JP4721579B2 - 洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密機械部品、光学機械部品等の加工時に使用される加工油類、グリース類、ワックス類や電気電子部品のハンダ付け時に使用されるフラックス類および液晶等のあらゆる汚れを洗浄するのに好適な洗浄方法および洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
精密機械部品、光学機械部品等の加工時に種々の加工油類、例えば、切削油、プレス油、引抜き油、熱処理油、防錆油、潤滑油等、または、グリース類、ワックス類等が使用されるが、これらの汚れは最終的には除去する必要があり、溶剤による除去が一般的に行われている。
また、電子回路の接合方法としてはハンダ付けが最も一般的に行われているが、ハンダ付けすべき金属表面の酸化物の除去清浄化、再酸化防止、ハンダ濡れ性の改良の目的で、ロジンを主成分としたフラックスでハンダ付け面を予め処理することが通常行われている。ハンダ付けの方法としては溶液状のフラックス中に基板を浸漬する等により、フラックスを基板面に付着させた後、溶融ハンダを供給する方法や予めフラックスとハンダの粉末を混合してペースト状にしたものをハンダ付けすべき場所に供給した後加熱する方法等があるが、いずれにしても、フラックス残渣は金属の腐食や絶縁性の低下の原因となるため、ハンダ付け終了後、十分に除去する必要がある。
【0003】
これらの洗浄、除去には、不燃性で毒性が低く、優れた溶解性を示す等、多くの特徴を有することから、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(以下CFC113という)やCFC113とアルコールなどを混合した溶剤で洗浄していた。しかしながら、CFC113はオゾン層破壊等の地球環境汚染問題が指摘され、日本では1995年末にその生産が全廃された。このCFC113の代替品として、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの混合物(以下HCFC225という)や1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(以下HCFC141bという)等のハイドロクロロフルオロカーボンが提案されているが、これらについても僅かにオゾン層破壊能があるために日本では2020年にその使用が禁止される予定である。
【0004】
さらに、近年では塩素原子を全く含まないハイドロフルオロカーボン類(以下HFCという)やハイドロフルオロエーテル類(以下HFEという)等のオゾン層破壊能が全くなく、不燃性のフッ素系溶剤が提案されているが、塩素原子を含まないために溶解能が低く単独では洗浄剤として使用できず、特開平10−36894号公報および特開平10−192797にHFCやHFEに高沸点溶剤を添加した洗浄剤で洗浄した後、リンス剤としてHFCやHFEを利用した技術が開示されている。
【0005】
しかし、いずれの特許においても高沸点溶剤を洗浄剤に利用しているために被洗物の乾燥性の低下や洗浄剤中に蓄積する汚れ成分の増加による被洗物表面への汚れの再付着等が問題となる。したがって、このような洗浄方法では、特開2000−8095に開示された汚れ溶解能が低く乾燥性に優れるHFCやHFEを入れたリンス槽を設けることにより、溶解性に優れる高沸点成分をリンスすると共にリンス槽中のリンス液を利用して洗浄剤中に蓄積された汚れ成分を分離する方法が提案されているが、単に洗浄槽中の汚れを分離しただけではリンス槽における汚れ成分の再付着を完全に防止することが困難であるため、被洗物表面でシミが発生し、より高いレベルの精密洗浄に対応できないので、その改善が望まれている。
【0006】
以上のごとく、CFC113の代替品として、これまで提案されてきた洗浄剤および洗浄方法では、洗浄が可能であってもオゾン層破壊の問題により将来その使用が禁止されていたり、洗浄剤中に蓄積する汚れ成分を連続的に分離できるもののリンス槽における汚れ成分の再付着により、被洗物表面でのシミ発生を防止することができず、より高いレベルの精密洗浄が実施できないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、あらゆるタイプの汚れに対して、HCFC225に匹敵するような高い洗浄力を示すと共に被洗物表面における汚れの再付着による洗浄性の低下を防止し、かつ、高温下における洗浄や蒸気洗浄時における酸化劣化を防止しつつ、低毒性で、引火性が低く、オゾン層破壊の恐れが全くない洗浄性に優れる高沸点溶剤を含有する洗浄剤または/およびリンス剤を利用して、被洗物に対する影響を低減し、かつ、被洗物表面におけるシミの発生を防止し、より高い洗浄レベルを求められる精密洗浄を可能とする洗浄方法および洗浄装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するため、20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上の非塩素系フッ素化合物(a1)の優れた乾燥性と20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分(b)の高い溶解力を生かした洗浄剤及び/またはリンス剤を利用した洗浄方法、汚れ分離方法および洗浄装置を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、洗浄剤(c)と該洗浄剤を沸騰することによって発生する洗浄剤の蒸気および凝縮液またはリンス剤(d)を利用して、浸漬リンスおよび/または蒸気洗浄し、かつ、洗浄槽中の該洗浄剤とリンス槽中の該洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを汚れ分離槽に送り、2液を接触させることにより汚れ分離槽内で洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離除去し、その後、さらに液中に微分散している汚れ成分を分離フィルターにより分離した液は、汚れ成分濃度が低く一定に保持される上に、洗浄剤(c)を加熱して得られた凝縮液と比較して、優れた溶解性を有する成分(b)を多く含むことにより、優れたプレリンス性を有することで、被洗物表面におけるシミの発生を抑制し、より高い洗浄レベルを求められる精密洗浄に適した洗浄方法及び/または洗浄装置となることを見出した。さらに、加熱槽を設け洗浄槽と加熱槽を循環することにより、洗浄槽を沸騰させずに洗浄することで、被洗物材料に対する影響を低減し、さらに、効果的な超音波洗浄が可能となることで、シミの発生を大幅に抑制した高い洗浄レベルを求められる精密洗浄に適した洗浄方法及び/または洗浄装置となること見出した。
【0009】
すなわち発明の第1は、20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上の非塩素系フッ素化合物である成分(a1)と20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分(b)とを含有する引火点を有さない洗浄剤(c)を利用して洗浄する方法において、
成分(a1)が、下記一般式(1)で特定される環状HFC、下記一般式(2)で特定される鎖状HFC、又は下記一般式(3)で特定されるHFEから選ばれる1種以上であり、
成分(b)が、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、又はエーテル結合及び/又はエステル結合を有する有機化合物から選ばれる一種以上であり、
加熱槽及び/または洗浄槽中の該洗浄剤を加熱することによって得られる洗浄剤の蒸気またはその蒸気の凝縮液を利用して、リンス及び/または蒸気洗浄し、
かつ、洗浄槽から移送した汚れ成分の混入した洗浄槽内容液、及び、洗浄剤蒸気を凝縮した液を蓄えたリンス槽から移送した凝集液、を接触・混合させ、洗浄剤内容液中に混入していた汚れ成分を分離除去した後、その接触・混合した液をプレリンス槽に移送し、その接触・混合した液を用いて、プレリンスすることを特徴とする洗浄方法である。
n 2n-m m (1)
(式中、4≦n≦6、5≦m≦2n−1の整数を示す)
x 2x+2-y y (2)
(式中、4≦x≦6、6≦y≦12の整数を示す)
s 2s+1 OR (3)
(式中、4≦s≦6、Rは炭素数1〜3のアルキル基)
【0010】
発明の第2は、成分(a1)80.0質量%〜99.9質量%と成分(b)0.1質量%〜20.0質量%とを含有する引火点を有さないリンス剤(d)を利用して、リンスすることを特徴とする発明の第1記載の洗浄方法である。
発明の第3は、洗浄剤(c)の成分(a1)と成分(b)の質量割合が、成分(a1)/成分(b)=90/10〜20/80であることを特徴とする発明の第1又は2に記載の洗浄方法である。
発明の第は、成分(a1)がメチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテルおよびこれらの混合物から選ばれる化合物を含有することを特徴とする発明の第1〜3のいずれかに記載の洗浄方法である。
【0011】
発明の第は、成分(b)が、エーテル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合物からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することを特徴とする発明の第1〜のいずれかに記載の洗浄方法である。
発明の第は、成分(b)が、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類およびヒドロキシカルボン酸エステル類からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することを特徴とする発明の第1〜のいずれかに記載の洗浄方法である。
【0012】
発明の第は、成分(b)が、グリコールエーテルモノアルキルエーテル類から選ばれる一種以上の化合物(b1)とグリコールエーテルジアルキルエーテル類から選ばれる一種以上の化合物(b2)との組み合わせを含有することを特徴とする発明の第1〜のいずれかに記載の洗浄方法である。
発明の第8は、洗浄剤(c)の成分(b1)と成分(b2)の質量割合が、成分(b1)/成分(b2)=90/10〜10/90であることを特徴とする請求項7に記載の洗浄方法である。
発明の第、洗浄剤(c)及び/またはリンス剤(d)が、成分(a2)20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上のアルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類よりなる群から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする発明の第2〜8のいずれかに記載の洗浄方法である。
【0013】
発明の第10、洗浄剤(c)及び/またはリンス剤(d)酸化防止剤(e)を含有することを特徴とする発明の第2〜9のいずれかに記載の洗浄方法である。
発明の第11は、(A)洗浄剤(c)を構成する少なくとも一種の成分を加熱及び/または沸騰させるための加熱機構を有する洗浄槽、(B)該洗浄槽(A)から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン、(C)発生した蒸気を凝縮して得られた凝縮液から水分を除去するための水分離槽、(D)水分離槽(C)に滞留する該凝縮液によりリンスするためのリンス槽、(E)洗浄槽(A)において汚れの混入した洗浄剤(c)とリンス槽(D)中の洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを接触させるための汚れ分離槽、(F)汚れ分離槽(E)中の液をさらに処理するための分離フィルター、(G)分離フィルター(F)で処理された液でリンス前にプレリンスするためのプレリンス槽を有する洗浄装置である。
【0014】
発明の第12は、(H)洗浄剤(c)により被洗物を洗浄するための洗浄槽、(I)該洗浄剤を構成する少なくとも一種の成分または化合物の蒸気を発生させるための加熱機構を有する加熱槽、(J)該加熱槽(I)から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン、(K)発生した蒸気を凝縮して得られた凝縮液から水分を除去するための水分離槽、(L)水分離槽(K)に滞留する該凝縮液によりリンスするためのリンス槽、(M)洗浄槽(H)において汚れの混入した洗浄剤(c)とリンス槽(K)中の洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを接触させるための汚れ分離槽、(N)汚れ分離槽(M)中の液をさらに処理するための分離フィルター、(O)分離フィルター(N)で処理された液でリンス前にプレリンスするためのプレリンス槽、(P)洗浄剤(c)を洗浄槽(H)と加熱槽(I)との間で循環する機構を有する洗浄装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、洗浄とは被洗物に付着している汚れを次工程に影響のないレベルまで除去することである。また、プレリンスとは洗浄後、リンス前に被洗物に付着している汚れ成分を含む洗浄剤をリンス剤と比較して、汚れ溶解性に優れる溶剤で置換することである。また、リンスとはプレリンス後、被洗物に付着している汚れ成分を含む溶剤を汚れ成分の含まれない溶剤に置換することである。さらに、蒸気洗浄とは被洗物表面にわずかに残留する汚れ成分を、被洗物と蒸気との温度差によって被洗物表面で凝縮する液体で除去することである。
【0016】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤の成分である20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上の非塩素系フッ素化合物(a1)及び20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上のアルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類等の乾燥性に優れる化合物(a2)を種類ごとに例示する。
【0017】
非塩素系フッ素化合物(a1)とは、炭化水素類やエーテル類の水素原子の一部がフッ素原子のみで置換され、塩素原子を含まないフッ素化合物であり、例えば、下記一般式(1)で特定される環状HFC、(2)で特定される鎖状HFC、又は(3)で特定されるHFEの、塩素原子を含まない、炭素原子、水素原子、酸素原子、フッ素原子からなる化合物、及びこれらの中から選ばれる2種以上の化合物の組み合わせ等を挙げることができる。
n2n-mm (1)
(式中、4≦n≦6、5≦m≦2n−1の整数を示す)
x2x+2-yy (2)
(式中、4≦x≦6、6≦y≦12の整数を示す)
s2s+1OR (3)
(式中、4≦s≦6、Rは炭素数1〜3のアルキル基)
【0018】
環状HFCの具体例としては3H,4H,4H−パーフルオロシクロブタン、4H,5H,5H−パーフルオロシクロペンタン、5H,6H,6H−ノナフルオロシクロヘキサン等を挙げることができる。
鎖状HFCの具体例としては1H,2H,3H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロブタン、1H,3H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロブタン、4H,4H−パーフルオロブタン、1H,1H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロペンタン、1H,4H−パーフルオロペンタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、2H,4H−パーフルオロペンタン、2H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2H,3H−パーフルオロペンタン、1H,3H,5H−パーフルオロペンタン、1H,5H,5H−パーフルオロペンタン、2H,2H,4H−パーフルオロペンタン、1H,2H,4H,5H−パーフルオロペンタン、1H,4H,5H,5H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2H−パーフルオロヘキサン、2H,3H−パーフルオロヘキサン、2H,4H−パーフルオロヘキサン、2H,5H−パーフルオロヘキサン、3H,4H−パーフルオロヘキサン等を挙げることができる。
【0019】
HFEの具体例としてはメチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロペンチルエーテル、メチルパーフルオロシクロヘキシルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロペンチルエーテル等を挙げることができる。
【0020】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤には、これら非塩素系フッ素化合物の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物(a1)を組み合わて用いることができるが、好ましくは、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類等の高極性溶剤に対する溶解性が高く地球温暖化係数の低い環状HFCまたはHFEを挙げることができる。より好ましくは、4H,5H,5H−パーフルオロシクロペンタン、メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパーフルオロイソブチルエーテルおよびその混合物、エチルパーフルオロブチルエーテルとエチルパーフルオロイソブチルエーテルおよびその混合物を挙げることができる。さらに好ましくはメチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテルおよびその混合物を挙げることができる。
【0021】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤の成分である20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上のアルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類よりなる群から選ばれる一種または二種以上の化合物(a2)を化合物の種類ごと以下に例示する。
アルコール類としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等を挙げることができる。
ケトン類としてはアセトン,メチルエチルケトンを挙げることができる。
エステル類としてはギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等を挙げることができる。
炭化水素類としては、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、2−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,4−ジメチルペンタン、イソオクタン等が挙げられる。
【0022】
成分(a2)あるいは成分(b)の比重は成分(a1)との相溶性を向上するために、併用する成分(a1)の比重の±0.8の範囲に入ることが好ましく、さらに好ましくは±0.7である。特に非塩素系フッ素化合物(a1)の他成分との相溶性は温度依存性が高く、低温での相溶性を維持するためには併用する他成分との比重差を小さくすることが重要である。
成分(a2)の沸点は使用中の組成変動を少なくするために、併用する成分(a1)の沸点の±40℃の範囲に入ることが好ましく、さらに好ましくは±30℃である。
【0023】
また、成分(a1)は、併用する成分(a2)が共沸組成物あるいはそれに近似する組成の共沸様組成物であることが好ましい。 本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置においては、加工油類、グリース類、ワックス類やフラックス類等のあらゆる汚れに対する洗浄力の向上及びリンス性の向上を目的に20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分から選ばれる化合物(b)の一種、または二種以上の組み合わせを使用する必要がある。例えば、種々の炭化水素類、アルコール類、ケトン類およびエーテル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合物等の、各種汚れに対して良好な洗浄性を有し、且つ20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の化合物である。成分(b)の蒸気圧が、この範囲にあるときに、本願発明に係る、リンス性および洗浄性に優れた洗浄方法及び/または洗浄装置が得られる。好ましくは、20℃において6.66×102Pa以下であり、さらに好ましくは1.33×102Pa以下である。以下、成分(b)を溶剤の種類ごとに例示する。
【0024】
炭化水素類ではデカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、メンタン、ビシクロヘキシル、シクロドデカン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン等があげられる。
アルコール類ではn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、イソアミルアルコール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げあれる。
ケトン類ではメチル−n−アミルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等を挙げられる。
【0025】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤の成分であるエーテル結合を有する有機化合物とは、分子構造の中にエーテル結合(C−O−C)を少なくとも1個以上含有する化合物であり、エステル結合を有する有機化合物とは、分子構造の中にエステル結合(−COO−)を少なくとも1個以上含有する化合物である。
エーテル結合を有する化合物としては、例えば、下記一般式(4)で特定される化合物を挙げることができる。
【0026】
【化1】
Figure 0004721579
【0027】
(式中、R15およびR16はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アセチル基、カルボニル基、水酸基、エステル結合およびエーテル結合の中から選ばれる一種以上を有する脂肪族化合物残基、脂環式化合物残基、芳香族化合物残基および複素環化合物残基を表し、R17〜R20は水素またはアルキル基を表す)また、エステル結合を有する化合物としては、例えば、下記一般式(5)で特定される化合物を挙げることができる。
【0028】
【化2】
Figure 0004721579
【0029】
(式中、R21およびR22はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アセチル基、カルボニル基、水酸基、エステル結合およびエーテル結合の中から選ばれる一種以上を有する脂肪族化合物残基、脂環式化合物残基、芳香族化合物残基および複素環化合物残基を表す。)
【0030】
具体例としては酢酸−n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸−2−エチルヘキシル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
上記、成分(b)の中でも、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類およびヒドロキシカルボン酸エステル類は、併用するアルコール類の引火性を抑制する効果が特に高いので好ましい。
【0031】
グリコールエーテル類としては、グリコールエーテルモノアルキルエーテル類(b1)やグリコールエーテルジアルキルエーテル類(b2)を挙げることができる。グリコールエーテルモノアルキルエーテル類(b1)とは、2個の水酸基が2個の相異なる炭素原子に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物において、該水酸基の1個の水素が炭化水素残基またはエーテル結合を含む炭化水素残基に置換されている化合物であり、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(b2)とは2個の水酸基が2個の相異なる炭素原子に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物において、2個の水酸基の水素のいずれもが炭化水素残基またはエーテル結合を含む炭化水素残基に置換されている化合物である。
例えば、下記一般式(6)で特定されるグリコールエーテルモノアルキルエーテル類(b1)および下記一般式(7)で特定されるグリコールエーテルジアルキルエーテル類(b2)を挙げることができる。
【0032】
【化3】
Figure 0004721579
【0033】
(式中、R23は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル
基、R24、R25 ,R26は水素またはメチル基、nは0〜1の整数、mは1〜4の整数を示す)
【0034】
【化4】
Figure 0004721579
【0035】
(式中、R27は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル
基、R28は炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基、R29、R30、R31は水素またはメチル基、nは0〜1の整数、mは1〜4の整数を示す)
【0036】
また、本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤の成分である親水性グリコールエーテルモノアルキルエーテル類および親水性グリコールエーテルジアルキルエーテル類とは、30℃においてグリコールエーテル類/水を60/40の質量割合で混合した時、水と相分離せず溶解できるグリコールエーテル類であり、疎水性グリコールエーテルモノアルキルエーテル類および疎水性グリコールエーテルジアルキルエーテル類とは、30℃においてグリコールエーテル類/水を60/40の質量割合で混合した時、水と相分離するグリコールエーテル類である。
【0037】
好ましい親水性グリコールエーテルモノアルキルエーテル類および親水性グリコールエーテルジアルキルエーテル類としては、30℃において、水と任意の割合で溶解できるグリコールエーテル類であり、好ましい疎水性グリコールエーテルモノアルキルエーテル類および疎水性グリコールエーテルジアルキルエーテル類としては、30℃において、水への溶解度が60質量%以下のグリコールエーテル類である。
【0038】
グリコールエーテルモノアルキルエーテル類(b1)において、例えば、親水性グリコールエーテルモノアルキルエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等を挙げることができ、疎水性グリコールエーテルモノアルキルエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等を挙げることができる。なお、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルは、フラックス洗浄におけるイオン性残渣の原因となるアミンの塩酸塩や有機酸等の汚れおよびハンダ付け工程によって生成され、白色残渣の原因となる重合ロジンやロジンの金属塩等の汚れに対する洗浄性に優れている。
さらに、、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等の下記一般式(8)で特定されるグリコールエーテルモノアルキルエーテル類(b1)は特に各種汚れに対して良好な洗浄性を有し、優れた洗浄効果の得られる化合物である。
【0039】
【化5】
Figure 0004721579
【0040】
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、またはシクロアルキル基、R2、R3、R4は水素またはメチル基、nは0または1の整数を表す。)
【0041】
また、グリコールエーテルジアルキルエーテル類(b2)において、例えば、親水性グリコールエーテルジアルキルエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等を挙げることができ、疎水性グリコールエーテルジアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。なお、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルは、特にフラックス成分に含まれるロジンに対する洗浄性に優れている。
さらに、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等の下記一般式(9)で特定されるグリコールエーテルジアルキルエーテル類(b2)は各種汚れに対して良好な洗浄性を有し、優れた洗浄効果の得られる化合物である。
【0042】
【化6】
Figure 0004721579
【0043】
(式中、R5は炭素数4〜6のアルキル基、アルケニル基、またはシクロアルキル基、R7、R8、R9は水素またはメチル基、R6は炭素数3〜6のアルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基、nは0または1の整数を表す。)
【0044】
また、本発明においては、その洗浄目的に応じて、各種汚れに対するより好ましいグリコールエーテルモノアルキルエーテル類とグリコールエーテルジアルキルエーテル類との組み合わせを選ぶことができる。例えば、成分(b1)、(b2)のうちいずれか一方が親水性、他方が疎水性の組み合わせは、各種フラックス洗浄や基板表面に塗布される各種ソルダーレジストインキ等の熱硬化性インキやUV硬化性インキ等の洗浄および液晶洗浄に特に適しており,両成分が共に親水性の組み合わせは、各種フラックス洗浄や各種電気および電子部品の接着や封止等に使用されるエポキシやウレタン系の2液性樹脂の混合吐出機(ディスペンサー)ミキサー部やノズル部の洗浄に特に適している。また、両成分が共に疎水性の組み合わせは、極性の低い精密機械部品、光学機械部品等の加工時に種々の加工油類、例えば、切削油、プレス油、引抜き油、熱処理油、防錆油、潤滑油等、やグリース類、ワックス類等や液晶等の洗浄に特に適している。
【0045】
本発明に使用するグリコールエーテル類としては、人体における代謝系でアルコキシ酢酸を生成しないジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブタノールおよび3−メチル−3−メトキシブタノール等がより毒性が低く好ましい。
グリコールエーテルアセテート類とは、水酸基を有するグリコールエーテル類をアセチル化した化合物であり、好ましくは下記一般式(10)で特定される。
【0046】
【化7】
Figure 0004721579
【0047】
(式中、R10は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基、R11、R12、R13は水素またはメチル基、nは0〜1の整数、mは1〜4の整数を示す)
【0048】
具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール等のモノアルキルエーテルのアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等を挙げることができる。
本発明に使用するグリコールエーテルアセテート類としては、人体における代謝系でアルコキシ酢酸を生成しないジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートおよび3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等がより毒性が低く好ましい。
ヒドロキシカルボン酸エステル類とは水酸基を有するエステル化合物であり、好ましくは下記一般式(11)で特定される。
【0049】
【化8】
Figure 0004721579
【0050】
(式中、R14は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を示す。)
【0051】
具体例としては、乳酸エステル、リンゴ酸エステル、酒石酸エステル、クエン酸エステル、グリコールモノエステル、グリセリンモノエステル、グリセリンジエステル、リシノール酸エステルおよびヒマシ油等を挙げることができる。
上記、成分(b)の中でも特に乳酸エステル類が好ましく、その具体例としては乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルおよび乳酸ペンチル等を挙げることができる。
【0052】
また、特に好ましい成分(b)としては、その分子構造の一部としてブチル基またはイソブチル基の少なくとも一種以上を含む化合物および炭素数4〜6の鎖状炭化水素構造と酸素原子を分子内に含む化合物を挙げることができる。例えば、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸ブチル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−イソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールおよびジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等を挙げることができる。これらの化合物は、フラックス洗浄において、単にロジン溶解性に優れるだけでなく、イオン性物質および白色残渣原因物質に対する洗浄性にも優れている。これら成分(b)のうち、加工油、グリース、ワックス、液晶等の洗浄には炭化水素類の添加が好ましく、フラックスなどの樹脂類の洗浄にはグリコールエーテル類、エステル類、ケトン類が好ましく、なかでもグリコールエーテル類が特に好ましい。
【0053】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤には、洗浄剤の酸化を防止する目的で,酸化防止剤(e)を使用することができる。その具体例を以下に示す。その融点を()内に示した。フェノール系酸化防止剤としては、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン(112℃)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(20℃で液体)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(37℃)、ブチルヒドロキシアニソール(57〜63℃)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(69〜71℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール(44〜45℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール(141℃)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(76〜79℃)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](104〜108℃)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(50〜52℃)等の化合物を挙げることができる。
【0054】
アミン系酸化防止剤としては、ジフェニル−p−フェニレン−ジアミン(130℃)、4−アミノ−p−ジフェニルアミン(74℃)、p、p’−ジオクチルジフェニルアミン(80〜100℃)等の化合物を挙げることができる。
リン系酸化防止剤としては、フェニルイソデシルホスファイト(20℃で液体)、ジフェニルジイソオクチルホスファイト(20℃で液体)、ジフェニルジイソデシルホスファイト(20℃で液体)、トリフェニルホスファイト(20℃で液体)、トリスノニルフェニルホスファイト(20℃で液体)、ビス(2,4−ジ−tブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト(20℃で液体)等の化合物を挙げることができる。
【0055】
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3、3’−チオジプロピオン酸エステル(34〜42℃)、ジトリデシル−3、3’−チオジプロピオン酸エステル(20℃で液体)、ジミリスチル−3、3’−チオジプロピオン酸エステル(49〜55℃)、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオン酸エステル(63〜69℃)等の化合物を挙げることができる。
これら例示された化合物のなかで、フェノール系酸化防止剤の添加効果が高く、特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが好ましい。また、洗浄剤を連続して加熱使用する蒸気洗浄等の場合には、フェノール系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤の群から選ばれる少なくとも一種以上とリン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤の群から選ばれる一種以上を併用することによって、長期間洗浄剤の酸化分解を抑制することが可能となる。さらに、酸化防止剤の融点は、洗浄した後被洗物表面に発生するシミを抑制するために120℃以下が好ましく、さらに蒸気洗浄における洗浄温度より低いことが好ましい。
【0056】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤には、酸化防止剤(e)との併用による一層の酸化安定性の向上を目的に紫外線吸収剤(f)を添加しても良い。その例としては、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2、2’−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ドデシル−2−ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート、ビスフェノールA−ジ−サリシレート等のフェニルサリシレート類および2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α’−ジジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾ−ル類を挙げることができる。
【0057】
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤は、上述した成分(a1)、成分(b)、成分(e)および成分(f)の各成分を定法に従って混合し均一化して得られる。
各成分の質量割合については、洗浄剤の特徴である、高洗浄性、低酸化劣化性、低毒性、低引火性が損なわれない範囲であれば、特に制限はないが、20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の非塩素性フッ素化合物(a1)と20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分(b)とを併用する場合の成分(a1)/成分(b)の質量割合の範囲が90/10〜20/80であることがより好ましい。成分(b)の質量割合が10より大きいときに、各種汚れに対するより好ましい溶解力改善効果が得られ、80より小さいときにより好ましい被洗物表面における洗浄剤成分の低残留性が得られる。洗浄剤の洗浄性と被洗物表面における洗浄剤成分の残留性のバランスを考慮した、さらに好ましい成分(a1)と(b)の質量割合の範囲は80/10〜40/60であり、いっそう好ましくは70/30〜50/50である。
【0058】
成分(a1)と成分(a2)を併用して使用する場合の質量割合の範囲は、99/1〜70/30であることがより好ましい。成分(a2)の質量割合が1より大きいときに、各種汚れに対するより好ましい溶解力改善効果が得られ、30より小さい時により好ましい低引火性が得られる。
成分(b1)と成分(b2)を併用して使用する場合の質量割合の範囲は、90/10〜10/90であることがより好ましい。成分(b1)の質量割合が10より大きいときに、より好ましいロジン溶解性が得られ、90より小さいときに、重合ロジンやロジンの金属塩に対するより好ましい洗浄性が得られる。洗浄剤のロジンに対する溶解性と重合ロジン等の白色残渣の原因となる汚れに対する洗浄性のバランスを考慮したとき、さらに好ましい成分(b1)/成分(b2)の質量割合の範囲は80/20〜20/80であり、いっそう好ましくは70/30〜30/70である。
【0059】
成分(e)酸化防止剤および成分(f)紫外線吸収剤を添加する場合には{(a)+(b)}に対して、{(e)+(f)}が好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは10〜1000ppmである。また、(e)/(f)の質量割合の範囲が90/10〜10/90であることが好ましく、より好ましくは80/20〜20/80である。
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用するリンス剤は、例えば、上述した成分(a1)、成分(a2)、成分(b)、成分(e)および成分(f)の各成分を定法に従って混合し均一化して得る方法や洗浄剤(c)を蒸留することによって凝縮液として得る方法を挙げることができる。
【0060】
各成分の配合量は、高リンス性、高乾燥性、低酸化劣化性、低毒性、低引火性等のリンス剤としての特徴を示すために以下に示す配合量である必要がある。成分(a1)非塩素系フッ素化合物の配合量は、全組成中に80.0質量%〜99.9質量%、好ましくは90.0質量%〜99.9質量%であり、さらに好ましくは95.0質量%〜99.5質量%である。配合量が80.0質量%以上の時に充分な蒸発速度により優れた乾燥性が得られ、また、99.9質量%以下の時に汚れ成分を多く含む洗浄剤に対する優れたリンス性が得られる。成分(b)20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分の配合量は0.1質量%〜20.0質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%〜5質量%である。配合量が0.1質量%以上の時に優れたリンス効果が得られ、20.0質量%以下で充分な乾燥性が得られる。
【0061】
アルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類よりなる群から選ばれる一種または二種以上の化合物(a2)を、成分(a1)と成分(b)とを含有するリンス剤に添加することができる。添加量としては{(a1)+(b)}に対して、0.1質量%〜20.0質量%を添加することができ、好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%〜5質量%である。添加量が0.1質量%以上の時により好ましい蒸気洗浄性が得られ、20質量%以下の時により好ましい引火危険性の低いリンス剤が得られる。
【0062】
成分酸化防止剤(e)および紫外線吸収剤(f)を添加する場合には{(a1)+(b)}に対して、{(e)+(f)}が好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは10〜500ppmである。また、(e)/(f)の質量割合の範囲が90/10〜10/90であることが好ましく、より好ましくは80/20〜20/80である。
【0063】
また、リンス剤成分はリンスする該洗浄剤と同一成分とすることにより、リンス剤成分を一定に保持することが可能となるので好ましい。
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤の融点は15℃以下が好ましいが、冬期使用することも考慮すると10℃以下がより好ましく,さらに好ましくは5℃以下である。
本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤には、必要に応じて各種助剤、例えば,界面活性剤、安定剤、消泡剤、紫外線吸収剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0064】
以下に本発明の洗浄方法及び/または洗浄装置に使用する洗浄剤及びリンス剤に添加できる添加剤の具体例を例示する。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤を添加しても良い。アニオン系界面活性剤としては、炭素数が6〜20の脂肪酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルカリ金属、アルカノールアミンおよびアミン塩等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェノール、炭素数が8〜18の直鎖または分岐の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイドのブロックポリマー等が挙げられる。両性界面活性剤としては,ベタイン型、アミノ酸型等が挙げられる。
【0065】
金属の腐食、発錆及び変色を抑制するための安定剤としてはニトロメタン、ニトロエタン等のニトロアルカン類、1,2−ブチレンオキサイド等のエポキシド類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、トリエタノールアミン等のアミン類、1,2,3−ベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
消泡剤としては、自己乳化シリコーン、シリコン、脂肪酸、高級アルコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールおよびフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
【0066】
本発明の洗浄方法及び洗浄装置を利用することによって、最も効果的な洗浄を行うことができる。
本発明の第1〜8に記載の洗浄方法は、被洗物に付着したあらゆるタイプの汚れを20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上の非塩素系フッ素化合物(a1)に20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分(b)を含有した洗浄剤(c)で洗浄するが、必要に応じて、酸化防止剤(e)を添加することによって、優れた金属安定性が得られる。また、洗浄槽において浸漬、撹拌、揺動、振動、シャワー、超音波等の物理的な力を加えながら洗浄剤で洗浄したのち、加熱槽及び/または洗浄槽で該洗浄剤を沸騰することによって発生する洗浄剤の蒸気および凝縮液を利用して、リンスおよび/または蒸気洗浄し、かつ、洗浄槽において汚れの混入した該洗浄剤とリンス槽中の該洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを汚れ分離槽において接触させ、さらに分離フィルターで処理することで該洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離した後、その処理した液をリンス前にプレリンス剤として利用し、プレリンスすることを特徴としている。
【0067】
特に洗浄剤を非引火性洗浄剤とするためには成分(a1)である非塩素性フッ素化合物を含有する必要がある。洗浄工程には洗浄性を向上することを目的とした手拭き、浸漬、撹拌、揺動、振動、スプレー、シャワー、超音波等の物理的な方法を組み合わせることにより、効果的な洗浄が可能となる。また、リンス工程ではリンス性を向上することを目的とした浸漬、揺動、振動、スプレー、シャワー、超音波等の物理的な方法を組み合わせることにより、リンス性がより向上する。洗浄、プレリンス及びリンスを目的としたスプレーあるいはシャワーを行う場合の吐出圧としては1×103〜2×106Paであることが好ましく、より好ましくは1×104〜1×106Paである。
【0068】
また、本発明の第1〜8に記載の汚れ分離方法は、洗浄剤(c)を沸騰することによって発生するリンス槽内に滞留した洗浄剤の蒸気を凝縮した液と洗浄槽において汚れの混入した該洗浄剤とを汚れ分離槽において接触させ該洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離した後、さらに、分離フィルターで処理することで液中に微分散している汚れ成分を分離し、洗浄剤中の汚れを連続的に分離することを特徴としている。汚れ分離効率を高めるためには汚れ分離槽への洗浄剤供給量を増加すると共に汚れ分離槽内温度を下げることで、より効率的に汚れを分離することが可能となる。汚れ分離槽内温度は、20℃以下に保つことが好ましく、より好ましくは10℃以下である。さらに、分離された汚れ成分の比重が汚れ分離槽内の液体の比重と差のある場合には、比重差分離することが可能となるので好ましい。
【0069】
本発明で用いる「分離フィルター」は、織布、編布、不織布のいずれでも良い。また、この「分離フィルター」を構成する繊維は、何ら限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系共重合体の繊維、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプラミド等のポリアミド繊維、ポリアミド・イミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラオキシベンゾエート等のポリエステルエーテルの繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有重合体の繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの繊維、各種アクリル繊維およびポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース、アセテート、木綿、麻、絹、羊毛、等の天然繊維が挙げられる。これらの繊維は単独あるいは組み合わせて使用される。また、これら繊維をジメチルポリシロキサンやパーフルオロアルキル基を持ったフッ素系樹脂等で撥水加工処理したものも使用可能である。
【0070】
本発明で用いる「分離フィルター」を構成する繊維の単繊維直径は汚れ分離性が損なわれない範囲であれば特に限定はないが、好ましくは0.1〜10μmのものを主体とし、より好ましくは単繊維直径2μm以下のものを主体とする。「主体とする」とは、分離フィルターを構成する繊維の総重量に対して、上述の単繊維直径を有する繊維の総重量が50%以上であることである。単繊維直径が10μm以下で、より好ましい微分散した汚れ成分の除去性及び処理速度が得られ、0.1μm以上で容易に入手することができる。
【0071】
分離フィルターの厚みは汚れ分離性が損なわれない範囲であれば特に限定はないが、好ましくは0.1〜70mmである。厚みが0.1mm以上でより好ましい分離効果が得られ、70mm以下でより好ましい液透過時の圧力損失の抑制が可能となる。
本発明に用いる分離フィルターは平膜状、円筒状、スパイラル状、プリーツ状等の任意の形態で用いることができる。処理効率の面から、分離フィルターはプリーツ状の形態で用いることが好ましい。また、分離フィルターは1枚あるいは復数枚の重ね合わせによって使用され、通液方法は重力による液透過、圧送による液透過等の任意の方法をとることができ、なんら限定されるものではない。
【0072】
本発明で用いる分離フィルターに対して、補強等の目的で金網、プラスチック、繊維構造体等の補強剤を用いることも可能である。また、本発明に用いる分離フィルターに戻り液を通す前にゴミ等の捕集するためのプレフィルター、例えば膜状、わた状のゴミ捕集材を置くことも可能である。
本発明に用いる分離フィルターとしては旭化成(株)より商標「ユーテック」として販売されている(イ)または(ロ)の特徴を有する分離フィルターが特に好ましい。
【0073】
分離フィルター(イ)は単繊維直径0.1〜10μmの繊維を主体とし、空隙率が30〜90%、厚さ0.1〜70mmで、かつ、繊維表面の臨界表面張力が3.5×10-2N/m以上の分離フィルターによって粗粒化分離するフィルターであり、分離フィルター(ロ)は単繊維直径0.1〜10μmの繊維を主体とし、空隙率が30〜90%の撥水性を有する分離フィルターによって、戻り液中の汚れ成分を分離するフィルターである。
【0074】
本発明の分離フィルター(イ)または/および(ロ)により、汚れ成分を分離する場合には、汚れ分離槽において微分散した汚れ成分の戻り液への再溶解を防止することを目的に液温20℃をより低く保持することが好ましく、より好ましくは10℃以下である。本発明の汚れ分離槽及び分離フィルターによる汚れ分離は、洗浄剤(c)を使用する上で、洗浄剤寿命が飛躍的に改善され、洗浄剤の液交換等の作業頻度の低減及びランニングコストの低減が可能となり、最も適した汚れ分離方法と言える。
【0075】
さらに、本発明の第1〜8に記載のプレリンスは、成分(b)を含有するプレリンス剤でリンス前にプレリンスすることで、洗浄剤中の汚れ濃度が上昇した場合のリンス槽におけるリンス不良の発生を抑制することが可能となる。プレリンス剤としては、プレリンス剤の特徴である、高プレリンス性が損なわれない溶剤であれば、特に制限はないが本発明の洗浄剤および/またはリンス剤の構成成分を添加することが可能であり、特に成分(b)を含有することがプレリンス性を高めるので好ましい。プレリンス剤を非引火性とするためには成分(a1)である非塩素系フッ素化合物を含有する必要がある。さらに、プレリンス剤成分は洗浄剤およびリンス剤成分と同一とすることが、洗浄剤およびリンス剤の組成変動を抑制することが可能となるので好ましい。また、プレリンス剤中の成分(b)の濃度はプレリンス剤の特徴である、高プレリンス性が損なわれない範囲であれば、特に制限はないが、洗浄剤中の成分(b)濃度より低い時、リンス槽におけるリンス剤によるリンス性が向上し、高い乾燥性が得られるので好ましく、または、リンス剤中の成分(b)濃度より高い時、汚れ成分を含む洗浄剤成分の置換性が向上し、高いプレリンス性が得られるので好ましい。さらに、プレリンス剤中の成分(b)濃度が使用する洗浄剤中の成分(b)濃度より低く、かつ、洗浄剤の蒸気を凝縮した液またはリンス剤中の成分(b)の濃度より高いことがより好ましい。さらに、プレリンス剤中の成分(b)の濃度は5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。さらに、汚れ分離方法で処理された液をプレリンス剤として使用することは、連続的に洗浄を行う上でプレリンス剤中の汚れ濃度を低く、かつ、一定に保持することが可能となり、プレリンス剤の液交換を必要とせずランニングコストを低減できるので好ましく、また、プレリンス剤中の成分(b)の濃度が洗浄剤中の成分(b)の濃度とリンス剤中の成分(b)との中間の好ましい成分(b)濃度となり、かつ、一定濃度を保つことが可能となることで、リンス槽におけるより高いリンス性が得られるので好ましい。プレリンス工程ではプレリンス性を向上することを目的とした浸漬、揺動、振動、シャワー、超音波等の物理的な方法を組み合わせることにより、効果的なプレリンスが可能となる。本発明の第1〜8の洗浄方法では、単に被洗物を洗浄するだけでなく、汚れの連続分離及びプレリンスを同時に行うことを可能としたことで、これまでの洗浄方法では達成できなかった、リンス槽における被洗物表面でのシミ発生を抑制し、高い洗浄レベルを得ることが可能な精密洗浄に最も適した洗浄方法と言える。
【0076】
本発明の第1〜8に記載の洗浄方法において、具体的な洗浄方法の事例として、好ましくは本発明の第9及び第10に記載の洗浄装置を挙げることができる。以下に本発明の洗浄方法および洗浄装置を添付図面によって具体的に説明する。
本発明の第9に記載の洗浄装置の一例である図1に示す洗浄装置は、主な構造として、洗浄剤を構成する少なくとも一種の成分を加熱または/および蒸気を発生させるための加熱機構を有する洗浄槽(A)1、該洗浄槽(A)1から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン(B)4、発生した蒸気を凝縮して得られた凝縮液から水分を除去するための水分離槽(C)5、水分離槽(C)において水分の除去された凝縮液により浸漬リンスするためのリンス槽(D)3、汚れ成分を含む洗浄剤と該凝縮液とを接触させ洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離させるための汚れ分離槽(E)13、洗浄槽(A)1の洗浄剤を連続的に汚れ分離槽に送る機構20、21、リンス槽(D)3中の凝縮液を連続的に汚れ分離槽(E)13に送る機構11、12、汚れ分離槽で処理された液中の汚れ成分を分離フィルター(F)17により分離するための機構15、16、18、分離フィルター(F)17を通過した液により浸漬プレリンスをするためのプレリンス槽(G)2を有する洗浄装置である。実際の洗浄においては被洗物を専用のジグやカゴ等に入れて、洗浄装置内を洗浄槽(A)1、プレリンス槽(G)2、リンス槽(D)3、蒸気ゾーン(B)4の順に通過させながら洗浄を完了させる。
【0077】
洗浄槽(A)1では、洗浄剤(c)をヒーター6で加熱し、沸騰状態で被洗物に付着した汚れを洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動、撹拌、振動及び洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良い。
プレリンス槽(G)2では、汚れ分離フィルター(F)17を通過した汚れ分離槽(E)13で処理された液をプレリンス剤として利用し、成分(a)、被洗物に付着した洗浄剤および汚れ成分を超音波22で洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動、撹拌、振動及び洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良い。
【0078】
リンス槽(D)3では、成分(a)、本発明のリンス剤およびこれらの凝縮液により被洗物に付着したプレリンス剤および汚れ成分を超音波23で洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動、撹拌、振動及び洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良い。
洗浄槽(A)1で発生した蒸気に満たされた蒸気ゾーン(B)4で行う蒸気洗浄は、被洗物表面で蒸気が凝縮することによりできる液中に汚れ成分が全く含まれないので、洗浄工程最後の仕上げ洗浄として有効である。
【0079】
汚れ分離槽(E)13では、凝縮液用配管11、12より入るリンス槽(D)3の凝縮液と配管20を通り洗浄剤送液ポンプ21で送液される洗浄槽(A)1の洗浄剤とを接触させるとともに冷却管25により液温を下げることで、洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離除去した後、汚れの分離された洗浄剤と凝縮液とを洗浄槽(A)1へ戻すことで、洗浄剤中に持ち込まれる汚れ成分を連続的に除去する。汚れ分離槽(E)13で処理された液は、一度、貯液タンク15に集め冷却管26で液温を下げ、ポンプ16で分離フィルター(F)17を通過することで液中に微分散している汚れ成分を分離し、プレリンス槽(G)2に入り、プレリンス剤の成分として使用した後、矢印19のようにオーバーフローして洗浄槽(A)1に戻る。
【0080】
凝縮液は水分離槽(C)5に集め冷却管24で液温を下げた後、配管10を通りリンス槽(D)3入りリンス液として利用し、凝縮液配管11、12を通って汚れ分離槽(E)13に入る。最終的には貯液タンク15、分離フィルター(F)17、プレリンス槽(G)2に入り、プレリンス剤の成分として使用した後、矢印19のようにオーバーフローして洗浄槽(A)1に戻る。洗浄槽(H)27に戻ったヒーター6で加熱沸騰され、その組成の一部または全部が蒸気となって矢印7のように冷却管8で凝縮された後、配管9から水分離槽(C)5に戻る。
【0081】
次に本発明の第10に記載の洗浄装置の一例である図2に示す洗浄装置は、主な構造として、洗浄剤を加熱するための加熱機構を有する洗浄槽(H)27、洗浄剤を構成する少なくとも一種の成分を加熱または/および蒸気を発生させるための加熱機構を有する加熱槽(I)28、該加熱槽(I)28から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン(J)31、発生した蒸気を凝縮して得られた凝縮液から水分を除去するための水分離槽(K)32、水分離槽(K)において水分の除去された凝縮液により浸漬リンスするためのリンス槽(L)30、汚れ成分を含む洗浄剤と該凝縮液とを接触させ洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離させるための汚れ分離槽(M)40、洗浄槽(H)27の洗浄剤を連続的に汚れ分離槽に送る機構50、51、リンス槽(L)30中の凝縮液を連続的に汚れ分離槽(M)40に送る機構38、39、汚れ分離槽で処理された液中の汚れ成分を分離フィルター(N)44により分離するための機構42、43、45、分離フィルター(N)44を通過した液により浸漬プレリンスをするためのプレリンス槽(O)29を有する洗浄装置である。実際の洗浄においては被洗物を専用のジグやカゴ等に入れて、洗浄装置内を洗浄槽(H)27、プレリンス槽(O)29、リンス槽(L)30、蒸気ゾーン(J)31の順に通過させながら洗浄を完了させる。
【0082】
洗浄槽(H)27では、一定温度にコントロールしながら被洗物に付着した汚れを超音波52で洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動、撹拌、振動及び洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良い。
プレリンス槽(O)29では、汚れ分離フィルター(N)44を通過した汚れ分離槽(M)40で処理された液をプレリンス剤として利用し、成分(a)、被洗物に付着した洗浄剤および汚れ成分を超音波53で洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動、撹拌、振動及び洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良い。
【0083】
リンス槽(L)30では、成分(a)、本発明のリンス剤およびこれらの凝縮液により被洗物に付着したプレリンス剤および汚れ成分を超音波54で洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動、撹拌、振動及び洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良い。
加熱槽(I)28で発生した蒸気に満たされた蒸気ゾーン(J)31で行う蒸気洗浄は、被洗物表面で蒸気が凝縮することによりできる液中に汚れ成分が全く含まれないので、洗浄工程最後の仕上げ洗浄として有効である。
【0084】
洗浄槽(H)27と加熱槽(I)28との間で洗浄剤を循環するための機構(P)48、49は、洗浄剤を加熱槽(I)28から配管(P)48を通って循環ポンプ(P)49で洗浄槽(H)27に送液し、洗浄槽(H)27からオーバーフローして矢印47のように加熱槽(I)28に戻すことによって、洗浄槽(H)27と加熱槽(I)28の洗浄剤組成を常に同一に保ち、洗浄槽(H)27における洗浄剤の組成変動を抑制し、安定した洗浄性を得ることができる。
【0085】
汚れ分離槽(M)40では、凝縮液用配管38、39により入るリンス槽(L)30の凝縮液と配管50を通り洗浄剤送液ポンプ51で送液される洗浄槽(H)27の洗浄剤とを接触させるとともに冷却管56により液温を下げることで、洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離除去した後、汚れの分離された洗浄剤と凝縮液とを洗浄槽(A)1へ戻すことで、洗浄剤中に持ち込まれる汚れ成分を連続的に除去する。汚れ分離槽(M)40で処理された液は、一度、貯液タンク42に集め冷却管57で液温を下げ、ポンプ43で分離フィルター(N)44を通過することで液中に微分散している汚れ成分を分離し、プレリンス槽(O)29に入り、プレリンス剤の成分として使用した後、矢印46のようにオーバーフローして洗浄槽(H)27に戻る。
【0086】
凝縮液は水分離槽(K)32に集め冷却管55で液温を下げた後、配管37を通りリンス槽(L)30入りリンス液として利用し、凝縮液配管38、39を通って汚れ分離槽(M)40に入る。最終的には貯液タンク42、分離フィルター(N)44、プレリンス槽(O)29に入り、プレリンス剤の成分として使用した後、矢印46のようにオーバーフローして洗浄槽(H)27に戻る。洗浄槽(H)27に戻った凝縮液は矢印47のようにオーバーフローして加熱槽(I)28に入りヒーター33で加熱沸騰され、その組成の一部または全部が蒸気となって矢印34のように冷却管35で凝縮された後、配管36から水分離槽(K)32に戻る。 本発明の図1及び図2に記載の洗浄装置では、リンス前に成分(b)を含むプレリンス剤で浸漬リンスすることにより、洗浄剤中に溶解している汚れ成分の被洗物表面への残留量を低減すると共に、洗浄剤中に持ち込まれる汚れ成分を連続的に分離除去することで洗浄剤寿命を飛躍的に改善できる。
【0087】
前記図1または2に示した各洗浄装置はその目的や用途によって使い分けることができ、高清浄度が求められるような超精密洗浄等では、洗浄槽、プレリンス槽、リンス槽の中から選ばれる槽を必要に応じて、2槽以上設けた洗浄装置とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、洗浄剤の各種洗浄性及び汚れ分離性は以下のようにして評価した。
【0088】
[実施例1,2及び比較例1、2]
(1)実機による洗浄試験
図1に示す洗浄装置の洗浄槽(A)1に洗浄剤を入れ、リンス槽(D)3、水分離槽(C)5にリンス剤を入れ、プレリンス槽(G)2、汚れ分離槽(E)13、貯液タンク15、分離フィルター(F)17に洗浄剤とリンス剤を容量比1/1.89で混合した上で入れ、洗浄槽(A)1の洗浄剤をヒーター6により加熱沸騰させ、1時間空運転を行った上で、洗浄剤送液ポンプ21で洗浄槽(A)1の洗浄剤を連続的に汚れ分離槽(E)13に送り、洗浄剤中に溶解した加工油の分離および洗浄を行う。加工油に対する洗浄性について以下の操作及び洗浄条件により測定した。
【0089】
操作
洗浄サンプルは20×50mmの鏡面仕上げしたアルミ製テストピースに下記金属加工油を含浸させた後、洗浄カゴに入れる。上記洗浄装置の洗浄槽(A)1の洗浄剤に4重量%(実施例1及び比較例1)と8質量%(実施例2及び比較例2)の加工油を加えた後に洗浄し、プレリンス槽(G)2内で分離フィルター(F)17を通過した液で浸漬プレリンスしたあと、さらに、リンス槽(D)3内で洗浄剤(c)の凝縮液で浸漬リンスし、最後に蒸気洗浄して乾燥する。洗浄性は洗浄したテストピース表面に残留する加工油を油分測定装置(OIL−20、セントラル科学(株)製)により測定すると共に、テストピース表面上のシミの有無を顕微鏡(50倍)を使用して目視評価した。評価は以下の基準による。
【0090】
残存油分量
◎:20μg未満/枚
○:20μg以上/枚〜80μg未満/枚
×:80μg以上/枚
外観評価
○:シミなし
×:シミあり
【0091】
洗浄条件
洗浄槽(A)27 :2分間超音波洗浄(40kHz、200w、液温65℃)
プレリンス槽(O)29:1分間超音波洗浄(40kHz、200w、液温50℃)
プレリンス実施条件 :実施例では「実施」、比較例では「実施せず」
リンス槽(L)30 :超音波洗浄(40kHz、200w)
リンス実施条件 :実施例では「1分間」、比較例では「2分間」
蒸気ゾーン(J)31 :2分間静置
洗浄剤凝縮液量 :208ml/min
汚れ分離槽への洗浄剤フィード量:110ml/min
汚れ分離槽(E)13液温 :3〜6℃
貯液タンク15の液温 :3〜6℃
分離フィルター(F)17 :EUS04AV(商品名:ユーテック、旭化成(株)製)
【0092】
試験に用いた洗浄剤:メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパープルオロイソブチルエーテルとの混合物(商品名:HFE7100、住友スリーエム(株)製)/3−メチル−3−メトキシブタノール/ジプロピレングリコールジメチルエーテル=50/30/20(質量%)
試験に用いたリンス剤:メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパープルオロイソブチルエーテルとの混合物(商品名:HFE7100、住友スリーエム(株)製)/3−メチル−3−メトキシブタノール/ジプロピレングリコールジメチルエーテル=99/0.6/0.4(質量%)
試験に用いた金属加工油:FM220(商品名、ユシロンフォーマー、ユシロ化学工業(株)製)
【0093】
【実施例1】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :◎
外観 :○
加工油4質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを行ったことで、テストピース表面に全くシミがなく優れた洗浄性であることが確認された。
【0094】
【実施例2】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :◎
外観 :○
加工油8質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを行ったことで、テストピース表面に全くシミがなく優れた洗浄性が確認された。
【0095】
【比較例1】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :○
外観 :×
加工油4質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを実施しなかったために、テストピース表面にシミが確認され充分な洗浄性が得られなかった。
【0096】
【比較例2】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :×
外観 :×
加工油8質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを実施しなかったために、テストピース表面にシミが確認され充分な洗浄性が得られなかった。
【0097】
[実施例3,4及び比較例3、4]
(2)実機による洗浄試験
図2に示す洗浄装置の洗浄槽(H)27及び加熱槽(I)28に洗浄剤を入れ、リンス槽(L)30、水分離槽(K)32にリンス剤を入れ、プレリンス槽(O)29、汚れ分離槽(M)40、貯液タンク42、分離フィルター(N)44に洗浄剤とリンス剤を容量比1/1.89で混合した上で入れ、加熱槽(I)28の洗浄剤をヒーター33により加熱沸騰させ、1時間空運転を行った上で、洗浄剤送液ポンプ51で洗浄槽(H)27の洗浄剤を連続的に汚れ分離槽(M)40に送り、洗浄剤中に溶解した加工油の分離および洗浄を行う。加工油に対する洗浄性について以下の操作及び洗浄条件により測定した。
【0098】
操作
洗浄サンプルは20×50mmの鏡面仕上げしたアルミ製テストピースに下記金属加工油を含浸させた後、洗浄カゴに入れる。上記洗浄装置の洗浄槽(H)27の洗浄剤に4重量%(実施例1及び比較例1)と8質量%(実施例2及び比較例2)の加工油を加えた後に洗浄し、プレリンス槽(O)29内で分離フィルター(N)44を通過した液で浸漬プレリンスしたあと、さらに、リンス槽(L)30内で洗浄剤(c)の凝縮液で浸漬リンスし、最後に蒸気洗浄して乾燥する。洗浄性は洗浄したテストピース表面に残留する加工油を油分測定装置(OIL−20、セントラル科学(株)製)により測定すると共に、テストピース表面上のシミの有無を顕微鏡(50倍)を使用して目視評価した。評価は以下の基準による。
残存油分量
◎:20μg未満/個
○:20μg以上/個〜80μg未満/個
×:80μg以上/個
外観評価
○:シミなし
×:シミあり
【0099】
洗浄条件
洗浄槽(A)27 :2分間超音波洗浄(40kHz、200w、液温65℃)
プレリンス槽(O)29:1分間超音波洗浄(40kHz、200w、液温50℃)
プレリンス実施条件 :実施例では「実施」、比較例では「実施せず」
リンス槽(L)30 :超音波洗浄(40kHz、200w)
リンス実施条件 :実施例では「1分間」、比較例では「2分間」
蒸気ゾーン(J)31 :2分間静置
洗浄剤凝縮液量 :208ml/min
汚れ分離槽への洗浄剤フィード量:110ml/min
汚れ分離槽(M)40液温 :3〜6℃
貯液タンク42の液温 :3〜6℃
分離フィルター(N)44 :EUS04AV(商品名:ユーテック、旭化成(株)製)
【0100】
試験に用いた洗浄剤:メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパープルオロイソブチルエーテルとの混合物(商品名:HFE7100、住友スリーエム(株)製)/3−メチル−3−メトキシブタノール/ジプロピレングリコールジメチルエーテル=50/30/20(質量%)
試験に用いたリンス剤:メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパープルオロイソブチルエーテルとの混合物(商品名:HFE7100、住友スリーエム(株)製)/3−メチル−3−メトキシブタノール/ジプロピレングリコールジメチルエーテル=99/0.6/0.4(質量%)
試験に用いた金属加工油:FM220(商品名、ユシロンフォーマー、ユシロ化学工業(株)製)
【0101】
【実施例3】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :◎
外観 :○
加工油4質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを行ったことで、テストピース表面に全くシミがなく優れた洗浄性が確認された。
【0102】
【実施例4】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :◎
外観 :○
加工油8質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを行ったことで、テストピース表面に全くシミがなく優れた洗浄性が確認された。
【0103】
【比較例3】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :○
外観 :×
加工油4質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを実施しなかったために、テストピース表面にシミが確認され充分な洗浄性が得られなかった。
【0104】
【比較例4】
結果を以下にまとめた。
洗浄性 :×
外観 :×
加工油8質量%を含む洗浄剤で洗浄した後、浸漬プレリンスを実施しなかったために、テストピース表面にシミが確認され充分な洗浄性が得られなかった。
【0105】
【発明の効果】
蒸気圧の異なる成分を組み合わせて使用することで、油およびフラックス等のあらゆる汚れに対して優れた溶解性を有するとともに引火危険性を低減した洗浄剤(c)およびリンス剤(d)を利用した本発明の洗浄方法および洗浄装置では、加熱槽及び/または洗浄槽中で洗浄剤(c)を沸騰することによって発生する該洗浄剤の蒸気および凝縮液を利用することにより、洗浄から乾燥まで行うことができ、かつ、必要に応じて、洗浄槽と加熱槽の洗浄剤を循環することで洗浄槽を沸騰させずに洗浄し、効果的な超音波洗浄を行うことができる。
【0106】
すなわち、乾燥性に優れ、かつ、引火危険性のないものの、洗浄性が著しく劣る20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上の非塩素系フッ素化合物(a1)に各種汚れに対する洗浄性に優れる20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分(b)を添加した洗浄剤(c)を沸騰し、発生する該洗浄剤の蒸気および凝縮液を利用することにより、洗浄槽中の該洗浄剤とリンス槽中の該洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを汚れ分離槽に送り、2液を接触させることにより汚れ分離槽内で洗浄剤中に溶解している汚れ成分を分離除去し、その後、汚れの分離された液体を洗浄槽へ戻すことで、洗浄剤中の汚れを効率的に連続分離することが可能となり、さらに分離フィルターを付加することで、より高い汚れ分離性を得ることが可能となる。
【0107】
また、汚れ分離槽及び/または分離フィルターにより汚れ成分を分離した液は汚れ成分濃度が低く一定に保持される上に、(c)洗浄剤を加熱して得られた凝縮液と比較して、優れた溶解性を有する成分(b)を多く含むことにより、優れたプレリンス性を有することで優れた洗浄性を得ることが可能となる。
また、必要に応じて成分(b)の含まれた洗浄剤を洗浄槽と加熱槽の洗浄剤を循環することで洗浄剤を沸騰させずに洗浄する効率的な超音波洗浄と成分(b)がわずかに含まれる該洗浄剤の凝縮液によるリンスとが可能となり、各種汚れに対する優れた洗浄性を有する成分(b)の特性を有効に活用した洗浄方法および洗浄装置を提供できる。
【0108】
また、非塩素系フッ素化合物(a1)を含有する洗浄剤では、引火点を有さないという非塩素系フッ素化合物の特性により、該洗浄剤を引火点を有さない洗浄剤とすることが可能となり、引火の危険性が低減されることによって、洗浄機等の設備上、引火,爆発等を防ぐための防爆構造とする必要がなく、かつ、既存の洗浄設備をそのまま使用できるため低コストの洗浄システムを確立することが可能となる。
【0109】
本発明の洗浄方法、汚れ分離方法、プレリンス方法及び洗浄装置を必組み合わせて使用することにより、被洗物表面でのシミの発生を抑制し、洗浄剤寿命が長く、かつ、酸化分解及び引火の危険を低減したことであらゆるタイプの汚れを容易に被洗物表面から溶解洗浄する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1に記載の洗浄装置の一例である。
【図2】本発明の第1に記載の洗浄装置の一例である。
【符号の説明】
1 洗浄槽(A)
2 プレリンス槽(G)
3 リンス槽(D)
4 蒸気ゾーン(B)
5 水分離器(C)
6 ヒーター
7 蒸気の流れ
8 冷却管
9 凝縮液用配管
10 水分離後の凝縮液用配管
11 オーバーフロー配管
12 リンス槽からの凝縮液配管
13 汚れ分離槽(E)
14 プレリンス液用配管
15 貯液タンク
16 プレリンス液用ポンプ
17 分離フィルター(F)
18 プレリンス液用配管
19 プレリンス液の流れ
20 洗浄剤送液用配管
21 洗浄剤送液用ポンプ
22 超音波
23 超音波
24 冷却管
25 冷却管
26 冷却管
27 洗浄槽(H)
28 加熱槽(I)
29 プレリンス槽(O)
30 リンス槽(L)
31 蒸気ゾーン(J)
32 水分離槽(K)
33 ヒーター
34 蒸気の流れ
35 冷却管
36 凝縮液用配管
37 水分離後の凝縮液用配管
38 オーバーフロー配管
39 リンス槽からの凝縮液用配管
40 汚れ分離槽(M)
41 プレリンス液用配管
42 貯液タンク
43 プレリンス液用ポンプ
44 分離フィルター(N)
45 プレリンス液用配管
46 プレリンス液の流れ
47 洗浄剤の流れ
48 循環用配管(P)
49 循環用ポンプ(P)
50 洗浄剤送液用配管
51 洗浄剤送液用ポンプ
52 超音波
53 超音波
54 超音波
55 冷却管
56 冷却管
57 冷却管

Claims (12)

  1. 20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上の非塩素系フッ素化合物である成分(a1)と20℃における蒸気圧が1.33×103Pa未満の成分(b)とを含有する引火点を有さない洗浄剤(c)を利用して洗浄する方法において、
    成分(a1)が、下記一般式(1)で特定される環状HFC、下記一般式(2)で特定される鎖状HFC、又は下記一般式(3)で特定されるHFEから選ばれる1種以上であり、
    成分(b)が、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、又はエーテル結合及び/又はエステル結合を有する有機化合物から選ばれる一種以上であり、
    加熱槽及び/または洗浄槽中の該洗浄剤を加熱することによって得られる洗浄剤の蒸気またはその蒸気の凝縮液を利用して、リンス及び/または蒸気洗浄し、
    かつ、洗浄槽から移送した汚れ成分の混入した洗浄槽内容液、及び、洗浄剤蒸気を凝縮した液を蓄えたリンス槽から移送した凝集液、を接触・混合させ、洗浄剤内容液中に混入していた汚れ成分を分離除去した後、その接触・混合した液をプレリンス槽に移送し、その接触・混合した液を用いて、プレリンスすることを特徴とする洗浄方法。

    n 2n-m m (1)
    (式中、4≦n≦6、5≦m≦2n−1の整数を示す)
    x 2x+2-y y (2)
    (式中、4≦x≦6、6≦y≦12の整数を示す)
    s 2s+1 OR (3)
    (式中、4≦s≦6、Rは炭素数1〜3のアルキル基)
  2. 成分(a1)80.0質量%〜99.9質量%と成分(b)0.1質量%〜20.0質量%とを含有する引火点を有さないリンス剤(d)を利用して、リンスすることを特徴とする請求項1記載の洗浄方法。
  3. 洗浄剤(c)の成分(a1)と成分(b)の質量割合が、成分(a1)/成分(b)=90/10〜20/80であることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄方法。
  4. 成分(a1)がメチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテルおよびこれらの混合物から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄方法。
  5. 成分(b)が、エーテル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合物からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄方法。
  6. 成分(b)が、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類およびヒドロキシカルボン酸エステル類からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  7. 成分(b)が、グリコールエーテルモノアルキルエーテル類から選ばれる一種以上の化合物(b1)とグリコールエーテルジアルキルエーテル類から選ばれる一種以上の化合物(b2)との組み合わせを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  8. 洗浄剤(c)の成分(b1)と成分(b2)の質量割合が、成分(b1)/成分(b2)=90/10〜10/90であることを特徴とする請求項7に記載の洗浄方法。
  9. 浄剤(c)及び/またはリンス剤(d)が、成分(a2)20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上のアルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類よりなる群から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の洗浄方法。
  10. 浄剤(c)及び/またはリンス剤(d)酸化防止剤(e)を含有することを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の洗浄方法。
  11. (A)洗浄剤(c)を構成する少なくとも一種の成分を加熱及び/または沸騰させるための加熱機構を有する洗浄槽、(B)該洗浄槽(A)から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン、(C)発生した蒸気を凝縮して得られた凝縮液から水分を除去するための水分離槽、(D)水分離槽(C)に滞留する該凝縮液によりリンスするためのリンス槽、(E)洗浄槽(A)において汚れの混入した洗浄剤(c)とリンス槽(D)中の洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを接触させるための汚れ分離槽、(F)汚れ分離槽(E)中の液をさらに処理するための分離フィルター、(G)分離フィルター(F)で処理された液でリンス前にプレリンスするためのプレリンス槽を有する洗浄装置。
  12. (H)洗浄剤(c)により被洗物を洗浄するための洗浄槽、(I)該洗浄剤を構成する少なくとも一種の成分または化合物の蒸気を発生させるための加熱機構を有する加熱槽、(J)該加熱槽(I)から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン、(K)発生した蒸気を凝縮して得られた凝縮液から水分を除去するための水分離槽、(L)水分離槽(K)に滞留する該凝縮液によりリンスするためのリンス槽、(M)洗浄槽(H)において汚れの混入した洗浄剤(c)とリンス槽(K)中の洗浄剤の蒸気を凝縮した液とを接触させるための汚れ分離槽、(N)汚れ分離槽(M)中の液をさらに処理するための分離フィルター、(O)分離フィルター(N)で処理された液でリンス前にプレリンスするためのプレリンス槽、(P)洗浄剤(c)を洗浄槽(H)と加熱槽(I)との間で循環する機構を有する洗浄装置。
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