JP2012094388A - 酸化物超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁場印加環境下において、あらゆる磁場印加角度方向に対しても、有効に磁束をピンニングでき、高い超電導特性を確保すること。
【解決手段】酸化物超電導線材は、金属基板と、金属基板上に形成された中間層と、中間層上に形成されたREBaCuO系超電導層と、を備える。REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素からなる。超電導層中には、Zrを含む酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散されており、超電導層中に含まれるBaのモル比yは、Zrのモル比をxとした場合、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2である構成を採る。
【選択図】図4

Description

本発明は、超電導マグネット、超電導ケーブル、限流器、発電機、モータ、変圧器等の超電導応用機器に有用な酸化物超電導線材及びその製造方法に関し、特に、超電導マグネット等の磁場下で使用する超電導応用機器に利用可能な酸化物超電導線材及びその製造方法に関する。
酸化物超電導体は、従来のNbSnやNbAl等の金属系超電導体と比較して臨界温度(Tc)が高く、送電ケーブル、変圧器、モーター等の超電導応用機器を液体窒素温度で運用できる。このため、その線材化の研究が精力的に行われている。
酸化物超電導体を上記の分野に適用するためには、臨界電流密度(Jc)が高く、かつ高い臨界電流値(Ic)を有する長尺の線材を製造する必要がある。一方、長尺の線材を得るためには、強度及び可撓性の観点から金属基体上に酸化物超電導体を形成する必要がある。また、従来の金属系超電導体と同等に実用レベルで使用可能とするためには、500A/cm−width(77K、自己磁界中)程度のIc値が必要である。
酸化物超電導体のうち、REBaCu(ここで、z=6.2〜7であり、REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された少なくとも1種以上の元素を示す。以下、「REBCO」、単にRE系という)酸化物超電導体は、高磁場領域における通電電流の減衰が小さく、磁場特性に優れていることから、次世代の超電導材料としてその線材化が期待されている。
このREBCO酸化物超電導体を有する酸化物超電導線材(以下、「超電導線材」という)の製造方法としてMOD(Metal Organic Deposition)法が知られている。
MOD法は、先ず、酸化物中間層が形成されたテープ状の基材を、超電導原料溶液(有機金属塩を有機溶媒に溶解させたもの)に浸し、この基材を超電導原料溶液から引き上げて基材の表面に超電導膜を付着させる。その後、仮焼及び本焼を行うことにより、酸化物超電導体を形成する。MOD法は、非真空中でも長尺の基材に連続的に酸化物超電導体を形成できるので、PLD(Pulsed Laser Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相法よりも、プロセスが簡単で低コスト化が可能であることから、注目されている。
このMOD法では、フッ素を含む有機酸塩(例えば、TFA塩)を出発原料とし、水蒸気雰囲気中の水蒸気分圧の制御下で熱処理を行うことでフッ化物の分解を経由して超電導体を形成するTFA−MOD(Trifluoro Acetate Metal Organic Deposition)法が知られている。
このように製造された超電導線材を超電導マグネット等のような印加磁場環境下で使用する場合、超電導線材は、あらゆる磁場印加角度に対して高い超電導特性(臨界電流密度Jc[MA/cm]、臨界電流Ic[A/cm−width])を有することが望まれる。
例えば、超電導線材によりソレノイドコイルを形成した場合に、コイルの両端部において基板面(超電導面)に対して、Jcが低下する角度で磁場が加わるため、コイルはJcの磁場印加角度依存性(Jc,min)の値によって設計されることになる。このことは、高磁場下で使用される超電導変圧器や超電導電力貯蔵装置(Superconducting Magnetic Energy Storage:SMES)、超電導フライホイール電力貯蔵装置等への電力機器への応用に対して大きな問題となる。
また、超電導線材の超電導体は印加磁場の増加に伴い超電導体内に侵入する量子化磁束の密度が増え、それらが運動して超電導状態が壊れることによりJcが低下する。
さらに、超電導体は、結晶構造に起因して、超電導体に対して、a軸方向に磁場を加えた際のJcよりもc軸方向に磁場印加時のJcが低いという本質的な特性を有する。
そこで、本出願人を構成する出願人は、TFA−MOD法において、超電導体内における量子化磁束の移動を妨げるために、あらゆる磁場方向にも有効なナノサイズの3次元磁束ピンニング点を、超電導体内に導入することにより対応する方法を先に出願している(特許文献1参照)。
この特許文献1では、TFA−MOD法において仮焼膜を形成する際に使用する超電導原料溶液中に、超電導体と反応しない元素からなるZr等の有機金属塩を添加する。そして、本焼工程における反応熱処理の過程において、超電導体を構成するBaと反応させ、超電導薄膜中に非超電導物質であるBaZrO(BZO)の微粒子を磁束ピンニング点として均一分散させている。
特開2009−164010号公報
特許文献1では、Zr等の有機金属塩をBaと反応させて、超電導層に磁束ピンニング点を形成することによって、超電導層におけるJcの磁場印加角度依存性(Jc,min/Jc,max)を向上させている。
これを踏まえて、特許文献1の超電導線材よりも、更に一層、Jcの磁場印加角度依存性(Jc,min/Jc,max)の向上が図られた超電導層を有して高磁場でも好適に使用できる超電導線材の実現が望まれている。
よって、超電導原料溶液中に、Zr塩等の有機金属塩を更に添加して超電導層中のピンニング点を増加して、更に、Jcの磁場印加角度依存性(Jc,min/Jc,max)の向上を図ることが考えられる。
しかしながら、超電導原料溶液中へのZr塩等の有機金属塩の添加を増加していくと、形成される超電導層における超電導特性(Jc、Ic)に劣化が生じることが判った。
この原因について、本発明の発明者らは、添加されたZr塩などの有機金属塩がBaと反応するため、REBCO系超電導体を形成するのに必要なBaモル比が低下して、超電導層となる超電導薄膜中の超電導体体積分率が低下すると考えた。この結果、出来上がった超電導体のIcが所望の超電導特性を得られずに低下すると思われる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、磁場印加環境下において、あらゆる磁場印加角度方向に対しても、有効に磁束をピンニングでき、高い超電導特性を確保できる酸化物超電導線材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の酸化物超電導線材の態様は、基板と、前記基板上に形成された中間層と、前記中間層上に形成されたREBaCu系超電導層と、前記超電導層上に形成された安定化層と、を備え、前記REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素からなる、酸化物超電導線材であって、前記超電導層中には、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも一つの添加元素を含む酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散されており、前記超電導層中に含まれる前記Baのモル比yは、前記添加元素のモル比をxとした場合、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2である構成を採る。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法の態様は、基板上に形成された中間層上に超電導原料溶液を塗布した後、熱処理を施すことにより形成され、前記添加元素を含む酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散されたREBaCu系超電導層を有する酸化物超電導線材の製造方法であって、前記超電導原料溶液は、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素からなるREと、Baと、Cuと、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも一つの添加元素と、を含み、前記超電導原料溶液に含まれる前記添加元素のモル比をxとした場合、前記超電導原料溶液に含まれる前記Baのモル比yは、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2であるようにした。
本発明によれば、磁場印加環境下において、あらゆる磁場印加角度方向に対しても、有効に磁束をピンニングして高い超電導特性を確保できる。
RE系超電導体の定比組成におけるBaの比と超電導特性(Jc、Ic)との関係を示す図 、77K、1TにおいてZrの添加量に応じた超電導層の磁場印加角度依存性を示す図 Zrの添加量に応じた磁場印加角度依存性を示す図 本発明の一実施の形態に係る超電導線材の構造を示す概略断面図 本発明の一実施の形態に係る超電導線材の他の例の層構造を示す図 本発明により製造された実施例1の超電導層に垂直な断面におけるTEM画像および同断面の材料マッピング画像を示す図 本発明により製造された実施例2の超電導層に垂直な断面におけるTEM画像および同断面の材料マッピング画像を示す図 本発明により製造された実施例3の超電導層に垂直な断面におけるTEM画像および同断面の材料マッピング画像を示す図
本発明の発明者らは、TFA−MOD法を用いた従来の超電導線材の製造方法(特許文献1参照)について詳細に検討した。
このTFA−MOD法では、図1に示すように、Baの組成は、RE系超電導体(REBCO)の化学量論組成(モル比がY:Ba:Cu=1:2:3)である場合の2より0.5程度少なくしたモル比Y:Ba:Cu=1:1.5:3の超電導原料溶液で作製した超電導薄膜において最も高いJcを示す。
この超電導原料溶液に、Zr塩等の有機金属塩を更に添加することによって、Zr塩などを有する酸化物粒子からなる磁束ピンニング点を超電導体中に均一分散させて磁場特性を改善しようとした場合、形成される超電導体における超電導特性(Jc、Ic)に劣化が生じることが判った。
この原因について、本発明の発明者らは、添加されたZr塩などの有機金属塩がBaと反応するため、REBCO系超電導体を形成するのに必要なBaモル比が低下してしまい、薄膜中の超電導体体積分率が低下し、この結果、出来上がった超電導体のIcが所望の超電導特性が得られず低下すると考えた。
これにより、発明者らは、Zr塩などの有機金属塩を単に超電導体内へ添加し分散するのみでなく、有機金属塩の添加量の増加に伴い、RE系超電導体(YBCO)形成に不足するBaをあらかじめ補う事によってRE系超電導体(YBCO)における自己磁場でのJc特性維持、磁場中特性も改善されると考え、本発明に至った。
図2は、77K、1TにおいてZrの添加量に応じた超電導体の磁場印加角度依存性を示す図であり、G1は、Zrを添加していない状態を示し、G2はZrを1wt%添加した状態を示し、G3は、Zrを3wt%添加してBaの量を補正した状態を示す。また、図3は、Zrを3wt%添加とBa量の補正との関係を示し、「●」は超電導原料溶液中のZr濃度を所定の濃度にし、且つ、Ba量を補正した場合のJcを示し、「■」はZrを超電導原料溶液に単純に添加した場合のJcを示す。
図2におけるG1とG2に示すように、超電導体とは反応しない元素からなる有機金属塩としてZr塩を1wt%添加した際には、Jcは向上する。しかしながら、図3に示すように、Zrの濃度を10mMOLから30mMOLに単純に増やすのみでは、Zr濃度30mMOL上の「■」で示すようにJcは減少する。
図3に示すように、Zrの添加量3wt%に相当するZr濃度30mMOLにするとともに、超電導原料溶液中のBa量を予め補い補正、つまり、超電導原料溶液中の超電導体形成に必要な組成比を満たすBaの量に、Zrと反応する量のBaを予め加算する(Zr濃度30mMOL上の「●」参照)。これによって、形成される超電導体は、高磁場で高いJc[MA/cm]を有する磁場特性を有するとともに、超電導体におけるJcの磁場印加角度依存性も著しく向上する(図3において「●」は「■」と比較して全磁場印加角度でJc[MA/cm]が高い)。つまり、超電導体では、あらゆる磁場印加角度方向に対しても有効に磁束をピンニングすることができる。
このように本発明は、MOD法においてBaの定比組成を2より小さくした通常の低Ba組成法に用いられる原料溶液組成RE:Ba:Cu=1:1.5:3に、添加元素を加えて有効な酸化物粒子である人工ピン粒子(磁束ピンニング点)を形成する。このときの超電導原料溶液組成は、人工ピン粒子の組成(Zrの場合Ba:Zr=1:1)を考慮して設定される。なお、REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素からなる。
本発明の超電導線材では、添加元素(添加金属)Mとした場合、添加元素Mが形成する化合物組成に対応して超電導原料溶液組成との比は、Y:Ba:Cu:M=1:1.5+y±0.3:3:x(x≧0、y≧0)とする(y=ax、a=0.5−2.0)。
このとき適用される添加元素Mは、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも1つである。なお、添加元素の添加量は、30wt%以下である必要があり、特に超電導層全体に対して1wt%〜10wt%であることが望ましい。1wt%〜10wt%が望ましい理由としては、磁場中特性向上のためには、添加元素の添加量が多い方がより多くの磁束をピン止め出来るため効果的だが、10wt%、即ち体積分率30vol%を超えると超電導体の体積減少の効果が大きくなると共に、粒子が単独で存在できる臨界を超えるため、ピン止め効果が薄れかつ超電導電流を阻害するからである。さらに、上記範囲を超えると、析出物が凝集して超電導電流を阻害するからである。
添加元素MがZr、Sn、Ce、Ti、Hfのうちの少なくとも一つである場合におけるBaとの比は、Ba:M=1:1である。
添加元素MがZrである場合、磁束ピンニング点として超電導体中に分散して形成される化合物はBaZrOである。添加元素MがTiである場合、磁束ピンニング点として超電導体中に分散して形成される化合物はBaTiOである。また、添加元素MがCeである場合、磁束ピンニング点として超電導体中に分散して形成される化合物はBaCeOであり、添加元素MがSnである場合、磁束ピンニング点として超電導体中に分散して形成される化合物はBaSnOである。また、添加元素MがHfである場合、磁束ピンニング点として超電導体中に分散して形成される化合物はBaHfOである。なお、磁束ピンニング点となる各化合物は、超電導体中に均一分散される。
また、添加元素MがNbの場合におけるBaとの比は、Ba:M=1:0.5〜2であり、磁束ピンニング点として超電導体中に分散して形成される化合物は、YNbBa、BaNb等である。なお、各磁束ピンニング点となる化合物は、超電導体中に均一分散される。
超電導層(超電導体)中に磁束ピンニング点が形成された超電導線材において、前記超電導層中に含まれるBaのモル比yは、前記添加元素のモル比をxとした場合、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2となる。
本発明は、超電導次世代線材の形成に広く利用されているTFA−MOD法を改良するものである。本発明は、磁場中特性向上に用いられるZr等の添加元素である非超電導ナノ粒子を超電導層中に導入する際に、非超電導ナノ粒子の材料の組成に合わせて、超電導体全体のBa組成を制御することにより高特性化を図る。すなわち、超電導体に含まれるBaの量を、超電導体を形成する目標混合比を満たす規定のBaの量に、添加元素Mと反応するBaの量が加算された量とする。言い換えれば、超電導層に含まれるBaの量は、添加元素Mと未反応のBaの量が、RE:Ba:Cu=1:y:3である目標混合比を満たす量となるように、選定される。
例えば、Y0.77Gd0.23Ba1.5+zCu+Zrピンとした超電導線材では、Zrに反応するBa量zを、超電導体を形成する目標混合比(RE:Ba:Cu=1:1.5:3)を満たす規定のBaの量に加算することによってBa補正を行う。これにより、Icを下げることなく、磁束ピンニング点を増やして磁場中特性の向上を図るために高濃度Zrの添加をおこなうことができる。このようにして、超電導線材として、超電導膜厚2μm以下でIcmin=30A/cm−w(77K@3T)を見越せる組成を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施の形態に係る超電導線材の構造を示す概略断面図であり、テープ状の超電導線材の軸方向に垂直な断面を示す。
超電導線材100は、テープ状であり、テープ状の金属基板110上に、中間層120、テープ状の酸化物超電導層(以下、「超電導層」と称する)140、安定化層150が順に積層されることによって形成される。ここでは、中間層120は、第1中間層121,第2中間層122、第3中間層123及び第4中間層124を有する。
テープ状の金属基板110は、例えば、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、ステンレス鋼又は銀(Ag)である。金属基板110は、ここでは、結晶粒無配向・耐熱高強度金属基板であり、Ni−Cr系(具体的には、Ni−Cr−Fe−Mo系のハステロイ(登録商標)B、C、X等)、W−Mo系、Fe−Cr系(例えば、オーステナイト系ステンレス)、Fe−Ni系(例えば、非磁性の組成系のもの)等の材料に代表される立方晶系のビッカース硬度(Hv)=150以上の非磁性の合金である。金属基板110の厚さは、例えば、0.1mm以下である。
第1中間層121は、テープ状の金属基板110上に、スパッタリング法により成膜したGdZr(GZO)、或いは酸化イットリウム(Y)等を成膜した結晶粒無配向の中間層である。この第1中間層121上には、IBAD法により成膜した全軸結晶粒配向の酸化マグネシウム(MgO)である第2中間層122が成膜される。さらに、この第2中間層122上には、スパッタリング法によりLaMnOから成る第3中間層123と、PLD法若しくはスパッタリング法によりCeOからなるキャップ層からなる第4中間層124とが順次成膜されている。
また、超電導線材100の構成において中間層が異なる他の超電導線材として、図5に示す超電導線材200としてもよい。図5に示す超電導線材200では、第1中間層221は、IBAD法によりテープ状の金属基板110上に、GdZr(GZO)、或いはイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)等を成膜した全軸配向の中間層である。なお、この第1中間層221の厚みは、約1000nmである。この全軸配向の第1中間層221上には、スパッタリング法によりCeOを蒸着して全軸配向のキャップ層としての第2中間層222が成膜されている。なお、キャップ層(第2中間層)222の厚みは、約1000nmである。また、キャップ層(第2中間層)222をCeO膜にGdを添加したCe−Gd−O膜とした場合、超電導層140としてYBCO超電導層を成膜した際に良好な配向性を得るために、膜中のGd添加量を50at%以下にすることが好ましい。このキャップ層(第2中間層)222の上には超電導層140が成膜されている。この超電導線材200では、第1中間層221及びキャップ層(第2中間層)222により中間層220が形成される。
超電導層140上には、銀、金、白金等の貴金属、あるいはそれらの合金であり低抵抗の金属である安定化層150が設けられている。なお、安定化層150は、超電導層140の直上に形成することによって、超電導層140が金、銀などの貴金属、あるいはそれらの合金以外の材料と直接的な接触によって反応によって引き起こす性能低下を防止すると共に、事故電流や交流通電により発生した熱を分散して発熱による破壊・性能低下を防止する。安定化層150の厚みはここでは10〜30μmである。
超電導層140は、全軸配向REBCO層、つまり、REBaCu系(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素を示し、y≦2及びz=6.2〜7である。)の高温超電導薄膜の層である。ここでは、超電導層140は、イットリウム系酸化物超電導体(RE123)である。
また、超電導層140中には、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも一つの添加元素を含む粒径50nm以下、より好ましくは粒径10nm以下の化合物である酸化物粒子が、磁束ピンニング点(人工ピン粒子)145として均一に分散している。理由として、磁束ピンニング点の粒径は、磁束線サイズに近い方がより効果を発揮するため、上記範囲内であることが望ましい。
また、酸化物粒子の数nは、超電導層140中に、1μm当たり1.0×10個≦n<1.0×10個含まれることが望ましい。粒子の数が多いと確かにより多くの磁束をピン止めする事ができるため効果的であるが、上記範囲を超えると超電導体の体積減少の効果が大きくなるため超電導電流を阻害し、結局は超電導特性を低下させることとなる。例えば、1μm当たり1.0×10個以上存在する場合には、酸化物粒子の粒径が5nmであったとしても体積分率で60%を超える事になり、超電導特性を低下させる。
このような超電導層140を用いたRE系の超電導線材100は、基板110上に、中間層120を介して超電導原料溶液を塗布した後、仮焼熱処理を施し、次いで、本焼熱処理を施すことによりREBaCu系超電導層140を形成することで製造される。
この方法における超電導原料溶液としては、RE(REは、Y、Nd、Sm、Eu、GdおよびHoから選択された1種以上の元素を示す)、Ba及びCuを含む有機金属錯体溶液と、Baと親和性の大きいZr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも一つの添加元素を含む有機金属錯体溶液からなる超電導原料溶液を用いる。
これらを用いて、超電導原料溶液中に含まれるBaのモル比yは、添加元素のモル比をxとした場合、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2を満たしするとともに、超電導体中にZr、Ce、Sn、Hf、Nb又はTiを含む粒径50nm以下、好ましくは粒径10nm以下の酸化物粒子を磁束ピンニング点145として分散させることにより製造することができる。
ここで用いられる超電導原料溶液としては、下記(a)〜(b)の混合溶液を用いることが好ましい。
(a)REを含む有機金属錯体溶液:REを含むトリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、レブリン酸塩、ネオデカン酸塩、酢酸塩のいずれか1種以上を含む溶液、特に、REを含むトリフルオロ酢酸塩溶液であることが望ましい。
(b)Baを含む有機金属錯体溶液:Baを含むトリフルオロ酢酸塩の溶液
(c)Cuを含む有機金属錯体溶液:Cuを含むナフテン酸塩、オクチル酸塩、レブリン酸塩、ネオデカン酸塩、酢酸塩のいずれか1種以上を含む溶液
(d)Baと親和性の大きい金属を含む有機金属錯体溶液:Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbから選択された少なくとも1種以上の金属を含むトリフルオロ酢酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、レブリン酸塩、ネオデカン酸塩、酢酸塩のいずれか1種以上を含む溶液
超電導層140は、キャップ層(第4中間層)124上において、水蒸気分圧3〜76Torr、酸素分圧300〜760Torrの雰囲気中で400〜500℃の温度範囲の仮焼熱処理後、水蒸気分圧30〜600Torr、酸素分圧0.05〜1Torrの雰囲気中で700から800℃の温度範囲で本焼熱処理を施すことで形成されることが好ましい。
このようなRE系の超電導層140及びその製造方法において、超電導層中のBaのモル比をRE:Ba:Cu=1:1.5:3を満たす量に、磁束ピンニング点145形成のために添加されるZr等の添加元素との反応する量を加えることが好ましい。なお、Baのモル比を、その標準モル比(RE:Ba:Cu=1:2:3を満たす比)より小さくすることにより、Baの偏析が抑制され、結晶粒界でのBaベースの不純物の析出が抑制される結果、クラックの発生が抑制されるとともに、結晶粒間の電気的結合性が向上して通電電流によって定義されるJcが向上する。
また、超電導層140中に人工的に導入される磁束ピンニング点145として分散するZr、Sn、Ce、Ti、又はHfのうち少なくとも一つを含む酸化物粒子の粒径は、50nm以下とされるが、特に、10nm以下であることが望ましい。
なお、人工的に導入される磁束ピンニング点145を形成するために添加されるZrの添加量は、金属濃度で30wt%以下である必要があり、特に1〜10wt%であることが好ましい。Zrの添加量が1wt%未満の場合、酸化物粒子の密度が十分でないため、高磁場で十分なピンニング力が得られない。また、上記範囲を超えると超電導体の体積減少の効果が大きくなると共に、粒子が単独で存在できる臨界を超えるため、ピン止め効果が薄れかつ超電導電流を阻害するからである。さらに、上記範囲を超えると、析出物が凝集して超電導電流を阻害するからである。
超電導層140は、TFAーMOD法で成膜され、TFAーMOD法によるRE系超電導層に磁束ピンニング点145を導入する手法として、TFAを含む溶液中にBaと親和性の高いZr含有ナフテン酸塩等を混合する手法を採用している。
また、その導入量、つまり、Zr等の添加元素とともに、添加元素と反応するBaの量を追加することによって超電導原料溶液中のBaの量を調整することで、超電導層の組成(RE:Ba:Cu=1:1.5:3を維持しつつ、Baと結合してピンニング点(人工ピン粒子)となるBaZrOを形成する。これを、超電導層を形成する粒内に分散させることによって、粒界偏析によるJc低下することなく、粒界特性が改善される。
さらに、超電導層内に形成されたBaZrOが膜面方向だけでなく、膜厚方向にもナノサイズ、ナノ間隔に存在しこれらが磁束を有効にピンニングし、磁場印加角度に対するJcの異方性を著しく改善することが可能となる。また、BaZrOのサイズ、密度及び分散を制御するためには、Zr含有ナフテン酸塩等の導入量だけでなく、仮焼熱処理時及び本焼熱(結晶化熱)処理時の酸素分圧、水蒸気分圧、焼成温度の制御により可能となり、これらの最適化を行うことにより有効な磁束ピンニング点145の導入が可能となる。
また、超電導線材100では、Ba濃度を低減したRE系超電導層において、超電導層中に人工的にZr含有磁束ピンニング点145を微細分散させることができる。このため、Jcの磁場印加角度依存性(Jc,min/Jc,max)が小さく、かつ、高磁場で高いJcを有する磁場特性を有するとともに、Jcの磁場印加角度依存性(Jc,min/Jc,max)も著しく向上できる。よって、自己磁場に加えて、磁場中でも、あらゆる磁場印加角度方向に対しても有効に磁束をピンニングして、等方的Jc特性が得られることで高い超電導特性(Jcの臨界電流密度Jc[MA/cm]および臨界電流Ic[A/cm−width])を確保できる。
<実施例1>
上記超電導線材100の製造方法を用いて製造した。具体的には、金属基板としてのハステロイ(登録商標)テープ上に、スパッタリング法によりGdZrからなる第1中間層121(図4参照)と、IBAD法によりMgOから成る第2中間層122(図4参照)と、スパッタリング法によりLaMnOから成る第3中間層123(図4参照)と、PLD方によりCeOからなるキャップ層(第4中間層)124(図4参照)を順次形成した複合基板を用いた。この場合のキャップ層124のΔφは、4.5deg.であった。
一方、Y―TFA塩、Gd−TFA塩、Ba―TFA塩及びCuのナフテン酸塩を有機溶媒中に混合しつつ、この混合溶液中に、添加元素(添加金属)をZrとしたZr含有ナフテン酸塩を金属重量比で1%(1wt%)を添加して配合した。Zrを添加した事によりZrと反応するBaの量を追加して、Y:Gd:Ba:Cuのモル比が0.77:0.23:1.5:3を維持するように超電導原料溶液を作製した。
そして、複合基板のキャップ層上に、上記超電導原料溶液を塗布し、次いで、仮焼熱処理を施した。仮焼熱処理は、水蒸気分圧16Torrの酸素ガス雰囲気中で最高加熱温度(Tmax)500℃まで加熱した後、炉冷することにより施した。この仮焼熱処理の後、本燃焼処理(結晶化熱処理)を施して複合基板上に超電導膜(超電導層)を形成した。この本燃焼処理は、水蒸気分圧76Torr、酸素分圧0.23Torrのアルゴンガス雰囲気中で760°の温度で保持した後、炉冷することにより施した。
このような方法によって、膜厚0.8μmで、且つ、Zrを含む酸化物粒子BaZrOが磁束ピンニング点として均一に分散された超電導層を有するテープ状のRE系(YGdBCO+BZO)超電導線材を製造した。このとき、酸化物粒子の粒径は約30nmであり、超電導層中における数は1μmあたり7.5×10個であった。また、この超電導層内における酸化物粒子間隔は約125nmであった。
図6(a)は、実施例1の超電導層に垂直な断面におけるTEM画像を示し、図6(b)は同断面の元素マッピング画像を示す。図6(a)には超電導層中にBaZrOが磁束ピンニング点145として示され、図6(b)では濃淡のうち淡い部分に、磁束ピンニング点であるBaZrOが現れている。このように、図6に示す超電導層中には、Zrを含む酸化物粒子であるBaZrOが磁束ピンニング点145として均一に分散されている。この実施例1の超電導線材では、Jcが3.1[MA/cm](@77K,自己磁場)、Jc,minが0.51[MA/cm](@77K,1T)であった。
<実施例2>
実施例1と同様の製造方法において、添加元素(添加金属)Zrに替えてSnとし、超電導原料溶液に1wt%のSnを添加した超電導原料溶液を用いて、実施例1と同様な方法で、超電導層中にSnを含む酸化物粒子が磁束ピンニングとして形成された超電導線材を製造した。
図7(a)は、実施例2の超電層の垂直な断面におけるTEM画像であり、図7(b)は同断面の元素マッピング画像である。なお、図7も図6と同様に、図7(a)には超電導層中の磁束ピンニング点145として示され、図7(b)では濃淡のうち淡い部分に磁束ピンニング点が現れる。これら図7(a)、図7(b)に示すように、磁束ピンニング点145として、Snを含む酸化物粒子であるBaSnOが超電導層中に均一に分散して形成されている。なお、磁束ピンニング点145の粒径および個数は実施例1と同様であり、この実施例2の超電導線材では、実施例1と同等の結果が得られた。
<実施例3>
実施例1と同様の製造方法において、添加元素(添加金属)Zrに替えてNbとし、超電導原料溶液に1wt%のNbを添加した超電導原料溶液を用いて、実施例1と同様の方法で、超電導層中にNbを含む酸化物粒子が磁束ピンニングとして形成された超電導線材を製造した。
図8(a)は、実施例3の超電層の垂直な断面におけるTEM画像であり、図8(b)は同断面の元素マッピング画像である。なお、図8も図6と同様に、図8(a)には超電導層中の磁束ピンニング点145として示され、図8(b)では濃淡のうち淡い部分に、磁束ピンニング点が現れる。図8(a)、図8(b)に示すように、磁束ピンニング点として、Nbを含む酸化物粒子であるYNbBa、BaNbが超電導層中に均一に分散して形成されている。なお、磁束ピンニング点145の粒径および個数は実施例1と同様であり、実施例3の超電導線材では、実施例1と同等の結果が得られた。
<実施例4>
実施例1と同様の製造方法において、添加元素(添加金属)をZrとしたZr含有ナフテン酸塩を金属重量比で3%(3wt%)を添加し、Zrを添加した事によりZrと反応するBaの量を追加することにより、Y:Gd:Ba:Cuのモル比が0.77:0.23:1.5:3を維持するようにして配合して作製した超電導原料溶液を用いて、Zrを含む酸化物粒子が磁束ピンニングとして形成された超電導層を備える超電導線材を製造した。すなわち、実施例4の超電導線材は、Zrを含む酸化物粒子BaZrOが磁束ピンニング点として均一に分散された超電導層を有する。この実施例4の超電導線材では、Jcが3.0[MA/cm](@77K,自己磁場)、Jc,minが0.66[MA/cm](@77K,1T)であった。
<比較例1>
実施例1と同様の製造方法において添加元素(添加金属)Zrを添加せず製造した超電導線材である。つまり、一方、Y―TFA塩、Gd−TFA塩、Ba―TFA塩及びCuのナフテン酸塩をY:Gd:Ba:Cuのモル比が0.77:0.23:1.5:3となるように混合した超電導原料溶液を実施例1の複合基板と同様の複合基板のキャップ層上に塗布して製造された超電導層中に磁束ピンニングの無い超電導線材である。この比較例1の超電導線材では、Jcが2.6[MA/cm](@77K,自己磁場)、Jc,minが0.20[MA/cm](@77K,1T)であった。
<比較例2>
実施例1と同様の構成の複合基板と、Y:Gd:Ba:Cuのモル比が0.77:0.23:1.5:3とした超電導原料溶液中にZr3wt%を単純に添加してBa補正しない超電導原料溶液とを用いて実施例1の超電導線材と同様に製造した超電導線材である。
すなわち、実施例1と同様の複合基板のキャップ層上に、金属重量比3%(3wt%)のZrを単純に添加した超電導原料溶液を塗布して、仮焼熱処理、本焼熱処理を施して製造された超電導線材であり、超電導層中に磁束ピンニングを有する。この比較例2の超電導線材では、Jcが2.8[MA/cm](@77K,自己磁場)、Jc,minが0.40[MA/cm](@77K,1T)であり、Jcが3.0未満となるなど、所望の超電導特性を得ることができなかった。
<比較例3>
実施例4と同様の製造方法において、粒径約70nmである添加元素(添加金属)をZrとしたZr含有ナフテン酸塩を金属重量比で3%(3wt%)を添加した超電導原料溶液を用いて、Zrを含む酸化物粒子が磁束ピンニングとして形成された超電導層を備える超電導線材を製造した。Jcが3.0[MA/cm](@77K,自己磁場)未満、Jc,minが0.50[MA/cm](@77K,1T)未満となるなど、所望の超電導特性を得ることができなかった。
これら実施例1、実施例1において超電導原料溶液中に添加するZrをSn、Nbに置き換えた実施例2および実施例3と、超電導原料溶液中にZrを添加しない比較例1とを比較する。
これら実施例1〜3及び比較例1の結果から明らかなように、本発明によるテープ状RE系の超電導線材(REBCO+Zr含有酸化物粒)である実施例1〜3は、比較例1よりも、高いJcを有する磁場特性を示す。また、実施例4と比較例2の結果から明らかなように、本発明によるテープ状RE系の超電導線材(REBCO+Zr含有酸化物粒)である実施例4は、添加元素を増加するとともにBa補正を行うことによって、実施例1〜3および比較例2よりも高いJcを有する磁場特性を示す。さらに、実施例4と比較例3の結果から明らかなように、本発明によるテープ状RE系の超電導線材(RE系BCO+Zr含有酸化物粒)である実施例4は、添加元素の粒径によって、比較例3よりも高いJcを有する磁場特性を示す。
本発明に係る酸化物超電導線材は、磁場印加環境下において、あらゆる磁場印加角度方向に対しても、有効に磁束をピンニングできる効果を有し、超電導モータなど磁場印加環境下で用いられる酸化物超電導線材として有用である。
100、200 酸化物超電導線材
110 金属基板
120、220 中間層
121,221 第1中間層
122、222 第2中間層
123 第3中間層
124 第4中間層
140 超電導層
145 磁束ピンニング点
150 安定化層

Claims (7)

  1. 基板と、前記基板上に形成された中間層と、前記中間層上に形成されたREBaCu系超電導層と、前記超電導層上に形成された安定化層と、を備え、前記REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素からなる、酸化物超電導線材であって、
    前記超電導層中には、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも一つの添加元素を含む酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散されており、
    前記超電導層中に含まれる前記Baのモル比yは、前記添加元素のモル比をxとした場合、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2である、
    酸化物超電導線材。
  2. 前記酸化物粒子は、粒径50nm以下である、
    請求項1記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記酸化物粒子は、粒径10nm以下である、
    請求項1記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記酸化物粒子の数nは、超電導層中に、1μm当たり1.0×10個≦n<1.0×10個含まれる、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記添加元素の添加量は、前記超電導層全体に対して30wt%以下である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  6. 前記添加元素は、Zrであり、aの値は1である、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  7. 基板上に形成された中間層上に超電導原料溶液を塗布した後、熱処理を施すことにより形成され、前記添加元素を含む酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散されたREBaCu系超電導層を有する酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記超電導原料溶液は、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素からなるREと、Baと、Cuと、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも一つの添加元素と、を含み、
    前記超電導原料溶液に含まれる前記添加元素のモル比をxとした場合、前記超電導原料溶液に含まれる前記Baのモル比yは、1.2+ax≦y≦1.8+axの範囲、及び0.5≦a≦2である、
    酸化物超電導線材の製造方法。
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