、良好なハンドリング性、低含水率、高油吸収性などの優れた特性を発揮する多孔性クラムを長時間、安定に且つ効率的に製造する方法を提供することである。
本発明の上記及び他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、添付の図面を参照しながら述べる次の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明によれば、水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法であって、 該水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック及び共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックを包含し、該ビニル芳香族単量体単位の該共役ジエン単量体単位に対する重量比が5/95〜95/5であるブロック共重合体を水添して得られ、該共役ジエン単量体単位の二重結合の30%以上が水添されている水添ブロック共重合体であり、(1)該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合し、該溶液が該熱水中に分散した分散液を得、(2)該分散液を、熱水を含有するスチームストリッピング槽に導入し、その際、該分散液を該スチームストリッピング槽の気相に、該分散液の蒸気圧P(MPa)及び該スチームストリッピング槽内の気相の圧力P(MPa)が次の関係: P≧Pを満たす条件下で該熱水の表面に向かって噴出させることによって該分散液を導入し、スチームストリッピングにより該炭化水素溶媒を除去して該水添ブロック共重合体の多孔性クラムを得る、ことを特徴とする方法が提供される。
本発明の理解を容易にするために、以下、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1.水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法であって、 該水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位が50重量%以上である少なくとも1個の重合体ブロック及び共役ジエン単量体単位が50重量%を超す少なくとも1個の重合体ブロックを包含し、該ビニル芳香族単量体単位の該共役ジエン単量体単位に対する重量比が5/95〜95/5であるブロック共重合体を水添して得られ、該共役ジエン単量体単位の二重結合の30%以上が水添されている水添ブロック共重合体であり、(1)該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合し、該溶液が該熱水中に分散した乳化されていない分散液を得、(2)該分散液を、熱水を含有するスチームストリッピング槽に導入し、その際、該分散液を該スチームストリッピング槽の気相に、該分散液の蒸気圧P(MPa)及び該スチームストリッピング槽内の気相の圧力P(MPa)が次の関係:P≧Pを満たす条件下で、かつ該乳化されていない分散液が分散状態を維持している間に、該熱水の表面に向かって噴出し、スチームストリッピングにより該炭化水素溶媒を除去して該水添ブロック共重合体の多孔性クラムを得る、ことを特徴とする方法。
.工程(1)の後であって工程(2)を行う前に、該分散液を圧力調節弁を通過させることにより、該圧力調節弁の入り口における該分散液の圧力P(MPa)を、該分散液の蒸気圧P(MPa)以上の圧力に調節することを特徴とする、前項1に記載の方法。
.該分散液中の熱水の該水添ブロック共重合体溶液に対する重量比が1.0〜100であることを特徴とする、前項1に記載の方法。
.工程(2)において、該分散液の蒸気圧Pが該スチームストリッピング槽内の気相の圧力Pより0.05MPa以上高いことを特徴とする、前項1に記載の方法。
.工程(2)における該分散液の該スチームストリッピング槽内の気相への噴出を、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液と熱水とを混合した後5秒以内に行うことを特徴とする、前項1に記載の方法。
.工程(1)の後であって工程(2)を行う前に、該分散液を静止型管内混合器を用いて攪拌することを特徴とする、前項1に記載の方法。
.該静止型管内混合器を用いて該分散液を攪拌した後であって工程(2)を行う前に、該分散液を圧力調節弁を通過させることにより、該圧力調節弁の入り口における該分散液の圧力P(MPa)を、該分散液の蒸気圧P(MPa)以上の圧力に調節することを特徴とする、前項7に記載の方法。
.該水添ブロック共重合体の分子量が70,000以上であることを特徴とする前項1に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、重合体を構成する各単量体単位の命名は、該単量体単位が由来する単量体の命名に従っている。それ故、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族炭化水素を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。又、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエン単量体を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に対応するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
本発明の方法の工程(1)においては、水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合して、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液が該熱水中に分散してなる分散液を得る。
本発明に用いられるブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック(以下、「Aブロック」と称す)及び共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック(以下、「Bブロック」と称す)を包含するものであり、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を5/95〜95/5の重量比で含有するものである。
本発明に用いられるブロック共重合体に関しては、上記の条件を満たす限り特に限定はない。ブロック共重合体として、公知のものを用いることができる。
ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位含有量は、好ましくは10〜90重量%である。更に、上記の範囲内でビニル芳香族単量体単位含有量を多くするか少なくするかによって異なった特性のブロック共重合体を得ることができる。即ち、ビニル芳香族単量体単位含有量が60重量%以下である場合、特に55重量%以下である場合、ブロック共重合体は熱可塑性弾性体に類似の特性を示す。一方、ビニル芳香族単量体単位含有量が60重量%を越える場合、特に65重量%以上である場合、ブロック共重合体は熱可塑性樹脂に類似の特性を示す。
Aブロックの例としては、(A−1)ビニル芳香族単量体単位のみからなるブロック、及び(A−2)ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とからなる共重合体ブロックであって、ビニル芳香族単量体単位含有量が50重量%以上(好ましくは70重量%以上)であるもの、を挙げることができる。
Bブロックの例としては、(B−1)共役ジエン単量体単位のみからなるブロック、及び(B−2)共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる共重合体ブロックであって、共役ジエン単量体単位含有量が50重量%を超すもの(好ましくは70重量%以上であるもの)、を挙げることができる。
ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とからなる上記の共重合体ブロック(A−2)及び(B−2)の重合形態に関しては、特に限定はない。たとえば、共重合体ブロック中の芳香族ビニル単量体単位または共役ジエン単量体単位は、均一に分布していてもよいし、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、芳香族ビニル単量体単位又は共役ジエン単量体単位が均一に分布している重合体ブロック及び/又はテーパー状に分布している重合体ブロックがそれぞれ複数個共存していてもよい。また、本発明で使用するブロック共重合体は、異なった組成を有するブロック共重合体の混合物でもよい。
本発明に用いられるブロック共重合体の例として、開始剤として多官能性有機リチウム化合物などを使用したり、活性末端をもつブロック共重合体を適当なカップリング剤でカップリングさせたりすることによって得られる、線状ブロック共重合体、あるいは、ラジアルブロック共重合体を挙げることができる。上記のブロック共重合体の例として、下記式で表される線状ブロック共重合体、あるいは、ラジアルブロック共重合体を挙げることができる。
(A−B)、A−(B−A)、B−(A−B)、 [(B−A)−X、[(A−B)−X、 [(B−A)−B]−X、 [(A−B)−A]−X(式中、Aは、芳香族ビニル単量体を主体とする重合体ブロック(Aブロック)を表し、Bは、共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロック(Bブロック)を表す。mは2以上の整数であり、nは1以上の整数である。Xは多官能カップリング剤の残基、または多官能性有機リチウム化合物などの開始剤の残基を表す。)
なお、上記多官能カップリング剤の残基Xを有するラジアルブロック共重合体の場合、用いた多官能カップリング剤の官能基の全てが反応していなくてもよい。例えば、4官能のカップリング剤を用いてラジアルブロック共重合体を製造した場合、得られるラジアルブロック共重合体は(A−B)−X、(A−B)−X、(A−B)−X、及びA−B−Xからなる群より選ばれる少なくとも2種の重合体の混合物であってもよい。
上記多官能カップリング剤については特に限定はない。多官能カップリング剤の例として、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、メチルトリブロモシラン、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四塩化ケイ素、四塩化スズなどのポリハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、トリメット酸エステル、フタル酸エステルなどのエステル類、エポキシ化大豆油、ジグリシジル化ビスフェノールA、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチル−シクロヘキサンなどのポリエポキシ化合物を挙げることができる。
本発明に用いられる芳香族ビニル単量体単位の例として、スチレン、O−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンに由来する単量体単位を挙げることができる。これらのうち、スチレンに由来する単量体単位が特に好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
共役ジエン単量体単位の例として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンに由来する単量体単位を挙げることができる。これらのうち、1,3−ブタジエン、イソプレンなどに由来する単量体単位が特に好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
Bブロックを直鎖状共役ジエン単量体である1,3−ブタジエンを重合して得た場合には、Bブロックとしてポリブタジエンブロックが形成される。ポリブタジエンのミクロ構造にはシス、トランスの1,4結合とビニルの1,2結合とがある。これらの比率に関しては、特に限定はない。これらの比率は、重合条件によっても変化する。1,2結合の比率はBブロック中で好ましくは10〜95モル%であり、さらに好ましくは10〜80モル%である。また、Bブロックがイソプレンを重合して得たポリイソプレンブロックの場合、3,4−ビニル結合の比率は、Bブロック中で好ましくは3〜80モル%であり、さらに好ましくは5〜70モル%である。
更に、本発明の方法で得られた多孔性クラムを脱水工程及び乾燥工程に付して得られた多孔性乾燥クラムにオイルなどの液状の軟化剤や可塑剤を配合したものを熱可塑性樹脂に添加して成形用樹脂組成物を製造する場合、この樹脂組成物の成形品が外観特性に優れたものとなるために、水添ブロック共重合体中の共役ジエン単量体単位のビニル結合の量が次の範囲にあることが好ましい。共役ジエン単量体として1,3−ブタジエンを使用する場合には、1,2−ビニル結合が25〜75モル%、イソプレンを使用する場合には、3,4−ビニル結合が5〜70モル%、また、1,3−ブタジエンとイソプレンとを使用する場合にはビニル結合の合計量が8〜70モル%であることが好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は公知の方法で製造できる。炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物などのアニオン開始剤を用い、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体をブロック共重合しブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を得る方法が好ましい。この方法は、日本国特公昭36−19286号公報(米国特許第2,975,160号に対応)、日本国特公昭43−17979号公報(米国特許第4,600,749号に対応)、日本国特公昭49−36957号公報(米国特許第3,281,383号に対応)などに記載されている。
上記の炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、あるいは、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが使用できる。これらは1種類のみならず2種類以上混合して使用してもよい。特に好適な溶媒は、シクロヘキサンである。
上記のブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液中の炭化水素溶媒の量は、ブロック共重合体100重量部に対して50〜4,000重量部が好ましく、更に好ましくは100〜2,000重量部である。なお、ブロック共重合体の性質によっては、ブロック共重合体が炭化水素溶媒に不溶で懸濁状態で得られる場合もあるが、本発明においてはこれらもブロック共重合体溶液と呼ぶことにする。
上記のアニオン開始剤として用いる有機リチウム化合物とは、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した化合物、即ち、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。有機リチウム化合物の例として、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムを挙げることができる。これらは1種類のみならず2種類以上混合して使用してもよい。また、これらは、ブロック共重合体の製造において、重合途中で1回以上分割添加してもよい。
本発明においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス/トランス/ビニルの比率)の変更、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体の反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2、2、2]オクタンなどのアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシドなどが挙げられる。特にTMEDAのような第三級アミン類やテトラヒドロフランのようなエーテル類が好ましい。
また本発明においては、少なくとも1つの重合体鎖末端に極性基含有基が結合した末端変性ブロック共重合体を使用することもできる。極性基含有基としては、例えば水酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリル基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スタンニル基、アルコキシスタンニル基、およびフェニルスタンニル基などから選ばれる少なくとも1種の極性基を含有する基が挙げられる。具体的には、日本国特公平4−28034号公報(米国特許第5,115,035号に対応)に記載された末端変性ブロック共重合体を使用することができる。
上記のブロック共重合は失活剤を用いて停止させてもよい。本発明で用いられる失活剤の例として、リビング重合体の活性末端を失活させることのできる活性水素を有する公知の重合停止剤が挙げられる。好適なものは水、炭素数が1〜10であるアルコール、ケトン、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、フェノール類、酸化防止剤でもあるヒンダードフェノール、酸、ハロゲン化炭化水素、アミンおよびこれらの混合物である。特に、炭素数1〜3の脂肪族飽和アルコールであるメタノール、エタノール、プロパノールは沸点が低く揮発性に優れることから、溶媒除去して得られたブロック共重合体またはその水添物中に残存しないため臭気がない点で好ましい。
本発明においては、通常、上記で得られたブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液、または、ブロック共重合体を炭化水素溶媒に溶解して得られた溶液を水素添加反応(以下水添反応と記す)に付し、共役ジエン単量体単位の不飽和結合の30%以上が水添された水添ブロック共重合体溶液を得る。水添反応に際し、ブロック共重合体溶液の活性末端は、必要に応じて、重合停止剤により不活性化してもよいし、活性末端のままでおこなってもよい。
上記の水添反応に使用される触媒の例として、(1)担持型不均一系触媒、(2)チーグラー型触媒、有機錯体触媒、あるいはチタノセン化合物を用いる均一系触媒、を挙げることができる。
水添反応は、日本国特公昭63−4841号公報、(米国特許第4,501,857号に対応)および日本国特公昭63−5401号公報(米国特許第4,501,857号に対応)に記載された方法で行うことができる。これらの方法では、炭化水素溶媒中で水添触媒の存在下に水素を添加することによって水添ブロック共重合体の溶液を得ている。
本発明の方法の工程(1)で用いる水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液としては、上記の水添反応で得られる反応混合物をそのまま用いてもよく、また、水添ブロック共重合体を炭化水素溶媒中に溶解して得られたものを用いてもよい。後者の場合、用いる溶媒としては上記のブロック共重合体の製造に用いる溶媒と同様のものを用いることができる。
水添ブロック共重合体溶液中に含まれる溶媒の量は、水添ブロック共重合体100重量部に対して好ましくは50〜4,000重量部、さらに好ましくは100〜2,000重量部である。
なお、水添ブロック共重合体の性質や溶媒の種類によっては、水添ブロック共重合体が溶媒に溶解し難く、懸濁状で得られる場合もある。本発明においては、これらも水添ブロック共重合体の溶液と称する。
本発明の多孔性クラムを構成する水添ブロック共重合体の水添率は、反応温度、反応時間、水素供給量、触媒量などを調整することによって選択することができる。
本発明で用いられる水添ブロック共重合体において、共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率は30%以上であり、好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上である。共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が30%未満である場合、多孔性クラムをさらに脱水工程・乾燥工程に付すことによって得られる多孔性乾燥クラムを含有する成形用樹脂組成物を成形する際に熱劣化を受けやすくなったり、該組成物に用いる他の樹脂との相容性が不十分になったりする。
上記の成形用樹脂組成物を用いて、耐熱性や耐候性に優れた成形品を得るには、上記共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率はなるべく高くすることが好ましい。
本発明で用いられる水添ブロック共重合体において、ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の二重結合の水添率については、特に制限はないが、この水添率は好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
水添率は赤外分光光度計(IR)や核磁気共鳴装置(NMR)などを用いて測定できる。
本発明の方法で得られる多孔性クラムを構成する水添ブロック共重合体の分子量は、多孔性クラムをさらに脱水工程・乾燥工程に付すことによって得られる多孔性乾燥クラムの生産性、および、多孔性乾燥クラムを成形用樹脂組成物に用いた場合の成形性と得られる成形品の物性とのバランスを考慮して、適宜決められる。水添ブロック共重合体の分子量は、好ましくは70,000以上であり、さらに好ましくは70,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは90,000〜800,000であり、最も好ましくは200,000〜800,000である。
分子量が上記の範囲にあると、上記の多孔性乾燥クラムを含む成形用樹脂組成物を成形して得られる成形品が優れた引張強度や耐圧縮歪み特性などを示し、自動車用部品、工業部品、医療用器具などの材料として好適である。
なお、水添ブロック共重合体の分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる水添ブロック共重合体のクロマトグラムのピークの分子量を、標準単分散ポリスチレンのクロマトグラムから求めた検量線を用いて求めたものである。
上記の水添ブロック共重合体溶液には、安定剤(主として酸化防止剤)などを加えることができる。安定剤を加えることは、本発明の方法の工程(2)において溶媒を除去する際に重合体が酸化的劣化や熱的劣化を起こすことを防止する上で有効である。
安定剤は、従来から使用されてきた公知の安定剤であれば特に限定はない。フェノール系、有機ホスフェート系、有機ホスファイト系、アミン系、イオウ系安定剤などの種々の公知の安定剤が使用される。安定剤は一般に水添ブロック共重合体100重量部に対し、0.001〜10重量部の範囲で使用される。
また、着色防止などのため、カルボン酸、炭酸ガス、アルコールを加えることもできる。
本発明の方法の工程(1)において、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合して、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液が該熱水中に分散してなる分散液を得る方法については、特に限定はない。分散させる方法の例として、該溶液と熱水とを混合器(a)に導入して、静的攪拌または機械的攪拌を行いながら該溶液と熱水とを混合する方法を挙げることができる。
静的攪拌を行いながら該溶液と熱水とを混合する方法の例として、混合器(a)中の熱水へ該溶液を噴出することによって混合する方法、及び分散液調製用の混合器(a)として静止型管状混合器を用いて混合する方法が挙げられる。
混合器(a)中の熱水へ該溶液を噴出することによって混合する方法は、該溶液を噴出する際の高速流によるせん断力や衝撃力などの作用によって混合を行う方法である。該溶液の噴出にはノズルを使用するのが好ましい。
分散液調製用の混合器(a)として用いる静止型管内混合器(static tubular agitator)は駆動部のない混合器である。静止型管状混合器の中の流体は、管内に組み込まれたエレメントを通過する際に、分割、位置移動、渦流による乱流攪拌を受け、攪拌混合処理がなされる。該分散液調製用の静止型管状混合器は、比重の異なる2液を静的に攪拌・混合する装置であれば、特に限定はない。具体例として、STATIC MIXER(日本国、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)、Hi−MIXER(日本国、東レエンジニアリング株式会社製)、T.K.−ROSS ISG MIXER、T.K.−ROSS LPD MIXER(いずれも日本国、特殊機化工業株式会社製)などの装置を挙げることができる。後述のするように混合液は安定に乳化分散した状態ではないことが好ましいので、後述する工程(2)におけるスチームストリッピング槽の直前まで攪拌混合が可能となる静止型管内混合器を分散液調製用の混合器(a)として使用することが好ましい。
機械的攪拌とは、機械的エネルギーによってせん断力、ズリ力などを与える攪拌である。機械的攪拌を行いながら該溶液と熱水とを混合するために用いられる混合器(a)の具体例として、攪拌機、ラインミキサー、ホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーを挙げることができる。
また、超音波エネルギーを利用した超音波分散装置を混合器(a)として用いて該溶液を熱水中に分散させることも可能である。
また、後述するように、上記混合器(a)を用いて得られた分散液を、工程(2)を行う前に更なる混合器(b)として静止型管内混合器を用いて更に攪拌してもよい。
該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液と混合する熱水として、イオン交換水、後述する工程(2)で用いるスチームストリッピング槽から返送された循環水の両方を使用できる。熱水として供給され得る循環水の量を調節するために、循環水は排出したり、スチームストリッピング槽へ返送したりすることができる。
混合溶液中の水添ブロック共重合体溶液に対する熱水の重量比は、1.0〜100であることが好ましく、2.5〜30であることがさらに好ましく、3.5〜20であることが特に好ましい。重量比が1.0未満である場合、熱水中での水添ブロック共重合体溶液の分散状態が悪くなる傾向がある。また、重量比が100より大きい場合、生産コスト上不利であるだけでなく、脱水工程での運転の障害となる傾向がある。
混合前の水添ブロック共重合体溶液の温度は、室温〜200℃以下であることが好ましい。また、混合前の熱水の温度は、室温を超え、300℃以下であることが好ましく、100〜200℃であることが更に好ましい。
水添ブロック共重合体溶液が熱水中に分散した分散液の温度は、後述する該分散液の蒸気圧Pが後述の圧力条件を満たすように調節することが望ましい。該分散液の温度は、通常300℃以下、好ましくは200℃以下である。得られるクラムの多孔性と細孔径の大きさを考慮した場合、分散液の温度は100〜180℃の範囲であることがさらに好ましく、100〜150℃であることが特に好ましい。
分散液の温度を調節する方法は、特に限定されない。分散液の温度を調節する方法の例として、混合前の水添ブロック共重合体溶液の温度と混合前の熱水の温度とのうちの少なくとも1つを調節することによって分散液の温度を調節する方法、及び、伝熱管内に静止型管内混合器を有する多管型熱交換器を使用して分散液の温度を調節する方法が挙げられる。
本発明の方法の工程(2)においては、該分散液を、熱水を含有するスチームストリッピング槽に導入し、その際、該分散液を該スチームストリッピング槽の気相に、該分散液の蒸気圧P(MPa)及び該スチームストリッピング槽内の気相の圧力P(MPa)が次の関係: P≧Pを満たす条件下で該熱水の表面に向かって噴出させることによって該分散液を導入し、スチームストリッピングにより該炭化水素溶媒を除去して該水添ブロック共重合体の多孔性クラムを得る。
なお、本発明においては、圧力の大きさは絶対圧(MPa)で表す。
上記工程(2)におけるスチームストリッピングの具体的な方法は特に限定されるものではなく、従来知られている方法を採用することができる。例えば、日本国特公平4−65082号公報に記載の方法で行うことができる。
本発明の方法においては、分散液の蒸気圧P及びスチームストリッピング槽の気相の圧力Pが上記の関係(P≧P)を満たさない場合、スチームストリッピング槽の気相中での水添ブロック共重合体からの炭化水素溶媒の分離が不十分となる。
本発明の方法においては、工程(1)の後であって工程(2)を行う前に、該分散液を圧力調節弁を通過させることにより、該圧力調節弁の入り口における該分散液の圧力P(MPa)を、該分散液の蒸気圧P(MPa)以上の圧力に調節することが好ましい。上記の圧力調節弁は、通常、上記の分散液をスチームストリッピング槽に導入するための配管に連結させて用いる。この場合、分散液の圧力Pは、該圧力調節弁の入り口における該配管の内壁面に対する分散液の圧力として定義される。
分散液の圧力Pが分散液の蒸気圧Pより小さい場合、次のような問題が生ずる恐れがある。分散液が圧力調節弁を通過する前に水添ブロック共重合体溶液の溶媒が蒸発し、分散液中の水添ブロック共重合体の濃度が増加する。したがって、分散液の粘度が上がり、場合によっては水添ブロック共重合体の析出固化が起こるため、分散液中の水添ブロック共重合体溶液の分散状態が乱され、好ましい多孔性クラムを得ることが困難になる。また、場合によっては、圧力調節弁などで詰まりを生じ、長時間の運転が不可能となる場合がある。
従って、本発明においては、分散液の蒸気圧P、スチームストリッピング槽の気相の圧力P及び分散液の圧力Pが下記関係: P≧P≧Pを満たすことが好ましい。
上記の関係を満たすように分散液の圧力P、分散液の蒸気圧P、及びスチームストリッピング槽の気相の圧力Pを調節する方法の一例として、次のような方法を挙げることができる。まず、スチームストリッピング槽の気相の圧力Pを定める。次に、分散液の温度を調節することによって、上記の関係が成り立つように分散液の蒸気圧Pを調節する。さらに、圧力P以上の圧力の任意の一定値をとり、分散液の圧力Pがこの一定値となるように調節する。
圧力Pを一定値に調節する方法の一例として、上記の圧力調節弁の弁開度を常時調節する方法が挙げられる。圧力調節弁の弁開度を調節することによって圧力Pを一定値に調節する方法の一例として、次のような方法が挙げられる。
上記の圧力調節弁の入り口部分の上記配管の側面よりノズルを出し、その末端にダイアフラム方式の圧力伝送機を設置し、圧力を検出し、信号を現場型圧力調節計に送る。圧力調節計は、信号として送られた圧力の値と予め調節計に設定されていた圧力設定値とを比較して、偏差があれば、その偏差に従って調節操作を行うための信号を圧力調節弁に伝える(フィードバック調節)。入力信号に対する出力信号の出し方を規定する調節動作は、PID動作(比例−積分−微分動作)などのような公知技術によって行われる。
本発明では、分散液の蒸気圧Pがスチームストリッピング槽の気相の圧力Pより0.05MPa以上高くなるように調節することが好ましく、0.10MPa以上高くなるように調節することがさらに好ましい。
分散液の蒸気圧Pは高い方が好ましい。蒸気圧Pの上限に関しては特に限定はないが、通常4.90MPa以下の範囲で運転される。
本発明において、該分散液は乳化されていないものを用いる。本発明において、「該分散液が乳化されていない」とは、該工程(1)における分散液の攪拌停止後60秒以内に水添ブロック共重合体溶液と熱水とが二層分離することを意味する。本発明で用いる分散液は、通常、攪拌停止後10秒前後で水添ブロック共重合体溶液と熱水とに二層分離する。
本発明では、分散剤や界面活性剤が分散液を含有することにより乳化されている(即ち、分散液の攪拌停止後60秒以内に水添ブロック共重合体溶液と熱水とが二層分離しない)場合、得られる多孔性クラムの粒径が小さくなりすぎるため、さらに脱水工程を行う場合、運転に支障をきたす傾向がある。更に、クラムの形で得られる水添ブロック共重合体中に分散剤や界面活性剤が残存し、水添ブロック共重合体の物性が悪化するという不利が生じ易い。
本発明においては、上記のように乳化されていない分散液が、分散状態を維持している間に、スチームストリッピング槽に導入することが望ましい。
水添ブロック共重合体溶液と熱水とを混合して分散液を得てから、水添ブロック共重合体溶液と熱水とが二層分離するまでの時間を、分散液の分散維持時間と称する。既知の条件下での分散液の分散維持時間は、予め実験によって求めておくことができる。したがって、分散液を得てから、この分散液を工程(2)においてスチームストリッピング槽の気相中に噴出させるまでの時間を、予め実験によって求めておいた分散維持時間より短くすることにより、該混合液が水添ブロック共重合体溶液が熱水中に分散した分散液である間に、該混合液をスチームストリッピング槽の気相中に噴出させることができる。本発明においては、分散液として得られた混合液が分散状態を維持しているうちに分散液をスチームストリッピング槽の気相中に噴出させるためには、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液と熱水とを混合した後、分散液の分散維持時間以内に分散液をスチームストリッピング槽の気相中に噴出させる必要がある。具体的には、工程(2)における該分散液の該スチームストリッピング槽内の気相への噴出を、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液と熱水とを混合した後5秒以内に行うことが好ましく、2秒以内に行うことが更に好ましい。ここで「該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液と熱水とを混合した後」とは、“分散液を得るために用いた混合器(a)において攪拌を停止した後”もしくは“分散液を得るために用いた混合器(a)から分散液を取出した後”のことを意味する。また、後述するように、分散液を得た後に該分散液を更なる混合器(b)として静止型管内混合器を用いて更に攪拌する場合は、“更なる混合器(b)として用いた静止型管内混合器から分散液が排出された後”のことを意味する。
また、本発明においては、上記したように工程(1)の後であって工程(2)を行う前に、上記の混合器(a)を用いて得られた該分散液を更なる混合器(b)として静止型管内混合器を用いて攪拌することが好ましい。上記の圧力調節弁を用い、更に混合器(b)として上記の静止型管内混合器を用いる場合、該静止型管内混合器を用いて該分散液を攪拌した後であって工程(2)を行う前に、該分散液を圧力調節弁を通過させることにより、該圧力調節弁の入り口における該分散液の圧力P(MPa)を、該分散液の蒸気圧P(MPa)以上の圧力に調節することが望ましい。
分散液を圧力調節弁を介してスチームストリッピング槽に導入させる場合、圧力調節弁から直接分散液を噴出させてもよいし、圧力調節弁の出口にノズルを付け、ノズルから分散液を噴出させてもよい。ノズルの孔径と数は、分散液の粘度、圧力、処理量に応じて、適宜決められる。
圧力調節弁から直接混合液をスチームストリッピング槽内の熱水に噴出する場合、圧力調節弁の出口とスチームストリッピング槽上部に設けられた導入口とが配管で結ばれていても、圧力調節弁の出口が配管を介さずにスチームストリッピング槽上部に設けられた導入口に直結されていてもよいが、配管を介さずに直結されているのが好ましい。
本発明において、スチームストリッピング槽内の熱水の温度(スチームストリッピングの温度)は、該炭化水素溶媒と水とが共沸しない場合には該炭化水素溶媒の沸点以上で150℃以下であることが好ましく、該炭化水素溶媒と水とが共沸する場合にはその共沸温度以上で150℃以下であることが好ましい。
該炭化水素溶媒と水とが共沸しない場合には該炭化水素溶媒の沸点未満の温度で、また、該炭化水素溶媒と水とが共沸する場合にはその共沸温度未満の温度で、スチームストリッピングを行うと、溶媒の除去効率が悪くなり、そのためにクラムがスチームストリッピング槽に付着したり、団塊状になったりする欠点があり、クラムを長時間、安定的に製造することは難しい。また、150℃を超える温度でスチームストリッピングを行う場合は、得られるクラムが着色するなどの問題が生じる場合がある。
上記のことに加えて、スチームストリッピングの温度は、該水添ブロック共重合体の熱安定性や、加熱のために用いるスチーム供給の効率などをも考慮して決められる。このことを考慮すると、スチームストリッピングの温度は、通常90〜140℃、好ましくは95〜120℃の範囲である。
また、スチームストリッピング中に、スチームストリッピング槽内で水添ブロック共重合体が水面に浮き上がって団塊状になることがないように、スチームストリッピング槽内の熱水を、電動攪拌機などによって攪拌することが好ましい。
スチームストリッピング槽内に張られた熱水には、クラムの凝集を防ぐ目的で、必要に応じ、クラム化剤として界面活性剤を使用してもよい。クラム化剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が一般的に使用される。また、クラム化剤を使用する場合は、スチームストリッピング槽内の熱水を上記の分散液を得るために使用するには、通常0.1〜3,000ppmを添加する。また、クラム化剤を用い、更にスチームストリッピング槽内の熱水を、上記の分散液を得るために用いる容器に循環する場合には、熱水と共に循環されたクラム化剤によって分散液が乳化されないよう注意する必要がある。
上記の界面活性剤に加えて、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Znなどの金属の塩を、クラムの分散助剤として用いることもできる。
本発明の方法で溶媒除去を行うことにより、熱水中に水添ブロック共重合体からなる多孔性クラムが分散してなる水性スラリーが、長時間、安定的に得られる(上記の多孔性クラムは水を含んでいるため、以下、屡々「多孔性湿潤クラム」と称す)。
該スラリー中の多孔性湿潤クラムの濃度は、脱溶媒槽内の熱水の重量に対して、通常0.5〜25重量%、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは3〜15重量%である。多孔性クラムの濃度が上記の範囲にあれば、良好な粒径のクラムを得ることができる。
上記の多孔性湿潤クラムを含む水性スラリーをさらに脱水工程・乾燥工程に付すことにより、多孔性乾燥クラムを長時間、安定的に製造することができる。更に、上記の多孔性乾燥クラムは、ハンドリング性が良好であるだけでなく、含水率が低く、油吸収性に優れるため、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤を十分な量吸収することができる。そのため、上記の多孔性乾燥クラムを、熱可塑性樹脂と、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤とから成形用樹脂組成物を製造する際の改質剤として用いると、外観特性に優れた成形品を製造することができる。
好ましい脱水工程の一例として、該水性スラリーを重力脱水、遠心脱水または濾過脱水に付すことにより該スラリーから水を除去し、それにより、該スラリーから湿潤クラムを、その含水率が20重量%以上で90重量%以下となる程度脱水する、という工程を挙げることができる。
脱水処理を行う該多孔性湿潤クラムは、(1)2メッシュの篩を通過しないクラム(以下「大粒径湿潤クラム」と記す)の量が、該多孔性湿潤クラム全体の重量に対して40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下であり、(2)30メッシュの篩を通過し、かつ42メッシュの篩を通過しないクラム(以下「小粒径湿潤クラム」と記す)の量が、該多孔性湿潤クラム全体の重量に対して50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下であり、(3)42メッシュの篩を通過するクラム(以下「過小粒径湿潤クラム」と記す)の量が、該多孔性湿潤クラム全体の重量に対して0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、更に好ましくは0重量%(すなわち、全く含まれない)である粒径分布を有することが好ましい。
本発明の方法による溶媒除去工程で得られる多孔性湿潤クラムの粒径分布は、溶媒除去工程の条件、例えば攪拌速度、温度、クラム濃度、クラム化剤や分散助剤を使用する場合はそれらの使用量、水添ブロック共重合体の溶液の供給方法などを適宜選択することにより、調整することができる。
本発明の方法による溶媒除去工程後に大粒径湿潤クラムが過剰に存在する場合、スラリーを脱水する前に粉砕機能を有するスラリーポンプなどで、クラムの大きさを上記の範囲にすることも可能である。
脱水工程においては、本発明の方法による溶媒除去工程で得られた多孔性湿潤クラムを含む水性スラリーを重力脱水、遠心脱水または濾過などの方法により、クラムの細孔をつぶさないように脱水することができる。上記の脱水方法は、2種以上を組み合わせて使用してもよく、例えば、重力脱水と遠心脱水との組み合わせ、重力脱水と濾過脱水との組み合わせなどが挙げられる。ただし、脱水にロール、バンバリー式脱水機、スクリュー押出式絞り脱水機などの機械的圧搾方式の脱水方法を用いた場合、得られる多孔性乾燥クラムを使用した成形用樹脂組成物の成形品は、本発明で得られる多孔性乾燥クラムを使用したそれに比べ、その表面の外観特性が劣る傾向にある。
上記の脱水された多孔性湿潤クラムを乾燥工程に付すことにより、油吸収性に優れ、ハンドリング性が良好であり、外観特性に優れた成形品を提供できる多孔性乾燥クラムを、長時間、安定的に且つ効率的に製造することができる。
好ましい乾燥工程の一例として、上記の脱水された多孔性湿潤クラムを、熱伝導型加熱手段を有しない熱風乾燥機の中において80〜155℃の熱風に暴露することにより、脱水された多孔性湿潤クラムを乾燥するという工程を挙げることができる。
乾燥工程で使用する熱風乾燥機の例として、材料静置型熱風乾燥機、材料搬送型熱風乾燥機、材料攪拌型熱風乾燥機及び熱風搬送型熱風乾燥機を挙げることができる。これらの乾燥機は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の方法によって得られる多孔性クラムを、さらに上記の好ましい脱水工程及び上記の好ましい乾燥工程に付すことにより得られる多孔性乾燥クラムは、含水率が1重量%以下となる。多孔性乾燥クラムの含水率は、好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.5重量%である。含水率が1重量%を越える場合、多孔性乾燥クラムを含む成形用樹脂組成物を成形する際に発泡やシルバーなどが発生し、得られる成形品の外観が不良となる場合がある。
本発明において、多孔性乾燥クラムの油吸収性は、25℃かつ常圧の条件下で該多孔性乾燥クラムを油[パラフィン系プロセスオイル(40℃での動粘度=95.54mm/s)(日本国出光石油化学株式会社製 ダイアナプロセスオイルPW−90)]に1分間浸漬した際の、該多孔性乾燥クラムが吸収する油の重量の、該多孔性乾燥クラムの重量に対する比として定義される。本発明の方法によって得られる多孔性クラムを、さらに上記の好ましい脱水工程及び上記の好ましい乾燥工程に付すことによって得られる多孔性乾燥クラムの油吸収性は、1.0以上であることが好ましい。多孔性乾燥クラムの油吸収性は、1.05以上であることが更に好ましく、1.1以上であることが特に好ましい。油吸収性が1.0未満である場合、多孔性乾燥クラムを各種添加剤、特にオイルなどの液状の軟化剤や可塑剤を含む成形用樹脂組成物に加えても、各成分を十分に混合することが難しく、その結果、外観特性に優れる成形品を効率よく製造することが困難になる。
また、本発明の方法によって得られる多孔性湿潤クラムを、さらに上記の好ましい脱水工程及び上記の好ましい乾燥工程に付すことによって得られる多孔性乾燥クラムは、6メッシュの篩を通過し、かつ42メッシュの篩を通過しないクラム(以下「適正粒径クラム」と記す)の量が該多孔性乾燥クラム全量の重量に対して50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上であり、かつ全ての該多孔性乾燥クラムの粒径が該多孔性乾燥クラムの平均粒径の50〜150%の範囲にある粒径分布を有することが好ましい。
また、本発明の方法によって得られる多孔性湿潤クラムを、さらに上記の好ましい脱水工程及び上記の好ましい乾燥工程に付すことによって得られる多孔性乾燥クラムの細孔径は、1.8〜57μmの範囲にあることが好ましく、平均細孔径が3〜20μmの範囲にあることが好ましい。また、1.8〜57μm径の細孔容積が300mm/g以上、好ましくは330mm/g以上、更に好ましくは350mm/g以上であることが望ましい。上記の細孔径、平均細孔径および細孔容積は、マーキュリーポロシメーターにより測定することができる。
本発明の方法によって得られる多孔性クラムを、さらに上記の好ましい脱水工程及び上記の好ましい乾燥工程に付すことによって得られる多孔性乾燥クラムは、上記のように油吸収性に優れている。この多孔性乾燥クラムには、使用目的に応じて、種々の添加剤を添加することができる。添加剤の例としては、ゴム用鉱物油系軟化剤として一般に知られているパラフィン系オイルおよびナフテン系オイルなどの軟化剤、シリコンオイル、可塑剤、滑剤、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、無機充填剤、無機繊維、有機繊維、カーボンブラックなどが挙げられ、その使用量は従来一般に用いられる量である。
上記の多孔性乾燥クラムに各種の熱可塑性樹脂を配合することもできる。その例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィンとのブロックコポリマーやランダムコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのオレフィン系樹脂;アクリロニトリル−スチレン系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリレート系樹脂;塩化ビニル系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂などが挙げられ、その使用量は従来一般に用いられる量である。
発明を実施するための最良の形態
以下に、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において行われた測定および評価は以下のとおりである。
(1)水添ブロック共重合体の分子量 水添ブロック共重合体のテトラヒドロフラン溶液を調製し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(米国、ウォーターズ社製)を43℃で行い、得られたクロマトグラムのピークの分子量を、標準単分散ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成した検量線を使用して求めた。
(2)水添ブロック共重合体中のスチレン含量 紫外線分光光度計(日本国、日立社製UV200)を用い、262nmの吸光度から算出した。
(3)水添ブロック共重合体の組成、ビニル結合及び水添率 核磁気共鳴装置(NMR)(ドイツ国、BRUKER社製DPX−400)を用いて測定した。
(4)水添ブロック共重合体の多孔性乾燥クラムの含水率 水添ブロック共重合体の多孔性乾燥クラムを、140℃で45分間静置乾燥し、乾燥前後の重量差をクラムの含水量として、含水率を算出した。
(5)クラムの粒径分布 JIS標準ふるいを用い、クラム100gを20分間振とうすることにより分級し、2メッシュの篩を通過しないクラム(以下「大粒径湿潤クラム」と記す)、30メッシュの篩を通過し、かつ42メッシュの篩を通過しないクラム(以下「小粒径湿潤クラム」と記す)、42メッシュの篩を通過するクラム(以下「過小粒径湿潤クラム」と記す)、および、6メッシュの篩を通過し、かつ42メッシュの篩を通過しないクラム(以下「適正粒径クラム」と記す)の量を求めた。
(6)多孔性乾燥クラムの細孔径および細孔容積 水銀ポロシオメーター(イタリア国、サーモクエスト社製Pascal 140型)を使用し、水銀圧入法により測定した。
(7)多孔性乾燥クラムの油吸収性 多孔性乾燥クラム10gを200メッシュの金網の袋に入れ、これを25℃および常圧下で、1リットルのパラフィン系プロセスオイル(40℃での動粘度=95.54mm/s)(日本国出光石油化学株式会社製 ダイアナプロセスオイルPW−90)にクラム全体が漬かるように浸漬した。1分間経過後、直ちに多孔性乾燥クラムを取り出して遠心分離器に入れ、重力加速度1,000Gで3分間オイル切りを行った。遠心分離器から取り出した多孔性乾燥クラムの重量を測定し、下記の式で油吸収性を求めた。
(油吸収性)={(遠心分離後のオイル含有クラムの重量)
−(オイル浸漬前の多孔性乾燥クラムの重 量)}/(オイル浸漬前の多孔性乾燥クラ ムの重量)
(8)成形品の外観特性 多孔性乾燥クラム100重量部、市販のポリプロピレン(日本国日本ポリオレフィン社製 ジェイアロマーMK755H)30重量部、及びパラフィン系プロセスオイル(前記ダイアナプロセスオイルPW−90)105重量部を混合して成形用組成物(コンパウンド)を調製し、この組成物を20mmφの異方向2軸押出機により190℃、100rpmで溶融混練し、押し出してストランド状に成形し、得られた成形品の表面状態を目視で観察した。
<評価基準> A:全体的に滑らかな表面で外観良好 B:やや表面荒れがある C:顕著な表面荒れまたは発泡があり、外観劣る
実施例1 (ブロック共重合体の製造)
攪拌機およびジャケットを有するオートクレーブを十分に窒素置換させ、シクロヘキサン1,835kgとn−ブチルリチウム90gを加え、そこにスチレンモノマーを40kg加えて重合した。次いで、1,3−ブタジエンモノマー170kgを加えて重合し、最後にスチレンモノマー40kgを加えて重合することにより、S−B−S構造(Sはポリスチレンブロック、Bはポリブタジエンブロックを示す)を有するブロック共重合体の溶液を得た。重合圧力は0.29〜0.49MPa、重合温度は40〜80℃の間で制御した。重合反応において、ブタジエンブロック部のビニル含有量調整剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと記す)を用いた。得られたブロック共重合体のスチレン含有量は32重量%、ブタジエン部分のビニル結合量は、37モル%であった。
(水添ブロック共重合体の製造)
得られたブロック共重合体の溶液を減圧脱気して水素置換した後、攪拌状態で90℃に保持した。続いて、ジ−p−トリルビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムのシクロヘキサン溶液とn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を0℃、0.29MPaの水素圧下で混合して得た水添触媒溶液(Li/Tiモル比=4)を、オートクレーブ中のブロック共重合体に添加し、0.59MPaの乾燥した水素を供給しながら攪拌下で2時間水添反応を行った。得られた水添ブロック共重合体のブタジエン部分の水添率は99モル%(スチレンのベンゼン環部分はほとんど水添されていなかった)、分子量は300,000であり、溶液中の水添ブロック共重合体の濃度は約12重量%であった。
以上の方法で、水添ブロック共重合体100重量部に対してシクロヘキサンを734重量部含む、水添ブロック共重合体溶液を得た。
この溶液に、使用したn−ブチルリチウム(重合触媒と水添触媒の合計)に対して水を20倍モル添加した後、炭酸ガスをガス状態で導入して、溶液のpHが約7.5になるように調整した。次いで、安定剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、水添ブロック共重合体100重量部に対して0.1重量部の割合で溶液に添加した。
上記の溶液を、温度を90℃に維持したままタンクに貯蔵した。
(溶媒除去工程)
図1に示すシステムを用い、次のようにして、タンクに貯蔵した水添ブロック共重合体溶液から水添ブロック共重合体の多孔性湿潤クラムを得た。
水添ブロック共重合体溶液を、配管1を通してノズルから噴出することによって混合器5に導入した。また、熱水としてイオン交換水を配管2、インジェクター3及び配管4を経由して混合器5に入れた。水添ブロック共重合体溶液は混合器5において熱水と混合され、水添ブロック共重合体溶液が熱水中に分散した分散液を得た。
水添ブロック共重合体と熱水との混合比は、水添ブロック共重合体溶液に対する熱水の量が重量比で4となるように、熱水の流量を制御した。配管6から供給され、インジェクター3から吹き込まれるスチームで昇温することで、混合器5に入る熱水の温度を140℃に制御し、これによって、混合器5で得られる分散液の温度を130℃になるように制御した。
分散液は、配管7を経由してSTATIC MIXER(日本国、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)8でさらに攪拌され、配管9を経由して圧力調節弁10に導かれた。
また、分散液のこの条件下での分散維持時間は8秒であることが予め実験により分かっていたので、分散液の配管9における分散液の滞留時間(分散液の、STATIC MIXER 8の出口から圧力調節弁10までの滞留時間)が0.5秒となるように配管9の長さを決めた。
分散液の蒸気圧P(MPa)は、その組成と温度から熱力学的な手法により、0.49MPaと算出されることから、圧力調節弁10の圧力の設定値を0.59MPaとし、これによって分散液の圧力P(MPa)を0.59MPaに調節した。分散液の圧力Pの調節は次のようにして行った。配管9の側面よりノズルを出し、その末端にダイアフラム方式の圧力伝送機を設置し、圧力を検出し、信号を現場型圧力調節計(日本国山武産業システム株式会社製)に送る。圧力調節計は、信号として送られた圧力の値と予め調節計に設定されていた圧力設定値とを比較して、偏差があれば、その偏差に従って調節操作を行うための信号を圧力調節弁10に伝える(フィードバック調節)。入力信号に対する出力信号の出し方を規定する調節動作は、PID動作(比例−積分−微分動作)によって行う。なお、上記の圧力調節が行われたことを、図1にある、配管9と圧力調節弁10とを結ぶ鎖線によって示した。
圧力調節弁10の出口は、容量350リットルのスチームストリッピング槽11のフランジに直接接続されており、槽内に張られた熱水面の方向に向いている。圧力調節弁10から分散液を噴出させ、壁面にぶつかることなく、直線的に槽内に張られた水面に到達させた。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、配管9の圧力調節弁10に最も近い部分の底部にノズル(図示しない)を設置し、分散液をサンプリングし、サンプル液を調べることによって確認した。
スチームストリッピング槽11の気相の圧力Pを、0.10MPaとした。
スチームストリッピング槽11では、配管12から供給されるスチームにより槽内の熱水の温度を100℃として、スチームストリッピングを行った。また、電動攪拌機13によって、槽内の熱水を攪拌した。
水添ブロック共重合体から分離されたシクロヘキサンは水蒸気と共に、配管14及び凝縮器15を経て溶媒分離槽16に入り、水18と分離され、溶媒17として回収された。
一方、スチームストリッピング槽11の中に張られた熱水中の多孔性湿潤クラムは、スチームストリッピング槽11の底部から多孔性湿潤クラムを含む水性スラリーとして抜き出されポンプ19で送り出され、脱水機20で水と分離され、多孔性湿潤クラム21として回収された。脱水機20で分離された水は、ポンプ22で昇圧され、配管23を経て、一部は配管24を通して循環水としてスチームストリッピング槽11に送られて再使用され、残りは配管25を通して排出した。開閉弁26は閉じてあり、配管23を通る水は水添ブロック共重合体溶液と混合するための熱水としては使われなかった。
なお、クラム化剤として、ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)−α−ドデシルエーテルのリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物を用い、水添ブロック共重合体に対し600ppmの割合で、スチームストリッピング槽11内の水に添加した。
得られた多孔性湿潤クラムを含む水性スラリーの多孔性湿潤クラム濃度は、水の重量に対し3重量%であり、クラムの粒径分布については、上記の大粒径湿潤クラムが0重量%、小粒径湿潤クラムが13重量%、過小粒径湿潤クラムは含まれていなかった。
(脱水および乾燥工程)
上記の水添ブロック共重合体の多孔性湿潤クラムを含有する水性スラリーを、解砕機能を有するスラリーポンプを用い、連続押出板型の遠心脱水機(日本国、月島機械社製「エッシャクイズ」)に供給して、重力加速度が900G、水分離のスクリーンの間隙が0.3mmの条件下で遠心脱水を行った。得られた多孔性脱水湿潤クラムの含水率は44重量%であった。
得られた多孔性脱水湿潤クラムを、熱伝導型加熱手段を有しない横型連続式流動層乾燥機(日本国、大川原製作所社製FBA−2型)を用いて乾燥した。乾燥工程において、流動層乾燥機内に送る熱風温度を150℃、滞留時間を15分としてクラムを乾燥し、多孔性乾燥クラムを得た。
上記の多孔性乾燥クラムの製造を5日間連続で行ったところ、運転が乱れたり、圧力調節弁などにおける詰まりが発生したりすることもなく、安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムの量は250kgであった。
得られた多孔性乾燥クラムは、クラムすべてが上記の適正粒径クラムであり、平均細孔径は12.1μm、細孔容積は390mm/gであった。
また、含水率は0.3重量%であり、油吸収性は1.4であった。上記の方法に従って評価した成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例2
混合器5としてラインミキサーであるT.K.パイプラインホモミクサー(日本国、特殊機化工業株式会社製)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.3重量%、油吸収性は1.4であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例3
実施例1と同様のポリマー構造をもつ水添ブロック共重合体で、シクロヘキサンを水添ブロック共重合体100重量部に対して1,567重量部含む水添ブロック共重合体溶液を用い、溶媒除去工程の混合器5における水添ブロック共重合体溶液に対する熱水の量を重量比で10としたこと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.5重量%、油吸収性は1.2であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例4
溶媒除去工程の混合器5における水添ブロック共重合体溶液に対する熱水の量を重量比で2としたこと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.6重量%、油吸収性は1であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例5
溶媒除去工程の分散液の温度を105℃としたこと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.4重量%、油吸収性は1.2であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例6
水添ブロック共重合体溶液と混合すべき熱水として、イオン交換水を使わず、脱水機20で分離された循環水(配管23を通る水)を使用した(開閉弁26は開いてある)こと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.3重量%、油吸収性は1.4であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例7
水添ブロック共重合体溶液と混合する熱水として、イオン交換水を使わず、脱水機20で分離された循環水(配管23を通る水)を使用した(開閉弁26は開いてある)こと、混合器5として実施例2で用いたラインミキサーを用いたこと、STATIC MIXER8を用いずに、配管で混合器5から圧力調節弁10までをつないだこと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。なお、混合器5と圧力調節弁10とを結ぶ配管における、分散液の滞留時間が5秒となるように、配管の長さを決めた。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、上記の配管の、圧力調節弁10に最も近い部分の下部にノズルを設置し、分散液をサンプリングし、サンプル液を調べることによって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.8重量%、油吸収性は1であった。成形品の外観特性はBであった。
結果を表1に示す。
実施例8
水添ブロック共重合体として、オランダ国SHELL社のKRATON G1651(パウダー状の直鎖状SEBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体の水素添加物)、スチレン含有量は33%)を250kg用いた。上記の水添ブロック共重合体を10分割してシクロヘキサンに溶解し、最終的に、シクロヘキサンを水添ブロック共重合体100重量部に対して734重量部含み、温度が90℃である水添ブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を得た。
この溶液を用いて実施例1と同様の溶媒除去工程、脱水・乾燥工程を行い、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.3重量%、油吸収性は1.3であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
実施例9
水添ブロック共重合体として、オランダ国SHELL社のKRATON G1651の代わりに株式会社クラレのセプトン4055(パウダー形状のSEPS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体の水素添加物)、スチレン含有量は33%)を用いた以外は実施例8と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
圧力調節弁10から噴出される直前の分散液は、熱水中に水添ブロック共重合体溶液が分散した状態であった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、多孔性乾燥クラムの製造は安定的に継続できた。得られた多孔性乾燥クラムについては、含水率が0.3重量%、油吸収性は1.3であった。成形品の外観特性はAであった。
結果を表1に示す。
参考例1
溶媒除去工程の分散液の温度を90℃としたこと(これによって分散液の蒸気圧P(MPa)は0.18MPaとなる)、及び、圧力調節弁10の設定値を0.15MPaとすることにより分散液の圧力P(MPa)を0.15MPaにしたこと以外は実施例1と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。
5日間の連続運転を行ったところ、途中で圧力調節弁10での圧力調節が不安定になり、多孔性乾燥クラムの製造の継続はやや困難であった。また、得られた多孔性乾燥クラムは、含水率は0.4重量%であったが、油吸収性は0.7、成形品の外観特性はCであった。
結果を表1に示す。
比較例1
予め乳化剤を添加した水添ブロック共重合体を混合器5へ供給したこと、及び、スチームストリッピング槽11に張られた熱水にクラム化剤を添加しなかったこと以外は実施例7と同様の方法で、多孔性乾燥クラムを製造した。乳化剤としてはアニオン系非イオン活性剤(商品名:プライサーフ(第一工業製薬(株)製))と非イオン活性剤(商品名:TWEEN60(日本国、花王アトラス(株)製))とを用い、水添ブロック共重合体に対し600ppmの割合で添加した。
圧力調節弁10へ流入する直前の分散液は、安定な乳化状態にあった。このことは、実施例1と同様の方法によって確認した。
5日間の連続運転を行ったところ、得られた水性クラムには、過小粒径クラムが5重量%含まれており、脱水が十分に行われず、得られた多孔性乾燥クラムの含水率は1.5重量%であった。また、過小粒径クラムは脱水された排水中に逸散してしまい、連続運転は困難であった。結果を第1表に示す。
なお、多孔性乾燥クラムの含水率が高かっただけでなく、連続運転が困難であったため、成形品の評価は行わなかった。
結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004737737
産業上の利用可能性
本発明の方法によって、多孔性クラムを長時間、安定に且つ効率的に製造することができる。また、本発明の方法によって得られる多孔性クラムを脱水工程及び乾燥工程に付すことにより、多孔性乾燥クラムを長時間、安定的に製造することができる。製造される多孔性乾燥クラムは、ハンドリング性が良好であるだけでなく、含水率が低く、油吸収性に優れるため、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤を十分な量吸収することができる。そのため、このような多孔性乾燥クラムを、熱可塑性樹脂と、軟化剤やシリコーンオイルなどの液状添加剤とから成形用樹脂組成物を製造する際の改質剤として用いると、外観特性に優れた成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の方法を実施するためのシステムの一例を示す概略図である。
符号の説明
1、2、4、6、7、9、12、14、23、24、25 配管
3 インジェクター
5 混合器
8 静止型管内混合機
10 圧力調節弁
11 スチームストリッピング槽
13 電動攪拌器
15 凝縮器
16 溶媒分離槽
17 溶媒
18 水
19 ポンプ
20 脱水機
21 多孔性クラム
22 ポンプ
26 開閉弁

Claims (8)

  1. 水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液から炭化水素溶媒を除去する方法であって、
    該水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位が50重量%以上である少なくとも1個の重合体ブロック及び共役ジエン単量体単位が50重量%を超す少なくとも1個の重合体ブロックを包含し、該ビニル芳香族単量体単位の該共役ジエン単量体単位に対する重量比が5/95〜95/5であるブロック共重合体を水添して得られ、該共役ジエン単量体単位の二重結合の30%以上が水添されている水添ブロック共重合体であり、
    (1)該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液を熱水と混合し、該溶液が該熱水中に分散した乳化されていない分散液を得、
    (2)該分散液を、熱水を含有するスチームストリッピング槽に導入し、その際、該分散液を該スチームストリッピング槽の気相に、該分散液の蒸気圧P(MPa)及び該スチームストリッピング槽内の気相の圧力P(MPa)が次の関係:
    ≧P
    を満たす条件下で、かつ該乳化されていない分散液が分散状態を維持している間に、該熱水の表面に向かって噴出し、スチームストリッピングにより該炭化水素溶媒を除去して該水添ブロック共重合体の多孔性クラムを得る、
    ことを特徴とする方法。
  2. 工程(1)の後であって工程(2)を行う前に、該分散液を圧力調節弁を通過させることにより、該圧力調節弁の入り口における該分散液の圧力P(MPa)を、該分散液の蒸気圧P(MPa)以上の圧力に調節することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 該分散液中の熱水の該水添ブロック共重合体溶液に対する重量比が1.0〜100であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(2)において、該分散液の蒸気圧Pが該スチームストリッピング槽内の気相の圧力Pより0.05MPa以上高いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(2)における該分散液の該スチームストリッピング槽内の気相への噴出を、該水添ブロック共重合体の炭化水素溶媒溶液と熱水とを混合した後5秒以内に行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 工程(1)の後であって工程(2)を行う前に、該分散液を静止型管内混合器を用いて攪拌することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 該静止型管内混合器を用いて該分散液を攪拌した後であって工程(2)を行う前に、該分散液を圧力調節弁を通過させることにより、該圧力調節弁の入り口における該分散液の圧力P(MPa)を、該分散液の蒸気圧P(MPa)以上の圧力に調節することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  8. 該水添ブロック共重合体の分子量が70,000以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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