JP2001240898A - 引火点を抑制した洗浄剤、洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents

引火点を抑制した洗浄剤、洗浄方法および洗浄装置

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JP2001240898A
JP2001240898A JP2000165063A JP2000165063A JP2001240898A JP 2001240898 A JP2001240898 A JP 2001240898A JP 2000165063 A JP2000165063 A JP 2000165063A JP 2000165063 A JP2000165063 A JP 2000165063A JP 2001240898 A JP2001240898 A JP 2001240898A
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Shiyouji Matsumoto
省慈 松本
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 あらゆるタイプの汚れに対して、HCFC2
25に匹敵する高い洗浄力を示し、かつ、蒸気洗浄時等
の高温下における酸化劣化を防止しつつ、低毒性で、引
火性が低く、オゾン層破壊の恐れが全くない洗浄剤、洗
浄方法および洗浄装置を提供する。 【解決手段】 非塩素系フッ素化合物にエーテル結合及
び/またはエステル結合を有する有機化合物とアルコー
ル類を併用添加し、さらに酸化防止剤等の添加により高
温下で連続して使用を可能にした洗浄剤とその洗浄剤に
適した洗浄方法および洗浄装置を利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精密機械部品、光
学機械部品等の加工時に使用される種々の加工油類、グ
リース類、ワックス類や電気電子部品のハンダ付け時に
使用されるフラックス類を洗浄するのに好適な洗浄剤と
その洗浄剤に適した洗浄方法および洗浄装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】精密機械部品、光学機械部品等の加工時
に種々の加工油類、例えば、切削油、プレス油、引抜き
油、熱処理油、防錆油、潤滑油等、グリース類およびワ
ックス類等が使用されるが、これらの汚れは最終的には
除去する必要があり,洗浄剤による除去が一般的に行わ
れている。また、電子回路の接合方法としてはハンダ付
けが最も一般的に行われているが、ハンダ付けすべき金
属表面の酸化物の除去清浄化、再酸化防止、ハンダ濡れ
性の改良の目的で、ロジンを主成分としたフラックスで
ハンダ付け面を予め処理することが通常行われている。
ハンダ付けの方法としては溶液状のフラックス中に基板
を浸漬する等により、フラックスを基板面に付着させた
後、溶融ハンダを供給する方法や予めフラックスとハン
ダの粉末を混合してペースト状にしたものをハンダ付け
すべき場所に供給した後加熱する方法等があるが、いず
れにしても、フラックス残渣は金属の腐食や絶縁性の低
下の原因となるため、ハンダ付け終了後、十分に除去す
る必要がある。
【0003】これらの洗浄、除去には、不燃性で毒性が
低く、優れた溶解性を示す等、多くの特徴を有すること
から、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフル
オロエタン(以下CFC113という)やCFC113
とアルコールなどを混合した溶剤で洗浄していた。しか
しながら、CFC113はオゾン層破壊等の地球環境汚
染問題が指摘され、日本では1995年末にその生産が
全廃された。このCFC113の代替品として、3,3
−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロ
パンと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタ
フルオロプロパンの混合物(以下HCFC225とい
う)や1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(以下H
CFC141bという)等のハイドロクロロフルオロカ
ーボンが提案されているが、これらについても僅かにオ
ゾン層破壊能があるために日本では2020年にその使
用が禁止される予定である。
【0004】さらに、近年では塩素原子を全く含まない
ハイドロフルオロカーボン類(以下HFCという)やハ
イドロフルオロエーテル類(以下HFEという)等のオ
ゾン層破壊能が全くなく、不燃性のフッ素系溶剤が提案
されているが、塩素原子を含まないために溶解能が低く
単独では洗浄剤として使用できず、特開平10−316
598号公報、特開平10−36894号公報、特開平
10−212498号公報および特開平10−2516
92号公報等のHFCやHFEに可燃性溶剤を組み合わ
せた洗浄剤の技術が開示されている。
【0005】また、特開平10−316598号公報に
は環状のフッ素化炭化水素とエタノールを併用した洗浄
剤が提案されているが、このような洗浄剤は引火点を有
し、不燃性溶剤として取り扱うことができない。また、
特開平10−36894号公報、特開平10−2124
98号公報および特開平10−251692号公報には
HFCやHFEとグリコールエーテル類の併用について
の記載がある。しかし、例えば,フラックス洗浄剤とし
ては、フラックス成分であるロジンやイオン性残渣の原
因となるアミンの塩酸塩や有機酸等の汚れおよびハンダ
付け工程によって生成され、白色残渣の原因となる重合
ロジンやロジンの金属塩等の汚れの全てを洗浄する必要
があるが、前記洗浄剤では全ての汚れを充分に洗浄する
ことができない。
【0006】以上のごとく、CFC113の代替品とし
て、これまで提案されてきた洗浄剤では、洗浄が可能で
あってもオゾン層破壊の問題により将来その使用が禁止
されていたり、引火の危険性があるために洗浄機等の設
備を防爆構造とするのに設備コストが上昇したり、洗浄
剤としての洗浄力が不足している等、洗浄剤として使用
する上で多くの問題を抱えているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、洗浄におけ
るあらゆるタイプの汚れに対して、HCFC225に匹
敵するような高い洗浄力を示し、かつ、蒸気洗浄時等の
高温下における酸化劣化を防止しつつ、低毒性で、引火
性が低く、オゾン層破壊の恐れが全くない洗浄剤とその
洗浄剤に適した洗浄方法および洗浄装置を提供すること
を課題とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】本発明者は、上記課題を
達成するため、非塩素系フッ素化合物の引火点を有さな
い特性を生かし、引火点の出現しない洗浄剤を見出すべ
く鋭意検討を重ねた結果、非塩素系フッ素化合物にエー
テル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合物
とアルコール類を併用添加することにより、引火点の出
現を抑制した上であらゆる汚れを洗浄でき、また、酸化
防止剤等の添加により高温下で連続して使用できること
を見出し、さらに、その洗浄剤に適した洗浄方法および
洗浄装置を見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、発明の第一は、(a)非塩素系
フッ素化合物と(b)エーテル結合及び/またはエステ
ル結合を有する有機化合物からなる群から選ばれる一種
以上の化合物と(c)アルコール類とを含有する引火点
を抑制した洗浄剤。発明の第二は、(b)エーテル結合
及び/またはエステル結合を有する有機化合物がグリコ
ールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類およ
びヒドロキシカルボン酸エステル類からなる群から選ば
れる一種以上の化合物であることを特徴とする発明の第
一に記載の洗浄剤。
【0010】発明の第三は、(b)エーテル結合及び/
またはエステル結合を有する有機化合物の20℃におけ
る蒸気圧が1.33×103Pa未満であることを特徴
とする発明の第一または第二に記載の洗浄剤。発明の第
四は、(d)フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防
止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤および紫
外線吸収剤の群から選ばれる一種又は二種以上の組み合
わせを含有する発明の第一〜三に記載の洗浄剤。
【0011】発明の第五は発明の第一〜四のいずれかに
記載の洗浄剤で被洗物を洗浄した後、(e)少なくとも
1種の非塩素系フッ素化合物(a)からなる組成物でリ
ンスおよび/または蒸気洗浄することを特徴とする洗浄
方法である。発明の第六は組成物(e)が、成分(c)
および化合物(d)からなる群から選ばれる少なくとも
一種の成分または化合物を含有するものである発明の第
五記載の洗浄方法である。
【0012】発明の第七は(A)発明の第一〜四のいず
れかに記載の洗浄剤により被洗物を洗浄するための洗浄
槽、(B)組成物(e)によりリンスするためのリンス
槽、引火点を有さない組成物(e)に含有される少なく
とも一種の成分または化合物の蒸気を発生させるための
蒸気発生槽、該蒸気発生槽から発生した蒸気で蒸気洗浄
するための蒸気ゾーン、(C)発生した蒸気を凝縮した
後、得られた凝縮液から水分を除去するための水分離
槽、及び水分を除去された凝縮液をリンス槽(B)に戻
す機構を有する洗浄装置である。
【0013】発明の第八は発明の第一〜四のいずれかに
記載の洗浄剤を構成する少なくとも一種の成分または化
合物の蒸気を発生させるための加熱機構を有する発明の
第七の洗浄槽(A)、リンス槽(B)、(D)該洗浄槽
(A)から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾー
ン、水分離槽(C)及び水分を除去された凝縮液を該洗
浄槽(A)に戻す機構を有する洗浄装置。発明の第九は
発明の第八において、リンス槽(B)の代わりに、該凝
縮液を蒸気ゾーン(D)内でシャワーリンスする機構を
有する洗浄装置である。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本明細書
において、洗浄とは被洗物に付着している汚れを次工程
に影響のないレベルまで除去することである。また、リ
ンスとは被洗物に付着している汚れ成分を含む洗浄剤を
汚れ成分の含まれない溶剤に置換することである。さら
に、蒸気洗浄とは被洗物表面にわずかに残留する汚れ成
分を、被洗物と該被洗物が晒されている蒸気との温度差
によって該被洗物表面で凝縮する蒸気成分からなる液体
で除去することである。
【0015】本発明の洗浄剤および組成物(e)に使用
する(a)非塩素系フッ素化合物とは、炭化水素類やエ
ーテル類の水素原子の一部がフッ素原子のみで置換さ
れ、塩素原子を含まないフッ素化合物であり、例えば、
下記一般式(1)で特定される環状HFC、(2)で特
定される鎖状HFC、又は(3)で特定されるHFE
の、塩素原子を含まない、炭素原子、水素原子、酸素原
子、フッ素原子からなる化合物、及びこれらの中から選
ばれる2種以上の化合物の組み合わせ等を挙げられる。
【0016】 CnH2n−mFm (1) (式中、4≦n≦6、5≦m≦2n−1の整数を示す) CxH2x+2−yFy (2) (式中、4≦x≦6、6≦y≦2x+1の整数を示す) CsF2s+1OR (3) (式中、4≦s≦6、Rは炭素数1〜3のアルキル基) 環状HFCの具体例としては3H,4H,4H−パーフ
ルオロシクロブタン、4H,5H,5H−パーフルオロ
シクロペンタン、5H,6H,6H−ノナフルオロシク
ロヘキサン等を挙げることができる。
【0017】鎖状のHFCの具体例としては1H,2
H,3H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パ
ーフルオロブタン、1H,3H−パーフルオロブタン、
2H,3H−パーフルオロブタン、4H,4H−パーフ
ルオロブタン、1H,1H,3H−パーフルオロブタ
ン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、1H,2
H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パ
ーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロペンタ
ン、1H,4H−パーフルオロペンタン、2H,3H−
パーフルオロペンタン、2H,4H−パーフルオロペン
タン、2H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2
H,3H−パーフルオロペンタン、1H,3H,5H−
パーフルオロペンタン、1H,5H,5H−パーフルオ
ロペンタン、2H,2H,4H−パーフルオロペンタ
ン、1H,2H,4H,5H−パーフルオロペンタン、
1H,4H,5H,5H,5H−パーフルオロペンタ
ン、1H,2H−パーフルオロヘキサン、2H,3H−
パーフルオロヘキサン、2H,4H−パーフルオロヘキ
サン、2H,5H−パーフルオロヘキサン、3H,4H
−パーフルオロヘキサン等を挙げることができる。 H
FEの具体例としてはメチルパーフルオロブチルエーテ
ル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパ
ーフルオロペンチルエーテル、メチルパーフルオロシク
ロヘキシルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテ
ル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパ
ーフルオロペンチルエーテル等を挙げることができる。
【0018】本発明の洗浄剤および組成物(e)におい
ては、これら(a)非塩素系フッ素化合物の中から選ば
れる1種又は2種以上の化合物を組み合わて用いること
ができるが、好ましくは、アルコール類、ケトン類、エ
ステル類、グリコールエーテル類等の高極性溶剤に対す
る溶解性が高く地球温暖化係数の低い環状HFCまたは
HFEを挙げることができる。より好ましくは、4H,
5H,5H−パーフルオロシクロペンタン、メチルパー
フルオロブチルエーテルとメチルパーフルオロイソブチ
ルエーテルの混合物、エチルパーフルオロブチルエーテ
ルとエチルパーフルオロイソブチルエーテルの混合物を
挙げることができ、さらに好ましくは、メチルパーフル
オロブチルエーテルとメチルパーフルオロイソブチルエ
ーテルの混合物を挙げることができる。
【0019】本発明の洗浄剤においては、あらゆる汚れ
に対する洗浄力の向上および併用するアルコール類の引
火危険性の抑制を目的に(b)エーテル結合及び/また
はエステル結合を有する有機化合物を使用する必要があ
る。本発明の洗浄剤に使用するエーテル結合を有する有
機化合物とは、分子構造の中にエーテル結合(C−O−
C)を少なくとも1個以上含有する化合物であり、エス
テル結合を有する有機化合物とは、分子構造の中にエス
テル結合(−COO−)を少なくとも1個以上含有する
化合物である。エーテル結合を有する化合物としては、
例えば、下記一般式(4)で特定される化合物を挙げる
ことができる。
【0020】
【化1】
【0021】(式中、R1およびR2はアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基、アセチル基、カルボニル
基、水酸基、エステル結合およびエーテル結合の中から
選ばれる一種以上を有する脂肪族化合物残基、脂環式化
合物残基、芳香族化合物残基および複素環化合物残基を
表し、R3〜R6は水素またはアルキル基を表す)
【0022】また、エステル結合を有する化合物として
は、例えば、下記一般式(5)で特定される化合物を挙
げることができる。
【0023】
【化2】
【0024】(式中、R1およびR2はアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基、アセチル基、カルボニル
基、水酸基、エステル結合およびエーテル結合の中から
選ばれる一種以上を有する脂肪族化合物残基、脂環式化
合物残基、芳香族化合物残基および複素環化合物残基を
表す。)
【0025】上記、成分(b)の中でも、グリコールエ
ーテル類、グリコールエーテルアセテート類およびヒド
ロキシカルボン酸エステル類は、併用するアルコール類
の引火性を抑制する効果が特に高いので好ましい。グリ
コールエーテル類とは、2個の水酸基が2個の相異なる
炭素原子に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物に
おいて、該水酸基のうち1個または2個の水酸基の水素
が炭化水素残基またはエーテル結合を含む炭化水素残基
に置換されている化合物であり、下記一般式(6)で特
定される。
【0026】
【化3】
【0027】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、アルケニル基又はシクロアルキル基、R2は水素又
は炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基、R3、
R4、R5は水素またはメチル基、nは0〜1の整数、
mは1〜4の整数を示す)
【0028】具体例としては、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエー
テル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−
メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコール
モノ−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモ
ノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−
i−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールジメチルエーテル等を挙げることができ
る。グリコールエーテルアセテート類とは、水酸基を有
するグリコールエーテル類をアセテート化した化合物で
あり、下記一般式(7)で特定される。
【0029】
【化4】
【0030】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、アルケニル基又はシクロアルキル基、R2、R3、
R4は水素またはメチル基、nは0〜1の整数、mは1
〜4の整数を示す)
【0031】具体例としては、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプ
ロピレングリコール等のモノアルキルエーテルのアセテ
ート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メト
キシ−3−メチル−1−ブチルアセテート等を挙げるこ
とができる。ヒドロキシカルボン酸エステル類とは水酸
基を有するエステル化合物であり、下記一般式(8)で
特定される。
【0032】
【化5】
【0033】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、アルケニル基又はシクロアルキル基を示す)
【0034】具体例としては、乳酸エステル、リンゴ酸
エステル、酒石酸エステル、クエン酸エステル、グリコ
ールモノエステル、グリセリンモノエステル、グリセリ
ンジエステル、リシノール酸エステルおよびヒマシ油等
を挙げることができる。上記、(b)成分の中でも特に
乳酸エステル類が好ましく、その具体例としては乳酸メ
チル、乳酸エチル、乳酸ブチルおよび乳酸ペンチル等を
挙げることができる。
【0035】また、他の特に好ましい成分(b)の例と
して、その分子構造の一部としてブチル基またはイソブ
チル基の少なくとも一種以上を含む3−メトキシブチル
アセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテー
ト、乳酸ブチル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−イソブチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチル
エーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−ブチルエ
ーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−
メチルブタノールおよびジエチレングリコールジ−n−
ブチルエーテル等を挙げることができる。これらの化合
物は、フラックス洗浄において、単にロジン溶解性に優
れるだけでなく、イオン性物質および白色残渣原因物質
に対する洗浄性にも優れている。
【0036】また、成分(b)の蒸気圧は、特に引火点
を有さない洗浄剤組成とするために、20℃において
1.33×103Pa未満が好ましく、より好ましくは
6.66×102Pa以下であり、さらに1.33×1
2Pa以下が好ましい。本発明の洗浄剤においては、
これら成分(b)の中から選ばれる1種又は2種以上の
化合物を組み合わて用いることができる。本発明の洗浄
剤および組成物(e)においては、ロジン溶解性やイオ
ン性物質等の洗浄力向上を目的に(c)アルコール類の
中から選ばれる1種又は2種以上の化合物の組み合わせ
を併用する必要がある。
【0037】本発明の洗浄剤に使用するアルコール類の
具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、
i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタ
ノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、sec
−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−ペンタ
ノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オ
クタノール等を挙げることができる。
【0038】これら成分(c)の中でも、使用中におけ
る洗浄剤の組成変動を少なくするためにその沸点が、併
用する(a)非塩素系フッ素化合物の沸点の±40℃の
範囲に入るものが好ましく、さらに好ましくは±30℃
である。特に(a)非塩素系フッ素化合物が4H,5
H,5H−パーフルオロシクロペンタン、メチルパーフ
ルオロブチルエーテルとメチルパーフルオロイソブチル
エーテルの混合物、エチルパーフルオロブチルエーテル
とエチルパーフルオロイソブチルエーテルの混合物の場
合には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
i−プロパノールが好ましい。
【0039】また、成分(c)は、併用する(a)非塩
素系フッ素化合物と共沸組成物あるいはそれに近似する
組成の共沸様組成物であることが好ましい。本発明にお
ける洗浄剤は、上記成分(a)、(b)、(c)を含む
ことにより、引火点を抑制された、洗浄剤である。ここ
でいう、引火点の「抑制」とは、JIS K 2265等
の一般的な引火点評価試験により、洗浄剤に引火点なし
と認められることを意味する。
【0040】また、洗浄剤および組成物(e)の酸化劣
化を防ぐ目的で成分(d)を添加することができる。成
分(d)としては、例えば、以下に示す種類ごとに例示
することができる。フェノール系酸化防止剤としては、
1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、
2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6
−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソ
ール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,
6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、ト
リエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−
5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の化合物
を挙げることができる。
【0041】アミン系酸化防止剤としては、ジフェニル
−p−フェニレン−ジアミン、4−アミノ−p−ジフェ
ニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン等
の化合物を挙げることができる。リン系酸化防止剤とし
ては、フェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルジ
イソオクチルホスファイト、ジフェニルジイソデシルホ
スファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニル
フェニルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tブチルフ
ェニル)ペンタエリストールジホスファイト等の化合物
を挙げることができる。イオウ系酸化防止剤としては、
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、
ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステ
ル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エス
テル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エ
ステル等の化合物を挙げることができる。
【0042】紫外線吸収剤としては、4−ヒドロキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロ
ロベンゾフェノン、2、2’−ヒドロキシ−4−n−オ
クトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オ
クトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン、4−ドデシル−2−ヒドロキシベンゾフ
ェノン等のベンゾフェノン類、フェニルサリシレート、
4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフ
ェニルサリシレート、ビスフェノールA−ジ−サリシレ
ート等のフェニルサリシレート類および2−(5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2
−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α’−ジジメ
チルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−
5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2
−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−4’−t−オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール等のベンゾトリアゾ−ル類を挙げることができる。
【0043】これら例示された化合物のなかで、フェノ
ール系酸化防止剤の添加効果が高く、特に2,6−ジ−
t−ブチル−p−クレゾールが好ましい。また、洗浄剤
を連続して加熱使用する蒸気洗浄等の場合には、フェノ
ール系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤からなる群
から選ばれる少なくとも一種以上とリン系酸化防止剤お
よびリン系酸化防止剤からなる群から選ばれる一種以上
を併用することによって、長期間洗浄剤の酸化分解を抑
制することが可能となる。本発明の洗浄剤は、上述した
(a)〜(d)各成分を定法に従って混合し均一化して
得られる。
【0044】洗浄剤における各成分の重量割合について
は、本発明の洗浄剤の特徴である、高洗浄性、低毒性、
低引火性が損なわれない範囲であれば、特に制限はない
が、成分(a)/{成分(b)+成分(c)}の重量割
合の範囲が40/60≦(a)/{(b)+(c)}≦
95/5であることがより好ましい。{成分(b)+成
分(c)}の重量割合が5以上のときに、各種汚れに対
するより好ましい溶解力改善効果が得られ、60以下の
ときにより好ましい低引火性を達成できる。洗浄剤の洗
浄性と低引火性のバランスを考慮した、さらに好ましい
成分(a)/{成分(b)+成分(c)}の重量割合の
範囲は50/50≦(a)/{(b)+(c)}≦90
/10であり、いっそう好ましくは60/40≦(a)
/{(b)+(c)}≦80/20である。
【0045】洗浄剤における成分(b)/成分(c)の
重量割合の範囲は、70/30≦(b)/(c)≦99
/1であることがより好ましい。成分(c)の重量割合
が1以上のときに、より好ましいイオン性物質に対する
溶解力改善効果が得られ、30以下のときにより好まし
い低引火性を達成できる。洗浄剤の洗浄性と低引火性の
バランスを考慮した、さらに好ましい成分(b)/成分
(c)の重量割合の範囲は80/20≦(b)/(c)
≦98/2である。 洗浄剤に成分(d)を添加する場
合には{(a)+(b)+(c)}に対して、1ppm
以上、1000ppm以下、より好ましくは10ppm
以上、1000ppm以下である。
【0046】また、組成物(e)は上述した成分(a)
単独、または(a)、(c)及び(d)の各成分を定法
に従って混合し均一化して得られる。組成物(e)にお
いて、成分(a)に成分(c)を添加する場合には
(a)/(c)の重量割合の範囲が90/10〜99.
9/0.1あることがより好ましい。(c)の重量割合
が10よい小さいときにより好ましい低引火性を達成で
き、0.1より大きいときに安定剤、融点降下剤として
のより好ましい効果が得られる。さらに好ましい重量割
合の範囲は93/7〜99/1である。
【0047】組成物(e)において成分(d)を添加す
る場合には{(a)+(c)}に対して、1〜1000
ppm、より好ましくは10〜1000ppmである。
本発明の洗浄剤および組成物(e)の融点は15℃以
下が好ましいが、冬期使用することも考慮すると10℃
以下がより好ましく,さらに好ましくは5℃以下であ
る。また、本発明の洗浄剤はあらゆる汚れに対して優れ
た洗浄性を示すが、特にフラックスなどの樹脂類の洗浄
に適している。本発明の洗浄剤には、必要に応じて各種
助剤、例えば,界面活性剤、安定剤、消泡剤等を添加し
ても良い。
【0048】以下に本発明の洗浄剤に添加できる添加剤
の具体例を例示する。界面活性剤としては、アニオン系
界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活
性剤及び両性界面活性剤を添加しても良い。アニオン系
界面活性剤としては、炭素数が6〜20の脂肪酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸等のアルカリ金属類、アルカノ
ールアミン類およびアミン塩等が挙げられる。カチオン
系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が挙げ
られる。ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェ
ノール、炭素数が8〜18の直鎖または分岐の脂肪族ア
ルコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンオ
キサイドポリプロピレンオキサイドのブロックポリマー
等が挙げられる。両性界面活性剤としては,ベタイン
型、アミノ酸型等が挙げられる。
【0049】安定剤としてはニトロメタン、ニトロエタ
ン等のニトロアルカン類、ブチレンオキサイド等のエポ
キシド類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、トリエ
タノールアミン等のアミン類、ベンゾトリアゾール類等
が挙げられる。消泡剤としては、自己乳化シリコーン、
シリコン、脂肪酸、高級アルコール、ポリプロピレング
リコールポリエチレングリコールおよびフッ素系界面活
性剤等が挙げられる。
【0050】本発明の洗浄剤及び組成物(e)は、以下
に示す洗浄方法及び洗浄装置を利用することによって、
最も効果的な洗浄を行うことができる。本発明の洗浄方
法は、被洗物に付着したあらゆるタイプの汚れを(a)
非塩素系フッ素化合物に(b)エーテル結合及び/また
はエステル結合を有する有機化合物からなる群から選ば
れる一種以上の化合物と(c)アルコール類を含有し、
必要に応じて(d)フェノール系酸化防止剤、アミン系
酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤お
よび紫外線吸収剤を添加することによって、優れた洗浄
性を示し、かつ、引火点を有さない洗浄剤で洗浄したの
ち、汚れ成分等を発明の第五に記載の組成物(e)また
は発明の第六に記載の組成物(e)で被洗物をリンスお
よび/または蒸気洗浄することを特徴としている。
【0051】組成物(e)は少なくとも1種の成分(a)
を含有する組成であれば、いかなる組成でもよいが、必
要に応じて組成を使い分けることができ、例えば、被洗
物表面での洗浄剤成分の残留やシミの抑制を重視する場
合には揮発性の高い成分(a)のみからなる組成が好ま
しく、イオン性残渣洗浄性を重視する場合には成分
(a)に(c)アルコール類を添加することが好まし
い。洗浄工程及びリンス工程には洗浄性、リンス性を向
上することを目的とした手拭き、浸漬、スプレー、シャ
ワー等の物理的な方法を組み合わせることにより、効果
的な洗浄が可能となる。本発明の洗浄方法は本発明の洗
浄剤を使用する上で、洗浄性及び乾燥性に優れ、被洗物
の材質に対する影響も少なく、最も適した洗浄方法と言
える。
【0052】本発明の洗浄方法を実施する装置として
は、これまでトリクロロエタン,CFC113等の塩素
系洗浄剤で使用されていた3槽式洗浄機等の一般的な洗
浄機であれば使用することが可能であり、洗浄装置を限
定するものではないが、具体的な洗浄装置の事例とし
て、図1に示した本発明の第七に記載の洗浄装置、図2
に示した本発明の第八に記載の洗浄装置および図3に示
した本発明の第九に記載の洗浄装置を挙げることができ
る。
【0053】以下に本発明の洗浄方法及び洗浄装置を添
付図面によって具体的に説明する。図1に示す洗浄装置
は、主な構造として洗浄液を入れる洗浄槽(A)1、組
成物(e)を入れるリンス槽(B)2及び蒸気発生槽
3、組成物(e)の蒸気に満たされる蒸気ゾーン4、蒸
発した組成物(e)を冷却管9によって凝縮し、凝縮し
た液と冷却管に付着した水とを静置分離するための水分
離槽(C)5からなる。実際の洗浄においては被洗物を
専用のジグやカゴ等に入れて、洗浄装置内を洗浄槽
(A)1、リンス槽(B)2、蒸気ゾーン4の順に通過
させながら洗浄を完了させる。
【0054】洗浄槽(A)1では、本発明の洗浄剤をヒ
ーター7で加熱昇温し、一定温度にコントロールしなが
ら被洗物に付着した汚れを超音波振動子8により発生し
たキャビテーションで洗浄除去する。この時,物理的な
力としては超音波以外に揺動や洗浄剤の液中噴流等のこ
れまでの洗浄機に採用されているいかなる方法を使用し
ても良い。本洗浄装置においては被洗物を洗浄槽(A)
1からリンス槽(B)2に移動する時、洗浄剤成分が被
洗物表面に付着していることにより、被洗物表面での乾
燥による汚れ成分の固着を防止しつつ、リンス槽(B)
2へ移動することが可能となる。
【0055】リンス槽(B)2では、被洗物に付着して
いる洗浄剤中に溶解している汚れ成分を本発明の組成物
(e)で除去する。組成物(e)は、リンス槽(B)2
からオーバーフロー配管11、16、12を通って蒸気
発生槽3に入り、蒸気発生槽3のヒーター6で加熱沸騰
され、その組成の一部または全部が蒸気となって矢印1
3のように冷却管9で凝縮された後、配管14から水分
離槽(C)5に集まり水と分離された上で、配管15を
通ってリンス槽(B)2に戻る。この組成物(e)を洗
浄装置内で液体や気体に状態変化させながら循環するこ
とによって、リンス槽(B)2に持ち込まれた洗浄剤成
分や汚れ成分を連続的に蒸気発生槽3に蓄積し,リンス
槽(B)2の清浄度の維持や蒸気ゾーン4における蒸気
洗浄が可能となる。
【0056】蒸気発生槽3で発生した蒸気に満たされた
蒸気ゾーン4で行う蒸気洗浄は、被洗物表面で蒸気が凝
縮することによりできた液中に汚れ成分が全く含まれな
いので、洗浄工程最後の仕上げ洗浄として有効である。
さらに、洗浄効果を高めるためには、リンス槽(B)2
の冷却管10で組成物(e)の温度を低温に保ち、浸漬
する被洗物温度を低く抑制することによって,蒸気温度
との温度差を広げ凝縮量を増やすことが効果的である。
【0057】本発明の洗浄装置では、洗浄剤と組成物
(e)の2種類の液を使用するために独立した浸漬槽構
造となっているが、各槽上部の空間を蒸気ゾーンとして
共通に使用することにより,洗浄剤からの非塩素系フッ
素化合物の蒸発ロスを抑制し、結果として洗浄剤の組成
変動を減少し、長期連続使用することが可能となる。次
に図2に示す洗浄装置は、主な構造として洗浄液を入れ
る洗浄槽(A)17、組成物(e)を入れるリンス槽
(B)18、洗浄剤の蒸気に満たされる蒸気ゾーン
(D)19、蒸発した洗浄剤を冷却管23によって凝縮
し、凝縮した液と冷却管に付着した水とを静置分離する
ための水分離槽(C)20からなる。実際の洗浄におい
ては被洗物を専用のジグやカゴ等に入れて、洗浄装置内
を洗浄槽(A)17、リンス槽(B)18、蒸気ゾーン
(D)19の順に通過させながら洗浄を完了させる。リ
ンス槽数については精密洗浄等の高い清浄度が求められ
る場合には必要に応じて2槽以上に増やしても良い。
【0058】洗浄槽(A)17では、本発明の洗浄剤を
ヒーター21で加熱し、沸騰状態で被洗物に付着した汚
れを洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動や
洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されてい
る物理的な力であればいかなる方法を使用しても良い。
本洗浄装置では、被洗浄物を洗浄槽(A)17からリン
ス槽(B)18に移動する時、洗浄剤成分が被洗物表面
に付着することにより、被洗物表面での乾燥による汚れ
成分の固着を防止しつつ,リンス槽(B)18へ移動す
ることが可能となる。
【0059】リンス槽(B)18では、本発明の組成物
(e)で被洗物に付着している洗浄剤中に溶解している
汚れ成分を除去する。洗浄剤は、洗浄槽(A)17のヒ
ーター21で加熱沸騰され、その組成の一部または全部
が蒸気となって矢印25のように蒸気ゾーン(D)19
を満たした後、冷却管23で凝縮された後、配管26か
ら水分離槽(C)20に集まり水と分離された上で、配
管27を通って、一旦リンス槽(B)18に戻された
後、該リンス槽(B)18からオーバーフローして矢印
28のように最終的に洗浄槽(A)17に戻される。
【0060】このように図2に示す洗浄装置は図1に示
した洗浄装置と異なり、洗浄剤と組成物(e)が洗浄槽
(A)17において混合することを特徴とし、洗浄剤と
組成物(e)に含まれる(a)非塩素系フッ素化合物と
(c)アルコール類は同一成分とすることが好ましい。
この洗浄剤と組成物(e)に含まれる(a)非塩素系フ
ッ素化合物と(c)アルコール類を洗浄装置内で循環さ
せ、且つ、リンス槽(B)18内の組成物の一部を洗浄
槽(A)17にオーバーフローさせることによって、蒸
気ゾーン(D)19における蒸気洗浄が可能となるのみ
ならず、被洗物によりリンス槽(B)18に持ち込まれ
た洗浄剤中の(b)エーテル結合及び/またはエステル
結合を有する有機化合物及び(d)フェノール系酸化防
止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ
系酸化防止剤および紫外線吸収剤を連続的に洗浄槽
(A)17に戻すことが可能となり、洗浄槽(A)17
内の洗浄剤、及びリンス槽(B)18内の組成物(e)
の組成を一定に保つことができる。
【0061】洗浄槽(A)17で発生した蒸気に満たさ
れた蒸気ゾーン(D)19で行う蒸気洗浄は、被洗物表
面で蒸気が凝縮したことによりできた液中に汚れ成分が
全く含まれないので、洗浄工程最後の仕上げ洗浄として
有効である。さらに、洗浄効果を高めるためには、リン
ス槽(B)18の冷却管24で組成物(e)の温度を低
温に保ち、被洗物温度を低くすることによって、蒸気温
度との温度差を広げ凝縮量を増やすことが効果的であ
る。
【0062】次に図3に示す洗浄装置は、主な構造とし
て洗浄液を入れる洗浄槽(A)29、洗浄剤の蒸気に満
たされる蒸気ゾーン(D)30、蒸発した洗浄剤を冷却
管34によって凝縮し、凝縮した液と冷却管に付着した
水とを静置分離するための水分離槽(C)31,水分離
槽(C)31で静置分離された凝縮液をシャワーリンス
するためのポンプ33とからなる。実際の洗浄において
は被洗物を専用のジグやカゴ等に入れて、洗浄装置内を
洗浄槽(A)29、蒸気ゾーン(D)30の順に通過さ
せながら洗浄を完了させる。
【0063】洗浄槽(A)29では、本発明の洗浄剤を
ヒーター32で加熱し、沸騰状態で被洗物に付着した汚
れを洗浄除去する。この時,物理的な力としては揺動や
洗浄剤の液中噴流等のこれまでの洗浄機に採用されてい
る物理的な力であれば、いかなる方法を使用しても良
い。蒸気ゾーン(D)30では、主に本発明の洗浄剤に
含まれる(a)非塩素系フッ素化合物や(c)アルコー
ル類等の蒸気圧の高い成分の蒸気を冷却管34で凝縮さ
せ水分離槽(C)31に集めた後、これら凝縮液をポン
プ33で配管38、39に送液し、シャワーノズル4
0,41から被洗物にシャワーすることによって,被洗
物に付着している洗浄剤中に溶解している汚れ成分を除
去する。凝縮液は、水分離槽(C)31に集められた
後、配管37およびポンプ33から洗浄槽(A)29に
入りヒーター32で加熱沸騰され、その組成の一部また
は全部が蒸気となって矢印35のように冷却管34で凝
縮された後、配管36から水分離槽(C)31に戻る。
【0064】洗浄槽(A)29で発生した蒸気に満たさ
れた蒸気ゾーン(D)30で行う蒸気洗浄は、被洗物表
面で蒸気が凝縮することによりできた液中に汚れ成分が
全く含まれないので、洗浄工程最後の仕上げ洗浄として
有効である。本発明の洗浄装置では、洗浄剤に含まれる
(a)非塩素系フッ素化合物や(c)アルコール類等の
蒸気圧の高い成分が主に洗浄装置内で液体や気体に状態
変化させながら循環することによって、被洗物に付着し
ているわずかに残留している可能性の有る汚れ成分を組
成物(e)、及びリンス槽(B)を使用せずにリンス及
び蒸気洗浄が可能である。
【0065】前記図1〜3に示した各洗浄装置はその目
的や用途によって使い分けることができ、高清浄度が求
められるような精密洗浄等では、洗浄槽(A)およびリ
ンス槽(B)を1槽または2槽以上にした洗浄装置がよ
り好ましい。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。なお、洗浄剤の各種物性は以下のように
して測定、評価した。 [実施例1〜12及び比較例1〜10] (1)引火点 JIS K 2265に従い、クリーブランド開放式で
引火点の測定を行った。評価は以下の基準による。 ○:引火点なし ×:引火点あり
【0067】(2)融点測定 サンプル瓶に洗浄剤5mlを入れ、15℃にコントロー
ルした恒温水槽に1時間浸漬した後、状態を目視評価し
た。評価は以下の基準による。 ○:均一な液体 ×:完全に凝固
【0068】(3)ロジン溶解性試験 フラックスを加熱して、イソプロパノール等の化合物成
分を蒸発乾固したのち、約0.2gのペレットを作成す
る。これを60℃に加温した洗浄剤50mlで2分間揺
動洗浄(200回/分)し、メチルパーフルオロブチル
エーテルおよびメチルパーフルオロイソブチルエーテル
の混合物(商品名:HFE7100、住友スリーエム
(株)製)でリンスした後、エアーブローして乾燥す
る。溶解性は試験の前後にペレットの重量を測定し、以
下の計算式で計算する。 ロジン溶解性(%)={(試験前重量−試験後重量)/
試験前重量}×100 評価は以下の基準による。 ○:40%以上 ×:40%未満 試験に用いたフラックスの商品名:JS−64ND
((株)弘輝製)
【0069】(4)基板洗浄性試験 重合ロジン、およびロジン金属塩等、白色残渣の原因と
なる汚れに対する洗浄剤の洗浄性を、以下の操作に従っ
て測定した。ガラスエポキシ製プリント基板(35mm
×48mm)をフラックスに片面浸漬し風乾した後、2
50℃でハンダ付けして作成した試験片を60℃に加温
した洗浄剤50mlで3分間揺動洗浄(200回/分)
し、メチルパーフルオロブチルエーテルおよびメチルパ
ーフルオロイソブチルエーテルの混合物(商品名:HF
E7100、住友スリーエム(株)製)でリンスおよび
蒸気洗浄して乾燥する。洗浄性は基板表面の外観を目視
評価する。評価は以下の基準による。 ○:白色残渣なし ×:白色残渣あり 試験に用いたフラックスの商品名:JS−64ND
((株)弘輝製)
【0070】
【実施例1〜12】表1に記載の組成で各成分を混合
し、目的の洗浄剤を得た。各洗浄剤について、評価試験
を行ない、結果を表1にまとめた。(a)非塩素系フッ
素化合物と(b)エーテル結合及び/またはエステル結
合を有する有機化合物からなる群から選ばれる一種以上
の化合物と(c)アルコール類とを均一混合することに
より、引火点を消去した上で、ロジンや白色残渣の原因
となる重合ロジン、ロジンの金属塩、アミンの塩酸塩お
よび有機酸等、フラックス成分およびフラックス塗布工
程において生成されたあらゆる汚れを洗浄できることが
確認された。
【0071】
【比較例1〜3】表2に記載の化合物について実施例と
同じ評価試験を行った。結果を表2にまとめた。成分
(a)として用いた4H,5H,5H−パーフルオロシ
クロペンタン、メチルパーフルオロブチルエーテルとメ
チルパーフルオロイソブチルエーテルの混合物および2
H,3H−パーフルオロペンタン単独ではロジン溶解性
および基板洗浄性のいずれも不充分であった。
【0072】
【比較例4〜6】表2に記載の組成で各成分を混合し洗
浄剤を得た。この洗浄剤について実施例と同じ評価試験
を行った。結果を表2にまとめた。(a)非塩素系フッ
素化合物に(c)アルコール類の単独添加ではロジン溶
解性および基板洗浄性が不充分であり、かつ、引火点が
確認された。
【0073】
【比較例7〜10】表2に記載の組成で各成分を混合し
洗浄剤を得た。この洗浄剤について実施例と同じ評価試
験を行った。結果を表2にまとめた。(a)非塩素系フ
ッ素化合物に成分(b)として用いたグリコールエーテ
ル類の併用では基板洗浄性が不充分であった。
【0074】[実施例13〜14及び比較例11] (5)実機洗浄試験1 図1に示す洗浄装置の洗浄槽(A)1に所定の組成の洗
浄剤を入れ、リンス槽(B)2、蒸気発生槽3および水
分離槽(C)5に所定の組成の組成物(e)を入れ、重
合ロジン、およびロジン金属塩等、白色残渣の原因とな
る汚れに対する洗浄性について、以下の操作及び洗浄条
件により測定した。
【0075】操作 ・フラックス洗浄性評価 ガラスエポキシ製プリント基板(35mm×48mm)
をフラックスに片面浸漬し風乾した後、250℃でハン
ダ付けして作成した試験片を上記洗浄装置を用いて洗浄
し、組成物(e)でリンスした後、蒸気洗浄して乾燥す
る。洗浄性はイオン性残渣(単位:μgNaCl/sq
in)をオメガメーター(600R−SC、アルファメ
タルズ社製)で測定し、その測定値を「β」とする。評
価は以下の基準による。 ◎:β≦7 ○:7<β≦14 ×:β>14 試験に用いたフラックスの商品名:JS−64ND
((株)弘輝製)
【0076】・脱脂洗浄性評価 30メッシュのステンレス金網(10mm×20mm)
に下記金属加工油を含浸させ、100℃で30分間加熱
して作成した試験片を上記洗浄装置を用いて洗浄し、組
成物(e)でリンスした後蒸気洗浄して乾燥する。洗浄
性は目視評価する。評価は以下の基準による。 ○:加工油の残留なし △:一部に加工油の残留あり ×:加工油の残留あり 試験に用いた金属加工油:パークロロエチレン中に染料
(ズダン)0.1重量%、ユニカットGH35(商品
名、日本石油(株)製)を25重量%含有する液を調整
し、試験用金属加工油とした。
【0077】洗浄条件 洗浄槽(A)1 :40℃、2分間超音波洗浄(出力:
110w、周波数:28kHz) リンス槽(B)2:15℃、2分間浸漬揺動(20回/
分) 蒸気ゾーン4 :2分間静置
【0078】
【実施例13、14】表3に記載の組成で各成分を混合
し、目的の洗浄剤および組成物(e)を得た。洗浄剤お
よび組成物(e)を用いて上記評価試験を行ない、結果
を表3にまとめた。(a)非塩素系フッ素化合物、
(b)エーテル結合及び/またはエステル結合を有する
有機化合物および(c)アルコール類を含有する引火点
を有さない洗浄剤と(a)非塩素系フッ素化合物単独で
引火点を有さない組成物(e)で洗浄することにより、
フラックス及び油に対する優れた洗浄が確認された。ま
た、組成物(e)に(c)アルコール類を添加すること
によって、イオン性残渣量が低減された。
【0079】
【比較例11】表3に記載の洗浄剤および組成物(e)
について実施例13,14と同じ評価試験を行った。結
果を表3にまとめた。成分(a)メチルパーフルオロブ
チルエーテルとメチルパーフルオロイソブチルエーテル
の混合物だけではフラックス及び油に対する洗浄性がい
ずれも不充分であった。
【0080】[実施例15〜16及び比較例12] (6)実機洗浄試験2 図2に示す洗浄装置の洗浄槽(A)17に所定の組成の
洗浄剤を入れ、リンス槽(B)18および水分離槽
(C)20に所定の組成の組成物(e)を入れ、重合ロ
ジン、およびロジン金属塩等、白色残渣の原因となる汚
れに対する洗浄性について、以下の操作及び洗浄条件に
より測定した。
【0081】操作 ・フラックス洗浄性評価 ガラスエポキシ製プリント基板(35mm×48mm)
をフラックスに片面浸漬し風乾した後、250℃でハン
ダ付けして作成した試験片を上記洗浄装置を用いて洗浄
し、組成物(e)でリンスした後、蒸気洗浄して乾燥す
る。洗浄性はイオン性残渣(単位:μgNaCl/sq
in)をオメガメーター(600R−SC、アルファメ
タルズ社製)で測定し、その測定値を「β」とする。評
価は以下の基準による。 ◎:β≦7 ○:7<β≦14 ×:β>14 試験に用いたフラックスの商品名:JS−64ND
((株)弘輝製)
【0082】・脱脂洗浄性評価 30メッシュのステンレス金網(10mm×20mm)
に下記金属加工油を含浸させ、100℃で30分間加熱
して作成した試験片を上記洗浄装置を用いて洗浄し、組
成物(e)でリンスした後蒸気洗浄して乾燥する。洗浄
性は目視評価する。評価は以下の基準による。 ○:加工油の残留なし △:一部に加工油の残留あり ×:加工油の残留あり 試験に用いた金属加工油:パークロロエチレン中に染料
(ズダン)0.1重量%、ユニカットGH35(商品
名、日本石油(株)製)を25重量%含有する液を調整
し、試験用金属加工油とした。 洗浄条件 洗浄槽(A)17 :2分間沸騰洗浄 リンス槽(B)18 :15℃、2分間浸漬揺動(20
回/分) 蒸気ゾーン(D)19:2分間静置
【0083】
【実施例15、16】表3に記載の組成で各成分を混合
し、目的の洗浄剤および組成物(e)を得た。洗浄剤お
よび組成物(e)を用いて上記評価試験を行ない、結果
を表3にまとめた。(a)非塩素系フッ素化合物、
(b)エーテル結合及び/またはエステル結合を有する
有機化合物および(c)アルコール類を含有する引火点
を有さない洗浄剤、(a)非塩素系フッ素化合物単独で
引火点を有さない組成物(e)および該洗浄剤を沸騰す
ることによって発生する蒸気および凝縮液で洗浄するこ
とにより、フラックス及び油に対する優れた洗浄が確認
された。また、組成物(e)に(c)アルコール類を添
加することによって、イオン性残渣量が低減された。
【0084】
【比較例12】表3に記載の洗浄剤および組成物(e)
について実施例15,16と同じ評価試験を行った。結
果を表3にまとめた。成分(a)メチルパーフルオロブ
チルエーテルとメチルパーフルオロイソブチルエーテル
の混合物だけではフラックス及び油に対する洗浄性がい
ずれも不充分であった。
【0085】[実施例17及び比較例13] (7)実機洗浄試験3 図3に示す洗浄装置の洗浄槽(A)29及び水分離槽
(C)31に所定の組成の洗浄剤を入れ、洗浄槽(A)
の洗浄剤をヒーター32により加熱沸騰させ、1時間空
運転を行い水分離槽(C)31の洗浄剤に含まれる成分
(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)の中
で蒸気圧の低い成分の1時間空運転を行い水分離槽
(C)31の洗浄剤に含まれる蒸気圧の低い成分の濃度
を低下させた上で、重合ロジン、およびロジン金属塩
等、白色残渣の原因となる汚れに対する洗浄性につい
て、以下の操作及び洗浄条件により測定した。
【0086】操作 ・フラックス洗浄性評価 ガラスエポキシ製プリント基板(35mm×48mm)
をフラックスに片面浸漬し風乾した後、250℃でハン
ダ付けして作成した試験片を上記洗浄装置を用いて洗浄
し、該洗浄剤を沸騰することによって発生する凝縮液で
リンスした後、蒸気洗浄して乾燥する。洗浄性はイオン
性残渣(単位:μgNaCl/sqin)をオメガメー
ター(600R−SC、アルファメタルズ社製)で測定
し、その測定値を「β」とする。評価は以下の基準によ
る。 ◎:β≦7 ○:7<β≦14 ×:β>14 試験に用いたフラックスの商品名:JS−64ND
((株)弘輝製)
【0087】・脱脂洗浄性評価 30メッシュのステンレス金網(10mm×20mm)
に下記金属加工油を含浸させ、100℃で30分間加熱
して作成した試験片を上記洗浄装置を用いて洗浄し、該
洗浄剤を沸騰することによって発生する凝縮液でリンス
した後、蒸気洗浄して乾燥する。洗浄性は目視評価す
る。評価は以下の基準による。 ○:加工油の残留なし △:一部に加工油の残留あり ×:加工油の残留あり 試験に用いた金属加工油:パークロロエチレン中に染料
(ズダン)0.1重量%、ユニカットGH35(商品
名、日本石油(株)製)を25重量%含有する液を調整
し、試験用金属加工油とした。
【0088】洗浄条件 洗浄槽(A)17 :2分間沸騰洗浄 蒸気ゾーン19(D):2分間シャワーリンス(5L/
分)後,2分間静置
【0089】
【実施例17】表3に記載の組成で各成分を混合し、目
的の洗浄剤を得た。洗浄剤を用いて上記評価試験を行な
い、結果を表3にまとめた。(a)非塩素系フッ素化合
物、(b)エーテル結合及び/またはエステル結合を有
する有機化合物および(c)アルコール類を含有する引
火点を有さない洗浄剤と該洗浄剤を沸騰することによっ
て発生する蒸気および凝縮液で洗浄することにより、フ
ラックス及び油に対する優れた洗浄が確認された。ま
た、該洗浄剤を沸騰することによって発生する蒸気およ
び凝縮液中には成分(b)をほとんど含まず、該凝縮液
でシャワーリンスすることによって充分なリンス性が得
られた。
【0090】
【比較例13】表3に記載の洗浄剤について実施例17
と同じ評価試験を行った。結果を表3にまとめた。成分
(a)メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパー
フルオロイソブチルエーテルの混合物だけではフラック
ス及び油に対する洗浄性がいずれも不充分であった。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【発明の効果】本発明の洗浄剤は、優れた洗浄性を有す
るとともに引火点がなく安全である。すなわち、引火点
を有さないものの、フラックス等の汚れに対する溶解性
に劣る非塩素系フッ素化合物単体に、エーテル結合また
はエステル結合した構造を有する有機化合物からなる群
から選ばれる一種以上の化合物とアルコール類を併用す
ることによって、引火点を有さないという非塩素系フッ
素化合物の特性をそのままに、優れた洗浄性を有し、特
に基板表面に残留する重合ロジン、ロジンの金属塩およ
びイオン性物質等に対する優れたフラックス洗浄性を有
する洗浄剤を提供できる。洗浄剤が引火点を有さないの
で、引火の危険性が低減され、洗浄機等の設備上、引
火,爆発等を防ぐための防爆構造とする必要がなく、か
つ、既存の洗浄設備をそのまま使用できるため低コスト
の洗浄システムを確立することが可能となる。また、酸
化防止剤等の添加により、蒸気洗浄時の金属安定性及び
酸化劣化抑制効果の向上等が可能となる。本発明の組成
物、洗浄方法および洗浄装置によれば、引火の危険を全
く心配せずにあらゆるタイプの汚れを容易に被洗物表面
から溶解除去する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄剤および洗浄方法を利用した洗浄
装置の一例である。
【図2】本発明の洗浄剤および洗浄方法を利用した洗浄
装置の一例である。
【図3】本発明の洗浄剤および洗浄方法を利用した洗浄
装置の一例である。
【符号の説明】
1 洗浄槽(A) 2 リンス槽(B) 3 蒸気発生槽 4 蒸気ゾーン 5 水分離槽(C) 6 ヒーター 7 ヒーター 8 超音波振動子 9 冷却管 10冷却管 11オーバーフロー配管 12オーバーフロー配管 13蒸気の流れ 14凝縮液用配管 15水分離後の凝縮液用配管 16オーバーフロー液用配管 17洗浄槽(A) 18リンス槽(B) 19蒸気ゾーン(D) 20水分離槽(C) 21ヒーター 22超音波振動子 23冷却管 24冷却管 25蒸気の流れ 26凝縮液用配管 27水分離後の凝縮液用配管 28組成物(e)の流れ 29洗浄槽(A) 30蒸気ゾーン(D) 31水分離槽(C) 32ヒーター 33ポンプ 34冷却管 35蒸気の流れ 36凝縮液用配管 37水分離後の凝縮液配管 38シャワー用の凝縮液配管 39シャワー用の凝縮液配管 40シャワーノズル 41シャワーノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11D 7/32 C11D 7/32 7/34 7/34 7/36 7/36 H05K 3/26 H05K 3/26 E A

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)非塩素系フッ素化合物と(b)エ
    ーテル結合及び/またはエステル結合を有する有機化合
    物からなる群から選ばれる一種以上の化合物と(c)ア
    ルコール類とを含有する引火点を抑制した洗浄剤。
  2. 【請求項2】 (b)エーテル結合及び/またはエステ
    ル結合を有する有機化合物がグリコールエーテル類、グ
    リコールエーテルアセテート類およびヒドロキシカルボ
    ン酸エステル類からなる群から選ばれる一種以上の化合
    物であることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
  3. 【請求項3】 (b)エーテル結合及び/またはエステ
    ル結合を有する有機化合物の20℃における蒸気圧が
    1.33×103Pa未満であることを特徴とする請求
    項1または2に記載の洗浄剤。
  4. 【請求項4】 (d)フェノール系酸化防止剤、アミン
    系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤
    および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる一種又は二
    種以上の化合物の組み合わせを含有する請求項1〜3に
    記載の洗浄剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄剤
    で被洗物を洗浄した後、(e)少なくとも1種の(a)
    非塩素系フッ素化合物を含有する組成物でリンスおよび
    /または蒸気洗浄することを特徴とする洗浄方法。
  6. 【請求項6】 組成物(e)が、成分(c)および化合
    物(d)よりなる群から選ばれる少なくとも一種の成分
    または化合物を含有するものである請求項5記載の洗浄
    方法。
  7. 【請求項7】 (A)請求項1〜4のいずれかに記載の
    洗浄剤により被洗物を洗浄するための洗浄槽、(B)組
    成物(e)によりリンスするためのリンス槽、引火点を
    有さない組成物(e)に含有される少なくとも一種の成
    分または化合物の蒸気を発生させるための蒸気発生槽、
    該蒸気発生槽から発生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸
    気ゾーン、(C)発生した蒸気を凝縮した後、得られた
    凝縮液から水分を除去するための水分離槽、及び水分を
    除去された凝縮液をリンス槽(B)に戻す機構を有する
    洗浄装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄剤
    を構成する少なくとも一種の成分または化合物の蒸気を
    発生させるための加熱機構を有する請求項7の洗浄槽
    (A)、リンス槽(B)、(D)該洗浄槽(A)から発
    生した蒸気で蒸気洗浄するための蒸気ゾーン、水分離槽
    (C)及び水分を除去された凝縮液を該洗浄槽(A)に
    戻す機構を有する洗浄装置。
  9. 【請求項9】 請求項8において、リンス槽(B)の代
    わりに、該凝縮液を蒸気ゾーン(D)内でシャワーリン
    スする機構を有する洗浄装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080180A (ja) * 2001-09-10 2003-03-18 Asahi Kasei Corp 洗浄方法及び洗浄装置
JP2003082392A (ja) * 2001-09-11 2003-03-19 Asahi Kasei Corp 洗浄液管理方法

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