JP2001006671A - リチウム二次電池のエージング処理方法 - Google Patents

リチウム二次電池のエージング処理方法

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JP2001006671A
JP2001006671A JP11172539A JP17253999A JP2001006671A JP 2001006671 A JP2001006671 A JP 2001006671A JP 11172539 A JP11172539 A JP 11172539A JP 17253999 A JP17253999 A JP 17253999A JP 2001006671 A JP2001006671 A JP 2001006671A
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secondary battery
capacity
lithium
positive electrode
discharge
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JP11172539A
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Hideyuki Nakano
秀之 中野
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Takahiko Honma
隆彦 本間
Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Naruaki Okuda
匠昭 奥田
Yoji Takeuchi
要二 竹内
Tetsuo Kobayashi
哲郎 小林
Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Kazuhiko Mukai
和彦 向
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Toyota Central R&D Labs Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価なリチウムニッケル複合酸化物を用いた
リチウム二次電池において、簡便な処理を施すことによ
って、その放電容量を増加させる。 【解決手段】 組成式LiNixM1yM2z2(M1はC
o、Mnから選ばれる少なくとも1種;M2はAl、
B、Fe、Cr、Mgから選ばれる少なくとも1種;x
+y+z=1;0.5<x<0.95;0.01<y<
0.4;0.001<z<0.2)で表される層状岩塩
構造リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とする正
極と負極とを組付けて形成されるリチウム二次電池に対
する処理であって、組付けられた電池に対して、0.5
mA/cm2以上の電流密度で充放電を繰り返すエージ
ング処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極活物質にリチ
ウムニッケル複合酸化物を用いたリチウム二次電池のエ
ージング処理方法に関し、特に、放電容量を増加させる
ためのエージング処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の
小型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分野では、こ
れらの機器に用いる電源として、高エネルギー密度であ
るという理由から、リチウム二次電池が実用化され広く
普及するに至っている。また一方で、自動車の分野にお
いても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急
がれており、この電気自動車用の電源としても、リチウ
ム二次電池が検討されている。
【0003】リチウム二次電池の正極活物質となるリチ
ウム複合酸化物は、4V級の作動電圧が得られるものと
して、層状岩塩構造LiCoO2、層状岩塩構造LiN
iO2、スピネル構造LiMn24がよく知られてい
る。これらの中でも、合成の容易である、最も高い作動
電圧が得られる等の理由から、現在では、LiCoO2
を正極活物質に用いる二次電池が主流を占めている。
【0004】ところが、LiCoO2を構成する元素で
あるコバルトは、資源量として少なく極めて高価な元素
であることから、リチウム二次電池のコストを押し上げ
る大きな要因となっている。したがって、例えばリチウ
ム二次電池を電気自動車用の電源として用いるような場
合、大きな容量を必要とすることから、大量の正極活物
質を用いなければならず、高価なLiCoO2を正極活
物質に用いたリチウム二次電池は実用化が非常に困難で
あると考えられる。
【0005】このLiCoO2に代わって期待されるの
が、層状岩塩構造LiNiO2である。コバルトと比較
して安価なニッケルを構成元素とすることから、コスト
面で優れ、また、理論放電容量においてLiCoO2
匹敵するという点から、実用的な大容量の電池を構成で
きるものとして期待されている。
【0006】しかし、理論容量がLiCoO2と同等で
あるにもかかわらず、LiNiO2を正極活物質に用い
実際に構成されたリチウム二次電池は、LiCoO2
正極活物質に用いたものと比べ、初期放電容量が小さい
ものとなっていた。これはLiNiO2の合成におい
て、合成条件の僅かなずれにより岩塩型構造相が混入す
るといった理由等によるものである。
【0007】また、充放電に伴いLiNiO2はその結
晶構造の崩壊等の要因から、充放電サイクルを重ねるに
つれて大きな容量低下を生じ、さらに、充放電を繰り返
すことでLiNiO2を正極活物質に用いた電極は大き
な膨張収縮を繰り返すといった要因等から、内部直流抵
抗が増加するといった現象が生じていた。いわゆるサイ
クル特性の悪いものとなっていた。
【0008】これまで、リチウム二次電池の容量の増
加、サイクル特性の向上等のため、LiNiO2のNi
サイトの一部をCoで置換した組成式LiNi1-xCox
2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物
質に用いる等の技術が検討され、公表されている。しか
し、正極活物質に層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸
化物を用いたリチウム二次電池において、リチウムニッ
ケル複合酸化物の充放電に伴う構造変化および特性変化
に基づいて放電容量の増加を目指した有効な技術は、殆
ど存在していないのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、実験を重
ねた結果、Niサイトの一部を他元素で置換したある範
囲の組成を持つ層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化
物を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、ある充放
電条件で充放電を繰り返すにつれ、放電容量が増加する
という知見を得た。本発明は、この知見に基づくもので
あり、安価なリチウムニッケル複合酸化物を用いたリチ
ウム二次電池において、簡便な処理を施すことによっ
て、その放電容量を増加させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウム二次電
池のエージング処理方法は、組成式LiNixM1yM2 z
2(M1はCo、Mnから選ばれる少なくとも1種;M
2はAl、B、Fe、Cr、Mgから選ばれる少なくと
も1種;x+y+z=1;0.5<x<0.95;0.
01<y<0.4;0.001<z<0.2)で表され
る層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を正極活物
質とする正極と負極とを組付けて形成されるリチウム二
次電池のエージング処理方法であって、組付けられた電
池に対して、0.5mA/cm2以上の電流密度で充放
電を繰り返すことを特徴とする。
【0011】上記組成をもつ層状岩塩構造リチウムニッ
ケル複合酸化物を正極活物質とした正極と、例えば炭素
材料を負極活物質とした負極とを組み合わせたリチウム
二次電池では、可逆的に充放電可能な電池電圧の範囲
は、約3.0V〜約4.1Vである。この二次電池にお
いて、比較的高電流密度で充放電を繰り返すことによ
り、約3.5V以下の低電圧領域における放電容量が増
加することが明らかとなった(後の実施例における微分
容量曲線を参照)。このことが、本発明のエージング処
理によって二次電池の放電容量が増加する要因である。
リチウムニッケル複合酸化物の低電位領域の容量が増加
する現象がどういった機構によるものであるかは、現在
のところ定かではないが、当初材料の反応性が低かった
放電末期の3.5V以下の領域においても材料の反応性
が徐々に高まるためであると考えられる。つまり、高電
流密度の充放電によれば、Liがインターカレーション
しにくかった領域においても、徐々にLiのインターカ
レーションが進行するためであると考えられる。
【0012】本発明のエージング処理は、層状岩塩構造
リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とした二次電
池を対象とし、その容量を増加させることで、安価な二
次電池の使用を促進するものとなる。また、本発明のエ
ージング処理は、充放電を繰り返すだけでよく、その点
で、極めて簡便な方法によって、二次電池の容量を増加
させることのできる方法となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のエージング方法
の実施形態について、対象となるリチウム二次電池の正
極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物、二次電池
の構成、エージング処理の態様、他への応用の順に、詳
しく説明する。
【0014】〈リチウムニッケル複合酸化物〉正極活物
質となるリチウムニッケル複合酸化物は、組成式LiN
xM1yM2z2(M1はCo、Mnから選ばれる少なく
とも1種;M2はAl、B、Fe、Cr、Mgから選ば
れる少なくとも1種;x+y+z=1;0.5<x<
0.95;0.01<y<0.4;0.001<z<
0.2)で表される層状岩塩構造リチウムニッケル複合
酸化物である。このLiNixM1yM2z2は、役割の異
なるM1、M2の2種以上の元素でNiサイトの一部を置
換したものとなっている。置換させずにNiを存置させ
る割合つまり組成式におけるxの値で置換割合を規定す
れば、0.5<x<0.95となる。x≦0.5の場合
は、層状岩塩構造のものだけでなく、スピネル構造等の
第2の相が生成するからであり、また、x≧0.95の
場合は、置換効果が少なすぎて、目的とする容量増加効
果のある電池を構成できないからである。なお、0.7
<x<0.9の範囲とするのがさらに好ましい。
【0015】Co、Mnから選ばれる元素M1は、主
に、リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造を安定化す
る役割を果たしている。M1での結晶構造安定化によ
り、リチウム二次電池のサイクル特性はより良好に保た
れ、また、本発明のエージング処理によって放電容量の
増加が見込まれるものとなる。特に高温下での充放電お
よび高温下での貯蔵による電池容量の劣化が抑制され
る。電池の放電容量の増加、サイクル特性の改善効果を
充分に発揮させるために、M1の置換割合、つまり組成
式におけるyの値は0.01<y<0.4とする。y≦
0.01の場合は、構成される二次電池の結晶構造安定
化が充分でないため、容量増加効果、サイクル特性が良
好ではなく、y≧0.4の場合はリチウムニッケル複合
酸化物の結晶性が低下し好ましくない。なお、0.1<
y<0.3とするのがより好ましい。さらに、置換する
元素M1はCoであることがより望ましい。Coには、
元素置換による容量低下を抑えるとともに、得られる複
合酸化物Li(Co,Ni)O2は全固溶型であり、岩
塩型構造の副相の生成が少なく、結晶性の低下を最小限
にとどめるという利点があるからである。
【0016】Al、B、Fe、Cr、Mgから選ばれる
元素M2は、主に、酸素放出に伴う活物質の分解反応を
抑え、熱安定性を向上させるとともに、電子伝導性を増
加させ、レート特性および放電容量を向上させるという
役割を果たしている。この役割のため、M2の置換割
合、つまり組成式におけるzの値は、0.001<z<
0.2とする。z≦0.001の場合は、容量増加、安
全性に対して十分な効果が得られなくなり、z≧0.2
の場合は、正極の容量が低下してしまうため好ましくな
い。なお、0.01<z<0.1とするのがより好まし
い。さらに、置換する元素M2には、Alを用いること
がより望ましい。Alには、安価であることに加え、熱
安定性を向上させつつ、容量低下を最小限に抑えるとい
う利点があるからである。
【0017】このリチウムニッケル複合酸化物は、固相
反応法、噴霧燃焼法、水熱合成法等種々の方法で製造で
き、その方法を特に限定するものではない。例えば、組
成式LiNixCoyAlz2で表される層状岩塩構造リ
チウムニッケル複合酸化物を、固相反応法で製造しよう
とする場合は、リチウム源となる原料、ニッケル源とな
る原料、コバルト源となる原料、アルミニウム源となる
原料をそれぞれ所定量混合し、酸素気流中700〜10
00℃程度の温度で、5〜20時間程度の時間焼成する
ことによって、これを合成することができる。
【0018】リチウム源となる原料としては、硝酸リチ
ウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム等を用いることが
でき、ニッケル源となる原料としては炭酸ニッケル、水
酸化ニッケル等を、コバルト源となる原料としては炭酸
コバルト、水酸化コバルト等を、アルミニウム源となる
原料としては、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム
等をそれぞれ用いることができる。
【0019】〈リチウム二次電池の構成〉対象となるリ
チウム二次電池は、正極と、負極と、非水電解液とを主
要構成要素として構成される。リチウム二次電池の構成
は、上記正極活物質を除き、特に限定されるものではな
く、既に公知となっている構成を採用すればよい。以下
にその一実施形態を掲げる。
【0020】正極は、正極活物質である上記リチウムニ
ッケル複合酸化物の粉状体に導電材および結着剤を混合
し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたも
のを、アルミニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布乾
燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成
したものを用いることができる。導電材は、正極の電気
伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1
種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子および導電材粒子を繋ぎ止める役
割を果たすものでポリテトラフルオロエチレン、ポリフ
ッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いること
ができる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶
剤を用いることができる。
【0021】負極活物質には、金属リチウム、リチウム
合金等を用いることができる。これら金属リチウム等を
負極に用いる場合、繰り返される充放電により負極表面
へのデンドライトの析出の可能性があり、二次電池の安
全性が懸念される。このため、負極活物質には、リチウ
ムを吸蔵・放出可能な炭素材料を用いるのが望ましい。
用いることができる炭素材料には、天然黒鉛、球状ある
いは繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化性炭素、および、フェ
ノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の易黒鉛
化性炭素の粉状体を挙げることができる。負極活物質と
なる炭素材料にはそれぞれの利点があり、作製しようと
するリチウム二次電池の特性に応じて選択すればよい。
【0022】これらのもののうち、天然および人造の黒
鉛は、真密度が高くまた導電性に優れるため、容量が大
きく(エネルギー密度の高い)、パワー特性の良好なリ
チウム二次電池を構成できるという利点がある。この利
点を活かしたリチウム二次電池を作製する場合、用いる
黒鉛は、結晶性の高いことが望ましく、(002)面の
面間隔d002が3.4Å以下であり、c軸方向の結晶子
厚みLcが1000Å以上のものを用いるのがよい。な
お、人造黒鉛は、例えば、易黒鉛化性炭素を2800℃
以上の高温で熱処理して製造することができる。この場
合の原料となる易黒鉛化性炭素には、コークス、ピッチ
類を400℃前後で加熱する過程で得られる光学異方性
の小球体(メソカーボンマイクロビーズ:MCMB)等
を挙げることができる。
【0023】易黒鉛化性炭素は、一般に石油や石炭から
得られるタールピッチを原料としたもので、コークス、
MCMB、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相
成長炭素繊維等が挙げられる。また、フェノール樹脂等
の有機化合物焼成体をも用いることができる。易黒鉛化
性炭素は、安価な炭素材料であるため、コスト面で優れ
たリチウム二次電池を構成できる負極活物質となり得
る。これらの中でも、コークスは低コストであり比較的
容量も大きいという利点があり、この点を考慮すれば、
コークスを用いるのが望ましい。コークスを用いる場合
には、(002)面の面間隔d002が3.4Å以上であ
り、c軸方向の結晶子厚みLcが30Å以下のものを用
いるのがよい。
【0024】難黒鉛化性炭素とは、いわゆるハードカー
ボンと呼ばれるもので、ガラス状炭素に代表される非晶
質に近い構造をもつ炭素材料である。一般的に熱硬化性
樹脂を炭素化して得られる材料であり、熱処理温度を高
くしても黒鉛構造が発達しない材料である。難黒鉛化性
炭素には安全性が高く、比較的低コストであるという利
点があり、この点を考慮すれば、難黒鉛化性炭素を負極
活物質として用いるのが望ましい。具体的には、例え
ば、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭
素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成
体等を用いることができる。より望ましくは、(00
2)面の面間隔d002が3.6Å以上であり、c軸方向
の結晶子厚みLcが100Å以下のものを用いるのがよ
い。
【0025】上記、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性
炭素等は、1種のものを単独で用いることもでき、ま
た、2種以上を混合して用いることもできる。2種以上
を混合させる態様としては、例えば、過充電時の安全性
を確保しつつ、正極活物質であるリチウムニッケル複合
酸化物に吸蔵・放出されるリチウム量を制限してサイク
ル特性をより良好なものとする目的で、黒鉛と難黒鉛化
性炭素、易黒鉛化性炭素等の黒鉛化の進んでいない炭素
材料とを混合物する場合が例示できる。なお、黒鉛と黒
鉛化の進んでいない炭素質材料との混合物を負極活物質
に用いる場合、両者の混合比は、サイクル特性と放電容
量とのバランスにより決定すればよい。
【0026】負極活物質に炭素材料を用いる場合、負極
は、この炭素材料の粉状体に結着剤を混合し、必要に応
じて適当な溶剤を加えて、ペースト状の負極合材とした
ものを、正極同様、銅等の金属箔製の集電体表面に塗
布、乾燥し、その後必要に応じプレス等にて負極合材の
密度を高めることによって形成する。結着剤としては、
正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等
を、溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機
溶剤を用いることができる。
【0027】正極と負極の間に挟装されるセパレータ
は、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであ
り、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を
用いることができる。また非水電解液は、有機溶媒に電
解質であるリチウム塩を溶解させたもので、有機溶媒と
しては、非プロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、1,2−ジ
メトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、
塩化メチレン等の1種またはこれらの2種以上の混合液
を用いることができる。また、溶解させる電解質として
は、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiBF4
LiPF6、LiN(CF3SO22等のリチウム塩を用
いることができる。
【0028】以上のもので構成されるリチウム二次電池
であるが、その形状は円筒型、積層型、コイン型等、種
々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合
であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電
極体とする。そして正極集電体および負極集電体から外
部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リ
ード等を用いて接続し、この電極体を非水電解液ととも
に電池ケースに密閉する。このような組付け工程を経て
電池が完成させられる。
【0029】〈エージング処理の態様〉本発明のエージ
ング処理は、上記の組付けられたリチウム二次電池に対
して行う。「組付けられた」とは、電極体を非水電解液
とともに電池ケースに密閉して電池を完成させた状態の
みをいうのではなく、正極と負極とを積層等して電極体
を形成させた状態をも含むことを意味する。電極体を電
池ケースに収納する前であっても、形成した電極体を、
電池ケース以外の別の容器等にて非水電解液を含浸さ
せ、その容器等内でエージング処理を行うことも可能で
ある。
【0030】本発明のエージング処理は、組付けられた
電池に対して、0.5mA/cm2以上の電流密度で充
放電を繰り返すものである。使用する充放電装置は特に
限定するものでなく、組付けられた電池の許容充放電電
圧範囲内において、充放電電流密度を制御しつつ充放電
を繰り返すことのできるものであれば、いかなるもので
あっても構わない。
【0031】充放電における電流密度は、0.5mA/
cm2以上とする。これは、実験によって、本発明者が
見出したもので、0.5mA/cm2未満の電流密度で
は、容量増加効果は期待できず、また、場合によって
は、充放電を繰り返すにつれ、かえって電池容量が低下
することにもなる。ただし、電流密度が高すぎても、内
部分極によって有効な充放電を行うことができず、10
mA/cm2以下の電流密度で行うのが望ましい。実験
によって明らかとされたことであるが、容量増加効果容
量増加効果の大きな充放電電流密度の範囲は、1〜2m
A/cm2であり、この範囲で行うことがより望ましい
ものとなる。なお、これも実験で明らかとなったことで
あるが、0.5mA/cm2程度の比較的低い電流密度
で、比較的低温(20℃程度)で充放電を繰り返した場
合、充放電の繰り返し回数(充放電サイクル数)が多く
なると、一旦増加した電池容量が減少することとなる。
【0032】エージングを行う場合の環境温度は、60
℃以下とするのが望ましい。60℃を超える場合は、結
晶構造の低下、Liの失活等による正極活物質の劣化、
剥離、脱落等による正極および負極シートの機械的劣化
等の理由から、かえって放電容量が低下する場合がある
からである。エージング温度が高くなるにつれ、容量の
増加率が大きくなる傾向にあることから、できるだけ高
温で行うほうが、少ない充放電サイクルで大きな容量増
加が得られることとなる。
【0033】上述した比較的低電流密度でかつ比較的低
温度で充放電を繰り返す場合を除き、充放電サイクルが
多くなるにつれて、容量の増加量も大きくなる。したが
って、特別な場合を除き、エージング処理時間が許容さ
れる範囲で、充放電サイクルを多くするのが望ましい。
なお、実験では1000サイクルまで行ったが、殆どの
場合、1000サイクルを超えても容量の増加率の現象
は見られないことから、1000サイクルまでのサイク
ル充放電を行うことが可能である。1000サイクルを
超えた場合、いずれかの時点で容量増加のピークを迎え
るであろうが、その時点は、現在のところ明らかとなっ
ていない。
【0034】〈他への応用〉上記充放電を繰り返すこと
による電池の放電容量の増加現象は、上記本発明のエー
ジング処理以外にも利用できる。例えば、上記リチウム
ニッケル複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電
池を使用する際に、所定の充放電電流密度以上で充放電
を行うようにすれば、容量劣化のない二次電池の使用方
法となる。つまり、二次電池に充電される電流および二
次電池から放電されるの電流の充放電電流密度を検知す
る手段と、この検知手段によって検知された電流密度が
所定の値以下となる場合に、その充電電流または放電電
流を遮断する制御手段とを有する充放電制御器を用いれ
ば、長期にわたって電池の容量劣化を防止でき、さらに
は、容量を増加させつつ二次電池を使用することのでき
る使用方法となる。
【0035】
【実施例】上述したリチウムニッケル複合酸化物を製造
し、そのリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に使
用したリチウム二次電池を作製した。また、比較のため
上記リチウムニッケル複合酸化物と異なるリチウムニッ
ケル複合酸化物を正極活物質としたリチウム二次電池を
も製作した。これらの二次電池に対して、種々の充放電
を繰り返すエージング処理を行い、それぞれの二次電池
の、それぞれの条件での電池容量の変化を調査した。以
下に、これらを実施例として説明する。
【0036】〈実施例1〉リチウムニッケル複合酸化物
として、組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表さ
れる層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を用い
た。LiNi0.85Co0.1Al0.052は、LiNO3
Ni(OH)2、CoCO3、Al(OH)3をそれぞれ
Li:Ni:Co:Al=1.03:0.85:0.
1:0.05となるように混合し、酸素気流中で800
℃の温度で、10時間焼成することによって合成した。
【0037】正極は、まず、このLiNi0.85Co0.1
Al0.052の85重量部に、導電材としてアセチレン
ブラック(HS−100:電気化学工業製)を5重量
部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を
5重量部混合し、溶剤として適量のN−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)を加えてペースト状の正極合材を
得、この正極合材を、厚さ20μmのアルミニウム箔製
正極集電体の両面に塗布、乾燥し、その後、ロールプレ
スにて活物質密度が2.3g/cm3となるように圧縮
成形して、シート状のものを作製した。
【0038】負極活物質に人造黒鉛である黒鉛化メソカ
ーボン小球体(MCMB25−28:大阪ガスケミカル
製)を用いて、負極を作製した。負極は、まず、この黒
鉛化メソカーボン小球体95重量部に、結着剤としてP
VDFを5重量部混合し、溶剤として適量のNMPを加
えてペースト状の負極合材を得、この負極合材を、厚さ
10μmの銅箔製正極集電体の両面に塗布、乾燥し、そ
の後、ロールプレスにて活物質密度が1.2g/cm3
となるように圧縮成形して、シート状のものを作製し
た。
【0039】セパレレータには、微多孔性ポリプロピレ
ン製フィルムを用い、非水電解液には、エチレンカーボ
ネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1に混合
した混合溶媒に電解質としてLiPF6を1Mの濃度に
溶解させたものを用いた。正極および負極をセパレータ
を介して捲回し、電極体を形成させ、この電極体を18
650型円筒電池缶に上記非水電解液とともに密閉し
て、円筒型のリチウム二次電池を完成させた。このリチ
ウム二次電池を、実施例1の二次電池とした。
【0040】〈実施例2〉上記実施例1の場合に用いた
組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表される層状
岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物に代えて、Coで
の置換割合を大きくした組成式LiNi0.65Co0.3
0.052で表される層状岩塩構造リチウムニッケル複
合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池を作製
した。LiNi0.65Co0.3Al0.052は、LiN
3、Ni(OH)2、CoCO3、Al(OH)3をそれ
ぞれLi:Ni:Co:Al=1.03:0.65:
0.3:0.05となるように混合し、酸素気流中で8
00℃の温度で、10時間焼成することによって合成し
た。また、正極活物質を除くリチウム二次電池の構成は
実施例1の場合と同様とし、完成したリチウム二次電池
を実施例2の二次電池とした。
【0041】〈比較例1〉上記実施例1の場合に用いた
組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表される層状
岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物に代えて、Alで
の置換割合を許容範囲を超えて大きくした組成式LiN
0.75Co0.05Al0.22で表される層状岩塩構造リチ
ウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム
二次電池を作製した。LiNi0.75Co0.05Al0.22
は、LiNO3、Ni(OH)2、CoCO3、Al(O
H)3をそれぞれLi:Ni:Co:Al=1.03:
0.75:0.05:0.2となるように混合し、酸素
気流中で800℃の温度で、10時間焼成することによ
って合成した。また、正極活物質を除くリチウム二次電
池の構成は実施例1の場合と同様とし、完成したリチウ
ム二次電池を比較例1の二次電池とした。
【0042】〈比較例2〉上記実施例1の場合に用いた
組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表される層状
岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物に代えて、Niの
組成割合が許容範囲を超えて大きい、つまり他元素によ
るNiサイトの置換割合が小さい組成式LiNi0.95
0.025Al0.0252で表される層状岩塩構造リチウム
ニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次
電池を作製した。LiNi0.95Co 0.025Al0.0252
は、LiNO3、Ni(OH)2、CoCO3、Al(O
H)3をそれぞれLi:Ni:Co:Al=1.03:
0.95:0.025:0.025となるように混合
し、酸素気流中で800℃の温度で、10時間焼成する
ことによって合成した。また、正極活物質を除くリチウ
ム二次電池の構成は実施例1の場合と同様とし、完成し
たリチウム二次電池を比較例2の二次電池とした。
【0043】〈比較例3〉上記実施例1の場合に用いた
組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表される層状
岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物に代えて、Niサ
イトを他元素で置換していない組成式LiNiO2で表
される層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を正極
活物質に用いたリチウム二次電池を作製した。LiNi
2は、LiOH・H2OとNi(OH)2とをLi:N
i=1.02:1となるように混合し、酸素気流中で7
00℃の温度で、12時間焼成することによって合成し
た。また、正極活物質を除くリチウム二次電池の構成は
実施例1の場合と同様とし、完成したリチウム二次電池
を比較例3の二次電池とした。
【0044】〈比較例4〉上記実施例1の場合に用いた
組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表される層状
岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物に代えて、Niサ
イトをAlで置換していない組成式LiNi0.85Co
0.152で表される層状岩塩構造リチウムニッケル複合
酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池を作製し
た。LiNi 0.85Co0.152は、LiOH・H2O、N
i(OH)2、Co(OH)2をそれぞれLi:Ni:C
o=1.02:0.85:0.15となるように混合
し、酸素気流中で700℃の温度で、12時間焼成する
ことによって合成した。また、正極活物質を除くリチウ
ム二次電池の構成は実施例1の場合と同様とし、完成し
たリチウム二次電池を比較例4の二次電池とした。
【0045】〈エージング処理試験〉上記実施例および
比較例の二次電池を、充放電サイクルの進行に伴う放電
容量の増減を調べるべく充放電を繰り返すエージング処
理試験に供した。エージング処理試験に先立ち、完成し
た二次電池に対して、コンディショニングを行った。コ
ンディショニングは、20℃の恒温槽内で、0.25m
A/cm2の電流密度で4.1Vまで充電を行った後、
10分間休止させて、再び0.25mA/cm 2の電流
密度で3.0Vまで放電を行い、放電した状態で3日間
保存するものとした。
【0046】コンディシヨニングが完了した二次電池に
対して行ったエージング処理試験の条件は、それぞれの
二次電池に対して、20℃および40℃の温度下、0.
25〜4mA/cm2の各種電流密度で、電池電圧4.
1〜3.0Vの範囲の充放電を繰り返すものとした。
【0047】〈正極活物質となるリチウムニッケル複合
酸化物の組成と電池容量との関係〉エージング処理試験
の結果として、20℃の温度下、充放電電流密度1mA
/cm2で行った場合の各二次電池の初期放電容量、1
000サイクル後の放電容量、および1000サイクル
後の容量変化率(1000サイクル後の放電容量/初期
放電容量×100%)を下記表1に示す。また、実施例
1および比較例3の二次電池の各サイクルにおける放電
容量を図1に示す。なお放電容量については、正極活物
質単位重量当たりの値を採用する(以下同様)。
【0048】
【表1】
【0049】上記表1の結果から明らかなように、Ni
サイトを他元素で置換していないLiNiO2を正極活
物質に用いた比較例3の二次電池およびNiサイトをC
oのみで置換した比較例4の二次電池は、1000サイ
クル経過後に放電容量容量が大きく減少し、それぞれ初
期容量の80%未満の放電容量となっている。これに対
して、CoとAlの両者で置換した比較例1および比較
例2の二次電池は、1000サイクル経過後も、容量変
化率で80%と比較的高い値を示し、比較的良好なサイ
クル特性を有する二次電池であることが判る。
【0050】ところが、NiサイトのCo、Alでの置
換割合を適切なものとした実施例1および実施例2の二
次電池では、1000サイクルを経過した後に、放電容
量が初期放電容量より大きい値を示し、充放電をを繰り
返すことで容量が増加することが判る。
【0051】すなわち、比較例1の二次電池では、Al
の置換割合が大きすぎ、また、比較例2の二次電池の場
合は、Niの残存割合が大きすぎ、つまり置換元素での
置換割合が小さすぎるために、容量が増加するほどのサ
イクル特性を得られなかったものと考えられる。
【0052】図1は容量の変化過程の様子をよく示して
いる。比較例3の二次電池が、サイクルを重ねるにつれ
大きくその容量が減少するの対して、実施例1の二次電
池の場合は、徐々に容量が増加している。したがって、
実施例1の二次電池は、充放電電流密度1mA/cm2
の充放電サイクルを繰り返す場合、極めてサイクル特性
の良好な二次電池であるといえる。
【0053】実施例1の二次電池において見られる放電
容量増加現象を考察するために測定した、実施例1およ
び比較例3の二次電池の、2サイクル後、500サイク
ル後、1000サイクル後における微分容量曲線を、図
2および図3に示す。2つの図を比較すれば、比較例3
の二次電池では、サイクルを重ねるにつれ、全電池電圧
領域において容量が減少するのに対して、実施例1の二
次電池では、サイクルを重ねるにつれ、充電側で電池電
圧約3.5V以下の比較的低電圧領域の容量成分が出現
することが判る。つまり、この出現した低電圧領域の容
量成分により、電池の放電容量が増加することが確認で
きる。
【0054】以上の結果を総合して判断するに、組成式
LiNixCoyAlz2(x+y+z=1;0.5<x
<0.95;0.01<y<0.4;0.001<z<
0.2)で表される層状岩塩構造リチウムニッケル複合
酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池は、充放電
を繰り返すエージング処理によって電池容量の増加が見
込まれる二次電池となることが確認できる。
【0055】〈エージング処理条件と電池容量との関
係〉実施例1の二次電池について行ったエージング処理
試験の結果として、種々の充放電電流密度における電池
の初期容量(1サイクル目の容量)と100サイクル
後、500サイクル後、1000サイクル後のそれぞれ
の電池の放電容量および容量変化率を、下記表2および
表3に示す。なお表2は20℃における試験結果であ
り、表3は40℃における試験結果である。また、実施
例1の二次電池に対して20℃で行ったエージング処理
において、種々の充放電電流密度によるエージング処理
の場合の、各充放電サイクルにおける放電容量を図4に
示す。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】上記表2および表3から明らかなように、
エージング温度20℃および40℃のいずれの場合も、
0.25mA/cm2という低い電流密度で充放電を行
った場合は、初期容量において大きな値を示すものの、
充放電サイクルを経るにつれて電池容量は次第に低下す
る。これは、0.25mA/cm2以下の低い電流密度
でエージング処理を行うと、上述したところの出現した
低電圧領域の容量成分までもが、充放電サイクルの初期
の段階から放出されることに起因するものと考えられ
る。
【0059】これに対し、0.5mA/cm2以上の電
流密度で充放電を繰り返す場合は、0.5、1、2、4
mA/cm2のいずれの充放電密度であっても、100
0サイクルまでは電池容量は初期容量を上回る値となっ
ている。また、20℃、40℃いずれの場合も、0.
5、4mA/cm2の場合と比較して、1、2mA/c
2の電流密度で充放電を繰り返すほうが、容量の増加
率が大きいことが判る。したがって、1〜2mA/cm
2の電流密度で充放電を行うエージング処理が、より大
きな容量増加が達成できるエージング処理であることが
確認できる。さらにこの1〜2mA/cm2の電流密度
の場合、同じサイクル数でも、エージング温度の高い4
0℃の場合のほうがより大きな容量増加を示すことか
ら、有効な限り高い温度でエージング処理を行うことが
望ましいことも確認できる。
【0060】なお、20℃の温度において、0.5mA
/cm2という比較的低い電流密度で充放電を行った場
合は、一旦増加した容量が、サイクルを経るにつれ減少
する傾向が見られることから、低い電流密度でエージン
グ処理する場合は、比較的高目の温度条件で行うことが
望ましいことが判る。図4は、サイクルを経るにつれた
容量変化をよく示しており、所定の条件でエージング処
理することにより、安定したサイクル特性が得られるこ
とが確認できる。
【0061】上述したすべての結果を総合して判断すれ
ば、Niサイトを2種の他元素で置換した上記組成範囲
にある層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を正極
活物質に用いたリチウム二次電池では、0.5mA/c
2以上の電流密度で充放電を繰り返すエージング処理
を行えば、その二次電池の容量を増加させることができ
るといえる。
【0062】また、所定条件で充放電を行うことによ
り、容量が減少することなく維持できることに鑑みれ
ば、本充放電方法は、エージング処理ばかりでなく、二
次電池の使用時においても、充放電を所定条件範囲とな
るように制御することで、電池容量の劣化のない二次電
池の使用方法となることを示唆するものである。
【0063】
【発明の効果】本発明のエージング処理方法は、Niサ
イトを2種以上の所定の他元素で置換した層状岩塩構造
リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とするリチウ
ム二次電池に対するものであり、組付けられた電池に対
して、0.5mA/cm2以上の電流密度で充放電を繰
り返す処理方法である。本発明のエージング処理方法に
よれば、極めて簡便に、そのリチウム二次電池の放電容
量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1および比較例3の二次電池の、20
℃の温度下、充放電電流密度1mA/cm2の条件でエ
ージング処理を行った場合の各充放電サイクルにおける
放電容量を示す。
【図2】 実施例1の二次電池の、20℃の温度下、充
放電電流密度1mA/cm2の条件でエージング処理を
行った場合の所定サイクル後の微分容量曲線を示す。
【図3】 比較例3の二次電池の、20℃の温度下、充
放電電流密度1mA/cm2の条件でエージング処理を
行った場合の所定サイクル後の微分容量曲線を示す。
【図4】 実施例1の二次電池の、種々の充放電電流密
度でエージング処理を行った場合の各充放電サイクルに
おける放電容量を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 隆彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 則竹 達夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 奥田 匠昭 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 竹内 要二 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小林 哲郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐々木 厳 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 向 和彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5H003 AA02 BA00 BB05 BC01 BC06 BD00 5H014 AA01 AA06 BB12 EE10 HH04 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AL06 AL07 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ28 HJ02 HJ17 5H030 AA01 AS20 BB03 FF41 FF42

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式LiNixM1yM2z2(M1はC
    o、Mnから選ばれる少なくとも1種;M2はAl、
    B、Fe、Cr、Mgから選ばれる少なくとも1種;x
    +y+z=1;0.5<x<0.95;0.01<y<
    0.4;0.001<z<0.2)で表される層状岩塩
    構造リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とする正
    極と負極とを組付けて形成されるリチウム二次電池のエ
    ージング処理方法であって、 組付けられた電池に対して、0.5mA/cm2以上の
    電流密度で充放電を繰り返すことを特徴とするリチウム
    二次電池のエージング処理方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2369660A1 (en) * 2008-12-24 2011-09-28 NGK Insulators, Ltd. Plate-shaped particles for positive electrode active material of lithium secondary batteries, films of said material, as well as lithium secondary batteries
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