JP4717337B2 - テストステロン5α−レダクターゼ阻害剤および養毛化粧料 - Google Patents
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Description
〔テストステロン5α−レダクターゼ阻害剤〕
本発明のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤は、独脚金からの抽出物、ハナモツヤクノキからの抽出物、八角楓からの抽出物、蝦鉗菜からの抽出物、藤麻からの抽出物、三点金草からの抽出物、ハスノハカズラからの抽出物およびオオエゾデンダからの抽出物からなる群から選ばれる1種または2種以上の植物抽出物を有効成分として含有するものである。
<独脚金>
独脚金(Striga asiatica (L.) O. Kuntze)は、ゴマノハグサ科に属する一年生寄生草本であり、中国の広東、広西、貴州、福建等に分布しており、他の植物の根に寄生していることが多い。独脚金は、一般的に、小児の栄養不良、小児の腹下し、黄疸形肝炎の治療等に用いられている。本発明において、独脚金は、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、全草を使用するのが最も好ましい。
ハナモツヤクノキ(Butea monosperma (Lam.) Taub.)は、マメ科に属する落葉の高木であり、インドからビルマにかけて分布している。このハナモツヤクノキの赤色の水溶性樹脂は、Butea Gumと呼ばれ、薬用にされ、収斂剤として利用されている。本発明において、ハナモツヤクノキは、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、花部を使用するのが最も好ましい。
八角楓(Alangium chinense (Lour.) Harms)(日本名:シマウリノキ)は、ウリノキ科の落葉低木または亜高木であり、中国の長江流域および南方各地に分布している。八角楓の根部は、リューマチ、膝関節の腫れ、過労による腰痛の治療等に用いられている。本発明において、八角楓は、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、葉部を使用するのが最も好ましい。
蝦鉗菜(Alternanthera sessilis (L.) R. Br.)(日本名:ツルノゲイトウ)はヒユ科の雑草的な草本であり、ブラジル原産であるが、全世界の熱帯地域に広く見られる。蝦鉗菜は、熱帯各地で若芽や葉が野菜として利用され、時には栽培もされる。中国では、節節花または蓮子草の名で蝦鉗菜の全草が薬用とされ、解熱、利尿、解毒等に用いられている。本発明において、蝦鉗菜は、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、葉部を使用するのが最も好ましい。
藤麻(Procryis wightiana wall. ex. Wedd.)は、イラクサ科の植物である。本発明において、藤麻は、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、地上部を使用するのが最も好ましい。
三点金草(Desmodium triflorum (L.) DC.)は、マメ科の多年生草本であり、中国の福建、広東、広西、雲南および台湾に分布する。三点金草は、一般的に、鎮痛や解毒等に用いられている。本発明において、三点金草は、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、全草を使用するのが最も好ましい。
ハスノハカズラ(Stephania japonica Miers.)(日本名:千金藤)は、ツヅラフジ科の常緑つる性木本であり、日本、中国、東南アジアおよびヒマラヤに分布している。ハスノハカズラは、中国ではマラリア、下痢、関節炎等の治療に利用されている。本発明において、ハスノハカズラは、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、茎部を使用するのが最も好ましい。
オオエゾデンダ(Polypodium vulgare)は、ウラボシ科の多年生付生草本であり、ヨーロッパおよび西アジア原産であるが、北アメリカその他の温帯地域にも導入されている。オオエゾデンダは、一般的に、胆汁分泌促進、去痰、緩下、駆虫、食欲増進等に用いられている。本発明において、オオエゾデンダは、葉部、茎部、枝部等の地上部、根部、花部または果実を使用することができるが、根茎を使用するのが最も好ましい。
上記植物からの抽出物は、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有しており、男性型禿頭等の疾患を予防及び/又は改善することができるとともに、頭髪に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、養毛化粧料に配合するのに好適である。養毛化粧料に配合する際には、上記植物からの抽出物をそのまま配合してもよいし、上記植物からの抽出物を濃縮、乾燥、精製または製剤化したテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤を配合してもよい。なお、本発明における植物は古来より薬用植物として使用されてきており、その安全性は確認されているものであって、上記植物からの抽出物を用いた医薬品や化粧品等においても、副作用なく使用できるものである。
独脚金(Striga asiatica (L.) O. Kuntze)の全草、ハナモツヤクノキ(Butea monosperma (Lam.) Taub.)の花部、八角楓(Alangium chinense (Lour.) Harms)の葉部、蝦鉗菜(Alternanthera sessilis (L.) R. Br.)の葉部、藤麻(Procryis wightiana wall. ex. Wedd.)の地上部、三点金草(Desmodium triflorum (L.) DC.)の全草、ハスノハカズラ(Stephania japonica Miers.)の茎部およびオオエゾデンダ(Polypodium vulgare)の根茎の粗粉砕物300gを、それぞれ表1に示す抽出溶媒(水,50%エタノール(水とエタノールとの重量比1:1),エタノール)2000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った。得られた抽出液をろ過し、ろ液を40℃で減圧下にて濃縮し、さらに減圧乾燥機で乾燥させて各植物の抽出物を得た。抽出物の収率は表1のとおりであった。
試 料 水 50%エタノール エタノール
独脚金 21.3 25.0 19.5
ハナモツヤクノキ 9.0 10.4 9.8
八角楓 13.2 15.8 11.6
蝦鉗菜 19.2 17.2 14.7
藤麻 26.6 24.4 21.7
三点金草 15.6 11.2 9.6
ハスノハカズラ 16.4 12.6 9.2
オオエゾデンダ 15.3 19.8 13.2
製造例1で得られた各植物の50%エタノール抽出物について、下記の試験法によりテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用の試験を行った。
下記化合物(1)〜(3)をそれぞれ1mg精秤し、1mLの塩化メチレンに溶解させた。これをガスクロマトグラフィーにかけ、精秤量およびピーク面積より、ピーク面積あたりの濃度を算出した。
(1)5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオール(シグマ社製)
(2)スタノロン(Stanolone)(アンドロスタン−17β−オール−3−オン)(東京化成(株)製)
(3)テストステロン(東京化成(株)製)
テストステロン(東京化成(株)製)4.2mgをプロピレングリコール1mLに溶解し、そのテストステロン溶液20μLに、1mg/mLのNADPH含有5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.2)825μLを加えて混合した。
濃度=ピーク面積×検量線作成時の濃度/検量線作成時のピーク面積
変換率=有機層中の(1)+(2)の総量/有機層中の(1)+(2)+(3)の総量×100
阻害率={1−(試料添加時の変換率)/(溶媒添加時の変換率)}×100
試 料 試料濃度 3000ppm 試料濃度 1000ppm
独脚金 81.9% 54.1%
ハナモツヤクノキ 94.3% 49.0%
八角楓 80.0% 36.3%
蝦鉗菜 99.5% 57.7%
藤麻 67.5% 35.0%
三点金草 100.0% 88.3%
ハスノハカズラ 63.3% 55.9%
オオエゾデンダ 85.5% 38.6%
下記の原料をヘアトニック製造の常法により処理して、養毛化粧料である養毛ヘアトニックを製造した。
独脚金50%エタノール抽出物(製造例1) 0.2重量部
塩酸ピリドキシン 0.1重量部
レゾルシン 0.01重量部
D−パントテニルアルコール 0.1重量部
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1重量部
センブリ抽出液リキッドET 0.2重量部
1−メントール 0.05重量部
1,3−ブチレングリコール 4.0重量部
ニンジンエキス 0.5重量部
クジンエキス 0.3重量部
エタノール 25.0重量部
香料 適量
精製水 残部(全量を100とする)
下記の原料をヘアローション製造の常法により処理して、養毛化粧料である養毛ヘアローションを製造した。
ハナモツヤクノキ50%エタノール抽出物(製造例1) 0.1重量部
1,3−ブチレングリコール 6.0重量部
エタノール 8.0重量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 1.0重量部
ポリオキシソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.5重量部
ステアリルグリチルレチネート 0.2重量部
エンメイソウエキス 0.5重量部
酢酸トコフェロール 0.05重量部
パラオキシ安息香酸メチル 0.1重量部
フェノキシエタノール 0.3重量部
香料 0.05重量部
精製水 残量(全量を100とする)
下記の原料を育毛剤製造の常法により処理して、養毛化粧料である育毛剤を製造した。
八角楓50%エタノール抽出物(製造例1) 0.5重量部
ヒノキチオール 0.1重量部
グリチルレチン酸 0.1重量部
セファランチン 0.02重量部
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 1.5重量部
1,3−ブチレングリコール 3.0重量部
エタノール 60.0重量部
酢酸トコフェロール 0.1重量部
センブリエキス 0.3重量部
精製水 残量(全量で100とする)
下記の原料をシャンプー製造の常法により処理して、養毛化粧料であるシャンプーを製造した。
蝦鉗菜50%エタノール抽出物(製造例1) 0.2重量部
ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン塩 14.0重量部
エチレングリコールジステアレート 2.0重量部
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 4.0重量部
ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0重量部
グリセリン 2.0重量部
ケラチン加水分解物 3.0重量部
ムクロジエキス 0.2重量部
黄杞エキス 0.5重量部
オウバクエキス 0.3重量部
ローズマリーエキス 0.5重量部
パラオキシ安息香酸 0.1重量部
香料 0.05重量部
精製水 残量(全量で100とする)
下記の原料をローション製造の常法により処理して、養毛化粧料であるローションを製造した。
藤麻50%エタノール抽出物(製造例1) 0.2重量部
グリチルレチン酸ジカリウム 0.2重量部
1,3−ブチレングリコール 4.0重量部
オレイルアルコール 4.0重量部
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.0.) 1.5重量部
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(20E.0.) 0.5重量部
エタノール 15.0重量部
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残部(全量を100とする)
なお、上記配合例1〜配合例5のいずれの養毛化粧料においても、良好な保存安定性が示された。
Claims (3)
- ハナモツヤクノキ(Butea monosperma (Lam.) Taub.)からの抽出物、八角楓(Alangium chinense (Lour.) Harms)からの抽出物、藤麻(Procryis wightiana wall. ex. Wedd.)からの抽出物および三点金草(Desmodium triflorum (L.) DC.)からの抽出物からなる群から選ばれる1種または2種以上の植物抽出物を有効成分として含有することを特徴とするテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤。
- 独脚金(Striga asiatica (L.) O. Kuntze)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする養毛用途に用いられるテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤。
- 独脚金(Striga asiatica (L.) O. Kuntze)からの抽出物、ハナモツヤクノキ(Butea monosperma (Lam.) Taub.)からの抽出物、八角楓(Alangium chinense (Lour.) Harms)からの抽出物、藤麻(Procryis wightiana wall. ex. Wedd.)からの抽出物および三点金草(Desmodium triflorum (L.) DC.)からの抽出物からなる群から選ばれる1種または2種以上の植物抽出物を含有することを特徴とする養毛化粧料。
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