JP5067916B2 - 皮膚化粧料及び頭髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、植物抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を有効成分とする抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤及び抗男性ホルモン剤、並びに植物抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を配合した皮膚化粧料及び頭髪化粧料に関する。
炎症性の疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種皮膚疾患等の原因や発症機構は多種多様であるが、その原因の一つとして、主にマクロファージから産生される腫瘍壊死因子(以下「TNF−α」という)によるものが知られている。
TNF−αは、腫瘍を壊死させる因子として見出されたが、最近では腫瘍に対してだけでなく、正常細胞の機能を調節するメディエーター的な役割を担うサイトカインであると考えられている。TNF−αは炎症の初発から終息までの過程において重要な役割を担っているが、その持続的かつ過剰な産生は、皮膚を含めた組織の障害を引き起こし、全身的には発熱やカケクシアの原因となり、炎症の悪化を引き起こす。そのような炎症としては、例えば、関節リューマチ、変形性関節症などの慢性炎症性疾患が代表的である。したがって、病的な炎症においてはTNF−αの過剰な産生を抑制することが重要となる。TNF−α産生抑制作用を有する植物抽出物としては、ヒルガオ科ヨウサイからの抽出物(特許文献1参照)等が知られている。
炎症性疾患を発症させる別の原因として、ヒアルロニダーゼの活性化、ヒスタミン遊離、血小板凝集等が知られている。ヒアルロニダーゼの活性化によって、マストセルからのヒスタミンの脱顆粒が促進され、その結果炎症が引き起こされる。したがって、ヒアルロニダーゼの活性化を阻害することにより、炎症性疾患の予防、治療又は改善が期待できる。ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する植物抽出物としては、イロハモミジからの抽出物(特許文献2参照)等が知られている。
また、ヒスタミンが遊離されると同時に、ヘキソサミニダーゼも遊離されることから、ヘキソサミニダーゼの遊離を指標にヒスタミン遊離抑制作用を評価することができる。したがって、ヘキソサミニダーゼの遊離を抑制することにより、同時にヒスタミンの遊離も抑制でき、これにより炎症性疾患等の予防、治療又は改善に効果があるものと考えられる。ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を有する植物抽出物としては、藤茶からの抽出物(特許文献3)等が知られている。
血小板は、凝集して活性化することにより、生理的には止血、病理的には血栓形成を生じる他、血小板の凝集は、動脈硬化の進展、がん転移、炎症等に関与していると考えられている。したがって、血小板の凝集を抑制することにより、上記疾患の予防、治療又は改善が期待できる。血小板凝集抑制作用を有する植物抽出物としては、地衣類雪茶からの抽出物(特許文献4参照)等が知られている。
加齢に伴う皮膚老化の一因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減退することにある。すなわち、エストロゲンは成人女性の健康維持に深く関わっており、その分泌不足は種々の内科的疾患を招くほか、肌の過敏症、弾力性低下、潤いの減少等、好ましくない肌の変化の原因となることが知られている。そこで、エストロゲンの分泌が衰える更年期以降の女性に対して、エストロゲンと同様の作用を有する物質を配合した薬剤を、経皮的又は経口的に投与することが行われている。エストロゲン様作用を有する植物抽出物としては、五斂子からの抽出物(特許文献5参照)等が知られている。
皮膚の構造は、大きく分けて、表皮、基底膜、真皮、皮下組織からなる。基底膜は、表皮と真皮との境界部に存在しており、その機能は多岐にわたり、表皮の真皮への接着、表皮の極性の決定、表皮の分化・増殖の制御、さらには真皮細胞が産生する因子や血成分由来の栄養供給の制御に関与している。そのため、基底膜は、皮膚の構造、恒常性の維持にとってきわめて重要な役割を果たしている。したがって、基底膜の構造が変化すると、しわ、たるみ等の皮膚の老化症状を呈するようになる。特に、基底膜の主要成分であるIV型コラーゲンの産生量が減少すると、基底膜の構造が変化し、しわ、たるみ等の皮膚の老化症状を呈するようになる。IV型コラーゲン産生促進作用を有する植物抽出物としては、加水分解カゼイン、ブナの芽、エリスリナ、可溶性卵殻膜、カッコン、西洋キヅタよりなる群から選ばれる植物及び動物由来の抽出物等が知られている(特許文献6参照)。
皮膚に紫外線が照射されると、皮膚の細胞は障害を受けたり、細胞死が引き起こされたりし、肌は張りや弾力を失い、肌荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。したがって、紫外線の照射によるダメージ(例えば、細胞障害、細胞死等)を抑制・回復することによって、皮膚の老化の予防又は改善が期待できる。紫外線照射によるダメージ回復作用を有する植物抽出物としては、油溶性甘草抽出物(特許文献7参照)等が知られている。
表皮は、外部刺激を緩和し、水分等の体内成分の逸失を制御する働きをしており、基底層、有棘層、顆粒層及び角質層から構成されている。基底層で分裂、増殖した細胞は、有棘層、顆粒層を通過しながら分化し、強固な架橋結合をもったケラチン蛋白線維で構成された角質層になり、最終的には垢として角質層から脱落する。特に、顆粒層では、細胞膜が肥厚して肥厚細胞膜を形成するとともに、トランスグルタミナーゼ−1の作用により、蛋白分子間がグルタミル−リジン架橋され、強靭なケラチン蛋白線維が形成される。さらに、その一部にセラミド等が共有結合し、疎水的な構造をとることで、細胞間脂質のラメラ構造の土台を供給し、角質バリア機能の基礎が形成される。
しかし、加齢とともに表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生量が減少すると、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下するため、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状を呈するようになる。そのため、表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生を促進することにより、皮膚の老化症状を予防又は改善することができると考えられる。このような考えに基づき、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有するものとして、ニガリ又はその構成成分である塩化カルシウム等が知られている(特許文献8参照)。
多くのステロイドホルモンは産生臓器から分泌された分子型で受容体と結合してその作用を発現するが、アンドロゲンと総称される男性ホルモンの場合、例えば、テストステロンは標的臓器の細胞内に入ってテストステロン5α−レダクターゼにより5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)に還元されてから受容体と結合し、アンドロゲンとしての作用を発現する。
アンドロゲンは重要なホルモンであるが、それが過度に作用すると、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等、さまざまな好ましくない症状を誘発する。そこで、従来、これらの各種症状を改善するために過剰のアンドロゲンの作用を抑制する方法、具体的には、テストステロンを活性型5α−DHTに還元するテストステロン5α−レダクターゼの作用を阻害することにより、活性な5α−DHTが生じるのを抑制する方法や、テストステロンから生じた5α−DHTが受容体と結合するのを阻害することによりアンドロゲン活性を発現させない方法が提案されている。
このようなテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有する植物抽出物としては、例えば、ゴマノハグサ科独脚金からの抽出物(特許文献9参照)等が知られている。また、5α−DHTとその受容体との結合を阻害する作用を有する植物抽出物としては、例えば、マジト及び/又はカチュアからの抽出物(特許文献10参照)等が知られている。
特開2004−250344号公報 特開2003−113068号公報 特開2003−12532号公報 特開2005−82532号公報 特開2002−302452号公報 特開2004−18471号公報 特開2004−250368号公報 特開2004−51596号公報 特開2005−75786号公報 特開2002−241297号公報
本発明は、安全性の高い天然抽出物及び/又はその酸加水分解物を有効成分とする抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤及び抗男性ホルモン剤、並びに当該天然抽出物及び/又はその酸加水分解物を配合した皮膚化粧料及び頭髪化粧料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤は、湖南甜茶からの抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を有効成分として含有することを特徴とし、本発明の皮膚化粧料又は頭髪化粧料は、湖南甜茶からの抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を配合したことを特徴とする。
本発明の抗炎症剤においては、前記抽出物及び前記酸加水分解物が、TNF−α産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましい。また、本発明の抗老化剤においては、前記抽出物が、紫外線照射によるダメージ回復作用を有しており、前記酸加水分解物が、エストロゲン様作用、IV型コラーゲン産生促進作用、紫外線照射によるダメージ回復作用及びトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましい。さらに、本発明の育毛剤又は抗男性ホルモン剤においては、前記抽出物が、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/又はアンドロゲン受容体結合阻害作用を有しており、前記酸加水分解物が、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有することが好ましい。
ここで、本発明において「アンドロゲン受容体結合阻害」とは、5α−DHTとアンドロゲン受容体との結合の阻害を意味し、その阻害様式は特に限定されるものではなく、例えば、競合的拮抗薬、非競合的拮抗薬といったアンタゴニストとしての阻害が考えられる。また、本発明において「紫外線照射によるダメージ」とは、紫外線の照射による皮膚細胞障害のことを意味し、細胞障害には、細胞レベルでの障害の他、組織レベルでの障害及び器官レベルでの障害が含まれ、例えば、細胞死、シワ形成、皮膚弾力性の低下、皮膚バリア機能の低下、角質層保湿機能の低下等が挙げられる。
本発明によれば、天然物である湖南甜茶からの抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を有効成分として含有し、安全性の高い抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤、抗男性ホルモン剤、皮膚化粧料及び頭髪化粧料を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
〔抗炎症剤,抗老化剤,育毛剤,抗男性ホルモン剤〕
本発明の抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤は、湖南甜茶からの抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を有効成分として含有する。
ここで、本発明において「抽出物」には、湖南甜茶(学名:Lithocarpus litseifolius)を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
本発明において使用する抽出原料は、湖南甜茶(学名:Lithocarpus litseifolius)である。湖南甜茶(Lithocarpus litseifolius)は、ブナ科に属する植物であって、中国西南地方、華南地方等に広く分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用する湖南甜茶の構成部位は特に限定されるものではなく、例えば、花部、葉部、枝部、果実部、樹皮、根部等が挙げられ、これらのうち、特に葉部若しくは枝部又はこれらの混合物を使用するのが好ましい。
湖南甜茶からの抽出物に含有される抗炎症作用、抗老化作用、育毛作用又は抗男性ホルモン作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般的に用いられている抽出方法によって、湖南甜茶から抗炎症作用、抗老化作用、育毛作用又は抗男性ホルモン作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。この際、抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機により行ってもよい。
抽出溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90質量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して多価アルコール10〜90質量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等により行うことができる。得られた抽出液はそのままでも抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
湖南甜茶からの抽出物は、特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚化粧料又は頭髪化粧料に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
以上のようにして得られる湖南甜茶からの抽出物から、当該抽出物の酸加水分解物を得る方法は、特に限定されるものではなく、具体的には、以下のようにして得ることができる。
湖南甜茶からの抽出物に酸と親水性有機溶媒との混合溶媒を添加し、還流加熱下で反応させ、得られた反応物を、多孔性吸着剤を充填したカラムクロマトグラフィーに付し、水、炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)の順で溶出させ、低級脂肪族アルコールの画分として得ることができる。そして、得られた画分から溶媒を留去することにより湖南甜茶抽出物の酸加水分解物を得ることができる。
混合溶媒中の酸は、特に限定されるものではなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等を用いることができる。また、混合溶媒中の親水性有機溶媒も、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、アセトニトリル等を用いることができる。
以上のようにして得られる湖南甜茶抽出物又は当該抽出物の酸加水分解物は、抗炎症作用、抗老化作用、育毛作用又は抗男性ホルモン作用を有しているため、それぞれの作用を利用して抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤の有効成分として用いることができ、その場合、それぞれ単独で用いてもよいし、それらを混合して用いてもよい。湖南甜茶抽出物と当該抽出物の酸加水分解物とを混合して用いる場合、それらの混合比は特に限定されるものではない。
湖南甜茶抽出物又は当該抽出物の酸加水分解物が有する抗炎症作用は、例えば、TNF−α産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、湖南甜茶抽出物又は当該抽出物の酸加水分解物が有する抗炎症作用は、これらの作用に基づいて発揮される抗炎症作用に限定されるものではない。
湖南甜茶抽出物が有する抗老化作用は、例えば、紫外線照射によるダメージ回復作用に基づいて発揮され、当該抽出物の酸加水分解物が有する抗老化作用は、例えば、エストロゲン様作用、IV型コラーゲン産生促進作用、紫外線照射によるダメージ回復作用及びトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、湖南甜茶抽出物又は当該抽出物の酸加水分解物が有する抗老化作用は、これらの作用に基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。
湖南甜茶抽出物が有する育毛作用は、例えば、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/又はアンドロゲン受容体結合阻害作用に基づいて発揮され、当該抽出物の酸加水分解物が有する育毛作用は、例えば、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用に基づいて発揮される。ただし、湖南甜茶抽出物又は当該抽出物の酸加水分解物が有する育毛作用は、これらの作用に基づいて発揮される育毛作用に限定されるものではない。
湖南甜茶抽出物が有する抗男性ホルモン作用は、例えば、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/又はアンドロゲン受容体結合阻害作用に基づいて発揮され、当該抽出物の酸加水分解物が有する抗男性ホルモン作用は、例えば、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用に基づいて発揮される。ただし、湖南甜茶抽出物又は当該抽出物の酸加水分解物が有する抗男性ホルモン作用は、これらの作用に基づいて発揮される抗男性ホルモン作用に限定されるものではない。
なお、湖南甜茶抽出物は、TNF−α産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、紫外線照射によるダメージ回復作用、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用又はアンドロゲン受容体結合阻害作用を有するため、それらの作用を通じて、TNF−α産生抑制剤、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制剤、血小板凝集抑制剤、紫外線照射によるダメージ回復剤、テストステロン5α−レダクターゼ阻害剤又はアンドロゲン受容体結合阻害剤の有効成分として使用してもよい。
また、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物は、TNF−α産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、血小板凝集抑制作用、エストロゲン様作用、IV型コラーゲン産生促進作用、紫外線照射によるダメージ回復作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用又はテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有するため、それらの作用を通じて、TNF−α産生抑制剤、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制剤、血小板凝集抑制剤、エストロゲン様作用剤、IV型コラーゲン産生促進剤、紫外線照射によるダメージ回復剤、トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤又はテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤の有効成分として使用してもよい。
本発明の抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤は、湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物のみからなるものであってもよいし、湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物から製剤化したものであってもよい。
湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。また、湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物は、他の組成物(例えば、後述する皮膚化粧料、頭髪化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
なお、本発明の抗炎症剤は、必要に応じて、抗炎症作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。また、本発明の抗老化剤は、必要に応じて、抗老化作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。さらに、本発明の育毛剤は、必要に応じて、育毛作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。さらにまた、本発明の抗男性ホルモン剤は、必要に応じて、抗男性ホルモン作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。
本発明の抗炎症剤は、湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物が有するTNF−α産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種炎症性皮膚疾患等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗炎症剤は、これらの用途以外にもTNF−α産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明の抗老化剤は、湖南甜茶抽出物が有する紫外線照射によるダメージ回復作用、並びに湖南甜茶抽出物の酸加水分解物が有するエストロゲン様作用、IV型コラーゲン産生促進作用、紫外線照射によるダメージ回復作用及びトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、皮膚の老化症状等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗老化剤は、これらの用途以外にもエストロゲン様作用、IV型コラーゲン産生促進作用、紫外線照射によるダメージ回復作用及びトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明の育毛剤は、湖南甜茶抽出物が有するテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/若しくはアンドロゲン受容体結合阻害作用、又は湖南甜茶抽出物の酸加水分解物が有するテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を通じて、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等を予防、治療又は改善することができ、特に男性型脱毛症の予防、治療又は改善に好適である。ただし、本発明の育毛剤は、これらの用途以外にもテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/又はアンドロゲン受容体結合阻害作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明の抗男性ホルモン剤は、湖南甜茶抽出物が有するテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/若しくはアンドロゲン受容体結合阻害作用、又は湖南甜茶抽出物の酸加水分解物が有するテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を通じて、男性ホルモンが関与する疾患、例えば、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗男性ホルモン剤は、これらの用途以外にもテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/又はアンドロゲン受容体結合阻害作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
〔皮膚化粧料,頭髪化粧料〕
湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物は、抗炎症作用、抗老化作用、育毛作用又は抗男性ホルモン作用を有しており、皮膚又は頭髪(頭皮)に適用した場合の使用感又は安全性に優れているため、皮膚化粧料又は頭髪化粧料に配合するのに好適である。この場合、皮膚化粧料又は頭髪化粧料には、湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物をそのまま配合してもよいし、湖南甜茶抽出物及び/若しくは当該抽出物の酸加水分解物から製剤化した抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤を配合してもよい。湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物;湖南甜茶抽出物及び/若しくは当該抽出物の酸加水分解物から製剤化した抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤又は抗男性ホルモン剤を配合することにより、皮膚化粧料又は頭髪化粧料に抗炎症作用、抗老化作用、育毛作用又は抗男性ホルモン作用を付与することができる。
湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を配合し得る皮膚化粧料又は頭髪化粧料の種類は特に限定されるものではなく、皮膚化粧料としては、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション等が挙げられ、また、頭髪化粧料としては、例えば、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンス等が挙げられる。
湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を皮膚化粧料又は頭髪化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料又は頭髪化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001〜1質量%である。
本発明の皮膚化粧料又は頭髪化粧料は、湖南甜茶抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物が有する抗炎症作用、抗老化作用、育毛作用又は抗男性ホルモン作用を妨げない限り、通常の皮膚化粧料又は頭髪化粧料の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された上記成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。
本発明の皮膚化粧料は、高い安全性を有しており、かつ抗炎症作用、抗老化作用及び抗男性ホルモン作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種炎症性皮膚疾患、皮膚の老化症状、脂漏症、座瘡(ニキビ等)等を予防、治療又は改善することができる。また、本発明の頭髪化粧料は、高い安全性を有しており、かつ育毛作用及び/又は抗男性ホルモン作用を通じて、男性型脱毛症等を予防・改善することができる。
なお、本発明の抗炎症剤、抗老化剤、育毛剤、抗男性ホルモン剤、皮膚化粧料又は頭髪化粧料は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、製造例、試験例及び配合例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
〔製造例1〕湖南甜茶抽出物の製造
細切りにした湖南甜茶の葉部の乾燥物400gに50質量%エタノール4000mLを加え、還流抽出器で80℃にて2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理をした。得られた抽出液を合わせて減圧下で濃縮し、さらに乾燥して湖南甜茶抽出物90.4gを得た(試料1)。
〔製造例2〕湖南甜茶抽出物の酸加水分解物の製造
製造例1で得られた湖南甜茶抽出物5.0gに、95質量%メタノールと5質量%塩酸とを混合した混合溶媒50mL(混合比(質量基準)=1:1.7)を加え、加熱還流下にて、2時間反応させた。反応終了後に水1000mLを加え、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)カラムに付し、水、メタノールの順で溶出し、メタノール画分として酸加水分解物2.8gを得た(試料2)。
〔試験例1〕TNF−α産生抑制作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてTNF−α産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、4時間培養した。
培養終了後、培地を抜き、終濃度2%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて溶解した試料溶液(試料1,2)を各ウェルに100μLずつ添加し、終濃度1μg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS,E.coli0111;B4,DIFCO社製)を100μL加え、24時間培養した。培養終了後、各ウェルの培養上清中のTNF−α量を、サンドイッチELISA法を用いて測定し、測定結果から下記式によりTNF−α産生抑制率(%)を算出した。
TNF−α産生抑制率(%)={(B−A)/B}×100
式中、Aは「試料溶液添加時のTNF−α量」を表し、Bは「試料溶液無添加時のTNF−α量」を表す。
試料溶液の濃度を段階的に減少させて、各濃度におけるTNF−α産生抑制率を算出し、その結果から内挿法により、TNF−αの産生を50%阻害する試料濃度IC50(μg/mL)を求めた。
結果を表1に示す。
[表1]
試 料 IC 50 (μg/mL)
試料1 200
試料2 50
表1に示すように、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は優れたTNF−α産生抑制作用を有することが確認された。また、TNF−α産生抑制作用の程度は、湖南甜茶抽出物及び/又はその酸加水分解物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例2〕ヒアルロニダーゼ活性阻害作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてヒアルロニダーゼ活性阻害作用を試験した。
試料(試料1,2)を溶解した0.1mol/Lの酢酸緩衝液(pH3.5)0.2mL(試料濃度;400μg/mL)にヒアルロニダーゼ溶液(Type IV-S(from bovine testis),SIGMA社製,400NFU/mL)0.1mLを加え、37℃で20分間反応させた。さらに、活性化剤として2.5mmol/Lの塩化カルシウム0.2mLを加え、37℃で20分間反応させた。これに0.4mg/mLのヒアルロン酸カリウム溶液(from Rooster Comb)0.5mLを加え、37℃で40分間反応させた。
その後、0.4mol/L水酸化ナトリウムを0.2mL加えて反応を停止し、冷却した後、各反応溶液にホウ酸溶液0.2mLを加え、3分間煮沸した。氷冷後、p−DABA試薬6mLを加え、37℃で20分間反応させた。その後、波長585nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。得られた測定結果から、下記式によりヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)を算出した。
阻害率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
式中、Stは「試料溶液の波長585nmにおける吸光度」を表し、Sbは「試料溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度」を表し、Ctは「コントロール溶液の波長585nmにおける吸光度」を表し、Cbは「コントロール溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度」を表す。
結果を表2に示す。
[表2]
試 料 ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)
試料1 25.8
試料2 95.3
表2に示す結果から、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は優れたヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有することが確認された。
〔試験例3〕ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を試験した。
ラット好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を15%FBS添加S−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を4.0×10cells/mLの細胞密度に希釈し、終濃度0.5μg/mLとなるようにDNP-specific IgEを添加した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培地を抜き、シリガリアン緩衝液500μLにて洗浄を2回行った。次に、同緩衝液30μL及び同緩衝液にて調製した試料溶液10μLを加え、37℃にて10分間静置した。その後、100ng/mLのDNP−BSA溶液10μLを加え、37℃にて15分間静置し、ヘキソサミニダーゼを遊離させた。その後、96ウェルプレートを氷上に静置することにより遊離を停止した。各ウェルの細胞上清10μL及び1mmol/Lのp−NAG(p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサイド)溶液10μLを、新たな96ウェルプレートに添加し、37℃で1時間反応させた。反応終了後、各ウェルに0.1mol/LのNaCO/NaHCO250μLを加え、波長415nmにおける吸光度を測定した。また、空試験として、細胞上清10μLと、0.1mol/LのNaCO/NaHCO250μLとの混合液の波長415nmにおける吸光度を測定し、補正した。得られた測定結果から、下記式によりヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)を算出した。
ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)={1−(B−C)/A}×100
式中、Aは「試料無添加での波長415nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料添加での波長415nmにおける吸光度」を表し、Cは「試料添加・p−NAG無添加での波長415nmにおける吸光度」を表す。
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率を算出し、その結果から内挿法により、ヘキソサミニダーゼの遊離を50%阻害する試料濃度IC50(μg/mL)を求めた。
結果を表3に示す。
[表3]
試 料 IC 50 (μg/ml)
試料1 406
試料2 40.9
表3に示す結果から、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は優れたヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を有することが確認された。また、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用の程度は、湖南甜茶抽出物及び/又はその酸加水分解物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例4〕血小板凝集抑制作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにして血小板凝集抑制作用を試験した。
(1)血小板浮遊液の調製
採血したウサギの血液に77mmol/LのEDTA(pH7.4)を1/10量加えて、遠心(180×g,10分,室温)して血小板浮遊液(P.R.P.)を得た。さらに遠心(810×g,10分,4℃)し、上清を除去して血小板を得た。これを血小板洗浄液(0.15mol/Lの塩化ナトリウムと、0.15mol/Lのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)と、77mmol/LのEDTA溶液(pH7.4)とを90:8:2で混合)に浮遊させ、上記と同様に遠心し、得られた血小板を血小板浮遊液(145mmol/Lの塩化ナトリウム、5mmol/Lの塩化カリウム及び5.5mmol/Lのグルコースを含む10mmol/LのHEPES緩衝液,pH7.4)に浮遊させて血小板数を調整(3.0×10cells/μL)し、洗浄血小板浮遊液を得た。
(2)血小板凝集抑制作用試験
得られた洗浄血小板浮遊液222μLに200mmol/Lの塩化カルシウム溶液1μLを加え、37℃で1分間反応させた。これに試料溶液2μLを加え、さらに2分間反応させ、撹拌子を入れて1分間撹拌した後、コラーゲン溶液を25μL添加して、37℃の温度条件下で10分間の血小板凝集率を測定した。また、コントロールとして試料溶液を添加しない以外は同様にして血小板凝集率を測定した。得られた測定結果から、下記式により、血小板凝集抑制率(%)を算出した。
血小板凝集抑制率(%)=(A−B)/A×100
式中、Aは「コントロールの血小板凝集率」を表し、Bは「試料添加時の血小板凝集率」を表す。
結果を表4に示す。
[表4]
試 料 試料濃度(μg/mL) 血小板凝集抑制率(%)
試料1 25 69.6
試料2 400 19.6
表4に示す結果から、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は、血小板凝集抑制作用を有することが確認された。特に、湖南甜茶抽出物(試料1)は、優れた血小板凝集抑制率を有することが確認された。
〔試験例5〕エストロゲン様作用試験
製造例2で得られた試料2について、以下のようにしてエストロゲン様作用を試験した。
ヒト乳癌由来細胞(MCF−7)を、10%FBS、1%NEAA及び1mmoL/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を活性炭処理した10%FBS、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有し、フェノールレッドを含有しないMEM(T−MEM)培地を用いて、3.0×10cells/mLの細胞密度に希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり450μLずつ播種し、細胞を定着させるため培養した。
6時間後(0日目)にT−MEMで終濃度の10倍に調製した試料溶液(試料濃度:12.5μg/mL)を各ウェルに50μLずつ添加し、培養を続けた。3日目に培地を抜き、T−MEMで終濃度に調製した試料溶液を各ウェルに0.5mLずつ添加し、さらに培養を続けた。
エストロゲン様作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、1%NEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMに終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各ウェルに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。ポジティブコントロールとして、1×10−9Mエストラジオールを使用した。得られた測定結果から、下記式により、エストロゲン様作用率(%)を算出した。
エストロゲン様作用率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の吸光度」を表す。
上記式により算出した結果、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)のエストロゲン様作用率は、214.3±2.0%であり、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れたエストロゲン様作用を有することが確認された。
〔試験例6〕IV型コラーゲン産生促進作用試験
製造例2で得られた試料2について、以下のようにしてIV型コラーゲン産生促進作用を試験した。
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10cells/mLの細胞密度になるようにダルベッコMEM培地を用いて希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培地を抜き、0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地に溶解した試料溶液(試料濃度:100μg/mL)を各ウェルに150μLずつ添加し、3日間培養した。培養後、各ウェルの培地中のIV型コラーゲン量をELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりIV型コラーゲン産生促進率(%)を算出した。
IV型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時のIV型コラーゲン量」を表し、Bは「試料無添加時のIV型コラーゲン量」を表す。
上記式により算出した結果、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)のIV型コラーゲン産生促進率は、209.3±19.2%であり、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れたIV型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
〔試験例7〕紫外線照射によるダメージ回復作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにして紫外線照射によるダメージ回復作用を試験した。
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度になるようにα−MEM培地を用いて希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種した。24時間培養後、培地を100μLのPBS(−)へ交換し、1.0J/cmのUV−Bを照射した。照射後、直ちに、PBS(−)を抜き、10%FBS含有α−MEMに溶解した試料溶液(試料濃度;100μg/mL)を各ウェルに400μLずつ添加し、24時間培養した。
紫外線(UV−B)照射によるダメージ回復作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各ウェルに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出し、抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様に細胞を播種した後、UV−Bを照射しない細胞及びUV−Bを照射し試料溶液を添加しない細胞についても同様に測定し、それぞれ非照射群及び照射群とした。得られた測定結果から、下記式により、紫外線(UV−B)照射によるダメージ回復率(%)を算出した。
ダメージ回復率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
式中、Ntは「UV−Bを照射していない細胞での吸光度」を表し、Cは「UV−Bを照射し試料溶液を添加していない細胞での吸光度」を表し、Saは「UV−Bを照射し試料溶液を添加した細胞」での吸光度を表す。
結果を表5に示す。
[表5]
試 料 紫外線照射によるダメージ回復率(%)
試料1 7.1±1.9
試料2 53.4±1.8
表5に示すように、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は、紫外線照射によるダメージ回復作用を有することが確認された。特に湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れた紫外線によるダメージ回復作用を有することが確認された。
〔試験例8〕トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用試験
製造例2で得られた試料2について、以下のようにしてトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を試験した。
ヒト正常新生児皮膚表皮角化細胞(NHEK)を、ヒト正常新生児表皮角化細胞用培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの細胞密度になるようにKGMを用いて希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、2日間培養した。
培養終了後、KGMで溶解した試料溶液(試料濃度:25μg/mL)を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。培養終了後、培地を抜き、細胞をプレートに固定させて細胞表面に発現したトランスグルタミナーゼ−1の量を、モノクロナール抗ヒトトランスグルタミナーゼ−1抗体を用いたELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりトランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)を算出した。
トランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
上記式により算出した結果、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)のトランスグルタミナーゼ−1産生促進率は、115.5±1.9%であり、湖南甜茶抽出物の酸加水分解物(試料2)は、優れたトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有することが確認された。
〔試験例9〕テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用試験
製造例1及び製造例2で得られた各試料(試料1,2)について、以下のようにしてテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を試験した。
蓋付V底試験管にて、テストステロン(和光純薬工業社製)4.2mgをプロピレングリコール1mLに溶解したもの20μLと、1mg/mLのNADPHを含有する5mmol/mLのトリス塩酸緩衝液(pH7.13)825μLとを混合した。
さらに、各試料(試料1,2)のエタノール水溶液80μL及びS−9(ラット肝臓ホモジネート,オリエンタル酵母工業社製)75μLを加えて混合し、37℃にて30分間インキュベートした。その後、塩化メチレン1mLを加えて反応を停止させた。これを遠心分離し(1600×g,10分間)、塩化メチレン層を分取して、分取した塩化メチレン層について、下記の条件にてガスクロマトグラフィー分析をし、3α−アンドロスタンジオール、5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)及びテストステロンの濃度(μg/mL)を定量した。コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶媒を同量(80μL)用いて同様に処理し、ガスクロマトグラフィー分析をした。
[ガスクロマトグラフィー条件]
使用装置:Shimadzu GC-7A(島津製作所社製)
カラム:DB−1701(内径:0.53mm,長さ:30m,膜厚:1.0μm,J&W Scientific社製)
カラム温度:240℃
注入口温度:300℃
検出器:FID
試料注入量:1μL
スプリット比:1:2
キャリアガス:窒素ガス
キャリアガス流速:3mL/min
3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンの濃度の定量は、下記の方法により行った。
3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンの標準品を塩化メチレンに溶解し、当該溶液についてガスクロマトグラフィー分析をし、これらの化合物の濃度(μg/mL)及びピーク面積から、ピーク面積と化合物の濃度との対応関係を予め求めておいた。そして、テストステロンとS−9との反応後の3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンのそれぞれのピーク面積あたりの濃度を、予め求めておいた対応関係を利用して、下記式(1)に基づいて求めた。
A=B×C/D・・・(1)
式中、Aは「3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT又はテストステロンの濃度(μg/mL)」を表し、Bは「3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT又はテストステロンのピーク面積」を表し、Cは「標準品の濃度(μg/mL)」を表し、Dは「標準品のピーク面積」を表す。
式(1)に基づいて算出された化合物濃度を用いて、下記式(2)に基づき、変換率(テストステロン5α−レダクターゼによりテストステロンが還元されて生成した3α−アンドロスタンジオール及び5α−DHTの濃度と、テストステロンの初期濃度との濃度比)を算出した。
変換率=(E+F)/(E+F+G)・・・(2)
式中、Eは「3α−アンドロスタンジオールの濃度(μg/mL)」を表し、Fは「5α−DHTの濃度(μg/mL)」を表し、Gは「テストステロンの濃度(μg/mL)」を表す。
式(2)に基づいて算出された変換率を用いて、下記式(3)に基づき、テストステロン5α−レダクターゼ阻害率(%)を算出した。
阻害率(%)=(1−H/I)×100・・・(3)
式中、Hは「試料添加時の変換率」を表し、Iは「コントロールの変換率」を表す。
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、テストステロン5α−レダクターゼ阻害率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
結果を表6に示す。
[表6]
試 料 IC 50 (μg/mL)
試料1 1123
試料2 201
表6に示すように、湖南甜茶抽出物(試料1)及びその酸加水分解物(試料2)は、優れたテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有することが確認された。また、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用の程度は、湖南甜茶抽出物及び/又はその酸加水分解物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例10〕アンドロゲン受容体結合阻害作用試験
製造例1で得られた試料1について、以下のようにしてアンドロゲン受容体結合阻害作用を試験した。
マウス自然発生乳癌(シオノギ癌;SC115)よりクローニングされたアンドロゲン依存性マウス乳癌細胞(SC−3細胞)を、2%DCC−FBS及び10−8mol/Lのテストステロンを含有するMEM培地(以下、MEM−2という。)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/μLの細胞密度になるようにMEM−2培地で希釈し、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で培養した。24時間後、試料(試料1)及び1.0×10−9mol/LのDHTを添加した0.5%BSA含有HamF12+MEM培地(以下、HMB培地という。)に培地を交換して48時間培養した。その後、培地を0.97mmol/LのMTTを含むMEM−2培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記結合阻害率の計算式における吸光度はこの補正済み吸光度である)。上記と並行して、試料単独でSC−3細胞に及ぼす影響をみるため、HMB培地にDHTを添加せず試料のみを添加して、同様の培養と測定とを行った。さらに、コントロールとして、試料及びDHTを添加しないHMB培地で培養した場合、並びに試料を添加せずDHTのみを添加したHMB培地で培養した場合についても同様の測定を行った。測定結果より、アンドロゲン受容体結合阻害率(%)を下記式により算出した。
アンドロゲン受容体結合阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
式中、Aは「DHT添加・試料添加の場合の吸光度」を表し、Bは「DHT無添加・試料添加の場合の吸光度」を表し、Cは「DHT添加・試料無添加の場合の吸光度」を表し、Dは「DHT無添加・試料無添加の場合の吸光度」を表す。
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、各濃度におけるアンドロゲンの結合阻害率(%)を求め、その結果から内挿法により、アンドロゲンの受容体への結合を50%阻害する試料濃度IC50(μg/mL)を求めた。
湖南甜茶抽出物(試料1)のIC50は、60.0μg/mLであり、湖南甜茶抽出物(試料1)は、優れたアンドロゲン受容体結合阻害作用を有することが確認された。また、アンドロゲン受容体結合阻害作用の程度は、湖南甜茶抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
〔配合例1〕
下記組成の乳液を常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.1g
ホホバオイル 4.0g
オリーブオイル 2.0g
スクワラン 2.0g
セタノール 2.0g
モノステアリン酸グリセリル 2.0g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0g
黄杞エキス 0.1g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
イチョウ葉エキス 0.1g
コンキオリン 0.1g
オウバクエキス 0.1g
カミツレエキス 0.1g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例2〕
下記組成の化粧水を常法により製造した。
湖南甜茶酸加水分解物(製造例2) 0.1g
グリセリン 3.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
油溶性甘草エキス 0.1g
海藻エキス 0.1g
キシロビオースミクスチャー 0.5g
クジンエキス 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例3〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
セタノール 3.0g
スクワラン 10.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
酵母抽出液 0.1g
シソ抽出液 0.1g
シナノキ抽出液 0.1g
ジユ抽出液 0.1g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例4〕
下記組成のパックを常法により製造した。
湖南甜茶酸加水分解物(製造例2) 0.2g
ポリビニルアルコール 15.0g
ポリエチレングリコール 3.0g
プロピレングリコール 7.0g
エタノール 10.0g
セージ抽出液 0.1g
トウキ抽出液 0.1g
ニンジン抽出液 0.1g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例5〕
下記組成の養毛ヘアトニックを常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.2g
塩酸ピリドキシン 0.1g
レゾルシン 0.01g
D−パントテニルアルコール 0.1g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
L−メントール 0.05g
1,3−ブチレングリコール 4.0g
ニンジンエキス 0.5g
エタノール 25.0g
香料 0.01g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例6〕
下記組成のシャンプー(クリームシャンプー)を常法により製造した。
湖南甜茶酸加水分解物(製造例2) 0.2g
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 30.0g
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム 20.0g
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 6.0g
ヤシ油脂肪酸モジエタノールアミド 4.0g
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
ムクロジエキス 0.2g
黄杞エキス 0.5g
オウバクエキス 0.3g
ローズマリーエキス 0.5g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
香料 0.01g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例7〕
下記組成のリンスを常法により製造した。
湖南甜茶抽出物(製造例1) 0.2g
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5g
ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0g
セチルアルコール 2.0g
オクチルドデカノール 1.0g
カチオン化セルロース 0.5g
プロピレングリコール 5.0g
ムクロジエキス 0.2g
黄杞エキス 0.5g
オウバクエキス 0.3g
ローズマリーエキス 0.5g
香料 3.0g
精製水 残部(全量を100gとする)
本発明の抗炎症剤は、各種炎症性疾患の予防・改善に、本発明の抗老化剤は、肌の過敏症、弾力性低下、潤いの減少等の皮膚の老化の予防・改善に、本発明の育毛剤又は抗男性ホルモン剤は、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等の予防・改善に大きく貢献することができる。

Claims (3)

  1. 湖南甜茶(Lithocarpus litseifolius)からの抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする抗皮膚老化剤。
  2. 前記抽出物が、紫外線照射によるダメージ回復作用を有しており、
    前記酸加水分解物が、エストロゲン様作用、IV型コラーゲン産生促進作用、紫外線照射によるダメージ回復作用及びトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項1に記載の抗皮膚老化剤。
  3. 湖南甜茶(Lithocarpus litseifolius)からの抽出物及び/又は当該抽出物の酸加水分解物を配合したことを特徴とする抗皮膚老化用皮膚化粧料。
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