JP4411265B2 - 希土類系テープ状酸化物超電導体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物超電導体に係り、特に超電導ケーブルや超電導電力貯蔵のような電力機器及びモーターなどの動力機器への使用に適したテープ状の希土類系酸化物超電導体及びその製造方法に関する。
希土類123系酸化物超電導体は液体窒素温度における磁場特性が、Bi系超電導体に比べて優れているため、実用的な高い臨界電流密度(Jc)を維持することが可能であり、この線材の実用化に成功すれば、高温領域での優れた特性に加えて、貴金属である銀を使用しない製法が可能であること及び冷媒に液体窒素を使用できることから冷却効率が数十〜数百倍に向上するため、経済的に極めて有利である。この結果、従来経済性の面から適用不可能であった機器に対しても超電導線材を利用することが可能となり、超電導機器の用途及び市場が大幅に拡大することが予測される。
希土類123系超電導体(特にY―123系超電導体、Y:Ba:Cu=1:2:3のモル比)の結晶系は斜方晶であり、このため、通電特性において材料の特性を発揮させるためには、結晶のCuO面を揃えるだけでなく、面内の結晶方位をも揃えることが要求される。その理由は、僅かな方位のずれが双晶粒界を発生させ、通電特性を低下させることによる。
上記のY―123系超電導体の結晶の面内配向性を高め、かつ面内の方位を揃えながら線材化する製法は、薄膜の作製と規を同一にしている。即ち、テープ状金属基板の上に面内配向度と方位を向上させた中間層を形成し、この中間層の結晶格子をテンプレートとして用いることによって、Y―123系超電導層(YBCO層)の結晶の面内配向度と方位を向上させるものである。
この線材は結晶が2軸配向しているため、ビスマス系の銀シース線材に比べて臨界電流値(Ic)が高く、液体窒素温度での磁場特性に優れるため、この線材を用いることで、現在、低温で使用されている超電導機器をより高温状態で使用することができる。
Y―123系超電導線材は、現在、さまざまな製造プロセスで検討が行われ、テープ状金属基板の上に面内配向した中間層を形成した2軸配向金属基板の製造技術として、例えば、IBAD(Ion Beam Assisted Deposotion)法やRABiTS(Rolling Assisted Biaxially Textured Substrate)法が知られており、無配向また配向金属テープ上に面内配向度と方位を向上させた中間層を形成したY―123系超電導線材が多く報告され、また、基板として、強圧延加工後の熱処理により配向集合組織を有するNi又はNi基合金からなる基板を用い、この表面上にNi酸化物の薄層、CeO等の有機金属塩塗布熱分解法により形成された酸化物中間層及びY系酸化物超電導層を順次形成した希土類系テープ状酸化物超電導体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上記のY―123系超電導体のJcは、中間層の結晶性と表面平滑性に依存しており、下地の状態に応じて敏感にその特性が大きく変化すること、即ち、基板及び中間層の配向性に大きく影響されることが判明している。
この内、最も高特性が得られているのはIBAD基板を用いた方法である。この方法は、非磁性で高強度のテープ状Ni系基板(ハステロイ等)上に、このNi系基板に対して斜め方向からイオンを照射しながら、ターゲットから発生した粒子をレーザー蒸着法で堆積させて形成した高配向性を有し超電導体を構成する元素との反応を抑制する中間層(CeO、Y、YSZ等)または中間層を2層構造(YSZまたはRxZr/CeOまたはY等:Rxは、Y、Nd、Sm、Gd、Ei、Yb、Ho、Tm、Dy、Ce、LaまたはErを示す。)に設け、その上にCeOをPLD法で成膜した後、YBCO層をPLDで成膜した超電導線材である(例えば、特許文献2乃至4参照。)。
しかし、このプロセスは、全ての中間層が気相法による真空プロセスで作られるため、緻密で平滑な中間層膜を得ることができるという利点を有するが、製造速度が遅い、また設備コストがかかり、線材価格が上がるなどの問題点があり、このIBAD法の他にもいくつかの気相を使った成膜プロセスが検討されているが、コスト、製造速度の問題を解決する有効な手段は報告されていない。
低コストを実現するために最も有効なプロセスは有機酸塩あるいは有機金属化合物を原料として用い、塗布後に熱処理を施すことによって酸化物層を形成するMODプロセスである。このプロセスは簡便であるが、熱分解時の体積減少によって発生するクラック、粒成長の不完全さによる基板元素の拡散と結晶性の悪さにより、中間層としての機能を十分に持つ膜を得ることは困難であった。
一般にY系超電導体の中間層としては、上記のようにCeOが用いられているが、これは、CeO中間層がYBCO層との整合性がよく、かつYBCO層との反応性が小さいため最も優れた中間層の一つとして知られていることによる。このCeO中間層をMOD法で作製すると基板との熱膨張率との違い等の原因でクラックが入り、中間層としての機能を果たさない。CeOにGdを添加した固溶体をMOD法でNi基板上に成膜するとクラックの発生は抑えられるが、NiあるいはNi合金基板からの元素拡散を抑えることはできない。
また、Zr系の中間層も研究されており、基板からの元素拡散を防止する効果があることが報告されている。このZr系中間層を用いた線材に関しては、1MA/cmを超えるJcが得られることが一部の研究機関から報告されている。
特開2004−171841号公報 特開平4−329867号公報 特開平4−331795号公報 特開2002−202439号公報
上述にように、MODプロセスにおいて、中間層及び超電導層の全ての配向性を始めとする超電導侍性を決める要因の1つに基板表面の平滑性がある。中間層の配向は基板近傍からが始まるため、基板表面の平滑性を向上させることで、その上に形成される膜の特性が改善されるばかりでなく、中間層の膜厚も薄くできる。これまでは、テープ形状の面の表面研磨は機械的な研磨手法を使って行われることが多く、これによって基板表面の温度が上がり基板の配向性を損ねるという問題点があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、基板表面の平滑性を向上させ、その上に形成される中間層及び超電導層の配向性及び超電導特性に優れた希土類系テープ状酸化物超電導体及びその製造方法を提供することをその目的としている。
本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体及びその製造方法は、以上の問題を解決するためになされたもので、本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体の第1の態様は、基板上に、無機材料の中間層を形成し、この上に酸化物超電導層を設けた酸化物超電導体において、前記基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いるとともに、中間層として、CeO 膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)を用いるようにしたものである。
また、本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体の第2の態様は、基板上に、無機材料の中間層を形成し、この上に酸化物超電導層を設けた酸化物超電導体において、基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いるとともに、中間層として、Ce、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む中間層(A)及びこの中間層(A)上に積層したCeO 膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)を用いるようにしたものである。
本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体の第3の態様は、基板上に、無機材料の中間層を形成し、この上に酸化物超電導層を設けた酸化物超電導体において、基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いるとともに、基板上にCe、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む膜厚30nm〜300nmのMOD法により形成された中間層(A)、CeO 膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)及び超電導層を順次形成したものである。
また、本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体の製造方法は、(イ)NiまたはNi基合金あるいはCuまたはCu基合金テープに900〜1300℃の温度範囲で熱処理を施して2軸配向したテープを製造する工程と、(ロ)前記テープに連続的に電解研磨を施し、5nm以下の表面平滑性を有するテープ状の基板を製造する工程と、(ハ)前記基板上に、Ce、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む膜厚30nm〜300nmの中間層(A)及び/またはCeO膜またはCe―Gd−O膜からなる中間層(B)を、それぞれの中間層を構成する元素を、金属元素量で0.08〜0.5mol/l含むオクチル酸塩、ナフテン酸塩またはネオデカン酸塩の混合溶液の塗布後、熱処理を施すことにより形成する工程と、
(ニ)前記中間層(B)上に酸化物超電導層を形成する工程、
によって構成するようにしたものである。
本発明によれば、電解研磨による優れた表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いたことにより、この上に形成される中間層及び超電導層の配向性が向上し、その結果、超電導特性に優れた希土類系テープ状酸化物超電導体を得ることができる。
本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体は、基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用い、この上に1層または複数層の無機材料からなる中間層及び酸化物超電導層を順次設けたものであるが、この酸化物超電導層の上には、通常、金属性の安定化層が積層される。
上記の2軸配向した基板としては、Niまたはこれに1種類以上の元素を添加してなるNi基合金あるいはCuまたはこれに1種類以上の元素を添加してなるCu基合金を冷間圧延して所定の厚さにした後、熱処理を施したものが用いられるが、この場合の熱処理は900〜1300℃の温度範囲で、基板の表面酸化を防ぐために水素を含んだ不活性ガス雰囲気中で施される。この熱処理により、NiまたはNi基合金あるいはCuまたはCu基合金を高配向化させることができる。この熱処理は、連続方式でもバッチ方式のいずれをも採用することができる。
また、上記のNi基合金あるいはCu基合金は、NiまたはCuにW、Sn、Zn、Mo、Cr、V、TaまたはTiの中から選択されたいずれか1種以上の元素を添加した合金を用いることができ、この場合の添加元素量は、0.1〜15at%の範囲とすることが好ましい。この添加元素量が0.1at%未満であると、基板強度が弱く、その後のプロセスによって劣化を起こす恐れがあり、15at%を超えると、冷間圧延及び熱処理によって2軸配向性が得られにくいだけでなく、その後のプロセスによって添加元素が中間層中に拡散し、超電導特性を低下させる。
上記の熱処理を施したNiまたはNi基合金あるいはCuまたはCu基合金を電解研磨するプロセスは、基板表面の純水を用いた洗浄工程、乾燥工程、電解研磨工程、複数のステップからなる洗浄工程及び純水による最終すすぎ工程からなり、これらの工程は連続的に行われる。乾燥工程以外のそれぞれの工程は、適当な容積を持った水槽及びこの水槽中を連続的に線材を通過させるための線材保持機構を備え、必要に応じて水槽中の温度を一定に保持する温度制御機構と水素イオン濃度(pH)を一定に保持する制御機構を備える。
電解研磨工程は、上記のほかにテープ状の基板に所定の電流及び電圧を印加するための給電機構を備える。電解研磨に用いる電解液と印加電流及び電圧は、研磨対象材料、表面状態、電極の配置等によって適宜選択され、線材の移動速度も研磨条件(電流、電圧、電解液の温度及び電極の大きさと数等)によって適宜選択される。
電解研磨後の洗浄工程のステップ数は必要に応じて決定され、最終段の溶液の水素イオン濃度がpHで6.5〜7.5となるように洗浄することが望ましい。この洗浄工程の後に純水を使った最終すすぎ工程が続く。これらの工程を終了したテープ状基板は、電解研磨ラインの最終端に設置された巻取り機に巻き取られる。このとき、研磨表面を保護するために、必要に応じて紙あるいはプラスチックスペーサーを挿入することができる。
電解研磨後の基板には、必要に応じて後熱処理が施される。この後熱処理温度は、研磨後の水洗により除去しきれない残渣を除去し清浄表面を得るために行われ、700〜1000℃で基板の表面酸化を防ぐために水素を含んだ不活性ガス雰囲気中で施される。この後熱処理は、連続方式でもバッチ方式のいずれをも採用することができる。
中間層は、1層又は複数層構造に形成され、1層構造の場合には、CeO膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)が、また、2層構造の場合は、この中間層(B)と複合基板との間にCe、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む中間層(A)が形成される。
上記の中間層は、超電導層を気相法で成膜する場合で基板温度を低温に保持できる場合には1層構造が採用され、超電導層をMOD法やCVD法等の高温で成膜する場合には2層構造とすることが必要となる。
上記の中間層(A)は、MOD法、パルスレーザー蒸着法、スパッタ法またはCVD法のいずれの方法でも成膜することができるが、MOD法で形成する場合、中間層を構成する元素を含むオクチル酸塩、ナフテン酸塩またはネオデカン酸塩等の混合溶液の塗布の後、熱処理を施すことにより形成され、1種類あるいは2種類以上の有機溶媒に均一に溶解し、基板上に塗布できるものであれば、この例によって制約されるものではない。この混合溶液中の金属元素量は、0.08〜0.5mol/lとすることが好ましく、特に、0.1〜0.3mol/lであることが好ましい。この金属元素量が0.08mol/l未満であると1回の塗布及び熱処理で形成される酸化物膜が薄くなり、均一な中間層を形成することができず、また、0.5mol/lを超えると1回で形成される酸化物膜が厚くなり、表面平滑性を損ねるだけでなく、結晶性が低下する。
中間層(A)の膜厚は、塗布及び熱処理工程を繰り返す回数によってコントロールされるが、表面の平滑性を考慮すると3〜5回の塗布によって所望の厚さを得ることが有効である。また、膜厚は30nm〜300nmとすることが好ましい。塗布方法は、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法等が挙げられるが、基板に均一に膜形成できるものであれば、この例によって制約されるものではない。
中間層を2層構造に形成する場合、中間層(B)のCeOまたはCe―Gd−O膜は、上述した中間層(A)と同様にMOD法により、あるいはパルスレーザー蒸着法、スパッタ法またはCVD法のいずれの方法で成膜してもよく、Ce―Gd−O膜中のGd添加量は金属元素量で50at%以下が好ましい。Gd添加量が50at%を超えると、結晶系が変化し、この上にYBCO超電導膜を成膜した場合に、良好な配向性が得られない。この膜厚は50nm〜3μmとすることが好ましい。この理由は、膜厚が50nm未満では基板の元素拡散防止に対する効果が少なく、3μmを超えると膜にクラックが入る可能性があるためである。
上記の中間層(B)の上にYBCO超電導膜を成膜することにより、Jcが1MA/cm 以上のYBaCuO7−X超電導体を得ることができる。この成膜プロセスは、MOD法、パルスレーザ蒸着法、スパッタ法、CVD法のいずれの方法をも用いることができる。
MOD法によりYBCO超電導膜を成膜する場合の原料は、Y、Ba、Cuを所定のモル比で含む有機酸塩または有機金属化合物が用いられる。モル数はY:Ba:Cu=1:(2+a):(3+b)の比率で、0.01<a<0.3、0.01<b<0.5とする。この範囲以外のモル数にした場合、超電導層の生成が不可能あるいは多数の不純物が生成するなどの問題点が生じる。このMOD原料としては、例えば、各元素のオクチル酸塩、ナフテン酸塩またはネオデカン酸塩などが挙げられるが、1種類あるいは2種類以上の有機溶媒に均一に溶解し、基板上に塗布できるものであれば、この例によって制約されるものではない。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
図1は、本発明の希土類系テープ状酸化物超電導体のテープの軸方向に垂直な断面を示したもので、希土類系テープ状酸化物超電導体10は、冷間加工によりNi―W合金を所定の厚さに成形した後、900〜1300℃の温度で配向化熱処理を施して2軸配向させたテープを製造し、このテープに電解研磨を施して表面平滑性を5nm以下としたテープ状基板1の表面に、Ce―Zr―O膜からなる中間層2及びCe―Gd−O膜からなる中間層3を順次形成した後、その上に酸化物超電導層4を形成したものである。
以上の2軸配向させたテープの電解研磨プロセスを図2に示した。
図1に示す基板として、Ni―3at%W合金を冷間加工によって70μm厚×10mm幅の長さ100mのテープを製造し、これに1100℃の温度で配向化熱処理を施して2軸配向性を有するテープ状基板を製造した。このテープ状基板に、図2に示す洗浄槽、乾燥炉、電解液として希硫酸を用いた電解槽、4段の洗浄槽及び最終すすぎ槽により構成される連続研磨装置を用いて電解研磨を施した。その後にAr/H気流中で700℃で後熱処理を行った。この基板の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0004411265
また、比較例として、Ni―3at%W合金を用いて、粗圧延(ロール表面の鏡面仕上げなし)した状態の70μm厚×10mm幅の長さ100mのテープ及び仕上げ圧延(ロール表面の鏡面仕上げあり)した状態の70μm厚×10mm幅の長さ250mのテープを製造し、これらの基板の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定した。その結果を表1に示した。
以上の結果から明らかなように、電解研磨を施した基板は全長に亘って1.2nm以下の表面粗さを示し、優れた表面平滑性を有するのに対し、圧延状態の基板は、仕上げ圧延を施した基板でも9nm以上の表面粗さを示し、表面平滑性に劣る。
実施例2
実施例1の電解研磨を施したNi―3at%W合金からなるテープ状基板を用いて、この基板上に所定量の金属含有量のCe、Zrのオクチル酸溶液をディップコート法により塗布し、仮焼した後その表面粗さを実施例1と同様の方法により測定した。この膜上にCeOをパルス蒸着法で膜厚が200nmとなるように成膜した。次いで、このCeO膜上に超電導膜をMOD法で成膜した。超電導生成の熱処理は、750℃×2時間で施し、超電導膜の厚さは0.5μmであった。
以上のようにして製造した希土類系テープ状酸化物超電導体の液体窒素中でのJcを、Ce―Zr―O層の表面粗さ、金属含有量、塗布回数及び膜厚とともに表2に示す。
Figure 0004411265
また、比較例として、実施例1における粗圧延した状態のテープ(比較例d)、仕上げ圧延した状態のテープ(比較例e)及び上記の実施例2の電解研磨を施したテープの金属含有量、塗布回数及び膜厚を変えたもの(比較例f)について、実施例2と同様の方法により製造した希土類系テープ状酸化物超電導体のJcを、Ce―Zr―O層の表面粗さ、金属含有量、塗布回数及び膜厚とともに表2に示した。
以上の結果から明らかなように、中間層を構成する元素を含む混合溶液の金属元素量が0.5mol/l以下で塗布及び仮焼を行ったものは、1.0〜1.8MA/cmの高いJc値を示す。これに対して、粗圧延した状態のテープ(比較例d)、仕上げ圧延した状態のテープ(比較例e)及び中間層を構成する元素の金属元素量が0.5mol/lを超える混合溶液を塗布及び仮焼したものは、いずれも低いJc値を示した。
本発明による希土類系テープ状酸化物超電導体は、ケーブル、電力機器及び動力機器への利用が可能である。
本発明による希土類系テープ状酸化物超電導体の一実施例を示すテープの軸方向に垂直な断面図である。 本発明において基板の表面処理に用いられる電解研磨工程を示すフローチャートである。
1 テープ状基板
2 Ce―Zr―O膜からなる中間層
3 Ce―Gd−O膜からなる中間層
4 酸化物超電導層
10 希土類系テープ状酸化物超電導体

Claims (10)

  1. 基板上に、無機材料の中間層を形成し、この上に酸化物超電導層を設けた酸化物超電導体において、前記基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いるとともに、前記中間層として、CeO 膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)を用いたことを特徴とする希土類系テープ状酸化物超電導体。
  2. 基板上に、無機材料の中間層を形成し、この上に酸化物超電導層を設けた酸化物超電導体において、前記基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いるとともに、前記中間層として、Ce、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む中間層(A)及びこの中間層(A)上に積層したCeO 膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)を用いたことを特徴とする希土類系テープ状酸化物超電導体。
  3. 中間層は、MOD法、パルスレーザー蒸着法、スパッタ法またはCVD法のいずれかの方法により成膜された層からなることを特徴とする請求項1または2記載の希土類系テープ状酸化物超電導体
  4. 基板上に、無機材料の中間層を形成し、この上に酸化物超電導層を設けた酸化物超電導体において、前記基板として、電解研磨により5nm以下の表面平滑性を有する2軸配向した基板を用いるとともに、前記基板上にCe、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む膜厚30nm〜300nmのMOD法により形成された中間層(A)、CeO 膜またはこれにGdを所定量添加したCe―Gd−O膜からなる中間層(B)及び超電導層を順次形成したことを特徴とする希土類系テープ状酸化物超電導体。
  5. 2軸配向した基板は、NiまたはNi基合金あるいはCuまたはCu基合金である請求項1乃至4記載の希土類系テープ状酸化物超電導体。
  6. Ni基合金あるいはCu基合金は、NiまたはCuにW、Sn、Zn、Mo、Cr、V、TaまたはTiの中から選択されたいずれか1種以上の元素を添加した合金からなることを特徴とする請求項5項記載の希土類系テープ状酸化物超電導体。
  7. 2軸配向した基板は、900〜1300℃の温度範囲で熱処理が施されたものであることを特徴とする請求項5記載の希土類系テープ状酸化物超電導体。
  8. 添加元素量は、0.1〜15at%であることを特徴とする請求項6記載の希土類系テープ状酸化物超電導体。
  9. (イ)NiまたはNi基合金あるいはCuまたはCu基合金テープに900〜1300℃の温度範囲で熱処理を施して2軸配向したテープを製造する工程と、
    (ロ)前記テープに連続的に電解研磨を施し、5nm以下の表面平滑性を有するテープ状の基板を製造する工程と、
    (ハ)前記基板上に、Ce、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを含む膜厚30nm〜300nmの中間層(A)及び/またはCeO膜またはCe―Gd−O膜からなる中間層(B)を、それぞれの中間層を構成する元素を、金属元素量で0.08〜0.5mol/l含むオクチル酸塩、ナフテン酸塩またはネオデカン酸塩の混合溶液の塗布後、熱処理を施すことにより形成する工程と、
    (ニ)前記中間層(B)上に酸化物超電導層を形成する工程、
    とからなることを特徴とする希土類系テープ状酸化物超電導体の製造方法。
  10. 金属元素量は、0.1〜0.3mol/lであることを特徴とする請求項9記載の希土類系テープ状酸化物超電導体の製造方法。
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