JP5743709B2 - 超電導線材用基材の製造方法 - Google Patents

超電導線材用基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、超電導線材用基材の製造方法に関する。
実用的な超電導導体として酸化物超電導線材を使用するためには、金属基材上に、結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を成膜する必要がある。一般には、金属基材そのものが多結晶であり、その結晶構造も酸化物超電導体と大きく異なるために、金属基材上に結晶配向性の良好な酸化物超電導体の薄膜を直接成膜することは難しい。そこで、表面を平滑に研磨したテープ状の金属基材上に、IBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法によって結晶配向性の良い中間層を形成し、この中間層の上にキャップ層を形成し、その上にRE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X:REはYを含む希土類元素)の酸化物超電導層を積層形成する技術が知られている。
この種の中間薄膜やキャップ層を備えた積層構造の酸化物超電導線材の一例構造として、図1に示す如く、テープ状の金属基材100の上に下地層101を形成後、IBAD法による中間層102を形成し、その上にキャップ層103を形成し、さらに酸化物超電導層105を形成し、その上にAgの安定化層106を形成した構造の酸化物超電導線材107が知られている。なお、下地層101はAl層などの拡散防止層とY層などのベッド層の積層構造あるいはこれらいずれかの単層構造とされることがあり、中間層102はこの例ではMgO層から構成され、キャップ層103はCeO層から構成されている。
また、下地層101を略してIBAD法による中間層102がこれらを兼ねる構造として、金属基材100の上にIBAD法によるGZO膜(GdZr層)を形成後、キャップ層103を形成し、酸化物超電導層105を積層した構造も提供されている。
このような構造の酸化物超電導線材において、優れた超電導特性を得るためには、単結晶に近い結晶配向性で酸化物超電導層を成長させる必要があるため、成膜の土台となる金属基材の表面は凹凸の少ない平滑な面とする必要がある。そのため、金属基材としては、酸化物超電導層を形成する前に、その表面を研磨加工等により平滑化した後、金属基材表面の残渣を除去する目的で洗浄されたものが用いられている(特許文献1参照)。
特開平10−245662号公報
本発明者が図1に示すような積層構造の酸化物超電導線材の製造プロセスについて検討を行ったところ、金属基材の洗浄が十分でなく、研磨加工で使用したバフシートなどの研磨シートや添加剤の成分に由来する有機物が金属基材上に残留している場合、成膜された積層膜が金属基材から剥離する場合があることが判明した。これは、CeO層などのキャップ層や酸化物超電導層は高温で成膜する必要があり、この高温成膜プロセスにおいて洗浄工程で除去しきれずに金属基材の表面に残留している有機物が気化することにより、金属基材から下地層などの積層膜が剥離することが原因であると考えられる。
特許文献1には、残油成分が超電導材料に混入すると特性が劣化するため、金属基材の脱脂を行うことが好ましいことが記載されている。金属基材の脱脂方法としては、脱脂剤による拭き取りが挙げられているが、どの程度まで脱脂すべきか等、詳細な方法は特許文献1には記載されていない。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、金属基材の表面上に中間層や超電導層などを成膜した際に、膜剥がれが生じ難い酸化物超電導線材用基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、洗浄前後の金属基材表面の水に対する接触角の変化率に着目することにより、成膜前の金属基材の残渣量を特定できることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明は以下の構成を採用した。
上記課題を解決するため、本発明の超電導線材用基材の製造方法は、表面粗さRaが6nm以下であって、成膜法により主面上方に中間層を介して酸化物超電導層が積層される金属基材に対し、この金属基材の表面を有機溶剤により拭き取り洗浄することにより、洗浄前後で金属基材の表面の水に対する接触角を9.8%以上減少させることを特徴とする。
本発明の酸化物超電導線材用基材の製造方法は、表面粗さRaが6nm以下の金属基材を用い、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率が9.8%以上となるまで、金属基材の表面を有機溶剤により拭き取り洗浄することにより、金属表面の有機物などの残渣を除去することができる。従って、本実施形態の製造方法により得られる酸化物超電導線材用基材は、有機物などの残渣が少なく、その表面上に中間層や超電導層などを高温プロセスにより成膜した場合にも、有機物の気化による膜剥がれの発生が抑制される。
本発明の超電導線材用基材の製造方法は、前記有機溶剤が、ケトン系溶剤またはアルコール系溶剤であることが好ましい。
本発明の超電導線材用基材の製造方法は、前記金属基材の表面を、アルコール系溶剤により拭き取り洗浄した後に、ケトン系溶剤により拭き取り洗浄することも好ましい。
本発明の超電導線材用基材の製造方法において、前記ケトン系溶剤がアセトンであることが好ましい。
本発明の超電導線材用基材の製造方法において、前記アルコール系溶剤がエタノールであることも好ましい。
この場合、金属基材の表面の残渣をより効果的に除去することができ、金属基材の表面上に中間層や超電導層などを成膜した際に、膜剥がれがより一層生じ難い酸化物超電導線材用基材を提供できる。
本発明によれば、主面上に中間層や超電導層などを成膜した際に、膜剥がれが生じ難い酸化物超電導線材用基材を製造する方法を提供できる。
酸化物超電導線材の一例を示す構成図である。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材用基材の製造方法の実施形態について説明する。
本発明の超電導線材用基材の製造方法は、表面粗さRaが6nm以下であって、成膜法により主面上方に中間層を介して酸化物超電導層が積層される金属基材に対し、この金属基材の表面を有機溶剤により拭き取り洗浄することにより、洗浄前後で金属基材の表面の水に対する接触角を9.8%以上減少させることを特徴とする。
なお、本発明の明細書および特許請求の範囲において、「表面粗さRa」はJIS B0601の算術平均粗さRaであり、「最大高さRy」はJIS B 0601の最大高さRyである。また、金属基材の表面とは、酸化物超電導線材の作製に際し、成膜法によりその上方に中間層などを介して酸化物超電導層が積層される側の面(主面)を表す。
本発明に係る超電導線材用基材の製造方法に適用される金属基材は、通常の超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、長尺のプレート状、シート状又はテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でも、合金が好ましく、ニッケル合金又は銅合金がより好ましい。中でも、市販品であればハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン、クロム、鉄、コバルト等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、金属基材としてニッケル合金などに集合組織を導入した配向Ni−W基板のような配向金属基板を用いてもよい。
金属基材の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、100〜500μmの範囲とすることができる。
本実施形態において、金属基材の表面粗さRaは6nm以下と設定されている。表面粗さRaが6nm以下の金属基材を用いることにより、得られる酸化物超電導基材の上に成膜する中間層や酸化物超電導層などの結晶配向性が良好となり、臨界電流密度などの超電導特性が良好となる。
市販品として入手可能なハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)の表面粗さRaは通常10〜20nm程度である場合が多く、このような表面粗さRaの金属基材を機械研磨により研磨加工することにより、金属基材の表面粗さRaを6nm以下とすることができる。金属基材の表面を研磨加工する場合、例えば、研磨粒子として平均粒径1μm以下のアルミナ粒子やダイヤモンド粒子を用いて研磨することにより、金属基材の表面粗さRaを6nm以下とすることができる。
本実施形態の超電導線材用基材の製造方法において、金属基材の表面を有機溶剤により拭き取り洗浄する方法としては、洗浄用の布に有機溶剤を含浸させたもので金属基材の表面を直接拭き取る方法が挙げられる。この拭き取り洗浄は、有機溶剤を含浸させた洗浄用の布をコンタクトロールに巻き付けた状態で、金属基材の表面と接触させる方法等、従来公知の拭き取り洗浄方法を適用できる。
後述の実施例に示す如く、金属基材の表面の残渣を除去するためには、有機溶媒中に金属基材を浸漬して超音波洗浄するよりも、有機溶剤による拭き取り洗浄の方が効果的である。有機溶剤による拭き取り洗浄の効果を十分に得るためには、金属基材の表面に、有機溶剤を含浸させた布を20〜70g/cm程度の荷重をかけて接触させて拭き取ることが好ましい。
本実施形態の超電導線材用基材の製造方法において、金属基材の表面の拭き取り洗浄に用いる有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤;二硫化炭素、ジメチルスルフォキシド等の硫化物系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤などが挙げられ、中でも、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が好ましい。
ケトン系溶剤は、金属基材の表面に残留した有機物を除去する効果が高いため好ましく、アセトンが特に好ましい。
アルコール系溶剤は、研磨加工の際に使用した研磨材や研磨シート等の成分に由来する無機物を除去する効果が高いため好ましく、取り扱いの容易性および揮発性などの観点からエタノールが特に好ましい。このような無機物は、微細な膜剥がれの原因となる場合があるため、有機物と合わせて除去されることが望ましい。
本実施形態において、金属基材の表面の拭き取り洗浄は、洗浄前の金属基材の表面の水に対する接触角(A°)に対して、洗浄後の金属基材の表面の水に対する接触角(B°)が9.8%以上減少するまで洗浄を行う。
ここで、本発明における金属基材の水に対する接触角とは、First ten Ångstroms社製、動的接触角・表面張力測定装置FTA188を用いて、金属基材の表面にHOを滴下後15秒間経過後に測定される接触角である。
金属基材表面の水に対する接触角は、その表面に有機物などの残渣が付着しているほど大きくなる傾向がある。しかし、それと同時に、金属基材表面の水に対する接触角は、金属基材の表面粗さにも依存する。
そこで、本発明者は、金属基材の洗浄前後の金属基材表面の水に対する接触角変化率に着目し、後述の実施例に示す如く洗浄前後の接触角変化率が異なる種々の金属基材について、800℃で行うCeO膜の高温成膜プロセス後の膜剥がれの発生の有無を検討した。その結果、表面粗さRaが6nm以下の金属基材では、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率(A−B)/A×100(%)が9.8%以上となるまで拭き取り洗浄を行うことにより、有機物の残渣に由来する大きな膜剥がれを抑制できることを確認した。より効果的に金属基材の有機物を除去し、有機物残渣に由来する膜剥がれの発生を抑制するためには、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率が12.5%以上となるまで拭き取り洗浄を行うことがより好ましい。
金属基材の表面を有機溶剤により拭き取り洗浄する方法としては、ケトン系溶剤およびアルコール系溶剤のいずれかまたは両方を使用して、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率が9.8%以上となるまで洗浄を行うことが好ましい。具体的には、次の洗浄方法が挙げられる。
(1)ケトン系溶剤による拭き取り洗浄
(2)アルコール系溶剤による拭き取り洗浄
(3)アルコール系溶剤による拭き取り洗浄後、ケトン系溶剤による拭き取り洗浄
(4)アルコール系溶剤による拭き取り洗浄後、ケトン系溶剤による拭き取り洗浄し、さらに、アルコール系溶剤による拭き取り洗浄
また、上記(1)〜(4)の洗浄の前後、あるいは途中に、水による洗浄を行ってもよい。
前記(1)〜(4)の洗浄において、ケトン系溶剤としてはアセトンが好ましく、アルコール系溶剤としてはエタノールが好ましい。中でも、アセトンは有機物残渣を除去する効果が高く、エタノールは無機物残渣を除去する効果が高いため、これらの溶剤を組み合わせた前記(3)、(4)の洗浄方法が特に好ましい。
本実施形態の酸化物超電導線材用基材の製造方法は、表面粗さRaが6nm以下の金属基材を用い、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率が9.8%以上となるまで、金属基材の表面を有機溶剤により拭き取り洗浄することにより、金属表面の有機物などの残渣を除去することができる。従って、本実施形態の製造方法により得られる酸化物超電導線材用基材は、有機物などの残渣が少なく、その表面(主面)上に中間層や酸化物超電導層を高温プロセスにより成膜した場合にも、有機物の気化による膜剥がれの発生が抑制される。
本実施形態の酸化物超電導線材用基材の製造方法により製造される酸化物超電導線材用基材は、例えば、図1に示す如く、その上に下地層、中間層、キャップ層、酸化物超電導層、安定化層が積層されて酸化物超電導線材を構成する。なお、以下の説明において、酸化物超電導線材用基材を「金属基材」と称することがある。
下地層は、通常は拡散防止層とベッド層の複層構造とされるが、どちらか一方からなる層構造でも良く、更に、以下に説明する拡散防止層やベッド層の構成材料を組み合わせた3層以上の複層構造であっても良い。
拡散防止層は、金属基材の構成元素拡散を防止する目的で形成されたもので、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)、あるいは、GZO(GdZr)等から構成され、例えばスパッタリング法等の成膜法により形成され、その厚さは例えば10〜400nmである。
ベッド層は、耐熱性が高く、界面反応性を低減するためのものであり、その上に配される膜の配向性を得るために用いる。このようなベッド層は、例えば、イットリア(Y)などの希土類酸化物であり、組成式(α2x(β(1−x)で示されるものが例示できる。より具体的には、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、La等を例示することができる。このベッド層12は、例えばスパッタリング法等の成膜法により形成され、その厚さは例えば10〜100nmである。
中間層は、単層構造あるいは複層構造のいずれでも良く、その上に積層されるキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から選択される。中間層の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。
この中間層をIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法により良好な結晶配向性(例えば結晶配向度15゜以下)で成膜するならば、その上に形成するキャップ層の結晶配向性を良好な値(例えば結晶配向度5゜前後)とすることができ、これによりキャップ層の上に成膜する酸化物超電導層の結晶配向性を良好なものとして優れた超電導特性を発揮できる酸化物超電導層を得るようにすることができる。
例えば、GdZr、MgO又はZrO−Y(YSZ)からなる中間層は、IBAD法における結晶配向度を表す指標であるΔφ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
キャップ層は、上述のように面内結晶軸が配向した中間層の表面に成膜されることによってエピタキシャル成長し、その後、横方向に粒成長して、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料、であれば特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、Ho、Nd、LaMnO等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
例えば、CeO層は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができる。CeO層の膜厚は、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましいが、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、50〜5000nmの範囲とすることができる。
酸化物超電導層は希土類系の公知のもので良く、具体的には、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のものを例示できる。この酸化物超電導層6として、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示することができる。
酸化物超電導層は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザー蒸着法、電子ビーム蒸着法、等の物理的蒸着法;化学気相成長法(CVD法);塗布熱分解法(MOD法)等で積層することができ、なかでも生産性の観点から、PLD(パルスレーザー蒸着)法、TFA−MOD法(トリフルオロ酢酸塩を用いた有機金属堆積法、塗布熱分解法)又はCVD法を用いることができる。
酸化物超電導層の上に積層される安定化層は、酸化物超電導層の一部領域が常電導状態に遷移しようとした場合に、電流のバイパス路として機能することで、酸化物超電導層を安定化させて焼損に至らないようにする、主たる構成要素である。
安定化層は、導電性が良好な金属からなるものが好ましく、具体的には、銀又は銀合金、銅などからなるものが例示できる。安定化層は1層構造でも良いし、2層以上の積層構造であってもよい。
安定化層は、公知の方法で積層できるが、銀層をメッキやスパッタ法で形成し、その上に銅テープなどを貼り合わせるなどの方法を採用できる。安定化層の厚さは、3〜300μmの範囲とすることができる。
このように、本実施形態の酸化物超電導線材用基材の製造方法により得られた金属基材を酸化物超電導線材用基材として用いて酸化物超電導線材とするならば、中間層や酸化物超電導層などの高温成膜プロセスを経て製造した場合にも、金属基材の表面の有機物などの残渣が効果的に除去されているため、有機物の気化による膜剥がれの発生が抑制される。
以上、本発明の酸化物超電導線材用基材の製造方法について説明したが、上記実施形態において、酸化物超電導用基材の各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
幅10mm、厚さ0.1mmのハステロイC276(米国ヘインズ社製商品名)製のテープ状の金属基材の表面を、表1に示す研磨材を用いた機械研磨により、研磨時間および研磨布の押圧力を調整することにより、同表記載の表面粗さのNo.1〜7の基材を作製した。
次に、No.1〜7の各基材を、表2に示す洗浄方法で洗浄した。なお、表2において、「乾式拭き」とは、乾いた布に溶剤を含浸させて基材表面を拭き取り洗浄(1回の拭き取り洗浄での布と基材表面の接触距離は50cm、荷重500gを付加)したことを表す。また、「超音波洗浄」は、溶剤中に基材を浸漬して周波数40Hzの超音波を10分間かけて行った。
Figure 0005743709
Figure 0005743709
洗浄前後の各基材について、動的接触角・表面張力測定装置(FTA188、First Ten Ångstroms社製)を使用し、滴下液HO(水)で滴下後15秒経過時の各基材表面の水に対する接触角を測定した。結果を表3に示す。また、各基材について、洗浄前の水接触角(A)に対する洗浄後の水接触角(B)の変化率(A−B)/A×100(%)を算出した結果を表4に示す。
次に、No.1〜7の各基材について、未洗浄の基材および洗浄後の基材の接触角を測定した表面上に、イオンビームスパッタにより室温にてAl(拡散防止層)を150nm成膜した。次に、Al上にイオンビームスパッタにより室温にてY(ベッド層)を30nm成膜した後、Y上にイオンビームアシスト蒸着法によりMgO(中間層)を5〜10nm成膜した。次いで、MgO上にパルスレーザー蒸着法により800℃でCeO(キャップ層)を500nm成膜した。
得られた積層体について、膜剥がれの有無を目視で外観観察した結果を表3および表4に併記した。
Figure 0005743709
Figure 0005743709
表3および表4の「大膜剥がれ」とは、金属基材の表面に残留していた有機物が、CeO(キャップ層)の800℃の成膜プロセスにおいて気化したことにより一部に大きな膜剥がれが発生していたことを示し、金属基材とAl(拡散防止層)の界面が剥がれていた。
表4の結果より、洗浄方法6〜8で洗浄することにより、基材上の有機物の残渣に由来する膜剥がれが抑制されており、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率が9.8%以上となるまで拭き取り洗浄を行うことにより、有機物の残渣に由来する大きな膜剥がれを抑制できることが確認された。また、洗浄前後の金属基材の表面の水に対する接触角の変化率が12.5%以上となるまで拭き取り洗浄を行うことにより、より確実に有機物の残渣に由来する大きな膜剥がれを抑制できることが確認された。
また、洗浄方法3および4、並びに、洗浄方法5および6を比較することにより、基材上の有機物の残渣の除去には超音波洗浄よりも拭き取り洗浄の方が有効であることがわかる。
洗浄方法2、6、7を比較することにより、アセトンはエタノールよりも有機物の残渣を除去する効果が高いことがわかった。
本発明は、例えば超電導モータ、限流器など、各種電力機器に用いられる酸化物超電導線材に利用することができる。
100…金属基材、101…下地層、102…中間層、103…キャップ層、105…酸化物超電導層、106…安定化層、107…酸化物超電導線材。

Claims (3)

  1. 表面粗さRaが6nm以下であって、成膜法により主面上方に中間層を介して酸化物超電導層が積層される金属基材に対し、この金属基材の表面をアルコール系溶剤により拭き取り洗浄した後に、ケトン系溶剤により拭き取り洗浄することにより、洗浄前後で金属基材の表面の水に対する接触角を9.8%以上減少させることを特徴とする超電導線材用基材の製造方法。
  2. 前記ケトン系溶剤がアセトンであることを特徴とする請求項に記載の超電導線材用基材の製造方法。
  3. 前記アルコール系溶剤がエタノールであることを特徴とする請求項に記載の超電導線材用基材の製造方法。
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