JP4716634B2 - 高力価を有する1,3−プロパンジオールの生物的生産法 - Google Patents
高力価を有する1,3−プロパンジオールの生物的生産法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4716634B2 JP4716634B2 JP2001516920A JP2001516920A JP4716634B2 JP 4716634 B2 JP4716634 B2 JP 4716634B2 JP 2001516920 A JP2001516920 A JP 2001516920A JP 2001516920 A JP2001516920 A JP 2001516920A JP 4716634 B2 JP4716634 B2 JP 4716634B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nucleotides
- genbank
- glycerol
- propanediol
- seq
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/0004—Oxidoreductases (1.)
- C12N9/0006—Oxidoreductases (1.) acting on CH-OH groups as donors (1.1)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/11—DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
- C12N15/52—Genes encoding for enzymes or proenzymes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/10—Transferases (2.)
- C12N9/12—Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
- C12N9/1205—Phosphotransferases with an alcohol group as acceptor (2.7.1), e.g. protein kinases
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/90—Isomerases (5.)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P7/00—Preparation of oxygen-containing organic compounds
- C12P7/02—Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
- C12P7/04—Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
- C12P7/18—Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic polyhydric
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Description
【発明の分野】
本発明は、1つの微生物による発酵可能な炭素源の1,3−プロパンジオールへの生物的転換(bioconversion)法を含む。
【0002】
【背景】
1,3−プロパンジオールは、ポリエステル繊維の生産ならびにポリウレタン及び環状化合物の製造において利用性を有する可能性のあるモノマーである。
【0003】
1,3−プロパンジオールへの多様な化学的経路が既知である。例えば触媒上でホスフィン、水、一酸化炭素、水素及び酸の存在下に、エチレンオキシドを1,3−プロパンジオールに転換することができるか、アクロレインの接触液相水和及び続く還元によるか、あるいはグリセロールのような化合物から一酸化炭素及び水素の存在下に、周期表の第VIII族の原子を有する触媒上で反応させることができる。これらの方法により1,3−プロパンジオールを作ることは可能であるが、それらは高価であり、且つ環境汚染物を含有する廃流を生ぜしめる。
【0004】
グリセロールの発酵から1,3−プロパンジオールを生産できることは、1世紀を越える以前から既知であった。例えばシトロバクテル(Cytrobacter)、クロスツリジウム(Clostridium)、エンテロバクテル(Enterobacter)、イリオバクテル(Ilyobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、ラクトバシルス(Lactobacillus)及びペロバクテル(Pelobacter)の群において、1,3−プロパンジオールを生産できるバクテリア株が見いだされた。研究されたそれぞれの場合に、グリセロールは2段階の酵素触媒反応系列で1,3−プロパンジオールに転換される。第1段階において、デヒドラターゼが3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−HPA)及び水へのグリセロールの転換、式1を触媒する。第2段階において、3−HPAがNAD+−結合オキシドレダクターゼにより1,3−プロパンジオールに還元される、式2。1,3−プロパンジオールはそれ以上代謝されず、結果として
グリセロール→3−HPA+H2O (式1)
3−HPA+NADH+H+→1,3−プロパンジオール+NAD+ (式2)
媒体中に堆積する。全体的反応は1還元当量(a reducing equivalent)を補因子、還元されたβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオシド(NADH)の形態で消費し、それはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)に酸化される。
【0005】
クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)、シトロバクテル・フレウンジイ(Citrobacter freundii)及びクロスツリジウム・パステウリアヌム(Clostridium pasteurianum)においては、グリセロールデヒドラターゼの3つの構造サブユニットをコードする遺伝子(dhaB1−3又はdhaB、C及びE)が特異的1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードする遺伝子(dhaT)に隣接して位置している(図1を参照されたい)。これらの微生物の間で遺伝子編成(genetic organization)はいくらか異なるが、これらの遺伝子は、orfX及びorfZ(グリセロールデヒドラターゼのためのデヒドラターゼ再活性化因子をコードする遺伝子)ならびにorfY及びorfW(未知の機能の遺伝子)も含む1つの群に集まっている。これらの微生物の特異的1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT’s)はIII型アルコールデヒドロゲナーゼの群に属することが知られており;それぞれ保存されている鉄−結合モチーフを示し、且つ1,3−プロパンジオール及び3−HPAのNAD+/NADH結合相互転換に関する優先性を有する。しかしながら、1,3−プロパンジオール及び3−HPAのNAD+/NADH結合相互転換は、効率の低い速度論的パラメーターとはいえ、デヒドラターゼ酵素に特異的に結合しないアルコールデヒドロゲナーゼによっても触媒される(例えばウマ肝臓及びパン酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.1))。グリセロールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.30)及びジオール[1,2−プロパンジオール]デヒドラターゼ(E.C.4.2.1.28)は関連しているが異なる酵素であり、それらは異なる遺伝子によりコードされる。クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)及びサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)からのジオールデヒドラターゼ遺伝子はグリセロールデヒドラターゼ遺伝子に似ており、orfX及びorfZに類似の遺伝子を含む1つの群に集まっている(Daniel et al.,FEMS Microbiol.Rev.22,553(1999);Toraya and Mori,J.Biol.Chem.274,3372(1999);GenBank AF026270)。
【0006】
グリセロールからの1,3−プロパンジオールの生産は一般に嫌気性条件下でグリセロールを単独の炭素源として用いて、且つ他の外因性還元当量受容物質の不在下で行われる。これらの条件下で、例えばシトロバクテル、クロスツリジウム及びクレブシエラの株においては、最初にNAD+−(もしくはNADP+−)結合グリセロールデヒドロゲナーゼによるグリセロールのジヒドロキシアセトン(DHA)への酸化、式3を含むグリセロールに関する平行経路が働く。DHAは、DHAキナーゼによるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)へのリン酸化(式4)に続き、
グリセロール+NAD+→DHA+NADH+H+ (式3)
DHA+ATP→DHAP+ADP (式4)
生合成及び例えば解糖を介するATP生成の支持のために利用可能になる。1,3−プロパンジオール経路と対照的に、この経路は細胞に炭素及びエネルギーを与えることができ、NADHを消費するのではなく生産する。
【0007】
クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)及びシトロバクテル・フレウンジイの場合、グリセロールデヒドラターゼ(dhaB)、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)、グリセロールデヒドロゲナーゼ(dhaD)及びジヒドロキシアセトンキナーゼ(dhaK)の機能的に結合した活性をコードする遺伝子はdhaレギュロンにより包含されている。dhaレギュロンは、クレブシエラ・ニューモニアエ及びシトロバクテル・フレウンジイの場合、転写アクチベータタンパク質をコードする遺伝子(dhaR)も包含している。シトロバクテル及びクレブシエラからのdhaレギュロンはエシェリキア・コリ(Escherichia coli)において発現され、グルセロールを1,3−プロパンジオールに転換することが示された。
【0008】
1,3−プロパンジオールの生産のための上記で記載した化学的方法も生物的方法も、工業的規模の生産には十分に適しておらず、それは化学的方法はエネルギー集約的であり、生物的方法は高価な出発材料であるグリセロールからの比較的低い力価に限られるからである。これらの欠点は、低いエネルギー投入及び炭水化物又は糖類のような安価な出発材料を必要とする方法を用いて、あるいはグリセロール法の代謝効率を向上させることにより、克服され得た。いずれの方法の開発も、グリセロールへの糖類の、及び1,3−プロパンジオールへのグリセロールの転換を担う遺伝子機構(genetic machinery)を操作する能力を必要とするであろう。
【0009】
グリセロールの生産のための生物的方法は既知である。圧倒的大多数のグリセロール生産物質は酵母であるが、いくつかのバクテリア、他の菌・カビ及び藻類も既知である。バクテリア及び酵母の両方はグルコース又は他の炭水化物を解糖又はEmbden Meyerhof Parnas経路におけるフルクトース−1,6−二リン酸経路を介して転換することによってグリセロールを生産するが、ある種の藻類は葉緑体中に溶解した二酸化炭素又は重炭酸塩をカルビンサイクルの3−炭素中間体に転換する。1系列の段階において、3−炭素中間体であるホスホグリセリン酸はグリセルアルデヒド3−リン酸に転換され、それはそのケト異性体であるジヒドロキシアセトンリン酸、そして究極的にはグリセロールに容易に相互転換され得る。
【0010】
特定的にはバクテリア、バシルス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)及びラクトバシルス・リコペルシカ(Lactobacillus lycopersica)がグリセロールを合成し、耐塩性藻類ドゥナリエラ種(Dunaliella sp.)及びアステロモナス・グラシリス(Asteromonas gracilis)において、高い外部塩濃度に対する保護のためにグリセロール生産が見いだされる。同様に、種々の耐浸透圧性(osmotolerant)酵母が保護手段としてグリセロールを合成する。サッカロミセスのほとんどの株はアルコール発酵の間にいくらかのグリセロールを生産し、浸透圧ストレスの適用によりこれを生理学的に増加させることができる。本世紀初期に、亜硫酸塩もしくはアルカリのような「ステアリング試薬(steering reagents)」が加えられたサッカロミセス培養の使用により商業的グリセロール生産が達成された。不活性な錯体の生成を介して、ステアリング試薬はエタノールへのアセトアルデヒドの転換を遮断もしくは阻害し;かくして過剰の還元当量(NADH)がグリセロールを生産するための還元に利用され得るか、又はそのためにDHAPに向かって「ステアリングされる」。この方法は亜硫酸塩の故である酵母成長の部分的阻害により制限される。種々の機構により過剰のNADH当量を生ぜしめるアルカリの使用により、この制限を部分的に克服することができる。この実施の場合、アルカリはカニッツァロ不均化を開始させて2当量のアセトアルデヒドからエタノールと酢酸を与える。
【0011】
グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(DAR1、GPD1)がS.ジアスタチクス(S.diastaticus)からクローニングされ、配列決定された(Wang et al.,J.Bact.176,7091−7095(1994))。DAR1遺伝子はシャトルベクター中にクローニングされ、E.コリを形質転換するために用いられ、そこで発現は活性な酵素を生産した。Wang et al.(同上)はDAR1が細胞の浸透圧環境(osmotic environment)により調節されることを認識したが、組換え微生物における1,3−プロパンジオール生産を増強するためにどのように遺伝子を用い得るかを示唆してはいない。
【0012】
他のグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ酵素が単離された:例えばsn−グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼがサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)からクローニングされ、且つ配列決定され(Larason et al.,Mol.Microbiol.10,1101(1993))、Albertyn et al.(Mol.Cell.Biol.14,4135(1994))はサッカロミセス・セレビシアエからのグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードするGPD1のクローニングを記載している。Wang et al.(同上)と同様に、Albertyn et al.及びLarason et al.の両方はこの遺伝子の調節の浸透圧−感受性を認識しているが、組換え微生物中での1,3−プロパンジオールの生産においてどのように遺伝子を用い得るかを示唆してはいない。
【0013】
G3PDHの場合と同様に、グリセロール−3−ホスファターゼがサッカロミセス・セレビシアエから単離され、該タンパク質がGPP1及びGPP2遺伝子によりコードされることが同定された(Norbeck et al.,J.Biol.Chem.271,13875(1996))。G3PDHをコードする遺伝子と同様に、GPP2は浸透圧感受性(osmosensitive)であると思われる。
【0014】
グリセロール又はジヒドロキシアセトン以外の発酵可能な炭素源の1,3−プロパンジオールへの1微生物転換(single microorganism conversion)は望ましいが、そのような試みには克服されるべきかなりの困難があることが実証されている。例えばGottschalk et al(EP 373 230)は、シトロバクテル・フレウンジイ、クロスツリジウム・アウトブチリクム(Clostridium autobutylicum)、クロスツリジウム・ブチリクム(Clostridium butylicum)及びクレブシエラ・ニューモニアエを含む1,3−プロパンジオールの生産に有用なほとんどの株の成長がフルクトース又はグルコースのような水素供与体の存在により撹乱されると記載している。グリセロールとフルクトース又はグルコースの共−発酵において1,3−プロパンジオールを生産するラクトバシルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)及びラクトバシルス・ブクネル(Lactobacillus buchner)の株は、グリセロールが唯一の炭素源として与えられると成長せず、休止細胞はグルコース又はフルクトースを代謝できることが示されているが、それらは1,3−プロパンジオールを生産しない(Veiga DA Cunha et al.,J.Bacteriol.,174,1013(1992))。同様に、グリセロール及びアセテートが与えられると1,3−プロパンジオールを生産するイリオバクテル・ポリトロプス(Ilyobacter polytropus)の株は、フルクトース及びグルコースを含むグリセロール以外の炭素基質から1,3−プロパンジオールを生産しないであろうことが示されている(Steib et al.,Arch.Microbiol.140,139(1984))。最後に、Tong et al.(Appl.Biochem.Biotech.34,149(1992))は、グルセロールデヒドラターゼをコードするdhaレギュロンを用いて形質転換された組換えエシェリキア・コリが外因性グルセロールの不在下でグルコース又はキシロースから1,3−プロパンジオールを生産しないことを記載した。
【0015】
グリセロールからの1,3−プロパンジオールの収率を向上させる試みが報告されており、その試みでは還元当量を与えることができる共−基質、典型的には発酵可能な糖類がプロセス中に含まれる。グリセロール及びグルコースを共−発酵させるシトロバクテル・フレウンジイ及びクレブシエラ・ニューモニアエ DSM 4270の休止細胞に関する収率における向上が特許請求されている(Gottschalk et al.,同上;ならびにTran−Dinh et al.,DE 3734 764);しかしグリセロール及びグルコースを共−発酵させるクレブシエラ・ニューモニアエ ATCC 25955の成長細胞に関しては特許請求されておらず、それは1,3−プロパンジオールを生産しなかった(I−T.Tong,Ph.D.Thesis,University of Wisconsin−Madison(1992))。組換えエシエリキア・コリによるグルセロールとグルコース又はフルクトースの共発酵に関する収率の向上が報告されている;しかしながらグリセロールの不在下で1,3−プロパンジオールは生産されない(Tong et al.,同上)。これらの系においては、1つの微生物が細胞保持又は成長のためのエネルギー及び炭素を与えながらNADH生成の源として炭水化物を用いている。これらの開示は、糖類が1,3−プロパンジオールを生産する炭素の流れに入らないことを示唆している。
【0016】
しかしながら最近、デヒドラターゼ酵素を発現する1つの微生物によるグリセロール又はジヒドロキシアセトン以外の炭素基質の1,3−プロパンジオールへの転換が記載された(U.S.5,686,276;WO 9821339;WO 9928480;及びWO 9821341(US 6013494))。グリセロール又はグルコースのいずれかからの1,3−プロパンジオールの生産に導く生物的プロセスにおける特別な欠点は、発酵を介して達成される生産物の低い力価であった;かくして水性発酵ブイヨンから1,3−プロパンジオールを得るためのエネルギー−集約的な分離プロセスが必要である。1,3−プロパンジオールへのグリセロールのフェドバッチ(fed batch)又はバッチ発酵はクロスツリジウム・ブチリクムにより65g/L(Saint−Amans et al.,Biotechnology Letters 16,831(1994))、クロスツリジウム・ブチリクム突然変異株により71g/L(Abbad−Andaloussi et al.,Appl,Environ.Microbiol.61,4413(1995))、クレブシエラ・ニューモニアエにより61g/L(Homann et al.,Appl.Bicrobiol.Biotechnol.33,121(1990))及びシトロバクテル・フレウンジイにより35g/L(Homann et al.,同上)の最終的力価に導いた。グリセロール発酵から得られる力価を越えるグルコースの1,3−プロパンジオールへの発酵はまだ開示されたことがない。
【0017】
解決されるべく残っている問題は、グルコース又は他の糖類のような安価な炭素基質から高い力価で、且つ1つの微生物によって1,3−プロパンジオールを生物的に生産するやり方である。1,3−プロパンジオールの生物的生産は2−段階連続反応のための基質としてグリセロールを必要とし、その反応ではデヒドラターゼ酵素(典型的には補酵素B12−依存性デヒドラターゼ)がグリセロールを中間体である3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドに転換し、それが次いでNADH−(もしくはNADPH)依存性オキシドレダクターゼにより1,3−プロパンジオールに還元される。補因子が必要であることの複雑さは、1,3−プロパンジオールの生産のためにこの反応系列を使用する工業的プロセスのために全細胞触媒の使用を必要とする。
【0018】
【発明の概略】
出願人等は上記の問題を解決し、本発明は以前に得られたより有意に高い力価における、且つ1つの微生物の使用での発酵可能な炭素源の1,3−プロパンジオールへの直接の生物的転換を提供する。モデル基質としてグルコースを用い、モデル宿主としてE.コリ(E.coli)を用いる。本発明の1つの側面において、1群の遺伝子(デヒドラターゼ活性、デヒドラターゼ再活性化因子、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ及びグリセロール−3−ホスファターゼをコードする遺伝子を含む)を発現する組換えE.コリがグリセロールから1,3−プロパンジオールへの発酵の力価に近い力価でグルコースを1,3−プロパンジオールに転換する。
【0019】
本発明の他の側面において、この組換えE.コリ中の機能性dhaT遺伝子の除去が、グルコースからの1,3−プロパンジオールの有意により高い力価を生ずる。この予測されなかった力価における増加は経済性の向上及びかくしてグルコースからの1,3−プロパンジオールの生産のための改良法を生ずる。
【0020】
さらに本発明は、1)グリセロール、2)ジヒドロキシアセトン、3)グリセロールの酸化状態におけるC3化合物(例えばグリセロール3−リン酸)あるいは4)ジヒドロキシアセトンの酸化状態におけるC3化合物(例えばジヒドロキシアセトンリン酸又はグリセルアルデヒド3−リン酸)に容易に転換されるいずれの炭素基質をも含むように一般的に応用され得る。dhaTマイナス株における1,3−プロパンジオールの生産は、3−HPAを1,3−プロパンジオールに転換する非−特異的触媒活性を必要とする。3−HPAを1,3−プロパンジオールに転換する非−特異的触媒活性を担う単数もしくは複数の酵素及び/又は単数もしくは複数の遺伝子の同定は、広範囲の炭素−含有基質からの基質を用いる広範囲の宿主微生物における1,3−プロパンジオールの生産に導くであろう。3−HPAを1,3−プロパンジオールに転換するこの非−特異的触媒活性の使用が、増加する力価及び得られる向上した経済性のおかげで、グリセロール又はジヒドロキシアセトンからの1,3−プロパンジオールの生産のための改良法に導くであろうことも予測される。
【0021】
この活性は、配列番号:58に示される、あるいは:
(a)配列番号:57のアミノ酸配列のすべて又は実質的部分をコードする単離された核酸フラグメント;
(b)配列番号:57のアミノ酸配列のすべて又は実質的部分をコードする単離された核酸フラグメントに実質的に類似している単離された核酸フラグメント;
(c)配列番号:57のアミノ酸配列の少なくとも80%(at least 80% with)を有する少なくとも387個のアミノ酸のポリペプチドをコードする単離された核酸フラグメント;
(d)0.1XSSC、0.1%SDS、65℃のハイブリダイジェーション条件下で(a)とハイブリダイジェーションし、2XSSC、0.1%SDS、及び続いて0.1XSSC、0.1%SDSを用いて洗浄された単離された核酸フラグメント;ならびに
(d)(a)、(b)、(c)又は(d)に相補的である単離された核酸フラグメント
より成る群から選ばれる、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの1,3−プロパンジオールへの転換のための非−特異的触媒活性をコードする核酸フラグメントとしてE.コリから単離された。あるいはまた、非特異的触媒活性は配列番号:57に示されるポリペプチドにおいて具体化される。
【0022】
適した調節配列に操作可能に結合された上記の単離された核酸フラグメントを含むキメラ遺伝子を構築することができる。このキメラ遺伝子を用いてシトロバクテル、エンテロバクテル(Enterobacter)、クロスツリジウム、クレブシエラ、アエロバクテル(Aerobacter)、ラクトバシルス、アスペルギルス(Aspergillus)、サッカロミセス、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、ピチア(Pichia)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、デバリオミセス(Debaryomyces)、ムコル(Mucor)、トルロプシス(Torulopsis)、メチロバクテル(Methylobacter)、サルモネラ(Salmonella)、バシルス(Bacillus)、アエロバクテル(Aerobacter)、ストレプトミセス(Streptomyces)、エシェリキア及びシュードモナス(Pseudomonas)より成る群から選ばれる微生物を形質転換することができる。E.コリが好ましい宿主である。
【0023】
従って本発明は:(a)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(b)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(c)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(d)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの遺伝子;(e)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換するのに十分な非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの内因性遺伝子を含み、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない1,3−プロパンジオールの生産に有用な組換え微生物を提供する。好ましい態様は、dhaT遺伝子が存在しない組換え微生物(好ましくはE.コリ)である。場合により組換え微生物は:(a)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;(b)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;(c)トリオースリン酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子より成る群から選ばれる内因性遺伝子において突然変異(例えば欠失突然変異又は点突然変異)を含んでいることができる。
ヌ 他の態様において、本発明は:(a)適した条件下で、dhaレギュロンを含み且つ1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性をコードする機能性dhaT遺伝子が欠けている組換えE.コリを単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれる少なくとも1つの炭素源と接触させ;(b)(a)で生産される1,3−プロパンジオールを場合により回収することを含む1,3−プロパンジオールの生産のための方法を含む。
【0024】
本発明は:(a)本発明の組換え微生物を単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれる少なくとも1つの炭素源と接触させ、それにより1,3−プロパンジオールを生産し;(b)(a)で生産される1,3−プロパンジオールを場合により回収することを含む、組換え微生物からの1,3−プロパンジオールの生産のための方法も提供する。
【0025】
同様に、本発明は:
(a)(i)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;
(ii)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの遺伝子;
(iii)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換するのに十分な非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの内因性遺伝子
を含み;1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない組換え微生物を、グリセロール及びジヒドロキシアセトンより成る群から選ばれる少なくとも1つの炭素源と接触させ、そこにおいて1,3−プロパンジオールを生産し;
(b)(a)で生産される1,3−プロパンジオールを場合により回収する
ことを含む、組換え微生物からの1,3−プロパンジオールの生産のための方法を提供することを目的とする。
【0026】
本発明のさらに別の側面は炭素基質の共−供給を提供する。1,3−プロパンジオールの生産のためのこの態様において、段階は:(a)組換えE.コリを第1の炭素源及び第2の炭素源と接触させ、該組換えE.コリは:(i)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性遺伝子;(ii)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの外因性遺伝子;(iii)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換するのに十分な非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの外因性遺伝子を含み、ここで組換えE.コリ中に1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性をコードする機能性dhaT遺伝子は存在せず、且つここで該第1の炭素源はグリセロール及びジヒドロキシアセトンより成る群から選ばれ、該第2の炭素源は単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれ;(b)(a)で生産される1,3−プロパンジオールを場合により回収する段階である。共−供給は連続的又は同時であることができる。共−供給の態様において用いられる組換えE.コリはさらに:(a)(i)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(ii)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;及び(iii)dhaR、orfY、orfX、orfW、dhaB1、dhaB2、dhaB3及びorfZの遺伝子産物をコードする遺伝子の少なくとも1つのサブセットより成る1組の外因性遺伝子、ならびに(b)各遺伝子が遺伝子を不活性化する突然変異を有し:(i)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;(ii)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;及び(III)トリオースリン酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子より成る1組の内因性遺伝子を含むことができる。
【0027】
有用な組換えE.コリ株には、(a)各遺伝子が遺伝子を不活性化する突然変異を有し:(i)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;及び(ii)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子より成る2つの内因性遺伝子の1組;(b)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性遺伝子;(c)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性遺伝子;ならびに(d)プラスミドpKP32を含む組換えE.コリ株KLP23ならびに(a)各遺伝子が遺伝子を不活性化する突然変異を有し:(i)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;(ii)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;及び(iii)トリオースリン酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子より成る3つの内因性遺伝子の組を含む組換えE.コリ株RJ8が含まれる。
【0028】
他の有用な態様には:(a)(i)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(ii)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(iii)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;及び(iv)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの遺伝子より成る1組の外因性遺伝子;ならびに(b)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの内因性遺伝子を含む組換えE.コリが含まれ、ここで組換えE.コリ中には1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性をコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない。
【0029】
別の態様は:(a)(i)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(ii)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;及び(iii)dhaR、orfY、orfX、orfW、dhaB1、dhaB2、dhaB3及びorfZの遺伝子産物をコードする遺伝子の少なくとも1つのサブセットより成る1組の外因性遺伝子、ならびに(b)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの内因性遺伝子を含む組換えE.コリであり、ここで組換えE.コリ中には1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性をコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない。この態様は、それぞれの遺伝子が遺伝子を不活性化する突然変異を有する1組の内因性遺伝子をさらに含む組換えE.コリを用いる方法も包含し、該組は:(a)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;(b)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子;及び(c)トリオースリン酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子から成る。
【0030】
この態様はさらに、(a)適した条件下で、開示したばかりの(immediately disclosed)組換えE.コリを単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれる少なくとも1つの炭素源と接触させ、それにより1,3−プロパンジオールを生産し;(b)(a)で生産される1,3−プロパンジオールを場合により回収することを含む1,3−プロパンジオールの生物的生産のための方法を含む。
【0031】
ならびに又、(a)さらに:(i)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性遺伝子;(ii)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの外因性遺伝子;(iii)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの内因性遺伝子を含む開示したばかりの態様の組換えE.コリをグリセロール及びジヒドロキシアセトンより成る群から選ばれる少なくとも1つの炭素源と接触させ、(b)(a)で生産される1,3−プロパンジオールを場合により回収することを含む1,3−プロパンジオールの生物的生産のためのさらに別の方法も包含する。
【0032】
【図面、配列の記載及び生物の寄託の簡単な記述】
本出願の各部を成す下記の詳細な記述、図、付随する配列の記載及び生物の寄託から、本発明をさらに十分に理解することができる。
【0033】
図1はdhaレギュロンサブクローンpHK28−26の配列内の遺伝子編成を表す。
【0034】
図2は本質的に実施例7に記載するビタミンB12の一定の供給を用いた2つの発酵実験の間で比較される細胞外可溶性タンパク質(g/L)のグラフを表す。実線の1つの場合、用いられた株はKLP23/pAH48/pKP32であった。破線の他の場合、用いられた株はKLP23/pAH48/pDT29であった。
【0035】
図3は本質的に実施例7に記載するビタミンB12の一定の供給を用いた2つの発酵実験の間で比較される細胞生存率[(生存細胞/mL)/OD550]のグラフを表す。1つの場合(実線)、用いられた株はKLP23/pAH48/pKP32であった。他の場合(破線)、用いられた株はKLP23/pAH48/pDT29であった。
【0036】
図4は本質的に実施例7に記載する、しかしビタミンB12又は補酵素B12の不在下における2つの発酵実験の間で比較されるグルコースからのグリセロールの収率のグラフを表す。1つの場合(実線)、用いられた株はKLP23/pAH48/pKP32であった。他の場合(破線)、用いられた株はKLP23/pAH48/pDT29であった。
【0037】
図5は1,3−プロパンジオールへのグルコースの代謝的転換を示す流れ図である。
【0038】
図6は未変性ゲル(native gel)上の内因性E.コリオキシドレダクターゼ活性(非−特異的触媒活性)を示すバンドから抽出される可溶性タンパク質画分を用いた2D−PAGE膜ブロットである。
【0039】
68の配列の記載及び本明細書に添付する配列表は、37 C.F.R.§1.821−1.825(“Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules”)に示されている特許出願におけるヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列開示を管理している規則に従い、World Intellectual Property Organization(WIPO) Standard ST2.5(1988)ならびにEPO及びPCTの配列表条件(Administration InstructionsのRules 5.2及び49.5(a−bis)及びSection 208及びAnnex C)と一致するであろう。配列の記載は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるNucleic Acids Res.13,3021−3030(1985)及びBiochemical Journal 209,345−373(1984)に記載されているIUPAC−IYUB標準に準拠して定義されるヌクレオチド配列記号に関する1文字コード及びアミノ酸に関する3文字コードを含有する。
【0040】
配列番号:1はpIBI31(IBI Biosystem,New Haven,CT)中にサブクローニングされ、pHK28−26と命名されたpKP1(クレブシエラ・ニューモニアエからのDNAを含有するコスミド)からの12.1kbのEcoRI−SalIフラグメントから決定されるヌクレオチド配列を含有する。表1がさらに配列番号:1内で同定される遺伝子、対応する塩基対及び関連する機能を詳細に示している。実施例1も参照されたい。
【0041】
配列番号:57はyqhDに関して決定されるヌクレオチド配列を含有する。
【0042】
出願人等はBudapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purposes of Patent Procedureの協約の下に以下の生物の寄託を行った:
配列番号:58はYahDに関して決定されるアミノ酸配列を含有する。
寄託者確認 国際寄託所
参照(reference) 名 寄託の日付
グリセロールデヒドラターゼ酵素を ATCC 69789 1995年4月18日
コードするクレブシエラゲノムの1部
を含有する形質転換E.コリDH5α
ジオールデヒドラターゼ酵素を ATCC 69790 1995年4月18日
コードするクレブシエラゲノムの1部
を含有するコスミドpKP4を含有する
形質転換E.コリDH5α
E.コリMSP33.6 ATCC 98598 1997年11月25日
glpK突然変異株 ATCC 98597 1997年11月25日E.コリRJF10m
寄託物は示した国際寄託所に少なくとも30年間保持され、それを開示している特許が認可されると公共に利用可能とされるであろう。寄託物の利用可能性は、政府の指令により認可される特許権の減損において本発明を実施する許諾を構成しない。
【0043】
本明細書で用いられる「ATCC」とは、10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209 U.S.A.にあるAmerican Type Culture Collection国際寄託所を指す。「ATCC番号」は、ATCCに寄託した際の培養物への受け入れ番号である。
【0044】
【発明の詳細な記述】
本発明は発酵可能な炭素源を直接1,3−プロパンジオールに、1つの微生物を用いて生物的に転換するための改良法を提供する。該方法は増加した力価、収率及び細胞生存率ならびに発酵の間の細胞ライシスの減少を特徴とする。
【0045】
本発明は、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)を含む1,3−プロパンジオール発酵プロセスが培地中における高いレベルの3HPA及び他のアルデヒド及びケトンを特徴とし、それが細胞生存率の減少と関連しているという観察に部分的に基づいている。本発明は、モデル宿主であるE.コリが、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換できる内因性非−特異的触媒活性により、3−HPAを1,3−プロパンジオールに転換できるという予期せぬ発見にも部分的に基づいている。本発明はさらに、この非−特異的触媒活性を含み且つ機能性dhaTが欠けているE.コリ発酵プロセスが発酵の間に細胞生存率の向上を生じ、機能性dhaTを含む発酵プロセスより高い1,3−プロパンジオールの力価及び/又は収率を与えるという予期せぬ発見に部分的に基づいている。
【0046】
1つの側面においては、グリセロールがモデル基質であり、宿主微生物は1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性がないように野生−型dhaTにおける突然変異を有しており、且つ3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換するのに十分な非−特異的触媒活性を含んでいる。他の側面においては、グルコースがモデル基質であり、組換えE.コリがモデル宿主である。この側面の場合、E.コリは3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換するのに十分な内因性非−特異的触媒活性を含んでいる。1つの態様の場合、非−特異的触媒活性はアルコールデヒドロゲナーゼである。
【0047】
1つの側面において、本発明は(a)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子:(b)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(c)デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子;(d)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの遺伝子;及び(e)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換するのに十分な非−特異的触媒活性をコードする少なくとも1つの内因性遺伝子を含む1群の遺伝子を発現する組換えE.コリを提供し;この微生物の使用は高い力価でグルコースを1,3−プロパンジオールに転換する。本発明の他の側面において、この組換えE.コリ中の機能性dhaT遺伝子の除去は、以前に得られたより予期せぬ程高いグルコースからの1,3−プロパンジオールの力価を与える。
【0048】
本発明は、1つの微生物における発酵可能な炭素源からの1,3−プロパンジオールの生物的生産のための改良法を提供する。本発明の1つの側面において、1,3−プロパンジオールへのグルコースの転換のための改良法は、クレブシエラ・ニューモニアエdhaレギュロン遺伝子dhaR、orfY、dhaT、orfX、orfW、dhaB1、dhaB2、dhaB3及びorfZを用いて形質転換された宿主E.コリを含む組換え微生物の使用により達成され、これらの遺伝子のすべては野生型クレブシエラ・ニューモニアエ中に存在すると同じ遺伝子体制で配置される。発酵プロセスに関して得られる力価は、類似の発酵に関して以前に報告されたいずれの力価よりも有意に高い。この向上は実施例6及び実施例7で記載するプラスミドpDT29の使用に頼っている。
【0049】
本発明の他の側面において、G3PDH、G3Pホスファターゼ、デヒドラターゼ、デヒドラターゼ再活性化因子及び又機能性dhaTをコードする遺伝子を含有する組換えE.コリを用いる方法と比較して、グルコースからの1,3−プロパンジオールの生産のためのさらに改良された方法が、G3PDH、G3Pホスファターゼ、デヒドラターゼ及びデヒドラターゼ再活性化因子をコードする遺伝子を含有する組換えE.コリを用いて達成される。劇的に改良された方法は、E.コリ中に存在する、アルコールデヒドロゲナーゼであると予測される非−特異的触媒活性をコードする内因性遺伝子に頼っている。
【0050】
該方法における劇的な向上は、実施例7及び9に示す1,3−プロパンジオール力価の向上として明らかである。該方法における向上は、発酵ブイヨン中の細胞外可溶性タンパク質濃度により決定される細胞ライシスの減少としても明らかである。本発明のこの側面を図2に示す。さらに該方法における向上は、発酵の経過に及ぶ長期間の細胞生存率(prolonged cell viability)として明らかである。本発明のこの側面を図3に示す。さらに本発明における向上は収率の向上としても明らかである。1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)を発現するE.コリ(例えばプラスミドpDT29を用いて形質転換されたE.コリKLP23)においては、グリセロールは3−HPA以外の産物に代謝され得る。まさに対照的に、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)を発現しないE.コリ(例えばプラスミドpKP32を用いて形質転換されたE.コリKLP23)においては、グリセロールは3−HPA以外の産物に代謝されない。この謎の経路が機能性dhaTの存在もしくは不在に帰せられ得ることは、図4に示すようなグルコースからのグリセロールのより低い収率により示される。
【0051】
本明細書で用いられる場合、特許請求の範囲及び明細書の説明のために以下の用語が用いられ得る。
【0052】
「グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ」及び「G3PDH」は、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)のグリセロール−3−リン酸(G3P)への転換を触媒する酵素活性を担うポリペプチドを指す。生体内でG3PDHはNADH;NADPH;又はFAD−依存性であることができる。補因子特異的グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼを特定的に指す場合、「NADH−依存性グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ」、「NADPH−依存性グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ」及び「FAD−依存性グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ」の用語が用いられるであろう。NADH−依存性及びNADPH−依存性グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼがNADH及びNADPHを互換的に用いることができるのが一般に実情なので(例えばgpsAによりコードされる遺伝子により)、NADH−依存性及びNADPH−依存性グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの用語は互換的に用いられるであろう。NADH−依存性酵素(E.C.1.1.1.8)は例えばGPD1(GenBank Z74071x2)又はGPD2(GenBank Z35169x1)又はGPD3(GenBank G984182)又はDAR1(GenBank Z74071x2)を含むいくつかの遺伝子によりコードされる。NADPH−依存性酵素(EC 1.1.1.94)はgpsA(GenBank U321643、(cds 197911−196892)G466746及びL45246)によりコードされる。FAD−依存性酵素(EC 1.1.99.5)はGUT2(GenBank Z47047x23)又はglpD(GenBank G147838)又はglpABC(GenBank M20938)によりコードされる(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるWO 9928480及びその中の引用文献を参照されたい)。
【0053】
「グリセロール−3−ホスファターゼ」、「sn−グリセロール−3−ホスファターゼ」又は「d,l−グリセロールホスファターゼ」及び「G3Pホスファターゼ」という用語は、グリセロール−3−リン酸と水のグリセロールと無機リン酸塩への転換を触媒する酵素活性を担うポリペプチドを指す。G3Pホスファターゼは例えばGPP1(GenBank Z47047x125)又はGPP2(GenBank U18813x11)によりコードされる(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるWO 9928480及びその中の引用文献を参照されたい)。
【0054】
「グリセロールキナーゼ」という用語は、グルセロールとATPのグルセロール−3−リン酸とADPへの転換を触媒する酵素活性を担うポリペプチドを指す。高−エネルギーリン酸ドナーATPを生理学的代用物(例えばホスホエノールピルビン酸)により置き換えることができる。グリセロールキナーゼは例えばGUT1(GenBank U11583x19)及びglpK(GenBank L19201)によりコードされる(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるWO 9928480及びその中の引用文献を参照されたい)。
【0055】
「グリセロールデヒドロゲナーゼ」という用語は、グリセロールのジヒドロキシアセトンへの(E.C.1.1.1.6)又はグリセロールのグリセルアルデヒドへの(E.C.1.1.1.72)の転換を触媒する酵素活性を担うポリペプチドを指す。グリセロールのジヒドロキシアセトンへの転換を触媒する酵素活性を担うポリペプチドは「ジヒドロキシアセトンレダクターゼ」とも言われる。グリセロールデヒドロゲナーゼはNADH(E.C.1.1.1.6)、NADPH(E.C.1.1.1.72)又は他の補因子(例えばE.C.1.1.99.22)に依存性であることができる。NADH−依存性グリセロールデヒドロゲナーゼは例えばgldA(GenBank U00006)によりコードされる(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるWO 9928480及びその中の引用文献を参照されたい)。
【0056】
「デヒドラターゼ酵素」又は「デヒドラターゼ」という用語は、産物3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドへのグリセロール分子の転換を触媒する酵素活性を指す。本発明の目的の場合、デヒドラターゼ酵素はグリセロールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.30)及びジオールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.28)を含み、それぞれグリセロール及び1,2−プロパンジオールの好ましい基質を有する。デヒドラターゼ酵素のための遺伝子はクレブシエラ・ニューモニアエ、シトロバクテル・フレウンジイ、クロスツリジウム・パステウリアヌム、サルモネラ・チフィムリウム及びクレブシエラ・オキシトカにおいて同定されている。それぞれの場合にデヒドラターゼは3つのサブユニット:大もしくは「α」サブユニット、中もしくは「β」サブユニット及び小もしくは「γ」サブユニットから構成されている。文献中で用いられる遺伝子命名法が多様なので、同定を容易にするために比較チャートを表1に示す。遺伝子は例えばDaniel et al.(FEMS Microbiol.Rev.22,553(1999))及びToraya and Mori(J.Biol.Chem.274,3372(1999))にも記載されている。表1を参照すると、グリセロールデヒドラターゼの大もしくは「α」サブユニットをコードする遺伝子はdhaB1、gldA及びdhaBを含み;中もしくは「β」サブユニットをコードする遺伝子はdhaB2、gldB及びdhaCを含み;小もしくは「γ」サブユニットをコードする遺伝子はdhaB3、gldC及びdhaEを含む。やはり表1を参照すると、ジオールデヒドラターゼの大もしくは「α」サブユニットをコードする遺伝子はpduC及びpddAを含み;中もしくは「β」サブユニットをコードする遺伝子はpduD及びpddBを含み;小もしくは「γ」サブユニットをコードする遺伝子はpduE及びpddCを含む。
【0057】
【表1】
【0058】
グリセロール及びジオールデヒドラターゼはグリセロール及びいくつかの他の基質による機構に基づく自殺不活性化を受け易い(Daniel et al.,FEMS Microbiol.Rev.22,553(1999))。「デヒドラターゼ再活性化因子」という用語は、デヒドラターゼ活性の再活性化を担うタンパク質を指す。「デヒドラターゼ再活性化活性」、「デヒドラターゼ活性の再活性化」又は「デヒドラターゼ活性の再生」という用語は、基質への触媒作用のできないデヒドラターゼを基質への触媒作用のできるものに転換する現象あるいはデヒドラターゼの不活性化を阻害する現象あるいは生体内におけるデヒドラターゼ酵素の有効半減期を延長する現象を指す。2つのタンパク質がデヒドラターゼ再活性化因子として含まれるものとして同定されている(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるWO 9821341(US 6013494)及びその中の引用文献;Daniel et al.,同上;Toraya and Mori,J.Biol.Chem.274,3372(1999);及びTobimatsu et al.,J.Bacteriol.181,4110(1999)を参照されたい)。表1を参照すると、タンパク質の1つをコードする遺伝子はorfZ、dhaB4、gdrA、pduG及びddrAを含む。やはり表1を参照すると、2つのタンパク質の第2のものをコードする遺伝子はorfX、orf2b、gdrB、pduH及びddrBを含む。
【0059】
「1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ」、「1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ」又は「DhaT」という用語は、3−HPAと1,3−プロパンジオールの相互転換を触媒することができる酵素活性を担う単数もしくは複数のポリペプチドを指し、但し、そのような活性をコードする単数もしくは複数の遺伝子はその自然の(すなわち野生型の)背景(setting)においてデヒドラターゼ酵素に物理的又は転写的に結合していることが見いだされており;例えば該遺伝子はクレブシエラ・ニューモニアエからのdhaTの場合にそうであるようにdhaレギュロン内で見いだされる。表1を参照すると、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードする遺伝子はクレブシエラ・ニューモニアエ、シトロバクテル・フレウンジイ及びクロスツリジウム・パステウリアヌムからのdhaTを含む。これらの遺伝子のそれぞれはIII型アルコールデヒドロゲナーゼの群に属するポリペプチドをコードし、保存された鉄−結合モチーフを示し、3−HPAと1,3−プロパンジオールのNAD+/NADH結合相互転換に関する優先性を有する(Johnson and Lin,J.Bacteriol.169,2050(1987);Daniel et al.,J.Bacteriol.177,2151(1995);及びLeurs et al.,FEMS Microbiol.Lett.154,337(1997))。類似の物理的性質を有する酵素がラクトバシルス・ブレビス及びラクトバシルス・ブクネリから単離されている(Veiga da Dunha and Foster,Appl.Environ.Microbiol.58,2005(1992))。
【0060】
「dhaレギュロン」という用語は、デヒドラターゼ活性、再活性化活性及び1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼを含むがこれらに限られない種々の生物学的活性をコードする1組の関連遺伝子又は読取り枠を指す。典型的には、dhaレギュロンは本明細書に記載する読取り枠dhaR、orfY、dhaT、orfX、orfW、dhaB1、dhaB2、dhaB3及びorfZを含む。
【0061】
「非−特異的触媒活性」という用語は、3−HPAと1,3−プロパンジオールの相互転換を触媒するのに十分な酵素活性を担う単数もしくは複数のポリペプチドを指し、特に単数もしくは複数の1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼを含む。典型的には、これらの酵素はアルコールデヒドロゲナーゼである。そのような酵素はNAD+/NADH以外の補因子を利用することができ、それらにはFAD又はFMNのようなフラビンが含まれるがこれらに限られない。単数もしくは複数の非−特異的アルコールデヒドロゲナーゼのための単数もしくは複数の遺伝子は、例えば微生物E.コリKLP23内で内因的にコードされ、且つ機能的に発現されることが見いだされる。
【0062】
「機能」又は「酵素機能」という用語は、特定の化学反応を行うために必要なエネルギーの改変における酵素の触媒活性を指す。そのような活性を、適した条件下で産物又は基質のいずれかの生産が行われ得る平衡における反応に適用し得ることが理解される。
【0063】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は互換的に用いられる。
【0064】
「炭素基質」及び「炭素源」という用語は、本発明の宿主微生物により代謝され得る炭素源、そして特に単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質又はそれらの混合物より成る群から選ばれる炭素源を指す。
【0065】
「宿主細胞」又は「宿主微生物」という用語は、異種遺伝子(foreign or heterologous genes)を受容し、且つこれらの遺伝子を発現して活性な遺伝子産物を生産できる微生物を指す。
【0066】
「異種遺伝子(foreign gene)」、「異種DNA(foreign DNA)」、「異種遺伝子(heterologous gene)及び「異種DNA(heterologous DNA)」という用語は、種々の手段により宿主微生物内に置かれた、1つの生物にとって自然である(native)遺伝物質を指す。問題の遺伝子は自然に存在する遺伝子、突然変異遺伝子又は合成遺伝子であることができる。
【0067】
「形質転換」及び「トランスフェクション」という用語は、核酸の導入の後の細胞における新しい遺伝子の獲得を指す。獲得した遺伝子を染色体DNA中に組込むか、又は染色体外複製配列として導入することができる。「形質転換細胞」という用語は、形質転換の産物を指す。
【0068】
「遺伝的に改変された」という用語は、形質転換又は突然変異により遺伝物質を変更するプロセスを指す。
【0069】
「組換え微生物」及び「形質転換された宿主」という用語は、異種遺伝子又は同種遺伝子(homologous genes)の余分のコピーを用いて形質転換された微生物を指す。本発明の組換え微生物は、適した炭素基質からの1,3−プロパンジオールの生産のためにグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD1)、グリセロール−3−ホスファターゼ(GPP2)、グリセロールデヒドラターゼ(dhaB1、dhaB2及びdhaB3)、デヒドラターゼ再活性化因子(orfZ及びorfX)ならびに場合により1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)をコードする異種遺伝子を発現する。好ましい態様は、これらの遺伝子を用いて形質転換されているが機能性dhaTを欠いているE.コリである。開示する遺伝子ならびに特に単数もしくは複数の1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)を除く3−HPA及び1,3−プロパンジオールの相互転換のための非−特異的触媒活性のための遺伝子を含有するように、E.コリ以外の宿主微生物を形質転換することもできる。
【0070】
「遺伝子」は、特定のタンパク質を発現する核酸フラグメントを指し、コード領域に先行する(5’非−コード)及び続く(3’非−コード)調節配列を含む。「自然の」及び「野生−型」という用語は、それ自身の調節配列を有して自然に存在する遺伝子を指す。
【0071】
「コード(encoding)」及び「コード(coding)」という用語は、遺伝子が転写及び翻訳の機構を介してアミノ酸配列を生産するプロセスを指す。特定のアミノ酸配列をコードするプロセスは、コードされるアミノ酸における変化を引き起こさない塩基の変化を含み得るDNA配列、あるいは1つもしくはそれより多くのアミノ酸を改変させ得るが、DNA配列によりコードされるタンパク質の機能性に影響しない塩基の変化を含むDNA配列を含むと理解される。従って本発明は特定の代表的配列以上のものを包含すると理解される。
【0072】
「単離された」という用語は、自然にはそれに伴っている少なくとも1つの成分から取り出されるタンパク質又はDNA配列を指す。
【0073】
「単離された核酸分子」は、1本鎖もしくは2本鎖であり、場合により合成の、非−天然の、もしくは改変されたヌクレオチド塩基を含有することができるRNAもしくはDNAのポリマーである。DNAのポリマーの形態における単離された核酸分子はcDNA、ゲノムDNA又は合成DNAの1つもしくはそれより多いセグメントを含み得る。
【0074】
「実質的に類似の」は、1つもしくはそれより多くのヌクレオチド塩基における変化が1つもしくはそれより多いアミノ酸の置換を生ずるが、DNA配列によりコードされるタンパク質の機能性に影響しない核酸分子を指す。「実質的に類似の」は、1つもしくはそれより多くのヌクレオチド塩基における変化がアンチセンス又は共−抑制法(co−suppression technology)により、遺伝子発現の改変を媒介する核酸分子の能力に影響しない核酸分子も指す。「実質的に類似の」は、アンチセンスもしくは共−抑圧法による遺伝子発現の改変あるいは得られるタンパク質分子の機能性の改変を媒介する能力に関連して(vis−a−vis)、得られる転写産物の機能性に実質的に影響しない、本発明の核酸分子の修正(例えば1つもしくはそれより多いヌクレオチド塩基の欠失又は挿入)も指す。本発明は特定の代表的配列以上の物を包含する。
【0075】
例えば与えられる部位において化学的に同等のアミノ酸の生産を生ずるが、コードされるタンパク質の機能性に影響しない遺伝子における改変が普通であることは当該技術分野において周知である。本発明の目的のために、置換を以下の5つの群の1つ内における交換として定義する:
1.小さい脂肪族の、非極性もしくはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr(Pro,Gly);
2.極性の、負に帯電した残基及びそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性の、正に帯電した残基:His、Arg、Lys;
4.大きい脂肪族の、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys);及び
5.大きい芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
【0076】
かくして疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンのためのコドンは別のもっと疎水性の低い残基(例えばグリシン)あるいはもっと疎水性の高い残基(例えばバリン、ロイシンもしくはイソロイシン)をコードするコドンにより置換され得る。同様に、1つの負に帯電した残基の別のもののために代わる置換(例えばグルタミン酸のために代わるアスパラギン酸)あるいは1つの正に帯電した残基の別のものために代わる置換(例えばアルギニンのために代わるリシン)を生ずる変化も機能的に同等の産物を生産すると予測され得る。
【0077】
多くの場合、タンパク質分子のN−末端及びC−末端部分の改変を生ずるヌクレオチド変化もタンパク質の活性を改変するとは予測されない。
【0078】
提案される修正のそれぞれは十分に当該技術分野における日常的熟練の範囲内であり、コードされる産物の生物学的活性の保持の決定もそうである。さらに熟練者には、本発明により包含される実質的に類似の配列が、緊縮条件(0.1XSSC、0.1%SDS、65℃ならびに2XSSC、0.1%SDS及び続いて0.1XSSC、0.1%SDSを用いる洗浄)下で本明細書に例示する配列とハイブリダイジェーションするそれらの能力によっても定義されることがわかる。本発明の好ましい実質的に類似の核酸フラグメントは、そのDNA配列が本明細書に報告する核酸フラグメントのDNA配列と少なくとも80%同じである核酸フラグメントである。より好ましい核酸フラグメントは、本明細書に報告する核酸フラグメントのDNA配列と少なくとも90%同じである。最も好ましいのは、本明細書に報告する核酸フラグメントのDNA配列と少なくとも95%同じ核酸フラグメントである。
【0079】
核酸フラグメントは、1本鎖形態の核酸フラグメントを適した温度及び溶液イオン強度の条件下で他の核酸フラグメントにアニーリングできる場合、cDNA、ゲノムDNA又はRNAのような別の核酸フラグメントに「ハイブリダイジェーション可能」である。ハイブリダイジェーション及び洗浄条件は周知であり、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor(1989)、特にその中のChapter 11及びTable 11.1(引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる)に例示されている。温度及びイオン強度の条件はハイブリダイジェーションの「緊縮性」を決定する。相同核酸に関する予備的スクリーニングのために、55oのTmに対応する、例えば5XSSC、0.1%SDS、0.25%ミルク且つホルムアミドなし;あるいは30%ホルムアミド、5XSSC、0.5%SDSの低緊縮性性ハイブリダイジェーション条件を用いることができる。中緊縮性ハイブリダイジェーション条件はもっと高いTm、例えば40%ホルムアミド及び5Xもしくは6XSSCに対応する。ハイブリダイジェーションは、2つの核酸が相補配列を含有することを必要とするが、ハイブリダイジェーションの緊縮性に依存して、塩基間のミスマッチが可能である。ハイブリダイジェーションする核酸のための適した緊縮性は、当該技術分野において周知の変数である核酸の長さ及び相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列の間の類似性又は相同性の程度が高い程、これらの配列を有する核酸のハイブリッドのためのTmの値が大きい。核酸ハイブリダイジェーションの相対的安定性(より高いTmに対応する)は以下の順序で低下する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチドより長いハイブリッドのために、Tmを計算するための式が誘導されている(Sambrook et al.,同上,9.50−9.51を参照されたい)。比較的短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイジェーションの場合、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook et al.,同上,9.50−9.51を参照されたい)。1つの態様において、ハイブリダイジェーション可能な核酸のための長さは少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイジェーション可能な核酸のための好ましい最低の長さは少なくとも約15ヌクレオチド;より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチドであり;そして最も好ましくは該長さは少なくとも30ヌクレオチドである。さらに熟練者には、温度及び洗浄溶液塩濃度をプローブの長さのような因子に従って必要通りに調整できることがわかるであろう。
【0080】
「実質的部分」は、当該技術分野における熟練者による配列の手動の評価又はコンピューター−自動化配列比較及びBLAST(Basic Local Alignment Search Tool;Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1993);www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/も参照されたい)のようなアルゴリズムを用いる同定により、ポリペプチド又は遺伝子の推定的同定を与えるのに十分なポリペプチドのアミノ酸配列又は遺伝子のヌクレオチド配列を含むアミノ酸又はヌクレオチド配列を指す。一般に、ポリペプチド又は核酸配列を既知のタンパク質又は遺伝子に相同であると推定的に同定するためには、10もしくはそれより多い連続アミノ酸又は30もしくはそれより多いヌクレオチドの配列が必要である。さらにヌクレオチド配列に関し、20〜30の連続ヌクレオチドを含む遺伝子−特異的オリゴヌクレオチドプローブを、遺伝子同定の配列−依存的方法(例えばサザンハイブリダイジェーション)及び単離(例えばバクテリアコロニー又はバクテリオファージプラークのその場ハイブリダイジェーション)において用いることができる。さらに、12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドをPCRにおける増幅プライマーとして用い、プライマーを含む特定の核酸分子を得ることができる。従って、ヌクレオチド配列の「実質的部分」は、配列を含む核酸分子の特異的同定及び/又は単離を与えるのに十分な配列を含む。本明細書は、1つもしくはそれより多い特定のタンパク質をコードする部分的もしくは完全なアミノ酸及びヌクレオチド配列を記載する。本明細書に報告する配列の恩恵を受ける熟練者は今や、当該技術分野における熟練者に既知の目的のために、開示される配列のすべて又は実質的部分を用いることができる。従って本発明は付随する配列表において報告する完全な配列ならびに上記で限定した配列の実質的部分を含む。
【0081】
「相補的」という用語は、互いにハイブリダイジェーションすることができるヌクレオチド塩基間の関係を記述する。例えばDNAに関し、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。従って本発明は、付随する配列表において報告する完全な配列ならびに実質的に類似の核酸配列に相補的である単離された核酸分子も含む。
【0082】
当該技術分野において既知の「パーセント同一性」という用語は、配列の比較により決定される2つもしくはそれより多くのポリペプチド配列又は2つもしくはそれより多くのポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野において「同一性」も、場合次第でポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列の列(strings)の間の対合により決定されるポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は既知の方法により容易に計算することができ、該方法には:Computational Molecular Biology;Lesk,A.M.,Ed.;Oxford University Press:New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects;Smith,D.W.,Ed.;Academic Press:New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I;Griffin,A.M.and Griffin,H.G.,Eds;Humana Press:New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology;von Heinje,G.,Ed.;Academic Press:New York,1987;及びSequence Analysis Primer;Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.;Stockton Press:New York,1991に記載されている方法が含まれるがこれらに限られない。同一性の決定の好ましい方法は、調べられている配列の間の最大の対合を与えるように設計される。
【0083】
同一性及び類似性を決定する方法は公共的に入手可能なコンピュータープログラムにおいて系統化されている。2つの配列の間の同一性及び類似性を決定する好ましいコンピュータープログラム法には、ギャップクリエーションペナルティー(gap creation penalty)=12及びギャップエクステンションペナルティー(gap extension penalty)=4のそれらの標準的デフォールト値を有するNeedleman and Wunschアルゴリズムを用いるGCGプログラムパッケージ中に存在するGCG Pileupプログラム(Devereux et al.,Nucleic Acids Res.12:387−395(1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Pearson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444−2448(1988)が含まれるがこれらに限られない。BLASTXプログラムはNCBI及び他の供給源から公共的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul et al.,Natl.Cent.Biotechnol.Inf.,Natl.Library Med.(NCBI NLM)NIH,Bethesda,Md.20894;Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990);Altschul et al.,“Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997))。パーセント同一性の決定のための他の好ましい方法は、Jotun−Heinアルゴリズムを用いるDNASTARタンパク質整列案の方法による(Hein et al.,Methods Enzymol.183:626−645(1990))。整列に関するJotun−Hein法のためのデフォールトパラメーターは:複数の整列の場合、ギャップペナルティー(gap penalty)=11、ギャップレングスペナルティー(gap length penalty)=3;対毎の整列の場合、ktuple=6である。例えば、参照ヌクレオチド配列への少なくとも例えば95%の「同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにより、ポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチド当たりに最高で5つの点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列に同一であることを意味する。言い換えると、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のヌクレオチドの最高で5%を欠失させるか、又は他のヌクレオチドで置換することができるか、あるいは参照配列中の合計ヌクレオチドの最高で5%の数のヌクレオチドを参照配列中に挿入することができる。参照配列のこれらの突然変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置、あるいはそれらの末端位置の間のどこかに、参照配列内で参照配列中のヌクレオチドの間に個別に、あるいは1つもしくはそれより多い連続した群として散らばって存在することができる。類似して、参照アミノ酸配列に少なくとも例えば95%の同一性を有するアミノ酸配列を持つポリペプチドにより、ポリペプチド配列が参照アミノ酸の各100アミノ酸当たりに最高で5つのアミノ酸改変を含み得ることを除いて、ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列に同一であることを意味する。言い換えると、参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、参照配列中のアミノ酸残基の最高で5%を欠失させるか、又は他のアミノ酸で置換することができるか、あるいは参照配列中の合計アミノ酸残基の最高で5%の数のアミノ酸を参照配列中に挿入することができる。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノもしくはカルボキシ末端位置あるいはそれらの末端位置の間のどこかに、参照配列内で参照配列中の残基の間に個別に、又は1つもしくはそれより多い連続した群として散らばって存在することができる。
【0084】
「同種(homologous)」という用語は、与えられる宿主細胞において本来の、又は自然に存在するタンパク質又はポリペプチドを指す。本発明は組換えDNA法を介して同種タンパク質を生産する微生物を含む。
【0085】
「パーセント相同性」という用語は、ポリペプチド間のアミノ酸配列同一性の程度を指す。第1のアミノ酸配列が第2のアミノ酸配列に同一である場合、第1及び第2のアミノ酸配列は100%の相同性を示す。2つのポリペプチド間の相同性は、両配列中の与えられる位置において対合するアミノ酸の合計数の一次関数であり、例えば2つの配列の両方におけるアミノ酸の合計数の半分が同じ場合、2つの配列は50%の相同性を示すと言われる。
【0086】
「コドン縮重」は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響のないヌクレオチド配列の変動を許す遺伝コードにおける分岐進化(divergence)を指す。従って本発明は、配列番号:57に示すアミノ酸配列のすべてもしくは実質的部分をコードするいずれの核酸分子にも関する。熟練者は、与えられるアミノ酸を特定するためのヌクレオチドコドンの使用において特定の宿主細胞により示される「コドン−バイアス」を十分に承知している。従って宿主細胞における発現を向上させるために遺伝子を合成する場合、遺伝子のコドン使用の頻度が宿主細胞の好ましいコドン使用の頻度に近づくように遺伝子を設計するのが望ましい。
【0087】
得られるタンパク質分子の機能性に実質的に影響しないサイレント変化(silent changes)を生ずる配列における欠失、挿入又は置換のような配列への修正も意図されている。例えば遺伝コードの縮重を反映するか、又は与えられる部位において化学的に同等のアミノ酸の生産を生ずる遺伝子配列における改変が意図されている。かくして疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンのためのコドンを、他の疎水性がより低い残基、例えばグリシン又はより疎水性の残基、例えばバリン、ロイシンもしくはイソロイシンをコードするコドンによって置換することができる。同様に、1つの負に帯電した残基の別のもののために代わる置換、例えばグルタミン酸のために代わるアスパラギン酸の置換、あるいは1つの正に帯電した残基の別のもののために代わる置換、例えばアルギニンのために代わるリシンの置換を生ずる変化も生物学的に同等の産物を生産すると予測される。タンパク質分子のN−末端もしくはC−末端部分の改変を生ずるヌクレオチド変化もタンパク質の活性を改変するとは予測されない。いくつかの場合には、タンパク質の生物学的活性への改変の影響を研究するために、配列の突然変異体を作るのが実際に望ましいかも知れない。提案される修正のそれぞれは、十分に当該技術分野における日常的熟練の範囲内であり、コードされる産物における生物学的活性の保持の決定もそうである。さらに熟練者には、本発明により包含される配列が緊縮条件(0.1XSSC、0.1%SDS、65℃)下で本明細書に例示される配列とハイブリダイジェーションするそれらの能力によっても定義されることがわかる。
【0088】
「発現」という用語は、遺伝子産物の配列をコードする遺伝子からの遺伝子産物への転写及び翻訳を指す。
【0089】
「プラスミド」、「ベクター」及び「カセット」という用語は、多くの場合に細胞の中心代謝の一部ではなく、通常は環状2本鎖DNA分子の形態にある遺伝子を保有している染色体外要素を指す。そのような要素は、いずれかの源から誘導される1本−もしくは2本鎖DNAもしくはRNAの線状もしくは環状の自律複製配列、ゲノム組込み配列、ファージ又はヌクレオチド配列であることができ、そこにおいては複数のヌクレオチド配列が適した3’非翻訳配列と共に選ばれた遺伝子産物のためのプロモーターフラグメント及びDNA配列を細胞中に導入することができる独特の構造に結合もしくは組み合わされている。「形質転換カセット」は、異種遺伝子を含有し且つ異種遺伝子の他に特定の宿主細胞の形質転換を助長する要素を有している特異的(specific)ベクターを指す。「発現カセット」は、異種遺伝子を含有し且つ異種遺伝子の他に異種宿主におけるその遺伝子の発現の増強を可能にする要素を有している特異的ベクターを指す。
組換え生物の構築
炭素基質の1,3−プロパンジオールへの転換のための酵素的経路をコードするであろう必要な遺伝子を含有する組換え生物を、当該技術分野において周知の方法を用いて構築することができる。グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD1)、グリセロール−3−ホスファターゼ(GPP2)、グリセロールデヒドラターゼ(dhaB1、dhaB2及びdhaB3)、デヒドラターゼ再活性化因子(orfZ及びorfX)ならびに1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)をコードする遺伝子をクレブシエラ又はサッカロミセスのような本来の宿主から単離し、E.コリDH5α、ECL707、AA200又はKLP23のような宿主株の形質転換に用いた。
遺伝子の単離
バクテリアゲノムから所望の遺伝子を得る方法は、分子生物学の分野において普通であり且つ周知である。例えば遺伝子の配列が既知の場合、制限エンドヌクレアーゼ消化により適したゲノムライブラリを作り、所望の遺伝子配列に相補的なプローブを用いてスクリーニングすることができる。配列が単離されたら、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(U.S.4,683,202)のような標準的プライマー指向増幅法(primer directed amplification methods)を用いてDNAを増幅し、適したベクターを用いる形質転換に適した量のDNAを得ることができる。
【0090】
あるいは又、ゲノムDNAの大きなセグメント(35〜45kb)がベクター中に詰込まれていることができるコスミドライブラリを作り、適した宿主の形質転換に用いることができる。コスミドベクターは大量のDNAを収容できる点で独特である。一般にコスミドベクターは、異種DNAの詰込み及び続く環状化に必要なcosDNA配列の少なくとも1つのコピーを有する。これらのベクターはcos配列の他に、ColElのような複製起点及びアンピシリン又はネオマイシンに対して耐性の遺伝子のような薬剤耐性マーカーも含有しているであろう。適したバクテリア宿主の形質転換のためのコスミドベクターの使用法は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるSambrook,J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Pressに十分に記載されている。
【0091】
典型的には、コスミドをクローニングするために、適した制限エンドヌクレアーゼを用いて異種DNAを単離し、コスミドベクターのcos領域に隣接して連結する。線状化された異種DNAを含有するコスミドベクターを次いでバクテリオファージのようなDNA詰込み伝達体と反応させる。詰込みプロセスの間にcos部位は切断され、異種DNAが細菌ウィルス粒子の頭部内に詰込まれる。次いでこれらの粒子を用いてE.コリのような適した宿主細胞をトランスフェクションする。細胞中に注入されると、異種DNAはcos付着末端の影響下で環状化する。この方法で異種DNAの大きなセグメントを導入し、組換え宿主細胞において発現させることができる。
グリセロールデヒドラターゼ(dhaB1、dhaB2及びdhaB3)、デヒドラターゼ再活性化因子(orfZ及びorfX)ならびに1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ(dhaT)をコードする遺伝子の単離及びクローニング
本発明の範囲内でコスミドベクター及びコスミド形質転換法を用い、グリセロールを1,3−プロパンジオールに処理(processing)することができる遺伝子を保有していることが既知のバクテリア属から、ゲノムDNAの大きなセグメントをクローニングした。特定的には、K.ニューモニアエからのゲノムDNAを当該技術分野において周知の方法により単離し、コスミドベクターSupercos 1中への挿入のために制限酵素Sau3Aを用いて消化し、GigapackII詰込み抽出物を用いて詰込んだ。ベクターの構築に続き、コスミドDNAを用いてE.コリXL1−Blue MR細胞を形質転換した。グリセロールの存在下で細胞を成長させ、1,3−プロパンジオール生成に関して培地を分析することにより、グリセロールを1,3−プロパンジオールに転換する能力に関して形質転換細胞をスクリーニングした。
【0092】
1,3−プロパンジオール陽性形質転換細胞の2つを分析し、コスミドをpKP1及びpKP2と命名した。DNA配列決定は、C.フレウンジイからのグリセロールデヒドラターゼ遺伝子への広範囲の相同性を明らかにし、これらの形質転換細胞がグリセロールデヒドラターゼ遺伝子をコードするDNAを含有することを示した。他の1,3−プロパンジオール陽性形質転換細胞を分析し、コスミドをpKP4及びpKP5と命名した。DNA配列決定は、これらのコスミドがジオールデヒドラターゼ遺伝子をコードするDNAを保有していることを明らかにした。
【0093】
本発明はクレブシエラコスミド内からの単離された遺伝子を使用しているが、デヒドラターゼ遺伝子及びデヒドラターゼ再活性化因子遺伝子の代替え的供給源には、これらに限られるわけではないがシトロバクテル、クロスツリジア及びサルモネラが含まれる(表1を参照されたい)。
G3PDH及びG3Pホスファターゼをコードする遺伝子
本発明は宿主細胞におけるG3PDH及びG3Pホスファターゼ活性の発現に適した遺伝子を提供する。
【0094】
G3PDHをコードする遺伝子は既知である。例えばGPD1はサッカロミセスから単離され、配列番号:53に示す塩基配列を有しており、配列番号:54に示すアミノ酸配列をコードする(Wang et al.,同上)。同様に、GPD2によりコードされるG3PDH活性もサッカロミセスから単離されている(Eriksson et al.,Mol.Microbiol.17,95(1995))。
【0095】
本発明の目的のために、NADH−依存性G3PDH活性を担うポリペプチドをコードするいずれの遺伝子も適していることが意図されており、ここでその活性はジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)のグリセロール−3−リン酸(G3P)への転換を触媒することができる。さらに、遺伝子DAR1、GPD1、GPD2、GPD3及びgpsAに対応する、NADH−依存性G3PDH’sのアミノ酸配列をコードするいずれの遺伝子も本発明において機能性であろうことが意図されており、ここでそのアミノ酸配列は酵素の機能を改変しないアミノ酸置換、欠失もしくは付加を包含していることができる。熟練者には、他の供給源から単離されるG3PDHをコードする遺伝子も本発明で用いるのに適しているであろうことがわかるであろう。G3Pホスファターゼをコードする遺伝子は既知である。例えばGPP2はサッカロミセス・セレビシアエから単離され、配列番号:55により示される塩基配列を有しており、それは配列番号:56に示されるアミノ酸配列をコードする(Norbeck et al.,J.Biol.Chem.271,13875(1996))。
【0096】
本発明の目的のために、G3Pホスファターゼ活性をコードするいずれの遺伝子も方法において用いるのに適しており、ここでその活性はグリセロール−3−リン酸とH2Oのグリセロールと無機リン酸塩への転換を触媒することができる。さらに、G3Pホスファターゼ酵素の機能を改変しないアミノ酸置換、欠失もしくは付加を包含するアミノ酸配列を含んで、遺伝子GPP2及びGPP1に対応するG3Pホスファターゼのアミノ酸配列をコードするいずれの遺伝子も本発明において機能性であろう。熟練者には、他の供給源から単離されるG3Pホスファターゼをコードする遺伝子も本発明で用いるのに適していることがわかるであろう。
宿主細胞
1,3−プロパンジオールの組換え体生産のために適した宿主細胞は原核性又は真核性であることができ、1,3−プロパンジオール経路のための活性な酵素を発現する宿主細胞の能力によってのみ制限されるであろう。適した宿主細胞はバクテリア、例えばシトロバクテル、エンテロバクテル、クロスツリジウム、クレブシエラ、アエロバクテル、ラクトバシルス、アスペルギルス、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、チゴサッカロミセス、ピチア、クルイベロミセス、カンジダ、ハンセヌラ、デバリオミセス、ムコル、トルロプシス、メチロバクテル、エシェリキア、サルモネラ、バシルス、ストレプトミセス及びシュードモナスであろう。本発明において好ましいのはE.コリ、E.ブラッタエ(E.blattae)、クレブシエラ、シトロバクテル及びアエロバクテルである。
【0097】
以下の一般的案を用いることにより、微生物を高力価1,3−プロパンジオール生産者に転換することができる。
【0098】
1.1〜2Mの1,3−プロパンジオールの存在下で毒性量もしくは阻害量の3−HPAの定常状態濃度を可能にする内因性dhaT−様活性の、宿主となる可能性のある生物中における存在を決定する。
【0099】
2.宿主となる可能性のある生物中にそのような活性が存在したら、この活性を欠失させるか、もしくは不活性化するために適した突然変異誘発を行う。非−機能性もしくは欠失したdhaT−様活性の確証は、1〜2Mの1,3−プロパンジオールの存在下における3−HPA堆積がないことにより検出され得る。
【0100】
3.a)グリセロールが炭素源でない場合、グリセロール生産、b)グリセロールデヒドラターゼ及び付随する保持システムのための適した遺伝子ならびにc)yqhDを発現させる。
【0101】
ある微生物に関して払われる必要がある考慮は、1,3−プロパンジオール生産のための条件下における内因性dhaT−様酵素の発現もしくは抑制に関してである。これらにはグリセロール、グルコース又は嫌気性(anaerobisis)の存在も含まれる。
ベクター及び発現カセット
本発明は、G3PDH、G3Pホスファターゼ、デヒドラターゼ及びデヒドラターゼ再活性化因子の適した宿主細胞中へのクローニング、形質転換及び発現に適した多様なベクターならびに形質転換及び発現カセットを提供する。適したベクターは用いられる微生物と適合性のものであろう。例えばバクテリア、ウィルス(例えばバクテリオファージT7又はM−13由来ファージ)、コスミド、酵母又は植物から適したベクターを誘導することができる。そのようなベクターを得、用いるための案は当該技術分野における者に既知である(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual−volumes 1,2,3(Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY,1989))。
【0102】
典型的には、ベクター又はカセットは適した遺伝子の転写及び翻訳を支配する配列、選択マーカー及び自律複製又は染色体組込みを可能にする配列を含有する。適したベクターは転写開始調節を宿している遺伝子の領域5’及び転写の終結を調節するDNAフラグメントの領域3’を含む。両調節領域が、形質転換される宿主細胞に同種である遺伝子に由来する場合に最も好ましい。そのような調節領域は生産宿主として得られる特定の種に本来の(native)遺伝子に由来する必要はない。
【0103】
所望の宿主細胞中におけるG3PDH及びG3Pホスファターゼ遺伝子(それぞれDAR1及びGPP2)の発現を推進するのに有用な開始調節領域又はプロモーターは多数であり、当該技術分野における熟練者に良く知られている。これらの遺伝子を推進できる実質的にいずれのプロモーターも本発明に適しており、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO及びTPI(サッカロミセス中における発現に有用);AOX1(ピチア中における発現に有用);ならびにlac、trp、λPL、λPR、T7、tac及びtrc(E.コリ中における発現に有用)が含まれるがこれらに限られない。
【0104】
終結調節領域も好ましい宿主に本来の種々の遺伝子に由来し得る。場合により終結部位は不必要であり得る;しかしながら含まれるとしたらそれが最も好ましい。
【0105】
本酵素の有効な発現のために、発現が適したメッセンジャーRNAの形成を生ずるように、酵素をコードするDNAを開始コドンを介して選ばれた発現調節領域に操作可能に結合させる。
【0106】
本発明において特に有用なのはベクターpDT29及びpKP32であり、それらはpAH48と一緒に用いられるように設計されている。pDT29及びpKP32の本質的要素はクレブシエラ・ニューモニアエから単離されたdhaレギュロンに由来する。pDT29は、その配列が配列番号:1内に含有されているヌクレオチドである読取り枠dhaR、orfY、dhaT、orfX、orfW、dhaB1、dhaB2及びdhaB3を含有する。pKP32は同じ供給源からの、pDT29上に存在すると同じ読取り枠の組を含有し、pKP32にはdhaTが欠けていることが異なる。pAH48は宿主細胞中にDAR1及びGPP2遺伝子を導入するために用いられる伝達体であり、さらに特定的にはサッカロミセス・セレビシアエから単離されるDAR1及びGPP2遺伝子を含む。
1,3−プロパンジオールの生産のための適した宿主の形質転換及び遺伝子の発現
適したカセットが構築されると、それらは適した宿主細胞の形質転換に用いられる。G3PDH、G3Pホスファターゼ、デヒドラターゼ及びデヒドラターゼ再活性化因子をコードする遺伝子を含有するカセットの宿主細胞中への導入は既知の方法により、例えば形質転換(例えばカルシウム−透過細胞(calcium−permeabilized cell)、エレクトロポレーションを用いる)により、あるいは組換えファージウィルスを用いるトランスフェクションにより行うことができる(Sambrook et al.,同上)。
【0107】
本発明においては、一般的方法及び実施例に十分に記載する通り、カセットを用いてE.コリを形質転換した。
突然変異体
本方法が、例示する細胞の他に、1,3−プロパンジオールの生産を増強するように特別に設計された1つもしくは複数の突然変異を有する細胞を利用できるであろうことが意図されている。通常は炭素供給材料を非−生産的経路に転じるか、あるいは有意なカタボライト抑制を示す細胞を、これらの表現型の欠点(phenotypic deficiencies)を避けるように突然変異させることができた。例えば多くの野生型細胞は培地中のグルコース及び副産物からのカタボライト抑制を受け易く、グルコース抑制に対して耐性である1,3−プロパンジオール生産の可能なこれらの野生型生物の突然変異株が本発明において特に有用であろうことが意図されている。
【0108】
突然変異体を作る方法は当該技術分野において普通且つ周知である。例えば野生型細胞を放射線又は化学的突然変異原のような多様な作因に暴露し、次いで所望の表現型に関してスクリーニングすることができる。放射線を介して突然変異を作る場合、紫外(UV)又は電離線を用いることができる。遺伝子突然変異のために適した短波UV波長は200nm〜300nmの範囲内に含まれ、254nmが好ましいであろう。この波長内のUV線は主にグアニジン及びシトシンからアデニン及びチミジンまでの核酸配列内で変化を引き起こす。すべての細胞はほとんどのUV誘導突然変異を修復するDNA修復機構を有しているので、修復プロセスを中断させて有効な突然変異の数を最大にするためにカフェイン及び他の阻害剤のような試薬を加えることができる。300nm〜400nm領域内の光を用いる長波UV突然変異も可能であるが、一般にDNAと相互作用するプソラレン染料のような種々の活性化剤と一緒に用いないと短波UV光程有効でない。 化学的薬剤を用いる突然変異誘発も突然変異体の形成に有効であり、通常用いられる物質には非複製DNAに影響する化学品、例えばHNO2及びNH2OHならびに複製DNAに影響する薬剤、例えばフレームシフト突然変異を引き起こすことで注目され得るアクリジン染料が含まれる。放射線又は化学的薬剤を用いて突然変異体を作るための特定的方法は当該技術分野において十分に実証されている。例えば引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるThomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition(1989) Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,M.A.又はDeshpande,Mukund V.,Appl.Biochem.Biotechnol.36,227(1992)を参照されたい。
【0109】
突然変異誘発が起こった後、所望の表現型を有する突然変異体を種々の方法により選択することができる。所望の産物もしくは中間体を生産する能力に関して突然変異誘発された細胞を選択する場合、ランダムスクリーニングが最も普通である。あるいは又、突然変異誘発された集団を耐性のコロニーのみが成長できる選択培地上で成長させることにより、突然変異体の選択的単離を行うこともできる。突然変異体選択の方法は高度に開発され、且つ工業的微生物学の分野において周知である。例えばBrock,同上;DeMancilha et al.,Food Chem.14,313(1984)を参照されたい。
【0110】
望ましくない酵素活性の除去も酵素をコードする遺伝子の破壊により行うことができる。そのような方法は当該技術分野における熟練者に既知であり、実施例4及び実施例8で例示する。
1,3−プロパンジオール生産経路における改変
代表的酵素経路。グルコースからの1,3−プロパンジオールの生産は以下の系列の段階により行われ得る。この系列は当該技術分野における熟練者に既知の複数の経路の代表であり、図5に示されている。1系列の段階においてグルコースが解糖経路の酵素によりジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)と3−ホスホ−グリセルアルデヒド(3−PG)に転換される。次いでDHAPのジヒドロキシアセトン(DHA)への加水分解及び続く還元あるいはDHAPのグリセロール3−リン酸(G3P)への還元及び続く加水分解によりグリセロールが生成する。加水分解段階は、それらの基質に関して非−特異的であることが知られているいずれかの数の細胞ホスファターゼにより触媒され得るか、あるいは組換えにより活性を宿主中に導入することができる。還元段階はNAD+(又はNADP+)結合宿主酵素により触媒され得るか、あるいは組換えにより宿主中に活性を導入することができる。dhaレギュロンが式3の可逆的反応を触媒するグリセロールデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.6)を含有することは注目に値する。
【0111】
グリセロール→3−HPA+H2O (式1)
3−HPA+NADH+H+→1,3−プロパンジオール+NAD+ (式2)
グリセロール+NAD+→DHA+NADH+H+ (式3)
上記で詳細に記載した通り、グリセロールは中間体3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−HPA)を介して1,3−プロパンジオールに転換される。中間体3−HPAは宿主によりコードされ得るか、又は組換えにより宿主中に導入され得るデヒドラターゼ酵素によりグリセロールから生産される、式1。このデヒドラターゼはグリセロールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.30)、ジオールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.28)又はこの変換を触媒することができる他のいずれかの酵素であることができる。グリセロールデヒドラターゼはdhaレギュロンによりコードされるが、ジオールデヒドラターゼはコードされない。1,3−プロパンジオールはNAD+−(もしくはNADP+)結合宿主酵素により3−HPAから生産されるか、あるいは組換えにより活性を宿主中に導入することができる、式2。1,3−プロパンジオールの生産におけるこの最終的反応は1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.202)又は他のアルコールデヒドロゲナーゼにより触媒され得る。
炭素チャンネリングに影響する突然変異及び形質転換。1,3−プロパンジオール生産経路における変異を含む多様な突然変異微生物が本発明において有用であろう。例えばトリオースリン酸イソメラーゼ突然変異(tpi−)の本発明の微生物中への導入は、炭素チャンネリングにより性能を向上させるための突然変異の利用の例である。トリオースリン酸イソメラーゼはDAHPの3−ホスホグリセルアルデヒドへの転換を担う酵素であり、そのままではグルコースからグリセロール及び1,3−プロパンジオールへの主経路からの炭素の流れの分岐を許す(図5)。かくして欠失突然変異(tpi−)は当該技術分野において記載されている効率を越えて所望の経路の全体的代謝効率を増強する。同様に、1,3−プロパンジオール生産経路の中間体に関する別の経路を遮断する突然変異も本発明にとって有用であろう。例えばグリセロールキナーゼの除去はG3Pホスファターゼの作用によりG3Pから生成するグリセロールがATPを失ってG3Pに再−転換されるのを妨げる(図5)。又、グリセロールデヒドロゲナーゼ(例えばgldA)の除去は、NADH−依存性グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの作用によりDHAPから生成するグリセロールがジヒドロキシアセトンに転換されるのを妨げる(図5)。突然変異を構造遺伝子に向け、酵素活性の活性を損なうか、もしくは向上させることができるか、あるいはプロモーター領域及びリボソーム結合部位を含むを含む調節遺伝子に向け、酵素活性の発現レベルを調節することができる。
【0112】
かくして形質転換及び突然変異を組合わせ、1,3−プロパンジオール生産の増強のために特定の酵素活性を調節することが意図されている。かくして1,3−プロパンジオールの生産を向上させる全細胞触媒の修正を予定する(anticipate)ことは本発明の範囲内である。
【0113】
本発明は、炭素の流れがグルコースからDHAP、G3P、グリセロール、3−HPA及び最終的に1,3−プロパンジオールに動く、糖基質からの1,3−プロパンジオールの生産のための好ましい経路を利用する。本生産株は、炭素の非−生産的化合物への分岐を妨げる種々の欠失突然変異を導入することにより、経路の代謝効率を最大にするように操作されている。上記の通りグリセロールは、グリセロールデヒドロゲナーゼ又はグリセロールキナーゼを介するDHA又はG3Pへの変換により、3HPAへの転換から分岐させられ得る(図5)。従って、本生産株はgldA及びglpK遺伝子における欠失突然変異を含有する。同様に、DHAPはトリオースリン酸イソメラーゼによって3−PGに分岐させられ得、かくして本生産微生物はこの遺伝子における欠失突然変異も含有する。本方法にはさらにグリセロールの3HPAへの転換のためのデヒドラターゼ酵素も導入され、それはdhaレギュロンのorfX及びorfZによりコードされる再活性化因子と共同して機能する(図5)。3HPAの1,3−プロパンジオールへの転換は典型的には1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼを介して行われるが、本方法は最終的産物である1,3−プロパンジオールのより高い力価及び収率を与える非−特異的触媒活性を利用する(図5)。そのような方法では、200g/Lの力価が期待される場合に少なくとも10g/Lの1,3−プロパンジオールの力価が達成される。
【0114】
あるいは又、1,3−プロパンジオール生産のための改良法は基質としてグリセロール又はジヒドロキシアセトンを利用することができ、その場合経路は最後の3つの基質、グリセロール→3HPA→1,3−プロパンジオールのみを含む。そのような方法では、非−特異的触媒活性(アルコールデヒドロゲナーゼであることが予測される)が支持されてオキシドレダクターゼがやはり排除されるが、欠失突然変異の必要は、培養にグリセロールを加えることのエネルギーの考慮により取り消される。そのような方法では、200g/Lの力価が期待される場合に少なくとも71g/Lの1,3−プロパンジオールの力価が達成される。
【0115】
同様に、改良された1,3−プロパンジオール生産者を作るために、dhaT活性の欠失又は突然変異により修正されている野生型微生物の突然変異体を提供することは、本発明の範囲内である。例えば自然にはdhaレギュロンのすべての要素を含有する微生物を操作し、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性をコードするdhaT遺伝子を不活性化することができる。これらの微生物は、アルコールデヒドロゲナーゼであることが予測される内因性触媒活性の存在により媒介され、1,3−プロパンジオールのより高い収率及び力価を与えるであろうことが予測される。そのような微生物の例にはクレブシエラ種、シトロバクテル種及びクロスツリジウム種が含まれるがこれらに限られない。
培地及び炭素基質
本発明における発酵培地は適した炭素基質を含有しなければならない。適した基質には単糖類、例えばグルコース及びフルクトース、オリゴ糖類、例えばラクトース又はスクロース、多糖類、例えば澱粉又はセルロースあるいはそれらの混合物ならびに再生可能な供給材料、例えばチーズホエー透過物、コーンスティープリカー(cornsteep liquor)、てんさいの糖みつ及び大麦の麦芽からの非精製混合物が含まれ得るがこれらに限られない。さらに炭素基質は1−炭素基質、例えば二酸化炭素又はメタノールであることもでき、それに関しては重要生化学的中間体への代謝的転換が示されている。1炭素源(例えばメタノール、ホルムアルデヒド又はギ酸塩)からのグリセロール生産はメチロトローフイースト(methylotrophic yeasts)(K.Yamada et al.,Agric.Biol.Chem.53(2),541−543(1989))及びバクテリア(Hunter et al.,Biochemistry 24,4148−4155(1985))において報告されている。これらの微生物はメタンからギ酸塩までの酸化状態における範囲の1炭素化合物を同化し、グリセロールを生産することができる。炭素同化の経路はリブロース一リン酸を介するか、セリンを介するか、あるいはキシルロース−一リン酸を介するものであることができる(Gottschalk,Bacterial Metabolism,Second Edition,Springer−Verlag:New York(1986))。リブロース一リン酸経路は、6−炭素糖を生成するギ酸塩とリブロース−5−リン酸との縮合を含み、6−炭素糖はフルクトース及び結局は3−炭素産物であるグリセルアルデヒド−3−リン酸となる。同様に、セリン経路は1−炭素化合物をメチレンテトラヒドロフォレートを介して解糖経路中に同化する。
【0116】
1及び2炭素基質の他に、メチロトローフ微生物は複数の他の炭素−含有化合物、例えばメチルアミン、グルコサミン及び多様なアミノ酸を代謝活性のために使用することも知られている。例えばメチロトローフ酵母はメチルアミンからの炭素を使用してトレハロース又はグリセロールを生成させることが知られている(Bellion et al.,Microb.Growth C1 Compd.,[Int.Symp.],7th(1993),415−32.Editor(s):Murrell,J.Collin;Kelly,Don P.Publisher:Intercept,Andover,UK)。同様に、カンジダの種々の種はアラニン又はオレイン酸を代謝するであろう(Sulter et al.,Arch.Microbiol.153(5),485−489(1990))。従って、本発明で使用される炭素の源は多様な炭素−含有基質を含むことができ、微生物又はプロセスの選択のみによって制限されるであろうことが意図されている。
【0117】
上記で挙げた炭素基質及びそれらの混合物(共−供給材料)のすべてが本発明において適していることが意図されているが、好ましい炭素基質は、プロセスが内因性グリセロールを生産することを目的としている場合はグルコース、フルクトース、スクロース又はメタノールであり、プロセスがグリセロール又はジヒドロキシアセトン供給材料を予定している場合はグリセロール又はジヒドロキシアセトンである。
【0118】
発酵培地は、適した炭素源の他に適した無機物、塩、補因子、緩衝剤及び当該技術分野における熟練者に既知の、培養物の成長及び1,3−プロパンジオール生産のために必要な酵素経路の促進に適した他の成分を含有しなければならない。Co(II)塩及び/又はビタミンB12又はそれらの前駆体が特に注目される。
【0119】
アデノシル−コバラミン(補酵素B12)はデヒドラターゼ活性のために必須の補因子である。補酵素B12の合成は原核生物、例えばエシェリキア・ブラッタエ、クレブシエラ種、シトロバクテル種及びクロスツリジウム種において見いだされ、そのいくつかは初めから該化合物を合成することができ、他は部分的反応を行うことができる。例えばE.コリはコリン環構造を組み立てることができないが、コビンアミドのコリノイドへの転換を触媒することができ、5’−デオキシアデノシル基を導入することができる。かくしてE.コリ発酵においては補酵素B12前駆体、例えばビタミンB12を与えることが必要であることが当該技術分野において既知である。
【0120】
E.コリ発酵へのビタミンB12添加物は連続的に、一定の速度で、又は細胞塊の生成と符合するように段階的に(staged)加えることができるか、あるいは1つの、もしくは複数のボーラス添加物として加えることができる。細胞塊(OD550)に供給されるビタミンB12(mg)の好ましい比率は0.06〜0.60である。細胞塊(OD550)に供給されるビタミンB12(mg)の最も好ましい比率は0.12〜0.48である。
【0121】
本発明の形質転換されたE.コリにはビタミンB12が加えられるが、初めからB12を生合成できる他の微生物も適した生産細胞であり、これらの微生物へのB12の添加は不必要であろうことが意図されている。
培養条件:
典型的には、適した培地中において35℃で細胞を成長させる。本発明における好ましい成長培地は普通の商業的に調製される培地、例えばLuria Bertani(LB)ブイヨン、Sabouraud Dextrose(SD)ブイヨン又はYeast培地(YM)ブイヨンである。他の限定された(defined)、又は合成の成長培地も用いることができ、特定の微生物の成長に適した培地は微生物学又は発酵科学の技術分野における熟練者に既知であろう。カタボライト抑制を直接もしくは間接的に調節することが知られている薬剤、例えばサイクリックアデノシン2’:3’−一リン酸の使用を反応培地中に導入することもできる。同様に、1,3−プロバンジオール生産の増強に導く酵素活性を調節することが知られている薬剤(例えばメチルビオローゲン)の使用を遺伝子操作と一緒に、もしくはその代りに用いることができる。
【0122】
発酵のために適したpH範囲はpH5.0〜pH9.0であり、pH6.0〜pH8.0が初期条件として好ましい。
【0123】
反応は好気的もしくは嫌気的条件下で行うことができ、嫌気的もしくは微好気的条件が好ましい。
【0124】
制限された、もしくは過剰の炭素供給材料、例えばグルコースを用いてフェド−バッチ発酵を行うことができる。
バッチ及び連続発酵:
本プロセスは発酵のバッチ法を用いる。古典的なバッチ発酵は、培地の組成が発酵の開始時に設定され、発酵の間に人工的な改変に合わない閉鎖系である。かくして発酵の開始時に培地に所望の1種もしくは複数種の微生物を接種し、系に何も加えずに発酵を起こさせる。しかしながら、典型的には「バッチ」発酵は炭素源の添加に関するバッチであり、多くの場合、pH及び酸素濃度のような因子の制御における試みが成される。バッチ系では、系の代謝産物及びバイオマス組成が発酵が止められる時点まで一定に変化する。バッチ培養内では、細胞が静的誘導期を介して高成長対数期に、そして最後に成長速度が減じるか又は止まる定常期に加減する(moderate)。処理されないと、定常期における細胞は終局的に死ぬであろう。対数期における細胞は一般に最終的産物もしくは中間体の生産の大部分を担う。
【0125】
標準的バッチ系への変法がフェド−バッチ系である。フェド−バッチ発酵法も本発明において適しており、発酵の進行と共に基質を増加させて加えることを除いて、典型的なバッチ系を含んでいる。フェド−バッチ系は、カタボライト抑制が細胞の代謝を阻害する傾向がある場合、及び培地中に限られた量の基質があることが望ましい場合に有用である。フェド−バッチ系における実際の基質濃度の測定は困難であり、従って測定可能な因子、例えばpH、溶解酸素及びCO2のような廃ガスの分圧の変化に基づいて見積もられる。バッチ及びフェド−バッチ発酵は当該技術分野において普通且つ周知であり、Brock,同上に例を見いだすことができる。
【0126】
本発明はバッチ様式で行われるが、該方法を連続発酵法に適応させ得ることが意図されている。連続発酵は、限定された発酵培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、等量の条件調節された培地(conditioned media)が処理のために同時に取り出される開放系である。連続発酵は一般に、細胞が主に対数期成長にある一定の高い密度に培養を保持する。
【0127】
連続発酵は、細胞成長又は最終的産物濃度に影響する1つの因子もしくはいくつかの因子の調節を可能にする。例えば1つの方法は炭素源又は窒素レベルのような制限栄養素を固定された比率に保持し、他のすべてのパラメーターの加減を許すであろう。他の系では、培地の濁度により測定される細胞濃度を一定に保ちながら、成長に影響する複数の因子を連続的に変えることができる。連続系は定常状態成長条件を保持するように努め、かくして培地が取り出される故の細胞の損失を発酵における細胞成長速度に対して釣り合わせねばならない。連続発酵法のための栄養素及び成長因子の調節の方法ならびに産物生成の速度を最大にするための方法は工業的微生物学の技術分野において周知であり、多様な方法がBrock,同上に詳細に記載されている。
【0128】
本発明をバッチ、フェド−バッチ又は連続法を用いて実行できること、ならびに発酵のいずれの既知の様式も適していることが意図されている。さらに、細胞を全細胞触媒として基質上に固定化し、1,3−プロパンジオール生産のための発酵条件に供することができることが意図されている。
1,3−プロパンジオールの同定及び精製:
発酵培地からの1,3−プロパンジオールの精製法は当該技術分野において既知である。例えば有機溶媒を用いる抽出、蒸留及びカラムクロマトグラフィーに反応混合物を供することにより、細胞培地からプロパンジオールを得ることができる(U.S.5,356,812)。この方法のために特に優れた有機溶媒はシクロヘキサンである(U.S.5,008,473)。
【0129】
培地を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析にかけることにより、1,3−プロパンジオールを直接同定することができる。本発明において好ましいのは、無勾配様式で0.01N硫酸の移動相を用いる分析的イオン交換カラム上で発酵培地を分析する方法である。
【0130】
【実施例】
一般的方法
リン酸化、連結及び形質転換のための方法は当該技術分野において周知である。以下の実施例において用いるのに適した方法は、Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に見いだされ得る。
【0131】
バクテリア培養の保持及び成長に適した材料及び方法は当該技術分野において周知である。以下の実施例において用いるのに適した方法は、Manual of Methods for General Bacteriology(Phillipp Gerhardt,R.G.E.Murray,Ralph N.Costilow,Eugene W.Nester,Willis A.Wood,Noel R.Krieg and G.Briggs Phillips,eds),American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1994)又はThomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition(1989)Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MAに見いだされ得る。バクテリア細胞の成長及び保持のために用いられるすべての試薬及び材料は、他にことわらない限りAldrich Chemicals(Milwaukee,WI),DIFCO Laboratories(Detroit,MI)、GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD)又はSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から得た。
【0132】
略字の意味は以下の通りである:「h」は単数もしくは複数の時(hours)を意味し、「min」は単数もしくは複数の分を意味し、「sec」は単数もしくは複数の秒を意味し、「d」は単数もしくは複数の日を意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、50ampはmL当たりに50μgのアンピシリンを意味し、LB−50ampはmL当たりに50μgのアンピシリンを含有するLuria−Bertaniブイヨンを意味する。
【0133】
表中で以下の略字を用いる。「Con.」は転換率であり、「Sel.」は炭素に基づく選択率であり、「nd」は検出されないである。
【0134】
以下の実施例において用いられる、及び構築される株及びベクターを下記のチャートに挙げる:
【0135】
【表2】
【0136】
酵素アッセイ
デヒドラターゼ酵素に関するアッセイ:
グリセロール又は1,2−プロパンジオールを基質として用いて無−細胞抽出物中のデヒドラターゼ活性を決定した。典型的には、フレンチプレス及び続いて細胞デブリスの遠心を用いる細胞破壊により無−細胞抽出物を調製した。アルデヒドのメチルベンゾ−2−チアゾロンヒドラゾンとの反応に基づくアッセイはForage and Foster(Biochim.Biophys.Acta 569,249(1979))に記載されている。
【0137】
Honda et al.(J.Bacteriol.143,1458(1980))は、デヒドラターゼの再活性化を測定するアッセイを開示している。デヒドラターゼ活性はトルエン処理された全細胞において、ATPを用いて、及び用いずに、グリセロール又は1,2−プロパンジオールを基質として用いて決定された。ATPを添加した産物生成対ATPを添加しない産物生成の比率により再活性化を決定した。産物生成(グリセロール又は1,2−プロパンジオールを基質として用いる場合のそれぞれ3−HPA又はプロビオンアルデヒド)をHPLCを用いて直接、あるいはメチルベンゾ−2−チアゾロンヒドラゾン試薬を用いて間接的に測定した。あるいは又、NADH結合アルコールデヒドロゲナーゼを用いるアルデヒドのそのそれぞれのアルコールへの転換をカップリングさせ、NADHの消失を監視することにより、産物生成を決定した。
1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼに関するアッセイ:
1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼと呼ばれることもある1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼの活性を、記載されている通りに(Johnson and Lin,J.Bacteriol.169,2050(1987))、溶液中又はスラブゲル中で無−細胞抽出物に関し、1,3−プロパンジオール及びNAD+を基質として用いて決定した。あるいは又、NADHの消失により3−HPAとNADHの1,3−プロパンジオールとNAD+への転換を決定した。スラブゲルアッセイは、サイズ分離のおかげで、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)の活性を非−特異的アルコールデヒドロゲナーゼの活性と分離するという利点の可能性を有する。シトロバクテル・フレンジイ、クレブシエラ・ニューモニアエ及びクロスツリジウム・パステウリアヌムからの1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)の本来の分子量は異常に大きく、330,000〜440,000ダルトンの大きさである。ラクトバシルス・ブレビス及びラクトバシルス・ブクネリは、既知の1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)の性質に類似の性質を有するデヒドラターゼ関連1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼを含有する。
グリセロール3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性に関するアッセイ:
Bell et al.(J.Biol.Chem.250,7153(1975))により公開されている方法からの下記で修正する方法を用いた。この方法は、5mM DTTを含む0.1M Tris/HCl、pH7.5緩衝液中に0.2mM NADH、2.0mM ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)及び酵素を含有するキュベット中で、1.0mLの合計容積において30℃で無−細胞抽出物試料をインキュベーションすることを含んだ。最初に酵素とNADHの反応のバックグラウンド速度を340nmにおいて少なくとも3分間決定した。続いて第2の基質であるDHAPを加え、時間を経た吸収の変化をさらに少なくとも3分間監視した。総速度からバックグラウンド速度を引き去ることによりG3PDH活性を限定した。
グリセロール−3−ホスファターゼ活性に関するアッセイ:
ビス−Tris又はMES及びマグネシウム緩衝液、pH6.5中で抽出物を有機ホスフェート基質と一緒にインキュベーションすることにより酵素活性に関するアッセイを行った。用いられた基質は1−α−グリセロールリン酸又はd,l−α−グリセロールリン酸であった。アッセイにおける試薬の最終的濃度は:緩衝液(20mM、ビス−Tris又は50mM MES);MgCl2(10mM);及び基質(20mM)である。試料中の合計タンパク質が低く、酸クエンチを用いて可視の沈殿が起こらない場合、キュベット中で簡単に試料をアッセイした。この方法は、20mM 基質(50μL、200mM)、50mM MES、10mM MgCl2、pH6.5緩衝液を含有するキュベット中で酵素試料をインキュベーションすることを含んだ。最終的ホスファターゼアッセイ容積は0.5mLであった。酵素−含有試料を反応混合物に加え;キュベットの内容物を混合し、次いでキュベットをT=37℃で5〜120分間、循環水浴中に入れ、時間の長さは酵素試料におけるホスファターゼ活性が2〜0.02U/mLのどの範囲であるかに依存した。酸モリブデート試薬(0.4mL)の添加により酵素反応をクエンチングした。Fiske SubbaRow試薬(0.1mL)及び蒸留水(1.5mL)を加えた後、溶液を混合し、発色させた。完全に発色させるために10分の後、Cary 219 UV/可視分光光度計を用いて試料の吸収を660nmで読んだ。無機リン酸塩原液(0.65mM)を用い、0.026〜0.130μモル/mLの範囲の最終的無機リン酸塩濃度を有する6つの標準を調製することにより作られた標準曲線に、放出された無機リン酸塩の量を比較した。
グリセロールキナーゼ活性に関するアッセイ:
適した量の酵素、典型的には無−細胞粗抽出物を、40mM ATP、20mM MgSO4、21mMの均一に13C標識されたグリセロール(99%、Cambridge Isotope Laboratories)及び0.1M Tris−HCl、pH9を含有する反応混合物に、25℃で75分間加えた。13C−NMR(125MHz)によりグリセロールのグリセロール3−リン酸への転換を検出した:グリセロール(63.11ppm,δ,J=41Hz及び72.66ppm,t,J=41Hz);グリセロール3−リン酸(62.93ppm,δ,J=41Hz;65.31ppm,br d,J=43Hz;及び72.66ppm,dt,J=6,41Hz)。
NADH−結合グリセロールデヒドロゲナーゼアッセイ:
E.コリ株からの無−細胞抽出物中のNADH−結合グリセロールデヒドロゲナーゼ活性(gldA)を、非−変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるタンパク質分離の後に決定した。グリセロールとNAD+のジヒドロキシアセトンとNADHへの転換を、フェナジンメトサルフェート(PMS)を媒介物として用い、3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)の濃く着色したホルマザンへの転換とカップリングさせた(Tang et al.,J.Bacteriol.140,182(1997))。
【0138】
電気泳動は、未変性ゲル(Novex,San Diego,CAからの8〜16% TG、1.5mm、15レーンゲル)を用いて標準的方法により、二重に行われた。50mM Tris又は炭酸カリウム緩衝液、pH9を用いて10分間、3回洗浄することにより、残留グリセロールをゲルから除去した。50mM Tris又は炭酸カリウム、pH9、60mg 硫酸アンモニウム、75mg NAD+、1.5mg MTT及び0.5mg PMSを含有する15mLのアッセイ溶液中で、グリセロール(約0.16Mの最終的濃度)を含む、及び含まない2重のゲルを展開(developed)した。
【0139】
ポリアクリルアミドゲル電気泳動に続き、精製されたK.ニューモニアエグリセロールデヒドロゲナーゼ(dhaD)に対して誘起されたポリクローナル抗体との反応により、E.コリ株中のNADH−結合グリセロールデヒドロゲナーゼ活性(gldA)の存在又は不在も決定した。
1,3−プロパンジオールの単離及び同定:
HPLCによりグリセロールの1,3−プロパンジオールへの転換を監視した。分析は標準的方法及びクロマトグラフィーの技術分野における熟練者に利用可能な材料を用いて行われた。1つの適した方法は、UV(210nm)及びRI検出を用いるWaters Maxima 820 HPLCシステムを使用した。Shodex SH−1011P プレカラム(6mmx50mm)が備えられ、50℃で温度制御されたShodex SH−1011カラム(8mmx300mm、Waters,Milford,MAから購入)上に、移動相として0.01N H2SO4を用い、0.5mL/分の流量で試料を注入した。定量的分析が望まれている場合、外部標準として既知量のトリメチル酢酸を用いて試料を調製した。典型的には、グルコース(RI検出)、グリセロール、1,3−プロパンジオール(RI検出)及びトリメチル酢酸(UV及びRI検出)の保持時間は、それぞれ15.27分、20.67分、26.08分及び35.03分であった。
【0140】
GC/MSにより1,3−プロパンジオールの生産を確認した。分析は標準的方法及びGC/MSの技術分野における熟練者に利用可能な材料を用いて行われた。1つの適した方法は、Hewlett Packard 5971 Series質量選択的検出器(EI)及びHP−INNOWaxカラム(長さ30m、内径0.25mm、フィルム厚さ0.25ミクロン)に連結されたHewlett Packard 5890 Series IIガスクロマトグラフを用いた。生成した1,3−プロパンジオールの保持時間及び質量スペクトルを基準の1,3−プロパンジオール(m/e:57,58)のそれに比較した。
【0141】
GC/MSのための代わりの方法は試料の誘導体化を含んだ。1.0mLの試料(例えば培養上澄み液)に30μLの濃(70%v/v)過塩素酸を加えた。混合の後、試料を凍結乾燥した。ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド:ピリジンの1:1混合物(300μL)を凍結乾燥された材料に加え、激しく混合し、65℃において1時間置いた。遠心により不溶性材料を除いて試料を透明にした。得られる液体は2相に分かれ、その上の方を分析に用いた。試料をDB−5カラム(48m、内径0.25mm、フィルム厚さ0.25μm;J&W Scientificから)上でクロマトグラフィーにかけ、培養上澄み液から得た1,3−プロパンジオール誘導体の保持時間及び質量スペクトルを基準の標準試料から得たそれに比較した。TMS−誘導体化1,3−プロパンジオールの質量スペクトルは205、177、130及び115AMUの特徴的イオンを含有する。
細胞ライシス:
発酵ブイヨン中の細胞外可溶性タンパク質濃度を測定することにより、細胞ライシスを見積もった。細胞を分離するために、発酵槽試料を卓上遠心機において遠心した(典型的には、Eppendorf,Model 5415C 微量遠心機において12,000rpmで3〜5分)。得られる上澄み液を商業的に入手可能な試薬を用い、Bradford法によってタンパク質濃度に関して分析した(Bio−Rad Protein Assay,Bio−Rad,Hercules,CA)。
生存率:
発酵槽から得た細胞を、非−選択的LB寒天平板上で、適した希釈において平板培養することにより、細胞生存率を決定した。発酵槽ブイヨンのmL当たりの生存細胞をOD550(AU)で割った比率を用いることにより、発酵槽実験の間で細胞生存率を比較した。
【0142】
実施例1
1,3−プロパンジオールの発現のためのコスミドDNAを用いる
E.コリ宿主細胞のクローニング及び形質転換
培地:
1,3−プロパンジオールを生産する能力に関するバクテリア形質転換細胞のスクリーニングにおいて、合成S12培地を用いた。S12培地は:10mM 硫酸アンモニウム、50mM リン酸カリウム緩衝液、pH7.0、2mM MgCl2、0.7mM CaCl2、50μM MnCl2、1μM FeCl3、1μM ZnCl、1.7μM CuSO4、2.5μM CoCl2、2.4μM Na2MoO4及び2μM チアミン塩酸塩を含有する。
【0143】
成長及び発酵のために用いられる培地Aは:10mM 硫酸アンモニウム;50mM MOPS/KOH緩衝液、pH7.5;5mM リン酸カリウム緩衝液、pH7.5;2mM MgCl2;0.7mM CaCl2;50μM MnCl2;1μM FeCl3;1μM ZnCl;1.72μM CuSO4;2.53μM CoCl2;2.42μM Na2MoO4;2μM チアミン塩酸塩;0.01% 酵母抽出物;0.01% カザアミノ酸;0.8μg/mL ビタミンB12;及び50μg/mL アンピシリンから成る。必要な場合、培地Aに0.2%のグリセロール又は0.2%のグリセロールと0.2%のD−グルコースを補足した。
細胞:
文献でK.アエロゲネス(K.aerogenes)又はアエロバクテル・アエロゲネス(Aerobacter aerogenes)としても知られるクレブシエラ・ニューモニアエECL2106(Ruch et al.,J.Bacteriol.124,348(1975))をE.C.C.Lin(Harvard Medical School,Cambridge,MA)から入手し、実験室培養として保持した。
【0144】
クレブシエラ・ニューモニアエATCC 25955をAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA)から購入した。
【0145】
E.コリDH5αをGibco/BRLから購入し、グリセロール又はジオールデヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子を含有する、クレブシエラ・ニューモニアエATCC25955から単離されたコスミドDNAを用いて形質転換した。グリセロールデヒドラターゼを含有するコスミドをpKP1及びpKP2と同定し、ジオールデヒドラターゼ酵素を含有するコスミドをpKP4と同定した。形質転換されたDH5α細胞をDH5α−pKP1、DH5α−pKP2及びDH5α−pKP4と同定した。
【0146】
E.コリECL707(Sprenger et al.,J.Gen.Microbiol.135,1255(1989))をE.C.C.Lin(Harvard Medical School,Cambridge,MA)から入手し、同様にクレブシエラ・ニューモニアエからのコスミドDNAを用いて形質転換した。これらの形質転換細胞を、グリセロールデヒドラターゼ遺伝子を含有するECL707−pKP1及びECL707−pKP2ならびにジオールデヒドラターゼ遺伝子を含有するECL707−pKP4と同定した。
【0147】
tpi遺伝子における突然変異を含有するE.コリAA200(Anderson et al.,J.Gen.Microbiol.62,329(1970))をE.coli Genetic Stock Center,Yale University(New Haven,CT)から購入し、クレブシエラコスミドDNAを用いて形質転換し、グリセロールデヒドラターゼ遺伝子を含有する組換え微生物AA200−pKP1及びAA200−pKP2ならびにジオールデヒドラターゼ遺伝子を含有するAA200−pKP4を得た。
DH5α:
K.ニューモニアエDNAを用いてトランスフェクションされたE.コリXL1−Blue MRの約1,000のコロニーを含有する6つの形質転換平板を5mLのLB培地を用いて洗浄し、遠心した。バクテリアをペレット化し、5mL LB培地+グリセロール中に再懸濁させた。アリコート(50μL)を、0.2% グリセロール+mL当たりに400ngのビタミンB12+0.001% 酵母抽出物+50ampを含むS12合成培地を含有する15mLの管中に接種した。最上まで管を培地で満たし、パラフィルムでくるみ、30℃でインキュベーションした。48h後にわずかな濁りが観測された。78h及び132hにおいて上記の通りに産物分布に関して分析されたアリコートは1,3−プロパンジオールに関して陽性であり、後者の時点には増加した量の1,3−プロパンジオールを含有した。
【0148】
1,3−プロパンジオール生産に関して陽性の試験結果を与えたバクテリアを系列的に希釈し、シングルコロニーを単離するためにLB−50amp平板上に平板培養した。48のシングルコロニーを単離し、再度1,3−プロパンジオールの生産に関して調べた。6つの独立したクローンからコスミドDNAを単離し、E.コリ株DH5α中に形質転換した。形質転換細胞を再度1,3−プロパンジオールの生産に関して調べた。2つの形質転換細胞をさらに特性化し、DH5α−pKP1及びDH5α−pKP2と称した。
【0149】
pIBI31(IBI Biosystem,New Haven,CT)中にサブクローニングされたpKP1からの12.1kb EcoRI−SalIフラグメントを配列決定し、pHK28−26と命名した(配列番号:1)。配列決定は、グリセロールデヒドラターゼをコードするdhaオペロン及び調節に必要な遺伝子の関連する読取り枠の遺伝子座を明らかにした。配列番号:1に言及すると、ジヒドロキシアセトンキナーゼをコードするdhaK1に関する読取り枠のフラグメントが塩基1−399に見いだされ(相補配列(complement));グリセロールデヒドロゲナーゼをコードする読取り枠dhaDが塩基1010−2107に見いだされ;リプレッサーをコードする読取り枠dhaRが塩基2209−4134に見いだされ;未知の機能のタンパク質をコードする読取り枠orfWが塩基4112−4642に見いだされ(相補配列);デヒドラターゼ再活性化タンパク質をコードする読取り枠orfXが塩基4643−4996に見いだされ(相補配列);1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードする読取り枠dhaTが塩基5017−6180に見いだされ(相補配列);未知の機能のタンパク質をコードする読取り枠orfYが塩基6202−6630に見いだされ(相補配列);アルファサブユニットグリセロールデヒドラターゼをコードする読取り枠dhaB1が塩基7044−8711に見いだされ;ベータサブユニットグリセロールデヒドラターゼをコードする読取り枠dhaB2が塩基8724−9308に見いだされ;ガンマサブユニットグリセロールデヒドラターゼをコードする読取り枠dhaB3が塩基9311−9736に見いだされ;デヒドラターゼ再活性化タンパク質をコードする読取り枠dhaBXが塩基9749−11572に見いだされ;グリセロール吸収促進タンパク質をコードするglpFに関する読取り枠のフラグメントが塩基11626−12145に見いだされる。
【0150】
K.ニューモニアエからの詰込まれたコスミドDNAを用いてトランスフェクションされたE.コリXL1−Blue MRのシングルコロニーを200μLのS15培地(硫酸アンモニウム、10mM;リン酸カリウム緩衝液、pH7.0、1mM;MOPS/KOH緩衝液、pH7.0、50mM;MgCl2、2mM;CaCl2、0.7mM;MnCl2、50μM;FeCl3、1μM;ZnCl、1μM;CuSO4、1.72μM;CoCl2、2.53μM;Na2MoO4、2.42μM;及びチアミン塩酸塩、2μM)+0.2%のグリセロール+400ng/mLのビタミンB12+0.001%の酵母抽出物+50μg/mLのアンピシリンを含有するミクロタイターウェル中に接種した。ミクロタイターウェルの他に、LB−50ampを含有するマスター平板にも接種した。96h後、100μLを採取し、0.2ミクロンナイロン膜フィルターを含有するRainin遠心管中で遠心した。バクテリアを保留し、濾液をHPLC分析のために処理した。約240のコロニーをスクリーニングした後に1,3−プロパンジオール生産を示す陽性のクローンを同定した。3つの陽性のクローンを同定し、その中の2つをLB−50amp上で成長させ、その中の1つは成長させなかった。LB−50amp上で成長した2つの陽性のクローンの1つから単離され、1,3−プロパンジオールの生産に関して立証されたシングルコロニーをpKP4と称した。pKP4を含有するE.コリ株からコスミドDNAを単離し、E.コリ株DH5αを形質転換した。DH5α−pKP4と称される独立した形質転換細胞を1,3−プロパンジオールの生産に関して立証した。
ECL707:
E.コリ株ECL707をpKP1、pKP2、pKP4の1つに対応するコスミドK.ニューモニアエDNA又はSupercosベクターのみを用いて形質転換し、それぞれECL707−pKP1、ECL707−pKP2、ECL707−pKP4及びECL707−scと命名した。ECL707は、それぞれATP−依存性グリセロールキナーゼ、NAD+−結合グリセロールデヒドロゲナーゼ及びホスホエノールピルビン酸−依存性ホスホトランスフェラーゼシステムのジヒドロキシアセトンのための酵素IIをコードするglpK、gld及びptsDが欠失している。
【0151】
LB−50amp平板から単離された、それぞれのコスミド形質転換の20のシングルコロニー及びSupercosベクターのみ(負の対照標準)の形質転換の5つのシングルコロニーをマスターLB−50amp平板に移した。これらの単離物を、それらがデヒドラターゼ活性を含有しているかどうかを決定するために、グリセロールを1,3−プロパンジオールに転換するそれらの能力に関しても調べた。無菌のつまようじを用い、0.2%のグリセロール又は0.2%のグリセロールと0.2%のD−グルコースが補足された200μLの培地Aを含有するミクロタイター平板に形質転換細胞を移した。30℃における48hの間のインキュベーションの後、ミクロタイター平板ウェルの内容物を0.45ミクロンナイロンフィルターを介して濾過し、HPLCによりクロマトグラフィーにかけた。これらの試験の結果を表2に示す。
【0152】
【表3】
【0153】
AA200:
E.コリ株AA200をpKP1、pKP2、pKP4の1つに対応するコスミドK.ニューモニアエDNA及びSupercosベクターのみを用いて形質転換し、それぞれAA200−pKP1、AA200−pKP2、AA200−pKP4及びAA200−scと命名した。株AA200はトリオースリン酸イソメラーゼが欠失している(tpi-)。
【0154】
E.コリ株ECL707に関して記載した通り、それぞれのコスミド形質転換の20のシングルコロニー及びエンプティーベクター形質転換の5つのシングルコロニーを単離し、グリセロールを1,3−プロパンジオールに転換するそれらの能力に関して調べた。これらの試験の結果を表3に示す。
【0155】
【表4】
【0156】
実施例2
グルコースからのグリセロールの生産のための
E.コリFM5のグリセロールキナーゼ突然変異体の操作(engi
neering)
E.コリFM5におけるグリセロールキナーゼ遺伝子置換のための組込みプラスミドの構築:
Puregene DNA Isolation Kit(Gentra Systems,Minneapolis,MN)を用いてE.コリFM5(ATCC 53911)ゲノムDNAを調製した。部分的glpF及びグリセロールキナーゼ(glpK)遺伝子を含有する1.0kbのDNAフラグメントをFM5ゲノムDNAから、プライマー配列番号:2及び配列番号:3を用い、PCR(Mullis and Faloona,Methods Enzymol.155,335(1987))により増幅した。部分的glpK及びglpX遺伝子を含有する1.1kbのDNAフラグメントをFM5ゲノムDNAから、プライマー配列番号:4及び配列番号:5を用い、PCRにより増幅した。プライマー配列番号:4中にMunI部位を導入した。プライマー配列番号:4の5’末端はプライマー配列番号:3の逆相補配列であり、続くオーバーラップエクステンションPCR(overlap extension PCR)を可能にした。オーバーラップエクステンション法(Horton et al.,Bio Techniques 8,528(1990))による遺伝子スプライシングを用い、鋳型としての上記の2つのPCRフラグメント及びプライマー配列番号:2及び配列番号:5を用いるPCRによって2.1kbのフラグメントを形成した。このフラグメントは1.5kbのglpK遺伝子の中心領域からの0.8kbの欠失を示した。全体として、このフラグメントはMunIクローニング部位(部分的glpK内)の両側上に1.0kb及び1.1kbのフランキング領域を有し、相同的組換えによる染色体遺伝子置換を可能にした。
【0157】
上記の2.1kbのPCRフラグメントを平滑末端化し(ムングビーンヌクレアーゼ(mung bean nuclease)を用いて)、Zero Blunt PCR Cloning Kit(Invitrogen,San Diego,CA)を用いてpCR−Bluntベクター中にクロヘニングし、カナマイシン及びゼオシン耐性遺伝子を含有する5.6kbのプラスミドpRN100を得た。バクテリオファージ P1 loxP部位(Snaith et al.,Gene 166,173(1995))によりフランキングされたクロラムフェニコール耐性遺伝子を含有するpLoxCat1からの1.2kbのHincIIフラグメント(未公開の結果)を用い、プラスミドpRN100中のglpKフラグメントを、それをMunI−消化された(且つ平滑末端化された)プラスミドpRN100に連結することにより分断し、6.9kbのプラスミドpRN101−1を得た。R6K起点を含有する376bpのフラグメントを、プライマー配列番号:6及び配列番号:7を用いてベクターpGP704(Miller and Mekalanos,J.Bacteriol.170,2575−2583(1988))からPCRにより増幅し、平滑末端化し、pRN101−1からの5.3kbのAsp718−AatIIフラグメント(平滑末端化された)に連結し、カナマイシン及びクロラムフェニコール耐性遺伝子を含有する5.7kbのプラスミドpRN102−1を得た。pRN102−1の形成のための、R6K起点を用いるpRN101−1中のColE1起点領域の置換は、ほとんどのゼオシン耐性遺伝子の欠失も含んだ。pRN102−1複製のための宿主は、R6K起点の機能のために必要なpir遺伝子を含有するE.コリSY327(Miller and Mekalanos,J.Bacteriol.170,2575−2583(1988))であった。
クロラムフェニコール耐性遺伝子分断(interrupt)を有するグリセロールキナーゼ突然変異体RJF10mの操作:
E.コリFM5を非−複製組込みプラスミドpRN102−1を用いて電気形質転換し(electrotransformed)、クロラムフェニコール−耐性(12.5μL/mL)及びカナマイシン−感受性(30μg/mL)である形質転換細胞をさらに1mMのグリセロールを含有するM9最少培地上で、グリセロール非−使用(non−utilization)に関してスクリーニングした。1つのそのような突然変異体、RJF10mからのゲノムDNAのEcoRI消化は、サザン分析(Southern,J.Mol.Biol.98,503−517(1975))を介して無損傷のglpK遺伝子を用いて精査すると、それが二重−交差組込み体(double−crossover integrant)(glpK遺伝子置換)であることを示し、それはクロラムフェニコール耐性遺伝子内における追加のEcoRI部位の存在のおかげで、2つの予測される7.9kb及び2.0kbバンドが観察されたからである。野生型対照標準は1つの予測された9.4kbバンドを与えた。突然変異体RJF10mの13CNMR分析は、それが13C−標識されたグリセロールとATPをグリセロール−3−リン酸に転換できないことを確証した。このglpK突然変異体をさらに、プライマーの組合わせ、配列番号:8と配列番号:9、配列番号:10と配列番号:11及び配列番号:8と配列番号:11を用いるゲノムPCRにより分析し、それらはそれぞれ予測される2.3kb、2.4kb及び4.0kbのPCRフラグメントを与えた。野生型対照標準は、プライマー配列番号:8及び配列番号:11を用い、予測される3.5kbのバンドを与えた。glpK突然変異体RJF10mをプラスミドpAH48を用いて電気形質転換し、グルコースからのグリセロール生産を可能にした。glpK突然変異体、E.コリRJF10mを1997年11月24日に、Budapest条約の協約下に、ATCCに寄託した。
クロラムフェニコール耐性遺伝子分断が除去されたグリセロールキナーゼ突然変 異体RJF10の操作:
YENB培地(0.75% 酵母抽出物、0.8% 栄養ブイヨン)上で37℃において終夜成長させた後、IPTG−誘導lacUV5プロモーターの調節下のバクテリオファージP1 Creリコンビナーゼ遺伝子、温度−感受性pSC101レプリコン及びアンピシリン耐性遺伝子を含有するプラスミドpJW168(未公開の結果)を用い、水懸濁液中のE.コリRJF10mを電気形質転換した。SOC培地中で30℃において発芽後成長させ、カルベニシリン(50μg/mL)及びIPTG(1mM)が補足されたLB寒天培地上で30℃(pJW168複製のために許される温度)において、形質転換細胞を選択した。Creリコンビナーゼにより媒介されるloxP部位における組換えを介する染色体クロラムフェニコール耐性遺伝子の切除を可能にするために、カルベニシリン及びIPTGが補足された新しいLB寒天培地上で30℃において、プールされたコロニーの2回連続終夜転移を行った(Hoess and Abremski,J.Mol.Biol.181,351−362(1985))。得られるコロニーをカルベニシリン及びIPTGが補足されたLB寒天培地ならびにクロラムフェニコール(12.5μg/mL)が補足されたLB寒天上にレプリカ平板培養し、カルベニシリン−耐性且つクロラムフェニコール−感受性で、マーカー遺伝子の除去を示すコロニーを同定した。1つのそのようなコロニーの終夜30℃培養物を用い、10mLのLB培地に接種した。30℃で0.6AUのOD(600nm)まで成長させ、培養物を37℃で終夜インキュベーションした。いくつかの希釈物をあらかじめ温められたLB寒天培地上で平板培養し、平板を42℃(pJW168複製のために許されない温度)で終夜インキュベーションした。得られるコロニーをLB寒天培地及びカルベニシリン(75μg/mL)が補足されたLB寒天培地上にレプリカ平板培養し、カルベニシリン−感受性であり、プラスミドpJW168の喪失を示すコロニーを同定した。1つのそのようなglpK突然変異体、RJF10をプライマー配列番号:8及び配列番号:11を用いるゲノムPCRによりさらに分析し、予測される3.0kbバンドを得、マーカー遺伝子の切除を確証した。1mMグリセロールを含有するM9最少培地上で成長しないことにより、突然変異体RJF10によるグリセロール非−使用が確証された。glpK突然変異体RJF10をプラスミドpAH48を用いて電気形質転換し、グルコースからのグリセロール生産を可能にした。
【0158】
実施例3
gldA遺伝子ノックウアト(knockout)を有するE.コリ株の構築
それぞれ末端Sph1及びXba1部位が導入されたプライマー配列番号:12及び配列番号:13を用いるPCR(K.B.Mullis and F.A.Faloona,Meth.Enzymol.155,335−350(1987))によりE.コリからgldA遺伝子を単離し、pUC18中のSph1及びXba1部位の間にクローニングし(T.Maniatis(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor,Cold Spring Harbor,NY)、pKP8を形成した。pKP8をgldA遺伝子内のユニークSal1及びNco1部位において切断し、末端をKlenowを用いて平滑化し、連結し、gldAの中間における109bpの欠失及びユニークSal1部位の再生を生じ、pKP9を形成した。カナマイシン耐性を与える遺伝子(kan)を含有し、翻訳開始コドンの上流に約400bpsのDNA及び翻訳停止コドンの下流に約100bpsのDNAを含む1.4kbのDNAフラグメントを、末端Sal1部位が導入されたプライマー配列番号:14及び配列番号:15を用いるPCRによりpET−28a(+)(Novagen,Madison,Wis)から単離し、pKP9のユニークSal1部位中にサブクローニングし、pKP13を形成した。gldA翻訳開始コドンの204bps下流で始まり、gldA翻訳停止コドンの178bps上流で終わり、kan挿入片を含有する2.1kbのDNAフラグメントを、それぞれ末端Sph1及びXba1部位が導入されたプライマー配列番号:16及び配列番号:17を用いるPCRによりpKP13から単離し、pMAK705(Genencor International,Palo Alto,CA)中のSph1及びXba1部位の間にサブクローニングし、pMP33を形成した。pMP33を用いてE.コリFM5を形質転換し、pMAK705複製のために許される温度である30℃で20μg/mLのkan上において選択した。20μg/mLのkanが補足された液体培地中で30℃において、1つのコロニーを終夜拡大させた(expanded)。約32,000の細胞を20μg/mLのkan上で平板培養し、pMAK705複製のための制限温度である44℃において16時間インキュベーションした。44℃で成長する形質転換細胞は染色体中に組込まれたプラスミドを有し、約0.0001の頻度で存在する。PCR及びサザンブロット(E.M.Southern,J.Mol.Biol.98,503−517(1975))分析を用い、形質転換細胞における染色体組込み結果(event)の性質を決定した。ウェスタンブロット分析(Towbin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.76,4350(1979))を用い、gldAの産物であるグリセロールデヒドロゲナーゼタンパク質が形質転換細胞中で生産されるかどうかを決定した。活性アッセイを用い、グリセロールデヒドロゲナーゼ活性が形質転換細胞中に残っているかどうかを決定した。フェナジンメトサルフェートを媒介物として用い、グリセロールとNAD+のジヒドロキシアセトンとNADHへの転換をテトラゾリウム色素、MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド]の濃く着色するホルマザンへの転換にカップリングさせることにより、未変性ゲル上でのグリセロールデヒドロゲナーゼバンドにおける活性を決定した。グリセロールデヒドロゲナーゼは30mM 硫酸アンモニウム及び100mM Tris、pH9の存在も必要とする(Tang et al.,J.Bacteriol.140,182(1997))。分析された8つの形質転換細胞の中で6つがgldAノックアウトであると決定された。E.コリMSP33.6を1997年11月24日に、ブタペスト条約の協約下に、ATCCに寄託した。
【0159】
実施例4
glpK及びgldA遺伝子ノックウアトを有するE.コリ株の構築
gldA遺伝子を含有し、翻訳開始コドンの上流に228bpsのDNA及び翻訳停止コドンの下流に220bpsのDNAを含む1.6kbのDNAフラグメントを、それぞれ末端Sph1及びXba1部位が導入されたプライマー配列番号:18及び配列番号:19を用いるPCRによりE.コリから単離し、pUC18のSph1及びXba1部位の間にクローニングし、pQN2を形成した。pQN2をgldA遺伝子内のユニークSal1及びNco1部位において切断し、末端をKlenowを用いて平滑化し、連結し、gldAの中間における109bpの欠失及びユニークSal1部位の再生を生じ、pQNを形成した。カナマイシン耐性を与える遺伝子(kan)を含有し、loxP部位によりフランキングされた1.2kbのDNAフラグメントをpLoxKan2(Genencor International,Palo Alto,CA)からStu1/Xho1フラグメントとして単離し、Klenowを用いて末端を平滑化し、pQN4中に、Klenowを用いる平滑化の後にSal1部位においてサブクローニングし、pQN8を形成した。R6K複製起点を含有する0.4kbのDNAフラグメントを、それぞれ末端Sph1及びXba1部位が導入されたプライマー配列番号:20及び配列番号:21を用いるPCRによりpGP704(Miller and Mekalanos,J.Bacteriol.170,2575−2583(1988))から単離し、pQN8からのgldA::kanカセットを含有する2.8kbのSph1/Xba1 DNAフラグメントに連結し、pKP22を形成した。クロラムフェニコール耐性を与える遺伝子(cam)を含有し、loxP部位によりフランキングされた1.0kbのDNAフラグメントを、pLoxCat2(Genencor International,Palo Alto,CA)からXba1フラグメントとして単離し、pKP22中にXba1部位においてサブクローニングし、pKP23を形成した。glpK−であるE.コリ株RJF10(実施例2を参照されたい)をpKP23を用いて形質転換し、表現型kanRcamSを有する形質転換細胞を単離し、二重交差組込みを示し、それをサザンブロット分析により確証した。グリセロールデヒドロゲナーゼゲル活性アッセイ(実施例3に記載した通り)は、これらの形質転換細胞中に活性なグリセロールデヒドロゲナーゼが存在しないことを示した。実施例2に記載した通りにCre−生産プラスミドpJW168を用いて染色体からkanマーカーを除去し、株KLP23を得た。表現型kanSを有するいくつかの単離物はグリセロールデヒドロゲナーゼ活性を示さず、サザンブロット分析はkanマーカーの喪失を確証した。
【0160】
実施例5
グリセロール3−リン酸デヒドロゲナーゼ(DAR1)及び/又はグリセロール
3−ホスファターゼ(GPP2)の発現のためのプラスミド構築及び株構築
グリセロール3−ホスファターゼ(gpp2)のための発現カセットの構築:
サッカロミセス・セレビシアエ染色体Vラムダクローン6592(GenBank,受け入れ番号U18813x11)をATCCから得た。5’末端にBamHI−RBS−XbaI部位及び3’末端にSmaI部位が導入された合成プライマー(配列番号:22及び配列番号:23)を用いる、標的DNAとしてのラムダクローンからのクローニングにより、グリセロール3−リン酸ホスファターゼ遺伝子(GPP2)をクローニングした。産物をpCR−Script(Stratagene,Madison,WI)中にSrfI部位においてサブクローニングし、GPP2を含有するプラスミドpAH15を形成した。プラスミドpAH15はpCR−Script SK+中のlacプロモーターからの発現に関して不活性な配向でGPP遺伝子を含有する。GPP2遺伝子を含有するpAH15からのBamHI−SmaIフラグメントをpBlueScriptII SK+中に挿入し、プラスミドpAH19を形成した。pAH19はlacプロモーターからの発現に関して正しい配向でGPP2遺伝子を含有する。GPP2遺伝子を含有するpAH19からのXbaI−PstIフラグメントをpPHOX2中に挿入し、プラスミドpAH21を作った。pAH21/DH5αは発現プラスミドである。
グリセロール3−リン酸デヒドロゲナーゼ(DAR1)のための発現カセットの構築:
合成プライマー(配列番号:24及び配列番号:25)を用いるゲノムS.セレビシアエDNAからのPCRクローニングにより、DAR1を単離した。成功したPCRクローニングは、DAR1の5’末端にNcoI部位を置き、NcoI中のATGがDAR1イニシエーターメチオニンである。DAR1の3’末端にBamHI部位が翻訳ターミネーターに続いて導入されている。PCRフラグメントをNcoI+BamHIを用いて消化し、発現プラスミドpTrc99A(Pharmacia,Piscataway,NJ)内の同じ部位中にクローニングし、pDAR1Aを得た。
【0161】
DAR1の5’末端により良いリボソーム結合部位を作るために、合成プライマー(配列番号:26と配列番号:27)のアニーリングにより得たSpeI−RBS−NcoIリンカーをpDAR1AのNcoI部位中に挿入し、pAH40を作った。プラスミドpAH40は、pTrc99A(Pharmacia,Piscataway,NJ)のtrcプロモーターからの発現に関して正しい配向で新しいRBS及びDAR1遺伝子を含有する。pDAR1AからのNcoI−BamHIフラグメント及び合成プライマー(配列番号:28と配列番号:29)のアニーリングにより得た第2の組のSpeI−RBS−NcoIリンカーをpBC−SK+(Stratagene,Madison,WI)のSpeI−BamHI部位中に挿入し、プラスミドpAH42を作った。プラスミドpAH42はクロラムフェニコール耐性遺伝子を含有する。
dar1及びgpp2のための発現カセットの構築:
DAR1及びGPP2のための発現カセットを、標準的分子生物学的方法を用い、上記のそれぞれのDAR1及びGPP2サブクローンから組み立てた。リボソーム結合部位(RBS)及びGPP2遺伝子を含有するpAH19からのBamHI−PstIフラグメントをpAH40中に挿入し、pAH43を作った。RBS及びGPP2遺伝子を含有するpAH19からのBamHI−PstIフラグメントをpAH42中に挿入し、pAH45を作った。
【0162】
GPP2の5’末端におけるリボソーム結合部位を以下の通りに修正した。合成プライマーGATCCAGGAAACAGA(配列番号:30)をCTAGTCTGTTTCCTG(配列番号:31)と、GPP2遺伝子を含有するpAH19からのXbaI−PstIフラグメントにアニーリングすることにより得たBamHI−RBS−SpeIリンカーをpAH40のBamHI−PstI部位中に挿入し、pAH48を作った。プラスミドpAH48は、pTrc99A(Pharmacia,Piscataway,NJ)のtrcプロモーターからの発現に関して正しい配向でDAR1遺伝子、修正RBS及びGPP2遺伝子を含有する。
E.コリの形質転換:
本明細書に記載するプラスミドを、標準的な分子生物学的方法を用いてE.コリDH5α、FM5及びKLP23中に形質転換した。形質転換細胞をそれらのDNA RFLPパターンにより実証した。
【0163】
実施例6
クレブシエラ・ニューモニアエdhaレギュロンからの遺伝子を有する
エシェリキア・コリの形質転換において用いるための発現プラスミドの構築
発現ベクターpTacIQの構築:
lacIq遺伝子(Farabaugh,Nature 274(5673),765−769(1978))及びtacプロモーター(Amann et al.,Gene 25,167−178(1983))をpBR322(Sutcliffe,Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.43,77−90(1979))の制限エンドヌクレアーゼ部位EcoRI中に挿入することにより、E.コリ発現ベクターpTacIQを調製した。多重クローニング部位(a multiple cloning site)及びターミネーター配列(配列番号:32)がEcoRIからSphIまでpBR322配列に取って代わる(replaces)。
グリセロールデヒドラターゼ遺伝子(dhaB1、2、3、X)のサブクローニング:
5’末端にEcoRI部位及び3’末端にXbaI部位が導入されたプライマー(配列番号:33及び配列番号:34)を用いるPCRにより、dhaB3遺伝子のための読取り枠をpHK28−26から増幅した。産物をpLitmus29(New England Biolab,Inc.,Beverly,MA)中にサブクローニングし、dhaB3を含有するプラスミドpDHAB3を形成した。
【0164】
pHK28−26からのdhaBオペロンのdhaB1、dhaB2、dhaB3及びdhaBXに関する全コード領域を含有する領域を、制限酵素KpnI及びEcoRIを用いてpBluescriptIIKS+(Stratagene,La Jolla,CA)中にクローニングし、プラスミドpM7を作った。
【0165】
ApaI及びXbaIを用いるプラスミドpM7の消化によりdhaBX遺伝子を除去し、5.9kbフラグメントを精製し、それをプラスミドpDHAB3からの325−bpのApaI−XbaIフラグメントと連結し、dhaB1、dhaB2及びdhaB3を含有するpM11を作った。
【0166】
5’末端にHindIII部位及び共通リボソーム結合部位及び3’末端にXbaI部位が導入されたプライマー(配列番号:35及び配列番号:36)を用いるPCRにより、dhaB1遺伝子のための読取り枠をpHK28−26から増幅した。産物をpLitmus28(New England Biolab,Inc.,Beverly,MA)中にサブクローニングし、dhaB1を含有するプラスミドpDT1を形成した。
【0167】
dhaB1遺伝子、dhaB2遺伝子及びdhaB3遺伝子の一部を含有するpM11からのNotI−XbaIフラグメントをpDT1中に挿入し、dhaB発現プラスミド、pDT2を作った。pDT2からのdhaB(1、2、3)遺伝子を含有するHindIII−XbaIフラグメントをpTacIQ中に挿入し、pDT3を作った。
1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ遺伝子(dhaT)のサブクローニング:
1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ(dhaT)遺伝子を含有するpHK28−26のKpnI−SacIフラグメントをpBluescriptII KS+中にサブクローニングし、プラスミドpAH1を作った。鋳型DNAとしてのpAH1ならびに5’末端にXbaI部位及び3’末端にBamHI部位が導入された合成プライマー(配列番号:37と配列番号:38)からのPCRにより、dhaT遺伝子を増幅した。産物をpCR−Script(Stratagene)中にSrfI部位においてサブクローニングし、dhaTを含有するプラスミドpAH4及びpAH5を形成した。プラスミドpAH4はpCR−Script中のlacプロモーターからの発現に関して正しい配向でdhaT遺伝子を含有し、pAH5は反対の配向でdhaT遺伝子を含有する。dhaT遺伝子を含有するpAH4からのXbaI−BamHIフラクメントをpTacIQ中に挿入し、プラスミドpAH8を形成した。RBS及びdhaT遺伝子を含有するpAH8からのHindII−BamHIフラグメントをpBluescriptIIKS+中に挿入し、pAH11を作った。
dhaT及びdhaB(1、2、3)のための発現カセットの構築:
標準的な分子生物学的方法を用い、dhaT及びdhaB(1、2、3)のための発現カセットを前記のそれぞれのdhaB(1、2、3)及びdhaTサブクローンから組み立てた。pDT3からのdhaB(1、2、3)遺伝子を含有するSpeI−SacIフラグメントをpAH11中にSpeI−SacI部位において挿入し、pAH24を作った。制限酵素SalI−XbaIで消化されたpAH5中にSalI−XbaIリンカー(配列番号:39及び配列番号:40)を挿入し、pDT16を作った。リンカーはXbaI部位を破壊する。次いでpDT16からの1kbのSalI−MluIフラグメントをpAH24中に挿入し、現存するSalI−MluIフラグメントに取って代わらせ、pDT18を作った。pDT18からのSalI−NotIフラグメント及びpM7からのNotI−XbaIフラグメントをpCL1920(配列番号:41)中に挿入することにより、pDT21を構築した。ストレプトミセスからのグルコースイソメラーゼプロモーター配列(配列番号:42)をPCRによりクローニングし、pLitmus28のEcoRI−HinDIII部位中に挿入し、pDT5を構築した。pDT5のEcoRI−PvuIIフラグメントをpCL1920のEcoRI−PvuI部位中に挿入することにより、pCL1925を構築した。pDT21のHinDIII−MluIIフラグメント及びpDT21のMluI−XbaIフラグメントをpCL1925のHinDIII−XbaI部位中にクローニングすることにより、pDT24を構築した。
dhaT及びdhaB(1、2、3、X)のための発現カセットの構築:
pDT18からのSalI−NotIフラグメント及びpM7からのNotI−XbaIフラグメントをpCL1920(配列番号:41)中に挿入することにより、pDT21を構築した。ストレプトミセスからのグルコースイソメラーゼプロモーター配列(配列番号:42)をPCRによりクローニングし、pLitmus28のEcoRI−HinDIII部位中に挿入し、pDT5を構築した。pDT5のEcoRI−PvuIIフラグメントをpCL1920のEcoRI−PvuI部位中に挿入することにより、pCL1925を構築した。pDT21のHinDIII−MluIIフラグメント及びpDT21のMluI−XbaIフラグメントをpCL1925のHinDIII−XbaI部位中にクローニングすることにより、pDT24を構築した。
dhaR、orfY、dhaT、orfX、orfW及びdhaB(1、2、3、X)のための発現カセットの構築:
pHK28−26のSacI−EcoRIフラグメントをpCL1925のSacI−EcoRI部位中に挿入することにより、pDT29を構築した。
dhaR、orfY、orfX、orfW及びdhaB(1、2、3、X)のための発現カセットの構築:
PCR−媒介オーバーラップエクステンションとして既知の方法により、遺伝子dhaTの最初の5つ及び最後の5つのコドン(及び停止コドン)を除くすべてが欠失しているプラスミドpDT29の誘導体を構築した。pDT29を鋳型として用い、以下のプライマーを用いて2つの一次PCR産物を形成した:
配列番号:43=5’GAC GCA ACA GTA TTC CGT CGC3’;
配列番号:44=5’ATG AGC TAT CGT ATG TTC CGC CAG GCA TTC TGA GTG TTA ACG3’;
配列番号:45=5’GCC TGG CGG AAC ATA CGA TAG CTC ATA ATA TAC3’;
配列番号:46=5’CGG GGC GCT GGG CCA GTA CTG3’。
【0168】
配列番号:45を配列番号:46と対にし、931bps且つ5’dhaB1(ユニークScaI部位まで)、orfYのすべて及びdhaTの最初の5つのコドンを含む核酸を包含する産物を形成した。配列番号:43を配列番号:44と対にし、1348bps且つdhaTの最後の5つのコドン(及び停止コドン)、orfXのすべて、orfWのすべて及び5’dhaR(ユニークSapI部位まで)を含む核酸を包含する産物を形成した。配列番号:44の5’末端における15の塩基は配列番号:45の15塩基部分の逆相補配列である尾部を構成する。同様に、配列番号:45の5’末端における11の塩基は、配列番号:44の11塩基部分の逆相補配列である尾部を構成する。かくして2つの一次PCR産物をアニーリング(26bp尾部オーバーラップを介する)及びPCRによる伸長(extending)の後に一緒にし、2253bpsの第3の核酸産物を形成した。この第3のPCR産物をSapI及びScaIを用いて消化し、やはりSapI及びScaIを用いて消化されたpDT29中に連結し、プラスミドpKP32を形成し、それはdhaT内における大きな読取り枠内欠失(in−frame deletion)を除いてpDT29と同じである。
【0169】
実施例7
E.コリ株KLP23/pAH48/pDT29を用いるグルコースの
1,3−プロパンジオールへの転換及び
KLP23/pAH48/pKP32を用いる改良法
予備−培養:
KLP23/pAH48/pDT29及びKLP23/pAH48/pKP32を発酵槽への播種のために、200mg/Lのカルベニシリン(もしくはアンピシリン)及び50mg/Lのスペクチノマイシンを含有する2YT培地(10g/L 酵母抽出物、16g/L トリプトン及び10g/L NaCl)中で予備−培養した。KLP23/pAH48/pKP32は、dhaTが欠失していることを除いてKLP23/pAH48/pDT29と同じである。
【0170】
2−LのErlenmeyerフラスコにおいて500mLの培地中で、凍結材料(frozen stocks)(凍結保護剤として10%DMSO)から培養を開始し、250rpmにおける震盪機中で35℃において、約1.0AUのOD550に達するまで成長させ、発酵槽への播種に用いた。
発酵培地:
以下の成分を発酵槽中で一緒に滅菌した:45g KH2PO4、12g クエン酸、12g MgSO4・7H2O、30g 酵母抽出物、2.0g クエン酸第2鉄アンモニウム、消泡剤としての5mL Mazu DF204、1.2g CaCl2・2H2O及び7.3mL 硫酸。20〜28%のNH4OHを用いてpHを6.8に上げ、以下の成分を加えた:1.2g カルベニシリンもしくはアンピシリン、0.30g スペクチノマイシン、60mLの微量栄養素の溶液及びグルコース(60〜67重量%供給材料から)。接種の後、容積は6.0Lであり、グルコース濃度は10g/Lであった。微量栄養素の溶液は(g/L):クエン酸.H2O(4.0)、MnSO4・H2O(3.0)、NaCl(1.0)、FeSO4・7H2O(0.10)、CoCl2・6H2O(0.10)、ZnSO4・7H2O(0.10)、CuSO4・5H2O(0.010)、H3BO3(0.010)及びNa2MoO4・2H2O(0.010)を含有した。
発酵成長:
上記の培地を用いて15Lの撹拌されたタンク発酵槽を調製した。温度を35℃で制御し、アンモニア水(20〜28重量%)を用いてpHを6.8に調節した。空気流量(1分当たりに6〜12標準リットルの最小値に設定)及び撹拌機速度(350〜690rpmの最小値に設定)に関する初期値は、OUR値が約140ミリモル/L/hに達したら溶解酸素(DO)制御が開始されるように設定された。背圧は0.5バールで制御された。DO制御は10%に設定された。小さな逸脱を除き、グルコースは60%もしくは67%(重量)供給材料を用いて0g/L〜10g/Lにおいて保持された。下記に記す通りにビタミンB12又は補酵素B12を加えた。
KLP23/pAH48/pDT29を用いる発酵:
E.コリ株KLP23/pAH48/pDT29を用いるグルコースの1,3−プロパンジオール(1,3−PD)への転換の代表的な発酵の概略を表4に示す。ビタミンB12(0.075g/L、500mL)を、接種から3時間後に開始して16mL/hの速度で供給した。1,3−プロパンジオールの収率は24重量%(消費されたグルコースのg当たりの1,3−プロパンジオールのg)であり、68g/Lの1,3−プロパンジオールの力価が得られた。
【0171】
【表5】
【0172】
同じビタミンB12供給材料を用い、発酵の時間経過を横切る(across)ビタミンB12の2倍濃度の添加又はボーラス添加において類似の結果が得られた。得られた最高の力価は77g/Lであった。
KLP23/pAH48/pKP32を用いる改良された発酵:
E.コリ株KLP23/pAH48/pKP32を用いるグルコースの1,3−プロパンジオール(1,3−PD)への転換の代表的な発酵の概略を表5に示す。ビタミンB12(0.150g/L、500mL)を、接種から3時間後に開始して16mL/hの速度で供給した。36h後、2Lの発酵ブイヨンをパージし、グルコース供給材料の連続的添加を可能にした。1,3−プロパンジオールの収率は26重量%(消費されたグルコースのg当たりの1,3−プロパンジオールのg)であり、112g/Lの1,3−プロパンジオールの力価が得られた。
【0173】
【表6】
【0174】
同じビタミンB12供給材料を用い、発酵の時間経過を横切るビタミンB12の半分の濃度の添加又はボーラス添加において類似の結果が得られた。得られた最高の力価は114g/Lであった。
【0175】
実施例8
グルコースからの1,3−プロパンジオールの高められた収率のための
E.コリKLP23のトリオースリン酸イソメラーゼ突然変異体の操作
E.コリKLP23におけるトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子置換のためのプラスミドの構築:
Puregene DNA Isolation Kit(Gentra Systems,Minneapolis,MN)を用いてE.コリKLP23ゲノムDNAを調製した。cdh及びトリオースリン酸イソメラーゼ(tpiA)遺伝子の3’末端を含有する1.0kbのDNAフラグメントを、プライマー配列番号:47及び配列番号:48を用いてKLP23ゲノムDNAからPCR(Mullis and Faloona,Methods Enzymol.155,335−350(1987))により増幅した。tpiAの5’末端、yiiQ及びyiiR遺伝子の5’末端を含有する1.0kbのDNAフラグメントを、プライマー配列番号:49及び配列番号:50を用い、KLP23ゲノムDNAからPCRにより増幅した。プライマー配列番号:49中にはScaI部位が導入された。プライマー配列番号:49の5’末端はプライマー配列番号:48の逆相補配列であり、続くオーバーラップエクステンションPCRを可能にした。オーバーラップエクステンション法(Horton et al.,Bio Techniques 8,528−535(1990))による遺伝子切除を用い、鋳型として上記の2つのPCRフラグメント及びプライマー配列番号:47及び配列番号:50を用いるPCRにより2.0kbのフラグメントを形成した。このフラグメントは、768bpのtpiA構造遺伝子の73%の欠失を示した。全体としてこのフラグメントは(部分的tpiA内の)ScaIクローニング部位の両側上に1.0kbのフランキング領域を有し、相同的組換えによる染色体遺伝子置換を可能にした。
【0176】
上記の平滑末端化された2.0kbのPCRフラグメントを、Zero Blunt PCR Cloning Kit(Invitrogen,San Diego,CA)を用いてpCR−Bluntベクター中にクローニングし、カナマイシン及びゼオシン耐性遺伝子を含有する5.5kbのプラスミドpRN106−2を得た。バクテリオファージP1 loxP部位(Snaith et al.,Gene 166,173−174(1995))によりフランキングされたクロラムフェニコール−耐性遺伝子を含有するpLoxCat1(未公開の結果)からの1.2kbのHincIIフラグメントを用い、プラスミドpRN106−2中のtpiAフラグメントを、それをScaI−消化プラスミドpRN106−2に連結することにより分断し、6.8kbのプラスミドpRN107−1を得た。
線状DNA形質転換によるトリオースリン酸イソメラーゼ突然変異体RJ8mの 操作:
鋳型としてpRN107−1ならびにプライマー配列番号:47及び配列番号:50を用い、tpiAフランキング領域及びloxP−CmR−loxPカセットを含有する3.2kbフラグメントをPCR増幅し、ゲル−抽出した。最高で1μgのこの3.2kbの線状DNAフラグメントを用いてE.コリKLP23を電気形質転換し、クロラムフェニコール−耐性(12.5μg/mL)且つカナマイシン−感受性(30μg/mL)である形質転換細胞をM9最少培地上で、1mMグルコース上における劣ったグルコース使用に関して、1mMグルコネート上における正常なグルコネート使用に関して、および1mMグルセロール上における宿主KLP23のグリセロール非−使用表現型を確かめるためにさらにスクリーニングした。1つのそのような突然変異体、RJ8mからのゲノムDNAのEcoRI消化は、無損傷のtpiA遺伝子を用い、サザン分析(Southern,J.Mol.Biol.98,503−517(1975))を介して精査すると、それが二重−交差組込み体(tpiA遺伝子置換)であることを示し、それはクロラムフェニコール耐性遺伝子内における追加のEcoRI部位の存在のおかげで2つの予測される6.6kb及び3.0kbバンドが観察されるからであった。予測通り、宿主KLP23及び野生−型FM5対照標準は、それぞれ単独の8.9kb及び9.4kbバンドを与えた。このtpiA突然変異体をプライマー配列番号:51及び配列番号:52を用いるゲノムPCRによりさらに分析し、それは予測される4.6kbのPCRフラグメントを与えたが、同じプライマー対に関し、宿主KLP23及び野生−型FM5株は両方とも予測される3.9kbのPCRフラグメントを与えた。tpiA突然変異体RJ8m及び宿主KLP23からの無−細胞抽出物を、基質としてグリセルアルデヒド3−リン酸を用いてtpiA活性に関して調べると、RJ8mの場合には活性が観察されなかった。プラスミドpAH48を用いてtpiA突然変異体RJ8mを電気形質転換し、グルコースからのグリセロール生産を可能にし、又、プラスミドpAH48とpDT29もしくはpKP32の両方を用いて電気形質転換し、グルコースからの1,3−プロパンジオール生産を可能にした。RJ8mからクロラムフェニコール耐性マーカーを除去してRJ8を得た。
【0177】
実施例9
E.コリ株RJ8/pAH48/pDT29を用いる
グルコースの1,3−プロパンジオールへの転換及び
RJ8/pAH48/pKP32を用いる改良法
予備−培養:
実施例7に記載した通り、RJ8/pAH48/pDT29及びRJ8/pAH48/pKP32を発酵槽への播種のために予備−培養した。RJ8/pAH48/pKP32は、dhaTが欠失していることを除いてRJ8/pAH48/pDT29と同じである。
発酵槽培地:
発酵槽培地は実施例7に記載した通りであった。
発酵成長:
発酵槽成長は、空気流量(分当たりに5〜6標準リットルの最小値に設定)及び撹拌機速度(300〜690rpmの最小値に設定)に関する初期値を、OUR値が60〜100ミリモル/L/hに達したら溶解酸素(DO)制御が開始されるように設定したことを除いて、実施例7に記載した通りであった。下記に記す通りにビタミンB12又は補酵素B12を加えた。
RJ8/pAH48/pDT29を用いる発酵:
E.コリ株RJ8/pAH48/pDT29を用いるグルコースの1,3−プロパンジオール(1,3−PD)への転換の代表的な発酵の概略を表6に示す。ビタミンB12は、2、8及び26hにそれぞれ2、16及び16mgのボーラス添加として与えた。1,3−プロパンジオールの収率は35重量%(消費されたグルコースのg当たりの1,3−プロパンジオールのg)であり、50.1g/Lの1,3−プロパンジオールの力価が得られた。
【0178】
【表7】
【0179】
RJ8/pAH48/pKP32を用いる改良された発酵:
E.コリ株RJ8/pAH48/pKP32を用いるグルコースの1,3−プロパンジオール(1,3−PD)への転換の代表的な発酵の概略を表7に示す。ビタミンB12は、約26及び44時間にそれぞれ48及び16mgのボーラス添加として与えた。1,3−プロパンジオールの収率は34重量%(消費されたグルコースのg当たりの1,3−プロパンジオールのg)であり、129g/Lの1,3−プロパンジオールの力価が得られた。
【0180】
【表8】
【0181】
実施例10
改良された1,3−プロパンジオールプロセスにおける
E.コリ非−特異的触媒活性(yghD)の同定
改良された触媒を用いる1,3−プロパンジオール−生産発酵における非−特異的触媒活性の立証:
1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ活性に関する全細胞アッセイを用い、発酵条件下で、ビタミンB12の添加及び3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−HPA)の生産の後に非−特異的触媒活性がE.コリ中に存在するが、前には存在しないことを示した。グリセロール−生産及び1,3−プロバンジオール−生産プラスミド、それぞれpAH48及びpKP32を含有する組換えE.コリ株を10Lの発酵槽において、本質的に実施例7に記載した通りに、しかしビタミンB12の不在下で成長させた。タンクが約100のOD550に達したらビタミンB12ボーラス(48mg)を加えた。ビタミンB12の添加の直前及び2h後に細胞のアリコートをタンクから採取した。遠心により細胞を回収し、新しいタンパク質合成を妨げるために150μg/mLのクロラムフェニコールを含有するPBS緩衝液中にそれらの最初の容積まで再懸濁させた。最終的容積が、約10のOD550において50mLとなるのに適した容積のクロラムフェニコール処理細胞を、反応混合物(10g/L グルコース、10g/L グリセロール、1mg/L 補酵素B12及び150μg/mL クロラムフェニコールを含有するPBS緩衝液)を含有する250mLのバフルドフラスコ(baffled flasks)に加えた。光から保護されたフラスコを35℃で250rpmにおいて震盪させた。時間の経過に及んでHPLC分析のためのアリコートを採取した。ビタミンB12添加の前もしくは後に発酵槽から回収された細胞を含有するフラスコ中で、3−HPAの時間−依存的生産が観察された。まさに対照的に、ビタミンB12添加の後に発酵槽から回収された細胞を含有するフラスコのみにおいて、有意なレベルの1,3−プロパンジオールが観察された。
無−細胞抽出物中における非−特異的触媒活性の検出:
未変性ゲル活性染色アッセイ(native gel activity stain assay)を用い、無−細胞抽出物中における非−特異的触媒活性を示した。ビタミンB12の添加の前及び後に、グリセロール−生産及び1,3−プロパンジオール−生産プラスミド、それぞれpAH48及びpKP32を含有する組換えE.コリ株を用いる代表的な10−L発酵から細胞を回収し;フレンチプレスを用いる細胞破壊により無−細胞抽出物を調製した。無−細胞抽出物、純粋なクレブシエラ・ニューモニアエ1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ(dhaT)の試料及び分子量標準を未変性勾配ポリアクリルアミドゲルに適用し、その上で移動させた(run out)。次いでゲルを基質1,3−プロパンジオールとNAD+又はエタノールとNAD+に暴露した。予想通り、1,3−プロパンジオールが基質であるゲルにおいては、DhaTに関する活性染色が観察され、それは未変性ゲル上を約340Kdalにおいて移動した。この活性は純粋なクレブシエラ・ニューモニアエ1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼが適用されたレーンのみで観察された。対照的に、1,3−プロパンジオールが基質であり、ビタミンB12−後無細胞抽出物が適用された場合、約90Kdalにおいて非−特異的触媒活性が観察された。基質としてエタノールが用いられると、DhaTバンドも非−特異的触媒活性バンドも見えず、ビタミンB12添加の前及び後に約120Kdalにおいて別のバンドが見いだされた。この新しいバンドは、典型的にはすべての生物において見いだされる、基質としてエタノールに対して特異性を有するアルコールデヒドロゲナーゼを示すのが最もありそうなことである。
【0182】
タンパク質が酵素アッセイ段階の前に分子量によって分離されるこの未変性ゲルアッセイは、活性が低く、E.コリに関して十分に特性化され且つすべての生物で見いだされる、基質としてエタノールに対して特異性を有するアルコールデヒドロゲナーゼと活性が異なっているらしい構築物における1,3−プロパンジオールの還元の測定で、より高い感度及び精度を与える。デヒドロゲナーゼアッセイは、デヒドロゲナーゼが1,3−プロパンジオール(又は他のアルコール)からNAD+への電子の伝達を触媒するという原理で働く。次いでPMS(フェナジンメトサルフェート)がNADHとゲル中で沈殿を形成するテトラゾリウムブロミド色素(MTT、3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)の間の電子伝達をカップリングさせる。基質中に数時間から終夜浸した後、ゲルを洗浄して試薬及び可溶性の色素を除去する。ゲル上の活性デヒドロゲナーゼがあるバンドにおいて、不溶性の青い色素が生成する。アッセイの種々の側面がJohnson and Lin(J.Bacteriol.169:2050(1987))により記載されている。
E.コリにおける非−特異的触媒活性の精製及び同定:
実施例7のKLP23/pAH48/pKP32を用いる改良法で記載した典型的な1,3−プロパンジオール生産実験の最後から収穫した細胞につき、非−特異的触媒活性の大規模な部分的精製を行った。細胞ペレット(16g)を洗浄し、20mL 50mM Hepes緩衝液、pH7.5中に3回再懸濁させた。音波処理により懸濁液中の細胞をライシスさせた。遠心(15分、20,000xg、10℃)により無−細胞抽出物を得、氷上で撹拌しながら250mgのプロタミンサルフェートを加えることにより、上澄み液をさらに透明にした。遠心(20分、20,000xg、10℃)によって得た上澄み液を、Hepes緩衝液を用いて平衡化されたSuperdexR200分取等級カラム(6x60cm)に通過させることにより分別した。10mLづつの画分を集め、それぞれのアリコートを10,000MWカットオフCentriconR膜を用いて25分の1に濃縮してから、未変性ゲル活性染色によりアッセイした。画分107−112において非−特異的触媒活性が同定され、画分108−109においてピーク活性が同定された。画分108及び109のもっと大きなアリコート(7mLづつ)を50分の1に濃縮し、12−レーンの未変性ゲルのすべてのレーン上に負荷した。ゲルを半分に切り、半分をデヒドロゲナーゼ活性に関して染色し、そこには暗青色のバンドが現れ、それは非−特異的触媒活性を示した。未染色のゲルを上から下に染色ゲルと並べ、非−特異的触媒活性のバンドに対応するバンドを未染色ゲル上で切った。ゲルのストリップを粉砕し、粉砕された粒子を0.5mLの2D−負荷緩衝液中に沈め、95℃に5分間加熱し、遠心してゲル粒子を除去することにより、可溶性タンパク質を抽出した。Swiss 2Dデータベース(http://www.expasy.ch/ch2d/;Tonella et al.Electrophoresis 19:1960−1971(1998))においてE.コリ抽出物の2D−PAGEのために記載されている条件を用い、2−次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D−PAGE)のために、上澄み液を等電点電気泳動(IEF)ストリップ上に負荷した。エレクトロブロッティングによりゲルをPVDF膜に移した。コロイドブルー(Colloidal blue)ゲル染色を用いて膜をタンパク質に関して染色した。非−特異的触媒活性を同定するために用いられた染色されたブロットを図6に示す。アミノ末端ペプチド配列決定のための標準的方法を用いてスポットを同定した。1つのスポット(スポットA)のみがオキシドレダクターゼ活性をコードした。スポットA(図6)の19サイクルは、FASTA探索機(search tool)により、推定オキシドレダクターゼ活性を有するE.コリの読取り枠であるyqhDのアミノ−末端と100%の同一性適合(identity match)を与えた。yqhDによりコードされるタンパク質に関する完全アミノ酸配列を配列番号:57に示し;対応するDNA配列を配列番号:58に示す。yqhD遺伝子は、おそらくNADH−依存性ブタノールデヒドロゲナーゼ2であるクロスツリジウム中の遺伝子adhBに40%の同一性を有する。E.コリKLP23中のyqhDの遺伝子破壊:
生化学的アッセイ及びアミノ−末端アミノ酸配列決定は、非−特異的触媒活性がE.コリyqhD遺伝子によりコードされるかも知れないことを示唆した。未知の機能のこの遺伝子は仮定的オキシドレダクターゼをコードし、dhaT遺伝子によりコードされるシトロバクテル・フレウンジイ及びクレブシエラ・ニューモニアエ1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ中にも見いだされる2つのアルコールデヒドロゲナーゼの特徴(signature)を含有する。
【0183】
この遺伝子を破壊するために、yqhDならびに830bpの5’−フランキングDNA配列及び906bpの3’−フランキングDNA配列をE.コリKLP23(実施例4)ゲノムDNAから、Taqポリメラーゼ及び以下のプライマーを用いるPCRにおいて増幅した:
(配列番号:59)5’−GCGGTACCGTTGCTCGACGCTCAGGTTTTCGG−3’
(配列番号:60)5’−GCGAGCTCGACGCTTGCCCTGATCGAGTTTTGC−3’
反応を94℃で1分間、50℃で1分間及び72℃で3分間、35サイクル行い、続いて72℃で5分間、最終的伸長を行った。得られる3.7KbのDNAフラグメントを精製し、SacI及びKpnIで消化し、同様に消化されたpBluescriptII KS(+)(Strategene)に16℃で16h連結した。連結されたDNAを用いてE.コリDH5α(Gibco/BRL)を形質転換し、X−gal(40μg/mL)及びアンピシリン(100μg/mL)を含有するLB寒天(Difco)上で白いコロニー色を示す形質転換細胞から期待されるプラスミド、pJSP29を単離した。プラスミドpJSP29をAflII及びNdeIで消化し、363bpのyqhD遺伝子及び46bpの3’−フランキングDNA配列を含む409bpのDNAフラグメントを遊離させた。残る5,350bpのDNAフラグメントを精製し、pLoxKan2(Genencor International,Palo Alto,CA)からのカナマイシン耐性遺伝子を含有する1,374bpのAflII/NdeI DNAフラグメントに16℃で16h連結した。連結されたDNAを用いてE.コリDH5αを形質転換し、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB寒天培地上で選択された形質転換細胞から期待されるプラスミド、pJSP32−Blueを単離した。プラスミドpJSP32−BlueをKpnI及びSacIで消化し、3,865bpのyqhD破壊カセットを精製し、同様に消化されたpGP704(Miller and Mekalanos,J.Bacteriol.170:2575−2583(1988))に16℃で16h連結した。連結されたDNAを用いてE.コリSY327(Miller and Mekalanos,J.Bacteriol.170:2575−2583(1988))を形質転換し、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB寒天培地上で選択された形質転換細胞から期待されるプラスミド、pJSP32を単離した。プラスミドpJSP32をE.コリKLP23中に形質転換し、形質転換細胞をカナマイシン(50μg/mL)を含有するLB寒天上で選択した。スクリーニングされた200のカナマイシン−耐性形質転換細胞の中で、2つが、yqhD破壊カセットによるyqhD遺伝子の置換を生ずる二重−交差組換え結果の場合に予測されるアンピシリン−感受性表現型を示した。
【0184】
これらの2つの形質転換細胞から単離されるゲノムDNAを鋳型として用い、ならびに以下の組のプライマー対を用いて、PCRによりyqhD遺伝子の破壊を確証した:
1組:
(配列番号:61)5’−GCGAGCTCGACGCTTGCCCTGATCGAGTTTTGC−3’
(配列番号:62)5’−CAGCTGGCAATTCCGGTTCG−3’
2組:
(配列番号:63)5’−CCCAGCTGGCAATTCCGGTTCGCTTGCTGT−3’
(配列番号:64)5’−GGCGACCCGACGCTCCAGACGGAAGCTGGT−3’
3組:
(配列番号:65)5’−CCGCAAGATTCACGGATGCATCGTGAAGGG−3’
(配列番号:66)5’−CGCCTTCTTGACGAGTTCTGAGCGGGA−3’
4組:
(配列番号:67)5’−GGAATTCATGAACAACTTTAATCTGCACAC−3’
(配列番号:68)5’−GTTTGAGGCGTAAAAAGCTTAGCGGGCGGC−3’
反応はExpand High Fidelity Polymerase(Boehringer Manheim)又はTaqポリメラーゼを含有するPlatinum PCR Supermix (Gibco/BRL)を用いて、94℃で1分間、50℃で1分間及び72℃で2分間、35サイクル行い、続いて72℃で5分間最終的伸長を行った。得られるPCR産物を1.0%(w/v)アガロース中におけるゲル電気泳動により分析した。表8にまとめる結果は、両方の形質転換細胞におけるyqhD遺伝子の破壊を確証した。
【0185】
【表9】
【0186】
yqhD破壊は、46bpの3’−フランキング遺伝子間DNA配列を含むyqhDの3’末端を欠失させる。欠失は121アミノ酸に対応する363bpの3’yqhDコード配列を除去する。停止コドンは、カナマイシン耐性カセット中の残りのyqhDコード配列の15bp下流に存在する。
【0187】
プラスミドpAH48及びpKP32をE.コリKLP23(yqhD-)中に共−形質転換し、両方のプラスミドを含有する形質転換細胞をアンピシリン(100μg/mL)及びスペクチノマイシン(50μg/mL)を含有するLB寒天上で選択した。代表的な形質転換細胞を、ビタミンB12の存在下もしくは不在下での10Lの発酵においてグルコースを1,3−プロパンジオールに転換するその能力に関して調べた。
E.コリ株KLP23/pAH48/pKP32における有意な1,3−プロパンジオール生産にyqhDが必要であることの立証:
1,3−プロパンジオール生産へのyqhD破壊の影響に関して調べるために、E.コリ株KLP23(yqhD-)/pAH48/pKP32を用い、本質的に実施例7に記載した通りに1,3−プロパンジオールの生産のための発酵を行った。
【0188】
非−特異的触媒活性のノックアウト、E.コリ株KLP23(yqhD-)/pAH48/pKP32を用いる代表的10−L発酵を表9に示す。OD550が30Aを越えた時に(10.4h)ビタミンB12を添加するまで、生物は安定して細胞塊及びグリセロールを堆積させた。ビタミンB12を10.4hに8mgのボーラス添加として与え、その後ビタミンB12を1.32mh/hの速度で連続的に供給した。B12の添加に続く4h以内に、グルコース消費が遅くなり、酸素使用速度が低下し、光学濃度におけるさらなる向上はなかった。グルコースの発酵が止まり、タンク中のグルコース濃度が蓄積した。得られた1,3−プロパンジオールの最高の力価は0.41g/Lであった。アンピシリン及びスペクチノマイシンを含有する寒天平板上で細胞の希釈系列を平板培養することにより、生物をその生存率に関して調べた。平板を30℃のインキュベーター中で24hインキュベーションした。E.コリKLP23(yqhD-)/pAH48/pKP32の発酵からの平板上に生存コロニーはなかった、表11。
【0189】
対照的に、ビタミンB12を加えなかった対照標準タンクからの細胞懸濁液は、グルコース供給溶液の完全な添加の故に10−Lタンクが満たされるまで、細胞塊及びグリセロールを生じ続けた(表10)。この発酵の最後における細胞懸濁液の希釈系列による寒天平板生存率決定は、光学濃度値により見積もられる合計細胞数と一致する生存細胞カウントを示した(表11)。
【0190】
【表10】
【0191】
【表11】
【0192】
【表12】
【0193】
【表13】
【0194】
【表14】
【0195】
【表15】
【0196】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【図1】 dhaレギュロンサブクローンpHK28−26の配列内の遺伝子体制。
【図2】 本質的に実施例7に記載するビタミンB12の一定の供給を用いた2つの発酵実験の間で比較される細胞外可溶性タンパク質(g/L)のグラフ。
【図3】 本質的に実施例7に記載するビタミンB12の一定の供給を用いた2つの発酵実験の間で比較される細胞生存率[(生存細胞/mL)/OD550]のグラフ。
【図4】 本質的に実施例7に記載する、しかしビタミンB12又は補酵素B12の不在下における2つの発酵実験の間で比較されるグルコースからのグリセロールの収率のグラフ。
【図5】 1,3−プロパンジオールへのグルコースの代謝的転換を示す流れ図。
【図6】 未変性ゲル上の内因性E.コリオキシドレダクターゼ活性(非−特異的触媒活性)を示すバンドから抽出される可溶性タンパク質画分を用いた2D−PAGE膜ブロット。
【配列表】
Claims (9)
- (a)(i)グリセロール又はジオールデヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子であって、前記グリセロールまたはジオールデヒドラターゼが、dhaB1(配列番号1のヌクレオチド7044-8711)、 dhaB2(配列番号1のヌクレオチド8724-9308)、およびdhaB3(配列番号1のヌクレオチ9311-9736);dhaB1(GenBank U30903のヌクレオチド3047-4714)、 dhaB2(GenBank U30903のヌクレオチド2450-2890)およびdhaB3(GenBank U30903のヌクレオチド2022-2447);gldA(GenBank U60992のヌクレオチド121-1788), gldB(GenBank U60992のヌクレオチド1801-2385)および gldC (GenBank U60992のヌクレオチド2388-2813);dhaB(GenBank U09771のヌクレオチド8556-10223), dhaC(GenBank U09771のヌクレオチド10235-10819)およびdhaE (GenBank U09771のヌクレオチド10822-11250); dhaB(GenBank AF051373のヌクレオチド84-1748)、 dhaC(GenBank AF051373のヌクレオチド1779-2318)および dhaE (GenBank AF051373のヌクレオチド2333-2773);またはpduC(GenBank AF026270のヌクレオチド3557-5221)、 pduD(GenBank AF026270のヌクレオチド5232-5906)およびpduE (GenBank AF026270のヌクレオチド5921-6442)によってコードされる配列を有する前記遺伝子;
(ii)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子であって、前記グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼがGenBank Z74071x2、Z35169、U321643またはM20938に記載の配列を有する前記遺伝子;
(iii)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子であって、前記グリセロール−3−ホスファターゼが配列番号56に記載の配列を有する、前記遺伝子;及び
(iv)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの遺伝子であって、前記デヒドラターゼ再活性化因子が、orfX(配列番号1のヌクレオチド4643-4996)およびorfZ(配列番号1の9749-11572)、 orf2b(GenBank U30903のヌクレオチド4762-7115)およびdhaB4 (GenBank U30903のヌクレオチド186-2009)、 orfX(GenBank U09771のヌクレオチド6180-6533)およびorfZ (GenBank U09771のヌクレオチド11261-13072)、 orfX (GenBank AF006034のヌクレオチド1-196)およびorfZ (GenBank AF051373のヌクレオチド2790-4598)、 pduH(GenBank AF026270のヌクレオチド8274-8645)およびpduG (GenBank AF026270のヌクレオチド6452-8284)またはddrB(GenBank AF017781のヌクレオチド2063-2440)およびddrA (GenBank AF017781のヌクレオチド241-2073)によってコードされる配列を有する前記遺伝子、
より成る1組の外因性遺伝子;ならびに
(b)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの内因性yqh遺伝子を含む組換えE.コリ(E.coli)であって、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない、前記組換えE.コリ。 - (a)(i)少なくとも1コピーのdhaR(配列番号1のヌクレオチド2209-4134);
(ii)少なくとも1コピーのorfY(配列番号1のヌクレオチド6202-6630の相補配列);
(iii)少なくとも1コピーのorfX(配列番号1のヌクレオチド4643-4996の相補配列);
(iv)少なくとも1コピーのorfW(配列番号1のヌクレオチド4112-4642の相補配列);
(v)少なくとも1コピーのdhaB1(配列番号1のヌクレオチド7044-8711)、dhaB2(配列番号1のヌクレオチド8724-9308)およびdhaB3(配列番号1のヌクレオチド9311-9736);および、
(vi)少なくとも1コピーのorfZ(配列番号1のヌクレオチド9749-11572)
より成る1組の外因性遺伝子、ならびに
(b)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの内因性yqhD遺伝子
を含む組換えE.コリであって、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない前記組換えE.コリ。 - さらに、各遺伝子が遺伝子を不活性化する突然変異を有する1組の内因性遺伝子を含み、該内因性遺伝子の組が:
(a)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするglpK遺伝子;
(b)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするgld遺伝子;及び
(c)トリオースリン酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするtpiA遺伝子から成る請求項2の組換えE.コリ。 - 適した条件下で請求項1、2または3の組換えE.コリを単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれる少なくとも1つの炭 素源と接触させ、それにより1,3−プロパンジオールを生産することを含む、
3−プロパンジオールの生物的生産のための方法。 - 適した条件下で
(a)(i)グリセロールまたはジオールデヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性遺伝子であって、前記グリセロールまたはジオールデヒドラターゼが、dhaB1(配列番号1のヌクレオチド7044-8711)、 dhaB2(配列番号1のヌクレオチド8724-9308)、およびdhaB3(配列番号1のヌクレオチ9311-9736);dhaB1(GenBank U30903のヌクレオチド3047-4714)、 dhaB2(GenBank U30903のヌクレオチド2450-2890)およびdhaB3(GenBank U30903のヌクレオチド2022-2447);gldA(GenBank U60992のヌクレオチド121-1788), gldB(GenBank U60992のヌクレオチド1801-2385)および gldC (GenBank U60992のヌクレオチド2388-2813);dhaB(GenBank U09771のヌクレオチド8556-10223), dhaC(GenBank U09771のヌクレオチド10235-10819)およびdhaE (GenBank U09771のヌクレオチド10822-11250); dhaB(GenBank AF051373のヌクレオチド84-1748)、 dhaC(GenBank AF051373のヌクレオチド1779-2318)および dhaE (GenBank AF051373のヌクレオチド2333-2773);またはpduC(GenBank AF026270のヌクレオチド3557-5221)、 pduD(GenBank AF026270のヌクレオチド5232-5906)およびpduE (GenBank AF026270のヌクレオチド5921-6442)によってコードされる配列を有する前記遺伝子;および、
(ii)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの外因性遺伝子であって、前記デヒドラターゼ再活性化因子が、orfX(配列番号1のヌクレオチド4643-4996)およびorfZ(配列番号1の9749-11572)、orf2b(GenBank U30903のヌクレオチド4762-7115)およびdhaB4 (GenBank U30903のヌクレオチド186-2009)、 orfX(GenBank U09771のヌクレオチド6180-6533)およびorfZ (GenBank U09771のヌクレオチド11261-13072)、orfX (GenBank AF006034のヌクレオチド1-196)およびorfZ (GenBank AF051373のヌクレオチド2790-4598)、 pduH(GenBank AF026270のヌクレオチド8274-8645)およびpduG (GenBank AF026270のヌクレオチド6452-8284)またはddrB(GenBank AF017781のヌクレオチド2063-2440)およびddrA (GenBank AF017781のヌクレオチド241-2073)によってコードされる配列を有する、前記遺伝子、
より成る1組の外因性遺伝子;および、
(b)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの内因性yqhD遺伝子
を含み、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする機能性dhaT遺伝子が存在しない組換えE.コリを、グリセロール及びジヒドロキシアセトンより成る群から選ばれる少なくとも1つの炭素源と接触させることを含む、
1,3−プロパンジオールの生物的生産方法。 - 組換えE.コリを第1の炭素源及び第2の炭素源と接触させることを含む1,3−プロパンジオールの生産法であって、前記組換えE.コリは:
(i)グリセロールまたはジオールデヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性遺伝子であって、前記グリセロールまたはジオールデヒドラターゼが、dhaB1(配列番号1のヌクレオチド7044-8711)、 dhaB2(配列番号1のヌクレオチド8724-9308)、およびdhaB3(配列番号1のヌクレオチ9311-9736);dhaB1(GenBank U30903のヌクレオチド3047-4714)、 dhaB2(GenBank U30903のヌクレオチド2450-2890)およびdhaB3(GenBank U30903のヌクレオチド2022-2447);gldA(GenBank U60992のヌクレオチド121-1788), gldB(GenBank U60992のヌクレオチド1801-2385)および gldC (GenBank U60992のヌクレオチド2388-2813);dhaB(GenBank U09771のヌクレオチド8556-10223), dhaC(GenBank U09771のヌクレオチド10235-10819)およびdhaE (GenBank U09771のヌクレオチド10822-11250); dhaB(GenBank AF051373のヌクレオチド84-1748)、 dhaC(GenBank AF051373のヌクレオチド1779-2318)および dhaE (GenBank AF051373のヌクレオチド2333-2773);またはpduC(GenBank AF026270のヌクレオチド3557-5221)、 pduD(GenBank AF026270のヌクレオチド5232-5906)およびpduE (GenBank AF026270のヌクレオチド5921-6442)によってコードされる配列を有する前記遺伝子;
(ii)デヒドラターゼ再活性化因子をコードする少なくとも1つの外因性遺伝子であって、前記デヒドラターゼ再活性化因子が、orfX(配列番号1のヌクレオチド4643-4996)およびorfZ(配列番号1の9749-11572)、orf2b(GenBank U30903のヌクレオチド4762-7115)およびdhaB4 (GenBank U30903のヌクレオチド186-2009)、 orfX(GenBank U09771のヌクレオチド6180-6533)およびorfZ (GenBank U09771のヌクレオチド11261-13072)、orfX (GenBank AF006034のヌクレオチド1-196)およびorfZ (GenBank AF051373のヌクレオチド2790-4598)、 pduH(GenBank AF026270のヌクレオチド8274-8645)およびpduG (GenBank AF026270のヌクレオチド6452-8284)またはddrB(GenBank AF017781のヌクレオチド2063-2440)およびddrA (GenBank AF017781のヌクレオチド241-2073)によってコードされる配列を有する、前記遺伝子;
(iii)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを1,3−プロパンジオールに転換する活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの内因性yqhD遺伝子を含み、ここで前記組換えE.コリ中に1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする機能性dhaT遺伝子は存在せず、且つここで第1の炭素源はグリセロール及びジヒドロキシアセトンより成る群から選ばれ、第2の炭素源は単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれる、前記1,3−プロパンジオールの生産法。 - 組換えE.コリがさらに
(a)グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子であって、前記グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼがGenBank Z74071x2、Z35169、U321643またはM20938に記載の配列を有する前記遺伝子;および
(b)グリセロール−3−ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子であって、前記グリセロール−3−ホスファターゼが配列番号56に記載の配列を有する、前記遺伝子
より成る1組の外因性遺伝子を含む請求項6の方法。 - 適した条件下に、以下の(i)および(ii)の条件を満たす組換えE.コリを少なくとも1つの炭素源と接触させることを含み、前記炭素源は単糖類、オリゴ糖類、多糖類及び1−炭素基質より成る群から選ばれる、1、3−プロパンジオールの生産法:
(i)以下の(A)および(B)からなる群より選ばれるdhaレギュロンを含む;
(A)クレブシエラ・ニューモニアのdhaR(配列番号1のヌクレオチド2209-4134)、orfW(配列番号1のヌクレオチド4112-4642)、orfX(配列番号1のヌクレオチド4643-4996)、orfY(配列番号1のヌクレオチド6202-6630)、dhaB1(配列番号1のヌクレオチド7044-8711)、dhaB2(配列番号1の8724-9308)、 dhaB3(配列番号1のヌクレオチド9311-9736)、およびorfZ(配列番号1のヌクレオチド9749-11572);および、
(B)dhaR(GenBank U09771のヌクレオチド3746-5671)、orfW(GenBank U09771のヌクレオチド5649-6179)、orfX(GenBank U09771のヌクレオチド6180-6533)、orfY(GenBank U09771のヌクレオチド7736-8164)、dhaB(GenBank U09771のヌクレオチド8556-10223)、dhaC(GenBank U09771のヌクレオチド10235-10819)、dhaE(GenBank U09771のヌクレオチド10822-11250)およびorfZ(GenBank U09771のヌクレオチド11261-13072)
;且つ
(ii)1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする機能性dhaT遺伝子が欠けている。 - 組換えE.コリが一組の内因性遺伝子をさらに含み、各遺伝子のそれぞれが前記遺伝子を不活性化する変異を有し、前記内因性遺伝子の組が
(i)グリセロールキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするglpK遺伝子;
(ii)グリセロールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするgld遺伝子;および
(iii)トリオースリン酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするtpiA遺伝子、
からなる、請求項8の方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US14953499P | 1999-08-18 | 1999-08-18 | |
US60/149,534 | 1999-08-18 | ||
PCT/US2000/022874 WO2001012833A2 (en) | 1999-08-18 | 2000-08-18 | Process for the biological production of 1,3-propanediol |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003507022A JP2003507022A (ja) | 2003-02-25 |
JP4716634B2 true JP4716634B2 (ja) | 2011-07-06 |
Family
ID=22530731
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001516920A Expired - Lifetime JP4716634B2 (ja) | 1999-08-18 | 2000-08-18 | 高力価を有する1,3−プロパンジオールの生物的生産法 |
Country Status (13)
Country | Link |
---|---|
US (5) | US6514733B1 (ja) |
EP (1) | EP1204755B1 (ja) |
JP (1) | JP4716634B2 (ja) |
KR (1) | KR100785997B1 (ja) |
CN (2) | CN1298852C (ja) |
AT (1) | ATE335823T1 (ja) |
BR (2) | BR0013315B1 (ja) |
CA (2) | CA2733616C (ja) |
DE (1) | DE60029971T2 (ja) |
DK (1) | DK1204755T3 (ja) |
HK (2) | HK1044963B (ja) |
PT (1) | PT1204755E (ja) |
WO (1) | WO2001012833A2 (ja) |
Families Citing this family (121)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU1619199A (en) * | 1997-12-02 | 1999-06-16 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Method for the production of glycerol by recombinant organisms |
AU2002314738A1 (en) | 2001-04-04 | 2002-10-21 | Genencor International, Inc. | Methods for the production of products in host cells |
CA2443145C (en) | 2001-04-04 | 2013-01-22 | Genencor International, Inc. | Uncoupled productive and catabolic host cell pathways |
JP2002330763A (ja) * | 2001-05-02 | 2002-11-19 | Ajinomoto Co Inc | 発酵法による目的物質の製造法 |
KR20040104581A (ko) | 2002-04-22 | 2004-12-10 | 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 | 유전공학용 프로모터 및 플라스미드 시스템 |
US20050079617A1 (en) | 2003-10-03 | 2005-04-14 | Cervin Marguerite A. | Glucose transport mutants for production of biomaterial |
CA2501574C (en) * | 2002-10-04 | 2013-12-03 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Process for the biological production of 1,3-propanediol with high yield |
AU2003277276A1 (en) | 2002-10-04 | 2004-05-04 | Genencor International, Inc. | Improved production of bacterial strains cross reference to related applications |
EP1583818A4 (en) | 2002-12-16 | 2007-08-15 | Du Pont | B12 DEPENDENT DEHYDRATASES WITH IMPROVED REACTION KINETICS |
KR100864672B1 (ko) * | 2003-04-02 | 2008-10-23 | 씨제이제일제당 (주) | 클렙시엘라 뉴모니아를 이용한 1,2-프로판디올의 생산방법 |
US7056439B2 (en) * | 2003-05-06 | 2006-06-06 | Tate & Lyle Ingredidents Americas, Inc. | Process for producing 1, 3-propanediol |
US7323539B2 (en) * | 2003-05-06 | 2008-01-29 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Polytrimethylene ether glycol and polytrimethylene ether ester with excellent quality |
FR2864967B1 (fr) * | 2004-01-12 | 2006-05-19 | Metabolic Explorer Sa | Microorganisme evolue pour la production de 1,2-propanediol |
WO2005093060A1 (ja) * | 2004-03-26 | 2005-10-06 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | 1,3−プロパンジオール及び/又は3−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法 |
WO2005103262A1 (en) * | 2004-04-20 | 2005-11-03 | Cj Corp. | A novel diol dehydratase gene cluster in listeria genus |
US20070029252A1 (en) * | 2005-04-12 | 2007-02-08 | Dunson James B Jr | System and process for biomass treatment |
WO2006110891A2 (en) * | 2005-04-12 | 2006-10-19 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Treatment of biomass to obtain a target chemical |
US7781191B2 (en) * | 2005-04-12 | 2010-08-24 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Treatment of biomass to obtain a target chemical |
CN101163729B (zh) | 2005-04-22 | 2013-04-10 | 三菱化学株式会社 | 来自生物质资源的聚酯及其制造方法 |
US7524660B2 (en) | 2005-05-05 | 2009-04-28 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Utilization of fructose in microbial production strains |
CN100427605C (zh) * | 2005-06-17 | 2008-10-22 | 清华大学 | 一种由粗淀粉原料生产1,3-丙二醇和2,3-丁二醇的方法 |
US9297028B2 (en) | 2005-09-29 | 2016-03-29 | Butamax Advanced Biofuels Llc | Fermentive production of four carbon alcohols |
US20080274526A1 (en) | 2007-05-02 | 2008-11-06 | Bramucci Michael G | Method for the production of isobutanol |
US8945899B2 (en) | 2007-12-20 | 2015-02-03 | Butamax Advanced Biofuels Llc | Ketol-acid reductoisomerase using NADH |
RU2394913C2 (ru) | 2005-10-26 | 2010-07-20 | Е.И.Дюпон Де Немур Энд Компани | Ферментативное получение четырехуглеродных спиртов |
US8956850B2 (en) * | 2008-06-05 | 2015-02-17 | Butamax Advanced Biofuels Llc | Enhanced pyruvate to acetolactate conversion in yeast |
CN100392071C (zh) * | 2005-12-05 | 2008-06-04 | 中国农业大学 | 产乳酸途径缺失的工程菌及其构建方法与应用 |
US20070275139A1 (en) * | 2006-02-10 | 2007-11-29 | Melissa Joerger | Food compositions comprising renewably-based, biodegradable1,3-propanediol |
US7759393B2 (en) | 2006-02-10 | 2010-07-20 | Dupont Tate & Lyle Bio Products Company, Llc | Bio-derived 1,3-propanediol and its conjugate esters as natural and non irritating solvents for biomass-derived extracts, fragrance concentrates, and oils |
US8206970B2 (en) | 2006-05-02 | 2012-06-26 | Butamax(Tm) Advanced Biofuels Llc | Production of 2-butanol and 2-butanone employing aminobutanol phosphate phospholyase |
US8828704B2 (en) | 2006-05-02 | 2014-09-09 | Butamax Advanced Biofuels Llc | Fermentive production of four carbon alcohols |
US20080003653A1 (en) * | 2006-06-29 | 2008-01-03 | Wenzel J Douglas | Supplementation of ethanol fermentations and processes including supplemental components |
WO2008052595A1 (en) * | 2006-10-31 | 2008-05-08 | Metabolic Explorer | Process for the biological production of 1,3-propanediol from glycerol with high yield |
WO2008052596A1 (en) * | 2006-10-31 | 2008-05-08 | Metabolic Explorer | Process for the biological production of n-butanol with high yield |
WO2008061187A1 (en) * | 2006-11-15 | 2008-05-22 | Dupont Tate & Lyle Bio Products Company, Llc | Preservative compositions comprising renewably-based, biodegradable 1,3-propanediol |
EP2821494B1 (en) | 2007-03-16 | 2017-03-08 | Genomatica, Inc. | Compositions and methods for the biosynthesis of 1,4-butanediol and its precursors |
MX2009011192A (es) * | 2007-04-18 | 2009-10-30 | Du Pont | Produccion fermentativa de isobutanol con el uso de enzimas reductoisomerasas con alta actividad acida y cetolica. |
US8426174B2 (en) * | 2007-05-02 | 2013-04-23 | Butamax(Tm) Advanced Biofuels Llc | Method for the production of 2-butanol |
DE102007027006A1 (de) * | 2007-06-08 | 2008-12-11 | Evonik Degussa Gmbh | Mikrobiologische Herstellung von Aldehyden, insbesondere von 3-Hydroxypropionaldehyd |
CN101130782B (zh) * | 2007-07-23 | 2011-01-26 | 江南大学 | 以葡萄糖为底物产1,3-丙二醇重组酿酒酵母的构建方法 |
US7947483B2 (en) | 2007-08-10 | 2011-05-24 | Genomatica, Inc. | Methods and organisms for the growth-coupled production of 1,4-butanediol |
US8445236B2 (en) * | 2007-08-22 | 2013-05-21 | Alliance For Sustainable Energy Llc | Biomass pretreatment |
US7807419B2 (en) * | 2007-08-22 | 2010-10-05 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Process for concentrated biomass saccharification |
US20090053800A1 (en) * | 2007-08-22 | 2009-02-26 | Julie Friend | Biomass Treatment Apparatus |
US7819976B2 (en) * | 2007-08-22 | 2010-10-26 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Biomass treatment method |
US8809059B2 (en) | 2007-09-21 | 2014-08-19 | Basf Plant Science Gmbh | Plants with increased yield |
WO2010030711A2 (en) | 2008-09-10 | 2010-03-18 | Genomatica, Inc. | Microorganisms for the production of 1,4-butanediol |
BRPI0913547A2 (pt) * | 2008-09-29 | 2020-08-18 | Butamax Advanced Biofuels Llc | célula bacteriana ácido-lática recombinante, método para a produção de 2-butanol e método para a produção de 2-butanona |
DE102009029567A1 (de) | 2008-10-02 | 2010-04-08 | Basf Se | Verfahren zur Abreicherung von Schwefel und/oder schwefelhaltigen Verbindungen aus einer biochemisch hergestellten organischen Verbindung |
CN101633928B (zh) * | 2008-10-22 | 2011-09-14 | 大连理工大学 | 一种醛还原酶的重组表达及其在甘油生物转化为1,3-丙二醇中的应用 |
CN102395671B (zh) * | 2008-12-03 | 2014-06-25 | 韩国生命工学研究院 | 用于制造1,3-丙二醇的丙三醇氧化途径中阻隔的突变体 |
US20100159521A1 (en) * | 2008-12-19 | 2010-06-24 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Ozone treatment of biomass to enhance enzymatic saccharification |
CN102341502B (zh) | 2008-12-31 | 2015-07-01 | 代谢探索者公司 | 用于制备二醇的方法 |
KR101189187B1 (ko) * | 2009-03-12 | 2012-10-10 | 한국생명공학연구원 | 글리세롤 산화대사경로를 차단시킨 재조합 균주를 이용한 1、3―프로판디올의 제조방법 |
US8338148B2 (en) * | 2009-03-12 | 2012-12-25 | Korea Research Institute Of Bioscience And Biotechnology | Method of producing 1,3-propanediol using recombinant Klebsiella strain in which glycerol oxidative pathway has been blocked |
EP3392340B1 (en) | 2009-06-04 | 2022-01-05 | Genomatica, Inc. | Microorganisms for the production of 1,4-butanediol and related methods |
VN29235A1 (ja) * | 2009-06-04 | 2012-03-26 | ||
EP2459711B1 (en) | 2009-07-30 | 2016-04-06 | Metabolic Explorer | Mutant YqhD enzyme for the production of a biochemical by fermentation |
KR101048485B1 (ko) * | 2009-08-17 | 2011-07-12 | 부산대학교 산학협력단 | 재조합 대장균을 배양하여 글리세롤로부터 3-히드록시프로피온산 및 1,3-프로판디올을 동시 생산하는 방법 |
KR20120083391A (ko) | 2009-09-09 | 2012-07-25 | 유니베르시다데 에스타듀알 데 캄피나스-유니캄프 | 조작된 미생물 및 n-프로판올, 프로필렌 및 폴리프로필렌의 통합 제조방법 |
CA2777459A1 (en) * | 2009-10-13 | 2011-04-21 | Genomatica, Inc. | Microorganisms for the production of 1,4-butanediol, 4-hydroxybutanal, 4-hydroxybutyryl-coa, putrescine and related compounds, and methods related thereto |
US8852903B2 (en) | 2009-10-23 | 2014-10-07 | E I Du Pont De Nemours And Company | Co-metabolism of fructose and glucose in microbial production strains |
EP2495328B1 (en) * | 2009-10-29 | 2016-03-30 | Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology | Novel method for producing 3-hydroxypropionic acid from glycerol |
US8530210B2 (en) | 2009-11-25 | 2013-09-10 | Genomatica, Inc. | Microorganisms and methods for the coproduction 1,4-butanediol and gamma-butyrolactone |
US20110136190A1 (en) | 2009-12-04 | 2011-06-09 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Recombinant bacteria for producing glycerol and glycerol-derived products from sucrose |
CA2788811A1 (en) | 2010-02-11 | 2011-08-18 | Metabolix, Inc. | Process for gamma-butyrolactone production |
US8637286B2 (en) | 2010-02-23 | 2014-01-28 | Genomatica, Inc. | Methods for increasing product yields |
US8048661B2 (en) | 2010-02-23 | 2011-11-01 | Genomatica, Inc. | Microbial organisms comprising exogenous nucleic acids encoding reductive TCA pathway enzymes |
US8721794B2 (en) | 2010-04-28 | 2014-05-13 | E I Du Pont De Nemours And Company | Production of high solids syrup from lignocellulosic biomass hydrolysate fermentation broth |
US8906235B2 (en) | 2010-04-28 | 2014-12-09 | E I Du Pont De Nemours And Company | Process for liquid/solid separation of lignocellulosic biomass hydrolysate fermentation broth |
KR101220499B1 (ko) * | 2010-05-25 | 2013-01-10 | 한국생명공학연구원 | 글리세롤로부터 3-하이드록시프로피온산을 고수율로 제조하는 방법 |
TWI500768B (zh) * | 2010-07-05 | 2015-09-21 | Metabolic Explorer Sa | 由蔗糖製備1,3-丙二醇之方法 |
US8651403B2 (en) | 2010-07-21 | 2014-02-18 | E I Du Pont De Nemours And Company | Anhydrous ammonia treatment for improved milling of biomass |
US20120125551A1 (en) | 2010-11-23 | 2012-05-24 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Biomass pretreatment process for a packed bed reactor |
US20120125548A1 (en) | 2010-11-23 | 2012-05-24 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Continuously fed biomass pretreatment process for a packed bed reactor |
US8129170B1 (en) | 2010-12-06 | 2012-03-06 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Recombinant bacteria having the ability to metabolize sucrose |
CN103347999B (zh) | 2010-12-13 | 2016-02-10 | 麦兰特公司 | 使用含有蔗糖的原料生产琥珀酸和其他化学品的方法 |
AU2012230737B2 (en) | 2011-03-24 | 2017-02-23 | Butamax (Tm) Advanced Biofuels Llc | Host cells and methods for production of isobutanol |
CN103476914A (zh) | 2011-04-13 | 2013-12-25 | Elc管理公司 | 用于个人护理组合物的调节剂 |
CA2830975C (en) | 2011-04-13 | 2016-06-21 | Elc Management Llc | Mild anionic surfactants suitable for personal care compositions |
US20140114082A1 (en) | 2011-06-08 | 2014-04-24 | Metabolix, Inc. | Biorefinery Process For THF Production |
EP2540834A1 (en) * | 2011-06-29 | 2013-01-02 | Metabolic Explorer | Method for the preparation of 1,3-propanediol |
JP2013013353A (ja) * | 2011-07-01 | 2013-01-24 | Daicel Corp | 1,3−プロパンジオールの製造方法 |
EP2742143A1 (en) | 2011-08-10 | 2014-06-18 | Metabolix, Inc. | Post process purification for gamma-butyrolactone production |
JP2013070675A (ja) * | 2011-09-28 | 2013-04-22 | Daicel Corp | アルキルジオールを産生する組換え菌の培養方法 |
US20160024532A1 (en) * | 2012-02-23 | 2016-01-28 | The Regents Of The University Of California | Atp driven direct photosynthetic production of fuels and chemicals |
US8686114B2 (en) | 2012-03-05 | 2014-04-01 | E I Du Pont De Nemours And Company | Variant sucrose transporter polypeptides |
US9017961B2 (en) | 2012-03-05 | 2015-04-28 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Recombinant bacteria comprising novel sucrose transporters |
AU2013266727A1 (en) | 2012-05-11 | 2014-11-06 | Butamax Advanced Biofuels Llc | Ketol-acid reductoisomerase enzymes and methods of use |
US11932845B2 (en) | 2012-06-04 | 2024-03-19 | Genomatica, Inc. | Microorganisms and methods for production of 4-hydroxybutyrate, 1,4-butanediol and related compounds |
KR20150045432A (ko) | 2012-07-11 | 2015-04-28 | 엥스티튀 나쇼날 데 샹스 아플리케 드 툴루즈 | 변형된 1,3-프로판올 생산 미생물 |
AU2013323427A1 (en) | 2012-09-26 | 2015-03-05 | Butamax (Tm) Advanced Biofuels Llc | Polypeptides with ketol-acid reductoisomerase activity |
US20140113342A1 (en) * | 2012-10-18 | 2014-04-24 | Algenol Biofuels Inc. | Production of 1,2-Propanediol in Cyanobacteria |
CN104919039A (zh) * | 2012-10-18 | 2015-09-16 | 阿尔吉诺生物技术有限责任公司 | 在蓝藻中生产1,3-丙二醇 |
US9845474B2 (en) | 2012-10-24 | 2017-12-19 | Calysta, Inc. | Engineering of multi-carbon substrate utilization pathways in methanotrophic bacteria |
US20140178954A1 (en) | 2012-12-20 | 2014-06-26 | E I Du Pont De Nemours And Company | Expression of xylose isomerase activity in yeast |
US9187743B2 (en) | 2013-03-11 | 2015-11-17 | E I Du Pont De Nemours And Company | Bacterial xylose isomerases active in yeast cells |
US8669076B1 (en) | 2013-03-11 | 2014-03-11 | E I Du Pont De Nemours And Company | Cow rumen xylose isomerases active in yeast cells |
US20140273105A1 (en) | 2013-03-12 | 2014-09-18 | E I Du Pont De Nemours And Company | Gradient pretreatment of lignocellulosic biomass |
WO2014160262A1 (en) | 2013-03-14 | 2014-10-02 | Abengoa Bioenergy New Technologies, Llc | Methods for converting cellulosic waste to bioproducts |
EP3041942B1 (en) | 2013-09-03 | 2020-07-01 | PTT Global Chemical Public Company Limited | A process for manufacturing acrylic acid, acrylonitrile and 1,4-butanediol from 1,3-propanediol |
US10227623B2 (en) | 2013-11-24 | 2019-03-12 | E I Du Pont De Nemours And Company | High force and high stress destructuring of cellulosic biomass |
KR101577503B1 (ko) | 2013-12-16 | 2015-12-14 | 지에스칼텍스 주식회사 | 1,3-프로판디올 생성능이 개선된 재조합 미생물 및 이를 이용한 1,3-프로판디올의 생산 방법 |
CN103789248B (zh) * | 2014-02-14 | 2016-03-02 | 江苏大学 | 一种1,3-丙二醇基因工程菌及转化生产1,3-丙二醇的方法 |
WO2016007350A1 (en) | 2014-07-09 | 2016-01-14 | Danisco Us Inc. | Preconditioning of lignocellulosic biomass |
CN104726505A (zh) * | 2015-03-31 | 2015-06-24 | 上海交通大学 | 一种利用基因工程蓝藻生产三碳化合物的方法 |
CN104774879B (zh) * | 2015-04-29 | 2017-10-20 | 大连理工大学 | 一种混菌发酵甘油生产1,3‑丙二醇的方法 |
EP3330375A1 (en) | 2015-07-29 | 2018-06-06 | Abengoa Bioenergía Nuevas Tecnologías, S. A. | Expression of recombinant beta-xylosidase enzymes |
US9968531B2 (en) | 2015-08-05 | 2018-05-15 | Dupont Tate & Lyle Bio Products Company, Llc | Deodorants containing 1,3-propanediol |
CN109415716A (zh) | 2016-04-08 | 2019-03-01 | 纳幕尔杜邦公司 | 用于酵母的阿拉伯糖异构酶 |
CN106906248A (zh) * | 2017-03-28 | 2017-06-30 | 清华大学 | 一种利用重组微生物发酵生产1,3‑丙二醇的方法 |
CN107119003B (zh) * | 2017-04-28 | 2020-04-24 | 中国科学院青岛生物能源与过程研究所 | 一种利用葡聚糖合成3-羟基丙酸的重组菌及其构建方法和应用 |
KR101994772B1 (ko) * | 2017-11-09 | 2019-07-01 | 지에스칼텍스 주식회사 | 포도당으로부터 1,3-프로판디올를 생산하는 신규한 크렙시엘라 뉴모니아 균주 및 이를 이용한 1,3 프로판디올의 생산방법 |
CN108085288B (zh) * | 2017-12-22 | 2021-03-09 | 广东清大智兴生物技术有限公司 | 一种利用重组微生物发酵生产1,3-丙二醇的方法 |
KR102053330B1 (ko) | 2018-04-23 | 2019-12-06 | 한국과학기술연구원 | 글리세롤을 포함하는 미생물 발효용 조성물 및 이를 이용한 부티르산의 생산방법 |
KR102201720B1 (ko) | 2018-05-24 | 2021-01-12 | 한화솔루션 주식회사 | 1,3-pdo 생성능을 가지고 3-hp 생성능이 저해된 재조합 코리네박테리움 및 이를 이용한 1,3-pdo의 제조방법 |
CN109321610B (zh) * | 2018-11-01 | 2022-11-04 | 上海交通大学 | 微生物发酵法高效制备2-氨基-1,3-丙二醇 |
CN110205277A (zh) * | 2019-05-14 | 2019-09-06 | 河北科技师范学院 | 肠炎沙门菌glpK基因缺失的应用 |
CN116064352A (zh) * | 2020-03-12 | 2023-05-05 | 中国科学院上海高等研究院 | 高产1,3-丙二醇的克雷伯氏工程菌构建方法及应用 |
CN114107145B (zh) * | 2021-11-04 | 2024-05-07 | 清华大学 | 一种重组微生物及其在生产1,3-丙二醇中的应用 |
WO2024117834A1 (ko) * | 2022-11-30 | 2024-06-06 | 주식회사 엘지화학 | 1,3-propanediol과 3-hydroxypropionic acid를 동시 생산하는 미생물 및 이의 용도 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3734764A1 (de) | 1987-10-14 | 1989-05-03 | Huels Chemische Werke Ag | Verfahren zur herstellung von propandiol-(1,3) |
DE3878564T2 (de) | 1988-12-12 | 1993-08-19 | Unilever Nv | Verfahren zur mikrobiologischen herstellung von 1,3-propandiol aus glycerin. |
US5686276A (en) | 1995-05-12 | 1997-11-11 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Bioconversion of a fermentable carbon source to 1,3-propanediol by a single microorganism |
KR100509310B1 (ko) | 1996-11-13 | 2005-08-22 | 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 | 재조합 유기체에 의한 1,3-프로판디올의 생산 방법 |
AU1619199A (en) | 1997-12-02 | 1999-06-16 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Method for the production of glycerol by recombinant organisms |
-
2000
- 2000-08-18 CN CNB008144362A patent/CN1298852C/zh not_active Expired - Lifetime
- 2000-08-18 KR KR1020027002027A patent/KR100785997B1/ko active IP Right Grant
- 2000-08-18 EP EP00955772A patent/EP1204755B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-08-18 US US09/641,652 patent/US6514733B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-08-18 BR BRPI0013315-9B1A patent/BR0013315B1/pt active IP Right Grant
- 2000-08-18 DK DK00955772T patent/DK1204755T3/da active
- 2000-08-18 JP JP2001516920A patent/JP4716634B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 2000-08-18 BR BRPI0013315A patent/BRPI0013315B8/pt not_active IP Right Cessation
- 2000-08-18 DE DE60029971T patent/DE60029971T2/de not_active Expired - Lifetime
- 2000-08-18 PT PT00955772T patent/PT1204755E/pt unknown
- 2000-08-18 WO PCT/US2000/022874 patent/WO2001012833A2/en active IP Right Grant
- 2000-08-18 CA CA2733616A patent/CA2733616C/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-08-18 AT AT00955772T patent/ATE335823T1/de not_active IP Right Cessation
- 2000-08-18 CN CNA2006101688404A patent/CN101024843A/zh active Pending
- 2000-08-18 CA CA2380616A patent/CA2380616C/en not_active Expired - Lifetime
-
2002
- 2002-08-28 HK HK02106363.4A patent/HK1044963B/zh not_active IP Right Cessation
- 2002-10-21 US US10/277,249 patent/US7067300B2/en not_active Expired - Lifetime
-
2003
- 2003-05-06 HK HK03103219A patent/HK1051055A1/xx not_active IP Right Cessation
-
2006
- 2006-01-16 US US11/282,497 patent/US7504250B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2006-02-13 US US11/282,993 patent/US7452710B2/en not_active Expired - Lifetime
-
2009
- 2009-02-16 US US12/371,745 patent/US20090253192A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CA2380616A1 (en) | 2001-02-22 |
BR0013315A (pt) | 2002-04-02 |
CA2380616C (en) | 2011-05-24 |
US20060121588A1 (en) | 2006-06-08 |
DE60029971T2 (de) | 2007-05-16 |
US6514733B1 (en) | 2003-02-04 |
KR20020059364A (ko) | 2002-07-12 |
US7504250B2 (en) | 2009-03-17 |
BR0013315B1 (pt) | 2013-06-25 |
ATE335823T1 (de) | 2006-09-15 |
CA2733616A1 (en) | 2001-02-22 |
WO2001012833A2 (en) | 2001-02-22 |
BRPI0013315B8 (pt) | 2018-02-27 |
HK1044963A1 (en) | 2002-11-08 |
JP2003507022A (ja) | 2003-02-25 |
US20060148053A1 (en) | 2006-07-06 |
US7067300B2 (en) | 2006-06-27 |
US7452710B2 (en) | 2008-11-18 |
CN1379818A (zh) | 2002-11-13 |
CA2733616C (en) | 2016-09-27 |
EP1204755A2 (en) | 2002-05-15 |
HK1044963B (zh) | 2007-01-19 |
DE60029971D1 (de) | 2006-09-21 |
KR100785997B1 (ko) | 2007-12-14 |
US20030157674A1 (en) | 2003-08-21 |
WO2001012833A3 (en) | 2001-08-30 |
EP1204755B1 (en) | 2006-08-09 |
US20090253192A1 (en) | 2009-10-08 |
HK1051055A1 (en) | 2003-07-18 |
CN101024843A (zh) | 2007-08-29 |
CN1298852C (zh) | 2007-02-07 |
PT1204755E (pt) | 2006-11-30 |
DK1204755T3 (da) | 2006-12-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4716634B2 (ja) | 高力価を有する1,3−プロパンジオールの生物的生産法 | |
US7371558B2 (en) | Process for the biological production of 1,3-propanediol with high yield | |
JP4570775B2 (ja) | 組換え生物によるグリセロールの産生方法 | |
EP1076708B1 (en) | Method for the production of 1,3-propanediol by recombinant organisms comprising genes for vitamin b 12 transport | |
JP2001503636A (ja) | 1,3―プロパンジオールの組換え生産方法 | |
EP1586647A1 (en) | Process for the biological production of 1,3-propanediol with high titer | |
US20210198639A1 (en) | Mutant phosphoserine aminotransferase for the conversion of homoserine into 4-hydroxy-2-ketobutyrate | |
MXPA02001712A (en) | Process for the biological production of 1,3-propanediol with high titer |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070809 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20080303 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20081126 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20081126 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20090306 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20090306 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20090313 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100510 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100622 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100720 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20101020 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20101027 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110131 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110217 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110217 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110322 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110329 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4716634 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408 Year of fee payment: 3 |
|
R154 | Certificate of patent or utility model (reissue) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |