JPWO2010126130A1 - 水切り剤、プレリンス剤、水切り方法及び水切り装置 - Google Patents

水切り剤、プレリンス剤、水切り方法及び水切り装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被洗浄物の表面に付着する水分を除去する上で優れた水切り性能を有し、低毒性かつ低引火性であり、オゾン層破壊の恐れがない水切り剤、プレリンス剤、それを用いた水切り方法及び水切り装置を提供すること。【解決手段】液温を上げることにより水の溶解度が低下するグリコールエーテル(成分(a1))を含む、水切り剤(a)。

Description

本発明は、精密機器、光学機器、電子機器及び一般金属部品等の水切り後に被洗浄物表面に付着する水分を除去するのに好適な水切り剤、プレリンス剤、水切り方法及び水切り装置に関する。
精密機器、光学機器、電子機器及び一般機械等の部品を水洗した後に水切りする場合、汚染物質に応じた適切な洗剤で処理した後、純水リンスする方法が広く行われているが、最終的に、洗浄された物品表面に存在する水を除去する必要がある。水切り手段としては加熱、減圧、遠心分離等の物理的方法が行われているが、水切り性能に優れ、エネルギーコストが低く、高速乾燥が可能であるという観点から、溶剤を用いる水切り方法が広く普及している。
水切りの際に用いられる溶剤としては、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。)等が挙げられる。また、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの混合物(以下、「HCFC225」という。)や1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(以下、「HCFC141b」という。)等のハイドロクロロフルオロカーボンに、エチルアルコール、IPA又はある種の界面活性剤を添加したものも溶剤として使用される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかし、オゾン層破壊等の問題から、HCFC225やHCFC141bは2020年までにその使用が禁止される予定である。そこで、近年では塩素原子を全く含まないハイドロフルオロカーボン類(以下、「HFC」という。)やハイドロフルオロエーテル類(以下、「HFE」という。)等のオゾン層破壊能がなく、不燃性のフッ素系溶剤に、エチルアルコールやIPAを添加した水切り剤や水切り方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、エチレングリコールジアルキルエーテルを利用した水切り剤、及び液温を上げることにより水切り剤中に溶け込んだ水を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを利用した水切り剤、及び液温を下げることにより溶け込んだ水を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
またさらに、フッ素系溶剤に溶け込んだグリコールエーテル系溶剤に水を添加し、フッ素系溶剤とグルコールエーテル溶剤、水とに分離する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平3−258734号公報 特開平4−334502号公報 特開平11−293285号公報 特開昭61−78401号公報 特開平9−255994号公報 特開平10−290963号公報
しかしながら、IPAを水切り剤として用いた場合、液交換頻度が高く作業効率が低いという問題がある。また、IPAは危険物(引火点:12℃)であるため、水切り装置を防爆設備とする必要があるため設備コストが高くなるという問題がある。
特許文献3の技術は、水切りの際に水切り剤に溶け込んだ水と、エチルアルコールやIPAとを分離することが困難であるために、水切り性能が低下するという問題がある。「水切り剤に溶け込んだ水」とは、被洗浄物、ジグ、被洗浄物を収納するバスケット等に付着した水等が、水切りの際等に水切り剤に溶解した水である。
特許文献4の技術は、水切り剤が危険物であるため、設備上、防爆設備とする必要がある。また、水切り剤を1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(以下、「CFC113」という。)でリンスすると、CFC113中に水切り剤が蓄積するとともに水切り剤に溶け込んだ水により、被洗浄物の表面に乾燥シミが発生する問題がある。
特許文献5の技術は、水切り剤が危険物であることに加え、ジメチルカーボネート(引火点:18℃)により蒸気乾燥するため引火危険性が極めて高い水切り方法であるという問題がある。また、水との共沸状態を形成するため、蒸気中に含まれる水分により、被洗浄物の表面に乾燥シミが発生するという問題がある。
特許文献6の技術は、水切り剤に溶け込んだ水の分離に関する記載がなく、水切り剤の水切り性能を長期間維持することができないという問題がある。
このように上述した技術をはじめとする水切りに関する技術は、引火の危険性があったり、水切りが可能であってもオゾン層破壊等の問題により将来的にその使用が禁止されていたり、水切り剤やリンス剤に蓄積する成分を効率よく分離できないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、被洗浄物の表面に付着する水分を除去する上で優れた水切り性能を有し、低毒性かつ低引火性であり、オゾン層破壊の恐れがない水切り剤、プレリンス剤、それを用いた水切り方法及び水切り装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、水切り剤、プレリンス剤、これを用いた水切り方法及び水切り装置についてそれぞれ検討した。水切り剤については、(a)液温を上げることで水の溶解性が低下するグリコールエーテル(a1)を含む水切り剤とすることで、優れた水切り性能を有するだけでなく、必要に応じて水等を添加することにより、優れた水切り性能を保持したまま、引火点消去が可能となることを見出した。水切り剤の液温を上げることで、水切り剤に溶け込んだ水を容易に分離でき、かつ、引火点を消去することも可能であることを見出した。さらに、リンス剤を用いる場合、リンス剤の液温を下げることで、リンス剤に溶け込んだ水切り剤(a)を容易に分離でき、かつ、分離した水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として使用することができ、その結果、優れた水切り剤(a)のリンス性が得られることを見出した。さらに、分離した水切り剤成分を含む分離液は水切り剤(a)の成分として再利用できることも見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
液温を上げることにより水の溶解度が低下するグリコールエーテル(成分(a1))を含む、水切り剤(a)。
〔2〕
前記成分(a1)が、下記式(1)で表される化合物である、〔1〕に記載の水切り剤(a)。

O―(RO)―H (1)

(式中、Rは、炭素数6若しくは7のアルキル基、炭素数6若しくは7のアルケニル基、炭素数6若しくは7のシクロアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を表し、Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、nは、1〜3の整数を表す。)
〔3〕
前記成分(a1)が、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、又はジエチレングリコールモノベンジルエーテルである、〔1〕に記載の水切り剤(a)。
〔4〕
前記成分(a1)が、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルである、〔1〕に記載の水切り剤(a)。
〔5〕
前記水(a2)を更に含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の水切り剤(a)。
〔6〕
下記の(i)及び(ii)の条件を満足する前記成分(a1)を40〜90質量%と、
前記成分(a2)水を60〜10質量%と、
を含む〔5〕に記載の水切り剤;
(i)前記成分(a1)と、前記成分(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、10〜30℃で静置すると均一に溶解し、かつ40〜70℃で静置すると上層(d)と下層(e)との2層に分離すること、
(ii)前記成分(a1)と、前記成分(a2)と、成分(b1):20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物とを質量比52:3:45の割合で混合した場合、35℃で静置すると均一に溶解し、かつ15℃で静置すると上層(f)と下層(g)との2層に分離すること。
〔7〕
下記条件(i)に記載の下層(e)と同じ組成である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の水切り剤(a);
(i)前記成分(a1)と、前記成分(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、10〜30℃で静置すると均一に溶解し、かつ40〜70℃で静置すると上層(f)上層(d)と下層(g)下層(e)との2層に分離すること。
〔8〕
下記(iii)の条件を満足する、液温を上げることにより水の溶解度が低下するグリコールエーテル(成分(a1))を1〜40質量%と、
20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物(成分(b1))を99〜60質量%と、
含むプレリンス剤(ab);
(iii)前記成分(a1)と水(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、40〜70℃で静置すると上層(d)と下層(e)との2層に分離し、かつ前記下層(e)と前記成分(b1)を質量比1:1で混合し、25℃で静置する場合、その最下層(h)を含め2層以上に分離すること。
〔9〕
前記条件(iii)の前記最下層(h)と同一組成である、〔8〕に記載のプレリンス剤(ab)。
〔10〕
(1)請求項1〜7のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて、被洗浄物を水切りする工程と、
(2)成分(b1):20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物を含むリンス剤(b)を用いて、前記水切り剤(a)が付着した被洗浄物をリンスする工程と、
(3)リンス剤(b)を加熱して得られる蒸気を少なくとも用いて、前記被洗浄物を蒸気乾燥する工程と、
を有する水切り方法。
〔11〕
前記水切りによって水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱することにより、前記水切り剤(a)に含まれる水の少なくとも一部を除去する工程と、
前記水を除去された水切り剤(a)を再び用いて、前記被洗浄物を水切りする工程と、
を更に有する、〔10〕に記載の水切り方法。
〔12〕
前記リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)に、水を加えることにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)を前記水に抽出して分離し、水切り剤分離液(c)を得る工程と、
前記水切り剤分離液(c)を加熱し、前記水切り剤分離液(c)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有する、〔10〕又は〔11〕に記載の水切り方法。
〔13〕
前記リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離して、水切り剤分離液(c)を得る工程と、
前記水切り剤分離液(c)を加熱し、前記水切り剤分離液(c)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有する、〔10〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の水切り方法。
〔14〕
前記リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)に、水を加えることにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)を前記水に抽出して、水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る工程と、
前記プレリンス剤(ab)を用いて、前記被洗浄物をプレリンスする工程と、
前記プレリンス剤(ab)を加熱して、プレリンス剤(ab)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を少なくとも用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有する、〔10〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の水切り方法。
〔15〕
前記(2)工程の後に、水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)を冷却し、リンス剤(b)中の水切り剤(a)の一部を分離して、水切り剤分離液(c)からなるプレリンス剤(ab)を得る工程と、
プレリンス剤(ab)を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をプレリンスする工程と、
プレリンス剤(ab)を加熱して、プレリンス剤(ab)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有する、〔10〕、〔11〕、及び〔13〕のいずれか一項に記載の水切り方法。
〔16〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽と、
リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽と、
前記蒸留槽において発生した前記蒸気の凝縮液から水を除去する水分離槽と、
前記水分離槽において水が除去された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、
前記蒸留槽において発生した前記蒸気を用いて、リンスされた前記被洗浄物を乾燥する蒸気乾燥部と、
を備える水切り装置。
〔17〕
前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽と、
前記水切り剤(a)から水を分離する分離槽と、
を更に備える、〔16〕に記載の水切り装置。
〔18〕
前記リンス剤(b)に水を加えることにより、前記水に前記水切り剤(a)を抽出して、水切り剤分離液(c)を得る混合槽と、
前記リンス剤(b)に溶け込んだ前記水切り剤(a)を、前記リンス剤(b)から分離する分離槽と、
を更に備える、〔16〕又は〔17〕に記載の水切り装置。
〔19〕
前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離させて、リンスに用いるための水切り剤分離液(c)を得る冷却槽と、
前記リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離する分離槽と、
を更に備える、〔16〕又は〔17〕に記載の水切り装置。
〔20〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽と、
リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽と、
蒸留槽において発生した、前記蒸気を少なくとも用いて被洗浄物を乾燥させる蒸気乾燥部と、
前記蒸気を冷却して凝縮液とする冷却部と、
前記凝縮液から水を分離する水分離槽と、
前記水が分離された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、
水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽と、
前記水切り剤(a)から水を分離する第一の分離槽と、
前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)に水を加えることにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を水に抽出することで除去して得られる水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る混合槽と、
前記リンス剤(b)と水切り剤(a)を分離する第二の分離槽と、
前記プレリンス剤(ab)で前記被洗浄物をプレリンスするプレリンス槽と、
前記蒸留槽と前記プレリンス槽との間で前記プレリンス剤(ab)を送液させる送液部と、
を備える、水切り装置。
〔21〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽と、
リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽と、
前記蒸留槽において発生した前記蒸気を少なくとも用いて被洗浄物を乾燥させる蒸気乾燥部と、
前記蒸気を冷却して凝縮液とする冷却部と、
前記凝縮液から水を分離する水分離槽と、
前記水が分離された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、
水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽と、
前記加熱槽において加熱された前記水切り剤(a)から水を分離する第一の分離槽と、
前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離させて得られる水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る冷却槽と、
前記冷却されたリンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離する第二の分離槽と、
前記プレリンス剤(ab)で前記被洗浄物をプレリンスするプレリンス槽と、
前記蒸留槽と前記プレリンス槽との間で前記プレリンス剤(ab)を送液させる送液部と、
を備える、水切り装置。
本発明によれば、被洗浄物の表面に付着する水分を除去する上で優れた水切り性能を有し、低毒性かつ低引火性であり、オゾン層破壊の恐れがない水切り剤、プレリンス剤、それを用いた水切り方法及び水切り装置を実現することができる。
本実施形態の水切り装置の一例の概念図である。 本実施形態の水切り装置の別の一例の概念図である。 本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。 本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。 本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。 本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において、「水切り」とは、被洗浄物に付着している水を次工程に影響のない程度まで除去することをいう。「被洗浄物」とは、水洗等によって洗浄された物品のことをいう。
「リンス」とは、水切り後、被洗浄物に付着している水を含む水切り剤又はプレリンス剤の少なくとも一部を、溶剤に取りこむことをいう。「シャワーリンス」とは、水切り後、液状又は霧状の溶剤を吐出して被洗浄物に当て、この溶剤を用いて、被洗浄物に付着している水切り剤をリンスすることをいう。「プレリンス」とは、水切り後、リンス前に、被洗浄物に付着している、水を含む水切り剤の少なくとも一部を溶剤に取りこむことをいう。
「蒸気乾燥」とは、被洗浄物表面にわずかに残留する水切り剤又はプレリンス剤を、被洗浄物と蒸気との温度差によって被洗浄物表面で凝縮する液体として除去することをいう。
「水切り剤分離液」とは水切り剤が含まれる液体を静置分離したときの最下層となる液をいう。
<水切り剤(a)>
本実施形態の水切り剤(a)は、液温を上げることにより水の溶解度が低下するグリコールエーテル(a1)を含む。グリコールエーテル(a1)は、2個の水酸基が2個の相異なる炭素原子に結合している脂肪族又は脂環式化合物であり、該水酸基の1個の水素が炭化水素残基又はエーテル結合を含む炭化水素残基に置換されている化合物をいう。
グリコールエーテル(a1)は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。

O―(RO)―H (1)

(式中、Rは、炭素数6若しくは7のアルキル基、炭素数6若しくは7のアルケニル基、炭素数6若しくは7のシクロアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を表し、Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、nは、1〜3の整数を表す。)
式(1)で表される構造を有する化合物を含むことで、液温により飽和水分濃度が変わることを利用して、水切り性能を保持したまま引火点消去を可能とするとともに、水切り剤中に溶け込んだ水を容易に分離できる。そして、リンス剤の液温によりリンス剤中に溶解する水切り剤濃度が変わることを利用して、リンス剤と水切り剤を容易に分離するとともに、分離された水切り剤分離液をリンス工程の前に使用することで優れた水切り剤リンス性を得ることができる。
グリコールエーテル(a1)の具体的な化合物としては、例えば、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジエチレングルコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等が挙げられる。それらの中でも、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルは、優れた水切り性能を有するとともに、水の分離性及びリンス剤の分離性に優れた化合物である。さらに、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルは後述する(i)〜(iii)の条件の全てを満足するので、水切り性に優れる水切り剤(a)及び水切り剤のリンス性に優れるプレリンス剤(ab)を得るのに最も適した化合物であり、かつ、水の分離性及びリンス剤の分離性に最も優れた化合物である。
水切り剤(a)は、水(a2)を更に含むことが好ましく、かつ非引火性であることがより好ましい。水切り剤(a)に水(a2)を添加することで、引火危険性を低減し、さらには引火点を消去することが可能となる。これにより、消防法上の危険物に該当しない水切り剤とすることができる。ここでいう、「引火点を消去する」とは、JIS K 2265に記載の「クリーブランド開放式」で測定し、いずれの測定方法においても水切り剤に引火点なし(すなわち、非引火性)と認められることを意味する。
水(a2)を含む水切り剤(a)とする場合、その製造方法は特に限定されず、定法に従って、成分(a1)に水(a2)を混合し、均一化することで、得ることができる。
水切り剤(a)が水(a2)を含むことにより引火点を消去させる場合の質量割合は、高水切り性、高水分離性、低毒性が損なわれない範囲であれば、特に限定されない。例えば、グリコールエーテル(a1)と水(a2)を併用する場合、(a1)/(a2)の質量比率は、95/5〜50/50の範囲であることが好ましい。(a1)/(a2)の質量比率において、成分(a1)の質量比率を95/5以下とすることで、優れた引火点消去効果が得られる。(a1)/(a2)の質量比率において、成分(a1)の質量比率を50/50以上とすることで、被洗浄物表面の水の低残留性を低くできる。水切り剤の水切り性と被洗浄物表面の水の残留性のバランスの観点から、更に好ましい質量比率の範囲は93/7〜60/40である。
本実施形態の水切り剤(a)は、下記の(i)及び(ii)の条件を満足する成分(a1)を40〜90質量%と、成分(a2)水を60〜10質量%とを、含むことが好ましい。
(i)前記成分(a1)と、前記成分(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、10〜30℃で静置すると均一に溶解し、かつ40〜70℃で静置すると上層(d)と下層(e)との2層に分離すること、
(ii)前記成分(a1)と、前記成分(a2)と、成分(b1):20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物(成分(b1))とを質量比52:3:45の割合で混合し、35℃で静置すると均一に溶解し、15℃で静置すると上層(f)と下層(g)の2層に分離すること。
上記条件(i)及び(ii)を満たすことにより、後述する水切り工程において、10〜30℃に液温をコントロールすることで水切り剤中に任意の割合で水が溶解し優れた水切り性能を示すことができる。液温を40〜70℃に上げることで、溶解した水を水切り剤から連続的かつ容易に分離することが可能となり、水切り剤の高い水切り性能を長期間に亘り維持することが可能となる。さらに、リンス剤は35℃で優れたリンス水切り剤のリンス性を示すので、液温を15℃に下げることで、リンス剤と水切り剤とを容易に分離することが可能となり、リンス剤の優れた性能を長期間維持することが可能となる。
20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上の非塩素系フッ素化合物(b1)とは、炭化水素類やエーテル類の水素原子の一部がフッ素原子のみで置換され、塩素原子を含まないフッ素化合物である。成分(b1)としては、特に限定されないが、例えば、下記式(2)で表される環状ハイドロフルオロカーボン(HFC)、下記式(3)で表される鎖状HFC、及び下記式(4)で表されるハイドロフルオロエーテル(HFE)が挙げられる。成分(b1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の化合物の組み合わせであってもよい。
2n−m (2)
(式中、n及びmは、4≦n≦6、5≦m≦2n−1の関係を満たす整数を表す。)

2x+2−y (3)
(式中、xは4〜6の整数を表し、yは5〜12の整数を表す。)

2s+1OR (4)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、sは4〜6の整数を表す、)
環状HFCの具体例としては、3H,4H,4H−パーフルオロシクロブタン、4H,5H,5H−パーフルオロシクロペンタン、5H,6H,6H−ノナフルオロシクロヘキサン等が挙げられる。
鎖状HFCの具体例としては、1H,1H,1H,3H,3H−パーフルオロブタン、1H,2H,3H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロブタン、1H,3H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロブタン、4H,4H−パーフルオロブタン、1H,1H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H,3H−パーフルオロブタン、1H,1H,4H−パーフルオロブタン、1H,2H−パーフルオロペンタン、1H,4H−パーフルオロペンタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、2H,4H−パーフルオロペンタン、2H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2H,3H−パーフルオロペンタン、1H,3H,5H−パーフルオロペンタン、1H,5H,5H−パーフルオロペンタン、2H,2H,4H−パーフルオロペンタン、1H,2H,4H,5H−パーフルオロペンタン、1H,4H,5H,5H,5H−パーフルオロペンタン、1H,2H−パーフルオロヘキサン、2H,3H−パーフルオロヘキサン、2H,4H−パーフルオロヘキサン、2H,5H−パーフルオロヘキサン、3H,4H−パーフルオロヘキサン等が挙げられる。
HFEの具体例としては、メチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロペンチルエーテル、メチルパーフルオロシクロヘキシルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロペンチルエーテル等が挙げられる。
本実施形態の水切り剤(a)は、上記条件(i)に記載の下層(e)と同じ組成であることが好ましい。かかる組成とすることにより、後述する使用時のリサイクル性を一層優れたものとすることができる。
<リンス剤(b)>
本実施形態の水切り剤(a)を使用して水切りを行う際には、リンス剤を併用することができる。本実施形態において使用できるリンス剤は特に限定されないが、20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物(b1)を含むリンス剤(b)を用いることが好ましい。リンス剤(b)が成分(b1)を含むことにより、水切り剤(a)を置換するとともに優れた乾燥性を示すことにより、被洗浄物表面に発生する乾燥シミを抑止し、光学レンズ等の高い水切り乾燥性を要求される分野で使用することができる。
リンス剤(b)は、上記した非塩素系フッ素化合物(b1)の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物を組み合わせて用いることができる。それらの中でも、グリコールエーテルモノアルキルエーテル類に対して良好な溶解特性を示すという観点から、HFC又はHFEが好ましく、1H,1H,1H,3H,3H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロペンタン,メチルパーフルオロブチルエーテルとメチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、及びそれらの混合物がより好ましい。
リンス剤(b)の組成は、特に限定されないが、蒸気乾燥前の最終リンス槽での乾燥性を一層高める観点から、リンス剤(b)において(a1)成分が0.5質量%以下含有されていることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。これにより、水を含む水切り剤のリンス性を高めることができる。
<プレリンス剤(ab)>
本実施形態のプレリンス剤(ab)は、下記(iii)の条件を満足する(a1)成分を1〜40質量%と、20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物(成分b1)を99〜60質量%と、を含む。
(iii)上記した条件(ii)の下層(e)と成分(b1)を質量比1:1で混合し、25℃で静置する場合、その最下層(h)を含め2層以上に分離すること。
上記条件(iii)を満たすことにより、後述する水切り方法及び水切り装置で使用した際に、リサイクル性に優れるとともに、優れたプレリンス性能を長期に亘り維持することができる。
本実施形態において、水切り剤(a)、リンス剤(b)、及びプレリンス剤(ab)に、必要に応じて、本実施態の効果を損ねない範囲内で、例えば、有機溶剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤、紫外線吸収剤等の各種助剤を添加してもよい。
有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類及び炭化水素類等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン,メチルエチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。炭化水素類としては、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、2−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,4−ジメチルペンタン、イソオクタン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、炭素数が6〜20の脂肪酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルカリ金属、アルカノールアミン及びアミン塩等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェノール、炭素数が8〜18の直鎖又は分岐の脂肪族アルコールのエチレンオキシド付加物、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックポリマー等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン型、アミノ酸型等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロアルカン類、1,2−ブチレンオキサイド等のエポキシド類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、トリエタノールアミン等のアミン類、1,2,3−ベンゾトリアゾール類等が挙げられる。かかる安定剤を含有することで、被洗浄物の腐食、発錆及び変色等を効果的に防止することができる。
消泡剤としては、例えば、自己乳化シリコーン、シリコン、脂肪酸、高級アルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、フェニルサリシレート類及びベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
次に、上記した水切り剤(a)、リンス剤(b)、及びプレリンス剤(ab)等を用いた水切り方法及び水切り装置について説明する。本実施形態において、上記した水切り剤(a)等を用いた水切り方法及び水切り装置としては、被洗浄物を水切りできるものであれば、特に限定されず、如何なる方法及び装置であってもよい。例えば、水切り剤(a)を使用した一般的な水切り方法及び水切り装置等をそのまま使用したり、必要に応じて改良したりして使用できる。このように、本実施形態は、水切り方法及び水切り装置の態様を限定するものではないが、本実施形態の水切り剤(a)等を使用する上で好ましい水切り方法及び水切り装置について以下に説明する。
<水切り方法>
本実施形態の水切り方法は、
水切り工程(1):上記水切り剤(a)を用いて、水が表面に付着した被洗浄物を水切りする工程と、
リンス工程(2):20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物(b1)を含むリンス剤(b)を用いて、前記水切り剤(a)が付着した被洗浄物をリンスする工程と、
蒸気乾燥工程(3):前記リンス剤(b)を加熱して得られる蒸気により、前記被洗浄物を蒸気乾燥する工程と、を有する。
水切り工程(1)において、水切り剤を用いて被洗浄物を水切りする方法は、特に限定されず、例えば、超音波、揺動、噴流及び循環等の方法が挙げられる。水切り工程(1)では、水切り性を一層向上させる観点から、浸漬、揺動、噴流、超音波、シャワー等の物理的な方法を組み合わせることが好ましい。
リンス工程(2)において、リンス剤(b)を加熱することで蒸気を発生させ、この蒸気を冷却することによって得られる凝縮液をリンス剤(b)として用いることが好ましい。特に、本実施形態の水切り方法においてリンス剤(b)を連続的に使用する場合、蒸気を発生させて得られる凝縮液を利用することが好ましい。リンス工程(2)では、リンス性を一層向上させる観点から、浸漬、揺動、噴流、超音波、シャワー等の物理的な方法を組み合わせることが好ましい。また、リンス性を一層向上させる観点から、リンス剤(b)は実質的に水を含まないことがより好ましい。
蒸気乾燥工程(3)では、被洗浄物に付着した水を上記した水切り剤(a)で水切りした後に、リンス剤(b)を加熱することによって発生する蒸気を少なくとも用いて、蒸気乾燥を行うものであればよい。例えば、所定の液体を加熱して得られる蒸気を用いて蒸気乾燥を行ってもよい。具体的には、後述する凝縮液等を加熱して蒸気乾燥を行ってもよいし、2種以上の液体を含む混合液を加熱して蒸気乾燥を行ってもよい。
シャワーリンスを行う場合の液体の吐出圧としては、特に限定されないが、水切り性と被洗浄物の材質への影響とのバランスの観点から、1×10〜2×10Paであることが好ましく、1×10〜1×10Paであることがより好ましい。本実施形態の水切り方法は、上記水切り剤(a)を少なくとも使用するものであり、水切り性及び乾燥性に優れ、かつ被洗浄物の材質に対する影響も少なく、好適である。
本実施形態の水切り方法は、水切りによって水が溶け込んだ水切り剤(a)を加熱することにより、前記水切り剤(a)に含まれる水の少なくとも一部を除去する工程と、
前記水を除去された水切り剤(a)を用いて、被洗浄物を水切りする工程と、
を更に有することが好ましい。
水切りに使われた水切り剤(a)には、被洗浄物に付着していた水分等が溶け込んでいる。水切り剤(a)は、液温を上げることにより水の溶解度が低下する性質を有するので、水切り剤(a)を加熱して液温を上げると飽和水分濃度を低下させることができる。その結果、水切り剤(a)に溶け込んだ水を水切り剤(a)から分離することができる。このような処理を施された水切り剤(a)は、再び優れた水切り効果を発揮でき、再利用することができる。
再利用される水切り剤(a)は、新しい水切り剤(a)と混合して使用してもよい。例えば、上記した、前記水を除去された水切り剤(a)を用いて、被洗浄物を水切りする工程は、上記の(1)水切り工程として行われるものであってもよい。
水切り剤(a)の液温を上げる程度は、分離性が損なわれない範囲であればよく、特に限定されないが、水切り槽の液温に対して15℃以上高い温度まで上げることが好ましい。15℃以上高い温度まで上げることにより、優れた水分離性が得られる。水切り剤の水切り性能を維持する観点から、水切り槽の液温に対して、25℃以上高い温度まで上げることがより好ましい。
水切り剤(a)に含まれる水を除去する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、静置分離、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂(乾燥して使用)等の脱水剤、ガラス繊維等による吸着除去、粗粒化膜等による膜分離等の方法が挙げられる。それらの中でも、経済的な観点や分離能の観点から、静置分離が好ましい。
本実施形態の水切り方法は、リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)に、水を加えることにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)を前記水に抽出して分離し、水切り分離液(c)を得る工程と、
前記水切り剤分離液(c)を加熱し、前記水切り剤分離液(c)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有することが好ましい。
リンス工程で使用されたリンス剤(b)には多量の水切り剤(a)が持込まれている。このリンス剤(b)に水を加えることで、リンス剤(b)に溶け込んだ水切り剤(a)を、リンス剤(b)から分離できる。これにより、リンス剤(b)の優れたリンス性能を長期間維持できる。
リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離するために加える水の添加量は、分離性が損なわれない範囲であれば、特に限定されないが、水切り剤(a)を含むリンス剤(b)/水の質量比率が、97/3〜50/50の範囲であることが好ましい。上記リンス剤(b)/水における水の質量割合を97/3以上とすることで、水切り剤分離性を一層向上させることができる。上記リンス剤(b)/水における水の質量割合を50/50以下とすることで、排水低減の効果を一層向上させることができる。
水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として使用することを考慮した場合、プレリンス剤(ab)中の成分(a1)濃度を一定濃度以上に維持するために、水切り剤分離時に加える水分量を制御する必要がある。この観点から、リンス剤(b)/水の質量割合の範囲は、95/5〜60/40であることが更に好ましい。
本実施形態の水切り方法は、リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離して、水切り剤分離液(c)を得る工程と、
前記水切り剤分離液(c)を加熱し、前記水切り剤分離液(c)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有することが好ましい。
本実施形態の水切り方法において、水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として用いて、リンス前にプレリンスすることが好ましい。プレリンスすることにより、水切り剤(a)中の水分濃度が上昇した場合のリンス不良の発生を一層効果的に抑制できる。
具体的には、本実施形態の水切り方法は、リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)に、水を加えることにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)を前記水に抽出して、水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る工程と、
前記プレリンス剤(ab)を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をプレリンスする工程と、
前記プレリンス剤(ab)を加熱して、プレリンス剤(ab)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を少なくとも用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有することが好ましい。
プレリンス剤(ab)としては、高プレリンス性が損なわれない溶剤であれば、特に限定されず、例えば、水切り剤(a)及び/又はリンス剤(b)の構成成分を添加することもできるし、プレリンス剤として上述したものも用いることもできる。より具体的には、プレリンス性を高める観点から、水切り剤(a)に含まれるグリコールエーテルモノアルキルエーテル類(a1)を含むことが好ましい。この場合、水切り剤(a)に含まれる成分(a1)の種類と、リンス剤(b)に含まれる成分(a1)の種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として使用することにより、連続的に水切りを行う際にプレリンス剤中の成分(a1)の濃度を一定に保持することができる。これにより、プレリンス剤の液交換を必要とせずランニングコストを低減できる。
プレリンス剤(ab)中の成分(a1)の濃度は、特に限定されないが、リンス槽におけるリンス剤(b)によるリンス性が向上し、高い乾燥性を得る観点から、水切り剤(a)中の成分(a1)の濃度より低いことが好ましい。また、汚れ成分を含む水切り剤成分の置換性が一層向上し、一層高いプレリンス性を得る観点から、リンス剤(b)中の成分(a1)の濃度より高いことが好ましい。
さらに、プレリンス剤(ab)中の成分(a1)の濃度が、水切り剤(a)中の成分(a1)の濃度より低く、かつ、リンス剤(b)中の成分(a1)の濃度より高いことがより好ましい。具体的には、プレリンス剤(ab)中の成分(a1)の濃度は1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
また、プレリンス剤(ab)中の成分(a1)の濃度が、水切り剤(a)中の成分(a1)の濃度と、リンス剤(b)中の成分(a1)の濃度との中間の濃度とでき、かつ、一定濃度を保つことができる。その結果、より高いリンス性が得ることができる。
プレリンス工程では、プレリンス性を向上させる目的で、浸漬、シャワー、超音波等の物理的な方法を組み合わせることが好ましい。シャワーによるプレリンスを行う場合の吐出圧は、1×10〜2×10Paであることが好ましく、より好ましくは1×10〜1×10Paである。水切り剤(a)を使用する上で、本実施形態の水切り方法は水切り性及び乾燥性に優れ、被洗浄物の材質に対する影響も少なく、好適である。
リンスを行う前に成分(a)を含むプレリンス剤でプレリンスを行う方法としては、浸漬、シャワー等の物理的な方法を組み合わせることにより、プレリンス性が向上するので好ましい。
あるいは、本実施形態の水切り方法においてプレリンス工程を行う場合の好ましい別の態様としては、前記(2)工程の後に、水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)を冷却し、リンス剤(b)中の水切り剤(a)の一部を分離して、水切り剤分離液(c)からなるプレリンス剤(ab)を得る工程と、
プレリンス剤(ab)を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をプレリンスする工程と、
プレリンス剤(ab)を加熱して、プレリンス剤(ab)の凝縮液を得る工程と、
前記凝縮液を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をリンスする工程と、
を更に有することが好ましい。
リンス工程で使用されたリンス剤(b)には多量の水切り剤(a)が持込まれている。このリンス剤(b)を冷却することで、リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離できる。これにより、リンス剤(b)の優れたリンス性能を長期間維持できる。
リンス剤(b)の液温を下げる程度は、分離性が損なわれない範囲であればよく、特に限定されないが、蒸留槽(2)の液温に対して15℃以上低い温度まで下げることが好ましい。15℃以上低い温度まで下げることにより、優れた水切り剤分離性が得られる。リンス剤(b)のリンス性能を維持する観点から、蒸留槽(2)の液温に対して、20℃以上低い温度まで下げることがより好ましい。
リンス剤(b)に含まれる水切り剤(a)を除去する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、静置分離、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂(乾燥して使用)等の脱水剤、ガラス繊維等による吸着除去、粗粒化膜や分離膜等による膜分離等の方法が挙げられる。それらの中でも、経済的な観点や分離能の観点から、静置分離が好ましい。
<水切り装置>
水切り装置の好ましい態様の一例としては、上記水切り剤(a)を用いて被洗浄物の水切りを行う水切り槽と、リンス剤、必要に応じてプレリンス剤、あるいはその両方の上記を発生させる蒸留槽と、前記蒸留槽において発生した前記蒸気の凝縮液から水を除去する水分離槽と、前記水分離槽において水が除去された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、前記蒸留槽において発生した前記蒸気を用いて、前記リンスされた被洗浄物を乾燥する蒸気乾燥部と、を備えるものが挙げられる。
本実施形態の水切り剤(a)を用いて、高い水切りレベルが要求される水切りを行う場合、好ましい水切り装置としては、水切り槽を常温に保持した状態で、水切り剤を入れた水切り槽に、水が付着した洗浄後の被洗浄物を浸漬して水切りする。次いで、蒸気圧が高い成分(b1)を含むリンス剤(b)の凝縮液を浸漬リンス槽に滞留させ、そこに被洗浄物を浸漬してリンスするものが挙げられる。これにより、被洗浄物の表面に付着している水切り剤(a)をリンスするとともに、被洗浄物の温度を低下させることで高い蒸気乾燥効果を得ることができる。
水切り装置は、リンス槽にリンス剤(b)の凝縮液を滞留させて浸漬リンスすることでより優れたリンス効果が得られるとともに、被洗浄物の表面に水切り剤が再付着することを防止できる。また、浸漬リンス槽では、リンス剤(b)を加熱することによって得られる凝縮液を使用することができる。
図1は、本実施形態の水切り装置の一例の概念図である。図1に示す水切り装置は、上記水切り剤(a)を用いて被洗浄物の水切りを行う水切り槽1と、リンス剤の蒸気を発生させる蒸留槽2と、前記蒸留槽2において発生した前記蒸気の凝縮液から水を除去する水分離槽3と、前記水分離槽3において水が除去された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽4と、前記蒸留槽2において発生した前記蒸気を用いて、前記リンスされた被洗浄物を乾燥する蒸気乾燥部5と、を備える。
水切りを行う際は、例えば、被洗浄物を専用のジグやカゴ等に入れて、水切り装置の水切り槽1、リンス槽4、蒸気乾燥部5の順に通過させて水切りを行うことができる。
水切り槽1は、冷却管6と、超音波発生部7とを備えている。蒸留槽2は、ヒータ10を備えている。水分離槽3は、冷却管11を備えている。水切り槽1には水切り剤(a)が満たされている。水切り剤の液温は冷却管6により制御されている。本実施形態では、水切り槽1は、水切り剤(a)の液温を制御する温度制御部を備えることが好ましい。温度制御部としては、特に限定されず、例えば、上記した冷却管やヒータ等が挙げられる。
水切り槽1において水切りを行う際は、超音波発生部7により超音波を照射しながら被洗浄物に付着した水を水切りすることができる。本実施形態では、このように水切り効果を一層高めるために物理的な力を併用することもできる。かかる物理的な力としては、特に限定されず、水切り装置に採用されている公知のもの(例えば、超音波、揺動、水切り剤の液中噴流等)を用いることができる。
蒸留槽2にはリンス剤(b)が満たされており、ヒータ10によって加熱され、これらは蒸気となる(蒸気の流れ16参照)。蒸留槽2で発生した蒸気の一部は、リンス槽4の冷却管8,9により凝縮液となり、凝縮液用配管13を経て水分離槽3へと送られる。また、蒸気の別の一部は、蒸気乾燥部5で行われる蒸気乾燥に用いられる。
水分離槽3では、冷却管11により凝縮液の液温を低下させるとともに、凝縮液に含まれる水を除去する。水の除去の方法としては、特に限定されず、公知の方法を行うことができる。経済的な観点や分離能の観点から、静置分離が好ましいが、それ以外にも、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂(乾燥して使用する。)等の脱水剤、ガラス繊維等による吸着除去、粗粒化膜等による膜分離等の方法によって水分を除去できる。これらの方法は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水が除去された凝縮液は水分離後の凝縮液用配管14を経てリンス槽4に送られる。そして、リンス槽4の超音波発生部12により超音波を照射しながら、被洗浄物に付着した水切り剤及び水を、凝縮液を用いてリンスする。本実施形態では、このようにリンス効果を一層高めるために物理的な力を使用することもできる。かかる物理的な力としては、特に限定されず、水切り装置に採用されている公知のもの(例えば、超音波、揺動、水切り剤の液中噴流等)を用いることができる。
蒸気乾燥部5では、蒸留槽2で発生した蒸気を用いて、リンスされた被洗浄物を乾燥させる。蒸気乾燥部5における乾燥方法の一例としては、例えば、上記したように、リンス剤(b)の蒸気を冷却管8,9で凝縮させて、一旦水分離槽3に集めて静置分離を行った後、リンス槽4に送られる。リンス槽4において被洗浄物を凝縮液に浸漬することにより、被洗浄物に付着している水切り剤(a)や、水切り剤(a)中に溶解及び/又は分散している水を除去する。
凝縮液は、水分離槽3に集められた後、水分離後の凝縮液用配管14からリンス槽4に再び入り、オーバーフローして(凝縮液の流れ15参照)蒸留槽2に戻る。蒸留槽2においてヒータ10で加熱され、その一部又は全部が蒸気(蒸気の流れ16参照)となって冷却管8,9によって凝縮されて、再び凝縮液となり、凝縮液用配管13を経て水分離槽3に戻る。このように、リンス剤(b)は再利用できるので経済的であり、かつ優れた水切り効率を維持することができる。
蒸気乾燥部5は、蒸留槽2で発生した蒸気に満たされており、リンスされた被洗浄物を蒸気乾燥させることができる。蒸気乾燥部5で行う蒸気乾燥は、被洗浄物の表面で蒸気が凝縮することによりできた液に汚れ成分が含まれないので、水切り工程の仕上げ乾燥として有効である。
本実施形態の水切り装置では、水切り剤(a)による水切りを行うだけでなく、蒸気圧の高いリンス剤(b)を装置内で液体や気体に適宜に状態変化させながら循環させる。そして、リンス槽4及び蒸気乾燥部5でリンス及び蒸気乾燥することで、被洗浄物に付着している微量な水切り剤だけでなく水切り剤に含まれる水までも簡便かつ効果的に除去することができる。その結果、より高い水切りレベルが求められる精密水切りとしても好適である。
図1に示した水切り装置では、その目的や用途によって、水切り槽及び/又はリンス槽の数を2槽以上にすることもできる。この場合、最後にリンスを行うリンス槽での乾燥性を高める観点からリンス剤(b)中の成分(a1)の含有量が0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
さらに、リンス槽4にヒータ(図示せず)を設置することにより、蒸気中の成分(a1)の含有量を効果的に低減することもできる。リンス剤(b)に成分(a1)が含まれることによりリンス性を向上させることができるが、最終の仕上げリンス(仕上げ乾燥)として蒸気洗浄を行う場合には、乾燥性を高める観点から、沸点が高く乾燥性が低い成分(a1)がリンス剤(b)に過剰に含まれないことが好ましい。これにより、蒸留槽2と比較して水切り剤(a)の成分が少ないリンス剤を加熱することで、より清浄度の高い蒸気を発生させることができる。
図2は、本実施形態の水切り装置の別の一例の概念図である。図2に示す水切り装置は、図1に示す水切り装置に、水切り剤(a)を加熱する加熱槽17と、前記水切り剤(a)から、前記水切り剤(a)に溶け込んだ水を分離する分離槽18とを、更に備える。
水切りに用いられた水切り剤(a)には水が多く持込まれている。この水切り剤(a)を加熱槽17において加熱することで、水切り剤(a)の液温を上げることができる。これにより、水切り剤(a)に溶け込んだ水を、水切り剤(a)から析出させることができる。そして、分離槽18において静置分離した後、水切り剤(a)を水切り槽1に戻し、かつ分離した水を系外に排出する。これにより優れた水切り性能を維持できる。水切り槽1内の水切り剤(a)の温度を制御することで、長期間に亘り優れた水切り性能を有するとともに、液温差を利用した水分離を可能とする。
加熱槽17では、水切り剤送液用ポンプ20により水切り剤送液用配管19を経て水切り槽1から送液された水切り剤(a)をヒータ21で加熱する。これにより、水切り剤(a)に溶け込んだ水を分離させることができる。ヒータ21を制御することで、水切り剤の液温を制御することができる。そして、水分離後の戻り液用配管22を経て分離槽18に送液される。
分離槽18では、水切り剤(a)とそれに溶け込んだ水とを静置分離する。分離された水切り剤は水分離後の戻り液用配管23から水切り槽1に戻され、分離された水は排水用配管24から系外に排出される。本実施形態の水切り装置は、水切り剤(a)に溶け込んだ水を連続的に系外に排出することで、水切り剤(a)の優れた水切り性能を維持することが可能となる。
図2に示す水切り装置では、その目的や用途によって、加熱槽及び/又は分離槽の数を2槽以上にすることができる。分離速度の観点から、分離槽18は分離フィルターを備えることが好ましい。分離フィルターの材料は、特に限定されず、織布、編布、不織布のいずれでもよい。
分離フィルターを構成する繊維は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系共重合体の繊維、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプラミド等のポリアミド繊維、ポリアミド・イミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラオキシベンゾエート等のポリエステルエーテルの繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有重合体の繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの繊維、各種アクリル繊維及びポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース、アセテート、木綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維が挙げられる。これらの繊維は1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これら繊維をジメチルポリシロキサンやパーフルオロアルキル基を持ったフッ素系樹脂等で撥水加工処理したものも使用可能である。
分離フィルターを構成する繊維の単繊維直径は、汚れ分離性が損なわれない範囲であればよく、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10μmのものを主体とし、より好ましくは単繊維直径2μm以下のものを主体とする。ここで「主体とする」とは、分離フィルターを構成する繊維の総重量に対して、上述の単繊維直径を有する繊維の総重量が50%以上であることである。単繊維直径が10μm以下で、より好ましい微分散した汚れ成分の除去性及び処理速度が得られ、0.1μm以上で容易に入手することができる。
分離フィルターの厚みは、汚れ分離性が損なわれない範囲であれば、特に限定はされないが、好ましくは0.1〜70mmである。厚みが0.1mm以上であることにより、一層好ましい分離効果が得られ、70mm以下でより好ましい液透過時の圧力損失の抑制が可能となる。
分離フィルターは、平膜状、円筒状、スパイラル状、プリーツ状等の任意の形態で用いることができる。処理効率の面から、分離フィルターはプリーツ状の形態で用いることが好ましい。また、分離フィルターは、1枚あるいは複数枚を積層することによって使用できる。通液方法は、特に限定されず、例えば、重力による液透過、圧送による液透過等の任意の方法を採用することができる。
分離フィルターは、補強等の目的で、金網、プラスチックあるいは繊維構造体等の補強剤を用いることも可能である。また、分離フィルターに戻り液を通す前に、ゴミ等を捕集するためのプレフィルター、例えば膜状、綿状のゴミ捕集材を設けることも可能である。
分離フィルターとして、市販されているものを用いることができ、下記(イ)又は(ロ)の特徴を有する分離フィルター「ユーテック」(商標、旭化成せんい(株)製)が特に好ましい。
(イ):単繊維直径0.1〜10μmの繊維を主体とし、空隙率が30〜90%、厚さ0.1〜70mmで、かつ、繊維表面の臨界表面張力が3.5×10−2N/m以上の分離フィルターによって粗粒化分離する分離フィルターであること、
(ロ):単繊維直径0.1〜10μmの繊維を主体とし、空隙率が30〜90%の撥水性を有する分離フィルターによって、戻り液中の汚れ成分を分離する分離フィルターであること。
上記水切り方法を行うことができる水切り装置の好ましい態様として、前記リンスに用いられることにより前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)に、水を添加することにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)を前記水に抽出させて、前記リンスに用いるための水切り剤分離液(c)を得る混合槽を、更に備える水切り装置が挙げられる。
図3は、本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。図3に示す水切り装置は、図1に示す水切り装置に、リンス剤(b)に水を加えることにより、前記水に水切り剤(a)を抽出して、水切り剤分離液(c)を得る混合槽25と、前記リンス剤(b)と前記水切り剤(a)とを分離する分離槽32と、を更に備える。
蒸留槽2のリンス剤(b)はリンス剤送液用ポンプ27により混合槽25に送られる。混合槽25には水供給用配管28から水が供給される。これにより、リンス剤(b)と水切り剤を水中に抽出することができる。その結果、リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離することができる。次いで、リンス剤(b)を蒸留槽2に戻し、かつ分離した水と不要な水切り剤(a)を水及び水切り剤排液用配管31から系外に排出する。蒸留槽2に蓄積する水切り剤(a)と水を連続的に系外に排出することで、リンス及び蒸気乾燥の際に乾燥シミ等の発生を抑止でき、かつ優れたリンス性能を長時間維持できる。
混合槽25では、リンス剤送液用ポンプ27により蒸留槽2からリンス剤送液用配管26を経て送液されるリンス剤(b)と、水供給用配管28から供給される水と、を混合し、冷却管29で冷却する。例えば、リンス剤(b)に成分(b1)が含まれる場合、成分(b1)は液温によって溶解特性が大きく変化する性質を有するので、冷却管29によりリンス剤(b)が冷却されることにより液温が下がり、成分(b1)の水溶解性が大きく低下する。その結果、リンス剤(b)の水溶解性も低下する。これにより、リンス剤(b)に溶解している水切り剤(a)を水中に抽出することができる。
混合槽25では、水切り剤(a)を水中に抽出する際に、物理的な力を用いることが好ましい。物理的な力としては、攪拌、超音波、噴流、循環等の物理的な力であれば、いかなる方法を使用してもよい。
本実施形態の水切り装置では、リンス剤(b)に溶け込んだ水切り剤(a)を連続的に系外に排出することで、リンス剤(b)の優れたリンス性能を維持することが可能となり、より高い水切りレベルを求められる水切りに適合することができる。
図3に示した水切り装置では、その目的や用途によって、混合槽の数を2槽以上にすることができる。さらに、混合槽の後に分離フィルターを設置することは分離速度が速くなるので好ましい。
図4は、本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。図4に示す水切り装置は、図1に示す水切り装置に、前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離させて、リンスに用いるための水切り剤分離液(c)を得る冷却槽33と、前記リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離する分離槽34と、を更に備える。
冷却槽33においてリンス剤(b)を冷却することにより、リンス剤の飽和溶解濃度が低下するので、リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離することができる。次いで、リンス剤戻り用配管30aを経て分離槽34に送られ、分離槽34において静置分離を行った後、水切り剤分離液(c)はリンス剤戻り用配管30bを経て蒸留槽2に戻されるとともに、分離した水切り剤(a)を含む分離液を水及び水切り剤排液用配管31から系外に排出する。蒸留槽2に蓄積する水切り剤(a)を連続的に系外に排出することで、リンス及び蒸気乾燥の際に乾燥シミ等の発生を抑止でき、かつ優れたリンス性能を長時間維持できる。
冷却槽33では、リンス剤送液用ポンプ27によりリンス剤送液用配管26を経て蒸留槽2から送液されるリンス剤(b)を冷却管37で冷却する。例えば、リンス剤(b)が成分(b1)を含む場合、成分(b1)は、液温によって溶解特性が大きく変化する性質を有するので、冷却管37によりリンス剤(b)が冷却されることにより液温が下がり、水切り剤溶解性が大きく低下する。これにより、リンス剤(b)に溶解している水切り剤(a)を効果的に分離することができる。
一方、冷却された水切り剤(a)を含むリンス剤(b)は水切り剤分離後のリンス剤戻り用配管30aを経て分離槽34に送液される。分離槽34ではリンス剤(b)と水切り剤(a)とを静置分離する。水切り剤分離液(c)はリンス剤戻り用配管30bを経て蒸留槽2に戻され、水切り剤(a)を含む分離液は水及び水切り剤排液用配管31から系外に排出される。
冷却槽33では、水切り剤(a)を分離する際に、物理的な力を用いることが好ましい。物理的な力としては、攪拌、超音波、噴流、循環等の物理的な力であれば、いかなる方法を使用してもよい。
本実施形態の水切り装置では、リンス剤(b)と水切り剤(a)とを連続的に系外に排出することで、リンス剤(b)の優れたリンス性能を維持することが可能となり、より高い水切りレベルを求められる水切りに適合することができる。
図4に示した水切り装置では、その目的や用途によって、冷却槽及び/又は分離槽の数を2槽以上にすることができる。さらに、冷却後の後に分離フィルターを設置することは分離速度が速くなるので好ましい。
図5は、本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。本実施形態では、プレリンス槽を更に備える水切り装置を用い、上記したプレリンス剤を併用して水切りを行ってもよい。図5に示す水切り装置は、上記水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽1と、
リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽2と、
前記蒸留槽2において発生した、前記蒸気を少なくとも用いて被洗浄物を乾燥させる蒸気乾燥部5と、
前記蒸気を冷却して凝縮液とする冷却部(冷却管8,9)と、
前記凝縮液から水を分離する水分離槽3と、
前記水が分離された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽4と、
水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽17と、
前記水切り剤(a)から水を分離する第一の分離槽18と、
前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)に水を加えることにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を水に抽出することで除去して得られる水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る混合槽25と、
前記リンス剤(b)と水切り剤(a)とを、前記リンス剤(b)から分離する第二の分離槽32と、
前記プレリンス剤(ab)で前記被洗浄物をプレリンスするプレリンス槽40と、
前記蒸留槽2と前記プレリンス槽40との間で前記プレリンス剤(ab)を送液させる送液部(プレリンス剤循環用配管45)と、
を備える。
実際の水切りにおいては被洗浄物を専用のジグやカゴ等に入れて、水切り装置内を水切り槽1、プレリンス槽40、リンス槽4、蒸気乾燥部5の順に通過させながら水切りを完了させることができる。
水切り槽1では、冷却管6により水切り剤の液温を制御した状態で超音波発生部7により超音波を発生しながら、上記した水切り剤(a)を用いて被洗浄物に付着した水を水切り除去する。水切り除去の際に用いる物理的な力としては、超音波に限定されず、揺動や水切り剤の液中噴流等の水切り機に採用されているものであれば、いかなる方法を使用してもよい。水切り槽1で用いられる冷却方法としては、特に限定されず、公知のものを採用できる。例えば、冷却管を用いた水冷や、空冷等が挙げられる。
プレリンス槽40では、混合槽25で処理された水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として使用することができる。プレリンス槽40は超音波発生部41を備えており、被洗浄物に付着した水切り剤(a)及びこれに溶け込んだ水を、超音波を用いながらプレリンスする。混合槽25で分離された水切り剤分離液(c)は蒸留槽2に戻り、プレリンス槽循環用ポンプ44によってプレリンス剤循環用配管45を経てプレリンス槽40に送液された後、その一部はオーバーフローして蒸留槽2に戻る(凝縮液及びプレリンス剤の流れ43参照)。プレリンスの際の物理的な力としては、揺動、超音波及び水切り剤の液中噴流等の水切り機に採用されている公知のものを用いることができる。
リンス槽4では、蒸留槽2のヒータ10により加熱されて蒸気となったリンス剤(b)を冷却管8及び9によって冷却して凝縮液とし、凝縮液用配管13を経て水分離槽3に送液する。水分離槽3では、冷却管11により凝縮液の液温を低下させるとともに水分を除去する。そして、水分離後の凝縮液用配管14を経てリンス槽4に戻された、水分が除去された凝縮液を用いて、被洗浄物に付着した水切り剤(a)及び水をリンス除去する。この際、超音波発生部12により生じる超音波を併用してリンスすることができる。物理的な力としては超音波、揺動、水切り剤の液中噴流等のこれまでの水切り装置に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用してもよい。
蒸気乾燥部5では、リンス剤(b)やプレリンス剤(ab)の蒸気を冷却管8,9で冷却させて凝縮液とし、凝縮液用配管13を経て水分離槽3に集められた後、リンス槽4に送る。リンス槽4において被洗浄物を凝縮液に浸漬させてリンスすることによって、被洗浄物に付着しているプレリンス剤(ab)を除去する。そして、リンス槽4の凝縮液の一部はオーバーフローしてプレリンス槽40に送られ(凝縮液の流れ42参照)、さらにオーバーフローして蒸留槽2に戻り(凝縮液及びプレリンス剤の流れ43参照)、ヒータ10で加熱される。そして、その一部又は全部が蒸気となって(蒸気の流れ16参照)、冷却管8,9で凝縮された後、凝縮液用配管13から水分離槽3に再び送られる。
蒸留槽2で発生した蒸気に満たされた蒸気乾燥部5で行う蒸気乾燥は、被洗浄物表面で蒸気が凝縮することによりできた液中に汚れ成分が含まれないので、水切り工程最後の仕上げ乾燥として有効である。
加熱槽17では、水切り剤送液用ポンプ20により水切り槽1から水切り剤送液用配管19を経て送液された水切り剤(a)をヒータ21で加熱する。これにより、水切り剤(a)に溶け込んだ水を析出させる。そして、水分離後の戻り液用配管22を経て第一の分離槽18に送られる。
第一の分離槽18では、水切り剤(a)に溶け込んだ水を、水切り剤(a)から静置分離する。分離された水切り剤(a)は水分離後の戻り用配管23から水切り槽1に戻される。一方、分離された水は排水用配管24から系外に排出される。
混合槽25では、プレリンス剤送液用ポンプ36により蒸留槽2からプレリンス剤送液用配管35を経て送液されたプレリンス剤(ab)と、水供給用配管28から供給される水と、を混合し、冷却管29で冷却する。そして、プレリンス剤戻り用配管38aを経て第二の分離槽32へと送られる。これにより、プレリンス剤(ab)に溶解している水切り剤(a)を水中に抽出して分離することができる。
第二の分離槽32では、プレリンス剤(ab)と水切り剤(a)とを静置分離し、水切り剤分離液(c)を得る。水切り剤分離液(c)はプレリンス剤戻り用配管38bより蒸留槽2に戻されるとともに、分離された水切り剤(a)を含む分離液は水切り剤排液用配管39より、加熱槽17に戻し、水切り剤(a)の成分として再利用する。
混合槽25で処理された水切り剤分離液(c)を蒸留槽2とプレリンス槽40との間を送液させるための送液部としては、プレリンス槽循環用ポンプ44を用いているが、特に限定されず、ポンプ等の公知のものを採用できる。
図6は、本実施形態の水切り装置の更に別の一例の概念図である。図6に示す水切り装置は、上記水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽1と、
リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽2と、
前記蒸留槽2において発生した、前記蒸気を少なくとも用いて被洗浄物を乾燥させる蒸気乾燥部5と、
前記蒸気を冷却して凝縮液とする冷却部(冷却管8,9)と、
前記凝縮液から水を分離する水分離槽3と、
前記水が分離された凝縮液を用いて、水切り剤(a)が付着した前記被洗浄物をリンスするリンス槽4と、
水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽17と、
前記加熱槽において加熱された前記水切り剤(a)から水を分離する第一の分離槽18と、
前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記プレリンス剤(ab)を冷却することにより、前記プレリンス剤(ab)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離させて得られる水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る冷却槽33と、
前記冷却されたプレリンス剤(ab)から、水切り剤(a)を分離する第二の分離槽34と、
前記プレリンス剤(ab)で前記被洗浄物をプレリンスするプレリンス槽40と、
前記蒸留槽2と前記プレリンス槽40との間で前記プレリンス剤(ab)を送液させる送液部(プレリンス剤循環用配管45)と、
を備える。
図6に示す水切り装置は、冷却槽33に新たな水を供給せずに、液体を循環させる点で少なくとも相違する。図5に示す水切り装置は、混合槽25で水抽出を行うことで分離操作を行っているが、図6に示す水切り装置は、冷却槽33にて液体を冷却することで飽和溶解度を制御することで分離操作を行う。
水切り槽1では、冷却管6により水切り剤の液温を制御した状態で超音波発生部7により超音波を発生しながら、上記した水切り剤(a)を用いて被洗浄物に付着した水を水切り除去する。水切り除去の際に用いる物理的な力としては、超音波に限定されず、揺動や水切り剤の液中噴流等の水切り機に採用されているものであれば、いかなる方法を使用してもよい。冷却槽33で用いられる冷却方法としては、特に限定されず、公知のものを採用できる。例えば、冷却管を用いた水冷や、空冷等が挙げられる。これにより、リンス剤(b)に溶解している水切り剤(a)を分離する。
一方、プレリンス剤(ab)はプレリンス剤戻り用配管38aを経て第二の分離槽34に送液される。第二の分離槽34ではプレリンス剤(ab)と水切り剤(a)とを静置分離する。水切り剤分離液(c)はプレリンス剤戻り用配管38bを経て、蒸留槽2に戻され、水切り剤(a)を含む分離液は水切り剤排液用配管39から、加熱槽17に戻される。水切り剤分離液(c)は水切り剤分離後のプレリンス剤戻り用配管38bを経て蒸留槽2に戻り、さらにプレリンス槽循環用ポンプ44によりプレリンス剤循環用配管45を経てプレリンス槽40に送液された後、その一部はオーバーフローして蒸留槽2に戻る(凝縮液及びプレリンス剤の流れ43参照)。プレリンス槽40では水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として利用する。被洗浄物に付着した水切り剤及びこれに溶け込んだ水を超音波発生部41から発生する超音波を用いながらプレリンスする。
リンス槽4では、蒸留槽2でプレリンス剤(ab)をヒータ10で加熱し、蒸気を冷却管8,9によって凝縮し、凝縮液用配管13を経て水分離槽3に送液する。水分離槽3で冷却管11により凝縮液の液温を低下させて、水分を除去する。水分の除去された凝縮液は、水分離後の凝縮液用配管14を経てリンス槽4に戻され、超音波発生部12から発せられる超音波を用いながら、被洗浄物に付着した水切り剤及び水を含むプレリンス剤をリンスして除去する。物理的な力としては超音波、揺動、水切り剤の液中噴流等のこれまでの水切り機に採用されている物理的な力であれば、いかなる方法を使用してもよい。
蒸気乾燥部5では、プレリンス剤(ab)の蒸気を冷却管8,9で凝縮させて、水分離槽3に集めた後、リンス槽4に送られる。リンス槽4では、被洗浄物を凝縮液に浸漬してリンスすることによって、被洗浄物に付着している水切り剤(a)や、水切り剤(a)に持込まれている水を含むプレリンス剤を除去する。そして、リンス槽4の凝縮液の一部はオーバーフローしてプレリンス槽40に送られ(凝縮液の流れ42参照)、さらにオーバーフローして蒸留槽2に戻り(凝縮液及びプレリンス剤の流れ43参照)、ヒータ10で加熱される。そして、その一部又は全部が蒸気となって(蒸気の流れ16参照)、冷却管8,9で凝縮された後、凝縮液用配管13から水分離槽3に再び送られる。
蒸留槽2で発生した蒸気に満たされた蒸気乾燥部5で行う蒸気乾燥は、被洗浄物表面で蒸気が凝縮することによりできた液中に汚れ成分が含まれないので、水切り工程最後の仕上げ乾燥としてとりわけ有効である。
加熱槽17では、水切り剤送液用ポンプ20により水切り槽1から水切り剤送液用配管19を経て送液された水切り剤(a)をヒータ21で加熱する。これにより、水切り剤(a)に溶け込んだ水を析出させる。そして、水分離後の戻り液用配管22を経て第一の分離槽18に送られる。
第一の分離槽18では、水切り剤(a)に溶け込んだ水を、水切り剤(a)から静置分離する。分離された水切り剤(a)は水分離後の戻り用配管23から水切り槽1に戻される。一方、分離された水は排水用配管24から系外に排出される。
冷却槽33では、プレリンス剤送液用ポンプ36により蒸留槽2からプレリンス剤送液用配管35を経て送液されたプレリンス剤(ab)を、冷却管37で冷却する。これにより、プレリンス剤(ab)に溶解している水切り剤(a)を、プレリンス剤(ab)から分離する。分離された水切り剤分離液(c)はプレリンス剤戻り用配管38aより第二の分離槽34に送られる。
第二の分離槽34ではプレリンス剤(ab)と水切り剤(a)とを静置分離し、水切り剤分離液(c)を得る。分離された水切り剤分離液(c)はプレリンス剤戻り用配管38bより蒸留槽2に戻されてプレリンス剤の成分として再利用される、分離された水切り剤(a)を含む分離液は水切り剤排液用配管39より加熱槽17に戻されて水切り剤(a)の成分として再利用する。
水切り剤分離液(c)を蒸留槽2とプレリンス槽40とを間で送液させるための送液部としては、プレリンス槽循環用ポンプ44を用いているが、特に限定されず、ポンプ等の公知のものを採用できる。
本実施形態の水切り装置では、リンス前に水切り剤分離液(c)をプレリンス剤(ab)として、浸漬リンスすることにより、水切り剤及び水切り剤中に溶解している水の被洗浄物表面への残留量を低減することで水切り剤の寿命を飛躍的に改善でき、かつ、リンス及び蒸気乾燥効果を高めることにより、より高い水切り性能を得ることが可能となる。さらに、水切り剤(a)を含む分離液を水分離工程(加熱槽17)に戻すことにより、水切り槽から被洗浄物に付着して持出された水切り剤(a)を再利用することで、水切り剤使用量の大幅削減により、ランニングコストの低減が可能となる。
本実施形態の水切り剤、これを用いた水切り方法及び水切り装置は、精密機器、光学機器、電子機器及び一般金属部品等の水切りに好適に用いることができる。特に、高い乾燥性の要求される光学レンズ等のガラス製品やハードディスクドライブの水切りに好適である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、水切り剤等の各種物性は以下のようにして測定、評価した。
[実施例1〜5及び比較例1〜16]
(1)水分離性試験
30mLサンプル管に水14gと成分(a1)14gを入れ、手で1分間揺動し、25℃に設定した恒温水槽にサンプル管を30分間浸漬し均一に溶解することを目視確認した。これを55℃に設定した恒温水槽に移動し30分間浸漬した後、取り出して外観を観察した。水分離性評価は相分離状態を外観目視評価した。評価は以下の基準による。
「◎」:25℃で均一に溶解し、55℃で相分離する。さらに、水層中成分(a1)濃度が
20質量%以下である。
「○」:25℃で均一に溶解し、55℃で相分離する。
「×」:25℃及び55℃のいずれの温度においても均一に溶解する。
実施例1〜5
表1に記載の各水切り剤について、水分離性試験を行ない、結果を表1にまとめた。水切り剤に配合するグリコールエーテル(a1)はいずれも液温を25℃から55℃に上げることにより、相分離した。これにより、水切り剤(a)に溶け込んだ水を分離できることが確認された。特に実施例4では、水層中のグリコールエーテル(a1)の濃度が20質量%以下であり、排水負荷が少ないことが確認された。
比較例1〜16
表1に記載の溶剤について実施例と同じ評価試験を行った。結果を表1にまとめた。試験したグリコールエーテルは、液温を55℃まで上げても相分離せず、水を分離できないことが確認された。
Figure 2010126130
[実施例6〜26]
(2)水切り性試験
各水切り剤により水切りしたステンレス金網の水切り性を以下の操作により測定した。
30メッシュのステンレス金網(27cm)を蒸留水に浸漬し、30秒間超音波(28kHz)にかけてサンプルを作製した。これを25℃の水切り剤100mLで1分間超音波水切り(28kHz)し、1H,1H,1H,3H,3H−パーフルオロブタン(商品名:Solkane365mfc、日本ソルベイ(株)製)とメチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテルの混合物(商品名:ノベックHFE−7100、住友スリーエム社製)との混合物(Solkane365mfc/ノベックHFE−7100=88/12質量%)でリンス及び蒸気乾燥した後、無水メタノール30mLで水分を抽出し、カールフィッシャー法にて水分測定した。評価は以下の基準による。
「○」:水分残留量 10mg/枚未満
「×」:水分残留量 10mg/枚以上
水切り工程 :液温20℃、超音波28kHz、1分
リンス工程1:液温20℃、超音波28kHz、1分
リンス工程2:液温20℃、超音波28kHz、1分
蒸気乾燥 :1分
実施例6〜26
表2に記載の各水切り剤(a)について、水切り性試験を行ない、結果を表2にまとめた。グリコールエーテル(a1)に水(a2)を一定量加えた水切り剤(a)は、いずれも水分残留量が10mg/枚未満であり、参考例1に示したイソプロピルアルコールと同等の優れた水切り性能を有することが確認された。
Figure 2010126130
[実施例27〜31]
(3)グリコールエーテル分離性試験
30mLサンプル管に成分(a1)と成分(b1)とを一定の割合((a1)/(b1)=50/50質量%)で混合し均一に溶解した均一溶液を作製後、各均一溶液と成分(a2)とを一定の割合(=65/35質量%)で混合した後、手で1分間揺動した。25℃で30分間静置した後、取り出して外観を観察した。グリコールエーテル分離性は相分離状態を外観目視により評価した。評価は以下の基準による。
「◎」:相分離する。さらに、成分(b1)中に含まれる成分(a1)濃度が5質量%以上である。
「○」:相分離する。
「×」:相分離しない。
成分(b1):1H,1H,1H,3H,3H−パーフルオロブタン(商品名:Solkane365mfc、日本ソルベイ(株)製)
実施例27、28、31
表3に記載の各グリコールエーテルについて、グリコールエーテル分離性試験を行ない、結果を表3にまとめた。成分(a1)と成分(b1)とが均一に溶解した液に成分(a2)を加えることにより相分離し、成分(b1)に溶け込んだ成分(a1)を分離できることが確認された。
実施例29、30
表3に記載の各成分(a1)について、グリコールエーテル分離性試験を行ない、結果を表3にまとめた。成分(a1)と成分(b1)とが均一に溶解した液に成分(a2)を加えることにより相分離し、成分(b1)に溶け込んだ成分(a1)を分離できることが確認された。さらに、成分(b1)中に含まれる成分(a1)の濃度が5質量%以上であることが確認され、プレリンス剤として適した組成であることが確認された。
Figure 2010126130
[実施例32〜71]
(4)プレリンス性試験
スライドグラスを水切り剤100mL中に30秒間浸漬した後、(3)水切り剤分離試験における実施例30で分離した下層(g)液中に5分間浸漬しリンス性を観察した。プレリンス性評価は投影機の光を斜めからスライドグラスに照射し、スライドグラスの表面状態を外観目視により評価した。評価は以下の基準による。
「◎」:スライドグラス表面に水切り剤の残留なし
「○」:スライドグラス表面に水切り剤の残留が僅かにあり
「×」:スライドグラス表面に水滴状に水切り剤の残留あり
実施例32〜52,56,60,64,68
表4に記載の各水切り剤について、水切り剤分離性試験を行ない、結果を表4にまとめた。実施例31の水切り剤分離液(c)でプレリンスすることにより、スライドグラス表面に付着していた水切り剤が完全にリンスできることが確認された。
実施例53〜55,57〜59,61〜63,65〜67,69〜71
表4に記載の各水切り剤(a)について、水切り剤分離性試験を行った。結果を表4にまとめた。成分(a2)を含まないリンス剤でも、スライドグラス表面に付着していた水切り剤がほぼリンスできることが確認された。
Figure 2010126130
[実施例72]
(5)水切り剤分離性試験
30mLサンプル管に成分(a1)、水(a2)及び成分(b1)を一定の割合(成分(a1)/水(a2)/成分(b1)=52/3/45質量%)で混合した後、手で1分間揺動した。15℃で30分間静置した後、取り出して外観を一度観察する。さらに手で1分間揺動した後に40℃で30分間静置し、外観を再度観察する。水切り剤分離性は相分離状態を外観目視により評価した。評価は以下の基準による。
「○」:15℃で相分離し、40℃で相分離せず均一に溶解する。
「×」:15℃及び40℃のいずれの液温においても相分離しない。
成分(a1):ジエチレングリコールモノベンジルエーテル
成分(b1):1H,1H,1H,3H,3H−パーフルオロブタン(商品名:Solkane365mfc、日本ソルベイ(株)製)
実施例72
上記記載の割合で混合した液による水切り剤分離性試験を行ない、結果を以下にまとめた。
分離性:○
ジエチレングリコールモノベンジルエーテルは成分(a1)、成分(a2)及び成分(b1)の3成分系において、液温を変化させることにより相分離し、相分離させるための水添加を必要としない優れた分離性が確認された。
[実施例73〜83及び比較例17]
(5)引火点測定
JIS K 2265に従い、クリーブランド開放式で引火点の測定を行った。評価は以下の基準による。
「◎」:引火点なし
「○」:引火点45℃以上
「×」:引火点45℃未満
実施例73〜78
表5に記載の組成で各成分を混合し、目的の水切り剤を得た。各水切り剤について、引火点測定を行ない、結果を表5にまとめた。グリコールエーテルに水(a2)を加えることにより、引火点が消去されることを確認した。
実施例79〜83
表5に記載の水切り剤で引火点測定を行い。結果を表5にまとめた。試験した水切り剤全ての引火点が45℃であり、引火危険性の低いことが確認された。
比較例17
表5に記載の溶剤について実施例と同じ引火点測定を行った。結果を表5にまとめた。
その結果、引火点のあることが確認された。
Figure 2010126130
本出願は、2009年4月30日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2009−111408)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、精密機器、光学機器、電子機器及び一般金属部品等の水切り後に被洗浄物表面に付着する水分を除去する技術として好適である。
1…水切り槽、2…蒸留槽、3…水分離槽、4…リンス槽、5…蒸気乾燥部、6,8,9,11,29,37…冷却管、7,12,41…超音波発生部、10,21…ヒータ、13…凝縮液用配管、14…水分離後の凝縮液用配管、15…凝縮液の流れ、16…蒸気の流れ、17…加熱槽、18,32,34…分離槽、19…水切り剤送液用配管、20…水切り剤送液用ポンプ、22,23…水分離後の戻り液用配管、24…排水用配管、25…混合槽、26…リンス剤送液用配管、27…リンス剤送液用ポンプ、28…水供給用配管、30,30a,30b…リンス剤戻り用配管、31…水及び水切り剤排液用配管、33…冷却槽、35…プレリンス剤送液用配管、36…プレリンス剤送液用ポンプ、38a,38b,…プレリンス剤戻り用配管、39…水切り剤排液用配管、40…プレリンス槽、42…凝縮液の流れ、43…凝縮液及びプレリンス剤の流れ、44…プレリンス槽循環用ポンプ、45…プレリンス剤循環用配管

Claims (21)

  1. 液温を上げることにより水の溶解度が低下するグリコールエーテル(成分(a1))を含む、水切り剤(a)。
  2. 前記成分(a1)が、下記式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の水切り剤(a)。

    O―(RO)―H (1)

    (式中、Rは、炭素数6若しくは7のアルキル基、炭素数6若しくは7のアルケニル基、炭素数6若しくは7のシクロアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を表し、Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、nは、1〜3の整数を表す。)
  3. 前記成分(a1)が、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、又はジエチレングリコールモノベンジルエーテルである、請求項1に記載の水切り剤(a)。
  4. 前記成分(a1)が、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルである、請求項1に記載の水切り剤(a)。
  5. 前記水(a2)を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水切り剤(a)。
  6. 下記の(i)及び(ii)の条件を満足する前記成分(a1)を40〜90質量%と、
    前記成分(a2)水を60〜10質量%と、
    を含む請求項5に記載の水切り剤;
    (i)前記成分(a1)と、前記成分(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、10〜30℃で静置すると均一に溶解し、かつ40〜70℃で静置すると上層(d)と下層(e)との2層に分離すること、
    (ii)前記成分(a1)と、前記成分(a2)と、成分(b1):20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物とを質量比52:3:45の割合で混合した場合、35℃で静置すると均一に溶解し、かつ15℃で静置すると上層(f)と下層(g)との2層に分離すること。
  7. 下記条件(i)に記載の下層(e)と同じ組成である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水切り剤(a);
    (i)前記成分(a1)と、前記成分(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、10〜30℃で静置すると均一に溶解し、かつ40〜70℃で静置すると上層(f)上層(d)と下層(g)下層(e)との2層に分離すること。
  8. 下記(iii)の条件を満足する、液温を上げることにより水の溶解度が低下するグリコールエーテル(成分(a1))を1〜40質量%と、
    20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物(成分(b1))を99〜60質量%と、
    含むプレリンス剤(ab);
    (iii)前記成分(a1)と水(a2)とを質量比1:1の割合で混合した場合、40〜70℃で静置すると上層(d)と下層(e)との2層に分離し、かつ前記下層(e)と前記成分(b1)を質量比1:1で混合し、25℃で静置する場合、その最下層(h)を含め2層以上に分離すること。
  9. 前記条件(iii)の前記最下層(h)と同一組成である、請求項8に記載のプレリンス剤(ab)。
  10. (1)請求項1〜7のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて、被洗浄物を水切りする工程と、
    (2)成分(b1):20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である非塩素系フッ素化合物を含むリンス剤(b)を用いて、前記水切り剤(a)が付着した被洗浄物をリンスする工程と、
    (3)リンス剤(b)を加熱して得られる蒸気を少なくとも用いて、前記被洗浄物を蒸気乾燥する工程と、
    を有する水切り方法。
  11. 前記水切りによって水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱することにより、前記水切り剤(a)に含まれる水の少なくとも一部を除去する工程と、
    前記水を除去された水切り剤(a)を再び用いて、前記被洗浄物を水切りする工程と、
    を更に有する、請求項10に記載の水切り方法。
  12. 前記リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)に、水を加えることにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)を前記水に抽出して分離し、水切り剤分離液(c)を得る工程と、
    前記水切り剤分離液(c)を加熱し、前記水切り剤分離液(c)の凝縮液を得る工程と、
    前記凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
    を更に有する、請求項10又は11に記載の水切り方法。
  13. 前記リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離して、水切り剤分離液(c)を得る工程と、
    前記水切り剤分離液(c)を加熱し、前記水切り剤分離液(c)の凝縮液を得る工程と、
    前記凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
    を更に有する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の水切り方法。
  14. 前記リンスによって水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)に、水を加えることにより、前記リンス剤(b)に含まれる前記水切り剤(a)を前記水に抽出して、水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る工程と、
    前記プレリンス剤(ab)を用いて、前記被洗浄物をプレリンスする工程と、
    前記プレリンス剤(ab)を加熱して、プレリンス剤(ab)の凝縮液を得る工程と、
    前記凝縮液を少なくとも用いて、前記被洗浄物をリンスする工程と、
    を更に有する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の水切り方法。
  15. 前記(2)工程の後に、水切り剤(a)が溶け込んだリンス剤(b)を冷却し、リンス剤(b)中の水切り剤(a)の一部を分離して、水切り剤分離液(c)からなるプレリンス剤(ab)を得る工程と、
    プレリンス剤(ab)を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をプレリンスする工程と、
    プレリンス剤(ab)を加熱して、プレリンス剤(ab)の凝縮液を得る工程と、
    前記凝縮液を用いて、水切り剤(a)が付着した被洗浄物をリンスする工程と、
    を更に有する、請求項10、11、及び13のいずれか一項に記載の水切り方法。
  16. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽と、
    リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽と、
    前記蒸留槽において発生した前記蒸気の凝縮液から水を除去する水分離槽と、
    前記水分離槽において水が除去された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、
    前記蒸留槽において発生した前記蒸気を用いて、リンスされた前記被洗浄物を乾燥する蒸気乾燥部と、
    を備える水切り装置。
  17. 前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽と、
    前記水切り剤(a)から水を分離する分離槽と、
    を更に備える、請求項16に記載の水切り装置。
  18. 前記リンス剤(b)に水を加えることにより、前記水に前記水切り剤(a)を抽出して、水切り剤分離液(c)を得る混合槽と、
    前記リンス剤(b)に溶け込んだ前記水切り剤(a)を、前記リンス剤(b)から分離する分離槽と、
    を更に備える、請求項16又は17に記載の水切り装置。
  19. 前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離させて、リンスに用いるための水切り剤分離液(c)を得る冷却槽と、
    前記リンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離する分離槽と、
    を更に備える、請求項16又は17に記載の水切り装置。
  20. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽と、
    リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽と、
    蒸留槽において発生した、前記蒸気を少なくとも用いて被洗浄物を乾燥させる蒸気乾燥部と、
    前記蒸気を冷却して凝縮液とする冷却部と、
    前記凝縮液から水を分離する水分離槽と、
    前記水が分離された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、
    水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽と、
    前記水切り剤(a)から水を分離する第一の分離槽と、
    前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)に水を加えることにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を水に抽出することで除去して得られる水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る混合槽と、
    前記リンス剤(b)と水切り剤(a)を分離する第二の分離槽と、
    前記プレリンス剤(ab)で前記被洗浄物をプレリンスするプレリンス槽と、
    前記蒸留槽と前記プレリンス槽との間で前記プレリンス剤(ab)を送液させる送液部と、
    を備える、水切り装置。
  21. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水切り剤(a)を用いて被洗浄物を水切りする水切り槽と、
    リンス剤(b)、プレリンス剤(ab)、あるいはその両方の蒸気を発生させる蒸留槽と、
    前記蒸留槽において発生した前記蒸気を少なくとも用いて被洗浄物を乾燥させる蒸気乾燥部と、
    前記蒸気を冷却して凝縮液とする冷却部と、
    前記凝縮液から水を分離する水分離槽と、
    前記水が分離された凝縮液を用いて、前記被洗浄物をリンスするリンス槽と、
    水が溶け込んだ前記水切り剤(a)を加熱する加熱槽と、
    前記加熱槽において加熱された前記水切り剤(a)から水を分離する第一の分離槽と、
    前記水切り剤(a)が溶け込んだ前記リンス剤(b)を冷却することにより、前記リンス剤(b)中の前記水切り剤(a)の少なくとも一部を分離させて得られる水切り剤分離液(c)を含むプレリンス剤(ab)を得る冷却槽と、
    前記冷却されたリンス剤(b)と水切り剤(a)とを分離する第二の分離槽と、
    前記プレリンス剤(ab)で前記被洗浄物をプレリンスするプレリンス槽と、
    前記蒸留槽と前記プレリンス槽との間で前記プレリンス剤(ab)を送液させる送液部と、
    を備える、水切り装置。
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