JP2012204190A - 酸化物超電導薄膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化物超電導材料をより高い臨界電流を持つようにする、すなわち臨界電流特性が向上する酸化物超電導薄膜を提供する。
【解決手段】基板と、基板の一主面上に形成され、一主面に対して垂直方向にc軸配向した酸化物超電導体と、酸化物超電導体とは異なる結晶配向を有して平均粒径が100nm以上500nm以下の異相粒と、を含有した超電導層と、を備える。前記異相粒は、Cu−O粒子を含む。なお、「Cu−O」粒子とは、CuOやCu2Oの少なくとも何れか1つを含む粒子である。
【選択図】図2

Description

本発明は、酸化物超電導薄膜に関する。
従来から、酸化物超電導材料を実用化するための技術として、基板を用意し、当該基板上に酸化物超電導体を成膜して酸化物超電導薄膜を得る方法がある。この場合、基板として長尺のものを用いると、超電導線材を得ることができる。
成膜する酸化物超電導体としては、例えば、液体窒素温度(77K)以上で超電導現象を示すRE系超電導体(RE:希土類元素)、特にYBaCu7−δの組成式で表されるイットリウム系超電導体(以下、「YBCO」と記載する)がよく用いられている。
このYBCOを用いたイットリウム系酸化物超電導薄膜はケーブルやSMES(超電導エネルギー貯蔵装置)への応用が期待されており、高臨界電流を持つイットリウム系酸化物超電導体及びその製法に大いに注目を集めている。
ところが、高臨界電流を持つYBCOを含め、酸化物超電導材料(特に酸化物超電導薄膜)を実用化するための障害となっている1つの要因として、酸化物超電導材料をより高い臨界電流を持つようにする、すなわち臨界電流特性(以下、Ic特性という)の向上が容易でないことが挙げられる。
そこで、特許文献1には、基板の一主面上にYBCOの原液をスピンコーティングし、仮焼成、本焼成、アニールを順に行い超電導層を形成する工程が記載され、仮焼成の際に、前躯体中のCuO粒の平均粒径が25nm以下となるように温度や時間を設定している。そして、本焼成及びアニールを通して、基板の一主面に平行な超電導層のいずれかの断面を観察した場合に、超電導層の断面に対するCuO粒子断面の面積比が1/100以下となるようにすることで、Ic特性を向上させている。
また、特許文献2には、超電導層中にナノオーダーの欠陥を作り、磁界が印加される際に超電導層中に侵入する量子化磁束のピニング点として機能させる点と、ナノオーダーの欠陥は超電導層中を基板に平行に流れる電流を阻害しない点と、が記載されている。
特開2003-257259号公報 特開2005-116408号公報
しかしながら、特許文献1の構成だけでは、Ic特性を十分に向上させることができない。また、特許文献2には、Ic特性を向上させる点は一切記載されていない。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、Ic特性が向上する酸化物超電導薄膜を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は下記の手段によって解決された。
<1>基板と、前記基板の一主面上に形成され、前記一主面に対して垂直方向にc軸配向した酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体とは異なる結晶配向を有して平均粒径が100nm以上500nm以下の異相粒と、を含有した超電導層と、を備える酸化物超電導薄膜。
<2>前記異相粒の平均粒径は、200nm以上400nm以下である、前記<1>に記載の酸化物超電導薄膜。
<3>前記異相粒の平均粒径は、200nm以上300nm以下である、前記<2>に記載の酸化物超電導薄膜。
<4>前記一主面に平行な前記超電導層のいずれかの断面を観察した場合に、前記超電導層の断面に対する異相粒断面の面積率が20面積%以下である、前記<1>〜前記<3>の何れか1つに記載の酸化物超電導薄膜。
<5>前記一主面に平行な前記超電導層のいずれかの断面を観察した場合に、前記超電導層の断面に対する異相粒断面の面積率が1面積%以上である、前記<1>〜前記<4>の何れか1つに記載の酸化物超電導薄膜。
<6>前記超電導層の表面粗さは、100nm以下である、前記<1>〜前記<5>の何れか1つに記載の酸化物超電導薄膜。
<7>前記酸化物超電導体は、組成式REBaCu7−δ(REは単一の希土類元素又は複数の希土類元素であり、前記δは酸素不定比量である)で表される、前記<1>〜前記<6>の何れか1つに記載の酸化物超電導薄膜。
<8>前記異相粒は、Cu−O粒子を含む、前記<1>〜前記<7>の何れか1つに記載の酸化物超電導薄膜。なお、「Cu−O」粒子とは、CuOやCuOの少なくとも何れか1つを含む粒子である。
<9>前記<1>〜前記<8>の何れか1つに記載の酸化物超電導薄膜を有する、超電導線材。
本発明によれば、Ic特性が向上する酸化物超電導薄膜を提供することができた。
図1は、本発明の実施形態に係る超電導線材の積層構造を示す図である。 図2は、Cu−O粒子の平均粒径とIcとの関係、及びCu−O粒子の平均粒径と表面粗さRaとの関係を示す図である。 図3は、TEMやSEMの観察結果に基づいて作成した従来の超電導線材の断面構造を示す模式図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜について具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
<超電導線材の構成>
まず、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜について説明する前に、酸化物超電導薄膜を含んだ超電導線材について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る超電導線材1の積層構造を示す図である。
図1に示すように、超電導線材1は、テープ状の基板11上に中間層12、超電導層13、安定化層(保護層)14が順に形成された積層構造を有している。
基板11は、低磁性の金属基板やセラミックス基板を用いる。基板11の形状は、主面があることを前提として、上述のテープ状だけでなく、板材、線材、条体等の種々の形状のものを用いることができる。金属基板としては、例えば、強度及び耐熱性に優れた、Cu、Ni、Ti、Mo、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Ag等の金属又はこれらの合金を用いることができる。特に好ましいのは、耐食性及び耐熱性の点で優れているステンレス、ハステロイ(登録商標)、その他のニッケル系合金である。また、これら各種金属材料上に各種セラミックスを配してもよい。また、セラミックス基板としては、例えば、MgO、SrTiO、サファイア(Al)、LaAlO又はイットリウム安定化ジルコニア等を用いることができる。
中間層12は、超電導層13において高い面内配向性を実現するために基板11上に形成される層であり、熱膨張率や格子定数等の物理的な特性値が基板11と超電導層13を構成する酸化物超電導体との中間的な値を示す。
超電導層13は、中間層12上に形成され、酸化物超電導体、特に銅酸化物超電導体を主成分として含有している。なお、「主成分」とは、超電導層13に含まれる構成成分中で含有量が最も多いことを示し、好ましくは50%超であることを示している。また、本発明の実施形態に係る超電導層13は、不純物(異相粒)も含有しているが、詳細は後述する。
銅酸化物超電導体としては、REBaCu7−δ(RE−123と称す),BiSrCaCu8+δ(BiサイトにPbドープしたものも含む),BiSrCaCu10+δ(BiサイトにPbドープしたものも含む),(La,Ba)CuO4−δ,(Ca,Sr)CuO2−δ[CaサイトはBaであってもよい],(Nd,Ce)CuO4−δ,(Cu,Mo)Sr(Ce,Y)CuO [(Cu,Mo)−12s2と称し、s=1、2、3,4である],Ba(Pb,Bi)O又はTlBaCan−1Cu2n+4(nは2以上の整数である)等の組成式で表される結晶材料を用いることができる。また、銅酸化物超電導体は、これら結晶材料を組み合わせて構成することもできる。
以上の結晶材料の中でも、超電導特性が良くて結晶構造が単純であるという理由から、REBaCu7−δを用いることが好ましい。また、結晶材料は、多結晶材料であっても単結晶材料であってもよい。
なお、上記REBaCu7−δ中のREは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、YbやLuなどの単一の希土類元素又は複数の希土類元素であり、これらの中でも超電導転移温度Tcが高い等の理由でYであることが好ましい。また、δは、酸素不定比量であり、例えば0以上1以下であり、超電導転移温度が高いという観点から0に近いほど好ましい。このδは、オートクレーブ等の装置を用いて高圧酸素アニール等を行えば、δは0未満、すなわち、負の値をとることもある。
ここで、REをPrとしたPrBaCu7−δだけは、現在、超電導現象が確認されていないが、将来酸素不定比量δを制御するなどして超電導現象が確認できた場合には、本発明の実施形態に係わる酸化物超電導体にPrBaCu7−δも含むものとする。
また、REBaCu7−δ以外の結晶材料のδも酸素不定比量を表し、例えば0以上1以下である。
超電導層13の膜厚は、特に限定されないが、例えば500nm以上3000nm以下である。
超電導層13の形成(成膜)方法としては、例えばTFA−MOD法、PLD法、CVD法、MOCVD法、又はスパッタ法などが挙げられる。
以上のような超電導層13の上面には、例えばスパッタ法により銀からなる安定化層14が成膜されている。また、安定化層14を成膜して超電導線材1を製造した後、超電導線材1に熱処理を施してもよい。
<酸化物超電導薄膜>
次に、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜について、上述した超電導層13を一例に挙げて説明する。
まず、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜を想到するに当たって、本発明者は、超電導層13の形成(成膜)において、Ic特性を向上させるためには、超電導電流が超電導体結晶のc軸配向結晶(基板11に対して垂直方向に超電導相のc軸が揃う結晶)に平行に流れるため、c軸配向結晶での成長が必要となることを考えた。
そこでまず、本発明者は、従来の超電導線材、特に超電導層の結晶状態をTEMやSEMにより観察した。図3は、TEMやSEMの観察結果に基づいて作成した従来の超電導線材500の断面構造を示す模式図である。
図3に示す、超電導線材500は、基板11の一主面上に形成された中間層502表面に、YBCOからなる超電導層504が成膜されている。
図3に示すように、TEMやSEMの観察の結果、超電導層504中には、一主面に対して垂直にc軸配向したYBCO(所謂c軸配向結晶)506の他に、c軸配向結晶とは異なる結晶配向を有した、一主面に対して垂直にa軸配向したYBCO(所謂a軸配向結晶)や傾きYBCO(以下、異相酸化物超電導体508Aと称す)、異相YCuO(符号:508B)、CuOやCuOの少なくとも何れか1つを含む異相Cu−O粒子(符号:508C)等の、所謂、異相粒508が混在していることが分かった。そして、これらの異相粒508は、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したIc特性を劣化させる要因となることを見出した。
そこで、本発明者らは、異相粒508に着目し、異相粒508を微細化し、その粒径を適切なサイズとすることで、Ic特性が劣化しない(向上する)酸化物超電導薄膜を発明した。
すなわち、基板11と、基板11の一主面上に(中間層12を介して)形成され、前記一主面に対して垂直方向にc軸配向した酸化物超電導体(c軸配向結晶)506と、前記酸化物超電導体506とは異なる結晶配向を有して平均粒径が100nm以上500nm以下の異相粒508と、を含有した超電導層13と、を備える酸化物超電導薄膜である。
なお、「異相粒」が単体で存在していればよいが、他の粒等と結合してその範囲を明確にできない場合もあり得る。この場合、「異相粒」は、結晶の配向方向が同じ領域のところを指すものとする。また、「粒径」とは、異相粒508の円相当直径である。また、「平均粒径」とは、超電導層13の表面をSEMにより、 10000倍率で観察し、その観察写真に写る異相粒508全ての粒径を平均したものである。
また、「一主面に対して垂直方向」とは、一主面に対して垂直のみならず、若干垂直でなくてもよいことを意味し、具体的には、一主面に平行な角度を0度として、85度〜95度までを意味する。
異相粒508の平均粒径を100nm以上500nmとすると、Ic特性が向上する。 具体的には、100nm以上とすると、基板11の一主面に平行な超電導層13断面の単位面積あたりの異相粒粒界全長を小さくすることができる。逆に、100nm未満だと、基板11の一主面に平行な超電導層13のいずれかの断面を観察した場合に、100nm未満と100nm以上で異相粒508が同じ面積含有率だったとしても、単位面積あたりの粒界全長が急激に増大し、電流が流れない範囲が増えてIcが低下するものと考えられる。このため、異相粒508の平均粒径を100nm以上として粒界全長を小さくすることで、Ic特性が低下しない(向上することができる)。
また、異相粒508の平均粒径を500nm以下とすると、酸化物超電導体の結晶構造に歪みが生じることを抑制できる。また、異相粒508の連鎖的成長を抑制でき、Ic特性が向上するものと考えられる。また、表面粗さRaが粗くなることも抑制できる。500nm超だと、酸化物超電導体の結晶構造の歪みが大きくなり、また、表面粗さRaが急激に増大してしまう。なお、連鎖的成長とは、異相粒508の上に他の異相粒508が成長することを言い、異相粒508が500nmより大きくなると、その連鎖的成長が顕著になる。
また、異相粒508の平均粒径は、より高いIc特性を得るという観点から、200nm以上400nm以下とすることが好ましく、200nm以上300nm以下とすることがより好ましい。また、このようなサイズの異相粒508は超電導層13中に均一に入っていることが好ましい。
なお、この異相粒508の粒径制御は、例えばPLD法により適宜成膜条件を選ぶことにより行うことができる。
また、基板11の一主面に平行な超電導層13のいずれかの断面を観察した場合に、超電導層13の断面に対する異相粒508断面の面積率が20面積%以下とすることが好ましい。20面積%以下とすれば、Ic特性を向上させることができ、例えば酸化物超電導体がYBCOであって、超電導層13の厚みが1μmの場合、Icを200A以上とすることができる。
なお、基板11の一主面に平行な超電導層13のいずれかの断面を観察した場合に、超電導層13の断面に対する異相粒508断面の面積率が1面積%以上とすると、異相粒508の平均粒径がIc特性により強く影響する。したがって、超電導層13の断面に対する異相粒508断面の面積率が1面積%以上の場合に、異相粒508の平均粒径を上述のように制御することが好ましい。
また、超電導層13の表面粗さは、結晶性を高めるという観点や保護膜(安定化層14)を後に成膜し易いという観点等から、100nm以下とすることが好ましく、90nm以下とすることがより好ましい。
<変形例>
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。また、以下の変形例を、適宜、組み合わせてもよい。
例えば、中間層12は、省略することができる。
また、安定化層14も、省略することができる。
また、酸化物超電導薄膜は、上述した超電導線材1以外にも様々なものに適用ができる。例えば、超電導量子干渉計(SQUID)や固有ジョセフソン接合による小型・高性能テラヘルツ発振素子へ適用ができる。
以下に、本発明に係る酸化物超電導薄膜について、実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
<酸化物超電導薄膜の作製>
まず、Y(OCOCH、Ba(OCOCH、Cu(OCOCHの各水和物の粉末を、それぞれイオン交換水中に溶解した。次に、それぞれのよう液に、反応等モル量のCFCOOHを添加・攪拌した。その後、それらを金属イオンのモル比で1:2:3の割合で混合して混合溶液を得た。この混合溶液をナス型フラスコに入れ、ロータリエバポレータにセットし、減圧下で反応及び精製を12時間行った。以上のようにして、半透明青色のゲルまたはゾルを得た。
得られたゲルまたはゾルを、その約100倍の重量のメタノール中に完全に溶解させた。この溶液も、ロータリエバポレータを用いて、減圧下で反応及び精製を12時間行った。以上のようにして、半透明青色のゲルまたはゾルを得た。このゲルまたはゾルをメタノール中に溶解させ、さらにメスフラスコを用いて希釈することにより、金属イオン換算で1.52Mのコーティング溶液を得た。
次に、このコーティング溶液を、LaAlO基板の(100)面上にスピンコートした。なお、このスピンコートに当り、加速時間を0.4秒、回転速度を4,000rpm、回転保持時間を120秒とした。
その後、上記スピンコートにより得られた塗膜に対し、大気圧のもとで仮焼成を行った。次に、仮焼成後の塗膜に対し、大気圧のもと本焼成を行い、続いて、アニールを行った。
以上のようにして酸化物超電導薄膜を得ることができる。
ここで、本実施例では、以上の工程を用い、適宜焼成やアニールの条件(酸素流量等)を変えて、酸化物超電導薄膜を複数作製した。
<平均粒径の評価>
そして、作製した複数の酸化物超電導薄膜(超電導層)中の異相粒としてのCu−O粒子の平均粒径をSEMによりそれぞれ測定した。また、酸化物超電導薄膜の断面に対するCu−O粒子断面の面積率も併せて測定した。なお、平均粒径の評価は、10000倍率のSEM写真に写る異相粒全ての粒径を平均したものである。
<Icの評価>
各酸化物超電導薄膜の臨界電流Icは、酸化物超電導薄膜を液体窒素に浸漬した状態で四端子法を用いて、測定した。電圧端子は1cm、電界基準は1μV/cmとした。
<表面粗さの評価>
各酸化物超電導薄膜における表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM、Pacific Nanotechnology社製 Nano-R)による各試料の12.3μm×12.3μmの四方角のAFM像を測定し、このAFM像から算術平均粗さを計算することにより求めた。
<評価結果>
図2は、Cu−O粒子の平均粒径とIcとの関係、及びCu−O粒子の平均粒径と表面粗さRaとの関係を示す図である。
まず、異相粒508断面の面積率が10〜20面積%の場合には、Cu−O粒子の平均粒径が100nm以上500nm以下の範囲であると、範囲外と比べてIcが高いことが分かった。また、200nm以上400nmであると、Icがほぼ安定し、200nm以上300nmであると、Icが約250(A)となり最大値をとることが分かった。
なお、Cu−O粒子の平均粒径が100nm未満となると、Icが急激に低下することが分かった。さらに、Cu−O粒子の平均粒径が500nm超となると、同様にIcが急激に低下することが分かった。
また、異相粒508断面の面積率が1〜10面積%の場合も、Cu−O粒子の平均粒径が100nm以上500nm以下の範囲外であると、Icは、急激ではなくなるものの、低下することが分かった。
また、異相粒508断面の面積率が1面積%未満の場合には、他の場合と比較して、Cu−O粒子の平均粒径が変化しても、Icは変化し難いことが分かった。ただし、この場合でも、Cu−O粒子の平均粒径が500nmを超えると、徐々にIcが低下することが分かる。
また、超電導層13の断面に対するCu−O粒子断面の面積率が下がるにつれて、Icが高くなることが分かった。なお、この事実を考えれば、Cu−O粒子断面の面積率のみを小さく(1面積%未満に)すれば、Cu−O粒子の平均粒径は考慮しなくてもよいようにも思われるが、このような面積率を実現することは、成長温度、組成、成長速度などの精密制御が必要であり、製造が困難で実用する際に生産性が低い。したがって、本発明では、高Ic特性と高生産性を両方追及するために、Cu−O粒子断面の面積率でなく、Cu−O粒子の平均粒径を主に着目している。
また、表面粗さRaは、Icが低下し始めるCu−O粒子の平均粒径が500nm超となると、増大していくことが分かった。また、Cu−O粒子の平均粒径が1000nm未満だと、表面粗さRaは100nm以下となることが分かった。
なお、以上の実施例では、異相粒をCu−O粒子とした場合に各評価を行っているが、異相粒が他の粒(例えばYCuO等)であっても、同様の結果となることを確認した。
1 超電導線材
11 基板
13 超電導層
508 異相粒

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板の一主面上に形成され、前記一主面に対して垂直方向にc軸配向した酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体とは異なる結晶配向を有して平均粒径が100nm以上500nm以下の異相粒と、を含有した超電導層と、
    を備える酸化物超電導薄膜。
  2. 前記異相粒の平均粒径は、200nm以上400nm以下である、
    請求項1に記載の酸化物超電導薄膜。
  3. 前記異相粒の平均粒径は、200nm以上300nm以下である、
    請求項2に記載の酸化物超電導薄膜。
  4. 前記一主面に平行な前記超電導層のいずれかの断面を観察した場合に、前記超電導層の断面に対する異相粒断面の面積率が20面積%以下である、
    請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の酸化物超電導薄膜。
  5. 前記一主面に平行な前記超電導層のいずれかの断面を観察した場合に、前記超電導層の断面に対する異相粒断面の面積率が1面積%以上である、
    請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の酸化物超電導薄膜。
  6. 前記超電導層の表面粗さは、100nm以下である、
    請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の酸化物超電導薄膜。
  7. 前記酸化物超電導体は、組成式REBaCu7−δ(REは単一の希土類元素又は複数の希土類元素であり、前記δは酸素不定比量である)で表される、
    請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の酸化物超電導薄膜。
  8. 前記異相粒は、Cu−O粒子を含む、
    請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の酸化物超電導薄膜。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の酸化物超電導薄膜を有する、
    超電導線材。
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