JP4703786B2 - リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子、及び同物質膜、並びにリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子、及び同物質膜、並びにリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子(板状粒子の定義は後述する)、及び同物質膜(膜と粒子との区別は後述する)に関する。さらに、本発明は、上述の板状粒子又は膜を含む正極を備えたリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)の正極材料として、コバルト系の正極活物質が広く用いられている。このコバルト系の正極活物質(典型的にはLiCoO)は、いわゆるα−NaFeO型の層状岩塩構造を有している。このコバルト系の正極活物質においては、(003)面以外の結晶面(例えば(101)面や(104)面)にて、リチウムイオン(Li)の出入りが生じる。かかるリチウムイオンの出入りによって、充放電動作が行われる。
この種の電池の正極活物質においては、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面((003)面以外の面:例えば(101)面や(104)面)が、より多く電解質に露出することで、電池の容量が向上する。また、単に容量だけでなく、耐久性やサイクル特性等、より多くの特性を向上させることが求められている。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、容量や耐久性その他の特性が従来よりも向上した、リチウム二次電池を提供することにある。
本発明のリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子は、層状岩塩構造を有していて、リチウムイオンの出入面(以下、「リチウムイオン出入面」と称する。)が、粒子の板面(板面の定義は後述する)と平行に配向することで、当該板面にて露出するように形成されている。なお、この粒子は、100μm以下(例えば20μm以下)の厚さに形成され得る。
ここで、「リチウムイオン出入面」とは、上述の通り、リチウムイオン二次電池の充放電の際にリチウムイオンが良好に出入りする結晶面であって、例えば、(101)面や(104)面等がこれに該当する。すなわち、本発明の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子は、(003)以外の面(例えば(104)面)が前記板面と平行となるように配向するように形成されている。
また、「層状岩塩構造」とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち、酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。また、「(104)面が前記板面と平行となるように配向する」は、(104)面の法線方向である[104]軸が前記板面の法線方向と平行となるように、(104)面が配向する、とも言い換えることができる。
上述の特徴を換言すると、本発明の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子においては、層状岩塩構造における[003]軸が、粒子の前記板面の法線と交差する方向となる。すなわち、この粒子は、[003]軸と交差する結晶軸(例えば[104]軸)が前記板面と直交する方向となるように形成されている。
また、「板状粒子」とは、外形形状が板状である粒子のことをいう。「板状」という概念は、本明細書にて特段の説明を加えなくても社会通念上明確ではあるが、敢えて付言すると、例えば、以下のように定義づけられる。
すなわち、「板状」とは、粒子を水平面(重力が作用する方向である鉛直方向と直交する平面)上に安定的に(外部からの衝撃(当該粒子が前記水平面から飛翔してしまうような強力な衝撃は除く)を受けてもさらに転倒することがないような態様で)載置した状態で、前記水平面と直交する第一の平面及び第二の平面(前記第一の平面と前記第二の平面とは交差し、典型的には直交する。)による当該粒子の断面を観察した場合に、いずれの断面においても、前記水平面に沿った(前記水平面と平行、あるいは前記水平面とのなす角度がα度(0<α<45)となる)方向である幅方向における寸法(かかる寸法は粒子の「幅」と称される。)の方が、当該幅方向と直交する方向である厚さ方向における寸法(かかる寸法は粒子の「厚さ」と称される。)よりも大きい状態をいう。なお、上述の「厚さ」は、前記水平面と当該粒子との間の空隙部分を含まない。
本発明の板状粒子は、通常、平板状に形成される。ここで、「平板状」とは、粒子を水平面上に安定的に載置した状態で、前記水平面と当該粒子との間に形成される空隙の高さが、粒子の厚さよりも小さい状態をいうものとする。これ以上屈曲したものは、この種の板状粒子では通常生じないため、本発明の板状粒子に対しては、上述の定義が適切なものとなる。
粒子を水平面上に安定的に載置した状態において、前記厚さ方向は、必ずしも前記鉛直方向と平行な方向になるとは限らない。例えば、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、前記第一の平面又は前記第二の平面による当該粒子の断面形状を、(1)長方形、(2)菱形、(3)楕円形、のいずれの形状に最も近似するかを分類した場合を想定する。この粒子断面形状が(1)長方形に近似するとき、前記幅方向は上述の状態における前記水平面と平行な方向となり、前記厚さ方向は上述の状態における前記鉛直方向と平行な方向となる。
一方、(2)菱形や(3)楕円形のときは、前記幅方向は上述の状態における前記水平面と若干の角度(45度以下:典型的には数〜20度程度)をなすこととなる。このときは、前記幅方向は、当該断面による外形線上の2点であって互いの距離が最も長くなるもの同士を結んだ方向となる(かかる定義は上述の(1)長方形の場合は、対角線となってしまうために適切ではない)。
また、粒子の「板面」とは、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、当該水平面と対向する面、又は、当該水平面からみて当該粒子よりも上方に位置し当該水平面と平行な仮想平面と対向する面をいう。粒子の「板面」は、板状粒子における最も広い面であるため、「主面(principal surface)」と称されることもある。なお、この板面(主面)と交差する(典型的には直交する)面、すなわち、前記厚さ方向と垂直な方向である板面方向(あるいは面内方向)と交差する面は、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、当該粒子の平面視(当該粒子を水平面上に安定的に載置した状態で前記鉛直方向における上方から見た場合)における端縁に生じることから、「端面」と称される。
もっとも、本発明におけるリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子は、その粒子断面形状が上述の(1)長方形に近似することが多い。このため、本発明におけるリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子においては、前記厚さ方向は、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における前記鉛直方向と平行な方向と云っても差し支えない。同様に、本発明におけるリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子においては、粒子の「板面」は、粒子の前記厚さ方向と直交する表面と云っても差し支えない。
本発明のリチウム二次電池は、本発明の正極活物質用の板状粒子を正極活物質として含む正極と、炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた電解質と、を備えている。
そして、リチウム二次電池の正極を構成するに際しては、例えば、かかる正極活物質用の板状粒子を所定のバインダー中に分散することで、正極活物質層が形成される。そして、この正極活物質層と所定の正極集電体との積層体によって、前記正極が構成される。すなわち、この場合、前記正極は、前記板状粒子を含む前記正極活物質層と、前記正極集電体と、が重ね合わせられることによって構成されている。
本発明のリチウム二次電池の正極活物質膜は、層状岩塩構造を有していて、リチウムイオン出入面が、膜の板面(膜の「板面」の定義は後述する)と平行に配向することで、当該板面にて露出するように形成されている。すなわち、本発明の、リチウム二次電池の正極活物質膜は、(003)以外の面(例えば(104)面)が前記板面と平行となるように配向するように形成されている。なお、この膜は、100μm以下(例えば20μm以下)の厚さに形成され得る。
上述の特徴を換言すると、本発明の、リチウム二次電池の正極活物質膜においては、層状岩塩構造における[003]軸が、膜の前記板面の法線と交差する方向となる。すなわち、この粒子は、[003]軸と交差する軸(例えば[104]軸)が前記板面と直交する方向となるように形成されている。
ここで、膜の「厚さ方向」とは、当該膜を水平面上に安定的に載置した状態における、前記鉛直方向と平行な方向をいう(かかる方向における膜の寸法は「厚さ」と称される。)。膜の「板面」とは、膜の厚さ方向と直交する表面をいう。膜の「板面」は、当該膜における最も広い面であるため、「主面(principal surface)」と称されることもある。なお、この板面(主面)と交差する(典型的には直交する)面、すなわち、前記厚さ方向と垂直な方向である板面方向(あるいは面内方向)と交差する面は、膜を水平面上に安定的に載置した状態における、当該膜の平面視(当該膜を水平面上に安定的に載置した状態で前記鉛直方向における上方から見た場合)における端縁に生じることから、「端面」と称される。なお、上述の「厚さ」は、前記水平面と当該粒子との間の空隙部分を含まない。
本発明の正極活物質膜は、通常、平坦に形成される。ここで、「平坦」とは、膜を水平面上に安定的に載置した状態で、前記水平面と当該膜との間に形成される空隙の高さが、膜の厚さよりも小さい状態をいうものとする。これ以上屈曲したものは、この種の正極活物質膜では通常生じないため、本発明の正極活物質膜に対しては、上述の定義が適切なものとなる。
本発明のリチウム二次電池は、本発明の正極活物質膜を含む正極と、炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた電解質と、を備えている。
そして、リチウム二次電池の正極を構成するに際しては、例えば、かかる正極活物質膜と所定の正極集電体との積層体(例えば当該活物質膜と導電体膜とを蒸着(例えばスパッタリング)や塗布等によって積層したもの)によって、前記正極が構成される。この場合、前記正極集電体は、前記正極活物質膜の2つの板面のうちの少なくとも一方に設けられ得る。すなわち、前記正極集電体は、前記正極活物質膜の2つの板面のうちの一方にのみ設けられ得る。あるいは、前記正極集電体は、前記正極活物質膜の両面(2つの板面の双方)に設けられ得る。前記正極活物質膜の両面に前記正極集電体がそれぞれ設けられる場合、一方は前記正極活物質膜を支持するために他方よりも厚く形成され、当該他方は前記正極活物質膜におけるリチウムイオンの出入りを阻害しないような構造(メッシュ状や多孔質状等)に形成され得る。
上述のように、本発明における「正極活物質用の板状粒子」は、前記正極を構成するに際して、前記正極活物質層中に分散され得るものである。一方、本発明における「正極活物質膜」は、前記正極集電体と重ね合わせられることで前記正極を構成し得る自立膜(形成後に単体で取り扱い可能な膜)である。もっとも、後述する実施例のように、当該膜は、細かく粉砕された後(この粉砕によって得られた粒子は本発明における「正極活物質用の板状粒子」に相当する)に前記正極活物質層中に分散されることもあり得る。このように、「粒子」と「膜」との区別は、前記正極を構成するに際しての適用態様によって、当業者にとって明確である。
本発明の特徴は、上述の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜において、前記厚さ方向に複数の層が積層されていて、前記層が、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有しつつ、前記厚さ方向に垂直な板面方向については異なる結晶軸を有していることにある。
具体的には、前記層は、前記板面においては、同一の結晶軸[hkl]を有している。一方、前記厚さ方向と垂直な板面方向(面内方向)においては、[h’k’l’]軸は複数の(様々なすなわちランダムな)方向を向く。そして、当該層は、[h’k’l’]軸が同一方向となる領域が平面視にて二次元的に多数配列されていて、隣り合う領域同士では[h’k’l’]軸が異なる方向を向いている、という状態となる。
すなわち、前記層は、いわゆる「一軸配向」するように形成されている。換言すれば、前記層は、前記厚さ方向と平行な結晶軸となる[hkl]軸とは異なる、[h’k’l’]軸が、複数の方向を向くように形成されている。このとき、[hkl]軸(例えば[104]軸)は常に一定の方向(前記厚さ方向)を向きつつ、[h’k’l’]軸(例えば[003]軸)は[hkl]軸のまわりを回転するように現れる。
かかる構造は、X線回折装置や透過電子顕微鏡等によって確認可能である。例えば、X線回折においては、極点図を描いた際、その回折図形がスポット状ではなく、リング状となることから確認できる。
そして、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜においては、上述のような構成を有する複数の前記層が、前記厚さ方向に積層されている(各層における上述の[hkl]軸はそれぞれ異なる)。
配向度については、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることが好適である。これにより、リチウムイオンの取り出しが行いやすくなるため、充放電特性の向上が顕著となる。
なお、[003]/[104]が0.005未満となると、サイクル特性が下がる。これは、配向度が高すぎる(すなわち結晶の向きが揃いすぎる)と、リチウムイオンの出入りに伴う結晶の体積変化によって、粒子や膜が割れやすくなるためである、と考えられる(なお、このサイクル特性劣化の理由の詳細については明らかではない。)。
また、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜は、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有する結晶子が前記板面方向に緻密に結合した組織として前記層が形成されることで、緻密に(例えば気孔率が10%以下に)形成され得る。具体的には、気孔率は、3〜10%であることが好ましい。気孔率が3%未満となることは、以下の理由により好ましくない:充放電に伴う体積膨張収縮により、粒内もしくは膜内にて、結晶の方位が異なる領域の境界に応力が集中する。これにより、クラックが発生し、容量が低下しやすくなる。また、気孔率が10%を超えることは、体積あたりの充放電容量が減少する点で好ましくない。
本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜においては、(003)以外の面であるリチウムイオン出入面が、板面と平行に配向することで、当該板面にて露出する。これにより、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面であるリチウムイオン出入面((003)面以外の面:例えば(101)面や(104)面)が、より多く電解質に露出する。
ところで、層状岩塩構造の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜においては、充放電に伴うリチウムイオンの出入りにより、体積の膨張及び収縮が生じる。このため、充放電サイクルの繰り返しにより、粒子や膜にクラックが生じ得ることが知られている。
この点、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜は、板状であって、しかも、リチウムイオン出入面が板面に配向しているため、リチウムイオンの出入りによる結晶の変形方向が前記板面に沿った方向となる。このため、(003)面を劈開面とするクラックが発生しやすくなるのではないかという懸念があるようにも思われる。
しかしながら、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜においては、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有しつつ、前記厚さ方向に垂直な板面方向については異なる結晶軸を有している前記層が、前記厚さ方向に積層されている。すなわち、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜は、その内部構造が、単一の結晶軸を有するドメイン(領域)が積層された構造となっている。
かかる構造により、粒子や膜におけるクラックの発生が効果的に抑制され得る。この詳細な理由については明らかにはなっていないが、充放電サイクルに伴う体積膨張および収縮の際に発生する内部応力が、ドメイン境界によって緩和されているからであると推測される。特に、厚さが比較的大きい場合(例えば2〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜20μm)に、クラックの発生の抑制効果が顕著である。なお、前記層が、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有する結晶子が前記板面方向に緻密に結合した組織として形成されている場合に、クラック抑制の点で、さらに効果がある。
以上の通り、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜によれば、配向による出力特性の向上とともに、耐久性やサイクル特性も向上する。したがって、本発明によれば、容量や耐久性その他の特性が従来よりも向上した、リチウム二次電池を提供することが可能になる。
図1Aは、本発明の一実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
図1Bは、図1Aに示されている正極の拡大断面図である。
図2は、本発明の他の実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
図3は、本発明のさらに他の実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
図4Aは、図1に示されている正極活物質用板状粒子、図2に示されている正極活物質層、又は図3に示されている正極活物質層の拡大斜視図である。
図4Bは、比較例の正極活物質粒子の拡大斜視図である。
図4Cは、比較例の正極活物質粒子の拡大斜視図である。
図5Aは、図4Aに示されている正極活物質用板状粒子、正極活物質層、又は正極活物質層(実施例1)の板面の走査電子顕微鏡写真である。
図5Bは、図4Aに示されている正極活物質用板状粒子、正極活物質層、又は正極活物質層(実施例1)の端面の走査電子顕微鏡写真である。
図6Aは、図4Aに示されている正極活物質用板状粒子、正極活物質層、又は正極活物質層(実施例1)の断面の透過電子顕微鏡写真である。
図6Bは、図6Aに示されている領域(a)及び(b)の制限視野電子線回折像を示す写真である。
図7は、図4Aに示されている正極活物質用板状粒子、正極活物質層、又は正極活物質層の拡大斜視図である。
図8は、比較例の正極活物質粒子の表面の走査電子顕微鏡写真である。
図9は、図1Bに示されている正極の変形例の構成を示す断面図である。
図10Aは、図1Bに示されている正極の変形例の構成を示す断面図である。
図10Bは、図1Bに示されている正極の変形例の構成を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を、実施例及び比較例を用いつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態や実施例の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態や実施例に対して施され得る各種の変更(modification)の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、主として末尾にまとめて記載されている。
<リチウム二次電池の構成例1:液体型>
図1Aは、本発明の一実施形態であるリチウム二次電池10の概略構成を示す断面図である。
図1Aを参照すると、本実施形態のリチウム二次電池10は、いわゆる液体型であって、電池ケース11と、セパレータ12と、電解質13と、負極14と、正極15と、を備えている。
セパレータ12は、電池ケース11内を二分するように設けられている。電池ケース11内には、液体の電解質13が収容されているとともに、負極14及び正極15がセパレータ12を隔てて対向するように設けられている。
電解質13としては、例えば、電気特性や取り扱い易さから、有機溶媒等の非水系溶媒にリチウム塩等の電解質塩を溶解させた、非水溶媒系の電解液が好適に用いられる。もっとも、ポリマー電解質、ゲル電解質、有機固体電解質、無機固体電解質も、電解質13として問題なく用いることができる。
非水電解液の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネート等の鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;等を用いることができ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
非水電解液の調製にあたって上述の溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]、等を用いることができる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上述の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。この含フッ素有機リチウム塩は、アニオン性が大きく、かつイオン分離しやすいので、上述の溶媒に溶解し易いからである。非水電解液中における電解質塩の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが望ましい。
負極14に係る負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵、放出できるものであればよく、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素質材料が用いられる。また、金属リチウムや、ケイ素,スズ、インジウム等を含む合金、リチウムに近い低電位で充放電できるケイ素,スズ等の酸化物、Li2.6Co0.4N等のリチウムとコバルトとの窒化物、等のリチウム吸蔵物質も、負極活物質として用いることができる。さらに、黒鉛の一部は、リチウムと合金化し得る金属や酸化物などと置き換えることもできる。負極活物質として黒鉛を用いた場合には、満充電時の電圧をリチウム基準で約0.1Vとみなすことができるため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極15の電位を便宜上計算することができることから、正極15の充電電位が制御しやすく好ましい。
図1Bは、図1Aに示されている正極15の拡大断面図である。図1Bを参照すると、正極15は、正極集電体15aと、正極活物質層15bと、を備えている。正極活物質層15bは、結着材15b1と、正極活物質用板状粒子15b2と、から構成されている。
なお、図1A及び図1Bに示されているリチウム二次電池10及び正極15の基本的な構成(電池ケース11、セパレータ12、電解質13、負極14、正極集電体15a、及び結着材15b1を構成する材質を含む。)は周知であるので、本明細書においては、その詳細な説明は省略されている。
本発明の一実施形態である正極活物質用板状粒子15b2は、コバルト及びリチウムを含有し層状岩塩構造を有する粒子、より詳しくは、LiCoO粒子であって、厚さが2ないし100μm程度の板状に形成されている。
<リチウム二次電池の構成例2:全固体型>
図2は、本発明の他の実施形態であるリチウム二次電池20の概略構成を示す断面図である。図2を参照すると、このリチウム二次電池20は、いわゆる全固体型のものであって、正極集電体21と、正極活物質層22と、固体電解質層23と、負極活物質層24と、負極集電体25と、を備えている。
このリチウム二次電池20は、正極集電体21の上に、正極活物質層22、固体電解質層23、負極活物質層24、及び負極集電体25を、この順序で積層することにより形成されている。本発明の正極活物質膜としての正極活物質層22は、膜状に形成されている。
なお、図2に示されているリチウム二次電池20の基本的な構成(正極集電体21、固体電解質層23、負極活物質層24、及び負極集電体25を構成する材質を含む。)は周知であるので、本明細書においては、その詳細な説明は省略されている。
<リチウム二次電池の構成例3:ポリマー型>
図3は、本発明のさらに他の実施形態であるリチウム二次電池30の概略構成を示す断面図である。図3を参照すると、このリチウム二次電池30は、いわゆるポリマー型のものであって、正極集電体31と、正極活物質層32と、ポリマー電解質層33と、負極活物質層34と、負極集電体35と、を備えている。
このリチウム二次電池30は、正極集電体31の上に、正極活物質層32、ポリマー電解質層33、負極活物質層34、及び負極集電体35を、この順序で積層することにより形成されている。本発明の正極活物質膜としての正極活物質層32も、上述の正極活物質層22(図2参照)と同様に、膜状に形成されている。
<正極活物質用板状粒子・正極活物質層の構成の詳細>
図4Aは、図1に示されている正極活物質用板状粒子15b2、図2に示されている正極活物質層22、又は図3に示されている正極活物質層32の拡大斜視図である。図4B及び図4Cは、比較例の正極活物質粒子及び正極活物質層の拡大斜視図である。
図4Aに示されているように、正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、厚さ方向(図中上下方向)と直交する表面である板面(上側表面A及び下側表面B:以下「上側表面A」及び「下側表面B」をそれぞれ「板面A」及び「板面B」と称する。)と交差するように(003)面が配向するように形成されている。
すなわち、正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、(003)以外の面(例えば(104)面)が粒子の板面A又はBと平行となるように配向するように形成されている。
さらに換言すれば、正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、両板面A及びBにて、(003)以外の面(例えば(101)面や(104)面)であるリチウムイオン出入面が露出するように形成されている。具体的には、正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、0.005以上1以下となるように形成されている。なお、板面方向(面内方向)と交差する端面Cには、(003)面(図中黒色で塗りつぶされた面)が露出していても構わない。
これに対し、図4Bに示されている比較例(従来)の粒子は、薄板状ではなく等方形状に形成されている。また、図4Cに示されている比較例(従来)の薄板状粒子あるいは活物質膜は、粒子の厚さ方向における両面(板面A及びB)に(003)が露出するように形成されている。
図5Aは、図4Aに示されている正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、又は正極活物質層32の板面の走査電子顕微鏡写真である。図5Bは、同端面の走査電子顕微鏡写真である。
本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32においては、図5Aに示されているように、微視的なステップ構造が、板面に沿って二次元的に(平面視にて複数方向に)多数形成されている。このステップ構造は、概ね、平面視にて1〜数μmで且つ0.1ないし2μmの段差で形成されている。
図6Aは、図4Aに示されている正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、又は正極活物質層32(後述する実施例1に対応する)の断面の透過電子顕微鏡写真である(観察条件については後述する)。図6Bは、図6Aに示されている領域(a)及び(b)の制限視野電子線回折像を示す写真である。
図6Aに示されているように、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、複数の層状領域が厚さ方向に積層された構造を有している。すなわち、図6Aにおける上部(上から1/3程度)には、比較的濃いグレーの層状領域が生じている。
かかる層状領域における2カ所(図中(a)及び(b)参照)における制限視野電子線回折像を示す図6Bより、これら2カ所の結晶軸はすべて同一であることが確認できる。すなわち、図6Aにおける(a)及び(b)の領域を含みこれらと同様の明視野像コントラストを有する、当該層状領域は、同一の結晶軸を有する結晶子が緻密に結合した組織に形成されているものということができる。
同様に、図6Aにおける下部(下から1/5程度)にも、比較的濃いグレーの層状領域が生じている。かかる層状領域も、同一の結晶軸を有する結晶子が緻密に結合した組織に形成されている。
なお、図6Aにおける中層部の、比較的薄いグレーの層状領域は、さらに厚さ方向(図中上下方向)に2層に形成されている(別の断面による透過電子顕微鏡写真及び制限視野電子線回折像により確認された)。さらに、電子線回折像より、どの層も粒子板面に平行になるように(104)面が配向していることが確認された。
このように、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、配向が異なる複数(図6Aの例では4つ)の層状領域(各層状領域は同一の結晶軸を有する結晶子が緻密に結合した組織に形成されている)が厚さ方向に積層された構造を有している。
上述のような構造を有する、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32の模式図を、図7に示す。
すなわち、図7に示されているように、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、(003)以外の、特定のリチウムイオン出入面(例えば(104)面)が粒子の板面A及びBと平行であって、且つ、それ以外の面がランダムな方向を向くように形成されている。換言すれば、これらの正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、板面A及びBに上述の特定のリチウムイオン出入面を露出する一方、それ以外の面の向きが異なる、複数の領域r11,r12,r13,r14,・・・,r21,r22,・・・に分割された構造を有している。これらの領域r11,r12,r13,r14,・・・,r21,r22,・・・におけるそれぞれのものは、上述のステップ構造における1つのステップに対応するものである。
すなわち、上述のような板面における配向性及び二次元的な(ランダムな)ステップ構造によって、これらの領域r11,r12,r13,r14,・・・,r21,r22,・・・においては、上述の特定の面(hkl)の法線に対応する[hkl]軸は同一方向(厚さ方向すなわち図中上下方向)となる一方、それ以外の面(h’k’l’)の法線に対応する[h’k’l’]軸の向きはバラバラとなっている。すなわち、隣り合う領域同士(例えばr11とr12)は、[h’k’l’]軸の向きが異なるようになっている。
このような、いわゆる「一軸配向」状態は、以下の2つの方法のうちのいずれか一方によって確認可能である。
板状粒子について、その板面の片面もしくは両面を、FIB(収束イオンビーム)にて厚さを80nm程度まで薄片加工し、板面を透過型電子顕微鏡にて観察した。その制限視野電子線回折像において、板面に垂直な方向に[104]軸を有している箇所を10箇所以上観測し、それらの箇所の板面内の方位がランダムであることを確認した。
また、板状粒子を、スライドガラスの基板上に、互いに重なることなく、粒子板面が当該ガラス基板の板面と面接触した状態で載置した。具体的には、エタノール2gに板状粒子0.1gを加えたものを、超音波分散機(超音波洗浄機)で30分間分散させ、この分散液を25mm×50mmのガラス基板に2000rpmでスピンコートすることで、ガラス基板に板状粒子を載置した。続いて、ガラス基板に載置された粒子を粘着テープに写し取ったものを樹脂埋めし、板状粒子の断面研磨面が観察できるように研磨した。仕上げ研磨として、コロイダルシリカ(0.05μm)を研磨剤とし、振動型回転研磨機にて研磨を行った。このようにして作成したサンプルに対し、電子後方散乱回折像法(EBSD)にて、粒子1個の断面の結晶方位解析を行った。すると、板面に垂直な方向に[104]軸を有し(すなわち板面に沿って(104)面を有し)、一方[104]と異なる(交差する)結晶軸がランダムである、複数の領域に、粒子板面が分割されていることが確認された。
さらに、板面方向の配列する上述の複数の領域r11,r12,r13,r14,・・・,r21,r22,・・・は、互いに当該板面方向に緻密に結合することで、層L1を形成している。そして、層L1並びに同様の構成の層L2,L3・・・が、厚さ方向に積層されている(なお、各層における上述の[hkl]軸は異なる。また、図7においては、正極活物質用板状粒子15b2等は、作図の便宜上3層の状態が描かれているが、2層にも、あるいは、4層以上にもなり得る。)。
各層状領域(領域r11等)の厚さ(厚さ方向における各領域の長さ)としては、0.2μm〜5μmが好ましい。5μmを超えると、その領域内でクラックが起こりやすくなる。0.2μmよりも小さいと、リチウムイオンの移動しにくい領域の境界部が多く含まれ、出力特性が劣化する。
<正極活物質用板状粒子・正極活物質層の製造方法の概要>
上述のような構造の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32の製造方法の概要について、以下に説明する。
1.原料粒子の準備
原料粒子としては、合成後の組成が層状岩塩構造を有する正極活物質LiMOとなるように、Li、Co、Ni、Mnなどの化合物の粒子を適宜混合したものが用いられる。あるいは、原料粒子として、LiMOの組成からなるもの(合成済みのもの)を用いることができる。
あるいは、必要に応じて、リチウム化合物を含まない、Co、Ni、Mnなどの各化合物の粒子を混合した粒子又は(Co,Ni,Mn)Oの組成からなる粒子を用いることができる。この場合、成形体の焼成工程の後、焼成された成形体とリチウム化合物とをさらに反応させることでLiMOが得られる(詳細は後述する)。
粒成長を促進する、もしくは焼成中に揮発する分を補償する目的で、リチウム化合物を0.5〜30mol%過剰に入れてもよい。また、粒成長を促進する目的で、酸化ビスマスなどの低融点酸化物、ホウケイ酸ガラスなどの低融点ガラスを0.001〜30wt%添加してもよい。
2.原料粒子の成形工程
原料粒子を、厚さが100μm以下のシート状の自立した成形体に成形する。ここで、「自立した成形体」における「自立した」は、後述の「独立したシート」における「独立した」と同義である。すなわち、「自立した成形体」は、典型的には、それ単体でシート状の成形体の形状を保つことができるものである。なお、それ単体ではシート状の成形体の形状を保つことができないものであっても、何らかの基板上に貼り付けたり成膜したりして焼成前又は焼成後に、この基板から剥離したものも、「自立した成形体」に含まれる。
成形体の成形方法としては、例えば、原料粒子を含むスラリーを用いたドクターブレード法が用いられ得る。また、成形体の成形には、熱したドラム上へ原料を含むスラリーを塗布し、乾燥させたものをスクレイパーで掻きとる、ドラムドライヤーが用いられ得る。また、成形体の成形には、熱した円板面へスラリーを塗布し、これを乾燥させてスクレイパーで掻きとる、ディスクドライヤーを用いることもできる。また、スプレードライヤーの条件を適宜設定することで得られる中空の造粒体も、曲率をもったシート状成形体とみることができるので、成形体として好適に用いることができる。さらに、原料粒子を含む坏土を用いた押出成形法も成形体の成形方法として利用可能である。
ドクターブレード法を用いる場合、可撓性を有する板(例えばPETフィルムなどの有機ポリマー板など)にスラリーを塗布し、塗布したスラリーを乾燥固化して成形体とし、この成形体と板とを剥離することにより、板状多結晶粒子の焼成前の成形体を作製してもよい。成形前にスラリーや坏土を調製するときには、無機粒子を適当な分散媒に分散させ、バインダーや可塑剤などを適宜加えてもよい。また、スラリーは、粘度が500〜4000cPとなるように調製するのが好ましく、減圧化で脱泡するのが好ましい。
成形体の厚さは、50μm以下に形成することがより好ましく、20μm以下に形成することが更に好ましい。また、成形体の厚さは、2μm以上とするのが好ましい。厚さが2μm以上であれば、自立したシート状の成形体を作成しやすい。このシート状の成形体の厚さは、略そのまま板状粒子の厚さとなることから、板状粒子の用途に合わせて適宜設定される。
3.成形体の焼成工程
この焼成工程においては、成形工程で得られた成形体は、例えば、成形されたそのままの状態(シート状態)で、セッターに載せて焼成される。あるいは、焼成工程は、シート状の成形体を適宜切断、破砕したものを、鞘に入れて焼成するものであってもよい。
原料粒子が合成前の混合粒子である場合は、この焼成工程において、合成、さらには、焼結及び粒成長が生じる。本発明では、成形体が厚さ100μm以下のシート状であるため、厚さ方向の粒成長が限られる。このため、成形体の厚さ方向に結晶粒が1個となるまで粒成長した後は、成形体の面内方向にのみ粒成長が進む。このとき、エネルギー的に安定な特定の結晶面がシート表面(板面)に広がる。したがって、特定の結晶面がシート表面(板面)と平行になるように配向した膜状のシート(自立膜)が得られる。
原料粒子をLiMOとした場合、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面である(101)面や(104)面を、シート表面(板面)に露出するように配向させることができる。一方、原料粒子を、リチウムを含まないもの(例えばスピネル構造のM)とした場合、リチウム化合物と反応させてLiMOとしたときに(104)面となる、(h00)面を、シート表面(板面)に露出するように配向させることができる。
焼成温度は、800℃〜1350℃が好ましい。800℃より低温では、粒成長が不十分で、配向度が低くなる。一方、1350℃より高温では、分解・揮発が進んでしまう。焼成時間は、1〜50時間の間とするのが好ましい。1時間より短いと、配向度が低くなる。一方、50時間より長いと、消費エネルギーが大きくなりすぎる。焼成雰囲気は、焼成中に分解が進まないように適宜設定される。リチウムの揮発が進むような場合は、炭酸リチウムなどを同じ鞘内に配置してリチウム雰囲気とすることが好ましい。焼成中に酸素の放出や、さらには還元が進むような場合、酸素分圧の高い雰囲気で焼成することが好ましい。
4.解砕工程及びリチウム導入工程
板状粒子を得る場合は、焼成後のシート状の成形体を、所定の開口径のメッシュ上に載置して、その上からヘラで押しつけることで、当該シートが多数の板状粒子に解砕される。なお、解砕工程は、リチウム導入工程の後に行われてもよい。
リチウム化合物を含まない原料粒子から、焼成により配向したシート、あるいはこれを解砕した板状粒子を得た場合、これとリチウム化合物(硝酸リチウムや炭酸リチウムなど)を反応させることで、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面が板面に露出するように配向した、正極活物質膜が得られる。例えば、配向シートあるいは粒子に、硝酸リチウムを、LiとMとのモル比Li/Mが1以上となるようにふりかけて、熱処理することで、リチウム導入が行われる。ここで、熱処理温度は、600℃〜800℃が好ましい。600℃より低温では、反応が十分に進まない。800℃より高温では、配向性が低下する。
以下、LiCoO粒子あるいは膜を得る場合の典型的な製造方法について説明する。
<正極活物質用板状粒子・正極活物質層の製造方法の具体例>
上述のような構造の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、具体的には、以下の製造方法によって、容易かつ確実に形成される。
<<シート形成工程>>
CoとBiとを含有し20μm以下の厚さのグリーンシートを形成し、このグリーンシートを900℃ないし1300℃の範囲内の温度で所定時間焼成することで、(h00)面が板面と平行となるように配向した(以下これを単に「(h00)配向」と表現することがある)多数の板状のCo粒子からなる、独立した膜状のシート(この「独立したシート」は上述の「自立膜」と同義である)が形成される。なお、この焼成の際に、ビスマスは揮発することでシートから除去され、Coは還元されてCoOに相変態する。
ここで、「独立した」シートとは、焼成後に他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう。すなわち、「独立した」シートには、焼成により他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能あるいは分離困難となった)ものは含まれない。
このように膜状に形成されたグリーンシートにおいては、粒子板面方向すなわち面内方向(厚さ方向と直交する方向)に比べて、厚さ方向に存在する材料の量がきわめて少ない。
このため、厚さ方向に複数個の粒子がある初期段階には、ランダムな方向に粒成長する。一方、粒成長が進み厚さ方向の材料が消費されると、粒成長方向は面内の二次元方向に制限される。これにより、面方向への粒成長が確実に促進される。
特に、グリーンシートを可能な限り薄く形成したり(例えば数μm以下)、厚さが100μm程度(例えば20μm程度)の比較的厚めであっても粒成長を可能な限り大きく促進したりすることで、面方向への粒成長がより確実に促進される。
また、このとき、表面エネルギーの最も低い結晶面をグリーンシートの面内に持つ粒子のみが選択的に面内方向へ扁平状(板状)に粒成長する。その結果、シート焼成により、アスペクト比が大きく、特定の結晶面(ここでは(h00)面)が粒子の板面と平行となるように配向したCoOからなる板状結晶粒子が得られる。
さらに、温度が下がる過程で、CoOからCoに酸化される。その際に、CoOの配向方位が引き継がれることで、特定の結晶面(ここでは(h00)面)が粒子の板面と平行となるように配向したCo板状結晶粒子が得られる。
かかるCoOからCoへの酸化の際に、配向度が低下しやすい。これは、CoOとCoの結晶構造及びCo−Oの原子間距離が大きく異なることから、酸化すなわち酸素原子が挿入される際に結晶構造が乱れやすいためである。したがって、配向度をなるべく低下しないように適宜条件を選択することが好ましい。例えば、降温速度を小さくすることや、所定の温度で保持することや、酸素分圧を小さくすることが好ましい。
したがって、かかるグリーンシートを焼成することで、特定の結晶面が粒子の板面と平行となるように配向した薄板状の多数の粒子が、粒界部にて面方向に結合した自立膜が得られる(本出願人に係る特願2007−283184号参照)。すなわち、実質的に厚さ方向についての結晶粒子の個数が1個となるような自立膜が形成される。ここで、「実質的に厚さ方向についての結晶粒子の個数が1個」の意義は、面方向に隣り合う結晶粒子の一部分(例えば端部)が厚さ方向に互いに重なり合うことを排除しない。この自立膜は、上述のような薄板状の多数の粒子が隙間なく結合した、緻密なセラミックスシートとなり得る。
<<解砕工程>>
上述のシート形成工程によって得られた膜状のシート(自立膜)は、粒界部にて解砕しやすい状態となっている。そこで、上述のシート形成工程によって得られた膜状のシートを、所定の開口径のメッシュ上に載置して、その上からヘラで押しつけることで、上述のシートが多数のCo粒子に解砕される。
<<リチウム導入工程>>
上述の解砕工程によって得られた、(h00)配向した(「(h00)配向」の意義は上記の通り)Co粒子と、LiCOと、を混合して、所定時間加熱することで、Co粒子にリチウムが導入される。これにより、(104)配向したLiCoO粒子である正極活物質用板状粒子15b2が得られる。
なお、解砕工程は、リチウム導入工程の後に行われてもよい。
リチウム導入する際のリチウム源としては、炭酸リチウム以外にも、例えば、硝酸リチウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、シュウ酸リチウム、クエン酸リチウム等の各種リチウム塩や、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド等のリチウムアルコキシドも用いることができる。
リチウム導入する際の条件、すなわち、混合比、加熱温度、加熱時間、雰囲気等は、リチウム源として用いる材料の融点や分解温度、反応性等を考慮して適宜設定することが、LiCoO粒子の配向性を高める上で重要である。
例えば、(h00)配向したCo粒子とリチウム源との混合物が、非常に活性な状態で反応すると、Co粒子の配向性を乱すことがあるので好ましくない。ここでいう活性とは、例えば、リチウム源が過剰量となるとともに液体状態となり、Co粒子の結晶に対してリチウムイオンが進入していくだけでなく、Co粒子がリチウム源からなる液体への溶解および再析出が起こるような場合をいう。
また、上述のシート形成工程によって得られた膜状のシート(自立膜)に対して、解砕工程を経ずにリチウム導入工程を行うことで、(104)配向したLiCoO膜である正極活物質層22及び正極活物質層32が得られる。
以下、上述の製造方法及びかかる製造方法によって製造された膜あるいは粒子の実施例について、評価結果とともに詳細に説明する。
まず、比較例の粒子を、以下のようにして調製した。
最初に、以下の方法によって、スラリーを調製した:LiCoO粉末(日本化学工業株式会社製 セルシードC−5:平均粒径5μm)をポットミルで粉砕し、平均粒径0.5μmとした。この粉砕粉100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2−ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部と、を混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、3000〜4000cPの粘度に調製した。なお、粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。
上記のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが16μmとなるように、シート状に成形した。
PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで30mm角に切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工を施したジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置し、900℃で10時間焼成後、セッターに溶着していない部分を取り出した。
焼成によって得られたLiCoOセラミックスシートを、平均開口径100μmのポリエステル製のふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させて解砕することで、粉末状のLiCoO(比較例:粒子厚さ10μm)が得られた。
[実施例1]
<<製造方法>>
まず、以下の方法によって、スラリーを調製した:Co粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)を粉砕して作製したCo原料粒子(粒径0.3μm)に20wt%の割合でBi(粒径0.3μm、太陽鉱工株式会社製)を添加したもの100重量部と、上述と同様の分散媒100重量部、バインダー10重量部、可塑剤4重量部、及び分散剤2重量部と、を混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、4000cPの粘度に調製した。
上記のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが10μmとなるように、シート状に成形した。
PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工を施したジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置し、1200℃で5時間焼成後、降温速度50℃/hにて降温し、セッターに溶着していない部分を取り出した。
このようにして得られたCoセラミックスシートに、LiCO粉末(関東化学株式会社製)を、Li/Co=1.0となるようにふりかけ、坩堝中にて750℃、3時間加熱処理することで、厚さ10μmのLiCoOセラミックスシート(自立膜:正極活物質層22あるいは32に相当する)が得られた。
得られたLiCoOセラミックスシートを、平均開口径100μmのポリエステル製のふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させて解砕することで、粉末状のLiCoO(正極活物質用板状粒子15b2に相当する)が得られた。
[実施例2]
<<製造方法>>
上述の実施例1と同様の原料及び方法によって、500〜700cPの粘度のスラリーを調製し、このスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが2μmとなるように、シート状に成形した。
PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工を施したジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置し、1150℃で5h焼成後、降温速度50℃/hにて降温し、セッターに溶着していない部分を取り出した。
焼成後のセラミックスシートを、開口径100μmのふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させることで、解砕した。セラミックスシートを解砕することで得られたCo粉末と、LiCO粉末(関東化学株式会社製)とを、Li/Co=1.0となるように混合し、坩堝中にて750℃で3時間加熱処理することで、粉末状のLiCoOを得た。
すなわち、実施例2においては、Coシートにリチウム導入を行った実施例1とは異なり、リチウム導入前にCoシートを解砕して粉末状とした後にこの粉末状のCoに対してリチウム導入を行っている。
[実施例3]
上述の実施例1の粒子を、大気中で熱処理(900℃,24時間)したものである。
<<評価結果>>
実施例1のLiCoO粒子を電子顕微鏡によって観察した結果の写真が、図6Aである。なお、透過電子顕微鏡観察は、以下の方法によって行った:FIB(収束イオンビーム)マイクロサンプリングにより、実験例1の板状粒子の板面方向を80nmまで薄片化し、粒子断面の内部構造を観察した。実施例2のLiCoO粒子を電子顕微鏡によって観察した結果の写真が、図5A及び図5Bである。
また、比較例及び各実施例の粒子に対して、X線回折(XRD)による配向性評価を行った。XRD測定方法は、以下の通りである。
エタノール2gにLiCoO粒子0.1gを加えたものを、超音波分散機(超音波洗浄機)で30分間分散させ、これを25mm×50mmのガラス基板に2000rpmでスピンコートし、粒子同士ができるだけ重ならないように、且つ結晶面とガラス基板面とが平行となる状態に配置した。XRD装置(株式会社リガク製 ガイガーフレックスRAD−IB)を用い、粒子の表面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定し、(104)面による回折強度(ピーク高さ)に対する(003)面による回折強度(ピーク高さ)の比率[003]/[104]を求めた。なお、上記方法においては、板状粒子の板面がガラス基板面と面接触し、粒子板面とガラス基板面とが平行になる。このため、上記方法によれば、粒子板面の結晶面に平行に存在する結晶面、すなわち、粒子の板面方向に配向する結晶面による回折プロファイルが得られる。
さらに、電池特性(容量維持率)の評価を、以下のようにして行った。
LiCoO粒子、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、質量比で75:20:5となるように混合して正極材料を調製した。調製した正極材料0.02gを300kg/cmの圧力で直径20mmの円板状にプレス成形することで、正極を作製した。
作製した正極、リチウム金属板からなる負極、ステンレス集電板、及びセパレータを、集電板−正極−セパレータ−負極−集電板の順に配置し、この集積体を電解液で満たすことでコインセルを作製した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。
上述のようにして作製した電池(コインセル)を用いて、電池容量(放電容量)及び容量維持率の評価を行った。
0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電し、その後電池電圧を4.2Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて1Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する、という充放電操作を1サイクルとし、25℃の条件下で合計3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電容量を測定した。
作製した電池について、試験温度を25℃として、(1)1Cレートの定電流−定電圧で4.2Vまでの充電、及び(2)1Cレートの定電流で3.0Vまでの放電、を繰り返すサイクル充放電を行った。100回のサイクル充放電終了後の電池の放電容量を初回の電池の放電容量で除した値を、容量維持率(%)とした。
各実施例及び比較例の評価結果が、下記表1にまとめて示されている。
実施例のLiCoO粒子においては、(104)配向が強くなり、リチウムが放出されやすい(104)面の板面における露出量がより多くなった(表1におけるXRD測定結果参照)。かかる構造は、上述のように、(111)配向せず(h00)配向したCo膜あるいは粒子にリチウム導入工程を行うことで、容易且つ安定的に得られる。これに対し、従来(比較例)のLiCoO粒子においては、(003)配向が強くなり、板面に(003)面がより多く露出した(表1におけるXRD測定結果参照)。
また、実施例のLiCoO粒子においては、板面(図4Aにおける板面AやB)に、平面視にて1〜数μmで且つ0.1ないし2μmの段差の微視的なステップ構造が、平面視にて複数方向(具体的には図5Aにおける上下方向に対して10度程度傾斜した方向及びこれと直交する方向の2方向)に多数形成されている。これに対し、従来(市販)のLiCoO粒子においては、このような微視的なステップ構造は見られない(図8参照)。
かかる構造の相違は、走査電子顕微鏡による観察結果にも現れている。すなわち、実施例1のLiCoO粒子においては、表面(上述の微視的なステップ構造内)に細いスジ状の模様が現れている様子が確認できる。これに対し、従来(比較例)のLiCoO粒子においては、平滑な(003)面が露出している様子が確認できる。
さらに、実施例1のLiCoO粒子においては、上述したように、配向が異なる複数(4つ)の層状領域(ドメイン)が厚さ方向に積層されていて、各層状領域は単一の結晶軸を有する結晶子が緻密に結合した組織に形成されていることが確認された(図6A及び図6B参照)。
同様に、実施例2のLiCoO粒子においても、結晶子が凝集したドメインが、厚さ方向に2つ積層した構造であることが確認された。実施例3のLiCoO粒子においては、ドメイン4層からなる積層構造は確認されたが、ドメイン内の粒界は確認されなかった。一方、比較例のサンプルを評価したところ、1層構造であり、粒界も確認されなかった。
これら実施例の粒子は、きわめて緻密な構造を有している。走査電子顕微鏡観察の画像処理結果から気孔率を測定したところ、10%以下となった。そして、実施例のLiCoO粒子においては、電池容量特性(容量維持率)が、極めて良好となった。これは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、粒子板面の特性(配向性)により、リチウムイオン出入面((104)面等)がより多く電解質に露出することで、容量が向上する。特に、上述のステップ構造により、容量向上効果がより大きくなる。
活物質の膜あるいは粒子には、電子導電助剤として添加されるアセチレンブラックが付着している。アセチレンブラックは、直径数十〜100nm程度の球状ナノ粒子である一次粒子が凝集してブドウの房状に連なった構造となることが多い。このアセチレンブラック凝集体が、活物質の膜あるいは粒子の表面を覆うと、電解液との実質的な接触面積が小さくなってしまう。
この点、本実施形態のように、活物質の膜あるいは粒子の表面にステップ構造が形成されることで、アセチレンブラック凝集体がステップの稜線に接するように付着し、ステップの谷部が電解液との接点となる(液だまりが形成される)。このため、活物質の膜あるいは粒子の表面と電解液との実質的な接触面積が、大きく保たれる。
また、ステップ構造がランダム且つ二次元的に多数形成されることで、活物質の膜あるいは粒子の表面と電解液との実質的な接触面積が、より大きく確保され得る(これに対し、特開2003−132887号公報の図6に示されているようにステップ構造が一次元的であると、ステップの長手方向に沿ってアセチレンブラック凝集体が緻密に配列されることとなり、電解液との実質的な接触面積が小さくなってしまう。)。
さらに、上述のようなドメイン積層構造により、充放電サイクルに伴う体積膨張及び収縮の際に発生する内部応力がドメイン境界によって緩和される。これにより、耐久性やサイクル特性が向上する。
ところで、通常の(図4Bや図4Cに示されているような)LiCoO粒子においては、粒子径を小さくすると、比表面積が大きくなるためにレート特性が高くなる一方、粒子強度が低くなるために耐久性が低下し、結着材の割合が多くなるために容量も小さくなる。このように、通常の(従来の)LiCoO粒子においては、レート特性と、耐久性及び容量とが、トレードオフの関係になっていた。
これに対し、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2においては、粒子径を大きくして耐久性及び容量を向上させた場合、リチウムイオンが放出されやすい面の総面積も大きくなり、高レート特性が得られる。したがって、本実施形態によれば、容量、耐久性、及びレート特性が、従来よりも向上され得る。
特に、携帯電話やノートPCに搭載される、モバイル機器向けのリチウムイオン二次電池においては、長時間の使用に対応した、高容量な電池が求められる。高容量化には活物質粉末の充填率向上が有効であり、充填性のよい粒径10μm以上の大粒子を用いることが好ましい。
この点、従来技術では、粒子径を10μm以上に大きくしようとすると、結晶構造上、リチウムイオンおよび電子が出入りできない面(003)が表面に広く露出した板状粒子となってしまい(図2C参照)、出力特性に悪影響を及ぼすことがあった。
これに対し、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2では、リチウムイオンおよび電子の伝導面が表面に広く露出している。このため、本実施形態によれば、出力特性に悪影響を及ぼすことなくLiCoO板状粒子を大粒子化することができる。したがって、本実施形態によれば、従来よりも高充填された、高容量な正極材シートを提供することができる。
なお、正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32の厚さは、2〜100μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜20μmが望ましい。100μmより厚いと、レート特性が低下する点や、シート成形性の点から、好ましくない。また、正極活物質用板状粒子15b2の厚さは、2μm以上が望ましい。2μmより薄いと、充填率を上げる効果が小さくなる点で、好ましくない。
正極活物質用板状粒子15b2のアスペクト比は、4〜20が望ましい。4より小さいと、配向によるリチウムイオン出入面の拡大効果が小さくなる。20より大きいと、正極活物質用板状粒子15b2の板面が正極活物質層15bの面内方向と平行になるように正極活物質用板状粒子15b2が充填された場合、正極活物質層15bの厚み方向へのリチウムイオンの拡散経路が長くなることで、レート特性が低下するので、好ましくない。
上述の構成を有する全固体型のリチウム二次電池20においては、リチウムイオンの出入りが行えない(003)面の、固体電解質層23に対する露出(接触)割合が、極めて低くなる。すなわち、特開2003−132887号公報に開示されているような従来の構成とは異なり、このリチウム二次電池20においては、固体電解質層23と対向(接触)する正極活物質層22の表面(板面)のほとんど全部が、リチウムイオン出入面(例えば(104)面)となる。
したがって、本実施形態によれば、全固体型のリチウム二次電池20における、よりいっそうの高容量化及び高レート特性が達成される。
なお、かかる構成のリチウム二次電池20における正極活物質層22の形成時には、上述の実施形態における解砕工程は行われない。すなわち、グリーンシートの焼成によって得られたCoセラミックスシートを解砕することなく、これにリチウム導入が行われる。
ポリマー型のリチウム二次電池30においては、液漏れの恐れがある液体型に比べ、薄い電池構成が可能という特徴がある。本実施形態による膜状の正極活物質層32によれば、リチウムイオン出入面を膜表面(板面)の全面に確保した状態で、実質的に充填率100%が達成される。すなわち、従来よりも、正極部分を非常に薄くすることができ、さらにはより薄い電池が得られる。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された構成に何ら限定されない。
例えば、図1Bに示されている正極活物質層15bは、図2に示されている正極活物質層22や、図3に示されている正極活物質層32のような、膜状のLiCoOセラミックスシート(正極活物質膜)であってもよい。また、図2に示されている正極活物質層22や、図3に示されている正極活物質層32は、複数に分割されていてもよい。すなわち、薄板状のLiCoOセラミックスシートを二次元的に配列することによっても、図2に示されている正極活物質層22や、図3に示されている正極活物質層32が構成され得る。
電解質としては、無機固体、有機ポリマー、あるいは有機ポリマーに電解液を染み込ませたゲル状のものが用いられ得る。
また、上述の例では、正極活物質層22は、全固体型電池に適用されていた。もっとも、本発明は液体型電池においても適用可能である。通常、液体型電池における正極材は、活物質の充填率は60%程度である。これに対し、本発明の活物質膜によれば、リチウムイオン出入面を膜表面全面に確保した状態で、実質的に充填率100%が達成される。すなわち、レート特性の犠牲を最小限に抑えつつ、きわめて高い容量が得られる。
なお、正極活物質層22と正極集電体21との界面においては、両者は、ただ接しているだけでもよいし、アセチレンブラック等の導電性結着材からなる薄い層によって接着されていてもよい。後者の場合、正極集電体21が曲がることで、正極活物質層22にはクラックが入ることがあり得る。もっとも、クラックは、電子及びイオンの伝導方向と平行になる。このため、クラックが発生しても、特性上、なんら問題は生じない。
正極活物質層15b内にて、複数の大きさ・形状の正極活物質用粒子が適宜配合されてもよい。また、図9に示されているように、本発明の正極活物質用板状粒子15b2と、従来の等軸形状の粒子15b3とが、適当な混合比で配合されてもよい。等軸形状の従来の粒子15b3と、その粒径と同程度の厚みを有する本発明の正極活物質用板状粒子15b2とを、適当な混合比で混合することで、効率よく粒子が配列することができ、充填率が高められる。
上述したように、正極活物質層15bが自立膜状のセラミックスシート(正極活物質膜)である場合、正極集電体15aは、図10Aに示されているように、正極活物質層15bの両板面のうちの一方にのみ設けられていてもよいし、図10Bに示されているように、正極活物質層15bの両板面に設けられていてもよい。
図10Bに示されているように、正極集電体15aが正極活物質層15bの両板面に設けられている場合、一方の正極集電体15a1は自立膜状の正極活物質層15bを支持するために他方の正極集電体15a2よりも厚く形成されていてもよい。また、この場合、当該他方の正極集電体15a2は、自立膜状の正極活物質層15bにおけるリチウムイオンの出入りを阻害しないような構造(メッシュ状や多孔質状等)に形成されている。なお、この正極集電体15a2は、図1Bに示されている正極15にも適用可能である。
図10Aに示されているように、正極集電体15aが正極活物質層15bの一方の板面にのみ設けられている場合、充放電時の正極15での電池反応においてリチウムイオンの移動方向と電子の移動方向とが反対方向になることで、正極活物質層15b内にて電位勾配が生じる。かかる電位勾配が大きくなると、リチウムイオンが拡散しにくくなる。
これに対し、図10Bに示されているように、自立膜状の正極活物質層15bにおける、電解質13に接する側の表面に、リチウムイオンの出入りを阻害しないような正極集電体15a2を設けることで、上述のような電位勾配の形成が抑制される。これにより、電池性能が向上する。
本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜は、層状岩塩構造を有する限り、コバルト酸リチウムに限定されない。例えば、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜は、コバルトの他にニッケルやマンガン等を含有した固溶体からなるものであってもよい。具体的には、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル・マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト酸リチウム、コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム、コバルト・マンガン酸リチウム等が挙げられる。これらの材料に、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Biなどの元素が1種以上含まれていてもよい。
Coの酸化物は、920℃以上では、室温におけるCoで表されるスピネル構造からCoOの岩塩構造に相変態する。一方、MnおよびNiは、広い温度範囲で、それぞれMnのスピネル構造、NiOの岩塩構造をとる。
このため、Co、Ni、Mnのうちの少なくとも2つを含む固容体においても、組成、温度、雰囲気、圧力などを制御することで、Coと同様に、低温でのスピネル構造から高温にて岩塩構造をとるような相変態を起こさせることができる。
この場合、(h00)配向した多数の板状のM(MはCo、Ni、Mnら選ばれる1種以上を含む)粒子からなる、独立した膜状のシートを形成し、かかるシートあるいはその解砕物に対してリチウムを導入することで、(104)や(101)等のリチウムイオン出入面が板面と平行となるように配向した正極活物質用LiMOシートあるいは板状粒子を得ることができる。
すなわち、例えば、Coを含まない、Ni−Mn複合酸化物についても、Co酸化物と同様に、高温で岩塩構造、低温でスピネル構造をとることから、配向シートが上述と同様に作製されうる。そして、かかるシートあるいはその解砕物にリチウムを導入することで、Li(Ni,Mn)Oで示され、良好な配向状態の正極活物質が作製され得る。
あるいは、岩塩構造である、(h00)配向した多数の板状のMO(MはCo、Ni、Mnら選ばれる1種以上を含む)粒子からなる、独立した膜状のシートを形成し、かかるシートあるいはその解砕物に対してリチウムを導入することで、(104)や(101)等のリチウムイオン出入面が板面と平行となるように配向した、正極活物質用LiMOシートあるいは板状粒子を得ることもできる。
あるいは、LiMO(MはCo、Ni、Mnら選ばれる1種以上を含む)の粒子からなる膜状のシートを焼成する際、組成、温度、雰囲気、圧力、添加剤などを制御することで、(104)や(101)等のリチウムイオン出入面が板面と平行となるように配向した正極活物質用LiMOシートあるいは板状粒子を直接的に得ることができる。
なお、LiFePOに代表される、オリビン構造の正極活物質においては、リチウムイオンの伝導方向がb軸方向([010]方向)であるとされている。よって、ac面(例えば(010)面)が板面と平行となるように配向した板状粒子あるいは膜とすることで、良好な性能を有する正極活物質を得ることができる。
<他の組成例1:コバルト−ニッケル系>
NiO粉末と、Co粉末と、Al粉末と、を含有する、20μm以下の厚さのグリーンシートを形成し、このグリーンシートを1000℃ないし1400℃の範囲内の温度で、大気雰囲気で所定時間焼成することで、(h00)配向した多数の板状の(Ni,Co,Al)O粒子からなる、独立した膜状のシートが形成される。ここで、助剤としてMnO、ZnO等を添加することにより、粒成長が促進され、結果として板状結晶粒子の(h00)配向性を高めることができる。
上述の工程によって得られた、(h00)配向した(Ni,Co,Al)Oセラミックスシートと、硝酸リチウム(LiNO)とを混合して、所定時間加熱することで、(Ni,Co,Al)O粒子にリチウムが導入される。これにより、(104)配向した正極活物質用Li(Ni0.75Co0.2Al0.05)O板状シートが得られる。
なお、上述の例においては、コバルト−ニッケル系におけるニッケルの一部がアルミニウムに置換されていたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明がLi(Ni,Co)Oに対しても好適に適用されることは、いうまでもない。
<他の組成例2:コバルト−ニッケル−マンガン三元系>
Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O粉末を用いて100μm以下の厚さのグリーンシートを形成し、このグリーンシートを900℃ないし1200℃の範囲内の温度で所定時間焼成することで、(101)あるいは(104)が粒子板面と平行となるように配向した粒子からなる、独立した膜状のシートが形成される。
本プロセスで配向した粒子が得られる理由の詳細については明らかではないが、以下に推定する理由を説明する。このシート焼成の際に、結晶の歪エネルギーの最も低い結晶面をグリーンシートの面内に持つ粒子のみが選択的に面内方向へ扁平状(板状)に粒成長することで、アスペクト比が大きく、特定の結晶面(ここでは(101)、(104)面)が板面と平行となるように配向したLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)Oからなる板状結晶粒子が得られると考えられる。
なお、ここでいう、歪エネルギーとは、粒成長時の内部応力や、欠陥等による応力をいう。層状化合物は、一般に歪エネルギーが大きいことが知られている。
特定の方位の粒子の選択な粒成長(優先配向)には、歪エネルギーと表面エネルギーの両方が寄与する。表面エネルギー的には(003)面が最も安定であり、歪エネルギー的には(101)並びに(104)面が安定面である。
膜厚が0.1μm以下では、シート体積に対する表面の割合が大きいため、表面エネルギー支配的な選択成長が起こり、(003)面に配向した粒子が得られる。一方、膜厚が0.1μm以上では、シート体積に占める表面の割合が低下するため、歪エネルギーが支配的になり、(101)並びに(104)面に配向した粒子が得られる。但し、膜厚が100μm以上のシートでは、緻密化が困難になり、粒成長時の内部応力が溜まらないため、選択的な配向は確認されない。
本材料においては、粒成長が大きく促進される1000℃以上の温度域では、リチウムの揮発が生じたり、構造的に不安定になることによる分解が生じたりする。よって、例えば、揮発するリチウムを補償するために原料中のリチウム量を過剰にすることや、雰囲気制御(例えば炭酸リチウム等のリチウム化合物を載置した密閉容器内での焼成等)による分解抑制や、Biや低融点ガラスなどの助剤添加による低温焼成、等が重要である。
上述のシート形成工程によって得られた膜状のシートは、粒界部にて解砕しやすい状態となっている。そこで、上述のシート形成工程によって得られた膜状のシートを、所定の開口径のメッシュ上に載置して、その上からヘラで押しつけることで、上述のシートが多数のLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O粒子に解砕される。
あるいは、Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)Oからなる板状結晶粒子は、以下の製造方法によっても得られる。
NiO粉末と、MnCO粉末と、Co粉末と、を含有する、20μm以下の厚さのグリーンシートを形成し、このグリーンシートを900℃ないし1300℃の範囲内の温度で、Ar雰囲気で所定時間焼成することで、(h00)配向した多数の板状の(Ni,Mn,Co)粒子からなる、独立した膜状のシートが形成される。なお、この焼成の際に、スピネル構造の(Ni,Mn,Co)は、還元されることで、岩塩構造の(Ni,Mn,Co)Oに相変態する。
このとき、表面エネルギーの最も低い結晶面をグリーンシートの面内に持つ粒子のみが選択的に面内方向へ扁平状(板状)に粒成長する。その結果、シート焼成により、アスペクト比が大きく、特定の結晶面(ここでは(h00)面)が粒子板面と平行となるように配向した(Ni,Mn,Co)Oからなる板状結晶粒子が得られる。
さらに、温度が下がる過程で、炉内の雰囲気を酸素雰囲気に置換すると、(Ni,Mn,Co)Oから(Ni,Mn,Co)に酸化される。その際に、(Ni,Mn,Co)Oの配向方位が引き継がれることで、特定の結晶面(ここでは(h00)面)が粒子板面方向に配向した(Ni,Mn,Co)板状結晶粒子が得られる。
かかる(Ni,Mn,Co)Oから(Ni,Mn,Co)への酸化の際に、配向度が低下しやすい。これは、(Ni,Mn,Co)Oと(Ni,Mn,Co)の結晶構造が大きく異なること、並びに、Ni−O,Mn−O,及びCo−Oの原子間距離が大きく異なることから、酸化(すなわち酸素原子が挿入される)時に結晶構造が乱れやすいためである。
したがって、配向度をなるべく低下しないように適宜条件を選択することが好ましい。例えば、降温速度を小さくすることや、所定の温度で保持することや、酸素分圧を小さくすることが好ましい。
上述のシート形成工程によって得られた膜状のシートは、粒界部にて解砕しやすい状態となっている。そこで、上述のシート形成工程によって得られた膜状のシートを、所定の開口径のメッシュ上に載置して、その上からヘラで押しつけることで、上述のシートが多数の(Ni,Mn,Co)粒子に解砕される。
上述の解砕工程によって得られた、(h00)配向した(Ni,Mn,Co)粒子と、LiCOとを混合して、所定時間加熱することで、(Ni,Mn,Co)粒子にリチウムが導入される。これにより、(104)配向したLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O粒子である正極活物質用板状粒子15b2が得られる。
Li/Coは、1.0に限定されないが、0.9〜1.2の範囲内にあることが好ましく、1.0〜1.1の範囲内にあることがより好ましい。これにより、良好な充放電容量が実現される。
例えば、上述の実施例1や実施例2において、LiCO粉末を添加する際にLi/Coが1.0より大(例えば1.2)となるようにしたり、あるいは、上述のコバルト−ニッケル系組成例において、(Ni,Co,Al)OセラミックスシートとLiNO粉末とを混合する際に、mol比率Li/(NiCoAl)を大きく(例えば2.0)したりすることで、リチウム過剰な組成の正極活物質の板状粒子又は膜が得られる。
なお、リチウム過剰な組成の正極活物質の板状粒子又は膜におけるLi/Coの値は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(株式会社堀場製作所製 製品名ULTIMA2)を用いた成分分析によって確認可能である。
具体的には、例えば、CoセラミックスシートにLiNO粉末(関東化学株式会社製)をLi/Co=1.2となるようにふりかけたこと以外は、上述の実施例1と同様の方法により、粉末状のLiCoOを作製した。得られた粉末状のLiCoOについて、洗浄処理により、余分なリチウム化合物を除去した。その後、上述のICP発光分光分析装置により成分分析したところ、Li/Co=1.1であった。また、XRD測定(配向性評価)を行ったところ、X線回折強度比率[003]/[104]=0.3であった。さらに、このようにして得られた粉末状のLiCoO板状粒子において、配向が異なる複数(4つ)の層状領域(ドメイン)が厚さ方向に積層されていて、各層状領域は単一の結晶軸を有する結晶子が緻密に結合した組織に形成されていることが、透過電子顕微鏡観察によって確認された。なお、上述の実施例1で作製した粉末状のLiCoOを、同様に成分分析したところ、Li/Co=1.0であった。
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された製造方法に何ら限定されない。
例えば、グリーンシートの焼成温度は、900℃ないし1300℃の範囲内の温度であればよい。また、シート形成工程における添加物も、Biに限定されない。
さらに、上述の具体例におけるCo原料粒子に代えて、CoO原料粒子を用いることが可能である。この場合、スラリーを焼成することで、900℃以上の温度域において(h00)配向した岩塩構造のCoOシートが得られ、これを例えば800℃程度あるいはそれ以下で酸化することで、CoOにおける、Co原子とO原子の配列状態を部分的に継承した、(h00)配向したスピネル構造のCo粒子からなるシートが得られる。
リチウム導入工程において、(h00)配向したCo粒子とLiCOとを単に混合して所定時間加熱する代わりに、これらを塩化ナトリウム(融点800℃)や塩化カリウム(融点770℃)などのフラックス中で混合及び加熱してもよい。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。

Claims (12)

  1. 層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
    リチウムイオンの出入面が、粒子の厚さ方向と直交する表面である板面にて露出するように、当該板面と平行に配向し、
    前記厚さ方向に複数の層が積層され、
    前記層は、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有しつつ、前記厚さ方向に垂直な板面方向については異なる結晶軸を有していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
  2. 請求の範囲第1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
    前記層において、前記厚さ方向と平行な結晶軸となる[hkl]軸とは異なる、[h’k’l’]軸が、複数の方向を向くことを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
  3. 請求の範囲第1項又は第2項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
    前記層が、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有する結晶子が前記板面方向に緻密に結合した組織として形成されていることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
  4. 請求の範囲第1項ないし第3項のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
    (104)面が、前記板面にて露出するように、当該板面と平行に配向しており、
    X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
  5. 請求の範囲第1項ないし第4項のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
    気孔率が10%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
  6. 層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
    リチウムイオンの出入面が、膜の厚さ方向と直交する表面である板面にて露出するように、当該板面と平行に配向し、
    前記厚さ方向に複数の層が積層され、
    前記層は、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有しつつ、前記厚さ方向に垂直な板面方向については異なる結晶軸を有していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
  7. 請求の範囲第6項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
    前記層において、前記厚さ方向と平行な結晶軸となる[hkl]軸とは異なる、[h’k’l’]軸が、複数の方向を向くことを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
  8. 請求の範囲第6項又は第7項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
    前記層が、前記厚さ方向について同一の結晶軸を有する結晶子が緻密に結合した組織となっていることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
  9. 請求の範囲第6項ないし第8項のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
    (104)面が、前記板面にて露出するように、当該板面と平行に配向しており、
    X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
  10. 請求の範囲第6項ないし第9項のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
    気孔率が10%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
  11. 請求の範囲第1項ないし第5項のうちのいずれか1項に記載の板状粒子を正極活物質として含む、正極と、
    炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む、負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた、電解質と、
    を備えたことを特徴とする、リチウム二次電池。
  12. 請求の範囲第6項ないし第10項のうちのいずれか1項に記載の正極活物質膜を含む、正極と、
    炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む、負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた、電解質と、
    を備えたことを特徴とする、リチウム二次電池。
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