JP2019125436A - 酸化物超電導線材 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面粗さが大きい基板を用いても中間層のMgO層を低コストで且つ作業効率良く高配向化して形成して、より高い超電導特性を有すること。【解決手段】基板と、基板上に形成される中間層と、中間層上に形成されるREBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された少なくとも1種以上の元素を示す)とを有するテープ状のRE系酸化物超電導線材であって、基板は、圧延されてなる表面粗さRaが3〜12[nm]である金属基板であり、中間層は、MgOからなる配向層と、基板と配向層との間でそれぞれに接して形成される酸化物下部層と、を有し、酸化物下部層の厚みは150〜400[nm]である。【選択図】図1

Description

本発明は、REBaCuO(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された1種以上の元素を示す)の元素から構成された超電導層を有するRE系の酸化物超電導線材に関する。
RE系の酸化物超電導線材は、従来のNbSn系等の合金系超電導体と比較して、臨界温度(Tc)が高く、液体窒素温度で使用できる。また、RE系の酸化物超電導線材は、高磁場領域における通電電流の減衰が小さく、磁場特性に優れている。よって、RE系の酸化物超電導線材は、液体ヘリウム温度近傍の低温で使用されている超電導機器(送電ケーブル、変圧器、モータ、電力貯蔵システム等)を高温状態で使用できる。RE系の酸化物超電導線材(以下、「酸化物超電導線材」という)は、REBCO線材又はYBCO線材と呼ばれることもある。
酸化物超電導線材は、結晶のCu面を揃えるだけでなく、結晶の面内の結晶方位も揃えることが要求される。この要求を実現するために酸化物超電導線材においては、Ni合金からなる金属基板の上に、面内配向度と方位を向上、具体的には2軸配向性を向上させた中間層を形成し、この中間層の結晶格子をテンプレートとして用いている。すなわち、このテンプレート上にREBaCuO超電導層を形成することによって、REBaCuO超電導層の結晶の面内配向度と方位を向上させている。
中間層を高配向化させる材料として、例えば、特許文献1に示すように、超電導層と格子定数が近似するMgOを用いることが一般的である。
MgOは、一般的には、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法により、テープ状の基板真上または数層の中間層を成膜した上に、MgO蒸着と同時にイオンビームをMgO上に照射することにより高配向のMgOの中間層を形成している。このMgO層上に、超電導層との反応性が小さく且つ高配向性を有するCeOを積層し、このCeO上に超電導層を形成することで酸化物超電導線材を製造している。
特開2012−072445号公報
ところで、RE系の酸化物超電導線材は、配向された基板を用いる、いわゆる基板配向型の超電導線材であるので、高い2軸配向性を得るために、金属基板として、強圧延したNi合金が用いられている。強圧延した金属基板は、表面が粗くなり、それが超電導特性の低下を招くので、基板表面の平滑化を向上させるために、強圧延した基板に対して、機械研磨、電解研磨等の平滑化処理が施されている。
上述したMgOの中間層は、例えば、非常に薄い膜厚(例えば、5[nm]程度の薄膜)で良好な配向膜として機能することが知られており、このような非常に薄い膜厚のMgO層を成膜するために、成膜対象となる金属基板には、表面粗さRa<2[nm]となるように、平滑化処理が施されている。
しかしながら、この平滑化処理により、酸化物超電導線材自体の作製の加工コストは高騰化し、生産効率も低下する。
よって、近年では、高配向化が図られたMgO層を中間層に有する酸化物超電導線材の作製において、コストの低廉化及び生産効率の向上が望まれている。
本発明の目的は、表面粗さが大きい基板を用いても中間層のMgO層を低コストで且つ作業効率良く高配向化して形成して、より高い超電導特性を有する酸化物超電導線材を製造できる酸化物超電導線材を提供することである。
本発明の酸化物超電導線材の一つの態様は、
基板と、前記基板上に形成される中間層と、前記中間層上に形成されるREBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された少なくとも1種以上の元素を示す)とを有するテープ状のRE系酸化物超電導線材であって、
前記基板は、圧延されてなる表面粗さRaが3〜12[nm]である金属基板であり、
前記中間層は、
MgOからなる配向層と、
前記基板と前記配向層との間でそれぞれに接して形成される酸化物下部層と、
を有し、
前記酸化物下部層の厚みは150〜400[nm]である構成を採る。
本発明によれば、表面粗さが大きい基板を用いても中間層のMgO層を低コストで且つ作業効率良く高配向化して形成して、より高い超電導特性を有する酸化物超電導線材を製造できる。
本発明の実施の形態に係る酸化物超電導線材の構成を示す図 本発明の実施の形態に係る酸化物超電導線材の構成の一例を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、実施の形態に係るRE系の酸化物超電導線材100の構成を示す。酸化物超電導線材100は、テープ状であり、テープ状の基板10上に、中間層20、超電導層(REBCO超電導層)30、及び、安定化層40が、順に積層されている。
基板10は、Ni、SUS(ステンレス鋼)、Ag、Cu又はCu合金等の金属基板である。また、基板10は、NiまたはCuにW、Sn、Zn、Mo、Cr、V、TaまたはTiの中から選択されたいずれか1種以上の元素を添加した合金を用いることもできる。この場合の添加元素量は、形成する超電導層30の好適な超電導特性を確保するために1〜10[at%]の範囲とすることが好ましい。ここでは、基板10としてハステロイ(登録商標)テープが適用されているが、インコネル(登録商標)でもよい。
例えば、基板10が圧延により配向された、Ni−W等のNi合金からなる金属基板である場合、圧延加工時の圧下率や圧延パス回数、及び、次に施される熱処理時の処理温度によって、配向性が決まる。基板10の厚さは、例えば、15〜200[μm]であり、好ましくは30〜200[μm]である。ここで、基板10は圧延加工が施されるため、基板表面は凹凸面10aとなる。凹凸面10aの表面粗さRaは、2[nm]より大きく(Ra>2)、3〜12[nm]程度(3≦Ra≦12[nm])である。なお、表面粗さRaを3[nm]より小さくするには、圧延加工した基板10に対して電解研磨或いは機械研磨を施すことで可能となる。また、表面粗さ(Ra:nm)は、例えば、原子間力顕微鏡(AMF)観察により測定できる。
中間層20は、MgOからなるMgO配向層(図2では第3中間層であり、「配向層」に相当する)23と、表面(上面)にMgO配向層23が成膜され、且つ、基板10上に接して設けられる酸化物下部層20aと、MgO配向層23上に成膜され、超電導層30が成膜される配向層上部層20bと、を有する。
中間層20は、少なくともMgO配向層23及び酸化物下部層20aを有した2層以上で形成される。
MgO配向層23は、本実施の形態では、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法で成膜される層である。IBAD法は、基板に対して斜め方向からイオンを照射しつつ、基板10上の酸化物下部層20a上に、ターゲットから発生した粒子を体積させる(ここではMgO層を成膜する)方法である。MgO配向層23は、例えば、IBAD法により、5[nm]程度の高配向化が図られた薄膜として成膜できる。なお、MgOからなるMgO配向層23の厚み(膜厚)は、3〜20[nm]であり、より好ましくは、5〜10[nm]である。
酸化物下部層20aは、MgO配向層23が成膜される成膜対象面を、基板10の凹凸面10aの表面粗さRaが現れることなく平滑化させるためのものである。酸化物下部層20aは、MgO配向層23が成膜される表面(上面)として、基板10の凹凸面10aの表面粗さRaが現れず平滑化された表面を有する。これにより、酸化物下部層20a上に成膜されるMgO配向層23を高配向(2軸高配向)で成膜させることができる。酸化物下部層20aは、1つの層或いは2層以上の層で構成される。
本実施の形態では、中間層20は、図2に示すように、基板10上に、第1中間層21、第2中間層22、MgO配向層23としての第3中間層、第4中間層24、及び、第5中間層25を順次積層することで構成された5層構造である。
中間層20は、MgO配向層23を第3中間層とし、酸化物下部層20aを第1中間層21及び第2中間層22で構成している。加えて、中間層20では、第3中間層(MgO配向層23)上の配向層上部層20bを、第4中間層24及び第5中間層25で構成するものとする。
中間層20において最上層である第5中間層25は超電導層30直下の層となり、超電導層30の下地層として機能する。
また、配向層上部層20bは、MgO配向層23と超電導層30との間に形成され、MgO配向層23と超電導層30との反応を防止する反応防止層としても機能する。
酸化物下部層20aを構成する第1中間層21及び第2中間層22は、Al層及びLaMnO層(「第1LaMnO層」とも称する)であり、MgO配向層23としての第3中間層上の第4中間層24はLaMnO層(「第2LaMnO層」とも称する)、第5中間層25はCeO層としている。
第1中間層21としてのAl層は、基板10上に接してスパッタリング法で成膜される。なお、第1中間層21は、Alに代えて、ReZrO(Re=Tb、Y、Eu、Gd、Ho、Yb、Lu、Nd、Tm、La、Sm、Dy、Er、Ce、Prからなる群から選ばれる一種又は二種以上の希土類元素)等で、RF−スパッタリング法、MOD法などで成膜してもよい。この第1中間層21としてのAl層は、基板10からの元素の拡散を抑制する拡散防止層として機能する。第1中間層21としてのAl層の厚み(膜厚)は120〜350[nm]である。
第2中間層22は、非晶質であることが好ましく、ここでは、第2中間層22は、非晶質のLaMnOを、Al層上に成膜することで構成されている。第2中間層22としての第1LaMnO層の厚み(膜厚)は、好ましくは、30〜100[nm]である。
第1LaMnO層の厚み(膜厚)が30[nm]より薄くなるにつれて、膜の連続性が悪くなり十分な配向性を得にくくなる。また、第1LaMnO層の厚みが100[nm]より厚くなると、直下の層である第1中間層としてのAl層からの剥離が生ずることとなり、第1LaMnO層上に接して積層されるMgO配向層23の配向性を阻害する。
第2中間層22は、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法等のスパッタリング法により第1中間層21上に成膜される。スパッタリング法で成膜される第2中間層22の成膜温度は、例えば、150[℃]以下の範囲(0[℃]より大きく150[℃]以下の範囲)内とすることが好ましい。これは、LaMnOの成膜温度を、150[℃]以下とすると、LaMnOは非晶質となり、積層されるMgO配向層23としての第3中間層の配向化を阻害することがなくなるからである。すなわち、第2中間層22を非晶質で成膜した後、第3中間層であるMgO配向層23の成膜時或いはMgO層の上の第2LaMnO層の成膜時等において、これらを150[℃]より高い温度で成膜することによって、MgO層の下層の第1LaMnO層も加熱されて結晶化するので、MgO層の配向化を阻害することがない。
本実施の形態では、MgO配向層23と基板10との間で、MgO層と基板10にそれぞれ接して形成される酸化物下部層20aの厚みは、150〜400[nm]である。
酸化物下部層20aの厚みが、150[nm]より薄い場合では、基板10における凹凸面10aの表面粗さRaが2より大きい場合、具体的には表面粗さRaが3〜12[nm]である場合に、凹凸面10aと同様の形状の面がMgO配向層23を成膜する表面として現れてしまう。これにより、MgO配向層23が成膜される表面における平滑化の効果をあまり得ることができない。つまり、酸化物下部層20a上でMgO配向層23として成膜されるMgO層は、平滑されていない面に成膜されることになり、REBCO層が成膜される中間層20全体としても平滑化されず、超電導特性の低下を抑制できない。MgO配向層23を5[nm]程度で成膜しても高配向化を得にくくなる。
また、酸化物下部層20aの厚みが400[nm]より大きくなると基板10或いは、酸化物下部層20aを構成する層である第1中間層としてのAl層からの剥離が生じることとなる。
酸化物下部層20aにおけるAl層の厚みは120〜350[nm]であり、第1LaMnO層の厚みは30〜100[nm]であるので、これらの合計の厚み(膜厚)としては150〜450[nm]となるが、これらAl層と第1LaMnO層の厚みの合計は、厚み150〜400[nm]の範囲を満たすように、つまり、合計で400[nm]を超えないように構成される。
この第2中間層22としての第1LaMnO層上には、MgO配向層23としての第3中間層が接して積層される。
第3中間層としてのMgO配向層23上には、第4中間層24としての第2LaMnO層がスパッタリング法で成膜されている。本実施の形態では、MgO配向層23は、上下でLaMnO層にそれぞれ接して挟まれた状態で設けられている。
第4中間層24としての第2LaMnO層は、RFスパッタ法或いはイオンビームスパッタ法等のスパッタリング法により基板10上に成膜される。スパッタリング法で成膜される第4中間層24の成膜温度は、150[℃]より高い温度、例えば、800[℃]である。第4中間層24としての第2LaMnO層は、第2中間層22としての第1LaMnO層との合計の厚みが40[nm]以上となるように成膜されることが好ましい。
第1LaMnO層と第2LaMnO層との合計の厚みが40[nm]より小さくなると十分な配向性を得にくくなる。
また、第4中間層24としての第2LaMnO層の厚み(膜厚)は、第2中間層22としての第1LaMnO層の厚み(膜厚)よりも薄い。なお、第4中間層24としての第2LaMnO層の厚みは、10〜15[nm]であることが好ましい。
第4中間層24としての第2LaMnO層上には、超電導層30としてのREBCO層の直下に配置される層として、第5中間層25としてのCeO層が積層されている。
第5中間層25としてのCeO層は、第4中間層24としての第2LaMnO層上に、スパッタリング法で成膜される。第5中間層25は、超電導層30としてのREBCO超電導層との整合性がよく、且つ、REBCO超電導層との反応性が小さいため、最も優れた中間層の一つとして知られている。
なお、この第5中間層25としてのCeO層は、スパッタリング法に代えてPLD(Pulsed Laser Deposition:パルスレーザ蒸着法)法で、第4中間層24としての第2LaMnO層上に成膜されてもよい。また、第5中間層25としてのCeO層は、CeOにGdを所定量添加したCe−Gd−O膜、又はCeの一部が他の金属原子又は金属イオンで一部置換されたCe−M−O系酸化物からなる膜であってもよい。CeOにGdを添加すると、クラックの発生を抑制できるものの、基板10からの元素拡散を抑制できなくなるといった問題が生じる。しかしながら、本実施の形態では、第1中間層21としてのAl層で基板10からの元素拡散を抑制できるので、基板10に接して形成される第1中間層21としてのAl層より上の層である第5中間層25としてのCeO層にGdを添加した材料を用いることができるようになっている。
この第5中間層25としてのCeO層上には、超電導層(図2では「REBCO」で示す)30が積層されている。
超電導層30は、本実施の形態では、REBCO超電導層であり、ここでは、イットリウム系酸化物超電導体(RE123)により構成されている。この超電導層は、全軸配向REBCO層、つまり、REBaCu系(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された1種以上の元素を示し、y≦2及びz=6.2〜7である。)の高温超電導薄膜の層である。超電導層30としてのREBCO超電導層は、ここでは、MOD法(Metal Organic Deposition Processes:有機酸塩堆積法)によりCeO層上に成膜されている。
なお、MOD法は、基板上の金属有機酸塩を加熱して熱分解することで基板上に超電導層としての薄膜を形成する方法である。具体的には、MOD法では、まず、金属成分の有機化合物が均一に溶解された原料溶液を基板(本実施の形態では中間層20が成膜された基板10)上に塗布する。次いで、溶液を塗布した基板に仮焼成熱処理を施してアモルファス状の前駆体を形成し、その後、結晶化熱処理(本焼成熱処理)を施すことで前駆体を結晶化させて酸化物超電導体を形成する。
REBCO超電導層は、以下のような原料溶液(a)〜(d)を混ぜ合わせた混合溶液を用いてMOD法により形成される。
(a)REを含む有機金属錯体溶液:REを含むトリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、レブリン酸塩、ネオデカン酸塩のいずれか1種以上を含む溶液。特に、Reを含むトリフルオロ酢酸塩溶液
(b)Baを含む有機金属錯体溶液:Baを含むトリフルオロ酢酸塩の溶液
(c)Cuを含む有機金属錯体溶液:Cuを含むナフテン酸塩、オクチル酸塩、レブリン酸塩、ネオデカン酸塩のいずれか1種以上を含む溶液
(d)Baと親和性の大きい金属を含む有機金属錯体溶液:Zr、Ce、Sn又はTiから選択された少なくとも1種以上の金属を含むトリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、レブリン酸塩、ネオデカン酸塩のいずれか1種以上を含む溶液
超電導層30は、上記原料溶液(a)〜(d)の混合溶液を中間層20上(図2では、第5中間層25としてのCeO層上)に塗布した後、例えば、水蒸気分圧3〜76[Torr]、酸素分圧300〜760[Torr]の雰囲気中で400〜500[℃]の温度範囲で仮焼する。仮焼されてなる混合溶液のアモルファスを、仮焼の後、例えば、水蒸気分圧30〜100[Torr]、酸素分圧0.05〜1[Torr]の雰囲気中で700〜800[℃]の温度範囲で本焼することで超電導層30としてのREBCO超電導層が形成される。
ここでは、MOD法により超電導層を形成した構成としたが、これに限らず、例えばPLD法、CVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)等により形成してもよい。
超電導層30の上には、安定化層40としてのAg層が積層されている。なお、安定化層40は、ここでは、銀(Ag)により構成しているが、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属、あるいはそれらの合金であり低抵抗の金属であってもよい。この安定化層40は、超電導層30としてのREBCO超電導層の直上に形成することによって、REBCO超電導層が金、銀などの貴金属、あるいはそれらの合金以外の材料と直接的な接触によって反応によって引き起こす性能低下を防止する。これに加えて、安定化層40は、事故電流や交流通電により発生した熱を分散して発熱による破壊・性能低下を防止する。安定化層の厚みはここでは10〜30[μm]である。
以上の構成によれば、以下のような顕著な効果を得ることができる。
酸化物超電導線材100では、圧延してなり、表面粗さRaが3〜12[nm]であり、電解研磨されていない金属基板としての基板10と、超電導層30との間の中間層20において、MgO配向層23と基板10との間で、MgO配向層23と基板10に接して設けられ、厚みが150〜400[nm]の酸化物下部層20aとを有する。
これにより、基板10の表面粗さRaが3〜12[nm]であっても、MgO配向層23が形成される酸化物下部層20aの上面は、厚みが150〜400[nm]の酸化物下部層20aにより平滑化される。これにより、酸化物下部層23a上に形成されるMgO配向層23は、MgO配向層23における2軸配向性が向上され、つまり、高配向化される。このMgO配向層23の2軸配向性の向上に伴い、このMgO配向層23の上方に形成される超電導層30は、表面粗さRaが3〜12[nm]の凹凸面(凹凸のある表面)10aを有する電解研磨されていない基板10上に成膜される構成であっても、電解研磨が施されて表面粗さRa<2[nm]とした基板10上に成膜した酸化物超電導線材と同様の超電導特性(臨界電流値Ic及び臨界電流密度Jc)を得ることができる。
また、本実施の形態では、超電導層30が形成される中間層20において、酸化物下部層20aとして、表面粗さRaが3〜12[nm]の凹凸面10aを有する電解研磨されていない基板10上に接して形成された厚み120〜350[nm]のAl層と、Al層上に形成された第1LaMnO層とを有する。加えて、第1LaMnO層上にMgO配向層23が形成され、MgO配向層23上に、第2LaMnO層、CeO層が順に積層して形成されている。第1LaMnO層と第2LaMnO層との厚みの合計は、40[nm]以上である。
これにより、表面粗さRaが3〜12[nm]の電解研磨されていない基板10であっても、MgO配向層を、IBAD法により5[nm]の程度の薄さで高配向膜として成膜することができる。
本実施の形態では、酸化物超電導線材の中間層において基板上の層(Al層及び第1LaMnO層)の厚みを調整することにより、基板10としてのハステロイの表面粗さRaが荒くても、表面粗さRa<2である電解研磨された基板10と同等の超電導特性を有する。
電解研磨などの平滑化処理を行った基板10の上にMgO配向層23を成膜した際のMgO配向層23が成膜される酸化物下部層20a(第1LaMnO層)のRa値と略同等となるだけでなく、臨界電流特性も略同等となる。
したがって、基板10を、基板10に電解研磨を施すことなく用いても、圧延により配向された基板10の表面粗さに起因する超電導特性の低下を容易に抑制して好適な超電導特性を有することができ、かつ、生産効率の良い、RE系酸化物超電導線材を得ることができる。すなわち、表面粗さが大きい基板を用いても中間層のMgOからなる配向層を低コストで且つ作業効率良く高配向化して形成して、より高い超電導特性を有する酸化物超電導線材100を製造できる。
なお、酸化物超電導線材100において、まず、基板は、厚さが30〜200[nm]であり、かつ、表面粗さRaが3〜12[nm]であり圧延されてなる金属基板10である。酸化物超電導線材100の製造方法は、金属基板10上に中間層20を形成する中間層形成ステップと、中間層20上に、REBaCuO系超電導層(図では「REBCO」層)を形成する超電導層形成ステップと、を備える。中間層形成ステップは、基板10上に接してAl層を成膜し、Al層上に接して第1LaMnO層を成膜する第1ステップと、第1LaMnO層上に接してMgO配向層(MgO層)23を形成する第2ステップとを有する。第1ステップは、Al層と第1LaMnO層とを合計の厚みを150〜400[nm]で成膜し、第2ステップは、MgO層を厚み10〜100[nm]で成膜する。
[他の実施の形態]
なお、上述の実施の形態では、主に、中間層20をAl層、第1LaMnO層、MgO配向層23、第2LaMnO層、CeO層の第1中間層21〜第5中間層25から構成された5層構造とした場合について述べた。これに限らず、基板10と超電導層(REBCO超電導層)30の間に中間層20を有する超電導線材100において、第2LaMnO層及びCeO層により構成される、MgO配向層23上の配向層上部層20bを、別の材料で構成したり、また、1層にしたり、3層以上で構成してもよい。
また、本実施の形態では、第1LaMnO層上に、第1LaMnO層に接してMgO配向層23が形成されているので、MgO配向層では、2軸配向性が向上する。これにより、MgO配向層23上方に成膜されるCeO層を高配向化できる。これに伴い、超電導層30としてのREBCO超電導層の超電導特性、つまり、酸化物超電導線材100の超電導特性の向上を一層図ることができる。
また、超電導層30としてのREBCO超電導層は、Zrを含む50[nm]以下の酸化物粒子を磁束ピンニング点として分散させた有機金属錯体溶液を塗布後に、焼成して作製してもよい。このようにすることで、磁場印加角度依存性に優れたRE系の酸化物超電導線材を得ることができる。ここで、磁束ピンニング点については、公知の技術なので、ここでの説明は省略する。
以下、本発明の実施例について参照して説明する。
[実験結果]
表1に、実験結果を示す。
Figure 2019125436
表1は、本発明のRE系の酸化物超電導線材によって、基板10の凹凸がどの程度吸収され、臨界電流特性がどの程度向上するかを調べた実験結果である。
表1に示す各実施例は、Ra=5[nm]のハステロイ(登録商標)基板(基板10)上に、膜厚(厚み)を150〜400[nm]とした酸化物下部層20a、IBAD法による膜厚5[nm]のMgO配向層23、配向層上部層20bを順に成膜し、この膜上にMOD法でYBCO超電導層30を膜厚1.5[μm]で成膜した。
酸化物下部層20aとしては、基板10上にRFスパッタにより第1中間層21としてのAl層と、RFスパッタにより第2中間層22としての第1LaMnO層とを成膜した。配向層上部層20bとしては、MgO配向層23上に、RFスパッタにより第4中間層としての第2LaMnO層と、第5中間層としてのCeO層とを順に成膜した。酸化物下部層20aにおけるAl層と、第1LaMnO層の膜厚を適宜変更して、実施例1〜3の超電導線材とした。これらの結果、各実施例では、以下の表1に示すような超電導特性(臨界電流値であり「YBCO成膜結果Ic」で示す)[A/cm−width]の酸化物超電導線材を得た。
まず、表1の比較例1から明らかなように、酸化物超電導線材の中間層において、中間層が成膜される金属基板の表面粗さRaが3〜12[nm]の間の5[nm]であっても、実施例1〜3のように酸化物下部層20a(第1中間層21+第2中間層22)の膜厚が150〜400[nm]であれば、高い超電導特性を有することが判った。
実施例1と、参考例1及び参考例4とを比較すると、酸化物下部層20a(第1中間層21+第2中間層22)の膜厚が150〜400[nm]であっても、Alの膜厚が120〜350[nm]の範囲外であると超電導特性が低くなることが判った。
実施例1と、参考例2及び参考例3とを比較すると、酸化物下部層20a(第1中間層21+第2中間層22)の膜厚が150〜400[nm]であっても、第1LaMnO層の膜厚が30〜100[nm]の範囲外であると超電導特性が低くなることが判った。
本発明にかかるRE系の酸化物超電導線材は、超電導マグネット、超電導ケーブル及び電力機器等に有用である。
10 基板
10a 凹凸面
20 中間層
20a 酸化物下部層
20b 配向層上部層
21 第1中間層
22 第2中間層
23 MgO配向層
24 第4中間層
25 第5中間層
30 超電導層
40 安定化層
100 酸化物超電導線材

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板上に形成される中間層と、前記中間層上に形成されるREBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された少なくとも1種以上の元素を示す)とを有するテープ状のRE系酸化物超電導線材であって、
    前記基板は、圧延されてなる表面粗さRaが3〜12[nm]である金属基板であり、
    前記中間層は、
    MgOからなる配向層と、
    前記基板と前記配向層との間でそれぞれに接して形成される酸化物下部層と、
    を有し、
    前記酸化物下部層の厚みは150〜400[nm]である、
    酸化物超電導線材。
  2. 前記酸化物下部層は、
    前記基板上に接して形成され、AlからなるAl層を有し、
    前記Al層の厚みは、120〜350[nm]である、
    請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記酸化物下部層は、
    前記Al層と前記配向層との間で前記Al層及び前記配向層のそれぞれに接して形成され、LaMnOからなる第1LaMnO層を有し、
    前記中間層は、
    前記配向層の上に接して形成され、LaMnOからなる第2LaMnO層を有し、
    前記第1LaMnO層と、前記第2LaMnO層との厚みの合計は、40[nm]以上である、
    請求項2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記第2LaMnO層の厚さは、前記第1LaMnO層よりも薄い、
    請求項3に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記配向層の厚みは、3〜20[nm]であり、
    前記第1LaMnO層の厚みは、30[nm]〜100[nm]である、
    請求項4に記載の酸化物超電導線材。
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