JP7188245B2 - 高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法 - Google Patents
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Description
しかし、劣質炭の配合割合が増大すると、石炭の膨張比容積には加成性が成立しないため、特許文献1に開示の方法では、十分な正確性で表面破壊強度を推定できないことがあった。
すなわち、劣質炭の高速昇温膨張比容積値とイナートファクター係数の相関線を、劣質炭のVMの大小(10質量%<VM<30質量%、30質量%≦VM)によって2本導出し、その相関線を用いてそれぞれ高石炭化度炭に対するイナートファクター係数と低石炭化度炭に対するイナートファクター係数を推定することで、VMの値によらず劣質炭のイナートファクター係数が推定可能となることを見出した。
(1)劣質炭を配合炭の一部に用いて製造する高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法であって、
前記配合炭は、高石炭化度炭と低石炭化度炭と劣質炭からなり、
高石炭化度炭は、全膨張率が0%超であり、かつ、JIS M8801の流動性試験方法により測定される石炭の再固化温度が470℃以上であり、
低石炭化度炭は、全膨張率が0%超であり、かつ、JIS M8801の流動性試験方法により測定される石炭の再固化温度が470℃未満であり、
劣質炭は、全膨張率が0%であり、さらに全膨張率が0%の劣質炭を、揮発分VMが10質量%超30質量%未満の低VM劣質炭と、VMが30質量%以上の高VM劣質炭とに分類し、
実コークス炉で使用予定の配合炭を用いて製造するコークスの表面破壊強度を推定するに際し、予め、下記の(A)~(C)の手順によって必要な関係を求めておき、
(A)種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度との関係(a1)を求めておき、
(B)低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張性指標と、高石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF1)の中の、高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)および高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)との関係を以下のようにしてそれぞれ求めておき、
(B1)高VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S1で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(H)と、低VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S2で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(L)を膨張性指標としてそれぞれ測定し、
(B2)測定した低VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(L)と高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)との関係(b2)を求め、
(B3)測定した高VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(H)と高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)との関係(b3)を求め、
(C)低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張性指標と、低石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF2)の中の低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)および低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との関係を以下のようにしてそれぞれ求めておき、
(C1)高VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S1で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(H)と、低VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S2で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(L)を膨張性指標としてそれぞれ測定し、
(C2)測定した低VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(L)と低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)との関係(c2)を求め、
(C3)測定した高VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(H)と低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との関係(c3)を求め、
次に、実コークス炉で使用予定の配合炭を用いて製造する高炉用コークスの表面破壊強度の推定にあたり、(D)~(H)の手順を行うことを特徴とするコークスの表面破壊強度の推定方法。
(D)用いる配合炭中の劣質炭が低VM劣質炭の場合は、前記高速昇温膨張比容積SV’
(L)を求め、求められたSV’(L)と前記(b2)(c2)の関係から低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)と(f2-1)を求め、
(E)用いる配合炭中の劣質炭が高VM劣質炭の場合は、前記高速昇温膨張比容積SV’(H)を求め、求められたSV’(H)と前記(b3)(c3)の関係から高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)と(f2-2)を求め、
(F)用いる劣質炭の高速昇温膨張比容積SV'(L) および/またはSV' (H)に応じて、前記(D)および/または(E)で求めた高石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)(f1-2)を用いて、劣質炭の配合率に応じた高石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF1)を、以下の計算式により求め、低石炭化度炭に対する劣質炭イナートファクター係数(f2-1)(f2-2)を用いて、劣質炭の配合率に応じた低石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF2)を、以下の計算式により求め、
IF1=(IF1-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])+(IF1-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])
IF1-1=1-((f1-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]))
IF1-2=1-((f1-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]))
IF2=(IF2-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])+(IF2-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])
IF2-1=1-((f2-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]))
IF2-2=1-((f2-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]))
(G)高石炭化度炭に対する低石炭化度炭のイナートファクター係数は定数(fg)とし、高石炭化度炭に対する低石炭化度炭のイナートファクター(IFg)を、以下の計算式により求め、
IFg=1-((fg)×低石炭化度炭の配合割合[質量%])
(H)前記(F)および(G)で求めたイナートファクター(IF1)(IF2)(IFg)と、配合予定の石炭を昇温速度3℃/分で測定した膨張比容積と、配合炭の嵩密度から、
以下の式に基づき、高石炭化度炭と劣質炭の一部の空隙充填度である高石炭化度炭グループ空隙充填度と、低石炭化度炭と劣質炭の残部の空隙充填度である低石炭化度炭グループ空隙充填度とを導出し、
前記高石炭化度炭グループ空隙充填度及び前記低石炭化度炭グループ空隙充填度を低石炭化度炭と高石炭化度炭の配合割合で加重平均し、配合炭の空隙充填度を求め、この求めた配合炭の空隙充填度を用いて前記(a1)の関係からコークスの表面破壊強度の推定値を求める。
高石炭化度炭と劣質炭の一部の空隙充填度(高石炭化度炭グループ空隙充填度)
低石炭化度炭と劣質炭の残部の空隙充填度(低石炭化度炭グループ空隙充填度)
ここで、
n:高石炭化度炭の配合比率[-]
m:低石炭化度炭の配合比率[-]
k:劣質炭(低VM劣質炭と高VM劣質炭の和)の配合比率[-]
SVn:高石炭化度炭の膨張比容積[g/cm3]
SVm:低石炭化度炭の膨張比容積[g/cm3]
SVk:劣質炭の膨張比容積[g/cm3]
IFg:低石炭化度炭の高石炭化度炭に対するイナートファクター
IF1:劣質炭の高石炭化度炭に対するイナートファクター
IF2:劣質炭の低石炭化度炭に対するイナートファクター
BD:配合炭の嵩密度[g/cm3]
である。
f1-1=d1SV’(L)2+d2SV’(L)+d3 ・・・(b2)
ここで、f1-1:高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(L):低VM劣質炭の昇温速度80℃/分の膨張比容積[cm3/g]、d1~d3:実験的に求められる定数
f1-2=d1SV’(H)5+d2SV’(H)4+d3SV’(H)3+d4SV’(H)2+d5SV’(H)+d6 ・・・(b3)
ここで、f1-2: 高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(H):高VM劣質炭の昇温速度12℃/分の膨張比容積 [cm3/g]、d1~d6:実験的に求められる定数
f2-1=d1SV’(L)+d2 ・・・(c2)
ここで、f2-1: 低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(L):低VM劣質炭の昇温速度80℃/分の膨張比容積[cm3/g]、d1~d2は実験的に求められる定数
f2-2=d1SV’(H)+d2 ・・・(c3)
ここで、f2-2:低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数[‐]、SV’(H):高VM劣質炭の昇温速度12℃/分の膨張比容積SV’(H)[cm3/g]、d1~d2は実験的に求められる定数
配合する高石炭化度炭と低石炭化度炭と劣質炭の膨張比容積SVと配合割合、装入嵩密度BD及びイナートファクターから配合炭の空隙充填度を算出するにあたり、イナートファクターを導出する際に
あらかじめ実測した配合炭膨張比容積値から求めた空隙充填度と表面破壊強度の関係に基づいて推定するに際し、全膨張率が0%の劣質炭を、揮発分VMが10質量%超30質量%未満の低VM劣質炭と、VMが30質量%以上の高VM劣質炭とに分類し、
予め、低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張性指標と高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)と、高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)と
低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)と低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との関係をそれぞれ求めておき、推定しようとする配合炭の配合に応じて、低VM劣質炭および/または高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)(f1-2)(f2-1)(f2-2)を用いて、コークスの表面破壊強度を推定するものである。
また低VM劣質炭の高速昇温膨張比容積については、以下のようにした。
低VM劣質炭を1.5mm以下100質量%に粉砕後、嵩密度0.85 g/cm3になるよう反応管に充填し、加熱炉にて昇温速度12℃/分で昇温させる、あるいは550℃に加熱した炉に入れて昇温させる(400℃~500℃間の平均昇温速度:80℃/分)ことで低VM劣質炭の膨張比容積を測定した。
また、低VM劣質炭Gについて、各配合割合でのイナートファクターを、以下の式を用いて計算して、図2に示す。
V=SVn×IF×n + SVk×k
ここで、V:配合炭の膨張比容積[cm3/g]、IF:イナートファクター、SVn:高石炭化度炭の膨張比容積[cm3/g]、SVk:劣質炭の膨張比容積[cm3/g]、n:高石炭化度炭の質量ベースの配合割合[-]、k:劣質炭の質量ベースの配合割合[-]、を示す。
IF=1.00-f×k ・・・(1)
ここで、IF:イナートファクター[-]、f:イナートファクター係数[-]、k:劣質炭の質量ベースの配合割合[-]を示す。
y=-0.0113x+1
の関数関係にあることが認められ、その直線の傾きの絶対値から、イナートファクター係数として0.0113が得られた。なお、yはイナートファクター[-]であり、xは劣質炭の配合割合[質量%]である。
表2に、低VM劣質炭A~Gについて、昇温速度12℃/分で測定したSV’(SV’12℃/分)及び高石炭化度炭に対するイナートファクター係数を示す。
なお、以下の表1、2では、特許文献3の表1、表2で示されたA炭~F炭の揮発分、灰分、全膨張率、SV’(SV’12℃/分)のデータを、高VM劣質炭H~Mのデータとして引用した。
図3より、劣質炭は、高速昇温膨張比容積値が同じであるにも関わらず、VMの値により2通りの高石炭化度炭に対するイナートファクター係数をとることが分かる。
VMが30質量%以上の高VM劣質炭では、SV’(SV’12℃/分)と高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)との間に、以下の関係があることを確認した。
f1-2=-0.734SV’5+6.214SV’4-20.921SV’3+35.039SV’2-29.2SV’+9.696
そこで、さらに高速のSV’(SV’80℃/分)の昇温速度で測定することを試みた。
表3に、低VM劣質炭A~Gについて、昇温速度80℃/分で測定したSV’(SV’80℃/分)及び高石炭化度炭に対するイナートファクター係数を示す。図4に、表3に記載されたSV’(SV’80℃/分)と高石炭化度炭に対するイナートファクター係数との関係を示す。
図5に、膨張比容積の測定の際、試料に挿入した熱電対の温度を測定した結果を示す。得られた昇温曲線から、炉の中央で測温した際、400~500℃の区間における平均昇温速度が83℃/分であったため、この手法を用いて測定した膨張比容積の値を、昇温速度80℃/分におけるSV’(SV’80℃/分)と表現することとする。
(f1-1)=0.0015x2-0.0124x+0.0227
低VM劣質炭A~Gについて、昇温速度12℃/分で測定したSV’(SV’12℃/分)及びイナートファクター係数を表4示す。
図6より、劣質炭は、高速昇温膨張比容積値が同じであるにも関わらず、VMの値により2通りの低石炭化度炭に対するイナートファクター係数をとることが分かる。
VMが30質量%以上の高VM劣質炭では、SV’(SV’12℃/分)と低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との間に、以下の関係があることを確認した。
f2-2=-0.0172SV’+0.0249(ただし、1.18≦SV’≦1.45である)
そこで、さらに高速の80℃/分の昇温速度で測定することを試みた。
表5に、低VM劣質炭A~Gについて、昇温速度80℃/分で測定したSV’(SV’80℃/分)及びイナートファクター係数を示す。図7に、表5に記載されたSV’(SV’80℃/分)と低石炭化度炭に対するイナートファクター係数との関係を示す。
f2-1=‐0.0076SV’+0.0217(ただし、1.18≦SV’である)
以下、このような本発明を構成する要件や好ましい要件について順次説明する。
石炭には、下記の種類のものがある。
・高石炭化度炭:全膨張率が0%超であり、JIS M8801の流動性試験方法により測定される石炭の再固化温度が470℃以上である石炭
・低石炭化度炭:全膨張率が0%超であり、JIS M8801の流動性試験方法により測定される石炭の再固化温度が470℃未満である石炭
・劣質炭:全膨張率が0%である石炭。VMが30質量%以上の高VM劣質炭と10質量%超30質量%未満の低VM劣質炭とし、低VM劣質炭には石油コークスを含むこととする。
本発明では、高石炭化度炭と低石炭化度炭と劣質炭からなる配合炭を対象とする。
本発明では、予め、(A)配合炭の空隙充填度とコークスの表面破壊強度との関係、(B)低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張比容積と高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)、及び(C)低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張比容積と低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との関係を求めておく。
配合炭の膨張比容積SVを実測して、膨張比容積SVと嵩密度BDとの積から求められる空隙充填度SV×BDを求めるとともに、配合炭のコークスの表面破壊強度を実測し、配合炭の空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6との関係を予め求めておく。なお、このときの表面破壊強度は、コークス強度測定までにコークス塊が受ける落下衝撃の大小によって変化するため、落下衝撃が変化するごとにコークス強度を測定し、相関線を求める必要がある。この同一落下衝撃下で求めた関係を(a1)とする。図8にその一例を示す。ちなみに、ここで用いる配合炭の性状は特に規定されるものではなく、種々の石炭を用いることができる。また、図8の関係性を求める場合、空隙充填度SV×BDを変化させる必要がある。膨張比容積SVを変化させるには性状が相違する石炭を選択することで実施でき、嵩密度BDを変化させるには石炭粒度等を調整することで実施できる。
先ず、JIS M8801に規定された細管に、石炭を粉体のまま、所定の装入密度で高さ60mmに装入し、次に、細管内の配合炭の上にピストンを装入し、ピストンを装入した状態で細管を3.0±0.1℃/分の昇温速度で300℃から600℃まで加熱し、加熱終了した後の配合炭の高さを測定した。
なお、この調査においては、ピストンが石炭に及ぼす荷重は約110gとした。加熱終了後の配合炭高さをL[mm]とした。そして、以下の式から膨張比容積[cm3/g]を求めた。本実施形態の嵩密度は0.85を用い、以降も嵩密度は0.85を統一して用いている。なお、嵩密度は単味炭の膨張性指標や膨張比容積を求める際に統一した値を用いていれば良く、0.85に限らず適用可能である。
膨張比容積=L/(60×0.85)
また、劣質炭の膨張比容積(昇温速度:3℃/分)SVは、実測が不可能である場合は、嵩密度0.85の逆数を用いることとした。
まず、高石炭度化炭と劣質炭単味の膨張比容積を前述のように測定するとともに、高石炭度化炭に劣質炭を配合した配合炭の膨張比容積を前述のように測定し、配合炭の膨張比容積の加重平均値からのずれに基づいてイナートファクターを算出する(図1、2参照)。そして、劣質炭の配合割合とイナートファクターの間に下記式(1)で表される1次式の関係を見出し、その式からイナートファクター係数を求める。
図2に示す例では、一次式として、下式が成立し、
y=-0.0113x+1
イナートファクター係数(f)として、0.0113が求められた例を示す。
以降、このイナートファクター係数(f)に関して説明する。
IF=1.00-f×k
あるいは IF=1.00-f×m ・・・(1)
ここで、IF=IF1の場合、f=f1-1あるいはf1-2[-]、k=低VM劣質炭あるいは高VM劣質炭の質量ベースの配合割合を示し、
IF=IF2の場合、f=f2-1あるいはf2-2[-]、k=低VM劣質炭あるいは高VM劣質炭の質量ベースの配合割合を示し、
IF=IFgの場合、f=fg[-]、m:低石炭化度炭の配合割合を示す。
IF1は劣質炭の高石炭化度炭に対するイナートファクターであり、IF2は劣質炭の低石炭化度炭に対するイナートファクターであり、IFgは低石炭化度炭の高石炭化度炭に対するイナートファクターである。
より詳細には、昇温速度S1としては、(b3)、(c3)の「高VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(H)と劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)、(f2-2)との関係」を求めるために使用する複数の高VM劣質炭について、膨張性が発現する昇温速度以上に設定されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、12℃/分以上の昇温速度が挙げられる。
また、昇温速度S2としては、(b2)、(c2)での「低VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(L)と劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)、(f2-1)との関係」を複数の石炭で取得するためには、例えば、80℃/分以上が挙げられる。なお、昇温速度S2の上限は特に限定されないが、加熱した炉に石炭を入れて昇温させる方式での可能な昇温速度としては、例えば400℃/分程度が挙げられる。
3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f1-1)と、80℃/分で測定した膨張比容積SV’(L)との間には、下記式(b2)で表される相関があることが確認された。なお、実炉の一般的な平均昇温速度は3℃/分であり、また、全膨張率測定試験(JIS M 8801)における昇温速度も3℃/分であることから、イナートファクター係数(f1-1)を測定するときの昇温速度は3℃/分とした(後述するイナートファクター係数(f1-2)、イナートファクター係数(f2-1)及びイナートファクター係数(f2-2)についても同様である)。
f1-1=d1SV’(L)2+d2SV(L)’+d3 ・・・(b2)
ここで、f1-1:高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(L):低VM劣質炭の昇温速度80℃/分の膨張比容積[cm3/g]、d1~d3:実験的に求められる係数を示す。
図4に、d1=0.0015、d2=‐0.0124、d3=0.0227の例を示す。
ここで、低VM劣質炭の膨張比容積SV’(L)を測定する際の昇温速度として、80℃/分とは異なる昇温速度を採用した場合には、当該昇温速度に対応した低VM劣質炭の膨張比容積SV’(L)と、3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f1-1)との関係式を求めておく必要がある。
3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f1-2)と、12℃/分で測定した膨張比容積SV’(H)との間には、下記式(b3)で表される相関があることが確認された。
f1-2=d1SV’(H)5+d2SV’(H)4+d3SV’(H)3+d4SV’ (H)2+d5SV’(H)+d6 ・・・(b3)
ここで、f1-2: 高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(H):高VM劣質炭の昇温速度12℃/分の膨張比容積[cm3/g]である。d1~d6は定数であり、実験的に求められる。
図3に、d1=-0.734、d2=6.214、d3=-20.921、d4=35.039、d5=-29.2、d6=9.696の例を示す。
ここで、高VM劣質炭の膨張比容積SV’(H)を測定する際の昇温速度として、12℃/分とは異なる昇温速度を採用した場合には、当該昇温速度に対応した高VM劣質炭の膨張比容積SV’(H)と、3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f1-2)との関係式を求めておく必要がある。
3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f2-1)と、80℃/分で測定した膨張比容積SV’(L)との間には、下記式(c2)で表される相関があることが確認された。
f2-1=d1SV’(L)+d2 ・・・(c2)
ここで、f2-1: 低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(L):低VM劣質炭の昇温速度80℃/分の膨張比容積[cm3/g]である。d1~d2は定数であり、実験的に求められる。
図7に、d1=-0.0076、d2=0.0217の例を示す。
ここで、低VM劣質炭の膨張比容積SV’(L)を測定する際の昇温速度として、80℃/分とは異なる昇温速度を採用した場合には、当該昇温速度に対応した低VM劣質炭の膨張比容積SV’(L)と、3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f2-1)との関係式を求めておく必要がある。
3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f2-2)と、12℃/分で測定した膨張比容積SV’(H)との間には、下記式(c3)で表される相関があることが確認された。
f2-2=d1SV’(H)+d2 ・・・(c3)
ここで、f2-2:低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(H):高VM劣質炭の昇温速度12℃/分の膨張比容積[cm3/g]である。d1~d2は定数であり、実験的に求められる。図6では、d1=-0.0172、d2=0.0249である。
ここで、高VM劣質炭の膨張比容積SV’(H)を測定する際の昇温速度として、12℃/分とは異なる昇温速度を採用した場合には、当該昇温速度に対応した高VM劣質炭の膨張比容積SV’(H)と、3℃/分の昇温速度で測定したイナートファクター係数(f2-2)との関係式を求めておく必要がある。
実コークス炉で使用予定の配合炭を用いて製造する高炉用コークスの表面破壊強度の推定にあたり、下記の手順により求める。
用いる配合炭中の高石炭化度炭、低石炭化度炭及び劣質炭の膨張比容積(3℃/分)を求める。
高石炭化炭が複数あるときは、高石炭化度炭のSVは加重平均値を用いる。低石炭化炭が複数あるときは、低石炭化度炭のSVは加重平均値を用いる。劣質炭SVが測定不可能な場合は、嵩密度(0.85g/cm3)の逆数を劣質炭SVとして用い、劣質炭が複数あるときは、劣質炭のSVは加重平均値を用いる。ここで求めた高石炭化度炭、低石炭化度炭及び劣質炭の膨張比容積は、後述する高石炭化度炭グループ及び低石炭化度炭グループの空隙充填度の算出式におけるSVn、SVm及びSVkとして用いられる。
ここで、劣質炭SVが測定不可能な場合は、嵩密度(0.85g/cm3)の逆数を劣質炭SVとして用い、劣質炭が複数あるときは、劣質炭のSVは加重平均値を用い、空隙充填度を求める。劣質炭は、加熱してもほとんど溶融しないため、劣質炭自体が強度を発現することはない。但し、周囲に溶融する高石炭化度炭や低石炭化度炭が配合されている場合は、それら石炭に付着することで強度を発現することができる。
そのため、劣質炭の空隙充填度を、高石炭化度炭と低石炭化度炭の配合割合によってそれぞれに割り振り、配合炭の空隙充填度を求めることで、強度を発現しない劣質炭を考慮することとした。
次に高石炭化度炭に対する低石炭化度炭のイナートファクター係数は定数(fg)とし、高石炭化度炭に対するイナートファクター(IFg)を求め、(IF1)と(IFg)を用いて高石炭化度炭の空隙充填度を求める。
最後に、劣質炭の空隙充填度の一部{高石炭化度炭/(高石炭化度炭+低石炭化度炭)}を求め、高石炭化度炭の空隙充填度と劣質炭の空隙充填度の一部を配合率で加重平均値する。本発明では、この空隙充填度を高石炭化度グループの空隙充填度と定義する。
また、低石炭化度炭に対する劣質炭イナートファクター係数(f2-1)(f2-2)を用いて、劣質炭の配合率に応じた低石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF2)を求め、(IF2)を用いて低石炭化度炭の空隙充填度を求める。次に、劣質炭の空隙充填度の残部を求め、低石炭化度炭の空隙充填度と劣質炭の空隙充填度の一部を配合率で加重平均値する。本発明ではこの空隙充填度を低石炭化度炭グループの空隙充填度と定義する。
IFg=1-((fg)×低石炭化度炭の配合割合[質量%])
IF1=(IF1-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])+(IF1-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])
IF1-1=1-((f1-1)×(低VM劣質炭割合 [質量%]))
IF1-2=1-((f1-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]))
IF2=(IF2-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])+(IF2-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])
IF2-1=1-((f2-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]))
IF2-2=1-((f2-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]))
高石炭化度炭グループの空隙充填度
低石炭化度炭グループの空隙充填度
ここで、
n:高石炭化度炭の配合比率[-]
m:低石炭化度炭の配合比率[-]
k:劣質炭(低VM劣質炭と高VM劣質炭の和)の配合比率[-]
SVn:高石炭化度炭の膨張比容積[g/cm3]
SVm:低石炭化度炭の膨張比容積[g/cm3]
SVk:劣質炭の膨張比容積[g/cm3]
IFg:低石炭化度炭の高石炭化度炭に対するイナートファクター
IF1:劣質炭の高石炭化度炭に対するイナートファクター
IF2:劣質炭の低石炭化度炭に対するイナートファクター
BD:配合炭の嵩密度[g/cm3]
である。
記載内容に何ら制限されるものではない。
高石炭化度炭と低石炭化度炭と高VM劣質炭と低VM劣質炭の表6に示す4分類6炭種を表7に示す割合で配合した場合の強度推定を行った。
石炭は、3.0mm以下90質量%に粉砕した石炭を表7の通り配合し、実機装入炭嵩密度0.80g/cm3相当の嵩密度にて充填した後、実機の炉温1250℃相当の炉温である試験コークス炉(Nomura et al. ,2004 Fuel 38 1771-1776)を用いて、乾留した。
表7に作製したコークスのコークス表面破壊強度DI150 6の実測値を、表8に各石炭のイナートファクター係数(表では、IFCと表記する)を合わせて示す。
本発明例のイナートファクター係数は、低VM劣質炭Uの80℃/分SV’、高VM劣質炭Vの12℃/分SV’を、実施形態に記載したf1-1、f1-2、f2-1、f1-2に代入することにより、それぞれ導出した。
次に、比較例1として、特許文献2(特開平9-255965号公報)に開示の方法を援用し、全ての劣質炭及び低石炭化度炭のイナートファクター係数を一定とし、コークス強度の推定を行った。なお、イナートファクター係数は0.0057とした。
また、比較例2として、特許文献3(特開2016―69469号公報)に開示の高VM劣質炭のイナートファクター係数推定法を低VM劣質炭に援用し、式(f=-0.734SV’5+6.214SV’4-20.921SV’3+35.039SV’2-29.2SV’+9.696)を劣質炭にも適用させた際の、イナートファクター係数を用いてコークス強度の推定を行った。
コークス強度推定は、図9に示す配合炭空隙充填度と表面破壊強度の相関を用いた。
高石炭化度炭と低石炭化度炭と高VM劣質炭と低VM劣質炭の表10に示す4分類4炭種を表11に示す割合で配合した場合の強度推定を行った。石炭の乾留は、実施例1と同様の方法で行った。
表11に作製したコークスのコークス表面破壊強度DI150 6の実測値を、表12に各石炭のイナートファクター係数(表では、IFCと表記する)を合わせて示す。
本発明例のイナートファクター係数は、低VM劣質炭Yの12℃/分SV、80℃/分SV、高VM劣質炭Zの12℃/分SVから、それぞれ導出した。
次に、比較例1として、特許文献2(特開平9-255965号公報)に開示の方法を援用し、全ての劣質炭及び低石炭化度炭のイナートファクター係数を一定とし、コークス強度の推定を行った。なお、イナートファクター係数は0.0057とした。
また、比較例2として、特許文献3(特開2016―69469号公報)に開示の高VM劣質炭のイナートファクター係数推定法を低VM劣質炭に援用し、式(f=-0.734SV’5+6.214SV’4-20.921SV’3+35.039SV’2-29.2SV’+9.696)を劣質炭にも適用させた際の、イナートファクター係数を用いてコークス強度の推定を行った。
コークス強度推定では、(実施例1)とは異なる落下衝撃が加わっているため、図8に示す配合炭空隙充填度と表面破壊強度の相関を用いた。
Claims (5)
- 劣質炭を配合炭の一部に用いて製造する高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法であって、
前記配合炭は、高石炭化度炭と低石炭化度炭と劣質炭からなり、
高石炭化度炭は、全膨張率が0%超であり、かつ、JIS M8801の流動性試験方法により測定される石炭の再固化温度が470℃以上であり、
低石炭化度炭は、全膨張率が0%超であり、かつ、JIS M8801の流動性試験方法により測定される石炭の再固化温度が470℃未満であり、
劣質炭は、全膨張率が0%であり、さらに全膨張率が0%の劣質炭を、揮発分VMが10質量%超30質量%未満の低VM劣質炭と、VMが30質量%以上の高VM劣質炭とに分類し、
実コークス炉で使用予定の配合炭を用いて製造するコークスの表面破壊強度を推定するに際し、予め、下記の(A)~(C)の手順によって必要な関係を求めておき、
(A)種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度との関係(a1)を求めておき、
(B)低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張性指標と、高石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF1)の中の、高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)および高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)との関係を以下のようにしてそれぞれ求めておき、
(B1)高VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S1で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(H)と、低VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S2で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(L)を膨張性指標としてそれぞれ測定し、
(B2)測定した低VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(L)と高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)との関係(b2)を求め、
(B3)測定した高VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(H)と高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)との関係(b3)を求め、
(C)低VM劣質炭および高VM劣質炭の膨張性指標と、低石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF2)の中の低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)および低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との関係を以下のようにしてそれぞれ求めておき、
(C1)高VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S1で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(H)と、低VM劣質炭を膨張性が発現する昇温速度以上の昇温速度S2で昇温したときの高速昇温膨張比容積SV’(L)を膨張性指標としてそれぞれ測定し、
(C2)測定した低VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(L)と低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)との関係(c2)を求め、
(C3)測定した高VM劣質炭の高速昇温膨張比容積SV’(H)と低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)との関係(c3)を求め、
次に、実コークス炉で使用予定の配合炭を用いて製造する高炉用コークスの表面破壊強度の推定にあたり、(D)~(H)の手順を行うことを特徴とするコークスの表面破壊強度の推定方法。
(D)用いる配合炭中の劣質炭が低VM劣質炭の場合は、前記高速昇温膨張比容積SV’(L)を求め、求められたSV’(L)と前記(b2)(c2)の関係から低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)と(f2-1)を求め、
(E)用いる配合炭中の劣質炭が高VM劣質炭の場合は、前記高速昇温膨張比容積SV’(H)を求め、求められたSV’(H)と前記(b3)(c3)の関係から高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)と(f2-2)を求め、
(F)用いる劣質炭の高速昇温膨張比容積SV'(L) および/またはSV' (H)に応じて、前記(D)および/または(E)で求めた高石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)(f1-2)を用いて、劣質炭の配合率に応じた高石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF1)を、以下の計算式により求め、低石炭化度炭に対する劣質炭イナートファクター係数(f2-1)(f2-2)を用いて、劣質炭の配合率に応じた低石炭化度炭に対する劣質炭のイナートファクター(IF2)を、以下の計算式により求め、
IF1=(IF1-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])+(IF1-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])
IF1-1=1-((f1-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]))
IF1-2=1-((f1-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]))
IF2=(IF2-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])+(IF2-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]/劣質炭割合[質量%])
IF2-1=1-((f2-1)×(低VM劣質炭割合[質量%]))
IF2-2=1-((f2-2)×(高VM劣質炭割合[質量%]))
(G)高石炭化度炭に対する低石炭化度炭のイナートファクター係数は定数(fg)とし、高石炭化度炭に対する低石炭化度炭のイナートファクター(IFg)を、以下の計算式により求め、
IFg=1-((fg)×低石炭化度炭の配合割合[質量%])
(H)前記(F)および(G)で求めたイナートファクター(IF1)(IF2)(IFg)と、配合予定の石炭を昇温速度3℃/分で測定した膨張比容積と、配合炭の嵩密度から、
以下の式に基づき、高石炭化度炭と劣質炭の一部の空隙充填度である高石炭化度炭グループ空隙充填度と、低石炭化度炭と劣質炭の残部の空隙充填度である低石炭化度炭グループ空隙充填度とを導出し、
前記高石炭化度炭グループ空隙充填度及び前記低石炭化度炭グループ空隙充填度を低石炭化度炭と高石炭化度炭の配合割合で加重平均し、配合炭の空隙充填度を求め、この求めた配合炭の空隙充填度を用いて前記(a1)の関係からコークスの表面破壊強度の推定値を求める。
高石炭化度炭と劣質炭の一部の空隙充填度(高石炭化度炭グループ空隙充填度)
低石炭化度炭と劣質炭の残部の空隙充填度(低石炭化度炭グループ空隙充填度)
ここで、
n:高石炭化度炭の配合比率[-]
m:低石炭化度炭の配合比率[-]
k:劣質炭(低VM劣質炭と高VM劣質炭の和)の配合比率[-]
SVn:高石炭化度炭の膨張比容積[g/cm3]
SVm:低石炭化度炭の膨張比容積[g/cm3]
SVk:劣質炭の膨張比容積[g/cm3]
IFg:低石炭化度炭の高石炭化度炭に対するイナートファクター
IF1:劣質炭の高石炭化度炭に対するイナートファクター
IF2:劣質炭の低石炭化度炭に対するイナートファクター
BD:配合炭の嵩密度[g/cm3]
である。 - 前記高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-1)と高速昇温膨張比容積SV'(L)との関係(b2)は、前記昇温速度S2として80℃/分で測定した高速昇温膨張比容積SV'(L)を用いる場合には、下記の式(b2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法。
f1-1=d1SV’(L)2+d2SV’(L)+d3 ・・・(b2)
ここで、f1-1:高石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(L):低VM劣質炭の昇温速度80℃/分の膨張比容積[cm3/g]、d1~d3:実験的に求められる定数 - 前記高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f1-2)と高速昇温膨張比容積SV’(H)との関係(b3)は、前記昇温速度S1として12℃/分で測定した高速昇温膨張比容積SV’(H)を用いる場合には、下記の式(b3)で表されることを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法。
f1-2=d1SV’(H)5+d2SV’(H)4+d3SV’(H)3+d4SV’(H)2+d5SV’(H)+d6 ・・・(b3)
ここで、f1-2: 高石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(H):高VM劣質炭の昇温速度12℃/分の膨張比容積 [cm3/g]、d1~d6:実験的に求められる定数 - 前記低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-1)と高速昇温膨張比容積SV’(L)との関係(c2)は、前記昇温速度S2として80℃/分で測定した高速昇温膨張比容積SV'(L) を用いる場合には、下記の式(c2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法。
f2-1=d1SV’(L)+d2 ・・・(c2)
ここで、f2-1: 低石炭化度炭に対する低VM劣質炭のイナートファクター係数[-]、SV’(L):低VM劣質炭の昇温速度80℃/分の膨張比容積[cm3/g]、d1~d2は実験的に求められる定数 - 前記低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数(f2-2)と高速昇温膨張比容積SV’(H)との関係(c3)は、前記昇温速度S1として12℃/分で測定した高速昇温膨張比容積SV’(H)を用いる場合には、下記の式(c3)で表されることを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの表面破壊強度の推定方法。
f2-2=d1SV’(H)+d2 ・・・(c3)
ここで、f2-2:低石炭化度炭に対する高VM劣質炭のイナートファクター係数[‐]、SV’(H):高VM劣質炭の昇温速度12℃/分の膨張比容積SV’(H)[cm3/g]、d1~d2は実験的に求められる定数
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