JP4733864B2 - 建物の断熱構造の施工方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤にコンクリートが打設される建物の断熱構造を施工するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の断熱性を高めるための構造として、地盤に打設されるべた基礎や土間コンクリートの下方に断熱材を配した構造が知られている。例えば特開平9−257275号公報には、布基礎のフーチング同士の間に断熱材が敷設され、その上に土間コンクリートが打設された断熱構造が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記断熱材は、一般に発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンといった発泡樹脂からなるため、かかる断熱材を土中に埋設すると白蟻によって容易に食い破られてしまうおそれがある。それにより、当該断熱材による断熱機能が低下し、場合によっては当該断熱材が蟻道となって白蟻が地上まで這い上がるおそれもある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、地盤に打設されるコンクリートの下方に地中断熱材が設けられる建物の断熱構造を施工するための方法であって、
地盤を掘削して凹部を形成し、その凹部の底に防蟻シートを敷いてその余り部分を地上まで導出させることと、
前記防蟻シートの上に地中断熱材を敷き、かつ、当該防蟻シートの内側で前記凹部の内側面に沿うように外側断熱材を立てておくことと、
前記外側断熱材の内側領域で、前記地中断熱材の上面及び側面を覆うように前記コンクリートからなるべた基礎を打設することと、
前記べた基礎の打設の前または後に前記防蟻シートの端部を前記外側断熱材の外側面に止着し、もしくは、前記べた基礎の打設後に、前記防蟻シートが前記外側断熱材の外側面全域を覆う状態で当該防蟻シートの端部を前記べた基礎側に固定することと、
を含むものである。
【0005】
この方法により施工された構造によれば、地中断熱材が防蟻シートによって下側から覆われ、かつ、当該シートの端部が地上まで導出されているので、前記地中断熱材は地中の白蟻から確実に保護される。よって、前記と同様、高い断熱性能が保持され、また、地中断熱材が蟻道となって白蟻が地上まで這い上がることが防がれる。
【0006】
さらに、当該構造では、前記コンクリートからなるべた基礎の外側に外側断熱材が配設され、この外側断熱材の少なくとも一部を覆う位置まで前記防蟻シートの端部が地上に導出されているので、共通の防蟻シートで地中断熱材と外側断熱材の双方を白蟻から保護することが可能になる。従って、施工が容易で簡素な構造でありながら、高い防蟻効果を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1において、地盤10にはコンクリートからなるべた基礎12が打設され、このべた基礎12の外側に外側断熱材14が配設されるとともに、当該べた基礎12の下方に地中断熱材16が配設されている。前記べた基礎12は、建物の土台を支持する部分よりもそれ以外の部分の基礎スラブの肉厚が薄く、当該部分での下面が上向きに凹んだ形状を有しており、その凹んだ部分に前記地中断熱材16が埋設された状態となっている。換言すれば、前記べた基礎12は、前記地中断熱材16の上面だけでなく側面も覆う形状に打設されている。
【0008】
なお、前記各断熱材14,16の材質は上述の発泡樹脂が好適であるが、これに限られるものではない。一般に、各断熱材が白蟻によって食い破られ易いものである場合に本発明は特に有効となる。
【0009】
この構造の特徴として、前記地中断熱材16及びべた基礎12の下方に、これらの下面を覆うように防蟻シート18が敷設されている。この防蟻シート18の外周部は前記外側断熱材14の外側面に沿って立直し、その端部18aが地上まで導出されており、当該端部18aが粘着テープ20によって前記外側断熱材14の外側面に止着されている。
【0010】
ここで、前記防蟻シート18としては、ポリプロピレンやポリエチレン、エチレンビニルアセテート等の防湿性を有する合成樹脂製シートに、ピレスロイド系殺虫剤(シラフルオフェン、エトフェンプロックス、ビフェントリン等)や有機リン系殺虫剤をはじめとする種々の殺虫剤から有効なものを選択して混入したものが好適である。また、この防蟻シート18を止着する粘着テープ20も、当該防蟻シート18と同様に防蟻処理が施されているものがより好ましい。
【0011】
ただし、本発明では防蟻シート18に含有される防蟻成分の具体的な種類を問わず、また母材も、例えば不織布のように防湿性を有しないものであってもよい。
【0012】
この構造は、例えば次のような手順によって施工することが可能である。
【0013】
1)地盤10を適当な深さまで掘削して凹部を形成し、その凹部の底に図1に示すような(ころばし床形成用の)砕石22を敷設する。ただし、この砕石22は必ずしも敷設しなくてもよい。
【0014】
2)砕石22の上に十分大きな防蟻シート18を敷き、その余り部分(外周部分)を地上まで導出させておく。
【0015】
3)防蟻シート18の上に地中断熱材16を敷き、また地盤凹部の内側面に外側断熱材14を立てておく。
【0016】
4)外側断熱材14の内側領域で、前記地中断熱材16の上面及び側面を覆うようにべた基礎12を打設する。
【0017】
5)4)の前または後に防蟻シート18の端部18aを粘着テープ20によって外側断熱材14の外側面に止める。
【0018】
以上の構造によれば、地中断熱材16の下面を覆うように防蟻シート18が配設され、かつ、その端部18aが地上まで導出されているので、地中断熱材16は確実に白蟻から保護される。しかも、地上に導出された防蟻シート18は外側断熱材14の外側面を覆うようにして当該外側面に固定されているので、単一の防蟻シート18で前記地中断熱材16と外側断熱材14の双方を同時に保護することが可能となっている。
【0019】
さらに、前記防蟻シート18が外側断熱材14の外側面全域を覆うようにして当該シート18の端部18aをべた基礎12側に固定することにより、外側断熱材14についての防蟻がより確実なものになる。具体的には、図2に示すように、シート端部18aを基礎上面と土台24との間に挟み込んで固定するようにしてもよいし、図3に示すようにシート端部18aを外側断熱材14の裏面と基礎外側面との間に挟み込んで固定するようにしてもよい。
【0020】
本発明の実施の形態とは異なるが、前記外側断熱材14の防蟻を要しない場合や別の構造で防蟻する場合、あるいは外側断熱材14を設けない場合や、これに代えて図4に示すような内側断熱材15をべた基礎12の内側に設けるような場合には、同図に示すようにシート端部18aを地中でべた基礎12側に固定するようにしてもよい。
【0021】
また、図5に示すように、防蟻シート18が地中断熱材16の下面だけでなくその側面も覆うように当該シート18の外周部を巻き上げてシート端部18aを地中断熱材16側に止着し、この止着部分を覆うようにべた基礎12を打設するようにすれば、当該止着部分の保持及び密封を確実に行うことが可能となり、より高い防蟻効果を得ることができる。
【0022】
さらに、同図に示すように予め捨てコンクリート26を打設しておいてその上に防蟻シート18及び断熱材16を敷く(換言すれば断熱材16及び防蟻シート18の下方に捨てコンクリート26を設ける)ようにすれば、防蟻効果がさらに高まる。この捨てコンクリート26による効果は前記図1〜図4に示した構造においても同様である。
【0023】
あるいは、図6に示すように底面が平坦なべた基礎12′が打設される場合でも、その下方に地中断熱材16を配設し、かつ、これを下側から覆うように防蟻シート18を配設すればよい。同図の例では、防蟻シート18の外周部が前記地中断熱材16の側面を覆うように巻き上げられて当該シート18の端部18aが地中断熱材16の上面に粘着テープ20で止着され、その止着部分を上側から覆うようにべた基礎12′が打設されている。
【0024】
また、図7に示す構造は、布基礎28のフーチング同士の間に地中断熱材16が敷設され(すなわち地中断熱材16の側面が布基礎28のフーチングによって覆われ)、その上に気密材32を挟んで土間コンクリート30が打設されたものであるが、このように土間コンクリート30の下方に地中断熱材16が設けられる構造においても、前記地中断熱材16を下側から覆うように防蟻シート18を配設することにより、地中断熱材16の保護ができる。同図の例では、前記図2に示した構造と同様、前記防蟻シート18の外周部が地上に導出されて布基礎28の外側に配設された外側断熱材14の外側面全域を覆い、その端部18aが布基礎28の上面と土台24との間に固定されている。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、地中断熱材及び外側断熱材を共通の防蟻シートで有効に保護して高い断熱性能を保持し、また確実な防蟻をすることができる防蟻構造を施工することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であって、べた基礎の下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を外側断熱材の外側面に固定した施工例を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態であって、べた基礎の下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を基礎上面と土台との間に固定した施工例を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態であって、べた基礎の下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を外側断熱材の裏面と基礎外側面との間に固定した施工例を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態とは別の形態であって、べた基礎の下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を地中でべた基礎の表面に固定した施工例を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態とは別の形態であって、べた基礎の下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を地中断熱材の上面に止着してその止着部分を覆うようにべた基礎を打設した施工例を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態とは別の形態であって、べた基礎の下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を地中断熱材の上面に止着してその止着部分を覆うようにべた基礎を打設した施工例を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態とは別の形態であって、土間コンクリートの下方に地中断熱材を設け、その下側を覆う防蟻シートの端部を布基礎上面と土台との間に固定した施工例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 地盤
12,12′ べた基礎
14 外側断熱材
16 地中断熱材
18 防蟻シート
18a 防蟻シートの端部
20 粘着テープ
24 土台
26 捨てコンクリート
28 布基礎
30 土間コンクリート
Claims (2)
- 地盤に打設されるコンクリートの下方に地中断熱材が設けられる建物の断熱構造を施工するための方法であって、
地盤を掘削して凹部を形成し、その凹部の底に防蟻シートを敷いてその余り部分を地上まで導出させることと、
前記防蟻シートの上に地中断熱材を敷き、かつ、当該防蟻シートの内側で前記凹部の内側面に沿うように外側断熱材を立てておくことと、
前記外側断熱材の内側領域で、前記地中断熱材の上面及び側面を覆うように前記コンクリートからなるべた基礎を打設することと、
前記べた基礎の打設の前または後に前記防蟻シートの端部を前記外側断熱材の外側面に止着することと、
を含むことを特徴とする建物の断熱構造の施工方法。 - 地盤に打設されるコンクリートの下方に地中断熱材が設けられる建物の断熱構造を施工するための方法であって、
地盤を掘削して凹部を形成し、その凹部の底に防蟻シートを敷いてその余り部分を地上まで導出させることと、
前記防蟻シートの上に地中断熱材を敷き、かつ、当該防蟻シートの内側で前記凹部の内側面に沿うように外側断熱材を立てておくことと、
前記外側断熱材の内側領域で、前記地中断熱材の上面及び側面を覆うように前記コンクリートからなるべた基礎を打設することと、
前記べた基礎の打設後に、前記防蟻シートが前記外側断熱材の外側面全域を覆う状態で当該防蟻シートの端部を前記べた基礎側に固定することと、
を含むことを特徴とする建物の断熱構造の施工方法。
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