JP4320919B2 - 水切り溶剤組成物および水切り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品表面に付着した水を除去し乾燥することが容易にできる水切り溶剤組成物および該溶剤組成物を用いた水切り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSIなどの半導体の製造に使用されるウエハ、メッキ製品、光学レンズ、フォトリソグラフィ工程で使用されるマスク、液晶表示装置部品、各種電子部品、プラスチック、ガラス、金属およびセラミックス等は、しばしば水系洗浄剤、準水系洗浄剤または純水等で洗浄される。しかし、洗浄後の物品の表面には水分が残存しやすい問題がある。さらに水分の残存は、シミの発生による外観不良、錆、性能不良等の原因となりうる。該問題を解消するためには、物品の表面を乾燥させて水分を除去する必要がある。
【0003】
水の乾燥方法としては、熱風を被洗浄物品に吹き付けて乾燥する方法(以下、熱風乾燥法という。)、密閉容器内に被洗浄物品を入れ、つぎに大気圧以下に減圧することにより水の沸点を下げて低温で乾燥させる方法(以下、減圧乾燥法という。)、被洗浄物品の表面から水を除去しうる溶剤に被洗浄物品を浸漬後に溶剤を乾燥させる方法(以下、浸漬乾燥法という。)等が知られている。
【0004】
浸漬乾燥法に用いる溶剤としては、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類が知られている。またクロロフルオロカーボン類(以下、CFC類という。)やハイドロクロロフルオロカーボン類(以下、HCFC類という。)等の塩素化フッ素化炭化水素系溶剤にアルコール類や界面活性剤を添加した溶剤組成物等が知られている。このうち、塩素化フッ素化炭化水素系溶剤は、不燃性であり、水に比べて蒸発潜熱が低いことから、乾燥に要するエネルギーの消費量が少なく、乾燥に要する時間を短縮できるため、水切り溶剤組成物の成分として有用であることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
熱風乾燥法や減圧乾燥法では、水を乾燥させるために多くのエネルギーを要する、乾燥に要する時間が長い、被洗浄物品の形状が複雑である場合には充分な水分除去ができない等の問題点がある。また、浸漬乾燥法において用いられるエタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類は、引火点を有するため作業環境に特別な配慮を要する等の問題点がある。CFC類やHCFC類は、オゾン層破壊への影響が指摘されるため、CFC類については既に生産が禁止され、HCFC類も先進国においては2020年に生産が全廃され、将来は使用できなくなる問題点がある。
本発明は、CFC類、HCFC類と同等の性能を有し、作業上および地球環境上の悪影響が少ない水切り溶剤組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類を必須成分とする組成物であって、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類の合計質量に対するアルコール類の質量が15%以下であることを特徴とする水切り溶剤組成物を提供する。
また、本発明は、前記の水切り溶剤組成物を用いて、物品表面に付着した水を除去することを特徴とする水切り方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物は、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類を必須成分とする組成物である。(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとは、式C6F13−O−CH3で表される化合物である。該化合物中のC6F13の部分は、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。好ましくはCF3(CF2)5OCH3である。(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンは、前記の式であって構造が異なる異性体の1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0008】
(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンは、引火点や爆発範囲を持たず不燃性である。また(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンは、分子中に塩素原子を含まないため成層圏オゾン層へ悪影響を及ぼさない溶剤である。さらに、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンは、蒸発潜熱が0.15J/kgと水に比べて非常に小さく、蒸発に要するエネルギーの消費量が少ない溶剤であるため、本発明の組成物の乾燥時間を短縮できる。
【0009】
本発明におけるアルコール類とはアルコール性水酸基を有する有機化合物であり、アリルアルコール、アルカノール等が挙げられる。炭素数1〜4のアルカノールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。本発明の組成物中に含ませるアルコール類は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0010】
本発明の組成物中の(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類の合計質量に対するアルコール類の質量は、15%以下であり、1〜10%が好ましい。アルコール類の質量が15%を超えると引火点を持つようになる難点がある。また、アルコール類の質量が少なすぎると、水切り性能が低下するおそれや、シミの発生等の外観不良が発生するおそれがある。
【0011】
本発明の組成物は、実質的に(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類のみからなるのが好ましいが、必要に応じて他の成分を含ませてもよい。他の成分としては、たとえば水切り効果を高めるための界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が好ましく、これらの1種または2種以上を用いうる。界面活性剤を用いる場合の量は、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類の合計量に対して0.05〜5質量%が好ましい。
【0012】
本発明の水切り溶剤組成物は、IC、LSIなどの半導体の製造に使用されるウエハ、メッキ製品、光学レンズ、フォトリソグラフィ工程で使用されるマスク、液晶表示装置部品、各種電子部品、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等の物品表面に付着した水を除去し乾燥する目的で使用される。本発明の組成物を使用した水切り方法としては、水切り溶剤組成物中に水が付着した物品を浸漬し、一定時間経過後に引き上げて、物品表面に残存する該溶剤組成物を除去し乾燥する方法(浸漬乾燥法)または水が付着した物品表面に本発明の組成物をスプレイする方法が挙げられ、両方法を併用してもよい。このうち、水切り方法としては浸漬乾燥法が好ましい。
【0013】
浸漬乾燥法によれば、物品表面に付着した水は溶剤組成物中に移行し、物品表面への再付着はほとんど認められない。また、浸漬乾燥法では、溶剤組成物中に移行した水は、比重差により該溶剤組成物層上に浮上し、水層を形成する。この水層を該溶剤組成物層から分離することは容易である。また溶剤組成物から引き上げた物品は、室温で放置することによって容易に乾燥できる。すなわち本発明の溶剤組成物を用いることにより物品表面の水を容易に除去できる。
【0014】
さらに付着水の除去効果を高めるために、上記浸漬乾燥法と併用して、揺動や超音波振動等を行ってもよい。また、乾燥効果を高めるために、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンのみからなる蒸気、または(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類の混合蒸気を用いて仕上げを行ってもよい。
【0015】
【実施例】
[例1〜7(実施例)、例8〜10(比較例)]
表1に示す溶剤組成物(かっこ内の数値は、溶剤の質量比である。)を用いた。該組成物を用いて以下の水切り乾燥および各種評価を行った。結果を表1に示す。表1中の略号は、以下の意味を示す。
PHM:CF3(CF2)5OCH3、
MeOH:メタノール、
EtOH:エタノール、
IPA:イソプロピルアルコール、
HCFC−225:ジクロロペンタフルオロプロパン、
CFC−113:トリクロロトリフルオロエタン。
【0016】
[水切り例1]
30mm×18mm×5mmのガラス板2枚を純水に浸漬後、例1〜10の溶剤組成物に30秒浸漬して水切りを行った。前記ガラス板を25℃の室内に放置して、前記ガラス板上の溶剤が目視で見えなくなるまで乾燥を行った。2枚のガラス板を取り出し、そのうち1枚について、下記(1)により付着水の残存率を判定した。もう1枚のガラス板については、下記(2)により外観を判定した。
【0017】
[水切り例2]
30mm×18mm×5mmのガラス板2枚を純水に浸漬後、例1〜10の溶剤組成物中に30秒浸漬して水切りを行った。該溶剤組成物を沸騰させて発生した蒸気を、前記ガラス板に30秒当てて乾燥を行った。2枚のガラス板を取り出し、そのうち1枚について、下記(1)により付着水の残存率を判定した。もう1枚のガラス板については、下記(2)により外観を判定した。
【0018】
[評価]
(1)付着水の残存率:
30mm×18mm×5mmのガラス板を純水に浸漬後、無水メタノール中に浸漬し、メタノールの水分濃度(A1)を測定した。一方、水切り例1の操作後のガラス板を無水メタノール中に浸漬し、メタノールの水分濃度(A2)を測定した。水分濃度は、カールフィッシャー水分計により測定した。水切り例1で得たガラス板のそれぞれについてA2を測定し、(A2/A1)×100(%)を付着水の残存率として求めた。同様に水切り例2で得たガラス板のそれぞれを同様に無水メタノール中に浸漬し、水分濃度(A3)を測定し、(A3/A1)×100(%)を付着水の残存率として求めた。◎は付着水の残存率が0.1%未満、○は付着水の残存率が0.1%以上0.3%未満、△は付着水の残存率が0.3%以上1%未満、×は付着水の残存率が1%以上、とした。
【0019】
(2)外観:
ガラス板の表面を目視し、以下の基準で判定した。◎はシミ等の外観不良が全く見られない、○は極くわずかではあるがシミ等の外観不良が発生した、△は一部にシミ等の外観不良が発生した、×は全体にシミ等の外観不良が発生した、とした。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明の水切り溶剤組成物は、CFC類やHCFC類を含む従来の組成物と同等の良好な水切り性能を持ち、水切り後の外観が良い。また、本発明の組成物は引火点や爆発範囲がなく、かつ、成層圏オゾン層への悪影響を及ぼさない等の利点を持つ。さらに、本発明の組成物は被処理物品に対する悪影響が小さい、室温で乾燥できる、短時間で乾燥できる等の利点も有する。
Claims (5)
- (ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類を必須成分とする組成物であって、(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類の合計質量に対するアルコール類の質量が15%以下であることを特徴とする水切り溶剤組成物。
- 前記アルコール類の質量が1〜10%である請求項1に記載の水切り溶剤組成物。
- 水切り溶剤組成物が実質的に(ペルフルオロヘキシルオキシ)メタンとアルコール類のみからなる請求項1または2に記載の水切り溶剤組成物。
- アルコール類が炭素数1〜4のアルカノールである請求項1、2または3に記載の水切り溶剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水切り溶剤組成物を用いて、物品表面に付着した水を除去することを特徴とする水切り方法。
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