JP7180544B2 - コークスの熱間反応後強度の推定方法及びコークスの製造方法 - Google Patents

コークスの熱間反応後強度の推定方法及びコークスの製造方法 Download PDF

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本発明は、コークスの熱間反応後強度(CSRという)を推定する方法と、この推定方法を用いてコークスを製造する方法に関する。
特許文献1では、単味炭コークスの反応性指数(CRIという)の加重平均値に基づいて、配合炭コークスのCRIを算出している。そして、この配合炭コークスのCRIと配合炭コークスの表面破壊強度(DI150 )とに基づいて、配合炭コークスのCSRを算出している。
特許第4309780号公報
コークスを製造するとき、原料炭として、非粘結炭やCRIが高くなる石炭(高CRI炭という)が使用されることがある。本発明者によれば、非粘結炭や高CRI炭を配合したときに、特許文献1によって推定したCSR(推定CSRという)が、CSRの実測値(実績CSRという)からずれてしまい、CSRの推定精度が低下してしまうことが分かった。
具体的には、非粘結炭を配合したときには、非粘結炭から製造される単味炭コークスのCRIを測定することができないため、このCRIを加味した加重平均値を算出することもできず、結果として、CSRを推定することができない。また、高CRI炭を配合したときには、高CRI炭から製造される単味炭コークスのCRI(測定値)が低く見積もられてしまい、結果として、CSRの推定精度が低下してしまう。
本発明は、非粘結炭又は高CRI炭を含む配合炭を使用したときであっても、配合炭コークスのCSRを精度良く推定することを目的とする。
本発明は、配合炭から製造される配合炭コークスの熱間反応後強度(「CSR」という)を推定するに際し、配合炭に含まれる各単味炭から製造される各単味炭コークスの反応性指数(「CRI」という)の加重平均値に基づいて、配合炭コークスのCRIを算出する。そして、配合炭コークスのCRI及び表面破壊強度に基づいて、配合炭コークスのCSRを算出する。
配合炭に含まれる単味炭の一部が非粘結炭であるとき、加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIとしては、基準炭から製造された基準炭コークスのCRIと、基準炭に所定の配合比率の非粘結炭を配合したときの配合炭コークスのCRIとから外挿によって算出されたCRIを用いる。また、単味炭の一部が所定値以上のCRIを示す高CRI炭コークスの原料炭であるとき、加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIとしては、CRI測定試験の途中の所定反応時間における高CRI炭コークスの質量減少率から外挿によって算出されたCRIを用いる。
単味炭の一部が非粘結炭であるとき、下記式(I)に基づいて、加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIを算出することができる。
Figure 0007180544000001
上記式(I)において、CRI(100)は、加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRI[-]であり、CRI(0)は、基準炭コークスのCRI[-]である。Yは非粘結炭の所定の配合比率[質量%]であり、CRI(Y)は、基準炭に配合比率Yの非粘結炭を配合したときの配合炭コークスのCRI[-]である。
単味炭の一部が非粘結炭であるとき、所定の配合比率を5~40質量%とすることができる。
単味炭の一部が高CRI炭コークスの原料炭であるとき、下記式(II)に基づいて、加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIを算出することができる。
Figure 0007180544000002
上記式(II)において、CRI_hは、加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRI[-]である。tは所定反応時間[分]であり、R(t)は、所定反応時間tにおける高CRI炭コークスの質量減少率[質量%]である。
単味炭の一部が高CRI炭コークスの原料炭であるとき、所定反応時間としては、CRI測定試験において、単味炭コークスの質量が反応時間に比例して減少する時間帯に含まれる時間とすることができる。
単味炭の一部が高CRI炭コークスの原料炭であるとき、所定反応時間としては、下記式(III)に示す条件を満たす時間とすることができる。
Figure 0007180544000003
上記式(III)において、tは所定反応時間であり、CRIは、CRI測定試験によって測定された高CRI炭コークスのCRIである。
単味炭の一部が高CRI炭コークスの原料炭であるとき、CRIの所定値を50とすることができる。
本発明の推定方法を用いて配合炭コークスのCSRを算出すれば、この算出したCSRが予め定めた目標範囲内となるように、配合炭に含まれる各単味炭の配合比率を調整してコークスを製造することができる。
本発明によれば、非粘結炭又は高CRI炭を含む配合炭を使用したときであっても、配合炭コークスのCSRを精度良く推定することができる。
非粘結炭コークスのCRIを算出する方法を説明する図である。 非粘結炭コークスのCRIが基準炭の種類に依存しないことを説明する図である。 推定CSR及び実績CSRの関係を示す図である。 CRI測定試験において、高CRI炭コークスの質量%の経時変化を示す図である。 CRI測定試験において、高CRI炭コークスの質量%の経時変化を示す図である。 CRI測定試験において、配合炭コークス(高CRI炭を含む)の質量%の経時変化を示す図である。
(配合炭コークスのCSRの推定)
本実施形態は、配合炭を乾留して製造された配合炭コークスのCSRを推定する方法である。配合炭コークスのCSRは、下記式(1)に示すように、配合炭コークスの表面破壊強度(ドラム強度指数)DI150 と、配合炭コークスのCRI(推定値)に基づいて算出(推定)される。
Figure 0007180544000004
上記式(1)において、a、b及びcは、定数である。実験に基づいて、CSR、DI150 及びCRIの相関を求めることにより、定数a,b,cを予め特定することができる。
上記式(1)に示すドラム強度指数DI150 は、JIS K2151に規定されているように、ドラム試験機を用いて150回転の衝撃をコークスに与えた後における6mm以上の塊の質量割合である。特許文献1に記載されているように、ドラム強度指数DI150 と石炭軟化時の空隙充填度との間には所定の相関関係があるため、この相関関係を用いることにより、空隙充填度からドラム強度指数DI150 を算出(推定)することができる。
上記式(1)に示すCRIは、コークスを二酸化炭素と反応させたときのガス化量(言い換えれば、コークスの質量減少率)であり、下記式(2)から算出される。
Figure 0007180544000005
上記式(2)において、Mbは、CRI測定試験を行う前のコークス(試料)の質量であり、Maは、CRI測定試験を行った後のコークス(試料)の質量である。CRI測定試験では、20±1mmの大きさに調整された200gのコークス(試料)を、二酸化炭素が100%の雰囲気において、反応温度が1100℃、反応時間が120分の条件で二酸化炭素と反応させる。(「N. Nakamura, Y. Togino, M. Tateoka: Ironmaking and Steelmaking, 5(1978), p.1.」を参照)
配合炭コークスのCRIについては、加成性が成立することが知られている。このため、配合炭コークスを構成する各単味炭コークスのCRIを加重平均した値(加重平均値ΣCRIという)を、配合炭コークスのCRIとみなすことができる。特許文献1においても、各単味炭コークスのCRIの加重平均値ΣCRIが、配合炭コークスのCRIの実測値と一致することが記載されている。
各単味炭コークスについて、試験炉を用いたCRI測定試験を行い、CRI測定試験の前後における単味炭コークスの質量をそれぞれ測定すれば、上記式(2)に基づいて、単味炭コークスのCRIを算出することができる。そして、配合炭に含まれる各単味炭の配合比率に基づいて、各単味炭コークスのCRIを加重平均することにより、加重平均値ΣCRIを算出することができる。
一方、特許文献1に記載されているように、配合炭に含まれる各単味炭の全膨張率TDの加重平均値ΣTDが低くなると、配合炭コークスのCRIが加重平均値ΣCRIよりも大きくなることがある。この場合には、加重平均値ΣCRIを算出しただけでは、配合炭コークスのCRIを推定することができない。特許文献1によれば、配合炭コークスのCRI及び加重平均値ΣCRIの差ΔCRIと、各単味炭の全膨張率TDの加重平均値ΣTDとの間には相関関係がある。そこで、差ΔCRI及び加重平均値ΣTDの相関関係を実験によって予め求めておけば、加重平均値ΣTDを算出することにより、この加重平均値ΣTDに対応する差ΔCRIを算出することができる。そして、下記式(3)に示すように、加重平均値ΣTDに対応する差ΔCRIと、加重平均値ΣCRIとに基づいて、配合炭コークスのCRIを算出(推定)することができる。
Figure 0007180544000006
上述したように配合炭コークスのCRI及びドラム強度指数DI150 を推定すれば、上記式(1)に基づいて、配合炭コークスのCSRを算出(推定)することができる。ここで、配合炭に非粘結炭又は高CRI炭が含まれる場合には、以下に説明するように配合炭コークスのCSRを算出(推定)する。
(非粘結炭を含む配合炭について)
配合炭には、非粘結炭が含まれることがある。非粘結炭とは、乾留しても塊が生成されない石炭であって、JIS M8801(熱膨張性試験方法(ジラトメータ法))に基づいて測定される全膨張率TDが0%の石炭である。
非粘結炭については、非粘結炭コークス(単味炭コークス)を製造することができないため、非粘結炭コークスのCRIを測定することができない。このため、非粘結炭を含む配合炭については、非粘結炭コークスのCRIを加味した加重平均値ΣCRIを算出することができず、上述したように配合炭コークスのCRIを推定することができないとともに、上記式(1)に基づいて配合炭コークスのCSRを推定することができない。
そこで、配合炭に非粘結炭が含まれるときには、以下に説明する方法によって、非粘結炭コークスのCRIを算出する。
まず、基準炭に非粘結炭を配合した配合炭を用意し、この配合炭を乾留して製造された配合炭コークスについてCRIを測定する。基準炭とは、CRIが既知である基準炭コークスの製造に用いられる石炭であり、単味炭であってもよいし、配合炭であってもよい。基準炭としては、基準炭コークスのCRIを測定することができる石炭であればよい。後述するように、高CRI炭から製造されたコークスのCRIが50以上であるときには、CRIの測定値が低く見積もられることがある。この点を考慮すると、例えば、基準炭コークスのCRIが10~40[-]となる石炭を用いることが好ましい。
基準炭に非粘結炭を配合した場合、配合炭コークスのCRIは、基準炭コークスのCRIよりも高くなる。これらのCRIの差は、非粘結炭に起因すると考えられるため、この差に基づいて非粘結炭コークスのCRIを算出(推定)することができる。具体的には、下記式(4)に基づいて、非粘結炭コークスのCRIを算出することができる。
Figure 0007180544000007
上記式(4)において、CRI(100)は、100質量%の非粘結炭から製造された非粘結炭コークスのCRI[-]であり、CRI(0)は、100質量%の基準炭(非粘結炭は0質量%である)から製造された基準炭コークスのCRI[-]である。Yは、基準炭に配合される非粘結炭の配合比率[質量%]であり、CRI(Y)は、(100-Y)質量%の基準炭とY質量%の非粘結炭を配合した配合炭から製造された配合炭コークスのCRI[-]である。
上記式(4)の意味について、図1を用いて説明する。図1において、横軸は、基準炭に配合される非粘結炭の配合比率[質量%]を示し、縦軸はコークスのCRI[-]を示す。非粘結炭の配合比率が0質量%であるときのCRIは、上記式(4)に示すCRI(0)である。また、非粘結炭の配合比率がY質量%であるときのCRIは、上記式(4)に示すCRI(Y)である。
CRI(0)及びCRI(Y)は、CRI測定試験によって測定することができるため、図1に示すCRI(0)及びCRI(Y)を結ぶ直線L1を算出することができる。この直線L1において、非粘結炭の配合比率が100質量%であるときのCRI(外挿値)は、上記式(4)に示すCRI(100)となる。上記式(4)は、図1に示す直線L1を規定するものであり、CRI(0)及びCRI(Y)から外挿によってCRI(100)を算出することができる。
非粘結炭の配合比率Y[質量%]は、下限値Y_lim1及び上限値Y_lim2によって規定される所定範囲内であることが好ましい。配合比率Yが下限値Y_lim1よりも低いと、CRI(0)及びCRI(Y)の差が小さくなり、上記式(4)に基づくCRI(100)の推定精度が低下しやすくなる。この点を考慮して下限値Y_lim1を適宜決めることができ、例えば、下限値Y_lim1を5質量%とすることができる。一方、配合比率Yが上限値Y_lim2よりも高いと、非粘結炭の影響を受けやすくなるために、配合炭コークスのCRI(Y)を測定しにくくなる。この点を考慮して上限値Y_lim2を適宜決めることができ、例えば、上限値Y_lim2を40質量%とすることができる。
CRI(100)は、基準炭の種類に依存しない。以下、この理由について説明する。
互いに異なる3種類の基準炭A~Cを用意し、各基準炭A~Cに同一の非粘結炭を配合することにより、3種類の配合炭を用意した。ここで、非粘結炭の配合比率を20質量%(上記Y質量%に相当する)とし、各基準炭A~Cの配合比率をそれぞれ80質量%とした。各配合炭を乾留して配合炭コークスを製造し、この配合炭コークスのCRI(Y)を測定した。
なお、100質量%の基準炭Aから製造された基準炭コークスのCRI(0)は20であり、100質量%の基準炭Bから製造された基準炭コークスのCRI(0)は30であり、100質量%の基準炭Cから製造された基準炭コークスのCRI(0)は40であった。上述したCRI(Y)の測定結果と、この測定結果に基づいて上記式(4)から算出されたCRI(100)を下記表1及び図2に示す。図2において、横軸は、基準炭に配合される非粘結炭の配合比率[質量%]を示し、縦軸はコークスのCRI[-]を示す。
Figure 0007180544000008
上記表1及び図2から分かるように、基準炭の種類が異なっていても、言い換えれば、基準炭コークスのCRI(0)が異なっていても、非粘結炭コークスのCRI(100)は同一であった。したがって、CRI(100)は、基準炭の種類に依存しないことが分かる。
次に、非粘結炭をそれぞれ含む6種類の配合炭を用意し、各配合炭を乾留して配合炭コークスを製造した。そして、6種類の配合炭コークスについて、CSR(実績CSR)を測定するとともに、本実施形態に基づいてCSR(推定CSR)を算出した。推定CSRの算出では、まず、上記式(4)に基づいてCRI(100)を算出した後、加重平均値ΣCRIを算出した。この加重平均値ΣCRIを配合炭コークスのCRIとみなしたうえで、上記式(1)に基づいて推定CSRを算出した。
図3には、6種類の配合炭コークスについて、推定CSR及び実績CSRの関係を示す。図3において、横軸は推定CSR[-]を示し、縦軸は実績CSR[-]を示す。図3に示すように、推定CSRは、実績CSRとほぼ一致しており、推定CSRの推定精度を確保することができた。
(高CRI炭を含む配合炭について)
本発明者によれば、単味炭コークスのCRIが所定値以上となる原料炭(高CRI炭)を配合したとき、上記式(1)に基づいて配合炭コークスのCSRを推定しても、推定CSRが実績CSRからずれてしまうことが分かった。例えば、CRIが50以上であるコークスの製造に用いられる石炭を高CRI炭と定義することができる。
高CRI炭を配合したときに、推定CSRが実績CSRからずれてしまう理由としては、以下に説明する理由が考えられる。
高CRI炭を乾留して製造されたコークス(高CRI炭コークスという)については、CRI測定試験における二酸化炭素との反応性が高くなる。二酸化炭素に対する高CRI炭コークスの反応性が高いと、CRI測定試験の反応時間帯(0~120分)の前半において、高CRI炭コークス及び二酸化炭素の反応が進行しすぎてしまい、反応時間帯の後半では、二酸化炭素と反応する高CRI炭コークスの量が減少する。
このため、反応時間帯の後半では、高CRI炭コークスの反応速度が低下し、CRI測定試験によって測定される高CRI炭コークスのCRIが見掛け上、低くなってしまう。この場合には、低く見積もられた高CRI炭コークスのCRIに基づいて加重平均値ΣCRIが算出されることになるため、上記式(1)に基づいて配合炭コークスのCSRを推定しても、推定CSRが実績CSRからずれてしまう。
本実施形態では、加重平均値ΣCRIを算出するとき、高CRI炭コークス(単味炭コークス)のCRIとしては、CRI測定試験によって測定されたCRIを用いる代わりに、下記式(5)に基づいて算出されるCRI_hを用いる。
Figure 0007180544000009
上記式(5)において、CRI_hは、加重平均値ΣCRIの算出に用いられる高CRI炭コークス(単味炭コークス)のCRI[-]であり、tはCRI測定試験を開始してからの所定の反応時間[分]であり、R(t)は、CRI測定試験において所定反応時間tが経過したときの高CRI炭コークスの質量減少率[質量%]である。
質量減少率R(t)は、CRI測定試験を行う前の高CRI炭コークスの質量%(すなわち、100質量%)から、所定反応時間tが経過したときの高CRI炭コークスの質量%を減算した値である。所定反応時間tが経過したときの高CRI炭コークスの質量については、所定反応時間tが経過したときにCRI測定試験を停止させ、高CRI炭コークスを冷却した後に測定することができる。
所定反応時間tは、CRI測定試験の総反応時間(120分)よりも短い時間、すなわち、CRI測定試験の途中の反応時間である。後述するように、所定反応時間tは、CRI測定試験において、高CRI炭コークスの質量%が反応時間に比例して減少する時間帯に含まれる時間であればよい。
上述した時間帯について、図4を用いて説明する。図4には、高CRI炭コークスの質量%の経時変化を示す。図4において、横軸はCRI測定試験での反応時間(0~120分)を示し、縦軸は高CRI炭コークスの質量%を示す。図4において、実線L2は、高CRI炭コークスの質量%の経時変化(実測値)を示し、一点鎖線L3は、高CRI炭コークスの質量%が反応時間に比例して減少したと仮定した場合の経時変化を示す。
図4に示すように、CRI測定試験における反応時間帯の前半において、実線L2は、一点鎖線L3と重なっている。一方、反応時間帯の後半では、実線L2が一点鎖線L3からずれ始め、このずれは、反応時間が経過するほど大きくなる。反応時間が120分であるときの高CRI炭コークスの質量減少率が高CRI炭コークスのCRIとなるため、実線L2から算出される高CRI炭コークスのCRIは、上述したように低く見積もられてしまう。
高CRI炭コークスのCRIが低く見積もられることを回避するためには、一点鎖線L3に基づいて、高CRI炭コークスのCRIを算出すればよい。すなわち、図4に示すように、一点鎖線L3において、反応時間が120分であるときの質量減少率R(120)を算出すれば、この質量減少率R(120)が高CRI炭コークスのCRIとなり、このCRIは上記式(5)に示すCRI_hに相当する。
一点鎖線L3は、実線L2のうち、高CRI炭コークスの質量%が反応時間に比例して減少する領域t_range(図4参照)に基づいて特定することができる。図4に示す質量減少率R(120)は、実線L2の領域t_rangeから特定される外挿値となる。また、領域t_rangeに対応する反応時間帯は、所定反応時間tを決めるための時間帯となる。
上述した反応時間帯については、予め実験を行うことによって特定することもできるし、後述するように、高CRI炭コークスのCRI(実測値)に基づいて特定することもできる。このように反応時間帯を特定すれば、この反応時間帯に含まれる任意の時間を所定反応時間tとして決めることができる。
ここで、所定反応時間tが短すぎると、所定反応時間tが経過したときの高CRI炭コークスの反応量が小さくなりすぎるため、図4に示す一点鎖線L3を特定しにくくなる。言い換えれば、上記式(5)に示す質量減少率R(t)の測定において誤差が発生しやすくなり、結果として、上記式(5)から算出されるCRI_hにも誤差が発生しやすくなる。一方、所定反応時間tが長すぎると、上述したように、高CRI炭コークスの反応速度の低下の影響を受けやすくなり、図4に示す一点鎖線L3を特定しにくくなる。これらの点を考慮して、所定反応時間tを決めることが好ましく、例えば、所定反応時間tは、30~70分の範囲内とすることができる。
次に、所定反応時間tの好適な範囲を、高CRI炭コークスのCRI(実測値)に基づいて特定する方法について説明する。
本発明者によれば、所定反応時間tの好適な範囲が高CRI炭コークスのCRI(反応時間120分の実測値)に依存することを、実験により見出した。複数種類の高CRI炭について、高CRI炭コークスの質量%の経時変化と、高CRI炭コークスのCRI(実測値)との関係に着目したところ、所定反応時間tが下記式(6)に示す条件を満たせば、高CRI炭コークスの質量%が反応時間に比例して減少することが分かった。
Figure 0007180544000010
上記式(6)において、tは所定反応時間であり、CRIは、CRI測定試験によって測定された高CRI炭コークスのCRI(実測値)である。
上記式(6)によれば、高CRI炭コークスの質量%の経時変化を測定しなくても、通常のCRI測定試験によって高CRI炭コークスのCRIを測定すれば、所定反応時間tの好適な範囲を特定することができる。例えば、高CRI炭コークスのCRI(反応時間120分の実測値)が58であるとき、所定反応時間tの好適な範囲は、約41分から約62分の範囲となる。
次に、高CRI炭コークスのCRIとして、上記式(5)に示すCRI_hを用いることの妥当性について検討した。以下、具体的に説明する。
高CRI炭(単味炭)を乾留して製造された高CRI炭コークスに対して、上述したCRI測定試験と同じ条件で二酸化炭素を反応させた。ここで、高CRI炭コークスの質量%の経時変化を把握することができるように、一般的なCRI測定試験の装置とは異なる装置を用いた。具体的には、高CRI炭コークスが充填された坩堝を吊り下げた状態において、高CRI炭コークスを二酸化炭素と反応させながら、坩堝の質量を熱天秤によって測定した。これにより、高CRI炭コークスの質量の経時変化を測定することができる。
この測定結果を図5に示す。図5において、横軸はCRI測定試験の反応時間(0~120分)を示し、縦軸は高CRI炭コークスの質量%を示す。図5において、実線L4は測定結果を示し、一点鎖線L5は、実線L4において、高CRI炭コークスの質量%が一定の割合で減少したと仮定した場合の経時変化を示す。実線L4は図4に示す実線L2に相当し、一点鎖線L5は図4に示す一点鎖線L3に相当する。
図5によれば、反応時間が約60分に到達するまでは、実線L4及び一点鎖線L5が一致しており、高CRI炭コークスの質量%が反応時間に比例して減少した。一方、60分以降の反応時間では、実線L4が一点鎖線L5からずれ始め、反応時間の経過とともに、実線L4及び一点鎖線L5のずれが大きくなった。すなわち、60分以降の反応時間では、高CRI炭コークスの質量%が減少しにくくなっており、高CRI炭コークスの質量減少率が低下した。図5に示す測定結果によれば、CRI測定試験が終了したとき、高CRI炭コークスは42質量%であり、高CRI炭コークスの質量減少率は58質量%であった。このため、高CRI炭コークスのCRIの実測値は58である。
次に、図5に示す測定で用いられた高CRI炭(CRIの実測値が58)と、他の石炭(CRIの実測値が20)を配合した配合炭を乾留して、配合炭コークスを製造した。高CRI炭の配合比率は20質量%とした。この配合炭コークスを用いて、図5に示す測定と同じ測定を行った。この測定結果を図6に示す。図6から分かるように、配合炭コークスの質量%は反応時間に比例して減少しており、図5の実線L4で示すような挙動は確認できなかった。また、CRI測定試験が終了したとき、配合炭コークスは70質量%であり、配合炭コークスの質量減少率は30質量%であった。このため、配合炭コークスのCRIは30である。
図5及び図6に示す測定結果を下記表2にまとめる。下記表2には、高CRI炭の配合比率と、高CRI炭以外の他の石炭の配合比率と、単味炭(高CRI炭や他の石炭)から製造されたコークスのCRIと、配合炭コークス(高CRI炭を含む)のCRI(実測値)とを示す。
Figure 0007180544000011
上記表2に示すCRIについて、実測値はCRI測定試験によって測定された値であり、算出値は上記式(5)に基づいて算出された値(CRI_h)である。なお、上記式(5)のt(所定反応時間)は、上記(6)式による好適な範囲(約41分~約62分)に基づき、60分とした。
また、加重平均値ΣCRIについて、実測値は、高CRI炭コークス及び他の石炭のコークスのCRI(実測値)から算出された加重平均値であり、算出値は、高CRI炭コークスのCRI(算出値)及び他の石炭のコークスのCRI(実測値)から算出された加重平均値である。
上記表2に示す加重平均値(実測値)ΣCRIは27.6であり、図6に示す測定結果から求められた配合炭コークスのCRI(すなわち、30)よりも低かった。この理由は、上述したように、高CRI炭コークスのCRIを低く見積もっているためであると考えられる。一方、上記表2に示す加重平均値(算出値)ΣCRIは30であり、図6に示す測定結果から求められた配合炭コークスのCRI(すなわち、30)と同じであった。
したがって、配合炭に高CRI炭が含まれているとき、高CRI炭コークスのCRIとして、上記式(5)に示すCRI_hを用いることにより、配合炭コークスのCRIの推定精度を確保できることが分かった。配合炭コークスのCRIの推定精度を確保すれば、上記式(1)から算出されるCSRの推定精度も確保することができる。
本実施形態のように配合炭コークスのCSRを推定すれば、この推定CSRがCSRの目標範囲内に含まれるように、配合炭を構成する各単味炭の配合比率を調整することができる。すなわち、各単味炭の配合比率を調整するたびに推定CSRを算出し、この推定CSRがCSRの目標範囲内に含まれているか否かを確認すればよい。推定CSRが目標範囲内に含まれていれば、このときに調整された配合比率で各単味炭を配合し、配合炭を乾留してコークスを製造することができる。これにより、製造されたコークスに所望のCSRを持たせることができる。

Claims (8)

  1. 配合炭から製造される配合炭コークスの熱間反応後強度(「CSR」という)を推定するに際し、
    前記配合炭に含まれる各単味炭から製造される各単味炭コークスの反応性指数(「CRI」という)の加重平均値に基づいて、前記配合炭コークスのCRIを算出し、
    前記配合炭コークスのCRI及び表面破壊強度に基づいて、前記配合炭コークスのCSRを算出する方法であって、
    前記単味炭の一部が非粘結炭であるとき、前記加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIとして、基準炭から製造された基準炭コークスのCRIと、前記基準炭に所定の配合比率の非粘結炭を配合したときの配合炭コークスのCRIとから外挿によって算出されたCRIを用い、
    前記単味炭の一部が所定値以上のCRIを示す高CRI炭コークスの原料炭であるとき、前記加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIとして、CRI測定試験の途中の所定反応時間における前記高CRI炭コークスの質量減少率から外挿によって算出されたCRIを用いる、
    ことを特徴とする推定方法。
  2. 前記単味炭の一部が非粘結炭であるとき、下記式(I)に基づいて、前記加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIを算出することを特徴とする請求項1に記載の推定方法。
    Figure 0007180544000012
    上記式(I)において、CRI(100)は、前記加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRI[-]であり、CRI(0)は、前記基準炭コークスのCRI[-]であり、Yは非粘結炭の所定の配合比率[質量%]であり、CRI(Y)は、基準炭に配合比率Yの非粘結炭を配合したときの配合炭コークスのCRI[-]である。
  3. 前記単味炭の一部が非粘結炭であるとき、前記所定の配合比率は5~40質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の推定方法。
  4. 前記単味炭の一部が前記高CRI炭コークスの原料炭であるとき、下記式(II)に基づいて、前記加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRIを算出することを特徴とする請求項1に記載の推定方法。
    Figure 0007180544000013
    上記式(II)において、CRI_hは、前記加重平均値を算出するための単味炭コークスのCRI[-]であり、tは前記所定反応時間[分]であり、R(t)は、前記所定反応時間tにおける前記高CRI炭コークスの質量減少率[質量%]である。
  5. 前記単味炭の一部が前記高CRI炭コークスの原料炭であるとき、前記所定反応時間は、CRI測定試験において、単味炭コークスの質量が反応時間に比例して減少する時間帯に含まれる時間であることを特徴とする請求項1又は4に記載の推定方法。
  6. 前記単味炭の一部が前記高CRI炭コークスの原料炭であるとき、前記所定反応時間は、下記式(III)に示す条件を満たすことを特徴とする請求項1又は4に記載の推定方法。
    Figure 0007180544000014
    上記式(III)において、tは前記所定反応時間であり、CRIは、CRI測定試験によって測定された高CRI炭コークスのCRIである。
  7. 前記単味炭の一部が前記高CRI炭コークスの原料炭であるとき、前記CRIの所定値は50であることを特徴とする請求項1、4から6のいずれか1つに記載の推定方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の推定方法を用いて前記配合炭コークスのCSRを算出し、この算出したCSRが予め定めた目標範囲内となるように、前記配合炭に含まれる各単味炭の配合比率を調整することを特徴とするコークスの製造方法。
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