JP5600404B2 - 水置換剤およびそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

水置換剤およびそれを用いた洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、水置換剤およびそれを用いた蒸気洗浄方法に関する。特に、蒸気洗浄に用いられるイソプロパノール等に代替する水置換剤およびそれを用いた水置換工程を含む蒸気洗浄方法に関する。
従来、光学レンズや鍍金加工品(ボタン電池)等の洗浄方法として、図4に示すように、多槽の洗浄装置を用い、多段階の洗浄工程を含む蒸気洗浄法が採られていた。
すなわち、光学レンズ等を被洗浄物として、保護膜等の洗浄除去を目的とした溶剤系薬剤による多段階超音波洗浄工程である第1薬剤洗浄工程と、薬剤を洗い流すことを目的とした水道水による多段階超音波洗浄工程である第1水リンス工程と、被洗浄物に付着した指紋やパーティクルの除去を目的とした水系薬剤による超音波洗浄工程である第2薬剤洗浄工程と、薬剤を洗い流すことを目的とした純水による多段階超音波洗浄工程である第2水リンス工程と、を行うものである。
次いで、レンズに付着した水を置換することを目的としたイソプロパノールを用いた多段階超音波洗浄工程である水置換工程を行い、蒸気洗浄の前処理とするものである。
そして、最後に、蒸気洗浄剤として、イソプロパノールやハイドロフルオロ化合物等を用いての光学レンズ等の蒸気洗浄、および、その後の乾燥工程を蒸気洗浄工程として行い、市場へ出荷される状態の清浄な光学レンズ等とするものである。
ここで、水置換工程において、水置換剤としてのイソプロパノールを用いた多段階超音波洗浄を行うのは、蒸気洗浄工程に持ち込む水分量を所定量以下に減量するためである。
すなわち、光学レンズ等を、第2水リンス工程から、いきなり蒸気洗浄工程に移動すると、その表面に、シブキ状の水滴が発生し、それに起因して、最終的にウオーターマークが形成されやすいためである。また、蒸気洗浄薬剤としてイソプロパノールを用いた場合には、それに水分が混入すると、イソプロパノールと、水との共沸現象が生じ、被洗浄物表面が微細水滴によって曇りやすくなるためである。
しかしながら、水が混入したイソプロパノールの場合、再生処理が容易でなく、ランニングコストをかけて多段蒸留するか、焼却処分がなされているという問題が生じていた。
さらに、イソプロパノールは、沸点(82.5℃)や引火点(11.7℃)が低くて、揮発性が高い上に、引火しやすく、使用上の安全性に乏しいという問題が見られた。
そこで、イソプロパノール等に代替する蒸気洗浄に用いられる水置換剤として、以下のような化合物が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、所定のエチレングリコールおよびポリエチレングリコールのジアルキルエーテルを含有する洗浄用水置換剤であって、さらに好適には、ジエチレングリコールジエチルエーテルを含有する洗浄用水置換剤である。
特開昭61−78401号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示されたジエチレングリコールジエチルエーテル等は、温度によっては水に難溶であるばかりか、人体に取り込まれると、生殖毒性を有するメトキシ酢酸やエトキシ酢酸に分解されることから、安全性に乏しいという問題が見られた。
そこで、本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、被着体の蒸気洗浄前に、所定の構造および所定特性を有する水置換剤を用いることによって、安全性が高いばかりか、後工程における蒸気洗浄薬剤として、ハイドロフルオロエーテルや、ハイドロフルオロカーボンを用いた場合であっても良好な蒸気洗浄性や、蒸留再生による再利用性が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、蒸気洗浄前に用いられるイソプロパノール等に代替する水置換剤であって、安全性に優れ、かつ蒸留再生による再利用が容易な水置換剤およびそれを用いた水置換工程を含む蒸気洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、被洗浄物の蒸気洗浄前に用いる水置換剤であって、親水性溶剤として、下記一般式(1)で表わされるとともに、下記特性(A)および(B)を有する親水性溶剤(但し、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルを除く。)を含むことを特徴とする水置換剤が提供され、上述した問題を解決することができる。
(A)20℃において、水に対する溶解度が50g/100g以上の値である。
(B)沸点が150〜190℃の範囲内の値である。
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数mは2〜5の自然数であり、繰り返し数nは1〜2の自然数である。)
すなわち、本発明によれば、所定の構造を有するとともに、所定の溶解度および沸点を有する親水性溶剤を含むことによって、後工程としての蒸気洗浄工程において、良好な蒸気洗浄性が得られるばかりか、安全性に優れ、かつ蒸留再生使用が容易な水置換剤を提供することができる。
なお、本発明の場合、水置換剤を、所定の親水性溶剤のみから実質的に構成した場合、かかる親水性溶剤が、そのまま水置換剤となる。
また、本発明の水置換剤を構成するにあたり、親水性溶剤が、さらに、下記特性(C)および(D)、あるいはいずれか一方の特性を有することが好ましい。
(C)引火点が40℃以上の値である。
(D)常温(25℃)において、親水性溶剤20容量部が、ハイドロフルオロエーテル100容量部に対し相溶する。
このように構成することにより、後工程としての蒸気洗浄工程において、より良好な蒸気洗浄性が得られるばかりか、より安全性を向上させることができる。
また、本発明の水置換剤を構成するにあたり、親水性溶剤が、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテルおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このように構成することにより、後工程としての蒸気洗浄工程において、さらに良好な蒸気洗浄性が得られるばかりか、安全性および蒸留再生使用の容易性についても、さらに向上させることができる。
また、本発明の水置換剤を構成するにあたり、水置換剤の含水率を10重量%未満の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、安定的に優れた水置換性を得ることができ、後工程としての蒸気洗浄工程において、飛沫状のシミ(ウォーターマーク)を発生させることなく、さらに良好な蒸気洗浄を得ることができる。
なお、複数の水置換槽を用いる場合には、蒸気洗浄工程の直前に用いられる水置換槽における水置換剤の含水率が10重量%未満の値となっていればよい。
また、本発明の水置換剤を構成するにあたり、水置換剤が、全体量に対して、再生された親水性溶剤を50重量%以上含むことが好ましい。
このように構成することにより、所定の水置換性や、後工程としての蒸気洗浄工程における蒸気洗浄性を維持しながら、比較的安価な水置換剤とすることができる。
また、本発明の別の態様は、被洗浄物の水洗工程と、水置換工程と、蒸気洗浄工程と、を含む蒸気洗浄方法であって、水置換工程において、水置換剤として、下記一般式(1)で表わされるとともに、下記特性(A)および(B)を有する親水性溶剤(但し、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルを除く。)を含む水置換剤を用いることを特徴とする蒸気洗浄方法である。
(A)20℃において、水に対する溶剤の溶解度が50g/100g以上の値である。
(D)沸点が150〜190℃の範囲内の値である。
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数mは2〜5の自然数であり、繰り返し数nは1〜2の自然数である。)
すなわち、本発明の蒸気洗浄方法によれば、所定の構造を有するとともに、所定の溶解度および沸点を有する親水性溶剤を含む水置換剤を用いることによって、後工程としての蒸気洗浄工程において、良好な蒸気洗浄性が得られるばかりか、水置換剤の取扱いが容易になり、さらには、蒸留再生使用についても容易になる。
また、本発明の蒸気洗浄方法を実施するにあたり、水置換工程において使用された使用済みの水置換剤を蒸留することにより、親水性溶剤と、置換された水と、を分離して、親水性溶剤を再生する工程を含むことが好ましい。
このように実施するにあたり、所定の水置換性や、後工程としての蒸気洗浄工程における蒸気洗浄性を維持しながら、比較的安価に蒸気洗浄方法を実施することができる。
図1は、本発明の蒸気洗浄方法を説明するために供する概略図である。 図2は、蒸留再生実験結果を説明するために供する概略図である。 図3は、親水性溶剤の沸点と、蒸留再生および洗浄性と、の関係を説明するために供する図である。 図4は、従来の蒸気洗浄方法を説明するために供する概略図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、例えば、図1に示すような蒸気洗浄方法における被洗浄物の蒸気洗浄工程前の水置換工程において用いる水置換剤であって、親水性溶剤として、下記一般式(1)で表わされるとともに、下記特性(A)および(B)を有する親水性溶剤(但し、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルを除く。)を含むことを特徴とする水置換剤である。
(A)20℃において、水に対する溶解度が50g/100g以上の値である。
(B)沸点が150〜190℃の範囲内の値である。
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数mは2〜5の自然数であり、繰り返し数nは1〜2の自然数である。)
1.親水性溶剤
(1)分子構造
本発明の水置換剤に含まれる親水性溶剤は、上述した一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする。
この理由は、かかる分子構造を有する親水性溶剤であれば、後述する所定の溶解度および沸点と相まって、後工程としての蒸気洗浄工程において、良好な蒸気洗浄性を得られるばかりか、安全性に優れ、かつ蒸留再生による再利用が容易な水置換剤とすることができるためである。
すなわち、かかる分子構造を有する親水性溶剤であれば、人体に取り込まれた場合であっても、生殖毒に分解されにくく、安全性に優れるためである。
また、かかる分子構造を有する親水性溶剤であれば、その溶解度および沸点を所定の範囲とすることが容易であるばかりか、蒸気洗浄剤として使用されるハイドロフルオロエーテル等との相溶性にも優れ、水置換剤として必要とされる特性を幅広く備え得るためである。
また、所定の溶解度をより安定的に得られることから、一般式(1)中において、mが2である場合は、Rを3〜4の自然数、繰り返し数nを1〜2の自然数とすることが好ましく、mが3である場合は、Rを1〜3の自然数、繰り返し数nを1〜2の自然数とすることが好ましい。
また、mが4である場合は、Rを1、繰り返し数nを1とすることが好ましく、mが5である場合は、Rを1、繰り返し数nを1とすることが好ましい。
(2)特性(A)(溶解度)
また、本発明の水置換剤に含まれる親水性溶剤は、20℃において、水に対する溶剤の溶解度が50g/100g以上の値であることを特徴とする。
この理由は、親水性溶剤の水に対する溶解度が50g/100g未満の値となると、水と相溶して効率的に水を置換することが困難となる場合があるためである。
また、水を置換するのに過度に時間がかかる場合があるためである。
さらに、蒸気洗浄剤としてハイドロフルオロエーテルを用いた場合には、親水性溶剤成分がハイドロフルオロエーテル中に多量に残存してしまい、純度の高いハイドロフルオロエーテルを分取して効率的に再生することが困難となる場合があるためである。
したがって、親水性溶剤の20℃における水に対する溶解度を100g/100g以上の範囲内の値とすることがより好ましく、無限大とすることがさらに好ましい。
なお、かかる溶解度の測定方法は、実施例において記載する。
また、20℃において、親水性溶剤に対する水の溶解度を50g/100g以上の値とすることが好ましい。
この理由は、親水性溶剤の水に対する溶解度を所定以上の値とした場合であっても、親水性溶剤に対する水の溶解度が50g/100g未満の値となると、効率的に水を置換することが困難となる可能性があるためである。
したがって、20℃において、親水性溶剤に対する水の溶解度を100g/100g〜無限大とすることがより好ましい。
(3)特性(B)(沸点)
また、本発明の水置換剤に含まれる親水性溶剤は、沸点が150〜190℃の範囲内の値であることを特徴とする。
この理由は、沸点が150〜190℃の範囲内の値である親水性溶剤を含むことによって、水置換剤としての取扱いが極めて簡易的になるためである。
すなわち、親水性溶剤の沸点が150℃未満の値になると、使用により水が混入した親水性溶剤を蒸留再生する際に高含水率となり、低含水率の親水性溶剤の回収率が低下するためである。
また、親水性溶剤が揮発減量しやすくなって、大気中へのVOC成分の放出が多くなる場合があるためである。
一方、親水性溶剤の沸点が190℃を超えた値になると、蒸留再生時に高温にする必要があり、再生に要するエネルギーコストが高くなったり、被洗浄物が小さい場合、蒸気洗浄時の凝集液量が不足して被洗浄物の下部の表面に残留し、シミの原因となる場合があるためである。
なお、かかる沸点の測定方法は、実施例において記載する。
次いで、図2を用いて、親水性溶剤および水の混合液における蒸留再生結果と、親水性溶剤の沸点と、の関係について説明する。
すなわち、図2には、横軸に、水:親水性溶剤=40:60(重量比)の混合液を蒸留再生した場合における合計留出量(体積%)を採り、縦軸に、蒸留中である混合液の温度(℃)を採った特性曲線A〜Dが示してある。
ここで、特性曲線A〜Dは、それぞれ以下の場合の特性曲線である。
・特性曲線A:親水性溶剤として、沸点が220℃であるジエチレングリコールモノイソブチルエーテルを用いた場合の特性曲線。
・特性曲線B:親水性溶剤として、沸点が190℃であるジプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いた場合の特性曲線。
・特性曲線C:親水性溶剤として、沸点が160.5℃であるエチレングリコールモノイソブチルエーテルを用いた場合の特性曲線。
・特性曲線D:親水性溶剤として、沸点が82.5℃であるイソプロパノールを用いた場合の特性曲線。
かかる特性曲線A〜Dから理解されるように、親水性溶剤の沸点が高いほど、留出量が40体積%付近における特性曲線の傾きが急になっている。
これは、親水性溶剤の沸点が高いほど、水の留出と、親水性溶剤の留出と、がより明確に区別されることを意味する。
したがって、特性曲線A〜Dからは、水置換剤における親水性溶剤として、沸点の高いものを使用することにより、水置換剤の蒸留再生使用が容易になることが理解される。
次いで、図3を用いて、水置換剤における親水性溶剤の沸点と、蒸留再生による親水性溶剤の回収率および蒸気洗浄における洗浄性と、の関係を説明する。
すなわち、図3には、横軸に、水置換剤における親水性溶剤の沸点(℃)を採り、左縦軸に、蒸留再生による親水性溶剤の回収率(重量%)を採った特性曲線αと、右縦軸に、小さな被洗浄物を蒸気洗浄した場合の洗浄性(相対値)を採った特性曲線βと、が示してある。
なお、洗浄性の評価において、小さな被洗浄物(直径85mmのメガネ用ガラスレンズ)を用いた理由は、小さな被洗浄物ほど、蒸気洗浄時の凝集液量が少なく、水置換剤と、蒸気洗浄剤と、の液置換が不十分となって、被洗浄物の下部に、水置換剤が残存しやすい傾向にあるためである。
したがって、小さな被洗浄物を用いた方が、洗浄性を評価しやすくなるためである。
また、親水性溶剤の回収率の測定方法、および洗浄性の評価方法等の詳細については、実施例において記載する。
また、洗浄性の相対値は、下記基準に沿って相対化した値を意味する。
4:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、被洗浄物頂部から順に乾燥するとともに、被洗浄物下部に水置換剤の残留は認められず、完全に乾燥した後も、シミが発生しなかった。
3:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、水置換剤が全体的にうっすらと残存しているが、1分経過後には完全に乾燥し、シミも発生しなかった。
2:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、被洗浄物下部に水置換剤が少量残留しているが、1分経過後には完全に乾燥し、シミも発生しなかった。
1:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、被洗浄物下部に水置換剤が明らかに残留しており、1分経過後においても、完全には乾燥しないか、または乾燥してもレンズ表面にシブキ状のシミが発生した。
まず、特性曲線αからは、親水性溶剤の沸点が高いほど、その回収率が増加することが理解される。かかる結果は、図2における特性曲線A〜Dが示す結果を、表現を変えて示したものと言える。
一方、特性曲線βからは、親水性溶剤の沸点が高いほど、洗浄性が低下することが理解される。かかる理由は、沸点が高い親水性溶剤ほど、蒸気洗浄の際に蒸発しにくく、最後まで被洗浄物に残留しやすいためであると考えられる。
したがって、特性曲線αおよびβにより、親水性溶剤の回収率と、洗浄性と、をそれぞれ実用上支障のないレベルで保持するためには、親水性溶剤の沸点を、少なくとも150〜190℃の範囲内の値とする必要があることが理解される。
(4)特性(C)(引火点)
また、親水性溶剤の引火点が40℃以上の値であることが好ましい。
この理由は、引火点が40℃以上の値である親水性溶剤を含むことによって、電気設備に関する技術基準を定める省令の防爆構造を適用する範囲に該当しなくなって、水置換剤としての取扱いが極めて簡易的になるためである。
逆に、親水性溶剤の引火点が40℃未満の値になると、電気設備に関する技術基準を定める省令の防爆構造を適用する範囲に該当することから、防爆施設、設備構造が必要となるためである。
したがって、親水性溶剤の引火点を40〜80℃の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜80℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる引火点の測定方法は、実施例において記載する。
(5)特性(D)(ハイドロフルオロエーテル溶解性)
また、親水性溶剤が、ハイドロフルオロエーテルと相溶することが好ましい。
この理由は、後工程としての蒸気洗浄工程において、蒸気洗浄剤として、ハイドロフルオロエーテルに代表されるフッ素系化合物を用いた場合であっても、良好な蒸気洗浄性を得ることができるためである。
すなわち、例えば、エチレングリコール等、水溶性であるが、ハイドロフルオロエーテルに溶解しないものに浸漬させた被洗浄物を、ハイドロフルオロエーテルを用いて蒸気洗浄した場合、被洗浄物表面にエチレングリコール等がシブキ状に残留し、蒸気洗浄液と効率的に置換できない場合があるためである。
なお、親水性溶剤が、ハイドロフルオロエーテルと相溶するとは、例えば、常温において、ハイドロフルオロエーテル100容量部に20容量部の親水性溶剤とを容器に入れ、攪拌した際に濁りや分離がなければ、相溶すると評価することができる。
(6)特性(E)(表面張力)
また、親水性溶剤の表面張力を22〜42dyn/cmの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、表面張力が22〜42dyn/cmの範囲内の値である親水性溶剤を含むことによって、光学ガラス等に対する濡れ性が良好となって、水置換剤としての機能が発揮しやすくなるためである。
すなわち、親水性溶剤の表面張力が22dyn/cm未満の値になると、光学ガラス等に対する濡れ性は良好となるものの、使用可能な親水性溶剤の種類が過度に制限されるためである。
一方、親水性溶剤の表面張力が42dyn/cmを超えた値になると、光学ガラス等に対する濡れ性が著しく低下し、水置換剤槽から光学ガラス等を引上げた際に、水置換剤がガラス表面ではじかれて液滴となって蒸気洗浄時にシミの原因となり、水置換剤としての機能を発揮することが困難となるためである。
したがって、親水性溶剤の表面張力を22〜40dyn/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、22〜35dyn/cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる表面張力の測定方法は、実施例において記載する。
(7)種類
また、親水性溶剤の種類としては、例えば、エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテルおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が好適に使用される。
中でも、特に好ましい親水性溶剤としては、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテルおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが挙げられる。
この理由は、かかる親水性溶剤であれば、後工程としての蒸気洗浄工程において、さらに良好な蒸気洗浄性が得られるばかりか、安全性および蒸留再生使用の容易性についても、さらに向上させることができるためである。
2.諸特性
(1)粘度
また、水置換剤の粘度を、1〜20mPa・sec(測定温度:20℃、以下同様である。)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水置換剤の粘度が、20mPa・secを超えた値になると、被洗浄物に付着した水が、その粘度のために混ざり難く、相溶するのに時間がかかったりするためである。特に被洗浄物と被洗浄物を支える洗浄治具が接する箇所の水置換が困難となって残存する場合があるためである。
一方、水置換剤の粘度が1mPa・sec未満の値となると、水置換剤の選択の幅が過度に狭まるためである。
したがって、水置換剤の粘度を、1〜15mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく1〜10mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)含水率
また、水置換剤における含水率を10重量%未満の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水置換剤における含水率が、10重量%未満の値になると、蒸気洗浄工程において、シミ(ウォーターマーク)を発生させることなく洗浄乾燥できるためである。
一方、かかる水置換剤における含水率が、10重量%を超えると、蒸気洗浄工程において、飛沫状のシミが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、水置換剤における含水率を、8重量%未満の値とすることがより好ましく、4重量%未満の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる含水率の測定は、カールフィッシャー法に準拠して測定することができる。
3.再生済み親水性溶剤
また、本発明の水置換剤を構成するにあたり、水置換剤が、全体量に対して、再生済み親水性溶剤を50重量%以上含むことが好ましい。
この理由は、このように再生済み親水性溶剤を所定量含むことによって、良好な水置換性や、後工程である蒸気洗浄工程における蒸気洗浄性を維持しながら、比較的安価な水置換剤とすることができるためである。
したがって、水置換剤が、全体量に対して、再生済み親水性溶剤を70重量%以上含むことがより好ましく、再生済み親水性溶剤を90重量%以上含むことがさらに好ましい。
なお、水置換剤の全体量に対して、再生済み親水性溶剤の含有量が100重量%、すなわち、全量が、再生済み親水性溶剤であっても、特に問題ないことが判明している。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、被洗浄物の水洗工程と、水置換工程と、蒸気洗浄工程と、を含む蒸気洗浄方法であって、水置換工程において、水置換剤として、一般式(1)で表わされるとともに、下記特性(A)および(B)を有する親水性溶剤(但し、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルを除く。)を含む水置換剤を用いることを特徴とする蒸気洗浄方法である。
(A)20℃において、水に対する溶剤の溶解度が50g/100g以上の値である。
(B)沸点が150〜190℃の範囲内の値である。
1.被洗浄物の水洗工程
(1)種類
被洗浄物の種類、すなわち洗浄対象の代表例としては、光学ガラスや鍍金加工品(ボタン電池)等が挙げられる。
また、精密金属加工部品等も被洗浄物として挙げられる。
(2)水洗条件
また、被洗浄物の水洗条件としては特に制限されるものではないが、例えば、図1に示すように、まずは、第1槽〜第3槽において、光学レンズ等を被洗浄物として、各種溶剤系薬剤を用いた多段階超音波洗浄工程である第1薬剤洗浄工程を行うことが好ましい。
この理由は、このように多段階超音波洗浄を行うことによって、薬剤中に溶出した汚れの影響を段階的に少なくしつつ、被洗浄物を洗浄することができるためである。
例えば、光学レンズの場合、洗浄する汚れは、光学レンズ加工時に用いたピッチ、みつろう、保護コート剤等となるが、まず、第1槽目で、大半の汚れを洗浄することができる。
一方、同時に第1槽目の薬剤中の汚れ濃度も高くなることから、この汚れ濃度の高い液が光学レンズ等に付着して次槽に持ち込まれることになる。とはいうものの、後槽になるに従って薬剤中の汚れ濃度は低くなるため、最終槽では汚れ濃度が低い液のみ光学レンズに付着することとなって、光学レンズをより清浄な状態とすることができる。
次いで、図1に示す第4槽〜第5槽において、水道水を用いた超音波洗浄工程である第1水リンス工程を行うことが好ましい。
このように水道水を用いた超音波洗浄を行うことによって、被洗浄物に付着している薬剤を希釈により効果的に除去することができるばかりか、コストの低減を図ることができる。
次いで、図1に示す第6槽において、水系薬剤を用いた超音波洗浄工程である第2薬剤洗浄工程を行うことが好ましい。
このように水系薬剤を用いた超音波洗浄を行うことによって、主に被洗浄物に付着した指紋や、水道水を用いた超音波洗浄時のパーティクルを洗浄除去することができる。
ここで、パーティクルとは、加工時における微細ガラス粉や研磨剤等の微細な固形異物であって、被洗浄物に付着したものを意味する。
なお、第6槽において使用する薬剤は、第1〜3槽において使用した薬剤とは異なるものであり、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を純水で希釈した上、アルカリ剤によってpH調整を行った液等が挙げられる。
かかる薬剤は、被洗浄物の表面をナノレベルでエッチングすることで、パーティクルを除去することができる。
次いで、図1に示す第7槽〜第9槽において、純水を用いた多段階超音波洗浄工程である第2水リンス工程を行うことが好ましい。
このように純水を用いた多段階超音波洗浄を行うことによって、被洗浄物の表面を、パーティクルのない極めて清浄な状態に仕上げることができる。
2.水置換工程
(1)水置換剤
また、水置換剤としては、第1の実施形態で説明したものと同様のものを使用することを特徴とするので、ここでの詳細な説明は省略する。
(2)水置換条件
また、水置換条件としても特に制限されるものではないが、例えば、図1に示すように、第10槽〜第12槽において、本発明の水置換剤を用いた多段階超音波洗浄を行い、蒸気洗浄の前処理とすることが好ましい。
このように、水置換剤を用いた多段階超音波洗浄を行うことによって、第10槽〜第12槽にかけて次第に水置換剤の水分濃度を低下させることができ、第12槽における水置換剤の水分濃度を、蒸気洗浄時にシブキ状の凝集水ができない濃度まで低下させることができる。
3.蒸気洗浄工程
(1)蒸気洗浄剤
また、蒸気洗浄剤の種類としては、従来と同様の蒸気洗浄剤をそのまま使用することができる。したがって、イソプロパノールやハイドロフルオロ化合物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(2)蒸気洗浄条件
また、蒸気洗浄条件としても特に制限されるものではないが、例えば、図1に示す第13槽としての1槽式の蒸気洗浄装置において、被洗浄物を約30秒〜数分間、表面に結露凝集した液が、もはや結露しなくなるまで蒸気洗浄剤の蒸気にさらすことが好ましい。
次いで、蒸気と大気の界面に凝集液が残らないように、ゆっくりと引き上げ、洗浄乾燥を終了し、市場へ出荷される状態の清浄な被洗浄物とすることが好ましい。
4.親水性溶剤の再生工程
また、水置換工程において使用された使用済みの水置換剤を蒸留することにより、親水性溶剤と、置換された水と、を分離して、親水性溶剤を再生する工程を含むことが好ましい。
この理由は、このように親水性溶剤の再生工程を含むことにより、所定の水置換剤や、後工程としての蒸気洗浄工程における蒸気洗浄性を維持しながら、比較的安価に蒸気洗浄方法を実施することができるためである。
なお、水置換剤が、全体量に対して、再生済み親水性溶剤を70重量%以上含むことがより好ましく、再生済み親水性溶剤を90重量%以上含むことがさらに好ましい。
また、水置換剤の全体量に対して、再生済み親水性溶剤の含有量が100重量%、すなわち、全量が、再生済み親水性溶剤であっても、特に問題ないことが判明している。
次いで、親水性溶剤の再生工程について、より具体的に説明する。
すなわち、例えば図1に示す蒸気洗浄方法であれば、第10槽〜第12槽において水置換工程を実施しているが、第10槽における水置換剤が最も含水率が高くなるので、まず、第10槽の水置換剤を蒸留再生する。
このとき、初留である水リッチ部分を廃棄し、後留の含水率の低い親水性溶剤を回収し、保管する。
なお、初留と、後留と、の分割は、初留の留出量が次第に低下した後、蒸気温度が親水性溶剤の沸点に近づくにつれて、後留の留出量が増加してくるため、容易に行うことができる。
次いで、再生のために空になった第10槽に、第11槽の水置換剤を移した後、空になった第11槽に、第12層の水置換剤を移す。
最後に、空になった第12層に、保管してある蒸留再生済みの親水性溶剤を移すとともに、不足分を補うために新液を加え、親水性溶剤の再生工程とすることができる。
なお、蒸留再生装置は、市販のバッチ式単蒸留装置や、バッチ式真空蒸留装置を使用することができる。
また、図1に示す蒸気洗浄方法であれば、第13槽において行われる蒸気洗浄工程においても、水置換剤を回収することができる。
例えば、蒸気洗浄剤としてハイドロフルオロエーテルを用いた場合には、多量の水を混合・撹拌・静置後、下層のハイドロフルオロエーテルを回収して再利用することができる。
但し、蒸気洗浄剤がイソプロパノールの場合は、多段階蒸留による蒸留再生をしない限り、低含水率で高純度のイソプロパノールを回収することができないため、そのまま廃棄する。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
参考例1
1.水置換剤の準備
水置換剤として、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(iBG)を準備した。
なお、iBGの引火点、沸点、表面張力、水溶性、粘度およびハイドロフルオロエーテル(HFE)溶解性を、表1に示す。
ここで、引火点は、危険物の試験および性状に関する省令 別表第9に定める方法に準拠して測定した。
また、沸点は、JIS K−5407に準拠して測定した。
また、表面張力は、ウィルヘルミ法に準拠して測定した。
また、水溶性は、500ミリリットルのビーカーに水を100g収容し、撹拌子で撹拌しつつ、ウォーターバスで20℃に保温された状態を維持した。
次いで、撹拌および保温された状態であるビーカー内の水に対しiBGを1gずつ滴下し、濁りや分離を認めたときの溶剤重量を測定した。
なお、水溶性溶剤を400g滴下した場合であっても、濁りや分離が認められないものの水溶性(溶解度)は、無限大として評価した。
また、粘度は、ブルックフィールド式デジタル粘度計により測定した。
さらに、HFE溶解性は、常温(25℃)において、iBG20容量部が、HFE(住友スリーエム(株)製、ノベック 7100)100容量部に対し、濁りや分離を生ずることなく相溶する場合は、溶解性:○とし、相溶しない場合は、溶解性:×とした。
2.評価
(1)初期条件での洗浄性の評価
被洗浄物に対し、水洗工程、水置換剤として純粋なiBGを用いた水置換工程、およびイソプロパノール(IPA)を用いた蒸気洗浄工程を実施して、初期条件の水置換剤での洗浄性を評価した。
すなわち、槽を2槽用意し、第1槽内に純水(20℃)を収容して水洗工程槽とし、第2槽内に純粋なiBG(10℃)を収容して水置換工程槽とした。
また、被洗浄物は、水置換剤および蒸気洗浄剤をIPAとする従来の蒸気洗浄方法によって清浄に洗浄した眼鏡用ガラスレンズ(直径85mm)を用いた。
次いで、第1槽の純水中に、被洗浄物を浸漬させつつ、28kHzの超音波を60秒間照射し、水洗工程の実施とした。
次いで、水洗工程実施後の被洗浄物を、10秒の移動時間を介して、第2槽のiBG中に浸漬させつつ、28kHzの超音波を60秒間照射し、水置換工程の実施とした。
最後に、水置換工程実施後の被洗浄物を、蒸気洗浄剤としてのIPAによって60秒間蒸気洗浄した後、乾燥させ、蒸気洗浄工程の実施とした。このとき、蒸気洗浄工程においては、単槽で、蒸気容量が20リットルの蒸気洗浄槽を用いた。
そして、得られた被洗浄物における洗浄性を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、参考例1〜5、9および12〜13、並びに、実施例6〜8、10〜11および14においては、蒸気洗浄剤として、IPAのかわりにHFE(住友スリーエム(株)製、ノベック 7100)を用いた場合にも、表1に示すのと同様の結果が得られることが確認された。
◎:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、被洗浄物頂部から順に乾燥するとともに、被洗浄物下部に水置換剤の残留は認められず、完全に乾燥した後も、シミが発生しなかった。
○:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、水置換剤が全体的にうっすらと残存しているが、1分経過後には完全に乾燥し、シミも発生しなかった。
△:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、被洗浄物下部に水置換剤が少量残留しているが、1分経過後には完全に乾燥し、シミも発生しなかった。
×:被洗浄物を蒸気洗浄槽から引上げたときに、被洗浄物下部に水置換剤が明らかに残留しており、1分経過後においても、完全には乾燥しないか、または乾燥してもレンズ表面にシブキ状のシミが発生した。
(2)耐久条件での洗浄性の評価
また、被洗浄物に対し、水洗工程、水置換剤としてiBGと、水と、の混合液を用いた水置換工程、およびIPAを用いた蒸気洗浄工程を実施して、耐久条件の水置換剤での洗浄性を評価した。
すなわち、耐久時の水置換剤には、水の割合が増加することを考慮して、第2槽内に、iBGと、純水と、の100:3(重量比)混合液を収容して水置換工程槽としたほかは、初期条件での洗浄性の評価と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
(3)蒸留再生後における洗浄性の評価
また、被洗浄物に対し、水洗工程、水置換剤として、iBGと、水と、の混合溶液を蒸留再生した液を用いた水置換工程、およびIPAを用いた蒸気洗浄工程を実施して、蒸留再生後における水置換剤での洗浄性を評価した。
すなわち、まず、iBGと、純水と、の6kg:4kg混合液を、溶剤蒸留再生装置(ユニラム(株)製、ソルベントリサイクラー URS970)を用いて蒸留し、親水性溶剤の沸点(iBGでは160℃)以下までの留出液を廃棄し、それ以降の留出液を装置が停止するまでを採取した。
次いで、得られた採取液に対し、それと等重量の純粋なiBGを混合して、蒸留再生後の水置換剤とした。
そして、第2槽内に、かかる蒸留再生後の水置換剤を収容して水置換工程槽としたほかは、初期条件での洗浄性の評価と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
(4)蒸留再生による回収率の評価
また、上述した「蒸留再生後における洗浄性の評価」において実施した蒸留再生におけるiBGの回収率(重量%)を、以下のようにして算出した。
すなわち、親水性溶剤の沸点以降の留出液の重量を、初期投入量6kgで除した値をもって回収率(重量%)とした。得られた結果を表1に示す。
参考例2]
参考例2では、水置換剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例3
参考例3では、水置換剤として、プロピレングリコールモノエチルエーテル(EFG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例4
参考例4では、水置換剤として、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(iPG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例5
参考例5では、水置換剤として、プロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル(nPFG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6では、水置換剤として、エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル(nPG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、水置換剤として、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル(tBG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例8では、水置換剤として、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル(BM)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例9
参考例9では、水置換剤として、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(nBG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例10では、水置換剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(MMB)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例11では、水置換剤として、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(MDFG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例12
参考例12では、水置換剤として、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(iPDG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例13
参考例13では、水置換剤として、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(iBDG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例14では、水置換剤として、MDFGと、iBGと、の50:50(重量比)混合液を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、水置換剤として、イソプロパノール(IPA)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。
但し、蒸留再生後における洗浄性の評価については、蒸留によって水を分離することができなかったため、初留出分50重量%を採取し、それと等量の純粋なIPAを混合して、蒸留再生後の水置換剤として、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、水置換剤として、プロピレングリコール(PG)を用いるとともに、蒸気洗浄剤としてHFE(住友スリーエム(株)製、ノベック 7100)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、水置換剤として、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル(nBFG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、水置換剤として、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(nBTFG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、水置換剤として、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(nBDG)を用いたほかは、参考例1と同様に蒸気洗浄方法を実施して、評価した。得られた結果を表1に示す。
本発明の水置換剤によれば、所定の構造および諸特性を有する親水性溶剤を含むことによって、蒸気洗浄前に用いられるイソプロパノール等に代替する水置換剤であって、後工程としての蒸気洗浄工程で、ハイドロフルオロエーテルを用いた場合であっても、蒸気洗浄性に優れるとともに、安全性に優れ、かつ蒸留再生使用が容易な水置換剤を提供することが可能となった。
また、本発明の蒸気洗浄方法によれば、諸特性を有する親水性溶剤を含む水置換剤を用いた水置換工程を設けることによって、後工程としての蒸気洗浄工程で、ハイドロフルオロエーテルを用いた場合であっても、蒸気洗浄性に優れるとともに、水置換工程において、水置換剤の優れた安全性や、蒸留再生使用性が得られるようになった。

Claims (7)

  1. 被洗浄物の蒸気洗浄前に用いる水置換剤であって、
    親水性溶剤として、下記一般式(1)で表されるとともに、
    下記特性(A)および(B)を有する親水性溶剤(但し、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルを除く。)を含むことを特徴とする水置換剤。
    (A)20℃において、水に対する溶解度が50g/100g以上の値である。
    (B)沸点が150〜190℃の範囲内の値である。
    (一般式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数mは2〜5の自然数であり、繰り返し数nは1〜2の自然数である。)
  2. 前記親水性溶剤が、さらに、下記特性(C)および(D)、あるいはいずれか一方の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の水置換剤。
    (C)引火点が40℃以上の値である。
    (D)常温(25℃)において、前記親水性溶剤20容量部が、ハイドロフルオロエーテル100容量部に対し相溶する。
  3. 前記親水性溶剤が、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテルおよび3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または2に記載の水置換剤。
  4. 前記水置換剤の含水率を10重量%未満の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水置換剤。
  5. 前記水置換剤が、全体量に対して、再生された親水性溶剤を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水置換剤。
  6. 被洗浄物の水洗工程と、水置換工程と、蒸気洗浄工程と、を含む蒸気洗浄方法であって、
    前記水置換工程において、水置換剤として、下記一般式(1)で表わされるとともに、下記特性(A)および(B)を有する親水性溶剤(但し、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルを除く。)を含む水置換剤を用いることを特徴とする蒸気洗浄方法。
    (A)20℃において、水に対する溶解度が50g/100g以上の値である。
    (B)沸点が150〜190℃の範囲内の値である。
    (一般式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数mは2〜5の自然数であり、繰り返し数nは1〜2の自然数である。)
  7. 前記水置換工程において使用された使用済みの前記水置換剤を蒸留することにより、前記親水性溶剤と、置換された水と、を分離して、前記親水性溶剤を再生する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の蒸気洗浄方法。
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