JP4691212B2 - 石炭の膨張率の測定方法、石炭の比容積の推定方法、空隙充填度の測定方法及び石炭配合方法 - Google Patents

石炭の膨張率の測定方法、石炭の比容積の推定方法、空隙充填度の測定方法及び石炭配合方法 Download PDF

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Description

本発明は、石炭の軟化溶融特性の評価パラメータである石炭の膨張率の測定方法、石炭の比容積の推定方法、空隙充填度の測定方法及び石炭配合方法に関する。
本願は、2009年3月10日に、日本に出願された特願2009−056920号と2009年7月24日に、日本に出願された特願2009−173075号と2009年10月16日に、日本に出願された特願2009−239098とに基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
高炉用コークスは、高炉の要求品質に応じて通常多くの種類の石炭を配合し、コークス炉で乾留して製造される。高炉用コークスの強度が低いと、コークスが高炉に装入された際に、コークスから発生した粉コークスにより高炉内の還元ガスの移動(上昇)が妨げられる。この場合には、鉄鉱石の還元反応が阻害され、高炉の安定的な操業が困難になる。したがって、高炉用コークスは、所定値以上の強度を有することが求められる。
コークス強度としては、JISのドラム強度指数(例えば、DI150 やDI150 15)、ISOのマイカム強度指数、ASTMのタンブラー強度指数などの回転強度指数または落下強度指数が用いられている。これらの指数は、いずれも、所定の機械的衝撃をコークス(塊コークス)に与えたときに粉コークスを生成せず塊コークスの状態を維持する程度を表している。回転強度指数は、円筒形の容器内でコークスの落下試験を自動的に繰返し行って得られる。そのため、この回転強度指数は、落下強度指数と本質的に同種の指数である。
石炭の配合を変更する際には、所定強度(目標値)以上のコークスを製造するために、配合される各種石炭の特性から事前にコークス強度を予測する必要がある。そのため、配合する各種石炭の特性からコークス強度を推定する技術が開発されており、多くの従来法では、石炭の特性である石炭化度と粘結性とからコークス強度を推定していた。石炭の石炭化度を表す指標としては、揮発分、反射率、炭素含有率などが用いられている。また、石炭の粘結性を表す指標としては、JIS M 8801に規定されている膨張性(例えば、膨張率や比容積)や流動性などが用いられている。
また、例えば、石炭組織の分析値から石炭化度と粘結性とに相当する2つのパラメータを算出してコークス強度を推定する方法及び元素分析値から石炭化度と粘結性とに相当する2つのパラメータを算出してコークス強度を推定する方法も開発されていた。しかし、これらの従来法では、例えば、使用する石炭(配合炭中の石炭)が大幅に変更された場合に、十分な精度でコークス強度を推定することができない。
特許文献1には、石炭軟化時の比容積とコークス炉装入時の石炭の嵩密度との積から石炭軟化時の空隙充填度を求め、この石炭軟化時の空隙充填度からコークスの表面破壊強度を推定する方法が開示されている。
この特許文献1の方法は、下記の知見に基づいている。石炭軟化時に石炭粒子間の空隙率に対して石炭の膨張率が高いと、石炭粒子は、十分膨張できない。逆に、石炭粒子間の空隙率に対して膨張率が低いと、十分な空隙があるため、石炭粒子は、自由に膨張する。石炭軟化時に石炭粒子が自由に膨張すると、石炭粒子内の気泡が破裂し、粗大な連結気孔及び石炭粒子間の非接着部が生成されて脆弱なコークスが製造される。通常のコークス製造用の石炭は、400℃前後の温度で軟化を開始して膨張し、500℃前後の温度で再固化する。そのため、石炭の軟化から再固化までの間(コークス化中)に石炭粒子が空隙を充填する割合を求めれば、コークス中の非接着粒界及び連結気孔の欠陥の量を予測でき、コークスの表面破壊強度を推定できる。
特開2002−121565号公報
しかしながら、近年、石炭価格の高騰などを背景として、これまでコークスの製造原料として使用されなかった粘結性の低い石炭の使用が求められている。具体的には、コークス製造のために、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の粘結性の低い石炭(極低全膨張率炭)の使用が求められている。例えば、この全膨張率が0%の粘結性の低い石炭は、燃料として、ボイラー内で燃焼させて使用されていた。
特許文献1のコークス強度の推定方法では、全膨張率が0%の石炭を用いることを考慮していない。そのため、全膨張率が0%の石炭を用いる場合にも、この方法を使用できるかどうか不明であった。そこで、本発明者等は、特許文献1の方法に基づき、全膨張率が0%の石炭を含む配合炭から製造されるコークスの強度を推定した。さらに、上述の全膨張率が0%の石炭を含む配合炭を乾留して製造された高炉用コークスのコークス強度を測定した。その後、測定されたコークス強度と推定されたコークス強度とを比較した。
表1に、石炭A〜Gの軟化溶融特性を評価する評価パラメータの値を示す。なお、石炭A〜Gは、互いに異なる銘柄の石炭である。石炭A及びBは、粘結性の高い石炭であり、石炭C〜Gは、全膨張率が0%の粘結性が低い石炭である。
Figure 0004691212
ここで、特許文献1に記載されているように、石炭軟化時の比容積V(cm/g)は、最大膨張時の石炭体積ΔV(cm)または石炭の膨張率b(%)を用いて、下記(1)または(2)式から求められる。
V=ΔV/w・・・(1)
V=0.96π(1+b/100)/w・・・(2)
なお、wは、ディラトメーター(細管)への石炭装入量(g)である。また、最大膨張時の石炭体積ΔV及び石炭の膨張率bは、ディラトメーターにより測定される。
上記(2)式から、同じ膨張率bを有する石炭は、互いに石炭軟化時の比容積Vが同じになることがわかる。さらに、特許文献1に示すように、石炭軟化時の比容積Vにコークス炉装入時の石炭の嵩密度をかけることにより石炭軟化時の空隙充填度を求めることができる。また、この空隙充填度とコークス強度(例えば、表面破壊強度)とは、ある相関関係を有している。したがって、同じ石炭軟化時の比容積V(cm/g)の石炭は、同じ空隙充填度(−)を有するため、同じコークス強度を有する。
そこで、本発明者等は、種類が異なる配合炭X〜X10を乾留して、コークスにし、コークス強度DI(ドラムインデックス)を測定した。その測定結果を表2及び表3に示す。さらに、これらの配合炭X〜X10の空隙充填度とコークス強度DIとの相関関係を図4に示した。なお、配合炭X〜X10の比容積として、表1の各石炭の比容積の加重平均値を用いた。黒塗りの正方形のデータは、表2に対応する配合炭X〜Xを用いた比較例1である。白抜きの三角形のデータは、表3に対応する配合炭X〜X10を用いた比較例2である。
なお、表2及び表3中には、配合炭X〜X10に用いた石炭A〜Gの配合比を示している。すなわち、配合炭Xには、25mass%の石炭Aと、25mass%の石炭Bと、50mass%の石炭Cとが配合されている。配合炭Xには、25mass%の石炭Aと、25mass%の石炭Bと、50mass%の石炭Dとが配合されている。配合炭Xには、25mass%の石炭Aと、25mass%の石炭Bと、50mass%の石炭Eとが配合されている。配合炭Xには、25mass%の石炭Aと、25mass%の石炭Bと、50mass%の石炭Fとが配合されている。配合炭Xには、25mass%の石炭Aと、25mass%の石炭Bと、50mass%の石炭Gとが配合されている。
Figure 0004691212
また、配合炭Xには、50mass%の石炭Aと、50mass%の石炭Cとが配合されている。配合炭Xには、50mass%の石炭Aと、50mass%の石炭Dとが配合されている。配合炭Xには、50mass%の石炭Aと、50mass%の石炭Eとが配合されている。配合炭Xには、50mass%の石炭Aと、50mass%の石炭Fとが配合されている。配合炭X10には、50mass%の石炭Aと、50mass%の石炭Gとが配合されている。
Figure 0004691212
配合炭X〜Xにおいては、配合炭の軟化時の空隙充填度が全て同じである。そのため、上記説明から、配合炭X〜Xを用いたコークス強度DIも全て同じになると考えられる。同様に、配合炭X〜X10においては、配合炭の空隙充填度が全て同じである。そのため、上記説明から、配合炭X〜X10を用いたコークス強度DIも全て同じになると考えられる。
しかしながら、表2に示すように、各配合炭X〜Xを用いたコークス強度DIは、互いに異なっていた。同様に、表3に示すように、各配合炭X〜X10を用いたコークス強度DIも、互いに異なっていた。したがって、全膨張率が0%の石炭を含む配合炭を用いてコークスを製造する場合には、特許文献1のコークス強度の推定方法を適用できないことがわかった。
そこで、本発明では、全膨張率が0%の石炭にも適用できる膨張率(または、比容積)の測定方法を提供する。また、全膨張率が0%の石炭を含む配合炭にも適用できる比容積の推定方法を提供する。さらに、全膨張率が0%の石炭を含む配合炭にも適用できる空隙充填度の測定方法を提供する。加えて、全膨張率が0%の石炭を含む配合炭にも適用できる空隙充填度の測定方法を用いた石炭配合方法を提供する。
本発明は、全膨張率0%の石炭にも適用できる膨張率の測定方法を提供するために以下の手段を採用した
本発明の石炭の膨張率の測定方法では、細管に石炭を入れ;この細管にピストンを挿入し;前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;前記ピストンの変位量を測定し;この変位量から前記石炭の膨張率を求める。前記昇温速度以外の条件は、JIS M 8801の膨張性試験方法にしたが
また、本発明の石炭の膨張率の測定方法では、細管に石炭を入れ;この細管にピストンを挿入し;前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;前記ピストンの変位量を測定し;この変位量から前記石炭の膨張率を求める。前記昇温速度以外の条件は、ISO 8264の膨張性試験方法にしたが
また、本発明の石炭の膨張率の測定方法では、細管に石炭を入れ;この細管にピストンを挿入し;前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;前記ピストンの変位量を測定し;この変位量から前記石炭の膨張率を求める。前記石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭である。
また、本発明は、全膨張率が0%の石炭(極低全膨張率炭)にも適用できる比容積の推定方法を提供するために以下の手段を採用した。
)JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を推定する本発明の石炭軟化時の比容積推定方法では、細管に石炭を入れ、この細管にピストンを挿入し、前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し、前記ピストンの変位量を測定し、この変位量から前記石炭の膨張率を求める石炭の膨張率の測定方法によって測定される石炭の膨張率から求めた前記極低全膨張率炭の軟化時の標準比容積と、前記極低全膨張率炭の標準酸素濃度との関係を予め求め;この関係に基づいて測定された前記極低全膨張率炭の酸素濃度から前記極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を推定する。
)上記()に記載の石炭軟化時の比容積推定方法では、前記極低全膨張率炭の前記酸素濃度が9mass%以上であってもよい。
)上記()に記載の石炭軟化時の比容積推定方法では、前記極低全膨張率炭の前記酸素濃度が12mass%以下であってもよい。
また、本発明は、全膨張率0%の石炭を含む配合炭にも適用できる空隙充填度の測定方法を提供するために以下の手段を採用した。
)本発明の空隙充填度の測定方法では、上記(1)または(2)に記載の石炭の膨張率の測定方法を用いて前記石炭の膨張率を測定し;この膨張率から前記石炭の軟化時の比容積を求め;この比容積に前記石炭のコークス炉装入時の嵩密度をかけて、前記石炭の軟化時の空隙充填度を求める。
)上記()に記載の空隙充填度の測定方法では、前記石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭であってもよい。
)本発明の空隙充填度の測定方法では、複数の石炭を準備し;前記各石炭のうち、少なくとも一つの石炭に対し上記(1)または(2)に記載の石炭の膨張率の測定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求める。
10)上記()に記載の空隙充填度の測定方法では、前記配合炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含んでもよい。
11)本発明の空隙充填度の測定方法では、上記()に記載の石炭の比容積推定方法を用いて、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭の軟化時の比容積を求め;この比容積に前記極低全膨張率炭のコークス炉装入時の嵩密度をかけて、前記極低全膨張率炭の軟化時の空隙充填度を求める。
12)本発明の空隙充填度の測定方法では、JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含む複数の石炭を準備し;前記各石炭のうち、前記極低全膨張率炭に対し上記()に記載の石炭の比容積推定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求める。
13)上記(11)または(12)に記載の空隙充填度の測定方法では、前記極低全膨張率炭の酸素濃度が9mass%以上であってもよい。
14)上記(11)または(12)に記載の空隙充填度の測定方法では、前記極低全膨張率炭の酸素濃度が12mass%以下であってもよい。
本発明は、全膨張率0%の石炭を含む配合炭にも適用できる石炭配合方法を提供するために以下の手段を採用した。
15)本発明の石炭配合方法では、複数の石炭を準備し;前記各石炭のうち、少なくとも一つの石炭に対し上記(1)または(2)に記載の石炭の膨張率の測定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求め;予め求めた前記配合炭の軟化時の標準空隙充填度と前記配合炭から製造されたコークスの標準コークス強度との関係に基づいて、前記配合炭の軟化時の前記空隙充填度から前記配合炭を用いたコークスのコークス強度を推定し;前記配合炭を用いた前記コークスの前記コークス強度が所定の値以上になるように前記各石炭を配合する。
16)上記(15)に記載の石炭配合方法では、前記配合炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含んでもよい。
17)本発明の石炭配合方法では、JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含む複数の石炭を準備し;前記各石炭のうち、前記極低全膨張率炭に対し上記()に記載の石炭の比容積推定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求め;予め求めた前記配合炭の軟化時の標準空隙充填度と前記配合炭から製造されたコークスの標準コークス強度との関係に基づいて、前記配合炭の軟化時の前記空隙充填度から前記配合炭を用いたコークスのコークス強度を推定し;前記配合炭を用いた前記コークスの前記コークス強度が所定の値以上になるように前記各石炭を配合する。
18)上記(17)に記載の石炭配合方法では、前記極低全膨張率炭の酸素濃度が9mass%以上であってもよい。
19)上記(17)に記載の石炭配合方法では、前記極低全膨張率炭の酸素濃度が12mass%以下であってもよい。
本発明によれば、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の石炭を区別できるように膨張率(比容積)及び空隙充填度を測定することができる。また、全膨張率が0%の石炭の比容積を容易に推定することができる。さらに、本発明によれば、石炭の配合時にコークス強度を容易かつ正確に推定できるため、適切な石炭の配合比を決定できる。
加熱温度とピストンの変位量との関係を示した関係図である。 表5及び表6に示す空隙充填度とコークス強度DIとの関係を示した相関図である。 表8及び表9に示す空隙充填度とコークス強度DIとの関係を示した相関図である。 表2及び表3に示す空隙充填度とコークス強度DIとの関係を示した相関図である。 表10及び表11に示す空隙充填度とコークス強度DIとの関係を示した相関図である。 極低全膨張率炭の酸素濃度と12℃/minの昇温速度で測定された極低全膨張率炭の比容積との関係を示した相関図である。 極低全膨張率炭の酸素濃度と6℃/minの昇温速度で測定された極低全膨張率炭の比容積との関係を示した相関図である。
コークスの回転強度指数や落下強度指数などの強度は、塊コークスに機械的衝撃を加えた際に塊コークスから発生する粉コークスの発生量(あるいは、塊コークスの残存量)を示している。
機械的衝撃を与えた後のコークスの粒度分布は、通常、粗粒のピークと微粒のピークとを有する。この粗粒のピークに属するコークスは、体積破壊により生成されている。また、微粒のピークに属するコークスは、表面破壊により生成されている。上記粒度分布における粗粒のピーク(体積破壊により生成したコークス)と微粒のピーク(表面破壊により生成したコークス)との境界は、機械的衝撃を与える前のコークス粒度により変化し、高炉用コークスの場合、ほぼ6mmである。
コークスの破壊は、コークス中の欠陥を起点とした脆性破壊である。体積破壊と表面破壊とでは、破壊の原因(起点)となる欠陥が異なっている。体積破壊の起点は、目視により観察できるような大きな亀裂である。また、表面破壊の起点は、石炭粒子(1mm程度の平均粒度)の接着が不完全な部分及び顕微鏡で視認できる程度の小さな亀裂である。
体積破壊の原因になる大きな亀裂は、コークス全体の不均一な収縮によって発生する熱応力により生成される。この亀裂の量は、乾留時のコークス内温度分布と石炭再固化時の収縮係数とに支配されている。これに対して、表面破壊の原因となる小さな亀裂は、コークス全体の収縮でなく、石炭粒子間の局部的かつ不均一な収縮による応力から発生する。また、表面破壊の主原因になる石炭粒子の接着が不完全な部分の量は、石炭の粘結性及び嵩密度に支配されている。
ここで、コークス強度試験によって生成する粉コークスのうち、粒度が6mm以下の粉コークスを表面破壊により生成したコークスに分類する。
本発明者等は、比容積V(または、膨張率b)を測定する際に石炭軟化時の昇温速度を上げることにより、銘柄が異なる全膨張率が0%の石炭を互いに区別できることを見出した。例えば、特許文献1では、JIS M 8801に規定する方法を用いているため、石炭軟化時の比容積を求める際の昇温速度は、3.0±0.1℃/minである。しかしながら、本発明では、この昇温速度を6.0℃/min以上に上げて、銘柄の異なる全膨張率0%の石炭を互いに区別できるように比容積V(または、膨張率b)を測定している。なお、本明細書では、「全膨張率が0%の石炭(極低全膨張率炭)」を、JIS M 8801の膨張性試験において測定された全膨張率が0%の石炭と定義する。この極低全膨張率炭の膨張率bをISO 8264により測定した場合には、この膨張率bが所定の最小値となる。この場合には、複数の極低全膨張率炭の膨張率bを区別できない。なお、比容積Vと膨張率bとは、上述した(2)式により相互に変換できるため、どちらも膨張率を表す膨張特性として使用できる。
その理由は、下記の通りである。石炭を加熱すると、溶融した石炭粒子の内部でガスが発生し、この発生したガスの圧力により溶融した石炭粒子が膨張する。昇温速度が増加すると、熱分解によるガスの発生速度が増加する。このガスの発生速度の増加により、石炭粒子の熱溶融量が僅かであっても、石炭粒子が膨張する。そのため、昇温速度を上昇させることにより、JIS M 8801に記載された昇温速度では得られなかった比容積の差異を測定することができる。
昇温速度がこの比容積の差異に与える影響を調べるために、JIS M 8801のディラトメーター法で使用される試験器具を用いて膨張性試験を行った。この膨張性試験では、全膨張率が0%の石炭Dを入れた細管にピストンを挿入し、所定の昇温速度で加熱して、ピストンの変位量を測定した。図1に、加熱温度とピストンの変位量との関係を示す。測定例1のデータは、JIS M 8801に規定される3.0℃/minの昇温速度で加熱したときのピストンの変位量を示している。また、測定例2のデータは、JIS M 8801に規定される昇温速度よりも速い12.0℃/minの昇温速度で加熱したときのピストンの変位量を示している。
図1に示すように、3.0℃/minの昇温速度で加熱したときには、石炭が膨張しなかった。一方、12.0℃/minの昇温速度で加熱したときには、石炭が膨張し、ピストンが大きく変位した。このように、3.0℃/minの昇温速度で膨張しない石炭を使用した場合であっても、12.0℃/minの昇温速度で膨張率を測定すれば、確実に大きな膨張率を得ることができる。
また、本発明者等は、極低全膨張率炭について、石炭の軟化時の昇温速度Vtempが6.0℃/min以上の膨張性試験により測定された石炭軟化時の比容積と、JIS M 8813で規定された測定方法により測定された石炭の酸素濃度との間に一定の相関関係があることを発見した。
具体的には、極低全膨張率炭について、上述した石炭の酸素濃度が高くなるほど、上述した石炭軟化時の比容積が低くなることがわかった。
石炭中の酸素濃度が多いと、石炭軟化時の熱分解により生じるラジカルが酸素により失活し安定化しやすい。そのため、石炭中の酸素濃度の増加とともに粘結性(軟化溶融性)が低下すると考えられる。したがって、次の方法により、実際の配合炭に使用する極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を簡単に推定することができる。まず、コークス製造用の主要な原料炭について、上記方法で石炭軟化時の比容積と石炭の酸素濃度とを測定し、予め石炭軟化時の比容積(標準比容積)と石炭の酸素濃度(標準酸素濃度)との関係を示すデータベースを作成する。このデータベースと極低全膨張率炭の酸素濃度とを照らし合わせる。
この方法により、測定に時間を要する極低全膨張率炭の膨張性試験を省略し、石炭の酸素濃度を用いて極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を推定することができる。この石炭の酸素濃度は、化学分析データとして、一般にコークス原料の原料炭の品質管理のために炭素等の元素とともに分析されている。この石炭の酸素濃度の分析方法は、JIS M 8813で規定された測定方法に限定されない。例えば、ISO 333またはISO 1994に規定された測定方法であってもよい。
なお、極低全膨張率炭の酸素濃度は、例えば、後述する図6及び7に示すように、9mass%以上である。すなわち、全膨張率が0%の石炭(極低全膨張率炭)の酸素濃度の下限値は、9mass%に規定することができる。
ここで、上述したように、石炭軟化時の空隙充填度を求めることにより、コークス強度を推定することができる。また、石炭軟化時の空隙充填度Z(−)は、コークス炉装入時の石炭の嵩密度Sd(g/cm)を用いて、下記(3)式から算出することができる。
Z=V×Sd・・・(3)
つまり、石炭軟化時の比容積V(cm/g)及びコークス炉装入時の石炭の嵩密度Sd(g/cm)を求めることにより、石炭軟化時の空隙充填度Zが算出され、コークス強度を推定することができる。
さらに、石炭軟化時の比容積Vは、JIS M 8801のディラトメーターにより測定された膨張率b(%)を用いて、上述の(1)及び(2)式により算出される。
ただし、膨張率bを測定する際に、300℃以上500℃以下の温度範囲においてJIS M 8801のディラトメーター法の昇温速度よりも速い6.0℃/min以上の昇温速度で電気炉を加熱する。好ましくは、12℃/min以上の昇温速度で電気炉を加熱する。この昇温速度は、膨張率の測定精度及び電気炉の加熱能力を考慮すると、50℃/min以下であることが好ましい。また、JIS M 8801(または、ISO 8264)と同様に、膨張率b(%)を「ピストンの零点から最高位置までの変位の、棒状に成形した試料の最初の長さに対する百分率」と定義する。また、昇温速度以外の試験条件は、JIS M 8801(または、ISO 8264)の規格に従う。
さらに、上記(1)〜(3)式から導かれる石炭軟化時の空隙充填度Zとコークス強度との関係を予め求めておく。この関係より、コークス強度を推定することができる。
コークス強度の推定方法について詳細に説明する。先ず、各種の石炭(銘柄)の軟化時の比容積を測定し、これらの石炭を配合後、乾留し、コークスを製造する。その際、全膨張率が0%の石炭(極低全膨張率炭)については、石炭の酸素濃度(標準酸素濃度)と石炭軟化時の比容積(標準比容積)との関係を求めておく。さらに、コークス炉装入時の石炭の嵩密度を測定しておく。次に、製造されたコークスのコークス強度を測定する。例えば、コークス強度として、JIS K 2151のドラム試験法によるドラム強度指数DI150 を測定する。すなわち、コークス強度DIとして、r回転後のdmm篩上重量百分率であるドラム強度指数DI を使用することができる。ただし、コークス強度として、ISOのマイカム強度指数やASTMのタンブラー強度指数などの他の強度指数を測定してもよい。
さらに、石炭軟化時の比容積とコークス炉装入時の石炭の嵩密度とから算出される石炭軟化時の空隙充填度(標準空隙充填度)と、コークス強度DI150 (標準コークス強度)との関係を求める。なお、2種類以上の石炭を含む配合炭を使用する場合には、石炭軟化時の比容積(配合炭の比容積、配合炭の平均比容積)として、各石炭の比容積(実測値または推定値)の加重平均値(加重平均比容積)を用いればよい。
上述したように、コークス強度を推定するために、使用する石炭の軟化時の比容積を上記方法により測定し、乾留する際のコークス炉装入時の石炭(配合炭)の嵩密度を石炭水分や粒度などから予測する。さらに、石炭(配合炭)の軟化時の比容積及びコークス炉装入時の石炭(配合炭)の嵩密度の値から石炭軟化時の空隙充填度を算出する。この空隙充填度の値から、予め求めておいた石炭軟化時の空隙充填度(標準空隙充填度)とコークス強度(標準コークス強度)との関係を用いて、コークス強度を推定する。
なお、極低全膨張率炭の比容積を直接測定しない場合には、予め作成された石炭の酸素濃度(標準酸素濃度)と石炭軟化時の比容積(標準比容積)との関係を示すデータベースに、使用する極低全膨張率炭の酸素濃度を照らし合わせる。この方法により極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積(推定比容積)を推定する。極低全膨張率炭の比容積を直接測定しない場合には、この推定比容積を使用して加重平均比容積を算出する。また、配合炭を構成する極低全膨張率炭以外の石炭については、石炭の軟化時の昇温速度Vtempが6.0℃/min以上の上記膨張性試験またはJIS M 8801のディラトメーター法により測定された膨張率から、石炭軟化時の比容積を計算する。この比容積に石炭の配合率を乗じた重み付き比容積を、極低全膨張率炭以外の各石炭について足し合わせ、重み付き比容積の総和を求める。また、上述した推定比容積に石炭の配合率を乗じた重み付き推定比容積を、極低全膨張率炭について足し合わせ、重み付き推定比容積の総和を求める。この重み付き推定比容積の総和と、重み付き比容積の総和とを足し合わせ、加重平均比容積(配合炭の平均比容積)を計算することができる。さらに、乾留する際のコークス炉装入時の石炭(配合炭)の嵩密度を石炭水分や粒度などから予測する。加えて、石炭(配合炭)の軟化時の比容積及びコークス炉装入時の石炭(配合炭)の嵩密度の値から石炭軟化時の空隙充填度を算出する。この空隙充填度の値から、予め求めておいた石炭軟化時の空隙充填度(標準空隙充填度)とコークス強度(標準コークス強度)との関係を用いて、コークス強度を推定する。
なお、コークスは、多孔質材料であり、コークス強度は、気孔率の影響も受ける。すなわち、コークスの気孔率が高いと、有効断面積が減少し、有効弾性率や有効表面エネルギーなどの物性が変化するので、コークス強度が低下する。したがって、コークスの気孔率とコークス強度との関係を求めておき、石炭の配合や石炭の嵩密度などによる気孔率の変化がコークス強度へ与える影響を考慮すれば、コークス強度の推定精度は、さらに向上する。
ここで、コークスの気孔率は、例えば、石炭の嵩密度とコークス歩留とから推定できる。また、コークス歩留は、例えば、石炭の揮発分から推定できる。
上述したように、本発明では、ディラトメーターの細管に石炭を入れ、この細管にピストンを挿入した後、石炭の軟化時の昇温速度が6℃/min以上になるように細管に入れた石炭を加熱して、ピストンの変位量を測定し、この変位量から膨張率(または、比容積)を求める。この場合、昇温速度を6℃/min以上とする温度範囲は、300℃以上500℃以下であってもよい。また、昇温速度以外の条件は、JIS M 8801の膨張性試験方法にしたがってもよい。同様に、昇温速度以外の条件は、ISO 8264の膨張性試験方法にしたがってもよい。さらに、膨張率を測定する石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の石炭であってもよい。また、膨張率を測定する石炭は、単一銘柄の石炭であっても、複数の銘柄の石炭を配合した配合炭であってもよい。なお、膨張率は、ピストンの零点から最高位置(石炭が最大に膨張した時のピストンの位置)までの変位の、細管中の石炭の最初の長さに対する百分率として計算される。
極低全膨張率炭については、次の方法により、石炭軟化時の比容積を推定することができる。すなわち、石炭の軟化時の昇温速度Vtempが6.0℃/min以上の上述の膨張性試験によって測定される石炭(極低全膨張率炭)の膨張率から求めた極低全膨張率炭の軟化時の比容積(標準比容積)と、前記極低全膨張率炭の酸素濃度(標準酸素濃度)との関係を予め求めておく。この関係に基づいて測定された極低全膨張率炭の酸素濃度から極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を推定する。
また、本発明の空隙充填度の測定方法の第一実施形態では、複数の石炭を準備し、この複数の石炭のうち、少なくとも一つの石炭に対し上述した石炭の膨張率の測定方法を適用して、複数の石炭の軟化時の比容積を求める。なお、膨張率を測定する石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を少なくとも含んでもよい。すなわち、複数の石炭中に極低膨張率炭が含まれる場合には、少なくとも一つの極低膨張率炭に対し上述した石炭の膨張率の測定方法を適用して極低膨張率炭の膨張率を測定し、(2)式を用いて極低膨張率炭の軟化時の比容積を求める。さらに、複数の石炭の配合率を重みとして、複数の石炭の軟化時の比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求める。その後、(3)式に示されるように、この平均比容積に、コークス炉装入時の配合炭の嵩密度をかけて、配合炭の軟化時の空隙充填度を求める。ここで、空隙充填度を測定する石炭は、単一銘柄の石炭であっても、複数の銘柄の石炭を配合した配合炭であってもよい。また、単独の石炭の石炭軟化時の空隙充填度を求める際には、上述の石炭の膨張率の測定方法を用いて石炭の膨張率を測定し、この膨張率から石炭の軟化時の比容積を求める。(3)式に示すように、この比容積に石炭のコークス炉装入時の嵩密度をかけて、石炭の軟化時の空隙充填度を求める。
また、本発明の空隙充填度の測定方法の第二実施形態では、JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含む複数の石炭を準備し、この複数の石炭のうち、極低全膨張率炭に対し上述した石炭の比容積推定方法を適用して、複数の石炭の軟化時の比容積を求める。さらに、複数の石炭の配合率を重みとして、複数の石炭の軟化時の比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求める。その後、(3)式に示されるように、この平均比容積に、コークス炉装入時の配合炭の嵩密度をかけて、配合炭の軟化時の空隙充填度を求める。また、単独の石炭の石炭軟化時の空隙充填度を求める際には、上述の石炭の比容積推定方法を用いて、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭の軟化時の比容積を求める。(3)式に示すように、この比容積に極低全膨張率炭のコークス炉装入時の嵩密度をかけて、極低全膨張率炭の軟化時の空隙充填度を求める。
さらに、本発明の石炭配合方法の第一実施形態では、複数の石炭を準備し、この複数の石炭のうち、少なくとも一つの石炭に対し上述した石炭の膨張率の測定方法を適用して、複数の石炭の軟化時の比容積を求める。なお、膨張率を測定する石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を少なくとも含んでもよい。すなわち、複数の石炭中に極低膨張率炭が含まれる場合には、少なくとも一つの極低膨張率炭に対し上述した石炭の膨張率の測定方法を適用して極低膨張率炭の膨張率を測定し、(2)式を用いて極低膨張率炭の軟化時の比容積を求める。さらに、複数の石炭の配合率を重みとして、複数の石炭の軟化時の比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求める。その後、(3)式に示されるように、この平均比容積に、コークス炉装入時の配合炭の嵩密度をかけて、配合炭の軟化時の空隙充填度を求める。予め測定された空隙充填度(標準空隙充填度)と予め測定されたコークス強度(標準コークス強度)との関係に基づいて、配合炭の軟化時の空隙充填度から配合炭を用いたコークスのコークス強度を推定する。この推定に基づいて、配合炭を用いたコークスのコークス強度が所定の値(目標値)以上になるように複数の石炭を配合する。このコークス強度として、JIS K2151のドラム試験法によるドラム強度指数DI150 (−)を用いてもよい。このドラム強度指数DI150 は、ドラム試験機による150回転後の6mm篩上の割合を示す。また、コークス強度として、ISOのマイカム強度指数やASTMのタンブラー強度指数などの他の強度指数を用いてもよい。さらに、配合炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の石炭を少なくとも含んでもよい。なお、複数の石炭中の極低全膨張率炭については、上述の石炭の膨張率の測定方法(6.0℃/min以上の昇温速度で膨張率を測定する方法)または上述の石炭の比容積推定方法(酸素濃度から比容積を推定する方法)を利用して、極低全膨張率炭の膨張率(比容積)を求める。
また、本発明の石炭配合方法の第二実施形態では、JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含む複数の石炭を準備し、この複数の石炭のうち、極低全膨張率炭に対し上述した石炭の比容積推定方法を適用して、複数の石炭の軟化時の比容積を求める。さらに、複数の石炭の配合率を重みとして、複数の石炭の軟化時の比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求める。その後、(3)式に示されるように、この平均比容積に、コークス炉装入時の配合炭の嵩密度をかけて、配合炭の軟化時の空隙充填度を求める。予め測定された空隙充填度(標準空隙充填度)と予め測定されたコークス強度(標準コークス強度)との関係に基づいて、配合炭の軟化時の空隙充填度から配合炭を用いたコークスのコークス強度を推定する。この推定に基づいて、配合炭を用いたコークスのコークス強度が所定の値(目標値)以上になるように複数の石炭を配合する。このコークス強度として、JIS K2151のドラム試験法によるドラム強度指数DI150 (−)を用いてもよい。このドラム強度指数DI150 は、ドラム試験機による150回転後の6mm篩上の割合を示す。また、コークス強度として、ISOのマイカム強度指数やASTMのタンブラー強度指数などの他の強度指数を用いてもよい。さらに、配合炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の石炭を少なくとも含んでもよい。
(実施例1及び実施例2)
石炭A〜Gのそれぞれについて、JIS M 8801のディラトメーター法により膨張性試験を行った。ただし、石炭の軟化溶融温度である300℃以上500℃以下での昇温速度を、JISよりも速い12℃/minに設定した。これらの石炭A〜Gを2.8mm以下(篩下2.8mm)の粒度に整粒した。表4に示すように、石炭A、石炭B、石炭C、石炭D、石炭E、石炭F及び石炭Gの比容積は、それぞれ、5.07cm/g、2.10cm/g、1.75cm/g、1.65cm/g、1.43cm/g、1.29cm/g及び1.27cm/gであった。
Figure 0004691212
表1に示すように、昇温速度が3.0℃/minの場合には、極低全膨張率炭C〜Gの比容積を区別できなかった。しかしながら、表4に示すように、昇温速度を12.0℃/minに上昇させることによりこれらの石炭C〜Gの比容積を区別できた。また、全膨張率が0%でない石炭A及びBについては、昇温速度を3.0℃/minから12.0℃/minに上げることにより、石炭Aと石炭Bとの比容積の差が拡大した。
極低全膨張率炭である石炭C〜Gの酸素濃度を測定し、石炭の酸素濃度O%と石炭軟化時の比容積Vとの関係を求めた。JIS M 8813の石炭類およびコークス類−元素分析法の「酸素百分率算出方法(酸素含有率の測定方法)」に基づき、上述の石炭の酸素濃度O%を測定した。図6は、極低全膨張率炭である石炭C〜Gの酸素濃度O%と石炭軟化時の比容積Vとの関係を示す図である。図6に示すように、石炭の酸素濃度O%が下がるとともに、石炭軟化時の比容積Vが増大した。この関係を表す式の一例として、石炭軟化時の比容積Vは、石炭の酸素濃度O%を用いて(4)式で表される。
V=−0.25×O%+4.25・・・(4)
極低全膨張率炭の酸素濃度O%を測定し、この酸素濃度O%を(4)式に代入することにより、簡単に石炭軟化時の比容積Vを推定することができる。なお、石炭の酸素濃度O%と石炭軟化時の比容積Vとの関係を示す式としては、容易に比容積を推定できるため、(4)式のような一次式を用いることが好ましい。しかしながら、石炭の酸素濃度O%と石炭軟化時の比容積Vとの関係式として任意の推定式も用いることができる。
上述の図6では、最も酸素濃度の高い石炭Gの酸素濃度が12%であった。この石炭Gよりも酸素濃度が高い極低全膨張率炭の膨張率(比容積)を測定する場合には、昇温速度を12℃/minよりも高く設定するのが好ましい。この方法により、石炭軟化時の比容積を区別することができ、石炭の酸素濃度と石炭軟化時の比容積との関係を一次式で求めることができる。すなわち、酸素濃度が12%以下で極低全膨張率炭については、昇温速度を12℃/minに設定することにより、石炭軟化時の比容積を区別することができる。また、酸素濃度が12%よりも高い極低全膨張率炭については、昇温速度を12℃/minよりも速い速度に設定することにより、石炭軟化時の比容積を確実に区別することができる。
さらに、石炭C〜Gを含む配合炭X〜X10について、比容積を算出し、破壊強度試験を行った。配合炭X〜Xの結果(実施例1)を表5に示し、配合炭X〜X10の結果(実施例2)を表6に示す。
ここで、配合炭Xの石炭軟化時の比容積の具体的な算出方法について説明する。配合炭Xに含まれる極低全膨張率炭以外の石炭(全膨張率が0%でない石炭)、すなわち、石炭A及びBの石炭軟化時の比容積は、JIS M 8801のディラトメーター法による膨張性試験により測定される。表1に示される石炭Aの石炭軟化時の比容積2.53(cm/g)に石炭Aの配合率0.25を乗じて重み付き比容積0.6325(cm/g)を算出する。表1に示される石炭Bの石炭軟化時の比容積1.05(cm/g)に石炭Bの配合率0.25を乗じて重み付き比容積0.2625(cm/g)を算出する。石炭Cの酸素濃度を測定し、この測定した酸素濃度を図6に内挿または外挿することにより、石炭Cの石炭軟化時の推定比容積1.75(cm/g)を求める。この石炭Cの石炭軟化時の推定比容積に石炭Cの配合率0.50を乗じて重み付き推定比容積0.875(cm/g)を算出する。上述した石炭AとBとの重み付き比容積及び石炭Cの重み付き推定比容積を合計することにより、配合炭Xの石炭軟化時の比容積1.77(cm/g)を求める。配合炭X〜X10についても、同様の方法で石炭軟化時の比容積を算出する。なお、極低全膨張率炭の比容積(膨張率)を直接12℃/minの昇温速度で測定し、配合炭の比容積を求めてもよい。この場合には、石炭Cの石炭軟化時の比容積1.75(cm/g)に石炭Cの配合率0.50を乗じて重み付き比容積0.875(cm/g)を算出する。その後、石炭A〜Cの重み付き比容積を合計することにより、配合炭Xの石炭軟化時の比容積1.77(cm/g)を求めることもできる。
Figure 0004691212
Figure 0004691212
さらに、表5及び表6に示す空隙充填度とコークス強度DIとの関係を図2に示す。黒塗りの正方形のデータは、表5に対応する配合炭X〜Xを用いた実施例1である。白抜きの三角形のデータは、表6に対応する配合炭X〜X10を用いた実施例2である。図2の横軸は、石炭軟化時の空隙充填度であり、縦軸は、コークス強度DIである。コークス強度DIは、JIS K2151のドラム試験法によるドラム強度指数DI150 である。図2に示すように、空隙充填度及びコークス強度DIは、一定の相関関係を有する。そのため、この相関関係をデータベースとして蓄積することにより、全膨張率が0%の脆弱な石炭を配合炭に含むコークスの強度を正確に推定することができる。
(実施例3及び実施例4)
石炭C〜Gのそれぞれについて、JIS M 8801のディラトメーター法により膨張性試験を行った。ただし、石炭の軟化溶融温度である300℃以上500℃以下での昇温速度を、JISよりも速い6℃/minに設定した。これらの石炭C〜Gを2.8mm以下(篩下2.8mm)の粒度に整粒した。表7に示すように、石炭C、石炭D、石炭E、石炭F及び石炭Gの比容積は、それぞれ、1.43cm/g、1.34cm/g、1.26cm/g、1.25cm/g及び1.24cm/gであった。
Figure 0004691212
表1に示すように、昇温速度が3.0℃/minの場合には、全膨張率が0%の石炭C〜Gの比容積を区別できなかった。しかしながら、表7に示すように、昇温速度を6.0℃/minに上昇させることによりこれらの石炭C〜Gの比容積を区別できた。さらに、表4及び表7の比較から、昇温速度を速くすることにより、石炭C〜Gの間の比容積の差が大きくなり、石炭C〜Gの比容積をより顕著に区別できることがわかった。
全膨張率が0%の石炭(極低全膨張率炭)である石炭C〜Gの酸素濃度を測定し、石炭の酸素濃度O%と石炭軟化時の比容積Vとの関係を求めた。JIS M 8813の石炭類およびコークス類−元素分析法の「酸素百分率算出方法(酸素含有率の測定方法)」に基づき、石炭の酸素濃度O%を測定した。図7は、石炭C〜Gの酸素濃度O%と石炭軟化時の比容積Vとの関係を示す図である。図7に示すように、石炭の酸素濃度O%が下がるとともに、石炭軟化時の比容積Vが増大した。この関係を表す式の一例として、石炭軟化時の比容積Vは、石炭の濃度O%を用いて(5)式で表される。
V=−0.09×O%+2.23・・・(5)
図6及び図7に示されるように、従来のJIS M 8801の膨張性試験において測定された全膨張率が0%の石炭(極低全膨張率炭)であっても、膨張性試験における昇温速度を6.0℃/min以上に上げることにより、石炭軟化時の比容積を区別することができ、さらに、石炭軟化時の比容積と石炭の酸素濃度との関係を一次式で近似できることがわかった。
さらに、石炭C〜Gを含む配合炭X〜X10について、比容積を算出し、破壊強度試験を行った。配合炭X〜Xの試験結果(実施例3)を表8に示し、配合炭X〜X10の試験結果(実施例4)を表9に示す。
ここで、配合炭Xの石炭軟化時の比容積の具体的な算出方法について説明する。配合炭Xに含まれる極低全膨張率炭以外の石炭A及びBの石炭軟化時の比容積は、JIS M 8801のディラトメーター法による膨張性試験を用いて測定された。表1に示される石炭Aの石炭軟化時の比容積2.53(cm/g)に石炭Aの配合率0.25を乗じて重み付き比容積0.6325(cm/g)を算出した。また、表1に示される石炭Bの石炭軟化時の比容積1.05(cm/g)に石炭Bの配合率0.25を乗じて重み付き比容積0.2625(cm/g)を算出した。石炭Cの酸素濃度を測定し、この測定した酸素濃度を図7に内挿または外挿することにより、石炭Cの石炭軟化時の推定比容積1.43(cm/g)を求めた。この石炭Cの石炭軟化時の推定比容積に石炭Cの配合率0.50を乗じて重み付き推定比容積0.715(cm/g)を算出した。上述した石炭AとBとの重み付き比容積及び石炭Cの重み付き推定比容積を合計することにより、配合炭Xの石炭軟化時の比容積1.61(cm/g)を求めた。配合炭X〜X10についても、同様の方法で石炭軟化時の比容積を算出した。なお、極低全膨張率炭の比容積(膨張率)を直接6℃/minの昇温速度で測定し、配合炭の比容積を求めてもよい。この場合には、石炭Cの石炭軟化時の比容積1.43(cm/g)に石炭Cの配合率0.50を乗じて重み付き比容積0.715(cm/g)を算出する。その後、石炭A〜Cの重み付き比容積を合計することにより、配合炭Xの石炭軟化時の比容積1.61(cm/g)を求めることもできる。
Figure 0004691212
Figure 0004691212
さらに、表8及び表9に示す空隙充填度とコークス強度DIとの関係を図3に示す。黒塗りの正方形のデータは、表8に対応する配合炭X〜Xを用いた実施例3である。白抜きの三角形のデータは、表9に対応する配合炭X〜X10を用いた実施例4である。図3の横軸は、石炭軟化時の空隙充填度であり、縦軸は、コークス強度DIである。コークス強度DIは、JIS K2151のドラム試験法によるドラム強度指数DI150 である。図3に示すように、空隙充填度及びコークス強度DIは、一定の相関関係を有する。この相関関係をデータベースとして蓄積することにより、全膨張率が0%の脆弱な石炭をコークスの配合炭として用いる場合であっても、容易にコークスの強度を推定することができる。さらに、図2及び図3の比較から、昇温速度を速くすることにより、配合炭X〜X10の空隙充填度の差が拡大して、より正確にコークスの強度を推定できることがわかった。
上述の実施例1〜4では、極低全膨張率炭以外の石炭(石炭A、石炭B)の膨張性試験をJIS M 8801のディラトメーター法により行った。極低全膨張率炭以外の石炭の膨張性試験においても、極低全膨張率炭と同様に石炭軟化時の昇温速度を6.0℃/min以上に上げることもできる。例えば、以下に示す実施例5及び6では、石炭A及びBについて石炭軟化時の昇温速度を12.0℃/minに設定している。
(実施例5及び6)
さらに、表4に示す石炭A及びBの比容積及び石炭C〜Gの酸素濃度を用いて、配合炭X11〜X20から作製したコークスの強度DI(推定DI)を推定した。配合炭X11〜X20の比容積は、後述するような加重平均法により求めた。また、(3)式を用いて、空隙充填度を算出し、破壊強度試験によりコークス強度(実測DI)を測定した。表10(実施例5)に、配合炭X11〜X15を用いた配合炭の比容積(加重平均比容積)とコークス強度DI(推定値及び実測値)とを示す。同様に、表11(実施例6)に、配合炭X16〜X20を用いた配合炭の比容積(加重平均比容積)とコークス強度DI(推定値及び実測値)とを示す。
Figure 0004691212
Figure 0004691212
配合炭X11の加重平均比容積の具体的な算出方法について説明する。表4に示される石炭Aの石炭軟化時の比容積5.07(cm/g)に石炭Aの配合率0.3を乗じて重み付き比容積1.521(cm/g)を算出する。表4に示される石炭Bの石炭軟化時の比容積2.10(cm/g)に石炭Bの配合率0.3を乗じて重み付き比容積0.63(cm/g)を算出する。石炭Cの酸素濃度を測定し、この測定した酸素濃度を図6に内挿または外挿することにより、石炭Cの石炭軟化時の推定比容積1.75(cm/g)を求める。この石炭Cの石炭軟化時の推定比容積に石炭Cの配合率0.40を乗じて重み付き推定比容積0.7(cm/g)を算出する。次に、上述した石炭AとBとの重み付き比容積及び石炭Cの重み付き推定比容積を合計することにより、配合炭X11の加重平均比容積2.85(cm/g)を算出する。配合炭X12〜X15についても、同様の方法で加重平均比容積を算出する。
同様に、表4及び図6を参照して、配合炭X16〜X20の加重平均比容積を求めた。さらに、(3)式を用いて、石炭軟化時の空隙充填度を算出した。表11に、算出された加重平均比容積及び石炭軟化時の空隙充填度を示している。
なお、直接、極低全膨張率炭の比容積を測定し、配合炭の比容積を計算することもできる。例えば、配合炭X11中の各石炭の組成は、石炭A、石炭B及び石炭Cの配合比がそれぞれ30mass%、30mass%、40mass%である。この配合炭X11の比容積は、各石炭の比容積と各石炭の配合比との積を合計することにより算出できる。例えば、表4に示されるように、石炭Aの比容積が5.07、石炭Bの比容積が2.10、石炭Cの比容積が1.75であるため、この配合炭X11の比容積は、(6)式から2.85と計算される。
(5.07×0.3)+(2.10×0.3)+(1.75×0.4)=2.85・・・(6)
図5は、空隙充填度とコークス強度DIとの関係を示す。黒塗りの正方形のデータ(実測DI)は、実施例5である表10の配合炭X11〜X15に対応している。また、白抜きの三角形のデータ(実測DI)は、実施例6である表11に対応している。図5の実線を用いて、石炭軟化時の空隙充填度から、配合炭X11〜X20を用いたコークスの推定DIを求めることができる。例えば、配合炭X11の空隙充填度が2.28(−)であるため、図5の実線から配合炭X11の推定DIを79.7(−)と評価することができる。表10及び表11から、配合炭X11〜X20を用いたコークスの推定DIと実績DIとの差が小さいことがわかる。このように、6℃/min以上の昇温速度で膨張性試験を行うことにより、配合炭に全膨張率が0%の石炭が含まれる場合であっても、正確かつ容易にコークス強度を推定することができる。また、コークス強度が略所定の値以上となるように、目標とする配合炭の比容積を決定することができる。そのため、配合炭に使用する石炭銘柄と各石炭銘柄の配合比を決定することができる。例えば、コークス強度DIを78(−)以上にするためには、2.81(cm/g)以上の加重平均比容積を有する配合炭(例えば、2.85(cm/g)の加重平均比容積を有する配合炭X11)を使用する。このように、使用する石炭(配合炭中の石炭)を変更した場合であっても、容易に各石炭の配合比を決定することができる。
(変形例)
上述の実施形態では、全膨張率0%の石炭と、全膨張率0%の石炭を含む配合炭と、この配合炭を用いたコークスとについて説明した。しかしながら、本発明の石炭の膨張率の測定方法、空隙充填度の測定方法及び石炭配合方法は、これらの実施形態に限られない。すなわち、本発明は、全膨張率が0%よりも高い石炭、全膨張率が0%よりも高い石炭のみからなる配合炭及びこの配合炭を用いたコークスについても適用することができる。
また、上記ディラトメーターにより測定された膨張率b(%)及び推定された比容積Vは、コークス強度の推定だけでなく、例えば、膨張圧のような他の物理量の推定に用いることもできる。
全膨張率0%の石炭に対して適用できる膨張率の測定方法、石炭の比容積の推定方法、空隙充填度の測定方法及び石炭配合方法を提供することができる。

Claims (19)

  1. 細管に石炭を入れ;
    この細管にピストンを挿入し;
    前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;
    前記ピストンの変位量を測定し;
    この変位量から前記石炭の膨張率を求め;
    前記昇温速度以外の条件は、JIS M 8801の膨張性試験方法にしたがう
    ことを特徴とする石炭の膨張率の測定方法。
  2. 細管に石炭を入れ;
    この細管にピストンを挿入し;
    前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;
    前記ピストンの変位量を測定し;
    この変位量から前記石炭の膨張率を求め;
    前記昇温速度以外の条件は、ISO 8264の膨張性試験方法にしたがう
    ことを特徴とする石炭の膨張率の測定方法。
  3. 細管に石炭を入れ;
    この細管にピストンを挿入し;
    前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;
    前記ピストンの変位量を測定し;
    この変位量から前記石炭の膨張率を求め;
    前記石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭であることを特徴とする石炭の膨張率の測定方法。
  4. JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を推定する石炭軟化時の比容積推定方法であって、
    細管に石炭を入れ;
    この細管にピストンを挿入し;
    前記石炭の軟化時の昇温速度が、6℃/min以上になるように、前記石炭を加熱し;
    前記ピストンの変位量を測定し;この変位量から前記石炭の膨張率を求める;ことによって測定される前記極低全膨張率炭の膨張率から求めた前記極低全膨張率炭の軟化時の標準比容積と、前記極低全膨張率炭の標準酸素濃度との関係を予め求め;
    この関係に基づいて測定された前記極低全膨張率炭の酸素濃度から前記極低全膨張率炭の石炭軟化時の比容積を推定する;
    ことを特徴とする石炭軟化時の比容積推定方法。
  5. 前記極低全膨張率炭の前記酸素濃度が9mass%以上であることを特徴とする請求項に記載の石炭軟化時の比容積推定方法。
  6. 前記極低全膨張率炭の前記酸素濃度が12mass%以下であることを特徴とする請求項に記載の石炭軟化時の比容積推定方法。
  7. 請求項1または請求項2に記載の石炭の膨張率の測定方法を用いて前記石炭の膨張率を測定し;
    この膨張率から前記石炭の軟化時の比容積を求め;
    この比容積に前記石炭のコークス炉装入時の嵩密度をかけて、前記石炭の軟化時の空隙充填度を求める;
    ことを特徴とする空隙充填度の測定方法。
  8. 前記石炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭であることを特徴とする請求項に記載の空隙充填度の測定方法。
  9. 複数の石炭を準備し;
    前記各石炭のうち、少なくとも一つの石炭に対し請求項1または請求項2に記載の石炭の膨張率の測定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;
    前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;
    前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求める;
    ことを特徴とする空隙充填度の測定方法。
  10. 前記配合炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含むことを特徴とする請求項に記載の空隙充填度の測定方法。
  11. 請求項に記載の石炭の比容積推定方法を用いて、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭の軟化時の比容積を求め;
    この比容積に前記極低全膨張率炭のコークス炉装入時の嵩密度をかけて、前記極低全膨張率炭の軟化時の空隙充填度を求める;
    ことを特徴とする空隙充填度の測定方法。
  12. JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含む複数の石炭を準備し;
    前記各石炭のうち、前記極低全膨張率炭に対し請求項に記載の石炭の比容積推定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;
    前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;
    前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求める;
    ことを特徴とする空隙充填度の測定方法。
  13. 前記極低全膨張率炭の酸素濃度が9mass%以上であることを特徴とする請求項11または12に記載の空隙充填度の測定方法。
  14. 前記極低全膨張率炭の酸素濃度が12mass%以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の空隙充填度の測定方法。
  15. 複数の石炭を準備し;
    前記各石炭のうち、少なくとも一つの石炭に対し請求項1または請求項2に記載の石炭の膨張率の測定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;
    前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;
    前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求め;
    予め求めた前記配合炭の軟化時の標準空隙充填度と前記配合炭から製造されたコークスの標準コークス強度との関係に基づいて、前記配合炭の軟化時の前記空隙充填度から前記配合炭を用いたコークスのコークス強度を推定し;
    前記配合炭を用いた前記コークスの前記コークス強度が所定の値以上になるように前記各石炭を配合する;
    ことを特徴とする石炭配合方法。
  16. 前記配合炭は、JIS M 8801の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含むことを特徴とする請求項15に記載の石炭配合方法。
  17. JIS M 8801の石炭の膨張性試験方法により測定される全膨張率が0%の極低全膨張率炭を含む複数の石炭を準備し;
    前記各石炭のうち、前記極低全膨張率炭に対し請求項に記載の石炭の比容積推定方法を適用して、前記各石炭の軟化時の比容積を求め;
    前記各石炭の配合率を重みとして、前記各石炭の軟化時の前記比容積を加重平均することにより配合炭の平均比容積を求め;
    前記平均比容積に、コークス炉装入時の前記配合炭の嵩密度をかけて、前記配合炭の軟化時の空隙充填度を求め;
    予め求めた前記配合炭の軟化時の標準空隙充填度と前記配合炭から製造されたコークスの標準コークス強度との関係に基づいて、前記配合炭の軟化時の前記空隙充填度から前記配合炭を用いたコークスのコークス強度を推定し;
    前記配合炭を用いた前記コークスの前記コークス強度が所定の値以上になるように前記各石炭を配合する;
    ことを特徴とする石炭配合方法。
  18. 前記極低全膨張率炭の酸素濃度が9mass%以上であることを特徴とする請求項17に記載の石炭配合方法。
  19. 前記極低全膨張率炭の酸素濃度が12mass%以下であることを特徴とする請求項17に記載の石炭配合方法。
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