JP2008013481A - ゲットウ(Alpiniaspeciosa)由来のチロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ活性阻害剤 - Google Patents

ゲットウ(Alpiniaspeciosa)由来のチロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ活性阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】天然植物・ゲットウ(Alpinia speciosa)由来の安全性が高い、チロシナーゼ活性阻害剤及び/又はリポキシゲナーゼ活性阻害剤、並びにこれらの用途としての医薬品・化粧料又は食品保蔵剤を提供する。
【解決手段】ゲットウ(Alpinia speciosa)の抽出物、特に、ゲットウ根茎の抽出物を有効成分として含有する、チロシナーゼ又は/及びリポキシゲナーゼの活性阻害剤。これらの阻害剤を配合した皮膚外用剤及び化粧料。リポキシゲナーゼ活性阻害作用を有する阻害剤を配合した炎症性疾患治療剤。チロシナーゼ又は/及びリポキシゲナーゼ活性阻害作用を有する阻害剤を配合した食品保蔵剤。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ活性阻害剤に関し、更に詳しくは、ゲットウ(Alpinia speciosa)抽出物を有効成分として含有するチロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ活性阻害剤、並びにこれらの用途に関するものである。
過剰な紫外線刺激による人皮膚の黒色化やシミ・ソバカスなどの生成は、一般に人皮膚細胞中の酵素チロシナーゼが、チロシンないしドーパを酸化して生成した黒色のメラニンによることが知られている(特許文献1)。さらに人皮膚の美白用皮膚外用剤としてハイドロキノン、コウジ酸、アルブチン或いはビタミンC等のチロシナーゼ活性阻害剤がよく知られている(特許文献2)。しかし、これらのチロシナーゼ活性阻害剤においては、それぞれ安定性、安全性、性能等において一長一短が指摘されており、依然改良の余地が残されている。
また、アラキドン酸は細胞膜を形成しているリン脂質を構成する脂肪酸の一種であり、刺激を受けるとホスホリパーゼにより細胞内に遊離される。遊離したアラキドン酸は、アラキドン酸カスケードと呼ばれる代謝経路で、リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ等のアラキドン酸代謝酵素により代謝され、最終的には、ロイコトリエンやプロスタグランジン等のアレルギー性疾患、炎症、循環器系疾患などに関与する物質が合成される。従って、このリポキシゲナーゼの活性を阻害することができれば、リポキシゲナーゼが関与する上記疾患を抑制・改善することができると考えられている。このようなリポキシゲナーゼ活性阻害剤として、例えば、ゴマ種子のアルコール抽出物に含まれるルテオリンやクリソエリオールを有効成分とするリポキシゲナーゼ活性阻害剤(特許文献3)、ニガナ(Ixeris dentata)の発酵処理物を有効成分とするリポキシゲナーゼ活性阻害剤(特許文献4)が報告されている。
一方、ショウガ科アルピニア(ハナミョウガ属)として分類されるゲットウ(Alpinia speciosa)は、日本では九州南端から沖縄に自生する多年草植物であり、ゲットウの葉や茎は抗菌剤や防虫剤として、またその種子は健胃薬や鎮吐薬などの漢方薬として使用されてきた。その他、ゲットウの葉や茎などの抽出物については、種々の作用が報告されている。例えば、ゲットウの葉の抽出物が一酸化窒素抑制作用を有すること(特許文献5)、ゲットウの花又は根から得られる抽出物がマトリックスメタロプロテアーゼ阻害活性(特許文献6)や細胞賦活作用(特許文献7)を示すことなどが開示されている。しかしながら、ゲットウ抽出物がチロシナーゼ活性阻害作用やリポキシゲナーゼ活性阻害作用を有することについての報告はなく、未だ知られていない。
特公平4−2562号公報 特開2001−316268号公報 特開平10−298098号公報 特開2005−089385号公報 特開2005−53862号公報 特開2003−342180号公報 特開2003−95912号公報
従って、本発明の課題とするところは、天然植物について新たな生理活性作用を見出して、植物の有効利用を図るため、天然植物由来のチロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ阻害剤を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するに当たり、亜熱帯に位置し多様な植生を有する沖縄地方において栽培される伝統的薬草や食用植物36種53部位についてチロシナーゼ活性阻害作用及びリポキシゲナーゼ活性阻害を調査研究した結果、ゲットウ根茎の抽出物について、強いチロシナーゼ活性阻害作用及びリポキシゲナーゼ活性阻害作用を呈することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(9)に記載のものを提供する。
(1)ゲットウ抽出物を有効成分として含有するチロシナーゼ活性阻害剤。
(2)ゲットウ抽出物を有効成分として含有するリポキシゲナーゼ活性阻害剤。
(3)ゲットウ抽出物を有効成分として含有する、チロシナーゼ及びリポキシゲナーゼの両活性阻害剤。
(4)ゲットウ抽出物が、ゲットウ根茎の抽出物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の阻害剤。
(5)ゲットウ抽出物が、ゲットウの極性溶媒抽出物である上記(1)〜(4)にいずれかに記載の阻害剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の阻害剤を配合してなる皮膚外用剤。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の阻害剤を配合してなる化粧料。
(8)上記(1)又は(3)に記載の阻害剤を配合してなる食品褐変防止剤。
(9)上記(2)又は(3)に記載の阻害剤を配合してなる炎症性疾患治療剤。
(10)上記(2)又は(3)に記載の阻害剤を配合してなる食品の酵素的酸敗防止剤。
本発明に係るチロシナーゼ活性阻害剤は、酵素チロシナーゼの作用を阻害し、メラニン生成を抑制する効果、又はポリフェノールの酸化を抑制する効果を有する為、人皮膚における美白用剤、食品類の褐変防止剤等の用途に好適に使用できる。
また、本発明に係るリポキシゲナーゼ活性阻害剤は、アラキドン酸代謝酵素のリポキシゲナーゼの作用を阻害するため、リポキシゲナーゼが関与する炎症疾患等の治療に有用である。また、食品のアラキドン酸等の不飽和脂質を酸化するリポキシゲナーゼの作用を阻害するため、この酵素による食品の酸敗防止に利用できる。
更に、本発明に係るチロシナーゼ及びリポキシゲナーゼの両活性阻害剤は、上述したチロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ活性阻害剤の用途に使用できる。例えば、皮膚外用剤や化粧料として使用することで、メラニン生成を抑制する美白効果に加え、紫外線照射等による炎症を抑制・改善する効果も奏する。
また、本発明の上記阻害剤は、有効成分が漢方薬やお茶として飲用されているゲットウの抽出物であるため、安全性が高い。従って、チロシナーゼ及び/又はリポキシゲナーゼの活性阻害剤として非常に有用であり、天然物質由来の新規なチロシナーゼ及び/又はリポキシゲナーゼの活性阻害剤が、従来にまして容易に提供できることとなり、又、ゲットウの活用による農業生産性の向上、地域産業の活性化への波及効果も期待できる。
ゲットウ抽出物:
本発明では、チロシナーゼ活性阻害剤、リポキシゲナーゼ活性阻害剤、及びチロシナーゼとリポキシゲナーゼとの両活性阻害剤の有効成分として、ゲットウ抽出物を用いる。前記ゲットウとしては、植物そのものやその乾燥物、あるいは市販の乾燥粉末などが使用される。使用するゲットウの部位は、葉、茎、実又は根茎、若しくはこれらの混合物など部位によらず好適に利用可能であるが、特に好ましくは、ゲットウの根茎を使用する。また、ゲットウの葉、茎、実又は根茎、あるいはこれらの乾燥物はそのまま抽出を行うこともできるが、粉砕・裁断した後に抽出を行ってもよい。
ゲットウ抽出物は、例えば、極性溶媒(A)で抽出することにより得られる。前記極性溶媒(A)としては、メタノール、エタノール、アセトン、ブタノール等の極性有機溶媒、水(望ましくは熱水)、メタノール−水混合物等の極性有機溶媒−水混合物溶液等が使用でき、特にメタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒が好適に使用できる。
ゲットウ抽出物は、上述したようにゲットウを極性溶媒(A)で抽出すること(下記抽出工程a)により得られるが、次の抽出工程a−c又はa−dによっても得られる。
a.ゲットウを、極性溶媒(A)を用いて抽出し抽出物を得る工程
b.工程aで得られた抽出物を非極性有機溶媒(B)と極性溶媒(C)を用いて分画し極性溶媒抽出物を得る工程
c.工程bで得られた抽出物に対し有機溶媒(D)と水を用いて分画し有機溶媒抽出物を得る工程
d.工程cの水分画に対し有機溶媒(E)と水を用いてさらに分画し有機溶媒抽出物を得る工程
上記非極性有機溶媒(B)としては、ヘキサン、ヘプタン等の非極性有機溶媒、特にへキサンが好適に使用できる。
上記極性溶媒(C)としては、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、水、メタノール−水混合物等のアルコール−水混合物溶液等が使用でき、好ましくはメタノール−水水溶液、特にメタノール−水を9:1の割合で混合した溶液が好適に使用できる。
上記有機溶媒(D)としては、酢酸エチル、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ブタノール等の有機溶媒が広く使用でき、好ましくは酢酸エチルが好適に使用できる。
上記有機溶媒(E)としては、酢酸エチル、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ブタノール等の有機溶媒が広く使用でき、好ましくはブタノールが好適に使用できる。
上記抽出処理により得られた抽出物は、そのままでもよいが、必要に応じて、濃縮・乾固・凍結乾燥して溶媒を除去し、乾燥抽出物とすることもできる。或いは、乾燥抽出物を適当な溶媒に、再度溶解させることもできる。
用途:
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、従来のチロシナーゼ活性阻害剤と同様に、医薬品、医薬部外品、化粧料、食品、食品添加物、飼料等の有効成分として利用可能であり、特に、シミやソバカスの抑制といった美白効果を目的とした皮膚外用剤や化粧料、食品の褐変防止剤の有効成分として好適に用いることができる。
本発明のリポキシゲナーゼ活性阻害剤は、従来のリポキシゲナーゼ活性阻害剤と同様に、医薬品、医薬部外品、化粧料、食品、食品添加物、飼料等の有効成分として利用可能であり、特に、皮膚の炎症を抑制・改善することを目的とした皮膚外用剤や化粧料や、リポキシゲナーゼが関与する疾患、特に、炎症性疾患治療剤として有用である。前記炎症性疾患としては、菌・ウィルスなどの病原体や、熱、紫外線等の外因性の刺激により生じる炎症や、過敏性反応や免疫・アレルギーによる内因性の刺激により生じる炎症が挙げられ、炎症部位としては、皮膚や口腔内、鼻腔内、気道、胃、腸などが挙げられる。また、食品においては、食品中の不飽和脂質の酸化を防止することで、酸敗の防止剤として利用可能である。
また、本発明のチロシナーゼ及びリポキシゲナーゼの両活性阻害剤は、上述したようなチロシナーゼ活性阻害剤及びリポキシゲナーゼ活性阻害剤の用途に利用可能である。特に、皮膚外用剤や化粧料として使用することで、メラニン生成を抑制する美白効果に加え、炎症を抑制・改善して肌の状態を改善すると効果も奏する。
皮膚外用剤及び化粧品:
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤、リポキシゲナーゼ活性阻害剤、及びチロシナーゼとリポキシゲナーゼとの両活性阻害剤は皮膚外用剤や化粧料として使用できる。これらの阻害剤を皮膚外用剤として利用する場合、その形態としては、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤、ローション剤、トリートメント剤、貼付剤等が挙げられる。又、これらの阻害剤を化粧料として利用する場合、その形態としては、クリーム、乳液、化粧水、ローション、ジェル、美容液、パックなどの基礎化粧品;日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼け止めリップクリームなどの日焼け止め化粧料;メイクアップベースクリーム、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、口紅などのメイクアップ化粧料;ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション、浴用剤などのボディ用化粧品などが挙げられる。
このような皮膚外用剤や化粧料には、有効成分であるゲットウ抽出物の他に、通常皮膚外用剤や化粧料の製造に使用される原料、例えば界面活性剤、油分、水、保湿剤、アルコール類、増粘剤、安定剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、顔料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、各種ビタミン類、各種アミノ酸類などを配合することもできる。さらに、他のチロシナーゼ活性阻害剤などの美白剤を配合することもできる。このような皮膚外用剤や化粧料を製造するには、常法にしたがい、皮膚外用剤や化粧料の製造の任意の段階で、ゲットウ抽出物を適量添加すればよい。
この場合、ゲットウ抽出物の添加量は、特に限定されるものではなく、皮膚外用剤や化粧料の種類によって異なるが、ゲットウ抽出物として0.001〜50.0重量%、好ましくは0.01〜20重量%程度であり、目的に合わせて適宜配合すればよい。
炎症性疾患の治療剤:
本発明のリポキシゲナーゼ活性阻害剤、又はチロシナーゼ及びリポキシゲナーゼの両活性阻害剤を炎症性疾患の治療剤として使用できる。これらの阻害剤を炎症性疾患の治療剤として使用する場合、ゲットウ抽出物をそのまま用いてもよいが、通常、充填剤、結合材、増量剤、崩壊剤、分散剤、賦形剤等の公知の医薬品担体を加え、常法に従い製剤化される。
製剤の物性としては、液状、ペースト状、固形、噴霧(ガス)等を採用できる。経口剤の場合では、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、丸剤、トローチ剤、チュアブル剤等の固形製剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁剤等の液剤、チューブ入りペースト剤の形態に製剤化することができる。非経口剤の場合では、外用剤、塗布剤、湿布剤、座剤、スプレー剤等の形態に製剤化することができる。
さらに、その投与方法については、経口投与の他、塗布や、スプレー剤などにより鼻腔内や口腔内へ投与する方法が挙げられる。
食品褐変防止剤:
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤を食品褐変防止剤として利用する場合、その対象となる食品としては、各種フルーツ、椎茸、マッシュルームなどのきのこ類、カニやエビなどの海産物などが挙げられる。その使用方法としては、本発明の阻害剤を適当な媒体で希釈し、この溶液を対象物に噴霧、浸漬させることで食品表面の褐変を防止することができる。
食品の酵素的酸敗防止剤:
本発明のリポキシゲナーゼ活性阻害剤を食品の酸敗防止剤として利用する場合,その対象の食品としては,大豆等の油糧穀物またはそれらの穀物由来の食用油,ないしは,豆腐などそれらの穀物素材を含有した食品が挙げられる.その使用法としては,本発明の阻害剤を適当な媒体で希釈し,この溶液を対象物に噴霧,浸漬させることで食品の酸敗を防止することができる.
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明の主旨とするところは、決してこれに限定されるものではない。
(ゲットウ抽出物の調製)
ゲットウの葉部、葉柄部、実部及び根茎部の乾燥体30gを各々、室温下、エタノール350mgに浸漬し、攪拌しながら6時間室温にて抽出した。続いてエタノールを減圧下で蒸発させて、ゲットウの各部位の抽出物を得た。
(チロシナーゼ阻害活性の測定)
上記で得られたゲットウの各部位の抽出物について、チロシナーゼ阻害活性率を測定した。チロシナーゼ阻害活性測定法の詳細は次のとおりである。最終植物抽出物の測定濃度が、0.5mg/ml及び0.15mg/mlとなるように調製した1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)120μlを96穴マイクロプレートに入れ、そこに、40U/mlのチロシナーゼ(シグマ社製)40μlを加え、次に、2.5mMのドーパ(シグマ社製 D9628)40μlを23℃で加えると同時に攪拌後、マイクロプレートリーダー(バイオラッド社製)を用い、2ないし5分後の475nmの吸光度の増加度(a)を読み取る。尚、測定は3回行う。一方、何もサンプルを加えないもの(コントロール実験と呼ぶ)で、同様な操作を行い、得られた吸光度の増加度(b)を用い、式[(b−a)/b]×100を用いてチロシナーゼ活性阻害率(%inhibition±SD)を得る。
前記の阻害活性測定法においては、吸光度の増加の測定は、ドーパの酸化物であり黒色物質メラニン生成の重要な中間体であるドーパクロームの生成度を、475nmの吸光度を用いて、吸光度測定器・マイクロプレートリーダー(バイオラッド製 Model550)を用いて測定することによる。阻害度は、酵素チロシナーゼによる着色度合によることから、阻害度が大きいほどドーパクロームの生成が少ないので吸光度が低く、透過率が高い。すなわちチロシナーゼ無添加のサンプル混合液の透過率を100%としたときの検体液の透過率を「平均阻害率%±SD(標準偏差)」(%inhibition±SD)で表現している。
その結果、下記表1に示すとおり、ゲットウ抽出物は根茎部、実部、葉柄部、葉部の各部位ともに、チロシナーゼ阻害活性を示すことが判明した。特に、ゲットウの根茎部については、非常に強いチロシナーゼ阻害活性が見られた。
Figure 2008013481
(リポキシゲナーゼ阻害活性の測定)
ゲットウの根茎部と葉部の抽出物について、リポキシゲナーゼ阻害活性率を測定した。リポキシゲナーゼ阻害活性測定法の詳細は次のとおりである。0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)2925μl、1mMに調整したリノール酸(シグマ社製、L−1376)のメタノール溶液50μl、及び3.87mg/mlのゲットウ抽出物エタノール溶液20μlを混合後、石英セルに入れ、30℃で10分間加温する。そこに、リポキシゲナーゼ緩衝液溶液(Nacalai Tesque社製、20551−54)5μlを入れ、すばやく攪拌し、234nmの吸光度の増加を測定する。この間、石英セル中の温度は30℃に保つ。また、測定は3回行う。尚、吸光度の測定には、分光光度計(島津社製、UV−1200)にセル温度調整装置(タイテック社製、SP−12)を接続したものを使用し、タイムコースプログラム(島津社製)を用いて経時的に測定を行う。
一方、ゲットウ抽出物のエタノール溶液の代わりに、エタノールを加えたもの(コントロール実験と呼ぶ)で、同様な操作を行う。阻害率の算出は、コントロール実験が直線性を残している1200秒後の吸光度を元に、サンプルの1200秒後の吸光度値をA、コントロールの1200秒後の吸光度値をBとした場合、式[(B−A)/B]×100を用いてチロシナーゼ活性阻害率を得、「平均阻害率±SD(標準偏差)」で表す。
その結果、下記表2に示すとおり、ゲットウ抽出物はリポキシゲナーゼ阻害活性を示すことが判明した。特に、ゲットウの根茎部については、非常に強いリポキシゲナーゼ阻害活性が見られた。
Figure 2008013481
(溶媒分画)
ゲットウ根茎の抽出物の含有物質を溶媒の極性を利用した順次分配法にて分離し,それぞれの阻害活性を測定することにより,ゲットウ根茎の活性物質抽出法の検証を行った。本実施例では、ゲットウ根茎の抽出溶媒としてメタノールを用いた。
1.メタノール抽出
スライスしたゲットウの根茎を送風乾燥したものを材料に用いた.その乾燥根茎700gをミキサーを用いて粉砕し,メタノール4000mlにて,室温で4日間浸漬した。その後根茎をろ過し、ろ液を得るとともに、ろ過物を再度メタノール4000mlに4日間浸漬した。この過程をもう一度繰り返し,得たろ液を合わせて減圧濃縮乾固し、ゲットウ根茎の抽出物88gを得た。
2.順次分配
ゲットウ抽出物87gを含水メタノール(メタノール:水=9:1)1000mlに溶かし、ヘキサン1000mlと分配した。へキサン層をとり、濃縮乾固して、ヘキサン可溶部6gを得た。メタノール層は、ほぼ水溶液になるまで減圧濃縮し、そこへ水を加えて,1000mlとした後、酢酸エチル1000mlを加えて分配した。酢酸エチル層をとり、残った水層に酢酸エチル500mlを加えて再度分配した後、酢酸エチル層を合わせて減圧濃縮し、酢酸エチル可溶部27gを得た。続いて、残った水層に水飽和ブタノールを1000ml加え、分配した。ブタノール層をとり、残水層に再度水飽和ブタノール500mlを加え、分配した。ブタノール層を合わせて減圧濃縮し、ブタノール可溶部14gを得た。更に、残った水層も減圧濃縮して、水可溶部40gを得た。この分配分離法のフローチャートを図1に示す。
3.結果
このようにして得られた各可溶部について、チロシナーゼ阻害活性及びリポキシゲナーゼ阻害活性を上述した方法で測定した。その結果を表3に示す。表3から明らかなとおり、リポキシゲナーゼ阻害活性もチロシナーゼ阻害活性もブタノール可溶部の活性が最も高く、本溶媒の極性を利用した分配分離法においては、有機溶媒で最も極性の高い画分に活性物質が集まった。この結果より、ゲットウ根茎の主たる活性物質が、ヘキサンや酢酸エチルの様な非極性有機溶媒でなく、また常温の水そのものでもなく、アルコール類等の極性有機溶媒によって良好に抽出されるものであることを確認した。
Figure 2008013481
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、人皮膚の黒色化やシミ・ソバカスなどの色素沈着の防止・改善を目的とした美白用の皮膚外用剤や化粧料、さらに各種フルーツ、きのこ類、カニやエビなどの海産物などの食品褐変防止剤として好適に利用できる。
また、本発明のリポキシゲナーゼ活性阻害剤は、皮膚の炎症を抑制・改善することを目的とした皮膚外用剤や化粧料や、リポキシゲナーゼが関与する疾患、特に、炎症性疾患治療剤、また、油糧穀物を母体とする各種食品の酵素的腐敗防止剤として利用できる。
更に、本発明のチロシナーゼ及びリポキシゲナーゼの両活性阻害剤は、チロシナーゼ活性阻害剤とリポキシゲナーゼ活性阻害剤の上述したような両方の用途に利用可能である。特に、この阻害剤を用いることにより、メラニン生成を抑制する美白効果と、炎症を抑制・改善して肌の状態を改善する効果を奏する、天然物由来で安全性の高い、優れた皮膚外用剤や化粧料を提供することができる。
本発明におけるゲットウの抽出方法を示すフロー図である。

Claims (10)

  1. ゲットウ抽出物を有効成分として含有するチロシナーゼ活性阻害剤。
  2. ゲットウ抽出物を有効成分として含有するリポキシゲナーゼ活性阻害剤。
  3. ゲットウ抽出物を有効成分として含有する、チロシナーゼ及びリポキシゲナーゼの両活性阻害剤。
  4. ゲットウ抽出物が、ゲットウ根茎の抽出物である請求項1〜3のいずれかに記載の阻害剤。
  5. ゲットウ抽出物が、ゲットウの極性溶媒抽出物である請求項1〜4にいずれかに記載の阻害剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の阻害剤を配合してなる皮膚外用剤。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の阻害剤を配合してなる化粧料。
  8. 請求項1又は3に記載の阻害剤を配合してなる食品褐変防止剤。
  9. 請求項2又は3に記載の阻害剤を配合してなる炎症性疾患治療剤。
  10. 請求項2又は3に記載の阻害剤を配合してなる食品の酵素的酸敗防止剤。
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