JP4728514B2 - 基礎および基礎の構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物を支持する基礎および基礎の構築方法に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
建物のコンクリート製基礎を施工する場合は、基礎型枠内にコンクリートを流し込んだ後に、養生させ、基礎型枠を取り外すことによって脱型して基礎を施工する。
しかし、基礎型枠にコンクリートを打設する場合、基礎型枠に接するコンクリートの表面には気泡が発生するので、脱型した後には、この気泡による気泡跡がコンクリートの表面に生じることがあった。そのため、基礎の美観を損ねることがあり、この気泡低減対策として、基礎型枠に沿ってコンクリートを棒等で掻いたりすることにより気泡を追い出すスページングと呼ばれる方法が知られている。
この一例として、特開平8−238609号公報に記載されている技術が挙げられる。この技術では、扁平な形状の振動部の片面にスポンジを取り付けて構成したバイブレータを基礎型枠内に挿入し、側型枠に沿って振動を加えて、同側型枠に接するコンクリート中の気泡を追い出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開平8−238609号公報では、前記バイブレータを基礎型枠内に沿って振動を加えて、基礎型枠に接するコンクリート表面の気泡を除去しているが、しかし、このバイブレータを使用するだけでは、必ずしも前記気泡を完全には除去することができない場合があり、残存していた小さな気泡によって、脱型後、基礎の表面に微小孔が生じることがあった。そのため、この微小孔を外側から見た際に目立たないように、例えば、前記微小孔をモルタルで埋めるなどして基礎の表面を平らにしている。
しかし、コンクリートからなる基礎は、時間が経過するにつれてコンクリート内の水分が蒸発して乾燥収縮することがあるので、微小孔に埋め込まれたモルタルが剥落することがあった。そのため、微小孔が外側から見えてしまい、基礎の表面の美観が損なわれることがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、脱型後、時間が経過しても基礎が乾燥収縮することがなく、表面に形成される微小孔を目立たなくさせて、美観に優れた基礎とすることのできる基礎および基礎の構築方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、例えば、図1(a),(b)、図9、図10、図12、図15に示すように、建築物を支持する基礎20の構築方法であって、
基礎型枠1内にコンクリート2を打設した後に、前記基礎型枠1内のコンクリート2を攪拌手段(例えば、スページング治具3)を用いて攪拌するとともに、前記コンクリート2の攪拌に際し、前記攪拌手段3を少なくとも基礎型枠1の内面に沿って地盤上に露出する部分を攪拌する攪拌工程と、
前記攪拌工程の後、脱型し、前記基礎20の表面20aを補修して該表面20aを平らにする補修工程と、
補修された基礎20の表面20aに、該基礎20の乾燥収縮を防止する乾燥収縮低減剤29を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基礎20の表面20aに仕上げ材36を塗布して基礎20の表面20aを仕上げる仕上げ工程を備え、
前記補修工程は、前記基礎型枠1,1どうしの継ぎ目により、基礎20の表面20aに形成された段差部分21を削る第1の補修工程と、
前記攪拌工程により、前記基礎20の表面20aに形成された微小孔21aに水を吹きかけて、前記微小孔21aに擦り込まれるモルタル粉体(例えば、補修用モルタル粉体24)をなじみやすい状態にした後に、前記微小孔21aにモルタル粉体24を擦り込むことによって、前記微小孔21aを前記モルタル粉体24で埋めて表面を平滑にする第2の補修工程とを有し、
前記塗布工程の後で、かつ、前記仕上げ工程の前に、前記第1の補修工程において削られた前記基礎20の表面20aの段差部分21の凹部をパテ34で埋めるパテ処理工程を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、前記攪拌工程と、前記補修工程と、前記塗布工程とを備えているので、まず、攪拌工程において、前記基礎型枠1の内面に沿って地盤上に露出する部分を、攪拌手段3で攪拌することによって、コンクリート2を打設する際に、基礎型枠1の表面に浮き出た大きな気泡を微粒子に拡散させるとともに除去することができる。
次に、前記補修工程において、前記基礎20の表面20aを補修して該表面20aを平らにするので、凹凸がなく美観に優れた基礎20とすることができる。
【0007】
さらに、前記塗布工程において、基礎20の表面20aに前記乾燥収縮低減剤29を塗布するので、従来と異なり、基礎20のコンクリート2内に含まれた水分が外に蒸発して基礎20が乾燥収縮することを防ぐことができる。したがって、基礎20が乾燥収縮することがないので、前記補修工程において基礎20の表面20aの補修された箇所を、凹凸がなく美観に優れた状態で維持することができる。
つまり、前記補修工程において、基礎20の表面20aにモルタル粉体24が塗りつけられている場合は、乾燥収縮によって、このモルタル粉体24が剥落することがなく、確実に補修することができ、美観に優れた基礎20とすることができる。
また、前記補修工程は、前記塗布工程の前に行うので、平滑な基礎20の表面20aとされた状態で前記乾燥収縮低減剤29を塗布することができ、乾燥収縮低減剤29を塗布し易い。
【0008】
前記乾燥収縮低減剤29とは、例えば、低級アルコール等が挙げられる。
【0010】
また、前記仕上げ工程において、前記基礎20の表面20aに前記仕上げ材36を塗布することによって、基礎20の表面20a全体を平らな状態で仕上げることができるとともに、一体感のある基礎20の表面20aとすることができる。
【0011】
前記仕上げ材36とは、例えば、着色したモルタル等が挙げられる。
【0013】
さらに、前記第1の補修工程において、前記基礎型枠1,1どうしの継ぎ目により、基礎20の表面20aに形成された段差部分21を削るので、この段差部分21がなくなって、外側から見た際に見栄えが良い。
また、前記第2の補修工程において、前記基礎20の表面20aに形成された微小孔21aをモルタル粉体24で埋めるので、微小孔21aに埋め込まれたモルタル粉体24の表面と基礎20の表面20aとが平らとなり、よって、美観に優れた基礎20とすることができる。
【0014】
前記第1の補修工程は、例えば、前記段差部分21をスクレーパー22を使用して削ることである。(図9参照)
前記第2の補修工程は、例えば、前記微小孔21aに水を吹きかけて、その後、補修用モルタル粉体24が付着した補修治具25の当接部27を、前記微小穴21aに擦りつけることによって、モルタル粉体24を埋め込むことである。(図10参照)
【0016】
また、前記パテ処理工程において、前記基礎20の表面20aで、前記第1の補修工程において削られた段差部分21の凹部をパテ34で埋めるので、このパテ34によって段差部分21の表面20aを均一とすることができる。よって、美観に優れた基礎20とすることができる。
【0017】
請求項2の発明は、例えば、図17に示すように、請求項1に記載の基礎20の構築方法により表面20aが仕上げられたことを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明によれば、前記攪拌工程、前記補修工程、前記塗布工程、前記仕上げ工程によって表面20aが仕上げられているので、脱型後、時間が経過しても乾燥収縮することがない。したがって、前記補修工程において基礎20の表面20aの補修された箇所を凹凸がなく、平らな状態に維持することができ、よって美観に優れた基礎20とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図17は、本発明の実施の形態の基礎の構築方法を示す作業工程図である。
建築物を支持する基礎の構築方法について説明する。まず、図1(a),(b)に示すように、構築すべき基礎20の周囲を囲う鋼製の基礎型枠1を組み立てる。そして、組み立てられた基礎型枠1に気泡が入らないようにバイブレーター(図示しない)を使用しながらコンクリート2を打設し、コンクリート2を締め固める。
【0020】
コンクリート2打設後、スページング処理を行う。つまり、バイブレーターによって基礎型枠1の表面に浮き出た大きな気泡をスページング治具3によって微粒子に拡散する。このスページング治具3は、基礎型枠1に沿って該基礎型枠1面に対して均一に押し当てるようにして移動させ、地盤上に露出する部分を攪拌させて使用する(攪拌工程)。
【0021】
そして、このようにして打設したコンクリート2を養生させた後、打設されたコンクリート天端4のブリーディングが引いたら、図2(a),(b)に示すようにコンクリート天端4に天端釘5を複数埋め込む。
【0022】
前記天端釘5は、図3(a),(b)に示すように、コンクリート2に埋め込まれる釘部6と、該釘部6の上端部に螺合される高さ調整部材7とを備えており、この高さ調整部材7を回転させることによって、天端釘5の上端の高さが調整できるようになっている。前記高さ調整部材7は亜鉛メッキ製のビスである。
そして、この天端釘5の高さ調整部材7がコンクリート天端4より突出し、かつ、釘部6のツバ6aが見えなくなるように、コンクリート天端4に対して垂直に50cm〜1m間隔で複数埋め込む(図2(a),図3(a)参照)。
【0023】
次に、コンクリート天端4に埋め込まれた天端釘5の高さ調整部材7を、水平器付き天端釘専用調整ドライバー8を回転させながら、高さ調整部材7がコンクリート天端4から5〜10mm突出するようにレベル調整を行う。レベル調整を行う際には、調整ドライバー8の水平器を確認しながら行う(図2(b),図3(b)参照)。
【0024】
ここで、高さ調整部材7をコンクリート天端4から5〜10mm突出するように調整するのは、5mm未満とした場合は、打設するセルフレベリング材9の量が少ないので、セルフレベリング材9を打設しても基礎天端を平らに均すことができず、また、10mm以上とした場合は、打設するセルフレベリング材9の材料の性質上、精度が出しづらくなってしまうためである。
このようにして天端釘5を基礎型枠1の全周に亘って設置する。
【0025】
次に、前記コンクリート天端4にセルフレベリング材9を打設する。
なお、コンクリート2を打設してからセルフレベリング材9を打設するまでの時間は、夏季で1〜2時間、冬季で2〜3時間とする。
また、コンクリート天端4にセルフレベリング材9を打設する前に、コンクリート天端4のブリーディングが引いていない場合は、刷毛等で水分やゴミを吸い取っておく。また、コンクリート2打設後、コンクリート天端4が乾燥してしまっている場合は、このコンクリート2に水を十分湿らせておく。
まず、図4に示すように、硬化したコンクリート2と打設するセルフレベリング材9との付着力を高めるために、コンクリート天端4に刷毛11等を使用して引っ掻き傷12を形成し、さらに、このコンクリート天端4にプライマーを塗布する。
【0026】
一方、図5に示すように、混練用容器13に水を入れ、電動ハンドミキサー14で撹拌しながら徐々にセルフレベリング材9を入れママコ等の固まりがなくなるまで十分混練し、流すタイミングに合わせてセルフレベリング材9を準備しておく。
【0027】
そして、図6(a),(b)に示すように、コンクリート天端4に複数のせき止め用板15を1m間隔で、かつ、隣り合うせき止め用板15,15で区画されたせき止め区画16に少なくとも1以上の天端釘5が位置するようにして設置する。この際に、せき止め用板16の下端部とコンクリート天端4との間にスポンジ(図示しない)を挟み込んで設置しておく。このようにスポンジを挟みこんでおくと、せき止め区画16に打設されるセルフレベリング材9を他のせき止め区画16に漏れないように確実にせき止めることができる。
【0028】
せき止め用板15を設置したら、区画されたせき止め区画16にセルフレベリング材9を打設し、このせき止め区画16と隣接するせき止め区画16にセルフレベリング材9を打設する。つまり、それぞれのせき止め区画16において、コンクリート天端4から天端釘5の高さ調整部材7の上端まで、セルフレベリング材9を5〜10mm程度打設する。
【0029】
このようにして、隣接する2箇所のせき止め区画16,16にセルフレベリング材9を打設したら、図7(a),(b)に示すように、セルフレベリング材9が硬化する前に、一方のせき止め区画16と他方のせき止め区画16との間にあるせき止め用板15を取り外し、このせき止め用板15が取り外されたつなぎ部分17をトンボ18を使用して、両せき止め区画16,16に打設されたセルフレベリング材9によって平らに均す。
【0030】
隣接するせき止め区画16のつなぎ部分17を平らに均した後に、このせき止め区画16と隣接する次のせき止め区画16にセルフレベリング材9を打設し、さらにそのつなぎ部分17を平らに均し、この作業を順次繰り返すことによってコンクリート天端4の全周に亘ってセルフレベリング材9を打設する。
【0031】
コンクリート天端4にセルフレベリング材9を打設した後、図8に示すように、コンクリート2およびセルフレベリング材9が打設された基礎型枠1にビニールシート19をかぶせてセルフレベリング材9を養生させる。セルフレベリング材9の脱型までの養生期間は、コンクリート2養生期間と同様とする。
【0032】
前記セルフレベリング材9を養生した後、基礎型枠1を取り外す。
ここで、図9に示すように、脱型された基礎20の表面20aには、基礎型枠1と基礎型枠1との継ぎ目による段差部分21が形成されているので、例えば、スクレーパー22またはベビーサンダーを使用してこの段差部分21を削る(第1の補修工程)。
【0033】
その後、上述したスページング処理が行えなかった箇所や不十分だった箇所等に形成されて基礎20の表面20aにあらわれた微小孔21aの補修を行う。つまり、この微小孔21aに霧吹き23等で水を拭きかけ(図10(a)参照)、微小孔21aに擦りこまれる補修用モルタル粉体24をなじみやすい状態にしておく。
そして、この微小孔21aに補修用のモルタル粉体24を擦り込むことによって、微小孔21aをモルタル24で埋めて表面20aを平滑にする(図10(b)参照)(第2の補修工程)。
このモルタル粉体24を基礎20の表面20aに擦り込むには、補修治具25を使用する。
【0034】
この補修治具25は、図11(a),(b)に示すように、内部にモルタル粉体24が充填されている充填部26と、この充填部26に設けられて、基礎20の表面20aに当接する当接部27とを備えている。
前記当接部27の下面にはスポンジ28が設けられている。
【0035】
前記充填部26は円筒状で、この筒内にモルタル粉体24が充填されており、この充填部26を手で持つようになっている。
前記当接部27は、平面視矩形状の板状部材であって、中央部に円形状の穴が形成されている。そして、この穴内に前記充填部26が嵌合されており、当設部27に対して突出し、かつ、傾斜して取り付けられている。
そして、充填部26に充填されているモルタル粉体24を、スポンジ28に付着させて、このスポンジ28を基礎20の表面20aに弧を描くようにして擦り付けることによって、基礎20表面20aの微小孔21a内にモルタル粉体24を埋め込む。
【0036】
なお、この作業で補修しきれない微小孔21aがある場合は、補修用のモルタル粉体24を別容器に取り、水を多少加えて溶いたものをゴム刷毛またはコテなどで微小孔21aを埋めると良い。
【0037】
次いで、基礎20の表面20aに残った余分な補修用のモルタル粉体24をサンドペーパーまたはウエスで仕上げる。
【0038】
このように基礎20の表面20aの下地処理をした後に、図12に示すように、基礎20の表面20aに乾燥収縮低減剤29を塗布する(塗布工程)。すなわち、無色透明の低級アルコールである乾燥収縮低減剤29をローラー30で基礎20の表面20aに対して均等に2回塗布する。
その後、図13に示すように、強化ポリエチレンシートの基礎養生シート31によって基礎20を覆って基礎20の表面20aを汚さないようにしておく。
【0039】
そして、上述したようにして施工された基礎20上に建物躯体32を設置する。
すなわち、このように建物躯体32を設置する際には、基礎20の表面20aは平らな状態とされている。
建物躯体32を設置した後に、前記基礎養生シート31を取り外して、図14に示すように、基礎20の下端部回りの余分な土33を掘削してよける。
そして、再び基礎型枠1と基礎型枠1との継ぎ目に形成された段差部分21を上述しように基礎立ち上がり面に沿ってスクレーパー22で丁寧に削り、この基礎立ち上がり面に付着した泥はね等の汚れをウエスやブラシで落とす(図示しない)。
【0040】
その後、図15に示すように、スクレーパー22によって削られた基礎20の表面20aの段差部分21の凹部をパテ34で埋めることによって調整し、この凹部を目立たなくする(パテ処理工程)。
前記パテ34は、硬いペースト状の充填材である。
【0041】
次いで、図16に示すように、基礎20の水切上部20bに、後述する仕上げ材36を塗布した際に養生するためのガムテープ35を貼る。
その後、図17に示すように、基礎20の表面20aに仕上げ材36を上下方向にローラー37で2回塗布する(仕上げ工程)。
前記仕上げ材36は、着色したモルタル等であって、塗布する前にままこが残らないように攪拌機によって十分に混練しておく。
【0042】
このようにして仕上げ材36を塗布した後、水切上部20bに貼り付けられたガムテープ35を剥がし、さらに仕上げ前に掘り返した土33を基礎20下端部に埋め戻す。この際に、仕上げた表面20aを土で汚さないようにする。
【0043】
本発明の実施の形態によれば、基礎型枠1内にコンクリート2を打設した後に、基礎型枠1内のコンクリート2をスページング治具3を用いて攪拌する(攪拌工程)ので、基礎型枠1の表面に浮き出た大きな気泡を微粒子に拡散させるとともに除去することができる。
【0044】
また、脱型後、基礎20の表面20aに形成された段差部分21をスクレーパー22またはベビーサンダーによって削る(第1補修工程)ので、段差部分21がなくなり外側から見た際に見栄えが良い。
【0045】
さらに、補修用モルタル粉体24が付着した補修治具25の当接部27を微小孔21aに擦りつける(第2補修工程)ので、該微小孔21aに補修用モルタル粉体24がなじむとともに、補修用モルタル粉体24が埋め込まれる。よって、微小孔21aに埋め込まれた補修用モルタル粉体24の表面と基礎20の表面20aとが平らとなり、美観に優れた基礎20とすることができる。
【0046】
また、前記補修治具25は、充填部26と当接部27とを備えており、その構成が単純であるので、容易に製造することができるとともに、誰でも容易にこの補修治具25を使用して補修作業を行うことができる。
【0047】
補修された基礎20の表面20aに乾燥収縮低減剤29を塗布する(塗布工程)ので、基礎20のコンクリート2内に含まれた水分が外に蒸発して基礎20が乾燥収縮することを防げる。したがって、微小孔21aに埋め込まれた補修用モルタル粉体24が、乾燥収縮によって剥落することがなく、確実に補修することができる。
【0048】
また、乾燥収縮剤29を塗布した後に、基礎20の表面20aで、前記スクレーパー22によって削られた段差部分21の凹部をパテ34で埋めるパテ処理を施す(パテ処理工程)ので、段差部分21の表面を均一とすることができる。
このようにパテ処理によって平滑な基礎20の表面20aとされた状態で、この表面20aに仕上げ材36を塗布する(仕上げ工程)ので、仕上げ材36を塗布し易く、さらに、仕上げ材36を塗布することによって基礎20の表面20a全体を平らな状態で仕上げることができるとともに、一体感のある基礎20の表面20aとすることができる。
【0049】
建物躯体32を設置する前に補修工程やパテ処理工程を行っているので、例えば、建物躯体32を設置した後にこれら補修工程やパテ処理工程を行う場合に比して、その作業を行い易い。また、建物躯体32を設置する前の段階において、常に、基礎20の表面20aの見栄えが良い。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、前記コンクリートを打設する際に、基礎型枠の表面に浮き出た大きな気泡を微粒子に拡散させるとともに除去することができる。よって、脱型後、この攪拌した部分の基礎の表面に生じる微小孔を低減することができる。
また、前記基礎の表面を補修して該表面を平らにするので、凹凸がなく美観に優れた基礎とすることができる。
【0051】
さらに、前記基礎の表面に乾燥収縮低減剤を塗布するので、基礎のコンクリート内に含まれた水分が蒸発して基礎が乾燥収縮することを防ぐことができ、よって、基礎が乾燥収縮しないので、補修工程による補修箇所の美観が維持される。
【0052】
また、前記仕上げ材を塗布することによって、基礎の表面全体を平らな状態で仕上げることができるとともに、一体感のある基礎の表面とすることができる。
【0053】
さらに、前記基礎型枠どうしの継ぎ目により形成された段差部分を削るので、外側から見た際に段差部分がなくなって見栄えが良い。
また、前記基礎の表面に形成された微小孔をモルタル粉体で埋めるので、微小孔に埋め込まれたモルタル粉体の表面と基礎の表面とが平らとなり、美観に優れた基礎とすることができる。
【0054】
また、前記基礎の表面で、削られた段差部分の凹部をパテで埋めるので、このパテによって段差部分の表面を均一とすることができる。
【0055】
請求項2の発明によれば、前記攪拌工程、前記補修工程、前記塗布工程、前記仕上げ工程によって表面が仕上げられているので、脱型後、時間が経過してもコンクリートが乾燥収縮することがない。
したがって、前記補修工程において基礎の表面の補修された箇所を凹凸がなく、平らな状態に維持することができ、よって美観に優れた基礎とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すためのもので、(a)はスページング処理(攪拌工程)を示す斜視図、(b)はスページング処理(攪拌工程)を示す側断面図である。
【図2】同、(a)はコンクリート天端に天端釘を設置する作業を示す斜視図、(b)は天端釘を調整する作業を示す斜視図である。
【図3】同、(a)はコンクリートに天端釘が設置されている状態を示す側断面図、(b)は天端釘が調整されている状態を示す側断面図である。
【図4】同、コンクリート天端に引っかき傷を形成する作業を示す斜視図である。
【図5】同、セルフレベリング材の準備作業を示す斜視図である。
【図6】同、(a)はせき止め区画にセルフレベリング材を打設する作業を示す斜視図、(b)はせき止め区画にセルフレベリング材が打設されている状態を示す側断面図である。
【図7】同、(a)はつなぎ部分を平らに均す作業を示す斜視図、(b)はつなぎ部分が平らに均されている状態を示す側断面図である。
【図8】同、ビニールシートをかぶせる作業を示す斜視図である。
【図9】同、基礎の表面の段差を削る作業(第1の補修工程)を示す斜視図である。
【図10】同、(a)および(b)は微小孔の補修作業(第2の補修工程)を示す斜視図である。
【図11】同、(a)は微小孔補修治具の側断面図、(b)は微小孔補修治具の下面図である。
【図12】同、基礎の表面に乾燥収縮低減剤を塗布する作業(塗布工程)を示す斜視図である。
【図13】同、基礎の表面に基礎養生シートをかぶせる作業を示す斜視図である。
【図14】同、基礎下端部の土を掘削する作業を示す斜視図である。
【図15】同、基礎の表面にパテ処理工程を示す斜視図である。
【図16】同、基礎水切上部にガムテープを貼る作業を示す斜視図である。
【図17】同、基礎の表面に仕上げ材を塗布する作業(仕上げ工程)を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基礎型枠
2 コンクリート
3 攪拌手段
20 基礎
20a 表面
21 段差部分
21a 微小孔
24 充填材
29 乾燥収縮低減剤
34 パテ
36 仕上げ材
Claims (2)
- 建築物を支持する基礎の構築方法であって、
基礎型枠内にコンクリートを打設した後に、前記基礎型枠内のコンクリートを攪拌手段を用いて攪拌するとともに、前記コンクリートの攪拌に際し、前記攪拌手段を少なくとも基礎型枠の内面に沿って地盤上に露出する部分を攪拌する攪拌工程と、
前記攪拌工程の後、脱型し、前記基礎の表面を補修して該表面を平らにする補修工程と、
補修された基礎の表面に、該基礎の乾燥収縮を防止する乾燥収縮低減剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基礎の表面に仕上げ材を塗布して基礎の表面を仕上げる仕上げ工程を備え、
前記補修工程は、前記基礎型枠どうしの継ぎ目により、基礎の表面に形成された段差部分を削る第1の補修工程と、
前記攪拌工程により、前記基礎の表面に形成された微小孔に水を吹きかけて、前記微小孔に擦り込まれるモルタル粉体をなじみやすい状態にした後に、前記微小孔にモルタル粉体を擦り込むことによって、前記微小孔を前記モルタル粉体で埋めて表面を平滑にする第2の補修工程とを有し、
前記塗布工程の後で、かつ、前記仕上げ工程の前に、前記第1の補修工程において削られた前記基礎の表面の段差部分の凹部をパテで埋めるパテ処理工程を備えることを特徴とする基礎の構築方法。 - 請求項1に記載の基礎の構築方法により表面が仕上げられたことを特徴とする基礎。
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JP2001183685A JP4728514B2 (ja) | 2001-06-18 | 2001-06-18 | 基礎および基礎の構築方法 |
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