JP4301828B2 - 油脂除去用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体の物品表面に付着した油脂等を除去するための洗浄剤組成物、特に金属表面の洗浄に好適に用いることができる洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板、金属部品、電子部品等、固体製品の表面に付着した加工油、指紋等の油脂汚れ除去は、後工程の安定化のため、種々の産業分野で必須の工程となっている。こういった産業洗浄では、洗浄剤の長期安定性(経済性)、廃水が少ない等の環境適合性、取り扱いの容易性、後工程に適した洗浄性能等が求められる。
【0003】
これら産業洗浄には、従来フロン系の溶剤や、塩化メチレン等の塩素系溶剤、苛性ソーダを主成分としたアルカリ洗浄剤等が用いられてきた。しかし、近年環境問題がクローズアップされるにつれ、界面活性剤を主成分とする水系洗浄剤、パラフィン系炭化水素を主成分とする炭化水素系洗浄剤、極性有機溶剤の水溶液である準水系洗浄剤等への転換が進んでいる。
【0004】
界面活性剤を主成分とする水系洗浄剤は、主として油の乳化、可溶化により洗浄剤中に油分を擬似溶解させることにより洗浄を行うものであり、アルカリ剤を添加して、そのケン化作用を加え、洗浄性を強化することもある。該水系洗浄剤は、水を主成分とするため火災の心配がなく安全性が高い。しかしながら、油の乳化やケン化作用は不可逆な作用であり、長期間洗浄を続けると洗浄剤中に油が蓄積して洗浄性の低下が起こり、洗浄液の全量交換が必要となるという問題がある。また、洗浄後、被洗浄物の表面に不可避的に界面活性剤成分が残留するため、洗浄後清浄な水でリンスする必要があり、大量に発生するリンス水の廃液処理も問題となる。
【0005】
また、炭化水素系洗浄剤は、油の溶解力の高い炭化水素系有機溶剤を用いているため洗浄力が高いという特徴がある。該洗浄剤においては、洗浄剤中に溶け込んだ油脂汚れ成分は蒸留で容易に取り除くことができるので、洗浄システムが組みやすい。しかしながら、使用される炭化水素系溶剤は消防法上第2、3石油類に分類される危険物であるため、その貯蔵量、使用する洗浄剤量に制約を受ける。従って、多槽洗浄システムを組む場合には、使用する危険物の量が多くなるため巨大な防爆設備を設置する必要があった。また、防爆設備を設置しない場合には、洗浄槽1槽あたりの大きさを小さくし、洗浄処理量を犠牲にせざるを得なかった。
【0006】
一方、準水系洗浄剤は、水を含有することにより、その液自体は不燃性であるため炭化水素系洗浄剤で必要となる防爆設備は不要であり、また、消防法による規制も受けない。このような準水系洗浄剤としては、例えば(1)60℃で水と任意の割合で相溶し得るプロピレングリコールアルキルエーテル(2)60℃で水と50容量%以下の割合でしか相溶しないプロピレングリコールアルキルエーテルおよび(3)水よりなり、これらが均一相を形成してなる洗浄剤が知られている(特許文献1参照)。該洗浄剤は、油水分離能に優れるため、液の蒸留再生をしなくても洗浄力を維持できる特徴をもっている。また、準水系洗浄剤は、本質的に揮発性の有機溶媒と水のみからなり且つその油の溶解度が小さいために、洗浄後の被洗浄物をそのまま乾燥するだけで洗浄システムが終結する。従って、液の寿命が長く、大変有用である。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−3592号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、準水系洗浄剤を用いた場合、洗浄後に被洗浄物に表面処理を施す場合には、問題が発生することがあることが明らかとなった。例えば、金属箔について準水系洗浄剤を用いて洗浄した後にメッキ処理やクロメート処理を行う場合には、油脂汚れは除去されているにも拘わらず、均一な表面処理が出来ないことがあることが判明した。そこで、本発明は、このような問題の起こらない準水系洗浄剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、従来の準水系洗浄剤で洗浄した金属箔においては、その表面の水ぬれ性が十分に改良されていないためにその後の表面処理に問題が生じること、準水系洗浄剤に揮発性を有する塩基性化合物を特定量配合した場合には、上記水ぬれ性が改良されて後処理をきれいに行なうことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、水10〜95重量%及び溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒5〜90重量%からなる混合液100重量部に対して水酸化第4級アンモニウムを0.01〜1重量部含有してなり、界面活性剤を実質的に含有しない油脂除去用洗浄剤組成物であって
前記溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒として、
N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびγ−ブチロラクトンから選ばれる50℃において水と溶解混合する高相溶性有機溶媒と、
エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、および1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノンから選ばれる50℃における水への溶解度が50容量%以下である低相溶性有機溶媒との混合溶媒を使用する油脂除去用洗浄剤組成物である。
本発明は、前記高相溶性有機溶媒が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、前記低相溶性有機溶媒が、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルである前記油脂除去用洗浄剤組成物である。
また、本発明は、前記高相溶性有機溶媒と前記低相溶性有機溶媒との混合割合が1:9〜9:1である混合溶媒を使用する前記油脂除去用洗浄剤組成物である。
【0011】
また、第二の本発明は、前記油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、結晶質物質で構成された表面を有する物品を洗浄することを特徴とする物品の洗浄方法である。
【0012】
さらに、第の本発明は、前記油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、結晶質金属表面を有する物品を洗浄することを特徴とする、ぬれ指数が50(dyne/cm)以上である結晶質金属表面を有する物品の製造方法であり、第の本発明は、前記油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、結晶質金属で構成された表面を有する物品を洗浄した後に乾燥し、前記結晶質金属で構成された表面をメッキ処理又は化成処理することを特徴とするメッキ処理又は化成処理された面を有する物品の製造方法である。
【0013】
さらにまた、第の本発明は、前記油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、油脂汚れが付着した被洗浄物を洗浄した後に得られる油脂汚れ成分を含有する使用済み洗浄剤を回収し、当該使用済み洗浄液から前記油脂汚れ成分を油水分離装置で除去することを特徴とする油脂除去用洗浄剤組成物の再生方法である。
(以下、油脂除去用洗浄剤組成物を単に洗浄剤組成物とする場合もある。)
【0014】
本発明の洗浄用組成物は界面活性剤を実質的に含有せず、添加される塩基化合物も揮発性を有するので、本発明の洗浄用組成物を用いて洗浄を行った後、リンス工程を経ることなくそのまま乾燥し、表面処理を行なうことが可能である。しかも、本発明の洗浄用組成物を用いて金属箔のような結晶質物質で構成された表面を有する物品を洗浄した場合には、洗浄終了後に乾燥してそのままメッキ処理や化成処理等の表面処理を行なっても均一で良好な処理を行なうことができる。このような優れた効果が発現する機構は必ずしも明確ではないが、揮発性塩基を含まない従来の準水系洗浄剤を用いて洗浄を行った後の被洗浄物の表面性状と本発明の洗浄剤組成物を用いて洗浄を行なった後の被洗浄物の表面性状とを比較した結果から、次のようなものであると考えられる。すなわち、前者(従来の洗浄剤を用いた場合)の被洗浄物の表面のぬれ指数に比べて後者(本発明の洗浄剤組成物を用いた場合)の被洗浄物の表面のぬれ指数が高くなっていたこと、及び原子間力顕微鏡を用いた表面観察の結果、前者の表面には凹凸が殆ど見られなかったのに対し、後者の表面では図1に示すように数10nmレベルの微細な凹凸が多く形成されていたことから、本発明の洗浄剤組成物に適量含まれる塩基化合物の作用により、被洗浄物の結晶表面の結晶粒界が選択的にエッチングされて表面に適度な「荒れ」が発生して水濡れ性が改善され、その結果としてメッキ処理や化成処理が均一に行なわれるようになったものと思われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の洗浄剤用組成物は、水10〜95重量%及び溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒5〜90重量%からなる混合液を主成分とする。
【0016】
上記混合液に含まれる水は、洗浄剤組成物を不燃化する作用を有し、同時に洗浄剤組成物に油水分離性を付与する作用を有する。産業洗浄剤は、一般に専用の洗浄装置内で用いられることが多く、そのため、火災に対する安全性や長期安定性が求められるが、本発明の洗浄剤用組成物は水を上記のような割合で含む混合液を主成分としているので、不燃性、例えばクリーブランド開放式引火点測定法(JIS−K2265)で引火点を観測できないものとすることができ、その使用に際して防爆設備が不必要となる。また、準水系洗浄剤の特徴の一つとして、油脂成分を溶解(ここでいう溶解とはミセル形成による擬溶解や、ケン化反応等による油の可溶化を含む。)し難く、被洗浄物から除去した油脂汚れ成分を比較的大きな油滴の形で剥離除去し、除去した油滴が相分離するという油水分離能を有するために、洗浄廃液から汚れ成分である油脂類を油水分離装置で分離し、再生利用できることが挙げられる。このような特徴は、具体的には25℃における油脂類の上記溶解量が全洗浄液組成物の重量基準で1重量%未満であると好適に発現されるといわれているが、本発明の洗浄剤組成物においてはこのような油水分離性を実現することも可能である。
【0017】
本発明の洗浄用組成物における上記混合液組成は、洗浄性、油水分離能、不燃性等のバランスから前記有機溶媒:水の重量比で80:20〜10:90、特に75:25〜20:80の範囲であるのが好適である。なお、水としては洗浄装置内のスケーリングや、被洗浄物への残渣の問題から、電気伝導度が1μS以下の水を使用するのが好適である。
【0018】
また、上記混合液では、洗浄力を高くし、均一溶媒を形成するために、油(油脂汚れ)との親和性に富み、且つ水との親和性が適度である「溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒」を使用する。一般に、準水系洗浄剤においては、前記したような特性を生かし油水分離装置で洗浄剤を再生しながら用いることがコスト面で好ましく、その点で室温より高めの使用温度(例えば50℃)において配合された有機溶媒成分が相分離せず均一な状態で溶解している状態が好ましいが、溶解度パラメーターδが8に満たないと、水との親和性に乏しいため、均一相を形成することが難しくなる。また溶解度パラメーターδが16を超えると油脂成分との親和性が十分でないため、洗浄能力が不十分となる。
【0019】
上記有機溶媒は、下記に説明する高相溶性有機溶媒と低相溶性有機溶媒とからなる。なお、有機溶媒の溶解度パラメーターδは、例えば、Hansen Solubility Parameters(Charles M.Hansen,CRC Press,2000)等のハンドブックに記載されている。
【0020】
洗浄性と水との相溶性のバランスが良いという観点から、好適な溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、そのエステル誘導体、ピロリドン化合物、イミダゾリジノン化合物、γブチロラクトン及びジメチルスルホキシドを挙げることができ、これら有機溶媒を具体的に例示すると、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N―メチルピロリドン、N―エチルピロリドン、1,3―ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3―ジプロピル−2−イミダゾリジノン、γ―ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等を挙げることが出来る。
【0021】
また、溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒としては、油分に対する洗浄性が強化されるという理由から、水に対する相溶性が高い有機溶媒(高相溶性有機溶媒)と水に相溶性が低い有機溶媒(低相溶性有機溶媒)との混合溶媒を使用する。ここで、高相溶性有機溶媒とは、実際に洗浄を行う温度(好適には50℃)において水と容易に溶解混合する有機溶剤を意味し、その具体例としては、N―メチルピロリドン、N―エチルピロリドンなどのピロリドン化合物、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジメチルスルホキシド、1,3―ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ―ブチロラクトン等を例示できる。また、低相溶性有機溶媒とは、実際に洗浄を行う温度において水と容易に溶解混合しない極性有機溶剤、好適には50℃における水への溶解度が50容量%以下の有機溶剤のことをいい、例えば、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、1,3―ジプロピル−2−イミダゾリジノン等を例示することができる。なお、この場合において、高相溶性有機溶媒と低相溶性有機溶媒との混合割合は、2種の有機溶媒と水とが均一相を形成する割合が、選択した溶媒の種類によって異なるため一概には決められないが、概ね1:9〜9:1であるのが好適である。
【0022】
また、上記有機溶媒としては、洗浄物を乾燥した後に蒸発残渣が残らないようにするため、JIS−K0067に規定される蒸発残分が0.005g/ml以下の溶剤、特に0.001g/ml以下の溶剤を使用するのが好適である。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物は、溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒と水との上記混合液100重量部に対して揮発性を有する水酸化第4級アンモニウム(以下、揮発性塩基とする場合もある。)を0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部含有する。このような量の揮発性塩基を含有することにより、洗浄残渣を残すことなく例えば金属箔を洗浄したときの水濡れ性を改良し、その後のメッキ処理等の表面処理性を向上させることができる。塩基性化合物であっても揮発性を有しない珪酸ソーダ、苛性ソーダ等の無機アルカリ剤を用いた場合には、被洗浄物の表面に付着した成分が乾燥時に被洗浄物表面に析出してくるため好ましくない。更に、水濡れ性向上効果の観点から、本発明の洗浄剤組成物の水素イオン指数(pH)は9〜13、特に10.5〜12.5であることが好ましい。
【0024】
揮発性塩基としては、水溶液が塩基性を示し、加熱や減圧状態において気体若しくは蒸気となる化合物であれば特に限定されないが、洗浄後の被洗浄物を乾燥させたときに、その表面に残渣(以下、乾燥残渣ともいう)が残らないという観点から、JIS−K0067に規定される蒸発残分が0.005g/ml以下、特に0.001g/ml以下の塩基性化合物を使用するのが好適である。
【0025】
このような揮発性塩基は、組成物の臭気や取り扱い上の容易性から水酸化第4級アンモニウムであり、この中でも、有機溶媒との揮発性の差が小さく液管理が容易であることから水酸化テトラメチルアンモニウムを用いるのが最も好ましい。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は基本的には前記混合溶媒及び揮発性塩基のみからなるが、本発明の効果を阻害しない範囲、具体的には500ppm以下、特に100ppm以下であれば他の成分を含むことができる。このような成分としては、酸化防止剤、安定剤等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の洗浄剤組成物においては、乾燥残渣を発生させないために、界面活性剤を実質的に含有しない必要がある。ここで実質的に含有しないとは、原料物質中に不可避的に含まれるような界面活性剤以外は含まないという意味であり、その含有量が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下であることを意味する。本発明の洗浄剤組成物は不揮発性物質を実質的に含有せず、例えばJIS−K0067で規定される蒸発残分が0.005g/ml以下、更には0.001g/ml以下であるので、乾燥残渣が発生せず、これを除去するためのリンス工程が不要である。界面活性剤等の不揮発性成分を含む従来の水系洗浄剤を用いた場合には乾燥残渣を除去するために清浄な水でリンスする必要があり、大量のリンス水の廃液処理が問題となるが、本発明の洗浄剤組成物を用いた場合にはこのような問題は生じない。
【0028】
本発明の洗浄用組成物は、前記したように結晶質物質で構成された表面を有する物品を洗浄した後に被洗浄物を乾燥し、そのままメッキ処理や化成処理等の表面処理を行なった場合において、均一で良好な処理を行なうことが可能である。このため、結晶質物質で構成された表面を有する物品用の洗浄剤として好適に使用できる。ここで、結晶質物質とは、結晶粒を含むものであれば特に限定されず、非晶質と結晶質の混合状態であってもよいが、当該面(メッキ処理等が行なわれる被洗浄面)は、多結晶質又は多結晶と非晶質の混合状態であるのが好適である。また、その材質は金属、無機酸化物や窒化物等のセラミック、ポリプロピレン等の結晶性樹脂の何れであってもよい。さらに多結晶質物質で構成された表面を有する物品とは、洗浄液と接触する表面の少なくとも一部が結晶物質で構成されたものであれば特に限定されず、このような物品を例示すれば、金属箔等の各種金属加工物品、セラミック焼結体、結晶性樹脂の成形品等を挙げることができる。これらの中でも効果の高さ及び効果の重要性の観点から、金属物品、特に金属箔又は金属板に対して使用するのが好適である(通常、工業的に入手可能な金属箔や金属板の表面は結晶質である)。金属箔や金属板を本発明の洗浄用組成物を用いて洗浄した場合には、その表面のぬれ指数を50(dyne/cm)以上、好適には54(dyne/cm)以上とすることができる。
【0029】
上記の場合において、洗浄後の被洗浄物を乾燥する方法は特に限定されず、熱風乾燥、真空乾燥法等の公知の乾燥法の中から被洗浄物の材質、形状等に応じて適宜選択すればよい。また、メッキ処理や化成処理の方法も特に限定されず、被洗浄物(被処理物)やその使用目的に応じて、公知の方法の中から適宜選定すればよい。なお、ここでいうメッキ処理とは、電解メッキ及び無電解メッキを含み、化成処理とは例えばクロメート処理である。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物からなる洗浄剤を用いた洗浄方法としては、公知の洗浄方法を何ら制限なく採用することができる。例えば、洗浄剤中に被洗浄物を浸漬する方法、被洗浄物に洗浄剤をシャワー、スプレーする方法等を採用することが出来る。このとき超音波洗浄、揺動、攪拌等の手段を併用するとさらに効果的である。
【0031】
洗浄温度は、特に制限されるものではないが、相分離の温度依存性と、洗浄性のバランスから、30〜80℃、好適には40〜70℃であるのが好ましい。
【0032】
また、本発明の洗浄剤組成物は、従来の準水系洗浄剤と同様に油水分離能を有し、被洗浄物から除去された油脂のうち、溶解度を超える分については、浮上油または沈殿油となって洗浄剤から自然に分離する。したがって、分離された油脂成分を油水分離装置で分離することにより容易に再利用することが可能である。このような再利用の方法は、従来の準水系洗浄剤を用いた場合と特に変わるところはない。
【0033】
【実施例】
本発明を具体的に説明するために更に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1〜6及び比較例1〜9
表1に示す組成の洗浄剤用組成物を調整した。各組成物の25℃におけるpHをガラス電極法で測定した結果を表1に示す。
【0035】
次に、市販圧延油が4mg/枚付着した50mm×80mm×18μmの薄板をテストピースとし、超音波洗浄を行った。洗浄は、50℃の表1に示す組成の洗浄剤3(l)にテストピースを30秒間浸漬することによって行った。洗浄後、60℃で20分間乾燥した。洗浄後のテストピースについて、油除去率、及び濡れ指数、水との接触角を評価した。油除去率は、洗浄前後のテストピースに付着している油分を、四塩化炭素で抽出し、その2900cm−1の吸光度を測定することで算出した。また、濡れ指数はJIS K−6768の方法に準じて、水との接触角は、接触角測定装置(協和界面科学製S−150)を用いて測定した。結果を表1まとめて示す。
【0036】
また、実施例3について、洗浄後の表面形状を原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製 nanopics−1000)にて観察した。結果を図1に示す。
【0037】
尚、表中の略号の意味は下記の通りである。
TMAH :水酸化テトラメチルアンモニウム
PM :プロピレングリコールモノメチルエーテル
NMP :N−メチルピロリドン
DPM :ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
DPP :ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
TEAH :水酸化テトラエチルアンモニウム
NaOH :水酸化ナトリウム
NS :ヤシアミンエチレンオキシド5モル付加物(界面活性剤)
【0038】
【表1】
Figure 0004301828
【0039】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤用組成物は、従来の準水系洗浄剤の優れた特徴を有するばかりでなく、金属箔等の多結晶質物質で構成された表面を有する物品を洗浄した場合、そのぬれ指数を向上させて、メッキ処理やクロメート処理の処理性を向上させるという効果を有する。したがって、本発明の洗浄剤組成物を使用することにより、洗浄の後処理としてこのような表面処理を要する物品の製造において省スペースで経済的な洗浄プロセスを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3で洗浄した被洗浄物の表面を原子間力顕微鏡で観察したときの顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. 水10〜95重量%及び溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒5〜90重量%からなる混合液100重量部に対して水酸化第4級アンモニウムを0.01〜1重量部含有してなり、界面活性剤を実質的に含有しない油脂除去用洗浄剤組成物であって
    前記溶解度パラメーターδが8以上16以下である有機溶媒として、
    N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびγ−ブチロラクトンから選ばれる50℃において水と溶解混合する高相溶性有機溶媒と、
    エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、および1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノンから選ばれる50℃における水への溶解度が50容量%以下である低相溶性有機溶媒と
    の混合溶媒を使用する油脂除去用洗浄剤組成物。
  2. 前記高相溶性有機溶媒が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、前記低相溶性有機溶媒が、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルである請求項1に記載の油脂除去用洗浄剤組成物。
  3. 前記高相溶性有機溶媒と前記低相溶性有機溶媒との混合割合が1:9〜9:1である混合溶媒を使用する請求項1又は2に記載の油脂除去用洗浄剤組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、結晶質物質で構成された表面を有する物品を洗浄することを特徴とする物品の洗浄方法。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載の油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、結晶質金属表面を有する物品を洗浄することを特徴とする、ぬれ指数が50(dyne/cm)以上である結晶質金属表面を有する物品の製造方法。
  6. 請求項1〜3の何れかに記載の油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、結晶質金属で構成された表面を有する物品を洗浄した後に乾燥し、前記結晶質金属で構成された表面をメッキ処理又は化成処理することを特徴とするメッキ処理又は化成処理された面を有する物品の製造方法。
  7. 請求項1〜3の何れかに記載の油脂除去用洗浄剤組成物を用いて、油脂汚れが付着した被洗浄物を洗浄した後に得られる油脂汚れ成分を含有する使用済み洗浄剤を回収し、当該使用済み洗浄液から前記油脂汚れ成分を油水分離装置で除去することを特徴とする油脂除去用洗浄剤組成物の再生方法。
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