JP2020203240A - 洗浄方法 - Google Patents

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省慈 松本
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Abstract

【課題】洗浄剤の蒸発消耗量を低減させ、かつ物品を、その表面に乾燥シミを残すことなく洗浄する方法を提供することを目的とする。【解決手段】洗浄装置を使用して物品を洗浄する方法であって、前記洗浄装置は、浸漬洗浄部および蒸気冷却部を有し、前記浸漬洗浄部は、洗浄剤を収容する浸漬洗浄槽を1つ以上有し、前記洗浄剤は、100℃以下の沸点を有するハロゲン化合物を含み、前記蒸気冷却部は、前記洗浄装置内の、前記浸漬洗浄部よりも高い位置にある空間のうち、冷却手段によって囲まれた、前記ハロゲン化合物を含む蒸気を冷却するための領域であり、前記方法は、物品を前記浸漬洗浄槽に収容された前記洗浄剤に浸漬して洗浄する工程、および浸漬洗浄された前記物品を、前記物品の表面で前記ハロゲン化合物を含む成分を凝縮させることなく、前記浸漬洗浄部から前記洗浄装置の外へ移送する工程を有する洗浄方法。【選択図】図1

Description

本発明は溶剤を使用した産業洗浄の方法に関する。
精密機械部品、光学機械部品等の加工時に使用される種々の加工油類、例えば、切削油、プレス油、引抜き油、熱処理油、防錆油、潤滑油等、グリース類、あるいはワックス類等の汚れは最終的には除去する必要があり、溶剤による除去が一般的に行われている。また、電気電子部品のハンダ付け時に使用されるフラックス類、基板製造時に使用されるスクリーンに付着したインキあるいはペースト類、又は樹脂吐出装置のミキシングヘッドに付着した樹脂類等も同じく、溶剤による除去が一般的に行われている。
これらの洗浄、除去には、不燃性であり、かつ蒸気洗浄(すなわち、洗浄物表面で洗浄剤を)が可能であることなどから、塩素系溶剤、フッ素系溶剤等が広く用いられている。
蒸気洗浄は、洗浄対象である物品を洗浄剤の蒸気と接触させて、物品表面で洗浄剤を凝縮させ、凝縮した、汚れを全く含まない洗浄剤によって物品を洗浄する方法であり、蒸気洗浄は、引火点を持たない洗浄剤で洗浄を行う際の最後の工程として一般的に行われている。
VOC排出規制 産業洗浄における自主的取組マニュアル/環境省・日本産業洗浄協議会・(株)旭リサーチセンター
しかしながら、蒸気洗浄の際には、蒸気洗浄するための空間(蒸気層、蒸気ゾーンなどともいう。)を洗浄装置内に確保する必要があることから、洗浄装置の開口部と蒸気層との距離を確保できず、その結果蒸気が拡散消耗し易く、洗浄剤の蒸発消耗量が多いという問題があった。
また、蒸気洗浄では、被洗浄物表面で凝縮した洗浄剤中に汚れが溶解するために、凝縮した洗浄剤を表面に有する被洗浄物が乾燥する時に、洗浄剤中に溶解した汚れが濃縮し被洗浄物表面にシミが残ったり、被洗浄物表面の固定具との接触部分に凝縮液が残り、その結果、乾燥後に前記接触部分にシミ(これらのシミは、被洗浄物表面の目視では確認できないような小さいシミであり、以下「乾燥シミ」とも記載する。)が残ったりすることがあった。
このような従来技術における問題点に鑑み、本発明は、洗浄剤の蒸発消耗量を低減させ、かつ物品を、その表面に乾燥シミを残すことなく洗浄する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究したところ、所定の条件を採用することにより上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の[1]〜[4]に関する。
[1]
洗浄装置を使用して物品を洗浄する方法であって、
前記洗浄装置は、浸漬洗浄部および蒸気冷却部を有し、
前記浸漬洗浄部は、洗浄剤を収容する浸漬洗浄槽、およびリンス剤を収容する浸漬リンス槽から選択される1つまたは2つ以上の浸漬槽から構成され、かつ1つ以上の前記浸漬洗浄槽を有し、
前記洗浄剤および前記リンス剤は、100℃以下の沸点を有するハロゲン化合物(A)からなる溶剤を含み、
前記蒸気冷却部は、前記洗浄装置内の、前記浸漬洗浄部よりも高い位置にある空間のうち、冷却手段によって囲まれた、前記ハロゲン化合物(A)を含む蒸気を冷却するための領域であり、
前記方法は、
物品を前記浸漬洗浄槽に収容された前記洗浄剤に浸漬して洗浄する工程、および
浸漬洗浄された前記物品を、前記物品の表面で前記ハロゲン化合物(A)を含む成分を凝縮させることなく、前記浸漬洗浄部から前記洗浄装置の外へ移送する工程を有する
洗浄方法。
[2]
洗浄装置を使用して物品を洗浄する方法であって、
前記洗浄装置は、浸漬洗浄部および蒸気冷却部を有し、
前記浸漬洗浄部は、洗浄剤を収容する浸漬洗浄槽、およびリンス剤を収容する浸漬リンス槽から選択される1つまたは2つ以上の浸漬槽から構成され、かつ1つ以上の前記浸漬洗浄槽を有し、
前記洗浄剤および前記リンス剤は、100℃以下の沸点を有するハロゲン化合物(A)からなる溶剤を含み、
前記蒸気冷却部は、前記洗浄装置内の、前記浸漬洗浄部よりも高い位置にある空間のうち、冷却手段によって囲まれた、前記ハロゲン化合物(A)を含む蒸気を冷却するための領域であり、
前記方法は、
物品を前記浸漬洗浄槽に収容された前記洗浄剤に浸漬して洗浄する工程、および
浸漬洗浄された前記物品を、下記式(I)で表される条件を満足させながら、前記浸漬洗浄部から前記洗浄装置の外へ移送する工程を有する
洗浄方法。
0<a≦0.5b1/2 …(I)
〔式(I)において、
aは、前記蒸気冷却部の下面の高さと、前記浸漬槽に収容された洗浄剤またはリンス剤の液面のうち最も高い位置にある液面の高さとの差であり、
bは、前記の最も高い位置にある液面の面積である。〕
[3]
前記ハロゲン化合物(A)が、下記一般式(i):
3(6-(a+b))aClb …(i)
(式中、aは1〜5の整数であり、bは1〜3の整数であり、a+bは2〜6の整数である。)
で表されるフルオロプロペン化合物(a)である、前記[1]または[2]の洗浄方法。
[4]
汚れを含む前記洗浄剤を、前記浸漬洗浄部から回収して蒸留槽で蒸留し、蒸留された前記洗浄剤を前記浸漬洗浄部に供給する工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかの洗浄方法。
本発明の洗浄方法によれば、洗浄剤の蒸発消耗量を低減させることができる。また、本発明の洗浄方法によれば、物品を、その表面に乾燥シミを残すことなく洗浄することができる。
図1は、本発明の洗浄方法で使用される洗浄装置の一例を示す。 図2は、本発明の洗浄方法で使用される洗浄装置の一例を示す。 図3は、本発明の洗浄方法で使用される洗浄装置の一例を示す。 図4は、従来の洗浄方法で使用される洗浄装置の一例を示す。 図5は、従来の洗浄方法で使用される洗浄装置の一例を示す。 図6は、実施例1で洗浄された被洗浄物表面の写真の1枚である。 図7は、比較例1で洗浄された被洗浄物表面の写真の1枚である。 図8は、比較例4で洗浄された被洗浄物表面の写真の1枚である。
以下、本発明に係る洗浄方法をさらに詳細に説明する。
《洗浄装置》
図1を参照しながら説明する。
本発明に係る洗浄方法は、洗浄装置を使用して物品を洗浄する方法である。
本発明に係る洗浄方法で使用される洗浄装置(12)は、浸漬洗浄部(1)および蒸気冷却部(2)を有している。また、通常、前記洗浄装置(12)の上部には、洗浄対象である物品を出し入れするための開口部(10)が設けられている。
浸漬洗浄部(1)は、洗浄剤を収容する浸漬洗浄槽(1a)、およびリンス剤を収容する浸漬リンス槽(1b)から選択される1つまたは2つ以上の浸漬槽から構成されており、かつ1つ以上の浸漬洗浄槽(1a)を有している。浸漬洗浄部(1)は、浸漬洗浄槽(1a)を1つまたは2つ以上有していてもよく、浸漬リンス槽(1b)を1つまたは2つ以上有していてもよい。図2に、浸漬洗浄部(1)が浸漬洗浄槽(1a)および浸漬リンス槽(1b)を備える洗浄装置の一例を示す。
浸漬洗浄槽(1a)には洗浄剤が収容され、この洗浄剤に洗浄対象である物品を浸漬することにより、物品の洗浄が行われる。また、浸漬リンス槽(1b)にはリンス剤が収容され、このリンス剤に浸漬洗浄槽(1)で洗浄された物品を浸漬することにより、物品のリンスが行われる。
浸漬洗浄部(1)が複数個の浸漬槽を備える場合には、通常、各浸漬槽に収容された洗浄剤またはリンス剤の液面の高さは異なり、一つの浸漬槽から溢れ出た洗浄剤またはリンス剤が、隣接する浸漬槽に流入するように浸漬洗浄部(1)が構成される。通常、洗浄対象である物品は、洗浄剤の液面の高さが最も低い浸漬槽で浸漬洗浄され、取り出された後、順次、液面がより高い浸漬槽で洗浄剤またはリンス剤に浸漬され、取り出される。
浸漬洗浄槽(1a)および浸漬リンス槽(1b)には、収容された洗浄剤またはリンス剤を加熱するためのヒーターが備えられていてもよい。
浸漬洗浄槽(1a)および浸漬リンス槽(1b)には、超音波振動子が備えられていてもよい。超音波振動子により洗浄剤またはリンス剤中に発生させたキャビテーションにより、洗浄効果またはリンス効果を高めることができる。
浸漬洗浄槽(1a)におよび浸漬リンス槽(1b)は、超音波振動子以外にも、被洗浄物品に物理的な力を加えて洗浄効果またはリンス効果を高めるための手段が備えられていてもよい。洗浄物品に物理的な力を加える態様としては、振動、揺動、液中噴流などが挙げられる。
蒸気冷却部(2)は、洗浄装置(12)内の、浸漬洗浄部(1)よりも高い位置にある空間のうち、冷却手段(3)によって囲まれた領域である。浸漬洗浄部(1)に収容された洗浄剤またはリンス剤から発生した、後述するハロゲン化合物(A)を含む成分の蒸気は、この蒸気冷却部(2)で冷却されて、凝縮し、浸漬洗浄部(1)に戻る。
冷却手段(3)としては、従来公知の冷却手段を用いることができ、洗浄装置(12)の内壁に設置された冷却管(冷却コイル)などが挙げられる。
冷却手段(3)は、洗浄装置(12)内の前記空間を途切れることなく取り囲んでいてもよく、あるいは前記空間を取り囲むように断続的に配置された複数の冷却手段からなるものであってもよい。
蒸気冷却部(2)または冷却手段(3)の下方には、樋(4)が設けられていてもよい。蒸気冷却部(2)で凝縮した、ハロゲン化合物(A)を含む成分には、大気中の水分が含まれることがある。凝縮した、ハロゲン化合物(A)を含む成分は、好ましくは、樋(4)で回収された後、樋(4)に接続された水分離器(5)に送られ、水分離器(5)で水分を除去した後に浸漬洗浄部(1)に供給される。
浸漬洗浄部(1)には、汚れを含む洗浄剤を回収し、汚れを除去した上で洗浄剤を再び浸漬洗浄部(1)に供給するための手段が接続されていてもよい。このような手段の例としては蒸留槽(6)が挙げられる。図3に、蒸留槽(6)が接続された洗浄装置(12)の一例を示す。
浸漬洗浄部(1)が複数個の浸漬槽から構成される場合には、通常、収容された洗浄剤の液面が最も低い浸漬槽から汚れを含む洗浄剤が回収され、前記液面が最も高い浸漬槽に蒸留された洗浄剤が供給される。
図4、5に示すように、浸漬洗浄および蒸気洗浄を行うための従来の洗浄装置(12)は、浸漬洗浄槽(1)とは別に、蒸気洗浄が行われる蒸気ゾーン(9)に洗浄剤の蒸気を供給するための蒸気発生槽(7)を備えている。蒸気発生槽(7)では、ヒーター(8)により洗浄剤を沸点まで加熱して洗浄剤の蒸気を発生させる。一方、本発明の洗浄装置(12)は、このような蒸気発生槽(7)を備えていない。このため、本発明の洗浄装置(12)には、蒸気洗浄が行われる蒸気ゾーン(9)が形成されない。
《洗浄方法》
本発明の洗浄方法は、
物品を浸漬洗浄槽(1a)に収容された洗浄剤に浸漬して洗浄する工程(以下「浸漬洗浄工程」とも記載する。)、および
浸漬洗浄された前記物品を、所定の条件を満足させながら、浸漬槽(1)から洗浄装置(12)の外へ移送する工程(以下「移送工程」とも記載する。)
を有している。
浸漬洗浄された前記物品は、通常、蒸気冷却部(2)を通過して洗浄装置(12)の外へと移送される。
[浸漬洗浄工程]
浸漬洗浄工程では、物品(被洗浄物品)を浸漬洗浄槽(1a)に収容された洗浄剤に浸漬して洗浄する。浸漬洗浄工程により、物品に付着した汚れ成分が除去される。
浸漬洗浄工程の態様としては、
態様(i):洗浄剤が収容された浸漬洗浄槽(1a)を1つのみ有する浸漬槽(1)を用い、物品を浸漬洗浄槽(1a)で洗浄する;および
態様(ii):洗浄剤が収容された浸漬洗浄槽(1a)を2つ以上有する浸漬槽(1)を用い、物品を、1つの浸漬洗浄槽(1a)で洗浄し、次いで他の浸漬洗浄槽(1a)で順次洗浄する;
が挙げられる。
態様(ii)では、1つの浸漬洗浄槽(1a)で浸漬洗浄された物品を、汚れを含まないかまたは汚れの少ない洗浄剤が収容された他の浸漬洗浄槽(1a)で浸漬洗浄することにより、洗浄効果を高めることができる。
また、浸漬洗浄槽(1a)で浸漬洗浄された物品は、洗浄装置(12)の外に移送する前に、浸漬リンス槽(1b)に収容された浸漬リンスする浸漬リンス工程に供してもよい。浸漬リンス工程では、物品に付着した前記洗浄剤の除去が行われる。
浸漬洗浄工程および浸漬リンス工程の諸条件(例えば、洗浄剤およびリンス剤の温度、浸漬洗浄工程の所要時間)は、洗浄剤およびリンス剤の種類、被洗浄物品の種類等に応じて、適宜設定されるが、洗浄剤およびリンス剤の温度に関して言えば、以下に述べるように従来よりも高く設定することができる。
蒸気洗浄が行われる従来の洗浄方法では、蒸気洗浄の効果を高めるためには最終浸漬槽(最終浸漬槽とは、浸漬リンス工程が実施されない場合には、浄物品が洗浄装置の外に移送する直前まで浸漬されていた浸漬洗浄槽(1a)であり、浸漬リンス工程が実施される場合には、洗浄物品が洗浄装置の外に移送される直前まで浸漬されていた浸漬リンス槽(1b)である。)内の洗浄剤またはリンス剤と蒸気ゾーンの蒸気との温度差を大きくする必要があり、そのため最終浸漬槽内の洗浄剤またはリンス剤の温度をあまり高くすることができなかった。
一方、本発明の洗浄方法では、浸漬洗浄の後に蒸気洗浄が行われないため、前記温度差を考慮する必要がなく、そのため最終浸漬槽内の洗浄剤またはリンス剤の温度(液温)を、洗浄剤またはリンス剤を沸点まで高めることができる。
最終浸漬槽に収容された洗浄剤またはリンス剤の温度は、洗浄剤またはリンス剤が1種の成分のみからなる場合、および共沸混合物または共沸様混合物である場合には、洗浄剤またはリンス剤の沸点以下であり、好ましくは前記沸点〜(前記沸点−5℃)である。また、洗浄剤またはリンス剤が非共沸混合物の場合、前記温度は洗浄剤またはリンス剤の還流時の液温以下、好ましくは前記液温〜(前記液温−5℃)である。
本発明の洗浄方法によれば、最終浸漬槽の温度を高められるため、かつ最終浸漬槽上の空間における蒸気の濃度は、従来の洗浄方法において蒸気洗浄が行われる空間の洗浄剤蒸気の濃度よりも低いため、最終浸漬槽から取り出された被洗浄物の乾燥性を高めることができる。
洗浄によって汚染された洗浄剤、すなわち被洗浄物品から除去された汚れを含む洗浄剤は、上述のように、前記浸漬洗浄部(1)から回収し、蒸留槽(6)で蒸留して前記汚れを除去し、次いで汚れが除去された前記洗浄剤を再び前記浸漬洗浄部(1)に供給してもよい。こうすることで、洗浄を繰り返しても、洗浄剤およびリンス剤に汚れが蓄積せず、乾燥シミの抑制および高い洗浄性を持続させることができる。一方、従来技術においては、蒸留槽(6)で汚れが除去された洗浄剤は、蒸気の状態で、浸漬洗浄部(1)ではなく蒸気ゾーン(9)に供給されていた。
洗浄対象である物品(以下「被洗浄物」とも記載する。)としては、メタルマスク、スクリーン版、ベアリング、自動車部品、時計またはカメラなどの精密機械部品、HIC基板、リードフレームなどの電気機器部品、超鋼工具などの熱処理部品、放熱板等の金属製薄板、および光学レンズなどの光学物品が挙げられる。
本発明の洗浄方法によれば、乾燥シミを残すことなく物品を洗浄することができるため、本発明の洗浄方法は、特に光沢面のある金属物品、および光学物品(例:光学レンズ)の洗浄に有用である。
前記物品に付着した汚れ、すなわち洗浄によって除去する対象としては、たとえば切削油、プレス油、引抜き油、熱処理油、防錆油、潤滑油、グリース類、フラックス、インキおよびペーストなどの汚れが挙げられる。
〔洗浄剤〕
[ハロゲン化合物(A)からなる溶剤]
前記洗浄剤は、100℃以下の沸点を有するハロゲン化合物(すなわち、ハロゲン原子を含む化合物)(A)からなる溶剤を含んでいる。
前記ハロゲン化合物(A)の沸点は、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃未満である。沸点がこの範囲にあると、特に最終浸漬槽の温度を沸点近傍とした場合に、本発明の洗浄方法により洗浄された物品の取扱作業性に優れる(例えば、物品の冷却時間の短縮化)と共に、被洗浄物が樹脂である場合に被洗浄物の劣化を抑制し易い。
一方、前記沸点は、好ましくは15℃以上、より好ましくは25℃以上である。沸点がこの範囲にあると、蒸発消耗量の抑制がより効果的となる。
前記ハロゲン化合物(A)は、好ましくはフッ素化合物(すなわち、フッ素原子を含む化合物)である。
前記フッ素化合物としては、好ましくは下記一般式(i)で表されるフルオロプロペン化合物(a)が挙げられる。
3(6-(a+b))aClb …(i)
(式中、aは1〜5の整数であり、bは1〜3の整数であり、a+bは2〜6の整数である。)
優れた洗浄効果を発揮されることから、aが2〜5の整数、bが1〜2の整数、かつa+bが3〜6の整数であることが好ましく、aが2〜5の整数、bが1〜2の整数、かつa+bが4〜6の整数であることがさらに好ましい。
前記フルオロプロペン化合物(a)としては、具体的には、分子内に水素を含まないクロロフルオロプロペン、および分子内に水素を含むヒドロクロロフルオロプロペンが挙げられる。
クロロフルオロプロペン(以下「CFO」とも記載する。)の具体例としては、
CFO−1214ya(CF3−CF=CCl2)、
CFO−1214xb(CF3−CF=CClF)のE体およびZ体、
CFO−1215yb(CF3−CCl=CClF)のE体およびZ体、
CFO−1215xc(CF3−CCl=CF2)、
が挙げられる。
ヒドロクロロフルオロプロペン(以下「HCFO」とも記載する。)の具体例としては、
HCFO−1223xd(CF3−CCl=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO−1223zb(CClF2−CH=CClF)のE体およびZ体、
HCFO−1223yd(CClF2−CF=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO−1223zc(CCl2F−CH=CF2)、
HCFO−1223za(CF3−CH=CCl2)、
HCFO−1232xf(CClF2−CCl=CH2)、
HCFO−1232yf(CCl2F−CF=CH2)、
HCFO−1233xf(CF3−CCl=CH2)、
HCFO−1233yd(CHF2−CF=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO−1233zd(CF3−CH=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO−1241yd(CH3−CF=CHCl)のE体およびZ体
が挙げられる。
前記洗浄剤は、前記フルオロプロペン化合物(a)として、1種類のフルオロプロペン化合物を含んでいてもよく、2種類以上のフルオロプロペン化合物を含んでいてもよい。
前記フルオロプロペン化合物(a)としては、乾燥性と蒸発消耗量とのバランスを考慮すると、沸点が30℃以上70℃以下、望ましくは35℃以上60℃以下であるフルオロプロペン化合物が好ましい。
また、金属安定性に優れ、優れる洗浄効果が発揮されるという点では、前記フルオロプロペン化合物(a)の中でも、下記一般式(ii)で示されるフルオロプロペン化合物が好ましい。
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、水素、フッ素または塩素である。ただし、R1、R2およびR3すべてが同時にフッ素であることはなく、R1、R2およびR3の少なくとも1つは塩素である。)
前記一般式(ii)で特定されるCFOおよびHCFOの具体例として、HCFO−1233zd(Z)、HCFO―1223xd、HCFO−1223za及びCFO−1214yaを挙げることができる。その中でも、より金属安定性に優れるHCFOが好ましく、HCFO−1233zd(Z)が特に好ましい。
前記フルオロプロペン化合物(a)としては、HCFO−1233yd(Z)も好ましい。
前記フッ素化合物としては、前記フルオロプロペン化合物(a)の他に、さらに炭化水素類またはエーテル類の水素原子の一部がフッ素原子のみで置換され、塩素原子を含まないフッ素化合物、例えば、下記一般式(iii)で特定される環状HFC、(vi)で特定される鎖状HFC、又は(v)で特定されるHFEの、塩素原子を含まない、炭素原子、水素原子、酸素原子、フッ素原子からなる化合物であって、沸点が前記範囲にあるものを挙げることができる。
n2n-mm (iii)
(式中、nおよびmは、4≦n≦6、5≦m≦2n−1を満たす整数を示す。)
x2x+2-yy (iv)
(式中、xおよびyは、4≦x≦6、5≦y≦2x+2を満たす整数を示す。)
s2s+1OR (v)
(式中、sは4≦s≦6を満たす整数を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
環状HFCの具体例としては、3H,4H,4H−パーフルオロシクロブタン、4H,5H,5H−パーフルオロシクロペンタン、5H,6H,6H−パーフルオロシクロヘキサン等を挙げることができる。
鎖状HFCの具体例としては1H,2H,3H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロブタン、1H,3H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロブタン、4H,4H−パーフルオロブタン、1H,1H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、2H,2H,4H,4H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロペンタン、1H,4H−パーフルオロペンタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、2H,4H−パーフルオロペンタン、2H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2H,3H−パーフルオロペンタン、1H,3H,5H−パーフルオロペンタン、1H,5H,5H−パーフルオロペンタン、2H,2H,4H−パーフルオロペンタン、1H,2H,4H,5H−パーフルオロペンタン、1H,4H,5H,5H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2H−パーフルオロヘキサン、2H,3H−パーフルオロヘキサン、2H,4H−パーフルオロヘキサン、2H,5H−パーフルオロヘキサン、3H,4H−パーフルオロヘキサン等を挙げることができる。
HFEの具体例としては、メチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロペンチルエーテル、メチルパーフルオロシクロヘキシルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロペンチルエーテル等を挙げることができる。
〔洗浄剤組成物〕
前記洗浄剤は、前記ハロゲン化合物(A)からなる溶剤(以下「成分(A)」とも記載する。)と、それ以外の成分とを含む洗浄剤組成物であってもよい。前記洗浄剤組成物は、前記成分(A)として、好ましくは前記フルオロプロペン化合物(a)を含む。
前記洗浄剤組成物は、目的に応じて、たとえば難溶性成分を多く含む汚れを洗浄するのか、あるいは水溶性成分を多く含む汚れを洗浄するのかといった洗浄対象に応じて、洗浄剤成分として、前記成分(A)の他に、以下に説明する化合物(B)(以下「成分(B)」ともいう。)および化合物(C)(以下「成分(C)」ともいう。)からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含んでいてもよい。
[成分(B)]
前記洗浄剤組成物は、任意の洗浄剤成分として、20℃における蒸気圧が1.33×10-2Pa以上1.33×103Pa未満の多価アルコール類、20℃における蒸気圧が1.33×10-2Pa以上1.33×103Pa未満のエーテル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合物、並びに20℃における蒸気圧が1.33×10-2Pa以上1.33×103Pa未満の炭化水素類からなる群から選ばれる一種以上の化合物(B)(成分(B))を含んでいてもよい。
前記組成物は、蒸気圧が前記範囲にある成分(B)を含むと洗浄性に優れる。蒸気圧の好ましい範囲は、20℃において6.66×10-2以上6.66×102Pa以下であり、より好ましくは1.33×10-1Pa以上1.33×102Pa以下である。
成分(B)の比重は、成分(B)と成分(A)との相溶性を向上させるために、併用する成分(A)の比重の±0.8の範囲に入ることが好ましく、さらに±0.7の範囲に入ることが好ましい。特に成分(A)の他成分との相溶性は温度依存性が高く、低温での相溶性を維持するためには、成分(A)の比重と併用する他成分の比重との差を小さくすることが重要である。
エーテル結合を有する有機化合物とは、分子構造の中にエーテル結合(C−O−C)を1個以上含有する化合物であり、エステル結合を有する有機化合物とは、分子構造の中にエステル結合(−COO−)を1個以上含有する化合物である。したがって、前記エーテル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合物とは、エーテル結合、及びエステル結合の何れか一方、又は両方の結合を有する化合物である。
<多価アルコール類>
多価アルコール類は、1分子中に好ましくは2つの水酸基を有する。
多価アルコール類の炭素数は、好ましくは4〜8、より好ましくは5〜7である。
多価アルコール類の具体例としては、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(別称:ヘキシレングリコール)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール等を挙げることができる。中でも、3−メチル−1,3−ブタンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールが好ましく、特に2−メチル−2,4−ペンタンジオールが好ましい。
<エーテル結合を有する有機化合物>
エーテル結合を有する有機化合物としては、グリコールエーテル類、例えば、グリコールエーテルモノアルキルエーテル類およびグリコールエーテルジアルキルエーテル類を挙げることができる。
(グリコールエーテルモノアルキルエーテル類)
グリコールエーテルモノアルキルエーテル類とは、2個の水酸基が2個の相異なる炭素原子に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物において、該水酸基の1個の水素が炭化水素残基またはエーテル結合を含む炭化水素残基に置換されている化合物である。特に制限されるものではないが、炭素数が3〜14のグリコールエーテルモノアルキルエーテル類が好ましい。
グリコールエーテルモノアルキルエーテル類の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等を挙げることができる。
さらに、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のグリコールエーテルモノアルキルエーテル類は特に各種汚れに対して良好な洗浄性を有し、優れた洗浄効果の得られる化合物である。
(グリコールエーテルジアルキルエーテル類)
グリコールエーテルジアルキルエーテル類とは、2個の水酸基が2個の相異なる炭素原子に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物において、2個の水酸基の水素のいずれもが炭化水素残基またはエーテル結合を含む炭化水素残基に置換されている化合物である。特に制限されるものではないが、炭素数が4〜17のグリコールエーテルジアルキルエーテル類が好ましい。
グリコールエーテルジアルキルエーテル類の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。なお、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルは、各種汚れに対して良好な洗浄性を有する。
これらの中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルが各種汚れに対する洗浄性が優れる化合物である。
<炭化水素類>
炭化水素類としては、炭素数7〜16、好ましくは炭素数10〜16の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素が挙げられる。
炭化水素類を具体的に例示すると、ノナン、デカン、デセン、ウンデカン、ウンデセン、ドデカン、ドデセン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、メンタン、ビシクロヘキシル、シクロドデカン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン等が挙げられる。中でも、洗浄性、乾燥性及び相溶性に優れる点から、デカン、デセン、ウンデカン、ウンデセン、ドデカン、ドデセン、トリデカン、テトラデカンが好ましく、デカン、デセン、ドデカン、ドデセンがさらに好ましい。
<エステル結合を有する有機化合物>
(脂肪酸エステル)
エステル結合を有する有機化合物としては、例えば、下記一般式(vi)に示す脂肪酸エステルを挙げることができる。
4−COO−R5 (vi)
(式中、R4は炭素数5〜15の炭化水素基であり、R5は炭素数1〜4の炭化水素基である。)
一般式(vi)で表される脂肪酸エステルの具体例としてはカプリン酸メチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、デセン酸メチル、デセン酸エチル、ドデセン酸メチル、トデセン酸エチル等が好ましく、より好ましくはカプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、デセン酸メチル、ドデセン酸メチルであり、さらに融点の低いデセン酸メチル、ドデセン酸メチルが好ましい。なお、前記脂肪酸エステルは、1種類のものを使用することもできるし、2種類以上のものを組み合わせて使用することもできる。
(グリコールエーテルアセテート類)
エステル結合を有する化合物としては、グリコールエーテルアセテート類も挙げられる。グリコールエーテルアセテート類とは、水酸基を有するグリコールエーテル類をアセチル化した化合物である。特に制限されるわけではないが、炭素数が5〜12であるグリコールエーテルアセテート類が好ましい。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール等のモノアルキルエーテルのアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等を挙げることができる。本実施形態に使用するグリコールエーテルアセテート類としては、人体における代謝系でアルコキシ酢酸を生成しないジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートおよび3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等がより毒性が低く好ましい。
(ヒドロキシカルボン酸エステル類)
エステル結合を有する有機化合物としては、ヒドロキシカルボン酸エステル類も挙げられる。ヒドロキシカルボン酸エステル類とは水酸基を有するエステル化合物である。特に制限されるわけではないが、炭素数が4〜20であるヒドロキシカルボン酸エステル類が好ましい。具体例としては、乳酸エステル、リンゴ酸エステル、酒石酸エステル、クエン酸エステル、グリコールモノエステル、グリセリンモノエステル、グリセリンジエステル、リシノール酸エステルおよびヒマシ油等が挙げられる。
上記、ヒドロキシカルボン酸エステル類の中でも特に乳酸エステル類が好ましく、その具体例としては乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルおよび乳酸ペンチル等が挙げられる。
(エステル結合を有する他の化合物)
エステル結合を有する有機化合物としては、前記脂肪酸エステル、前記グリコールエーテルアセテート類および前記ヒドロキシカルボン酸エステル類の他に、酢酸−n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸−2−エチルヘキシル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
成分(B)として、上記の化合物を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(B)の組成は、たとえば特開2018−150502号公報の[0073]〜[0083]の記載を参照するなどして、適宜設定することができる。
[成分(C)]
前記洗浄剤組成物は、20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上のアルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類よりなる群から選ばれる一種以上の化合物を化合物(以下「成分(C)」とも記載する。)を含んでいてもよい。
アルコール類としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンを挙げることができる。
エステル類としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。
炭化水素類としては、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、2−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,4−ジメチルペンタン、イソオクタン等が挙げられる。
成分(C)として、上記の化合物を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(C)の比重は、成分(C)と成分(A)との相溶性を向上させるために、併用する成分(A)の比重の±0.8の範囲に入ることが好ましく、さらに±0.7の範囲に入ることが好ましい。特に成分(A)の他成分との相溶性は温度依存性が高く、低温での相溶性を維持するためには、成分(A)の比重と併用する他成分の比重との差を小さくすることが重要である。
成分(C)の沸点は、使用中の組成変動を少なくするために、併用する成分(A)の沸点の±40℃の範囲に入ることが好ましく、さらに±30℃の範囲に入ることが好ましい。
また、成分(C)を使用する場合には、成分(A)および成分(C)を含む組成物は、好ましくは共沸組成物、またはそれに近似する組成の共沸様組成物である。
成分(C)の中でも、特に好ましい成分は、炭化水素類である。特に、加工油の洗浄の際に、成分(C)として炭化水素類を使用することが好ましい。
[その他配合剤]
前記洗浄剤組成物には、必要に応じて本発明の効果を損ねない範囲で各種助剤、例えば、安定剤、界面活性剤、消泡剤等を含んでいても良い。
(安定剤)
安定剤としては、炭素原子数が5〜6の直鎖状または分岐状のアルケン、ニトロアルカン類、エポキシド類、アミン類、およびトリアゾール類(後述するする紫外線吸収剤としてのベンゾトリアゾール類を除く。)等が挙げられる。炭素原子数が5〜6の直鎖状または分岐状のアルケンとしては、炭素原子数が5の前記アルケンがより好ましく、炭素原子数が5のアルケンの中でも、分岐状のアルケンがさらに好ましく、2−メチル−2−ブテンが特に好ましい。
また、酸化防止剤(洗浄剤の酸化を防止できる成分)を安定剤として使用してもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤を添加しても良い。アニオン系界面活性剤としては、炭素数が6〜20の脂肪酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルカリ金属、アルカノールアミンおよびアミン塩等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェノール、炭素数が8〜18の直鎖または分岐の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイドのブロックポリマー等が挙げられる。両性界面活性剤としては,ベタイン型、アミノ酸型等が挙げられる。
(消泡剤)
消泡剤としては、自己乳化型等のシリコーン、脂肪酸、高級アルコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールおよびフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
[洗浄剤組成物の好適な配合割合]
前記洗浄剤組成物は、前記成分(A)、ならびに必要に応じて前記成分(B)、前記成分(C)、または前記各種助剤の各成分を定法に従って混合し均一化して得られる。
各成分の質量割合については、洗浄剤の特徴である、高洗浄性、金属腐食性、低毒性、低引火性が損なわれない範囲であれば、特に制限はないが、前記成分(B)を配合する場合には、上記成分(A)と前記成分(B)との合計量100質量部に対し、成分(B)を20質量部以上80質量部以下含有することが好ましい。成分(B)の質量割合が20質量部以上であることで、各種汚れに対するより好ましい溶解力改善効果が得られ、80質量部以下であることで、より好ましい被洗浄物表面における洗浄剤成分の低残留性が得られる。洗浄剤の洗浄性と被洗浄物表面における洗浄剤成分の残留性のバランスを考慮した、より好ましい成分(B)の含有量の範囲は、30質量部以上70質量部以下であり、さらに好ましくは40質量部以上60質量部以下である。
前記成分(C)を併用する場合の質量割合の範囲は、前記成分(A)と任意の上記成分(B)との合計量100質量部に対し、前記成分(C)を1質量部以上50質量部以下とすることが好ましく、さらに1質量部以上30質量部以下とすることが好ましい。成分(C)の質量部の割合が1質量部以上のときに、各種汚れに対するより好ましい溶解力改善効果が得られ、50質量部以下のときにより好ましい低引火性が得られる。
また、前記成分(C)を配合する場合に、前記成分(B)は、洗浄剤組成物に配合されていなくてもよい。ただし、より高い洗浄効果を発揮するためには、前記成分(B)も配合することが好ましく、前記成分(B)の配合割合は、上述した成分(A)と成分(B)との配合割合を満足することが好ましい。
前記洗浄剤組成物は、前記成分(B)、および/または前記成分(C)が配合された場合、優れた洗浄効果を発揮するだけでなく、安定性、特に、ステンレス鋼に対する安定性に優れる。
〔リンス剤〕
前記リンス剤は、前記成分(A)であってもよく、前記成分(A)とそれ以外の成分とを含むリンス剤組成物であってもよい。前記リンス剤組成物は、前記成分(A)以外の成分として、前記成分(B)、前記成分(C)、および前記各種助剤からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含んでいてもよい。前記成分(A)、前記成分(B)、前記成分(C)、および前記各種助剤の詳細(すなわち、具体例、好ましい態様など)は上述のとおりである。
前記リンス剤に含まれる前記成分(A)の種類は、通常、前記洗浄剤に含まれる前記成分(A)の種類と同一である。
前記リンス剤組成物の製造方法としては、例えば、前記成分(A)および必要に応じて前記成分(B)、前記成分(C)、上記各種助剤の各成分を定法に従って混合し均一化して得る方法、および前記洗浄剤組成物を加熱し、蒸気を発生させ冷却することによって凝縮液として得る方法を挙げることができる。前記リンス剤組成物を連続的に使用する場合には、蒸気を発生させて得られる凝縮液を利用することが好ましい。
前記リンス剤組成物の好適な配合割合は、前記成分(B)を配合する場合には、前記成分(A)と前記成分(B)との合計量100質量部に対して、前記成分(B)を0.01質量部以上2.0質量部以下とすることが好ましい。リンス剤組成物は、この範囲を満足することにより、リンス効果、及び乾燥のし易さのバランスがとれる。装置の適用性を考慮すると、リンス剤組成物の配合割合は、前記成分(A)と前記成分(B)との合計量100質量部に対して、前記成分(B)を0.01質量部以上1.0質量部以下とすることがより好ましく、0.01質量部以上0.5質量部以下とすることがさらに好ましい。リンス剤組成物は、洗浄剤組成物の凝縮液が上記範囲を満足すればそのまま使用することもできるし、成分(A)、成分(B)を別途配合して配合割合を調整することもできる。
また、成分(C)を配合する場合には、前記成分(A)と前記成分(B)との合計量100質量部に対して、前記成分(C)を0.01質量部以上20質量部以下含有することが好ましい。中でも、リンス剤組成物を使用するのは乾燥工程に近いため、乾燥方法によっては、引火点の出現しない組成とする必要がある。そのため、前記成分(C)は、0.01質量部以上10質量部以下とすることがより好ましく、0.01質量部以上5質量部以下とすることがさらに好ましい。リンス剤組成物は、洗浄剤組成物の凝縮液が上記範囲を満足すればそのまま使用することもできるし、成分(A)、成分(B)、成分(C)を別途配合して配合割合を調整してもよい。
[移送工程]
本発明に係る洗浄方法では、上述した浸漬洗浄工程の後に(浸漬リンス工程が実施される場合には浸漬工程の後に)移送工程が実施される。
前記移送工程では、浸漬洗浄された前記物品を、下記条件(α)および/または(β)を満足させながら、前記浸漬洗浄部(1)から前記洗浄装置(12)の外へ移送する。
条件(α):前記物品の表面で前記ハロゲン化合物(A)を含む成分を凝縮させない(すなわち、前記物品を蒸気洗浄しない。)。
条件(β):下記式(I)で表される条件を満足させる。
0<a≦0.5b1/2 …(I)
〔式(I)において、
aは、前記蒸気冷却部(2)の下面(水平面)の高さと、前記浸漬槽に収容された洗浄剤またはリンス剤の液面のうち最も高い位置にある液面の高さとの差(以下「距離a」とも記載する。)であり、
bは、前記最も高い位置にある液面の面積である。〕
上記式(I)において、距離aの上限値は、好ましくは0.4b1/2、より好ましくは0.3b1/2であり、距離aの下限値は、前記の最も高い位置にある液面の変動による洗浄性能のばらつきを抑制するなどの観点からは、好ましくは0.05b1/2、より好ましくは0.1b1/2である。
従来の洗浄方法、特に洗浄剤としてハロゲン系溶剤を用いた洗浄方法においては、洗浄対象である物品は、浸漬洗浄され、次いで蒸気洗浄されていた。
一方、本発明の洗浄方法は、浸漬洗浄された前記物品を前記浸漬洗浄部(1)から前記蒸気冷却部(2)に移送する際に、上記条件(α)および/または(β)を満足させることを特徴としている。
本発明によれば、前記条件(α)を満たすことにより、すなわち蒸気洗浄が行わないことにより、物品を、その表面にシミ(乾燥シミ)を残すことなく物品を洗浄することができる。また、蒸気洗浄のために蒸気発生槽から洗浄剤の蒸気を供給することがないので、洗浄剤の蒸発消耗量を抑制することができる。
さらに、本発明によれば、前記条件(β)を満たすことにより、すなわち前記距離aが小さいことにより、実質的に蒸気洗浄を行うことができず、その結果、シミ(乾燥シミ)を残すことなく物品を洗浄することができる。
また、本発明の洗浄方法では、前記距離aが短いことから、冷却手段(3)を従来の洗浄装置よりも下方に設置することができ、その結果、前記蒸気冷却部(2)の下面(水平面)の高さと、前記洗浄装置(12)上部の開口部(10)の高さ(開口部(10)が水平でない場合には、開口部(10)の最も低い位置の高さ)との差(以下「距離c」とも記載する。)を大きくして洗浄剤の蒸発消耗量を抑制することができ、あるいは洗浄装置を小型化する(高さを低くする)こともできる。
前記距離cは、好ましくは1.0b1/2以上、より好ましくは1.1b1/2以上、さらに好ましくは1.3b1/2以上である(ただし、bは式(I)中のbと同義である。)。前記距離cの上限値は、特に制限されるものではないが、洗浄装置の高さを抑える観点からは、好ましくは5.0b1/2以下であり、より好ましくは3.0b1/2以下であり、さらに好ましくは2.0b1/2以下である。
さらに、自動車部品製造等における精密な部品において、加工時に発生する切粉などの異物は、部品同士の組み付け不良、あるいは製品の作動不良を引き起こすため、異物の除去は重要である。洗浄剤中に浮遊分散しているこれら異物を除去するために、半導体製造における純水洗浄工程等で使用されているQDR(Quick Dump Rinse;洗浄剤が付着した被洗浄物を浸漬リンス槽内に貯められた純水(リンス液)に浸漬した後、槽下部に設けられた排水口を開放して一気に純水を排出すると共に、浸漬リンス槽の上方から、シャワー装置により被洗浄物または浸漬リンス槽内壁に純粋を吹き付けることにより、被洗浄物または浸漬リンス槽内壁に付着した洗浄剤をすすぎ落とす方法)が利用されることがある。
一方、洗浄剤が、蒸気洗浄を前提とするハロゲン系洗浄剤である場合には、QDRを採用しようとすると、洗浄剤の給廃液により安定した蒸気層を得ることができず、蒸気洗浄不良、蒸気の拡散による蒸発消耗量の増加等の問題が生じてしまうため、QDRを採用できなかった。
しかし、本発明に係る洗浄方法においては、蒸気洗浄が行われないため上記の問題が生じないので、ハロゲン系洗浄剤が使用されるにもかかわらずQDRを採用し、洗浄剤中に浮遊する異物を除去することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
《洗浄性能》
実施例または比較例の方法で洗浄された被洗浄物の表面に残留する油分を10mlのテトラクロロエチレンで抽出し、試験片の単位面積当たりの残留する油分の量(以下「残存油分量」とも記載する。)を赤外分光光度計(OIL−20、日本インスツルメンツ製(株))で測定することにより洗浄性能を評価した。
表1中の記号の意味は以下のとおりである。
○:残存油分量が1μg/cm2以下。
×:残存油分量が1μg/cm2超。
《乾燥シミ》
実施例または比較例の方法で洗浄された被洗浄物の全面について、外観をマイクロスコープ(VHX−5000((株)キーエンス製)、倍率:30倍)により観測して、乾燥シミ(被洗浄物表面の、肉眼では確認できない小さなシミ)の残存を評価した。
表1中の記号の意味は以下のとおりである。
○:乾燥シミなし。
×:乾燥シミあり。
[製造例1]
100mm×100mm×0.2mmの大きさのステンレス板を、金属加工油(ユシロンフォーマーFM220、ユシロ化学工業(株)製)に浸漬し、取り出した後、30分間静置して油切して被洗浄物を作製した。この被洗浄物は、複数枚作製した。
[実施例1]
まず、図1に示す洗浄装置と同様の洗浄装置(12)を準備した。冷却手段(3)は冷却管であり、チラーで水温15℃にコントロールした冷却水を循環使用した。浸漬洗浄槽(1a)には、洗浄剤としてHCFO1233zd(すなわち、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)を収容した。浸漬洗浄槽(1a)に収容された洗浄剤の液面の面積bは86.5cm2であり、蒸気冷却部(2)の下面の高さと浸漬洗浄槽(1a)に収容された洗浄剤の液面の高さとの差(距離a)は2cm(すなわち、a=0.2b1/2)とし、蒸気冷却部(2)の下面の高さと洗浄装置(12)上部の開口部(10)の高さとの差(距離c)は16cm(すなわち、c=1.7b1/2)とした。浸漬洗浄槽(1a)内のヒーター(図示せず)により洗浄剤を加熱し、その温度を35℃とした。
次いで、製造例1で作製した1枚の被洗浄物を、その厚さ方向を水平方向に向けながら浸漬洗浄槽(1a)中の洗浄剤に浸漬し、浸漬洗浄槽(1a)に備えられた超音波振動子(図示せず。28kHz、200W。)によりキャビテーションを発生させ、2分間洗浄を行った。
被洗浄物を、浸漬洗浄槽(1a)から引き上げて、被洗浄物表面で洗浄剤を凝縮させることなく洗浄装置(12)の外に移送した。
以上の操作は、洗浄剤を未使用のものに入れ替え、被洗浄物を製造例1で作製したもう1枚の被洗浄物に変更した上で、再度実施した。
得られた2枚の洗浄後の被洗浄物のうち、1枚を洗浄性能の評価に供し、もう1枚を乾燥シミの評価に供した。評価結果を表1に示す。また、乾燥シミの評価の際にマイクロスコープで撮影された被洗浄物表面(一部)の写真を図6に示す。
[実施例2]
洗浄剤を表1に示す組成の洗浄剤に変更したこと以外は実施例1と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
まず、図2に示す洗浄装置と同様の洗浄装置を準備した。冷却手段(3)は冷却管であり、チラーで水温15℃にコントロールした冷却水を循環使用した。浸漬洗浄槽(1a)には、洗浄剤として表1に示す組成の洗浄剤を収容した。浸漬洗浄槽(1a)に収容された洗浄剤の液面の面積bは86.5cm2であり、浸漬洗浄槽(1a)内のヒーター(図示せず)により洗浄剤を加熱し、その温度を50℃とした。
また、浸漬リンス槽(1b)には、リンス剤としてHCFO1233zdを収容した。浸漬リンス槽(1b)に収容されたリンス剤の液面の面積は100cm2であり、蒸気冷却部(2)の下面の高さと浸漬リンス槽(1b)に収容されたリンス剤の液面の高さとの差(距離a)は2cm(すなわち、a=0.21/2)とし、蒸気冷却部(2)の下面の高さと洗浄装置(12)上部の開口部(10)の高さとの差(距離c)は16cm(すなわち、c=1.7b1/2)とした。浸漬リンス槽(1b)内のヒーター(図示せず)によりリンス剤を加熱し、その温度を35℃とした。
次いで、製造例1で作製した被洗浄物を、その厚さ方向を水平に向けながら浸漬洗浄槽(1a)中の洗浄剤に浸漬し、浸漬洗浄槽(1a)に備えられた超音波振動子(図示せず。28kHz、200W。)によりキャビテーションを発生させ、2分間洗浄を行った。
被洗浄物を、浸漬洗浄槽(1a)から浸漬リンス槽(1b)へ移送してリンス剤に浸漬し、浸漬リンス槽(1b)に備えられた超音波振動子(図示せず。28kHz、200W。)によりキャビテーションを発生させ、2分間リンス洗浄を行った。
被洗浄物を、浸漬リンス槽(1b)から引き上げて、被洗浄物表面で洗浄剤を凝縮させることなく洗浄装置(12)の外に移送した。
以上の操作は、洗浄剤およびリンス剤を未使用のものに入れ替え、被洗浄物を製造例1で作製したもう1枚の被洗浄物に変更した上で、再度実施した。
得られた2枚の洗浄後の被洗浄物のうち、1枚を洗浄性能の評価に供し、もう1枚を乾燥シミの評価に供した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
洗浄装置として、図4に示す洗浄装置と同様の洗浄装置を使用したこと、距離aを14cm(すなわち、a=1.5b1/2)としたこと、距離cを4cm(すなわち、c=0.4b1/2)としたこと、蒸気発生槽(7)でHCFO1233zdを沸騰させてHCFO1233zdの蒸気を発生させ、この蒸気を蒸気冷却部(2)と浸漬洗浄槽(1a)との間の空間に連続的に供給して、蒸気洗浄を行うための蒸気ゾーン(9)を形成したこと、および被洗浄物を、浸漬洗浄槽(1a)から洗浄装置(12)の外に移送する途中で蒸気ゾーン(9)中に2分間静置して被洗浄物表面で洗浄剤を凝縮させた(すなわち、蒸気洗浄を行った)こと以外は実施例1と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
また、乾燥シミの評価の際にマイクロスコープで撮影された、被洗浄物表面(乾燥シミが残存した箇所付近)の写真を図7に示す。楕円で囲まれた部分に乾燥シミが残存している。
[比較例2]
洗浄剤を表1に示す組成の洗浄剤に変更したこと以外は比較例1と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
洗浄装置として、図5に示す洗浄装置と同様の洗浄装置を使用したこと、距離aを14cm(すなわち、a=1.5b1/2)としたこと、距離cを4cm(すなわち、c=0.4b1/2)としたこと、蒸気発生槽(7)でHCFO1233zdを沸騰させてHCFO1233zdの蒸気を発生させ、この蒸気を蒸気冷却部(2)と浸漬洗浄槽(1a)との間の空間に連続的に供給して、蒸気洗浄を行うための蒸気ゾーン(9)を形成したこと、および被洗浄物を、浸漬リンス槽(1b)から洗浄装置(12)の外に移送する途中で蒸気ゾーン(9)中に2分間静置して被洗浄物表面で洗浄剤を凝縮させた(すなわち、蒸気洗浄を行った)こと以外は比較例1と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
浸漬洗浄槽(1a)内の洗浄剤の温度を25℃に変更したこと以外は比較例1と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
また、乾燥シミの評価の際にマイクロスコープで撮影された、被洗浄物表面(乾燥シミが残存した箇所付近)の写真を図8に示す。楕円で囲まれた部分に乾燥シミが残存している。
[比較例5]
浸漬洗浄槽(1a)内の洗浄剤の温度を25℃に変更したこと以外は比較例2と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
浸漬リンス槽(1b)内のリンス剤の温度を25℃に変更したこと以外は比較例3と同様の操作および評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例では、移送行程中に被洗浄物表面での凝縮が生じ、被洗浄物表面に乾燥シミが残存した。洗浄剤温度が低いために凝縮の量が多い比較例4、5においても、被洗浄物表面に乾燥シミは残存した。これに対し、移送行程中に被洗浄物表面での凝縮が生じなかった実施例では、洗浄剤組成および洗浄剤温度が比較例と同じであっても、乾燥シミは発生しなかった。
比較例1〜6における距離cは4cm(0.4b1/2)であったのに対し、実施例ではa=0.2b1/2としたので、距離cを16cm(1.7b1/2)とすることができた。実施例は、比較例と比べて距離cが大きいので、洗浄剤の蒸発消耗量(洗浄剤が混合物である場合には、特に、揮発性の高いHCFO1233zdの蒸発消耗量)を低減することができる。
[実施例4]
洗浄剤を未使用のものに入れ替えるかわりに、洗浄装置(12)に蒸留槽(6)を接続し、毎分150mlの洗浄剤を、浸漬洗浄槽(1a)から回収し、蒸留槽(6)で蒸留し、水分離器(5)を通して浸漬洗浄槽(1a)に供給したこと以外は実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。被洗浄物は、1枚ずつ合計10枚洗浄した。
最後に洗浄した1枚の洗浄性能を評価したところ、残存油分量が1μg/cm2以下であった。最初に洗浄した9枚の乾燥シミを評価したところ、いずれにも乾燥シミは残存していなかった。
1 浸漬洗浄部
1a 浸漬洗浄槽
1b 浸漬リンス槽
2 蒸気冷却部
3 冷却手段
4 樋
5 水分離器
6 蒸留槽
7 蒸気発生槽
8 ヒーター
9 蒸気ゾーン
10 開口部
12 洗浄装置

Claims (4)

  1. 洗浄装置を使用して物品を洗浄する方法であって、
    前記洗浄装置は、浸漬洗浄部および蒸気冷却部を有し、
    前記浸漬洗浄部は、洗浄剤を収容する浸漬洗浄槽、およびリンス剤を収容する浸漬リンス槽から選択される1つまたは2つ以上の浸漬槽から構成され、かつ1つ以上の前記浸漬洗浄槽を有し、
    前記洗浄剤および前記リンス剤は、100℃以下の沸点を有するハロゲン化合物(A)からなる溶剤を含み、
    前記蒸気冷却部は、前記洗浄装置内の、前記浸漬洗浄部よりも高い位置にある空間のうち、冷却手段によって囲まれた、前記ハロゲン化合物(A)を含む蒸気を冷却するための領域であり、
    前記方法は、
    物品を前記浸漬洗浄槽に収容された前記洗浄剤に浸漬して洗浄する工程、および
    浸漬洗浄された前記物品を、前記物品の表面で前記ハロゲン化合物(A)を含む成分を凝縮させることなく、前記浸漬洗浄部から前記洗浄装置の外へ移送する工程を有する
    洗浄方法。
  2. 洗浄装置を使用して物品を洗浄する方法であって、
    前記洗浄装置は、浸漬洗浄部および蒸気冷却部を有し、
    前記浸漬洗浄部は、洗浄剤を収容する浸漬洗浄槽、およびリンス剤を収容する浸漬リンス槽から選択される1つまたは2つ以上の浸漬槽から構成され、かつ1つ以上の前記浸漬洗浄槽を有し、
    前記洗浄剤および前記リンス剤は、100℃以下の沸点を有するハロゲン化合物(A)からなる溶剤を含み、
    前記蒸気冷却部は、前記洗浄装置内の、前記浸漬洗浄部よりも高い位置にある空間のうち、冷却手段によって囲まれた、前記ハロゲン化合物(A)を含む蒸気を冷却するための領域であり、
    前記方法は、
    物品を前記浸漬洗浄槽に収容された前記洗浄剤に浸漬して洗浄する工程、および
    浸漬洗浄された前記物品を、下記式(I)で表される条件を満足させながら、前記浸漬洗浄部から前記洗浄装置の外へ移送する工程を有する
    洗浄方法。
    0<a≦0.5b1/2 …(I)
    〔式(I)において、
    aは、前記蒸気冷却部の下面の高さと、前記浸漬槽に収容された洗浄剤またはリンス剤の液面のうち最も高い位置にある液面の高さとの差であり、
    bは、前記の最も高い位置にある液面の面積である。〕
  3. 前記ハロゲン化合物(A)が、下記一般式(i):
    3(6-(a+b))aClb …(i)
    (式中、aは1〜5の整数であり、bは1〜3の整数であり、a+bは2〜6の整数である。)
    で表されるフルオロプロペン化合物(a)である、請求項1または2に記載の洗浄方法。
  4. 汚れを含む前記洗浄剤を、前記浸漬洗浄部から回収して蒸留槽で蒸留し、蒸留された前記洗浄剤を前記浸漬洗浄部に供給する工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1043698A (ja) * 1996-08-05 1998-02-17 Tokuyama Corp 洗浄装置
WO2017104738A1 (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 株式会社トクヤマMetel 洗浄剤組成物、リンス剤組成物及び洗浄方法

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