JPH10176190A - 洗浄剤および洗浄方法 - Google Patents

洗浄剤および洗浄方法

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JPH10176190A
JPH10176190A JP33701396A JP33701396A JPH10176190A JP H10176190 A JPH10176190 A JP H10176190A JP 33701396 A JP33701396 A JP 33701396A JP 33701396 A JP33701396 A JP 33701396A JP H10176190 A JPH10176190 A JP H10176190A
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cleaning
steam
agent
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JP33701396A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Shimozawa
宏 下澤
Masaru Kumagai
勝 熊谷
Nobuhiro Saito
信宏 齋藤
Shigeo Santo
茂夫 山藤
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Toshiba Corp
Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Silicone Co Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/22Secondary treatment of printed circuits
    • H05K3/26Cleaning or polishing of the conductive pattern

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  • Detergent Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロンおよび塩素系溶剤の代替洗浄剤および
代替洗浄方法を提供し、さらに、洗浄剤とそれに相溶し
ない蒸気洗浄剤との組み合わせにより、優れた脱脂力と
乾燥性を兼ね備え、しかも容易に排液を回収することの
できる洗浄剤および洗浄方法を提供する。 【解決手段】 室温で蒸気洗浄剤と任意相溶せず、かつ
室温での粘度が3センチポイズ以下、引火点が50℃以
上であることを特徴とする洗浄剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロンおよび塩素
系溶剤の代替の洗浄剤および洗浄方法に係り、特に、低
粘度で、引火点が高く、蒸気洗浄剤と任意相溶しない洗
浄剤およびそれを用いた洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の枝術】HIC、モジュール、実装基板などの電
子部品およびICやトランジスタ用リードフレームなど
の微細部品には、その製造工程において、レジス卜剤、
フラックス、ソルダーペースト、あるいは水不溶性の工
作油や塵、ほこりなど様々な汚れが付着する。
【0003】従来、これらの汚れの洗浄には、フロン系
溶剤や塩素系溶剤などが用いられてきたが、これらの化
合物にはオゾン層を破壊する性質があることが見いださ
れ、その使用が規制され、さらに全廃することも予定さ
れている。
【0004】このために多くの工業製品の洗浄をフロン
系溶剤や塩素系溶剤による洗浄から、水洗浄、アルカリ
洗浄あるいは溶剤洗浄に切り替える試みがなされてきた
が、これら代替の洗浄方法では電子部品や精密部品など
の洗浄は困難である。
【0005】プリント基板の製造工程で行われる洗浄
は、基板そのもの(ベアボード)の製造工程で用いられ
る洗浄と、基板にICや電子部品を実装する工程で用い
られる洗浄とに大別される。
【0006】ベアボードを製造する場合の洗浄は、印刷
やエッチング工程で行われ、洗浄剤としては、おもに酸
やアルカリが使用されている。これに対して、基板にI
Cや電子部品を実装する工程での洗浄は、実装部品をハ
ンダ付けする際のハンダやフラックスを除去する工程で
行われ、この洗浄には大半は洗浄剤としてフロンを使用
している。
【0007】基板洗浄の目的は主としてフラックスの除
去のためであり、最も除去の必要な物質はフラックス中
の活性剤およびこれと母材の酸化膜との反応生成物であ
る。すなわちCuCl2 や(RCOO)2 Cuのような
有機酸塩が洗浄対象物となる。 これらは極性物質であ
るために、残留すると吸湿によりリーク、マイグレーシ
ョン、絶縁抵抗の低下、ピンや配線の腐食などの問題を
おこす。
【0008】また、半導体の製造工程においては、イオ
ン性物質の混入が重大な問題となり、「ナトリウムパニ
ック」と呼ばれている。さらに、金属加工部品では、こ
れらの汚染物の残留により腐食、変色などの問題が発生
する。
【0009】現在提案されている主な代替洗浄方法は、
水溶性フラックスを純水で除去する水系洗浄、溶剤でフ
ラックスを除去した後、水によるリンスを行う準水系洗
浄および炭化水素などの有機溶剤を用いる溶剤洗浄など
がある。
【0010】特開平3−97792には、炭素数1から
5の飽和または不飽和アルコールのアルキレンオキシド
付加物を含む水系の半田フラックス用液体洗浄剤が開示
されている。また、特開平3−146597には、平均
炭化水素数が8から20の脂肪族炭化水素および極性基
を有する有機化合物を含む、ロジン系フラックスを除去
するための洗浄用組成物が開示されている。これらはい
ずれも基板の残留物を除去することに注目した発明であ
り、その後の工程として避けられない乾燥工程で用いる
蒸気洗浄剤と前工程で用いる洗浄剤との組み合わせにつ
いては全く触れられていない。
【0011】溶剤洗浄のうち、グリコールエーテル系溶
剤は分子内にエーテル結合とアルコール性水酸基をもつ
ため、水にも油にも溶ける両親媒性を有している。この
性質を利用しグリコールエーテル系溶煤は電子部品、金
属部品をはじめ幅広い部品の洗浄に利用されている。し
かしながら、一般的に使用されているグリコールエーテ
ル系溶剤は蒸気圧や粘性が高いため、洗浄後に直接乾燥
させることは難しい。したがって水でリンスした後、温
風乾燥するなどの方法が用いられている。
【0012】洗浄作用があり蒸気圧や粘性の低い有機溶
剤としては、メタノール、エタノールなどの低級アルコ
ールやアセトン、メチルエチルケトンなどが知られてい
るが、これらは室温より引火点が低い、汚れ溶解性が万
能でなく選択的であるという欠点を持っている。
【0013】洗浄後の乾燥方法として最も速乾性の期待
できる洗浄方法として蒸気洗浄が知られている。また、
蒸気洗浄の場合に、蒸気洗浄剤と室温時あるいは加熱時
に相溶しうる溶剤をリンス剤として用いることが知られ
ている。例えば、パーフルオロカーボンを蒸気洗浄剤に
使用する場合に、リンス剤に低分子シロキサンや飽和炭
化水素を使用する方法である。
【0014】グリコールエーテル系溶剤は汚れに対する
強い洗浄力を有するが、脱脂用洗浄剤と蒸気洗浄剤が相
溶すると使用後の回収・分離に手間がかかるうえに、グ
リコールエーテル系溶剤は、蒸気洗浄剤のパーフルオロ
カーボンとは相溶しないため、洗浄作用と蒸気洗浄によ
る速乾性を両立させるためには、洗浄後に上記低分子シ
ロキサンや炭化水素系溶剤によるリンスが必要になる。
【0015】このように洗浄剤とリンス剤を異なる成分
で行う場合には、洗浄限界とリンス限界を合わせて考慮
する必要が生じ、液管理がきわめて困難であるという問
題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の問題を解消すべく、フロンおよび塩素系溶剤の代替洗
浄剤および代替洗浄方法を提供するもので、洗浄剤とそ
れに相溶しない蒸気洗浄剤との組み合わせにより、優れ
た脱脂力と乾燥性を兼ね備え、引火の危険性の低い、し
かも容易に排液を回収することのできる洗浄剤および洗
浄方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
のために鋭意検討を行った結果、前記のように洗浄に必
要な特性と、乾燥に必要な特性との相反する両特性を同
時に満たす手段として、所定の粘度と引火点とを有する
洗浄剤と、その洗浄剤に室温で任意相溶しない蒸気洗浄
剤との組み合わせ、そしてその洗浄剤および蒸気洗浄剤
を用いた洗浄方法を見出だした。
【0018】すなわち、本発明の洗浄剤は、室温で蒸気
洗浄剤と任意相溶せず、かつ室温での粘度が3センチポ
イズ以下、引火点が50℃以上であることを特徴として
いる。 本明細書において、任意相溶しない、とは界面
をつくって見掛け上一液にならないことであり、2以上
の成分の相互溶解曲線を描いた場合に沸点までの温度に
実質的に極大値を持たない、すなわち上限臨界共溶温度
を持たないことを意味している。なお、本発明の洗浄剤
の粘度は、3センチポイズ以下、好ましくは2センチポ
イズ以下である。
【0019】本発明において、洗浄剤の引火点を50℃
以上としたのは、引火点が50℃未満であると、安全
上、洗浄温度を実質的には40℃未満にする必要がある
上、超音波を併用させた場合には常に40℃未満に制御
することが困難となり、引火の危険を招くおそれがある
ためである。
【0020】本発明の洗浄剤の主成分としては、ジプロ
ピレングリコールジメチルエーテルおよび/またはジエ
チレングリコールジエチルエーテルが好適している。
【0021】ジプロピレングリコールジメチルエーテル
および/またはジエチレングリコールジエチルエーテル
は、蒸気洗浄剤としてパーフルオロカーボンを用いると
きにとりわけ本発明の洗浄剤の主成分として好適してい
る。これらのグリコールエーテルは蒸気洗浄剤のパーフ
ルオロカーボンと相溶しないにも関わらず、意外にも良
好な乾燥性を示す。したがって、ジプロピレングリコー
ルジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリコー
ルジエチルエーテルで洗浄した後、パーフルオロカーボ
ンで蒸気洗浄をする場合には、異なる成分のリンス液を
必要とせず、洗浄後に直接蒸気洗浄することができる。
【0022】本発明の洗浄剤として好ましいものはジプ
ロピレングリコールジメチルエーテルおよび/またはジ
エチレングリコールジエチルエーテルであり、それぞ
れ、下記1)、2)に示す構造を持つ。
【0023】 CH3 (OCH2 CHCH3 2 OCH3 ・・・・1) C2 5 (OCH2 CH2 3 OC2 5 ・・・・2) これらジプロピレングリコールジメチルエーテルとジエ
チレングリコールジエチルエーテルはともに、金属部品
の脱脂洗浄や実装基板のフラックス洗浄をはじめ、あら
ゆる部品の汚れ溶解力に優れているため洗浄対象物は特
に限定されずに使用可能である。さらに、ジプロピレン
グリコールジメチルエーテルとジエチレングリコールジ
エチルエーテルは他のグリコールエーテル系溶剤と比較
していずれも粘度が25℃で2センチポイズ以下と低く
特に好ましい。
【0024】このため、これらの溶剤で浸漬洗浄後、引
き上げられた部品に付着する洗浄剤付着量は少なくな
り、リンスによって他の溶剤で置換せずに直接蒸気洗浄
した場合でも、優れた乾燥仕上がり性を付与できる。も
ちろん、これらの溶剤を満たした洗浄槽で汚れを取った
後、洗浄槽とは別のすすぎ槽に汚れを含まないこれらの
溶剤を満たしてリンスを行っても良い。
【0025】さらに、ジプロピレングリコールジメチル
エーテルの引火点は64℃、ジエチレングリコールジエ
チルエーテルの引火点は70℃であり、引火の危険性が
低い。 一般的に、蒸気洗浄をする場合には蒸気洗浄剤
と洗浄剤および、またはリンス剤が蒸気洗浄剤の沸点ま
でに任意相溶することが必要とされていた。
【0026】本発明のジプロピレングリコールジメチル
エーテルおよび/またはジエチレングリコールジエチル
エーテルを主成分とする洗浄剤は蒸気洗浄剤のパーフル
オロカーボンであるパーフルオロオクタンと任意相溶せ
ず、パーフルオロオクタンにジプロピレングリコールジ
エメチルエーテルは10重量%程度しか溶解しない。ジ
エチレングリコールジエチルエーテルだと4重量%程度
しか溶解しない。図1にパーフルオロオクタンとジプロ
ピレングリコールジエメチルエーテルの相互溶解曲線を
示す。ところがこれらの溶剤は前記のようにいずれも粘
度が低いため、部品への洗浄剤付着量が少なく、蒸気洗
浄時の蒸気凝縮により部品から凝縮液が落ちる際に共に
洗い流すことが可能となり、優れた乾燥仕上がり性も付
与できる。蒸気洗浄以外にも、スプレーで吹き付けるな
どの用途に応用しても良い。さらに精密乾燥性を付与さ
せるためには、洗浄後、蒸気洗浄剤中に浸漬させてから
蒸気洗浄するのが望ましい。
【0027】蒸気洗浄剤としてはパーフルオロカーボン
類、ハイドロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロエ
ーテル類、イソプロピルアルコール等が使用可能であ
り、蒸気洗浄剤の沸点が高い方が蒸気凝縮量が多く、優
れた乾燥仕上がり性を付与できる。パーフルオロカーボ
ンとしては、例えば、Cn 2n+2(nは4から12の整
数を示す)で表されるパーフルオロアルカン、CF
3 [(OCF(CF3 )CF2 n (OCF2 m ]O
CF3 (n,m は0から5の整数、0≦n +m ≦10)、
CF3 (CF2 CFCF3 O)m (CF2 CF2 O)n
CF3 (n,m は0から5の整数、0≦n +m ≦10)の
他、
【化1】 等で表されるパーフルオロポリエーテル等や、(C4
9 3 N、(C5 113 N、(C2 5 3 N、(C
2 5 )(C3 8 )NF、(CF3 2 NC25
(CF3 2 NCF=CF2 、(CF3 2 NCF2
2 Η、(CF32 NCF2 CF3 、C5 10NC2
5 、等のトリフルオロラジカルを生じるパーフルオロ
アミン、またはパーフルオロモルホリン等が挙げられ
る。
【0028】さらに一般式:(Cx 2x+12 O(xは
1から7の整数を示す)で示されるパーフルオロエーテ
ル化合物等が使用でき、さらに具体的には(CF3 CF
2 )Oを挙げることができる。また、HF2 CO(CF
2 O)r (CF2 CF2 O)s CF2 H(r,s は0から
5の整数、0≦r +s ≦10)で示されるハイドロフル
オロポリエーテルが使用でき、具体的にはHF2 CO
(CF2 O)2 CF2 CF2 OCF2 Hを挙げることが
できる。一般的には、パーフルオロオクタン(C
8 18、沸点100℃)やパーフルオロデカン(C10
22、沸点155℃)が好ましい。沸点が高いパーフルオ
ロデカンなどの場合には、減圧下で蒸気乾燥してもよ
い。
【0029】また、本発明の洗浄剤主成分であるジプロ
ピレングリコールジメチルエーテルとジエチレングリコ
ールジエチルエーテルはそれぞれ単独または組み合わせ
て使用することができる。さらに、必要に応じて、アル
コール類、ケトン類、エステル類等、他の有機溶剤を加
えてもよい。
【0030】具体的には、アルコール類としては、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブ
タノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1
−ペンタノール、2−ペンタノール、2エチルヘキサノ
ール、3,5,5−トリメチルヘキサノール等を使用で
き、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノ
ン、メチルイソブチルケトン、2−へプタノン、4−ヘ
プタノン、ジイソブチルケトン等を使用でき、エステル
類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢
酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸
イソペンチル、酢酸3メトキシブチル、酢酸2エチルブ
チル、酢酸2エチルヘキシル、プロピオン酸ブチル、乳
酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が使用できる。混
合量は30重量%以下が好ましい。
【0031】さらに、本発明の洗浄剤にプラスチックス
やゴム部品へのケミカルアタック性を防ぐ目的で、溶解
度パラメータが9未満の非極性溶剤を混合しても良い。
この場合には、洗浄力を損なわない程度の混合量が望ま
しい。その意味で、非極性溶媒の混合割合は洗浄剤全量
に対し、50重量%以下が好ましく、30重量%以下が
より好ましい。50重量%を越えると洗浄力の低下を招
く。溶解度パラメータが9未満の非極性溶媒で、好まし
い溶解度パラメータの範囲は6から8である。6未満で
あると洗浄剤への溶解性が悪くなり、8を越えるとケミ
カルアタック性を防ぐ効果が低減する。溶解度パラメー
タが6から8の非極性溶媒としては低分子シロキサン化
合物、脂肪族炭化水素が拳げられる。さらに具体的に
は、低分子シロキサン化合物として、ヘキサメチルジシ
ロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチル
シクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロ
キサンが挙げられ、脂肪族炭化水素として、ノナン、デ
カン、2,2,5−トリメチルヘキサン、ドデカン、イ
ソドデカン等が挙げられる。
【0032】なお、本発明に係わる溶解度パラメータ
(以下、δと表す)は、次の (1)式で定義される。
【0033】 δ=(ΔE/V)1/2 ……(1) ここで、ΔEは分子凝集エネルギー(cal/mol)を、Vは
分子容(ml/mol)をそれぞれ示す。すなわち、δは凝集エ
ネルギー密度の平方根に相当する。
【0034】混合により容積が変化しない場合、成分1
と成分2とを混合溶解させるときの溶解熱ΔHmは、J.
H.Hildebrandにより次の (2)式で表される。
【0035】 ΔHm=Vm(δ1 −δ2 2 ・φ1 ・φ2 …(2) ここで、Vmは混合物の全容積(ml)を、φは容積分率
を、添字 1、 2は成分1と成分2をそれぞれ表す。 (2)
式より、成分1と成分2とはδ1 とδ2 との差が小さい
ほど溶解熱ΔHmが小さくなり、相溶性に優れることに
なる。例えば、本発明の洗浄剤および洗浄方法において
は、汚れ成分と洗浄剤成分とのδの差が 3以下である
と、汚れ成分を十分溶解除去することができる。
【0036】上記溶解度パラメータδは、蒸発潜熱法お
よび分子引力定数法のいずれかの方法を用いて求めるこ
とができる。δの測定方法について特に制限はなく、い
ずれかの方法で求めたδ値が本発明の条件を満たしてい
ればよい。一般には、沸点が測定できる物質については
蒸発潜熱法で求められた値を使用し、沸点が測定できな
い、あるいは測定しにくい物質であって、化学構造式が
既知の物質については分子引力定数法による値を使用す
る。
【0037】蒸発潜熱法は、下記の (3)式よりΔHを求
め、この値を基に (4)よりΔEを求め、 (1)式より誘導
される (5)式によりδを求める方法である。この方法は
最も直接的で正確にδを計算できる。
【0038】 ΔH25=23.7Tb+ 0.020Tb2 −2950 ……(3) ΔE=ΔH−RT ……(4) δ=(ΔE/V)1/2 ={(d/M)ΔE}1/2 ……(5) ここで、Tbは沸点(K) を、Rは気体定数(1986cal/mo
l)を、Tは絶対温度(K) を、dは密度(g/ml)を、Mは
分子量(g/mol) をそれぞれ表す。
【0039】例えば、工作機油のベースオイルの一例で
ある流動パラフィンの場合、主成分を C10H 22とする
と、M=142.29、Tb= 200℃(=478K)、d=0.896(g/
ml)であるので、 ΔH25=23.7× 473+ 0.020× 4732 −2950=12192.5 ΔE= 12192.5− 1.986× 298= 11600.7 δ={(0.896/142.29)×11600.7}1/2 =8.55 となる。
【0040】水素結合を含む化合物の溶解度パラメータ
(δC )の場合は、このようにして得られたδ値に以下
の補正値、すなわちアルコール類;δC =δ+ 1.4、エ
ステル類;δC =δ+ 0.6、ケトン類;δC =δ+ 0.5
を加えることにより得られる。なお、沸点が373K以上の
場合は補正を必要としない。
【0041】分子引力定数法は、化合物の分子を構成す
る各官能基(原子または原子団)の特性値、すなわち分
子引力(G)の総計と分子容とからδを求める方法であ
って、溶剤類と異なって蒸発し難い樹脂等のδ値を求め
る場合に有用である。分子引力定数法によるδは(6) 式
により求められる。
【0042】 δ=ΣG/V=d・ΣG/M ……(6) ここで、Gは分子凝集エネルギーと分子容との積(分子
容凝集エネルギー)に相当し、 Small等によりG値が発
表されている。例えば、工作機油の極圧剤の一例として
使用されている硫化油脂の硫黄の場合は、M= 32.07、
d=2.07(g/ml)であり、 SmallによるG値は 225[(cal-
ml)1/2 /mol]であるので、 δ=2.07× 225/ 32.07=14.5 となる。
【0043】また、混合物のδm は、一般的に各成分の
δのモル分率に対する加重平均値として、 (7)式により
求められる。
【0044】 δm =ΣXi δi ……(7) ここで、添字i は i成分を表す。例えば、ベースオイル
である流動パラフィンを0.43モル、硫黄を 1モル含有す
る硫化油脂の場合は、 δm ={(1/(1+0.43)}×14.5+{0.43/(1+0.43)}×8.58=
12.7 となる。
【0045】その他、界面活性剤や親水性溶剤を適宜併
用しても良い。
【0046】さらに、上記の洗浄剤、蒸気洗浄剤は蒸留
再生利用することが望ましい。また、洗浄槽を複数槽で
用いる場合には、洗浄槽をカスケード(オーバーフロ
ー)方式で連結できるため、蒸留装置で汚れた液を再生
し再び最終洗浄槽に戻すことにより、洗浄液とすすぎ液
を別々に管理する場合に比べて液管理が容易になり、し
かも液寿命が伸びるためランニングコストの大幅な低減
につながる。蒸留再生する際には、洗浄剤成分が混合物
の場合には各成分の沸点はできるだけ近いことが好まし
く、組成比の安定性から沸点は150から200℃の範
囲であることが好ましい。本願のパーフルオロカーボン
の沸点は100℃、ジプロピレングリコールジメチルエ
ーテルの沸点は172℃であるが、これらは相溶性がな
いので二層に分離するため、回収が容易である。
【0047】本発明の洗浄剤は、洗浄対象物に付着して
いる汚れ等の濃度を最小にする、あるいは除去するばか
りでなく、すすぎあるいはリンス工程にも用いることが
できる。さらに、超音波、機械的撹拌、吹き付け等、さ
まざまな洗浄方法に適用可能である。また、本発明の蒸
気洗浄あるいは乾燥とは、洗浄対象物表面上の液体を蒸
発させたり、除去するばかりでなく、置換することも含
む。
【0048】本発明の洗浄剤および洗浄方法は、各種洗
浄対象物に対して適用可能であり、洗浄対象物の材質に
ついても特に限定されるものではなく、金属、半金属、
セラミックス、プラスチック材料等が挙げられる。例え
ば、金属や半金属としては鉄、アルミニウム、シリコ
ン、銅、ステンレス等が、セラミックスとしては窒化ケ
イ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ガラス、磁器等
が、プラスチックとしてはポリアミド、ポリイミド、エ
ポキシ、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂
等が例示され、またこれらの複合材料であってもよい。
具体的にはプリント基板や実装部品等の電子部品、電気
部品、半導体部品、金属部品、表面処理部品、精密機器
部品、光学部品、ガラス部品、セラミックス部品、プラ
スチック部品等が挙げられる。
【0049】以上のように、本発明によれば、フロンを
使わずに、洗浄に必要な脱脂性と蒸気乾燥の速乾性とを
両立させることができ、引火の危険性を最小にすること
ができ、さらに洗浄剤と乾燥剤とを簡単に分離すること
のできる洗浄が可能となる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、本発明の洗浄方法の具体例
とその評価結果を本発明の洗浄剤と共に、実施例によっ
て詳細に説明する。
【0051】櫛形基板(JIS−Z−3197 2形)
にフラックス(RAタイプCRV−5V 田村化研製)
をフラクサーにて1回塗布後、プレヒート温度100か
ら120℃にて溶剤を除去し、230から260℃にて
30秒間、焼き付けた。
【0052】この櫛形基板を評価用サンプルとして、実
施例1から4および比較例1から6に示す組成で櫛形基
板のフラックス洗浄を洗浄温度40℃、超音波出力40
0w/28kHz、2つの洗浄槽でそれぞれ5分間洗浄
し、さらに2つのリンス槽でそれぞれ5分間すすいだ
後、実施例1および2、比較例1から6は、パーフルオ
ロオクタンを沸騰させ蒸気洗浄を行い、実施例3は、C
3 [(OCF(CF3)CF2 n (OCF2 m
OCF3 (n,m は0から5の整数、0≦n +m ≦10)
を沸騰させ蒸気洗浄を行い、実施例4は、CF3 (CF
2 CFCF3 O)m (CF2 CF2 O)n CF3 (n,m
は0から5の整数、0≦n +m ≦10)を沸騰させ蒸気
洗浄を行った。洗浄後に、イオン残渣、絶縁抵抗、白色
残渣の有無、乾燥性を評価した。イオン残渣は表面に残
存する汚れを示すものであり、14(μg・NaCl/
インチ2 )以下であることが好ましい。好ましくは7以
下、より好ましくは5以下である。絶縁抵抗も同じく残
存する汚れの度合いを示すものであり、汚れ物質がなけ
れば電流は流れないため、絶縁抵抗は高くなる。絶縁抵
抗は、1×1013以上であることが好ましい。白色残渣
評価は以下に示す方法で行った。
【0053】イオン残渣:清浄度測定器オメガメータ−
600SMD(日本アルファメタルズ株式会社製)を用
い、乾燥後の櫛形基板の抽出溶液中(イソプロピルアル
コール75%純水25%)での電気抵抗を、NaClイ
オンの等量値に変換させイオン残渣量(μg・NaCl
/インチ2 )とした。
【0054】絶縁抵抗:デジタル超高抵抗/微小電流計
(株式会社アドバンテスト社製)を用い、乾燥後の櫛形
基板の電極間の抵抗(×1013Ω)を測定した。抵抗値
は3回測定した平均値で表した。
【0055】白色残渣:乾燥後の櫛形基板20枚を顕微
鏡観察し、白色残渣が観察された枚数/20枚により数
値化した。
【0056】また、乾燥性の評価として、100mm×
100mm×0.5mmのSUS製金属板10枚を実施
例1から8および比較例1から5の洗浄剤に1分間浸漬
したのち、実施例1および2、比較例1から6は、パー
フルオロオクタンで蒸気洗浄を2分行い、実施例3は、
CF3 [(OCF(CF3 )CF2 n (OC
2 m ]OCF3 (n,m は0から5の整数、0≦n +
m ≦10)で蒸気洗浄を2分行い、実施例4は、CF3
(CF2 CFCF3 O)m (CF2 CF2 O)n CF3
(n,m は0から5の整数、0≦n +m ≦10)で蒸気洗
浄を2分行い、実施例5、6は100Torr以下の減圧下
で、パーフルオロデカンにて2分減圧蒸気乾燥を行い、
実施例7は、HF2 CO(CF2 O)2 CF2 CF2
CF2 Hで示されるハイドロフルオロポリエーテルで、
実施例8は、HF2 CO(CF2 CF2 O)2 CF2
で示されるハイドロフルオロポリエーテルで2分蒸気乾
燥を行った。乾燥仕上がり性を目視観察して液残りの枚
数/20により数値化した。また、乾燥時間(秒)につ
いても測定した。この条件の場合、乾燥時間は少なくと
も120秒以下であることが好ましい。より好ましくは
60秒以下である。
【0057】
【表1】 以上の実施例より、実施例1から8はいずれも、イオン
残渣量が少なく、絶縁抵抗が大きく、白色残渣がなく、
乾燥性が良好であり、粘度が低く、蒸気洗浄剤との相溶
性がなく、引火点が高い傾向があることがわかった。こ
れに対して、比較例1および2は、絶縁抵抗が小さく、
乾燥性が悪い。比較例3および4は、イオン残渣量が多
く、絶縁抵抗が小さく、白色残渣がある。さらに比較例
4のイソパラフィンは、フラックスなどのイオン性物質
を溶解することができない。比較例5および6も、イオ
ン残渣量が多く、絶縁抵抗が低く、白色残渣がある。す
なわち、本発明の実施例1から8が、引火しにくく、優
れた洗浄性と乾燥性との両方を満たしており、さらに洗
浄剤と蒸気洗浄剤とが分離しやすいのに対し、比較例1
から6はいずれもこれらを満たすものではないことが明
らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】パーフルオロオクタンとジプロピレングリコー
ルジエメチルエーテルの相互溶解曲線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 信宏 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内 (72)発明者 山藤 茂夫 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温で蒸気洗浄剤と任意相溶せず、かつ
    室温での粘度が3センチポイズ以下、引火点が50℃以
    上であることを特徴とする洗浄剤。
  2. 【請求項2】 前記洗浄剤の主成分がジプロピレングリ
    コールジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリ
    コールジエチルエーテルであることを特徴とする請求項
    1記載の洗浄剤。
  3. 【請求項3】 前記洗浄剤に溶解度パラメータが9未満
    の非極性溶剤が、洗浄剤全量に対し、50重量%以下混
    合されていることを特徴とする請求項1または2記載の
    洗浄剤。
  4. 【請求項4】 前記非極性溶剤が低分子シロキサン化合
    物および/または脂肪族炭化水素であることを特徴とす
    る請求項3記載の洗浄剤。
  5. 【請求項5】 前記蒸気洗浄剤がパーフルオロカーボン
    であることを特徽とする請求項1記載の洗浄剤。
  6. 【請求項6】 洗浄剤を用いて洗浄および/またはすす
    ぎ後、蒸気洗浄剤を用いて蒸気洗浄する方法において、 前記洗浄剤が室温で前記蒸気洗浄剤と任意相溶せず、か
    つ前記洗浄剤の室温での粘度が3センチポイズ以下であ
    り、引火点が50℃以上であることを特徴とする洗浄方
    法。
  7. 【請求項7】 前記洗浄剤の主成分がジプロピレングリ
    コールジメチルエーテルおよび/またはジエチレングリ
    コールジエチルエーテルであることを特徴とする請求項
    6記載の洗浄方法。
  8. 【請求項8】 前記洗浄剤に溶解度パラメータが9未満
    の非極性溶剤が、洗浄剤全量に対し、50重量%以下混
    合されていることを特徴とする請求項6または7記載の
    洗浄方法。
  9. 【請求項9】 前記非極性溶剤が低分子シロキサン化合
    物および/または脂肪族炭化水素であることを特徴とす
    る請求項8記載の洗浄方法。
  10. 【請求項10】 前記蒸気洗浄剤がパーフルオロカーボ
    ンであることを特徽とする請求項6記載の洗浄方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001329296A (ja) * 2000-05-24 2001-11-27 Neos Co Ltd レンズ製造工程用洗浄剤組成物
JP2013197255A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Fujitsu Ltd 半導体装置の製造方法及び半導体装置の製造装置
JP2017197621A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 信越化学工業株式会社 洗浄剤組成物及び薄型基板の製造方法

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