JP6379934B2 - コークス強度の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス強度の推定方法に関する。特に、低石炭化度炭を使用する場合のコークス強度の推定方法に関する。
高炉の通気性を確保し、安定的に操業するために、高炉で用いられるコークスには高強度な品質が求められている。近年では高炉容積の大型化やCO削減を目指した低還元材比で操業するために、益々高強度なコークスが要求されている。高炉用コークスを製造する際には、多種多様な銘柄の石炭を配合した原料炭(配合炭)をコークス炉内に装入し、乾留する。
コークス炉の中で加熱された原料石炭は、350℃〜500℃の温度域で一旦軟化溶融・膨張して石炭粒子同士が結合した後、再度固化することで強固なコークスを生成する。石炭が軟化溶融する性質のことを粘結性という。配合炭は、通常、粘結性の高い石炭(粘結炭)と粘結性の低い石炭(非微粘結炭)が十数種類配合された構成となっている。なお、粘結炭は高石炭化度であり、非微粘結炭は全てが低石炭化度とは限らないが、低石炭化度のものが多い。強度の高いコークスを製造するには、ある一定の粘結性が必要とされることから粘結炭を多く配合することが必要である。しかし、良質な粘結炭は高価であり、また資源的に少なくなってきていることから、安価な非微粘結炭の配合率を高くすることが望まれている。そして、より劣質な非微粘結炭をより多量に配合する傾向は近年さらに強まっている。
しかし、劣質な、即ち粘結性に乏しい非微粘結炭を多量に配合すると、上記のコークス化機構からもわかるように石炭粒子の膨張および結合が不十分となり、コークス強度の低下を招く。コークス強度低下は、高炉操業に多大なる影響を及ぼすため、配合する石炭の性状から事前にコークス強度、特に急激な強度低下を精度よく予測する技術は、非微粘結炭の劣質化および多配合を指向するコークス炉操業において非常に重要である。
現在国内で主に用いられているドラム強度は、JIS-K2151にて規定されている、所定量のコークス(10kg)を装入した回転ドラムを150回転させた後の篩目15mmの篩でふるい分けた篩上(粒径15mm超)のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率(15mm指数)で評価している、ドラム強度すなわちDI150 15である。
そして、ドラム回転時に発生する篩目15mmの篩でふるい分けた篩下(粒径15mm以下)の粉には、表面破壊により生成する粉(表面破壊粉:粒径6mm以下)および体積破壊により生成する粉(体積破壊粉:粒径6mm-15mm)が混在していることも明らかにされており、それらを個々に求めることでDI150 15を推定する方法がこれまで開示されている。
配合する各石炭の膨張率または膨張比容積を配合割合で加重平均した値と表面破壊粉率の関係から表面破壊粉率を求めること、体積破壊粉率は配合石炭の再固化温度から求めることによりDI150 15を推定する方法が開示されている(特許文献1)。
石炭の膨張比容積と装入嵩密度から石炭軟化溶融時の空隙充填度を求め、この空隙充填度からコークスの表面破壊強度を推定する方法が開示されている。なお表面破壊強度とは、ドラム強度の6mm指数(DI150 6)、すなわちドラムを150回転させた後の篩目6mmの篩でふるい分けた篩上(粒径6mm超)のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率である(特許文献2)。
コークス炉に装入する配合炭の乾留時における比容積を推定するに当たり、配合炭の比容積を加重平均し、膨張しない石炭のイナート係数を掛けて配合炭の乾留時における比容積を推定する発明が開示されている(特許文献3)。
ここで、イナート係数とは、膨張しない石炭が、配合炭の膨張を阻害する程度を表す指標であり、配合炭の乾留時における比容積にイナート係数を掛けることにより、精度の高い配合炭の比容積が推定できる。
高石炭化度炭および低石炭化度炭それぞれについて、コークスの表面破壊強度を求め、高石炭化度炭と低石炭化度炭の配合割合で加重平均することにより、コークスの表面破壊強度を推定する方法が開示されている(特許文献4)。
この発明では、表面破壊強度は高石炭化度炭あるいは低石炭化度炭の膨張比容積と配合炭の装入嵩密度から求めるが、高石炭化度炭の膨張比容積を求めるにあたっては、低石炭化度炭の配合比率に応じた膨張阻害度合であるイナートファクター(上述の「イナート係数」と同義)を考慮する。
全膨張率が0の高灰分炭と、全膨張率が0の低灰分炭と、全膨張率が0よりも大きい中灰分炭からなる配合炭から製造するコークスの表面破壊強度の推定方法であって、石炭の膨張性試験により測定される中高灰分炭の膨張比容積と、全膨張率が0の高灰分炭および低灰分炭が中灰分炭の膨張性を阻害する程度を表す度合(イナートファクター)と、中灰分炭のコークス炉装入時の嵩密度を乗じ得られる空隙充填度からコークスの表面破壊強度を推定する方法の開示がある(特許文献5)。
特開平9−263764号公報 特開2002−121565号公報 特開平9−255965号公報 特許第4299680号公報 特許第5402369号公報
特許文献1は、コークス強度DI150 15は、表面破壊粉量と体積破壊粉量の和から求めることができ、表面破壊粉率は、配合する各石炭の膨張比容積を配合割合で加重平均した値から求められることを開示している。
また、特許文献2は、コークスの表面強度は、石炭装入時の嵩密度に影響されることから、配合する各石炭の膨張比容積に装入嵩密度を乗じた空隙充填度を求め、この空隙充填度からコークスの表面破壊強度を推定する方法を開示している。
しかし、これらの特許文献1,2には、低石炭化度炭が高石炭化度炭の膨張を阻害する度合(イナートファクター)について言及されていない。
特許文献3は、低石炭化度炭が、高石炭化度炭の膨張を阻害する度合(イナートファクター)を考慮した石炭の膨張比容積について開示している。ここでは、膨張阻害度合すなわちイナートファクターに対する低石炭化度炭配合率の影響感度係数について開示があるが、全膨張率が0%の低石炭化度炭が配合された場合に、コークス強度を簡便に推定することは、開示されていない。
特許文献4では、コークス強度DI150 15は、表面破壊粉量と体積破壊粉量の和から求めることができること、表面破壊粉量は、配合する石炭の膨張比容積を配合割合で加重平均した値に、装入嵩密度と、低石炭化度炭が高石炭化度炭の膨張を阻害する度合(イナートファクター)を乗じた空隙充填度から求められることが開示されている。しかし、全膨張率が0%の低石炭化度炭が配合された場合に、コークス強度を簡便に推定することは、開示されていない。
引用文献5には、全膨張率が0%の高灰分炭と、全膨張率が0%の低灰分炭を含む配合炭の製造するコークスの表面破壊強度を、特許文献4と同様な方法で推定する。
コークスの表面破壊強度は、特許文献4、5に開示された石炭の膨張比容積と、装入嵩密度と、低石炭化度炭のイナートファクターを乗じた空隙充填度から推定できる。
しかし、低石炭化度炭が、高石炭化度炭の膨張を阻害する度合(イナートファクター)および低石炭化度炭に固有のイナートファクター係数(f)は、石炭毎に低石炭化度炭の配合率を変動させた複数回の乾留あるいは膨張率測定にて求める必要があり、手間がかかる。よって、新しい銘柄の石炭が入荷した場合、または従来石炭でも、その品質変動チェックのための試験が必要であり、試験の負荷が大きい。したがって、簡易にイナートファクター係数(f)を推定できる手法が望まれる。
本発明の目的は、コークス強度の推定に必要な低石炭化度炭のイナートファクター係数(f)の推定について、簡易な推定方法を提供し、さらに、低石炭化度炭のうち膨張性を示さないものを含む配合炭において、正確なコークス強度の推定方法を提供することである。
本発明者らは、石炭の膨張比容積とイナートファクター係数(f)との間に相関性があることを知見し、さらには、低石炭化度炭のうち、JIS−M8801で規定された昇温速度では全膨張性が0%の石炭であっても、昇温速度を高めて測定することで膨張比容積を測定でき、この様にして測定した膨張比容積とイナートファクター係数(f)の相関性も高いことを見出した。従って、あらかじめ、この相関性を求めておけば、膨張性が0%の新しい銘柄の低石炭化度炭を配合する場合であっても、膨張比容積という簡便な方法を用いるだけで、コークス強度を精度良く推定できることを見出した。
本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
<1>揮発分が30質量%以上で全膨張率が0%の低石炭化度炭を配合炭の一部に用いて製造する高炉用コークスの強度の推定方法であって、
前記高炉用コークスの強度を、コークスの表面破壊により生成する粉コークス量(表面破壊粉コークス量)およびコークスの体積破壊により生成する粉コークス量(体積破壊粉コークス量)の和より求め、
前記表面破壊粉コークス量を、配合する高石炭化度炭の軟化時の膨張比容積と、配合炭の装入密度と、低石炭化度炭が高石炭化度炭の軟化時の膨張を阻害する程度を表す下記式(1)のイナートファクター(IF)から算出する高石炭化度炭の軟化時の充填度から求めるに際し、
前記式(1)のイナートファクター(IF)の中のイナートファクター係数(f)と、JIS−M8801で規定された昇温速度である3℃/分を超える速度で測定した前記低石炭化度炭の膨張比容積(SV’)との関係性を、あらかじめ求めておき、配合を予定している全膨張率が0%の低石炭化度炭を3℃/分を超える昇温速度で測定した膨張比容積(SV’)値から、前記の関係性に基きイナートファクター係数(f)を求め、さらに下記式(1)により算出されるイナートファクター(IF)を用いて、コークス強度を推定することを特徴とする、コークスの強度推定方法。
IF =1.00−f・x・・・・・(1)
ここで、f:イナートファクター係数[-]、x:低石炭化度炭の配合率[%]である。
<2>前記イナートファクター係数(f)と膨張比容積(SV’)との関係性が、下記の式(2)であることを特徴とする<1>に記載の高炉用コークスの強度推定方法。

f=-0.734SV’5 + 6.214 SV’4 - 20.921 SV’3 + 35.039 SV’2 - 29.2 SV’ + 9.696・・・(2)

ここで、f:イナートファクター係数[-]、SV’:12℃/minで測定した膨張比容積[cm3/g]である。

なお、以降「SV」は3℃/minの昇温速度で、「SV’」は12℃/minの昇温速度で測定した膨張比容積をしめす。
また、本願における低石炭化度炭は、揮発分が30質量%以上の石炭を意味している。
コークス強度の推定に必要な低石炭化度炭のイナートファクター係数(f)の推定について、簡易で精度の高い推定方法を提供することができる。
低石炭化度炭の配合割合とイナートファクター(IF)の関係を示す図。 低石炭化度炭を12℃/minで昇温した膨張比容積(SV’)とイナートファクター係数(f)の関係を示す図。 空隙充填度(SV×BD×IF)と表面破壊強度(DI150 )の関係を示す図。 本発明によるコークス強度(DI150 15)の推定と実績を示す図。
(コークス強度の推定方法)
本発明は、揮発分が30質量%以上で全膨張率が0%の低石炭化度炭を、配合炭の一部に用いて製造する高炉用コークスの強度の推定方法である。揮発分が30質量%以上で全膨張率が0%の低石炭化度炭を対象とするのは、石炭化度が低い、かかる石炭を配合炭に用いると、コークス強度の低下が大きく、正確な強度の推定が重要であるからである。
コークス強度(DI150 15)は、コークスのドラム強度試験において発生する15mm以下の粉コークスの発生量で評価する。ここで、15mm以下の粉コークスの発生量のうち、6mm〜15mmの粉コークスは、体積破壊により生成する粉コ-クスであり、体積破壊粉率(DI150 6-15)としてあらわす。また、6mm未満の粉コークスは、表面破壊により生成する粉コ-クスであり、6mm篩上のコークス塊残留率を表面破壊強度(DI150 6)としてあらわす。このように、粉コークスを分けて考えるのは、粉コークスサイズにより、その粉発生メカニズムが異なるからである。したがって、コークス強度(DI150 15)は、表面破壊強度(DI150 6)から体積破壊粉率(DI150 6-15)を差し引いたものとなる。
次に、表面破壊強度(DI150 6)は、高石炭化度炭の表面破壊コークス量と、低石炭化度炭の表面破壊コークス量とを別々に求め、それぞれの表面破壊コークス量を配合割合で加重平均することにより求める。このように分けて考えるのは、以下の理由による。
即ち、表面破壊コークス量は、乾留時の石炭粒子の接着程度によるものであり、石炭の乾留時の膨張比容積と、装入時の密度に関係する。しかし、低石炭化度炭は、乾留時に高石炭化度炭の膨張を抑制する。低石炭化度炭が、高石炭化度炭の膨張を抑制する阻害の度合いは、銘柄毎に異なる低石炭化度炭に固有の特性(イナートファクター係数)である。
乾留時の膨張比容積が抑制されるのは高石炭化度炭であるから、高石炭化度炭の表面破壊強度と、低石炭化度炭の表面破壊強度とは、別々に求められ、配合炭全体の表面破壊強度は、その両者の配合比率による加重平均値で求められる。
低石炭化度炭のイナートファクター係数の測定は、後述するように、煩雑で手間がかかる。
本発明は、低石炭化度炭のうち膨張性を有しないもののイナートファクター係数を、JIS−M8801で規定された昇温速度である3℃/分を超える速度であらかじめ測定した膨張比容積の関数として算出しておくことで、例えば、膨張性が0%の新たな銘柄の低石炭化度を配合する場合に、膨張比容積という簡便な方法を用いるだけで、コークス強度を精度良く推定できることに特徴がある。
(体積破壊により生成する粉コークス)
体積破壊により生成する粉コークスとは、コークス強度試験において発生する粉コークスのうち6mm超15mm以下のものである。体積破壊により生成する粉コークス量を体積破壊強度(DI6−15)と記す。
体積破壊の原因となる大きな亀裂は、コークス全体の収縮の不均一さから発生する熱応力によって生成する亀裂が主要因であり、その生成量はコークス炉内の温度分布やコークス収縮係数(単位温度あたりの収縮量の大小)に影響される。そして、石炭の再固化温度と体積破壊により生成する粉コークス量の関係をあらかじめ調べておけば、体積破壊粉率(DI150 6-15)を推定することができる。
(表面破壊により生成する粉コークス)
表面破壊により生成する粉コークスとは、コークス強度試験において生成する粉コークスのうち6mm以下のものである。6mm篩上のコークス塊残留率を表面破壊強度(DI150 6)と記す。
表面破壊は平均粒度1mm程度に粉砕された原料炭の軟化溶融・膨張が不十分なことに起因する。石炭粒子同士の不完全な接着や、装炭時の石炭粒子間空隙が十分に充填されずに欠陥としてコークス中に残存することが要因となり発生する。
乾留時の石炭粒子同士の接着に関する要素として、乾溜時の石炭膨張比容積[cm/g]と、配合炭の装入密度[g/cm]があり、これらを乗じた石炭軟化時の空隙充填度(以下、「空隙充填度」と記す。)]により、表面破壊により生成する粉コークス量を推定することができる。
ここで、石炭の膨張比容積[cm/g]は、JIS M 8801の膨張性試験に用いるジラトメーター装置を用いた試験により測定した最大膨張時の石炭体積[cm] を ジラトメーターへの石炭装入量[g]で除することにより求められる。
しかし、高石炭化度炭と低石炭化度炭を配合した、いわゆる配合炭については、高石炭化度炭の膨張比容積に加成性が成立しない。即ち、高石炭化度炭の膨張比容積は、配合割合から算出する膨張比容積にならない。その理由は以下のように考えられる。
低石炭化度炭は、高石炭化度炭に比較して低い温度で軟化溶融を開始し再固化するため、高石炭化度炭が軟化溶融状態にあるときにはすでに再固化しており、イナートとして作用する。すると、高石炭化度炭は再固化した低石炭化度炭との粒子界面から熱分解ガスが抜けやすい状態となり、膨張が抑制されるため、高石炭化度炭の膨張比容積が小さくなると考えられる。
そこで、その効果を低石炭化度炭のイナートファクター(以下「IF」と記す。)として補正することで、高石炭化度炭の膨張比容積を精度良く推定する。ここで、IFは、下記の式(1)でもとめられる。

IF= 1.00 - f・x ・・・・・(1)
ただし、f:イナートファクター係数[-]、x:低石炭化度炭の配合率[%]である。即ち、イナートファクター(IF)は、低石炭化度炭が、高石炭化度炭の膨張を阻害する程度であり、イナートファクター係数(f)は、低石炭化度炭の配合1%あたりの阻害の度合である。
前述のごとく、コークスの表面破壊は、乾留時の石炭粒子同士の接着の程度によるので、乾留時時の空隙充填度によるが、高石炭化度炭の空隙充填度は、IFで補正した下記の式(3)で求められる。

高石炭化度炭の空隙充填度=高石炭化度炭の膨張比容積の加重平均値×装入時嵩密度×IF・・・・・(3)
式(3)により求めた高石炭化度炭の空隙充填度から高石炭化度炭の表面破壊強度(DI150 6(H))を推定する方法は、あらかじめ求めておいた高石炭化度炭の空隙充填度と高石炭化度炭の表面破壊強度(DI150 6(H))の関係より求める。
ここで、(3)式で膨張比容積がIFにより阻害されるのは、高石炭化度炭の場合であり、低石炭化度炭の場合は、IFの影響はない。したがって、低石炭化度炭の空隙充填度は、下記の式(4)となる。

低石炭化度炭の空隙充填度=低石炭化度炭の膨張比容積の加重平均値×装入時嵩密度・・・・(4)
表面破壊により生成する粉コークス量は、高石炭化度炭の表面破壊により生成する粉コークス量と低石炭化度炭の表面破壊により生成する粉コークス量の和であるから、コークスの表面破壊強度(DI150 6)は、高石炭化度炭の表面破壊強度(DI150 6(H))と低石炭化度炭の表面破壊強度(DI150 6(L))の加重平均値として、下記の式(5)により求められる。

DI150 6=P×DI150 6(H)+Q×DI150 6(L)・・・・・(5)

ただし、Pは高石炭化度炭の配合割合、Qは低石炭化度炭の配合割合を示す。
(イナートファクター係数(f)の測定方法)
イナートファクター係数(f)の測定方法は、以下の通りである。
イナートファクター係数(f)は、低石炭化度炭の銘柄毎に定まる固有の特性値である。高石炭化度炭に低石炭化度炭を配合した配合炭をJIS−M8801で規定された昇温速度である3℃/分で膨張比容積を測定する。高石炭化度炭の膨張比容積(測定実績)と上記配合炭の配合からの膨張比容積(計算)の比がIFである。低石炭化度炭の割合を横軸に、上記で求めたIFを縦軸にプロットした場合の例を図1に示す(特許文献1、図1)。上記の式(1)より、図1の直線の勾配がイナートファクター係数(f)であり、低石炭化度炭の配合1%あたりの膨張阻害の程度である。
イナートファクター係数(f)は、低石炭化度炭の銘柄毎に定まる固有の特性値である。
(簡便なイナートファクター係数(f)の推定方法について)
上記のイナートファクター係数(f)を求めるのは、図1に示す勾配であるから、低石炭化度炭の配合割合を変更した配合炭についての膨張比容積の測定が必要であり、手間とコストがかかる。
そこで、本発明者は、簡便で、かつ精度が高いイナートファクター係数(f)の推定方法について検討した。
具体的には、本発明者は、低石炭化度炭の全膨張率がイナートファクター係数(f)に影響していると着想し、低石炭化度炭の全膨張率からイナートファクター係数(f)を推定する方法を考えた。
しかし、JIS−M8801で規定された昇温速度である3℃/分の昇温速度では、表1に示すA炭〜F炭の6種類の低石炭化度炭の全膨張率(TD)はすべて0%であり、銘柄毎の差が出ない。尚、VM(%)は、揮発分である。
そこで、JIS−M8801で規定された昇温速度よりも早い12℃/分で、低石炭化度炭の全膨張率を測定したところ、表2に示すようにA炭〜F炭の銘柄毎に全膨張率に有意差が得られた。なお、昇温速度は3℃/minを超えていれば、銘柄ごとに有意な差別化ができるため、特に上限は無いが、8mm径の膨張率測定管内を均一に昇温させることが可能な装置としては、現実的には昇温速度の上限として30℃/min程度が例示できる。
また、結果を表2に示すように、A炭〜F炭においては3℃/minであらかじめイナートファクター係数(f)を測定しておき、12℃/minで測定した膨張比容積(SV’)とイナートファクター係数(f)の関係を調べたところ、両者の間には図2に示すように良い相関が得られた。この関係に基づけば、イナートファクター係数(f)が未知のA炭〜F炭以外の、膨張性を有しない低石炭化度炭について、12℃/minの昇温速度での膨張比容積(SV‘)を測定すれば、イナートファクター係数(f)を得ることができる。
図2において、SV’とfとの関係は、下記の式(2)となる。

f=-0.734SV’5+ 6.214 SV’4 - 20.921 SV’3 + 35.039 SV’2 - 29.2 SV’ + 9.696・・・・(2)
ここで、f:イナートファクター係数[-]、SV’:12℃/minで測定した膨張比容積[cm/g]である。
Figure 0006379934
Figure 0006379934
揮発分が30質量%以上で全膨張率が0%の低石炭化度炭を用いて、高石炭化度炭と配合させる際に、配合割合を5%〜20%の間で変更して得られた12ケースの配合炭についてコークス強度を推定した。
低石炭化度炭は、12℃/分の昇温条件で膨張比容積(SV’)を測定し、式(2)も用いて推定した。また、イナートファクター(IF)は、式(1)により求めた。
次に、空隙充填度(SV×BD×IF)は、式(3)、(4)を用いてそれぞれ求めた。表面破壊強度(DI150 )のうちの高石炭化度炭の表面破壊強度(DI150 )は、空隙充填度(SV×BD×IF)と表面破壊強度(DI150 )の関係である図3を用いた。なお、図3は、試験コークス炉を用いて、高石炭化度炭の空隙充填度と、得られたコークスの表面破壊強度(DI150 )を測定した結果により、あらかじめ求めたものである。また、表面破壊強度(DI150 )のうちの低石炭化度炭の表面破壊強度(DI150 )は、空隙充填度(SV×BD)と表面破壊強度(DI150 )の関係を、試験コークス炉によりあらかじめ求めておき、この関係性により求めた。その後、コークスの表面破壊強度(DI150 )を、式(5)を用いて求めた値を表3に示している。
また、体積破壊粉率(DI6-15)は、石炭の再固化温度と体積破壊粉率(DI6-15)との関係をあらかじめ調べておき、石炭の再固化温度を測定することにより求めた値を表3に示している。
コークス強度(DI150 15)は、表面破壊強度(DI150 ) と体積破壊粉率(DI150 6-15)から求めた。
以上の通り、揮発分が30質量%以上で全膨張率が0%の低石炭化度炭を、配合割合を5%〜20%の間で変更した場合について、コークス強度を推定した。
本発明方法により推定されたコークス強度の精度を確認するために、同様の配合条件で得られたコークスの強度を実績として測定し、推定値と比較した。
その結果は、図4に示す通り、推定値は実績値とほぼ同じ値となっており、精度良く推定できることが確認できた。
Figure 0006379934
コークス強度の推定に必要な低石炭化度炭のイナートファクター係数(f)の推定と、それを用いたコークス強度の推定に利用することができる。

Claims (2)

  1. 揮発分が30質量%以上で全膨張率が0%の低石炭化度炭を配合炭の一部に用いて製造する高炉用コークスの強度の推定方法であって、
    前記高炉用コークスの強度を、コークスの表面破壊により生成する粉コークス量(表面破壊粉コークス量)およびコークスの体積破壊により生成する粉コークス量(体積破壊粉コークス量)の和より求め、
    前記表面破壊粉コークス量を、配合する高石炭化度炭の軟化時の膨張比容積と、配合炭の装入密度と、低石炭化度炭が高石炭化度炭の軟化時の膨張を阻害する程度を表す下記式(1)のイナートファクター(IF)から算出する高石炭化度炭の軟化時の充填度から求めるに際し、
    前記式(1)のイナートファクター(IF)の中のイナートファクター係数(f)と、JIS−M8801で規定された昇温速度である3℃/分を超える速度で測定した前記全膨張率が0%の低石炭化度炭の膨張比容積(SV’)との関係性を、あらかじめ求めておき、配合を予定している全膨張率が0%の低石炭化度炭を3℃/分を超える昇温速度で測定した膨張比容積(SV’)の値から、前記の関係性に基きイナートファクター係数(f)を求め、さらに下記式(1)により算出されるイナートファクター(IF)を用いて、コークス強度を推定することを特徴とするコークス強度の推定方法。
    IF =1.00−f・x・・・・・(1)
    ここで、f:イナートファクター係数[-]、x:低石炭化度炭の配合率[%]である。
  2. 前記イナートファクター係数(f)と膨張比容積(SV’)との関係性が、下記の式(2)であることを特徴とする請求項1に記載のコークス強度の推定方法。
    f=-0.734SV’5 + 6.214 SV’4 - 20.921 SV’3 + 35.039 SV’2 - 29.2 SV’ + 9.696・・・(2)
    ここで、f:イナートファクター係数[-]、SV’:12℃/minで測定した膨張比容積[cm3/g]である。
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