JP2018048262A - コークス粒径の推定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非微粘結炭を30質量%以上配合した配合炭を用いてコークスを製造する場合のコークス粒径の推定方法であって、配合炭を構成する単味炭の収縮率を加重平均して求めた配合炭の加重平均収縮率とコークス粒径の関係を予め求めておき、推定しようとする配合炭の加重平均収縮率を求め、前記関係から推定しようとする配合炭のコークス粒径を求めるコークス粒径の推定方法において、配合炭を構成する単味炭の収縮率を、単味炭を容器内において加熱し、その際の再固化温度と(600±30)℃の範囲内の温度とにおける単味炭の容積の変化量から求めるようにする。
【選択図】図2
Description
この推定方法では、石炭を再固化温度以上1000℃まで連続して加熱し、再固化温度と1000℃における容積の変化からコークス収縮率を測定して、収縮率とコークス粒径の間に高い相関関係を得ているので、得られた関係を用いてコークス粒径を高い精度で推定することができる。
そこで、特許文献1に記載のコークス粒径の推定方法が非微粘結炭を多量配合した配合炭にも適用できるかどうか検討した。
ここで非微粘結炭とは、揮発分含有量35質量%以上の石炭、JIS M 8801膨張性試験方法により測定される全膨張率が10%以下の石炭、揮発分含有量35%質量以上でかつJIS M 8801膨張性試験方法により測定される全膨張率が10%以下の石炭を示し、これらの石炭の1種あるいは2種以上が非微粘結炭として用いられる。
非微粘結炭を30%以上使用した配合炭では、配合炭の収縮率とコークス粒径の対応する点が、従来の推定式から外れた個所に位置するようになり、特許文献1で求められた推定式では、十分な推定精度が得られない場合が出てきた。
そこで、本発明は、非微粘結炭を配合炭の一部として使用する場合でもコークス粒径をより精度よく推定できるようにすることを課題とする。
(1)揮発分含有量が35質量%以上、またはJIS M 8801で規定される膨張性試験方法により測定される全膨張率が10%以下の少なくとも一方を満足する非微粘結炭を、30質量%以上配合した配合炭を用いてコークスを製造する場合のコークス粒径の推定方法であって、配合炭を構成する単味炭の収縮率を加重平均して求めた配合炭の加重平均収縮率とコークス粒径の関係を予め求めておき、推定しようとする配合炭の加重平均収縮率を求め、前記関係から推定しようとする配合炭のコークス粒径を求めるコークス粒径の推定方法において、
配合炭を構成する単味炭の収縮率を、単味炭を容器内において加熱し、その際の再固化温度と(600±30)℃の範囲内の温度とにおける単味炭の容積の変化量から求めることを特徴とするコークス粒径の推定方法。
配合する非微粘結炭比が60%以下のときは、下記(1)式で表される関係を予め求めておき、非微粘結炭比が60%を超えるときは、下記(2)式で表される関係を予め求めておくことを特徴とするコークス粒径の推定方法。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率 ・・・(1)
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率
+c×(非微粘結炭比率−60) ・・・(2)
ここで、a、bは、コークス粒径とコークス収縮率の測定値から回帰分析によって定められる係数であり、cは、さらに非微粘結炭比率を加味して同様に定められる係数である。
石炭は、昇温過程において400℃近傍で軟化溶融し、その後再固化するが、軟化溶融後は収縮する。
この収縮について、単位温度変化あたりの収縮率の変化を表すコークスの収縮係数(1/K)の推移でみると、収縮係数は、図3に示されるように、再固化温度直後が最も大きく、600℃近傍で極小値を示し、約700℃で極大値を示す。
したがって、収縮係数が大きい再固化温度直後でのコークス塊内の収縮係数差が、コークスの亀裂、すなわちコークス粒度に大きな影響を及ぼすものと考えられる。
そこで、非微粘結炭を多量使用した条件で、再固化温度から1000℃より下の種々の温度の領域での収縮率を測定して、コークス粒径との関係を求めたところ、コークス粒度は、再固化温度〜(600±30)℃における収縮率により強く支配されることを新たに見出した。
配合炭の加重平均収縮率(%)とコークス粒径(mm)との間に、下記(1)式の一次関数で表される良好な関係があることが示されている。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率 ・・・(1)
また、全膨張率が10%以下の非微粘結炭では、全膨張率が10%超の石炭に比べて、同一揮発分でも炭種による再固化温度差が大きくなる。これは、石炭の溶融が低温で終了し、その結果再固化が低温から始まるためと考えられる。
そして、収縮係数が極小値を示す温度は石炭の銘柄で異なることから、再固化温度から(600±30)℃の範囲の収縮率を測定することが適切であることを、実験により知見した。
これに対しては、上記(1)式に非微粘結炭比率(質量%)に基づく補正項を加えた、下記(2)式を用いることが有効であることも確認した。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率
+c×(非微粘結炭比率−60) ・・・(2)
すなわち、上方を開放した筒状の容器に、測定対象の石炭を装入し、装入した石炭の上端に接してピストンを配置する。このピストンを、石炭の膨張、収縮に伴って上昇、下降できるように支持する。測定では、容器をヒータで加熱し、昇温過程のピストンの上端の位置を計測することによって容器内における内容物の容積変化を測定して、収縮率を算出する。
R=(LR−LT)/LR
また、長さの変化を容積の変化に換算して、再固化温度での内容物の容積をVR、温度Tでの内容物の容積をVTとし、以下の式で求めることができる。
R=(VR−VT)/VR
(a)配合炭に用いる各単味炭のコークス収縮率を求める。その際、前述のように単味炭を容器に入れて加熱し、再固化温度から(600±30)℃までの間の容器内の内容物の容積の変化量から収縮率を求める。
(c)配合炭の加重平均収縮率とコークス粒径の関係を求める。
配合炭のコークス粒径は、求めた配合炭の加重平均収縮率の関数として定めることができる。例えば、下記(1)式のような、配合炭の加重平均収縮率の一次関数として表す。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭の加重平均収縮率 ・・・(1)
式の係数a、bは、(b)のステップで求めたコークス粒径とコークス収縮率のデータを用いて、回帰分析などの手法を用いて定めることができる。
(d)コークス粒径の推定対象となる配合炭を構成する各単味炭について(a)と同様にして収縮率を求め、それを配合比率によって加重平均することによって配合炭の加重平均収縮率を算出する。
(e)算出された配合炭の加重平均収縮率から、(c)の工程で求められた関係を用いて配合炭のコークス粒径を求める。
以上の手順で、コークス粒径を精度よく推定できるが、非微粘結炭比率が60%を超えると、実測値と推定値のかい離が大きくなる傾向にある。その場合は、(c)の工程で下記(2)式を用いるようにする。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率
+c×(非微粘結炭比率−60) ・・・(2)
式の係数cについても、コークス粒径とコークス収縮率のデータに加え、さらに非微粘結炭比率のデータを加味して、a、bと同様に定められる係数である。
石炭を容器に入れて加熱し、再固化温度から600℃までの収縮率を石炭の銘柄ごとに測定した。収縮率を測定した石炭を配合した配合炭からコークスを作製してコークス粒径を測定した。また、配合炭について、配合率に応じて収縮率を加重平均して加重平均収縮率を算出した。得られた配合炭の加重平均収縮率とコークス平均粒度との関係を図2に示す。なお、配合炭には、揮発分含有量が35質量%以上または全膨張率が10%以下の非微粘結炭を30%以上60%以下含む配合炭と非微粘結炭が30%未満(0%を含む)である配合炭を用いた。
コークス粒径=123.12−16.14×配合炭の加重平均収縮率・・・(1)’
この関数の相関係数R2は0.98であり、非微粘結炭を30%以上含む配合炭について、本発明の場合は著しく精度が向上した。また、特許文献1の図6のデータでは、相関係数R2は0.86と計算できるので、本発明の方法で収縮率を求めた場合には、非微粘結炭の配合率が低い場合でも精度が向上する結果も得られた。
また、前記の配合炭として、揮発分含有量が35質量%以上または全膨張率が10%以下の非微粘結炭が60%を超えて含まれている場合については、上記(2)式に基づく下記の関係式(2)’が得られた。
コークス粒径=123.12−16.14×配合炭の加重平均収縮率+
[−0.1×(非微粘結炭比−60)]・・・(2)’
次に、上記関係を用いて推定したコークス平均粒度と実測値との比較を行った。
表1に示す石炭A〜Eを用いて、表2に示す配合炭T〜Zを得た。石炭Dは全膨張率が10%以下の非微粘結炭、石炭Eは揮発分含有量が35質量%以上の非微粘結炭である。石炭A〜Eの再固化温度から600℃までの収縮率を表2に示す。
得られた配合炭T〜Zの加重平均収縮率から、前記関係式(1)’を用いてコークス粒径を推定した。
Claims (2)
- 揮発分含有量が35質量%以上、またはJIS M 8801で規定される膨張性試験方法により測定される全膨張率が10%以下の少なくとも一方を満足する非微粘結炭を、30質量%以上配合した配合炭を用いてコークスを製造する場合のコークス粒径の推定方法であって、配合炭を構成する単味炭の収縮率を加重平均して求めた配合炭の加重平均収縮率とコークス粒径の関係を予め求めておき、推定しようとする配合炭の加重平均収縮率を求め、前記関係から推定しようとする配合炭のコークス粒径を求めるコークス粒径の推定方法において、
配合炭を構成する単味炭の収縮率を、単味炭を容器内において加熱し、その際の再固化温度と(600±30)℃の範囲内の温度とにおける単味炭の容積の変化量から求めることを特徴とするコークス粒径の推定方法。 - 上記配合炭の加重平均収縮率とコークス粒径の関係として、
配合する非微粘結炭比が60%以下のときは、下記(1)式で表される関係を予め求めておき、非微粘結炭比が60%を超えるときは、下記(2)式で表される関係を予め求めておくことを特徴とするコークス粒径の推定方法。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率 ・・・(1)
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率
+c×(非微粘結炭比率−60) ・・・(2)
ここで、a、bは、コークス粒径とコークス収縮率の測定値から回帰分析によって定められる係数であり、cは、さらに非微粘結炭比率を加味して同様に定められる係数である。
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