JP2017088794A - コークス強度の推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】配合炭の一部に、低石炭化度の非微粘結炭を粉砕して用いてコークスを製造する場合のコークス強度の推定方法の提供。【解決手段】予め粘結炭と非微粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積で表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI1506との関係を求めておき、非微粘結炭の粉砕に伴う膨張性阻害の程度を膨張性阻害係数IFCとして係数化し、非微粘結炭の粒度ごとのIFCの変化と質量割合から、非微粘結炭の1mm以下の粒子による配合炭への膨張性阻害の度合いを膨張性阻害変動率△IFCとして定量化し、△IFCから配合炭の膨張比容積SVを求めて、非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるDI1506の変化量を推定し、さらに非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合のDI1506の変化量を推定し、両方の変化量を加算してコークス表面破壊強度DI1506を推定するコークス強度の推定方法。【選択図】図4
Description
本発明は、低石炭化度の非微粘結炭を粉砕して用いてコークスを製造する場合のコークス強度の推定方法に関する。
コークスの製造では、安価な原料である低石炭化度の非微粘結炭の増使用が資源拡大の観点から求められている。低石炭化度非微粘結炭は、揮発分含有量が30質量%以上で、ビトリニット反射率Roが0.9以下の石炭をいい、十分な資源量が見込まれている。
このような非微粘結炭は、収縮時に亀裂が発生しやすいため粉砕して用いられている。粉砕することにより、発生する亀裂のサイズが小さくなり、亀裂生成に起因するコークス強度の低下が抑制できると考えられる。このため粉砕粒度を小さくすることが望ましいが、粉砕粒度が更に小さくなると、膨張性が低下することが知られている。
このような非微粘結炭は、収縮時に亀裂が発生しやすいため粉砕して用いられている。粉砕することにより、発生する亀裂のサイズが小さくなり、亀裂生成に起因するコークス強度の低下が抑制できると考えられる。このため粉砕粒度を小さくすることが望ましいが、粉砕粒度が更に小さくなると、膨張性が低下することが知られている。
このように、非微粘結炭を細粒に粉砕すると、コークス強度は向上するが、過粉砕すると膨張性が低下してしまい、かえって、コークス強度は低下すると考えられる。
従って、膨張性の低下によるコークス強度の低下を引き起こさずに、粉砕による効果を享受することが望まれている。
従って、膨張性の低下によるコークス強度の低下を引き起こさずに、粉砕による効果を享受することが望まれている。
このため、非微粘結炭の粉砕粒度の程度によるコークス強度の変化を予測することで、低石炭化度非微粘結炭をどれだけ多く配合することが可能になるか判断ができるようになり、より多くの低石炭化度非微粘結炭を使用することが可能になる。また、実操業において、粉砕後の粒度にはバラツキが発生するため、粉砕粒度の変化に対し、コークス強度を予測することで高炉操業の安定化に繋がることが期待される。
従来の石炭の粉砕の調整方法やコークス強度の推定方法として、たとえば次の方法が提案されている。
特許文献1には、石炭は過粉砕により膨張性が低下することから、非微粘結炭の最適粒度の決定に石炭の膨張性の指標である比容積を指標とし、石炭を粉砕したときの比容積の低下度合いによって石炭の粒度を調整する方法が開示されている。
特許文献1には、石炭は過粉砕により膨張性が低下することから、非微粘結炭の最適粒度の決定に石炭の膨張性の指標である比容積を指標とし、石炭を粉砕したときの比容積の低下度合いによって石炭の粒度を調整する方法が開示されている。
特許文献2には、高石炭化度炭と低石炭化度炭とを配合し、配合する各石炭について乾留前に測定した石炭性状に基づいて、表面破壊粉コークス量および体積破壊粉コークス量を推定し、これらの量の合計に基づいて乾留後のコークス強度を推定するコークス強度の推定方法において、配合する高石炭化度炭の平均反射率及び低石炭化度炭の配合率、さらに配合炭の嵩密度とコークス炉温の両方の影響に基づいて体積破壊粉コークス量を推定するコークス強度の推定方法が開示されている。
特許文献3には、最大長さ0.6mm以上のイナート組織を、長さサイズで区分し、サイズ区分別の体積率が異なるイナート組織を含有する石炭を、配合炭の平均収縮率が異なる条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6に基づいて、サイズ区分別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度を予め定め、影響度の違いを考慮して原料炭の粉砕及び配合を調整して、目標のコークス強度を得る方法が開示されている。
特許文献1では、非微粘結炭を粉砕したときの膨張性の変化に着目しているが、非微粘結炭を2〜3mmかつ平均粒度が2.5mmに粉砕した場合の比容積を基準として、比容積がそれに近くなるように粉砕するもので、非微粘結炭をさまざまなサイズに粉砕した時のコークス強度を推定するものではない。
特許文献2では、石炭性状やコークス炉温などからコークス強度を推定しているが、石炭の粒度による影響は考慮されていない。
特許文献3では、石炭中のイナート組織によるコークス強度への影響をサイズ別に定量化しているが、非微粘結炭の細粒化に伴うコークス強度への影響については考慮されていない。
特許文献2では、石炭性状やコークス炉温などからコークス強度を推定しているが、石炭の粒度による影響は考慮されていない。
特許文献3では、石炭中のイナート組織によるコークス強度への影響をサイズ別に定量化しているが、非微粘結炭の細粒化に伴うコークス強度への影響については考慮されていない。
そこで、本発明は、低石炭化度の非微粘結炭を粉砕して配合炭の一部として使用するにあたって、その非微粘結炭をさまざまな粒度に粉砕した場合のコークス強度の変化を予測できるようにすることを課題とする。
本発明者らは、粗粒の低石炭化度非微粘結炭を粉砕して粘結炭に添加する場合において、低石炭化度非微粘結炭の粒度がコークス強度に及ぼす影響を検討した。
その結果、粒径1mm超(1mm篩上)の粒子では、その粒子によるコークス表面破壊強度DI150 6への影響は、実験的に求めた粒径とコークス強度の関係から推定できること、また、粒径1mm以下の粒子では、粉砕による粒度変化に伴う膨張性阻害度を求め、膨張性の低下度合いと、石炭の膨張比容積と嵩密度の積から関係付けられるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することで求められること、その結果、両者の変化量を加算することで、低石炭化度非微粘結炭を配合炭の一部に使用した場合でも、得られるコークス強度を精度良く推定できることを見出した。
その結果、粒径1mm超(1mm篩上)の粒子では、その粒子によるコークス表面破壊強度DI150 6への影響は、実験的に求めた粒径とコークス強度の関係から推定できること、また、粒径1mm以下の粒子では、粉砕による粒度変化に伴う膨張性阻害度を求め、膨張性の低下度合いと、石炭の膨張比容積と嵩密度の積から関係付けられるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することで求められること、その結果、両者の変化量を加算することで、低石炭化度非微粘結炭を配合炭の一部に使用した場合でも、得られるコークス強度を精度良く推定できることを見出した。
そのような知見に基づいてなされた本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
[1]配合炭の一部に、ビトリニット反射率Roが0.9以下である低石炭化度の非微粘結炭を粉砕して用いてコークスを製造する場合のコークス強度の推定方法であって、
(A)予め、ビトリニット反射率Roが0.9を超える粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)、及び、前記非微粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)をそれぞれ求めておき、
(B)前記非微粘結炭の粉砕による粒度変化に伴う膨張性阻害の程度を膨張性阻害係数IFCとして係数化し、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合の、粒度区分ごとのIFCの変化と質量割合から、粉砕した場合のIFCの変化の総量を求めることにより、1mm以下の前記非微粘結炭の粒子による配合炭への膨張性阻害の度合いを膨張性阻害変動率△IFCとして定量化し、
(C)膨張性阻害変動率△IFCと、粘結炭の膨張比容積SV1と、前記非微粘結炭の配合率を用いて、粘結炭の膨張比容積SV1の変化量ΔSV1を求め、
(D)前記非微粘結炭の粉砕による細粒化に伴う前記非微粘結炭自身の膨張比容積を求め、
(E)前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定するに当たり、
(e1)前記(C)で求められた粘結炭のSV1及びΔSV1を用いて、配合炭の嵩密度から、SV1及びSV1+ΔSV1における空隙充填度を求め、前記(A)で求めておいた空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)を用い、SV1及びSV1+ΔSV1のそれぞれの空隙充填度におけるコークス表面破壊強度DI150 6の差分として、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合における、粘結炭に関するΔDI(a)を算出し、
(e2)前記(D)で求めた非微粘結炭の膨張比容積と非微粘結炭の嵩密度から、前記非微粘結炭を所望の粒度に細粒化した場合の空隙充填度を求め、前記(A)で求めておいた非微粘結炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を用い、非微粘結炭に関する基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(b)を算出し、
(e3)ΔDI(a)とΔDI(b)を足し合わせる
ことで、コークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定し、
(F)一方、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合の、配合炭から得られるコークスのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を、前記非微粘結炭の粒度区分ごとに求めておき、
さらに、配合炭中の低石炭化度非微粘結炭の1mm超の粒子の粒度区分ごとの配合炭における質量割合を用いて、粉砕した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の変化の総量を求めることにより、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合における、基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定し、
(G)前記(E)と(F)から求められたそれぞれのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を足し合わせることによって、基準粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することを特徴とするコークス強度の推定方法。
[1]配合炭の一部に、ビトリニット反射率Roが0.9以下である低石炭化度の非微粘結炭を粉砕して用いてコークスを製造する場合のコークス強度の推定方法であって、
(A)予め、ビトリニット反射率Roが0.9を超える粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)、及び、前記非微粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)をそれぞれ求めておき、
(B)前記非微粘結炭の粉砕による粒度変化に伴う膨張性阻害の程度を膨張性阻害係数IFCとして係数化し、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合の、粒度区分ごとのIFCの変化と質量割合から、粉砕した場合のIFCの変化の総量を求めることにより、1mm以下の前記非微粘結炭の粒子による配合炭への膨張性阻害の度合いを膨張性阻害変動率△IFCとして定量化し、
(C)膨張性阻害変動率△IFCと、粘結炭の膨張比容積SV1と、前記非微粘結炭の配合率を用いて、粘結炭の膨張比容積SV1の変化量ΔSV1を求め、
(D)前記非微粘結炭の粉砕による細粒化に伴う前記非微粘結炭自身の膨張比容積を求め、
(E)前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定するに当たり、
(e1)前記(C)で求められた粘結炭のSV1及びΔSV1を用いて、配合炭の嵩密度から、SV1及びSV1+ΔSV1における空隙充填度を求め、前記(A)で求めておいた空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)を用い、SV1及びSV1+ΔSV1のそれぞれの空隙充填度におけるコークス表面破壊強度DI150 6の差分として、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合における、粘結炭に関するΔDI(a)を算出し、
(e2)前記(D)で求めた非微粘結炭の膨張比容積と非微粘結炭の嵩密度から、前記非微粘結炭を所望の粒度に細粒化した場合の空隙充填度を求め、前記(A)で求めておいた非微粘結炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を用い、非微粘結炭に関する基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(b)を算出し、
(e3)ΔDI(a)とΔDI(b)を足し合わせる
ことで、コークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定し、
(F)一方、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合の、配合炭から得られるコークスのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を、前記非微粘結炭の粒度区分ごとに求めておき、
さらに、配合炭中の低石炭化度非微粘結炭の1mm超の粒子の粒度区分ごとの配合炭における質量割合を用いて、粉砕した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の変化の総量を求めることにより、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合における、基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定し、
(G)前記(E)と(F)から求められたそれぞれのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を足し合わせることによって、基準粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することを特徴とするコークス強度の推定方法。
[2]前記(B)において、
(b1)基準粒度で粉砕した場合の1〜3mm粒度の石炭について、基準となる膨張阻害係数IFC0をあらかじめ実験的に求めておき、
(b2)前記1〜3mm粒度の石炭を粉砕して生ずる1mm篩下における石炭について、粒度区分i(iは自然数)毎に石炭の膨張性阻害係数IFCiを求め、
(b3)粒度区分iについて、前記IFC0からの質量比率増分として増加係数△IFCiを算出し、
(b4)前記1mm篩下における石炭について、粒度i毎に累積篩下質量割合Wiを求め、前記非微粘結炭の全量を100としたときの粉砕粒度区分iにおける質量比率増分△Wiを求め、
(b5)前記△IFCiと前記△Wiの積を、それぞれの粒度区分i毎に合計して、膨張性阻害変動率ΔIFCを算出し、
前記(C)において、粘結炭の膨張比容積の変化ΔSV1を、求められた前記膨張性阻害変動率△IFCを用いて、下記の式により算出することを特徴とする請求項1に記載のコークス強度の推定方法。
ΔSV1=SV1×(1−ΔIFC×α)
(b1)基準粒度で粉砕した場合の1〜3mm粒度の石炭について、基準となる膨張阻害係数IFC0をあらかじめ実験的に求めておき、
(b2)前記1〜3mm粒度の石炭を粉砕して生ずる1mm篩下における石炭について、粒度区分i(iは自然数)毎に石炭の膨張性阻害係数IFCiを求め、
(b3)粒度区分iについて、前記IFC0からの質量比率増分として増加係数△IFCiを算出し、
(b4)前記1mm篩下における石炭について、粒度i毎に累積篩下質量割合Wiを求め、前記非微粘結炭の全量を100としたときの粉砕粒度区分iにおける質量比率増分△Wiを求め、
(b5)前記△IFCiと前記△Wiの積を、それぞれの粒度区分i毎に合計して、膨張性阻害変動率ΔIFCを算出し、
前記(C)において、粘結炭の膨張比容積の変化ΔSV1を、求められた前記膨張性阻害変動率△IFCを用いて、下記の式により算出することを特徴とする請求項1に記載のコークス強度の推定方法。
ΔSV1=SV1×(1−ΔIFC×α)
本発明によれば、低石炭化度炭非微粘結炭の粉砕粒度によるコークス強度変化を精度良く予測できるため、これにより、目標コークス強度の範囲内でより多くの低石炭化度非微粘結炭の使用が可能になる。
低石炭化度非微粘結炭は、粘結炭に比較して再固化温度が低いため、粘結炭と配合した際に、粘結炭の膨張を阻害し、粘結炭の膨張性を低下させることが知られている。さらに、一般的にも、石炭粒度が細かくなると、石炭自身の膨張性が低下することも知られている。
そこで、低石炭化度非微粘結炭の添加による膨張阻害に対する石炭粒径の影響を確認するため、低石炭化度非微粘結炭を3mm篩下の比率が75質量%になるように粉砕し、得られた粉砕物を複数の粒度区分に篩分けし、各粒度区分に分けられた低石炭化度非微粘結炭をそれぞれ粘結炭に3対7の質量割合で配合して配合炭とし、その配合炭を試験炉で乾留してコークスとした。
得られたコークスの強度をI型強度試験により測定した。同時に、乾留前の配合炭の膨張比容積を求めた。図1に、用いた低石炭化度非微粘結炭の粒度とI型強度並びに配合炭の膨張比容積との関係を示す。
そこで、低石炭化度非微粘結炭の添加による膨張阻害に対する石炭粒径の影響を確認するため、低石炭化度非微粘結炭を3mm篩下の比率が75質量%になるように粉砕し、得られた粉砕物を複数の粒度区分に篩分けし、各粒度区分に分けられた低石炭化度非微粘結炭をそれぞれ粘結炭に3対7の質量割合で配合して配合炭とし、その配合炭を試験炉で乾留してコークスとした。
得られたコークスの強度をI型強度試験により測定した。同時に、乾留前の配合炭の膨張比容積を求めた。図1に、用いた低石炭化度非微粘結炭の粒度とI型強度並びに配合炭の膨張比容積との関係を示す。
図1に示すように、低石炭化度非微粘結炭の粒度が1mm〜3mm程度のときに、コークス強度は最大となるが、1mm以下の粒度では、配合炭の膨張比容積及びコークス強度が低下した。
このことから、低石炭化度非微粘結炭の粒度によって、配合炭の膨張への影響が異なり、1mm超の粒度においては細粒化によるコークス強度向上効果が顕著であるが、粉砕を強化した時に、細粒ほど粘結炭の膨張を阻害する影響が大きくなり、細粒化によるコークス強度向上効果だけでなく、膨張率低下(膨張阻害)の影響が大きくなることが分かった。
このことから、低石炭化度非微粘結炭の粒度によって、配合炭の膨張への影響が異なり、1mm超の粒度においては細粒化によるコークス強度向上効果が顕著であるが、粉砕を強化した時に、細粒ほど粘結炭の膨張を阻害する影響が大きくなり、細粒化によるコークス強度向上効果だけでなく、膨張率低下(膨張阻害)の影響が大きくなることが分かった。
石炭の膨張性とコークスの強度の関係について、特許文献2、4には、空隙充填度(石炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積)を用い、この空隙充填度とコークス強度における表面破壊強度DI150 6が関連付けられること、この関係を用いて表面破壊強度DI150 6を推定できることが示されている。
低石炭化度非微粘結炭を一部に配合した配合炭のコークス表面破壊強度DI150 6を、特許文献2のように、高石炭化度炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6の関係、および低石炭化度炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6の関係を用いて推定する場合には、低石炭化度非微粘結炭の粉砕による粒度変化に伴う粘結炭に対する膨張性阻害度を求め、粘結炭の膨張性の低下度合いを評価すること、および非微粘結炭の膨張性の低下度合いを評価することが必要である。
次に、低石炭化度非微粘結炭の銘柄ごとの膨張阻害に対する影響を評価するために、膨張阻害係数IFCを用いることにした。
このIFCは、配合炭における低石炭化度非微粘結炭の配合率(%)をαとしたときに、下記式で表される係数である。このIFCを用いることにより、低石炭化度非微粘結炭の粉砕強化による粘結炭の膨張比容積の低下度合いを評価することができる。
IFC=(1−(配合炭の膨張比容積の実測値−非微粘結炭の膨張比容積の実測値×非微粘結炭の配合割合α/100)÷(粘結炭の膨張比容積の実測値×(1−α/100)))÷α
このIFCは、配合炭における低石炭化度非微粘結炭の配合率(%)をαとしたときに、下記式で表される係数である。このIFCを用いることにより、低石炭化度非微粘結炭の粉砕強化による粘結炭の膨張比容積の低下度合いを評価することができる。
IFC=(1−(配合炭の膨張比容積の実測値−非微粘結炭の膨張比容積の実測値×非微粘結炭の配合割合α/100)÷(粘結炭の膨張比容積の実測値×(1−α/100)))÷α
この膨張阻害係数IFCを用いて、低石炭化度非微粘結炭の銘柄ごとの膨張阻害への影響を評価した。
図2に、粘結炭に異なる銘柄の低石炭化度非微粘結炭を配合した配合炭において、3mm篩下比率75質量%となるように粉砕した際の、3mm以下の粒度とIFCとの関係を示す。ちなみに、A炭のビトリニット反射率Roは0.68、D炭のビトリニット反射率Roは0.64である。
図2に、粘結炭に異なる銘柄の低石炭化度非微粘結炭を配合した配合炭において、3mm篩下比率75質量%となるように粉砕した際の、3mm以下の粒度とIFCとの関係を示す。ちなみに、A炭のビトリニット反射率Roは0.68、D炭のビトリニット反射率Roは0.64である。
図2に示すように、低石炭化度非微粘結炭の粒度が低下するに従って、IFCは高くなる傾向にあるが、IFCの増加度合い、すなわち膨張を阻害する効果は低石炭化度非微粘結炭の銘柄によって異なっていることが分かる。
また、1mmよりも大きな粒度では、銘柄によらずほぼ一定となることが分かる。
また、1mmよりも大きな粒度では、銘柄によらずほぼ一定となることが分かる。
実際の粉砕操作においては、必然的に1mmよりも小さい微粉が発生するし、粉砕後の粒度にもバラツキが発生する。しかも、1mm以下の微粉がコークス強度に及ぼす影響は非常に大きいと推察される。
そこで、低石炭化度非微粘結炭について、1mm以下の粉砕粒度区分ごとにIFCの変化を測定して、1mm以下の粒子のサイズごとの質量割合から、1mm以下の粒子によるIFCの変化(ΔIFC)の総量を求めることにより、1mm以下の粒子による膨張性阻害の度合いを定量化する。
そこで、低石炭化度非微粘結炭について、1mm以下の粉砕粒度区分ごとにIFCの変化を測定して、1mm以下の粒子のサイズごとの質量割合から、1mm以下の粒子によるIFCの変化(ΔIFC)の総量を求めることにより、1mm以下の粒子による膨張性阻害の度合いを定量化する。
そうすると、粘結炭に対する、粉砕強化による実際の比容積の低下量すなわち空隙充填量の低下量が分かり、前述の空隙充填度とコークス表面破壊強度の関係から、非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合において、粘結炭の表面破壊強度DI150 6の変化する量が推定できることとなる。
また、低石炭化度非微粘結炭の粉砕強化に伴う非微粘結炭の膨張比容積の低下量を求めることで、前述の空隙充填度とコークス表面破壊強度の関係から、低石炭化度非微粘結炭の表面破壊強度DI150 6の変化する量が推定できることとなる。
また、低石炭化度非微粘結炭の粉砕強化に伴う非微粘結炭の膨張比容積の低下量を求めることで、前述の空隙充填度とコークス表面破壊強度の関係から、低石炭化度非微粘結炭の表面破壊強度DI150 6の変化する量が推定できることとなる。
一方、低石炭化度の非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合では、添加する前記非微粘結炭の粒度区分ごとにコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を求めておくことにより、基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化する量を推定できる。
この結果、低石炭化度非微粘結炭の1mm以下の粒子と1mm超の粒子によるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を足し合わせることによって、基準粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することができることとなる。
以下、配合炭の一部に、低石炭化度の非微粘結炭(以降、低石炭化度を省略して非微粘結炭と記載する場合がある)を粉砕して用いてコークスを製造する場合において、以上の基本原理に基づいてコークス表面破壊強度DI150 6を推定する(A)〜(G)の手順を、図4の模式図を参照して、具体的に説明する。なお、図4b、cは、各粒度区分の中央値を連結した形で示している。
(A)ビトリニット反射率Roが0.9を超える種々の石炭を、単味または配合した配合炭について、予め、石炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積(SV×BD)で表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)を求めておく(図4(a)参照)。
同じように、ビトリニット反射率Roが0.9以下の種々の石炭を、単味または配合炭について、予め石炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積(SV×BD)で表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を求めておく。(図4(a)参照)
同じように、ビトリニット反射率Roが0.9以下の種々の石炭を、単味または配合炭について、予め石炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積(SV×BD)で表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を求めておく。(図4(a)参照)
この(A)の工程では、先ず各種石炭の軟化時の比容積を測定し、それらの石炭を単味で、あるいは配合して、乾留しコークスを製造する。その際、石炭装入時の嵩密度を測定しておく。次に、製造されたコークスの表面破壊強度、例えばIIS K 2151のドラム試験法によるDI150 6を測定する。
さらに、石炭軟化時の比容積と石炭装入時の嵩密度から算出される石炭軟化時の空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6の関係を求める。
なお、石炭軟化時の比容積は、単味炭の場合は実測値を用い、配合炭の場合は配合炭の実測値、または単味炭の実測値の加重平均値を用いればよい。
図3に、Roが0.9を超える高石炭化度炭(粘結炭)を用いた場合(a1)と0.9以下の低石炭化度非微粘結炭を用いた場合(a2)における空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6の関係の一例を示す。
さらに、石炭軟化時の比容積と石炭装入時の嵩密度から算出される石炭軟化時の空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6の関係を求める。
なお、石炭軟化時の比容積は、単味炭の場合は実測値を用い、配合炭の場合は配合炭の実測値、または単味炭の実測値の加重平均値を用いればよい。
図3に、Roが0.9を超える高石炭化度炭(粘結炭)を用いた場合(a1)と0.9以下の低石炭化度非微粘結炭を用いた場合(a2)における空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6の関係の一例を示す。
(B)非微粘結炭の粉砕による粒度変化に伴う膨張性阻害の程度を、前記のように膨張性阻害係数IFCとして係数化し、非微粘結炭の銘柄ごとに、非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合の、粒度区分ごとのIFCの変化と質量割合から、粉砕した場合のIFCの変化の総量を求めることにより、1mm以下の前記非微粘結炭の粒子による配合炭への膨張性阻害の度合いを膨張性阻害変動率△IFCとして定量化する。
この(B)の工程では、低石炭化度非微粘結炭の銘柄ごとに膨張性阻害変動率ΔIFCを、具体的には下記の(b1)〜(b5)の手順により求める。
(b1)低石炭化度非微粘結炭を基準粒度で粉砕した場合の1〜3mm粒度の石炭について、基準となる膨張阻害係数IFC0を予め実験的に求めておく。
1mm〜3mm粒子のIFCは銘柄による差が小さいので、1mm〜3mm粒子の膨張性阻害係数の平均値を基準の膨張性阻害係数IFC0とする。
また、3mm篩下比率が65〜85質量%の範囲内であれば、銘柄による膨張性阻害係数IFCの差が小さいためこの範囲を粉砕の基準粒度とする。
図2に、3mm篩下比率75質量%に粉砕した場合の低石炭化度非微粘結炭の粒度と膨張性阻害係数IFCとの関係の一例を示す。
また、銘柄毎に膨張性阻害係数を算出しておけば、コークス製造に用いる配合炭で、その都度、膨張性を評価する手間を省くことができるため、作業を簡素化できる。
なお、膨張性阻害係数IFCを算出する際には、膨張性の変化が確認できるように、膨張比容積を測定する際に、配合炭に配合する粘結炭には十分な膨張性(例えば、膨張比容積2.0cm3/g以上)を有していることが望ましい。
1mm〜3mm粒子のIFCは銘柄による差が小さいので、1mm〜3mm粒子の膨張性阻害係数の平均値を基準の膨張性阻害係数IFC0とする。
また、3mm篩下比率が65〜85質量%の範囲内であれば、銘柄による膨張性阻害係数IFCの差が小さいためこの範囲を粉砕の基準粒度とする。
図2に、3mm篩下比率75質量%に粉砕した場合の低石炭化度非微粘結炭の粒度と膨張性阻害係数IFCとの関係の一例を示す。
また、銘柄毎に膨張性阻害係数を算出しておけば、コークス製造に用いる配合炭で、その都度、膨張性を評価する手間を省くことができるため、作業を簡素化できる。
なお、膨張性阻害係数IFCを算出する際には、膨張性の変化が確認できるように、膨張比容積を測定する際に、配合炭に配合する粘結炭には十分な膨張性(例えば、膨張比容積2.0cm3/g以上)を有していることが望ましい。
(b2)前記1〜3mm粒度の石炭をさらに粉砕して生ずる1mm篩下における石炭の粒度区分iについて、粒度区分i毎に石炭の膨張性阻害係数IFCiを求める。(図4(b)参照)
粉砕強化によって、1mm以下の粒度の微粉がどのような傾向で増加するかを評価するため、非微粘結炭を3mm篩下比率75質量%から粉砕強化をした際の粒度分布を測定する。そして、1mm篩下をいくつかの粒度iで区分して、粒度区分ごとに、IFCiを求める。
図5に、粉砕強化された種々の低石炭化度非微粘結炭の粒度と膨張性阻害係数IFCとの関係の一例を示す。図5では、粘結炭に対し、3mm篩下比率75%に粉砕した非微粘結炭Aの1〜3mm粒子を、30質量%添加した際のIFCを求めた(=IFC0)。さらに、1〜3mm粒子を0.3〜0.6mmまたは0.1mm以下に粉砕し、それぞれを粘結炭に30質量%添加した際のIFCを求めた。非微粘結炭B〜Dにおいても同様に求めた。この様に、低石炭化度非微粘結炭であっても、炭種によって、粒度と膨張性阻害係数IFCとの関係は相違していることが判る。ちなみに、A炭のビトリニット反射率Roは0.68、B炭のビトリニット反射率Roは0.67、C炭のビトリニット反射率Roは0.69、D炭のビトリニット反射率Roは0.64である。
粉砕強化によって、1mm以下の粒度の微粉がどのような傾向で増加するかを評価するため、非微粘結炭を3mm篩下比率75質量%から粉砕強化をした際の粒度分布を測定する。そして、1mm篩下をいくつかの粒度iで区分して、粒度区分ごとに、IFCiを求める。
図5に、粉砕強化された種々の低石炭化度非微粘結炭の粒度と膨張性阻害係数IFCとの関係の一例を示す。図5では、粘結炭に対し、3mm篩下比率75%に粉砕した非微粘結炭Aの1〜3mm粒子を、30質量%添加した際のIFCを求めた(=IFC0)。さらに、1〜3mm粒子を0.3〜0.6mmまたは0.1mm以下に粉砕し、それぞれを粘結炭に30質量%添加した際のIFCを求めた。非微粘結炭B〜Dにおいても同様に求めた。この様に、低石炭化度非微粘結炭であっても、炭種によって、粒度と膨張性阻害係数IFCとの関係は相違していることが判る。ちなみに、A炭のビトリニット反射率Roは0.68、B炭のビトリニット反射率Roは0.67、C炭のビトリニット反射率Roは0.69、D炭のビトリニット反射率Roは0.64である。
(b3)粒度区分iについて、前記IFC0からの増加係数△IFCiを算出する。(図4(b)参照)
1〜3mm粒子を添加したときのIFCをIFC0とし、粒度区分iにおけるIFCをIFCiとし、IFCiとIFC0の差分をΔIFCiとする。△IFCiにより、粒度区分iの非微粘結炭がどの程度の膨張性を阻害しているかが判る。
1〜3mm粒子を添加したときのIFCをIFC0とし、粒度区分iにおけるIFCをIFCiとし、IFCiとIFC0の差分をΔIFCiとする。△IFCiにより、粒度区分iの非微粘結炭がどの程度の膨張性を阻害しているかが判る。
(b4)粒度区分i毎に累積篩下質量割合Wiを求め、前記非微粘結炭の全量を100としたときの粉砕粒度iにおける質量比率増分△Wiを求める。(図4(c)参照)
ここでは、非微粘結炭の3mm篩下比率を75質量%から、例えば85質量%、95質量%と粉砕強化することで、粒径が1mm以下の微粉がどのように増加するかを調べる。
例えば、非微粘結炭の基準粒度を3mm篩下75質量%とし(図4(c)のP1)、3mm篩下95%(図4(c)のP2)に細粒化した場合、それぞれの粉砕粒度において、粒度区分をいくつかに分けて、非微粘結炭の全量を100としたときの各粉砕粒度iにおける質量比率をWiとして求め、3mm篩下75質量%におけるWiから3mm篩下95質量%におけるWiへの増加分をΔWiとする。
△Wiにより、粉砕強化によって、低石炭化度非微粘結炭の全量に対して、どの粒度の非微粘結炭がどの程度の質量で占めているのかが判る。
図6に、低石炭化度非微粘結炭の粒度と累積篩下質量割合Wとの関係の一例を示す。
ここでは、非微粘結炭の3mm篩下比率を75質量%から、例えば85質量%、95質量%と粉砕強化することで、粒径が1mm以下の微粉がどのように増加するかを調べる。
例えば、非微粘結炭の基準粒度を3mm篩下75質量%とし(図4(c)のP1)、3mm篩下95%(図4(c)のP2)に細粒化した場合、それぞれの粉砕粒度において、粒度区分をいくつかに分けて、非微粘結炭の全量を100としたときの各粉砕粒度iにおける質量比率をWiとして求め、3mm篩下75質量%におけるWiから3mm篩下95質量%におけるWiへの増加分をΔWiとする。
△Wiにより、粉砕強化によって、低石炭化度非微粘結炭の全量に対して、どの粒度の非微粘結炭がどの程度の質量で占めているのかが判る。
図6に、低石炭化度非微粘結炭の粒度と累積篩下質量割合Wとの関係の一例を示す。
(b5)前記△IFCiと前記△Wiの積を、それぞれの粒度区分i毎に合計して、膨張性阻害変動率ΔIFCを算出する。すなわち式、△IFC=Σ(△IFCi×△Wi)より算出する。
△IFCi×△Wiによって、粒度区分iの非微粘結炭が、非微粘結炭の全量に対して、どの程度の膨張性を阻害しているかが判り、これらを合計することで、1mm以下の微粉の非微粘結炭の全量が、粘結炭に対してどの程度の膨張性を阻害しているかを指標化できる。
この膨張性阻害変動率を求めることで、非微粘結炭を1mm以下にまで粉砕強化したときの配合炭の膨張性の低下度合いを予測できる。つまり、膨張性阻害変動率が小さい程、非微粘結炭を粉砕しても配合炭の膨張性低下は小さい、すなわち非微粘結炭の粉砕を強化できるということを意味する。
△IFCi×△Wiによって、粒度区分iの非微粘結炭が、非微粘結炭の全量に対して、どの程度の膨張性を阻害しているかが判り、これらを合計することで、1mm以下の微粉の非微粘結炭の全量が、粘結炭に対してどの程度の膨張性を阻害しているかを指標化できる。
この膨張性阻害変動率を求めることで、非微粘結炭を1mm以下にまで粉砕強化したときの配合炭の膨張性の低下度合いを予測できる。つまり、膨張性阻害変動率が小さい程、非微粘結炭を粉砕しても配合炭の膨張性低下は小さい、すなわち非微粘結炭の粉砕を強化できるということを意味する。
(C)低石炭化度非微粘結炭を配合割合α(%)で添加した時の、基準粒度における粘結炭の膨張比容積SV1の変化量(差分)ΔSV1を、膨張性阻害変動率△IFCを用いて、下記式で算出する。
ΔSV1=SV1×(1−ΔIFC×α)
ちなみに、粘結炭の膨張比容積SV1は、下記の式で求めることができる。
SV1=SV0×(1−IFC×α)
SV0:粘結炭単味の膨張比容積
IFC=ΣIFCi×Wi
ΔSV1=SV1×(1−ΔIFC×α)
ちなみに、粘結炭の膨張比容積SV1は、下記の式で求めることができる。
SV1=SV0×(1−IFC×α)
SV0:粘結炭単味の膨張比容積
IFC=ΣIFCi×Wi
(D)基準粒度における低石炭化度非微粘結炭の膨張比容積をSV2とし、低石炭化度非微粘結炭細粒化後の、低石炭化度非微粘結炭自身の膨張性をSV2’とし、差分をΔSV2として求める。
このSV2’は実測することが最も良いが、別途、粉砕粒度と膨張比容積の関係を求めておいても良い。
このSV2’は実測することが最も良いが、別途、粉砕粒度と膨張比容積の関係を求めておいても良い。
(E)非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(1)を下記の(e1)〜(e2)の手順により推定する。
(e1)前記(C)の工程で求めた粘結炭の膨張比容積SV1及びΔSV1を用いて、配合炭の嵩密度からそれぞれの空隙充填度を求める。次に、前記(A)の工程における粘結炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)を用い、SV1及びSV1+ΔSV1のそれぞれの空隙充填度におけるコークス表面破壊強度DI150 6の差分として、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合における、粘結炭に関するΔDI(a)を算出する。
(e2)前記(D)の工程で求めた非微粘結炭の膨張比容積と非微粘結炭の嵩密度から、前記非微粘結炭を所望の粒度(すなわち予定している粉砕粒度)に細粒化した場合の空隙充填度を求め、前記(A)の工程で求めておいた非微粘結炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を用い、非微粘結炭に関する基準粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(b)を算出する。
(e3)ΔDI(a)とΔDI(b)を足し合わせることで、非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(1)を推定する。
(e3)ΔDI(a)とΔDI(b)を足し合わせることで、非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(1)を推定する。
(F)一方、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合の、配合炭から得られるコークスのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を、前記非微粘結炭の粒度区分ごとに求めておき、さらに、配合炭中の低石炭化度非微粘結炭の1mm超の粒子の粒度区分ごとの配合炭における質量割合を用いて、粉砕した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の変化の総量を求めることにより、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合における、基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(2)を推定する。
この(F)の工程では、低石炭化度非微粘結炭における1mm超の粗大粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕して細粒化した場合の表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(2)を、具体的には、次の(f1)〜(f4)の手順で算出する。
(f1)3mm篩下比率75%に粉砕した低石炭化度非微粘結炭の粒度区分j(jは自然数)の前記粗大粒子を、膨張性が十分にある粘結炭(例えば膨張比容積SV2.0cm3/g以上)に配合し、乾留してコークスを製造し、得られたコークスの強度を測定する。前記粗大粒子を粒度区分jより小さい粒度区分に細粒化し、同様にコークスを製造して、強度測定を実施する。粒度区分は複数の区分とすることが推奨され、粒度区分の下限としては、1〜3mmの粒度区分まで細粒化した際のコークス強度を測定する。
このように、粒度区分毎jに粗大粒子を細粒化した際のコークス強度を1〜3mmの強度を基準とし、粒度区分jとの強度差をΔDIjとする。
図7に前記粗大粒子を細粒化した際のコークス表面破壊強度DI150 6の変化の一例を示す。
このように、粒度区分毎jに粗大粒子を細粒化した際のコークス強度を1〜3mmの強度を基準とし、粒度区分jとの強度差をΔDIjとする。
図7に前記粗大粒子を細粒化した際のコークス表面破壊強度DI150 6の変化の一例を示す。
(f2)1mm超の粗大粒子を1mmまで粉砕強化することによって、前記粗大粒子がどのような傾向で減少するかを評価するため、非微粘結炭を3mm篩下比率75質量%から粉砕強化をした際の粒度分布を測定する。
(f3)1mm超の石炭について、粒度j毎に累積篩下質量割合Wjを求め、配合炭中における前記非微粘結炭の粉砕粒度jの質量比率減少分△Wj’を求める。
(f4)前記△DIjと前記△Wj’の積を、それぞれの粒度区分j毎に合計して、粗大粒子の細粒化によるコークス強度向上分ΔDI(2)を算出する。すなわち式、△DI(2)=Σ(△DIj×△Wj’)より算出する。
(f3)1mm超の石炭について、粒度j毎に累積篩下質量割合Wjを求め、配合炭中における前記非微粘結炭の粉砕粒度jの質量比率減少分△Wj’を求める。
(f4)前記△DIjと前記△Wj’の積を、それぞれの粒度区分j毎に合計して、粗大粒子の細粒化によるコークス強度向上分ΔDI(2)を算出する。すなわち式、△DI(2)=Σ(△DIj×△Wj’)より算出する。
(G)前記(E)の工程から求められた低石炭化度非微粘結炭を1mm以下に粉砕したことによるコークス表面破壊強度DI150 6の低下分ΔDI(1)(=ΔDI(a)+ΔDI(b))と、前記(F)の工程から求められた低石炭化度非微粘結炭における1mm超の粗大粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕して細粒化した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の増加分ΔDI(2)とを足し合わせることによって、基準粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することができる。
本発明は以上のように構成されるものであるが、以上の説明で用いた、コークスの強度を測定するI型強度試験、石炭質量に対する石炭膨張後の体積を表す膨張比容積、膨張性阻害係数IFCの算出方法についてさらに説明する。
I型強度試験は、円筒伏容器にサンプルを入れ、この円筒状容器を所定速度で回転させることにより衝撃を加えた後、サンプルの9.52mm篩上残存率を求めるものである。
円筒伏容器の回転は、円筒状容器の長さ中央部に回転軸を設け、この回転軸を中心に1分間に20回の回転速度で合計600回転させることにより行う。本試験では、内径132mm×長さ600mmの円筒状容器を用い、サンプルには、前記得られたコークスのうち、略72cm3、略40gのコークスを用いた。
円筒伏容器の回転は、円筒状容器の長さ中央部に回転軸を設け、この回転軸を中心に1分間に20回の回転速度で合計600回転させることにより行う。本試験では、内径132mm×長さ600mmの円筒状容器を用い、サンプルには、前記得られたコークスのうち、略72cm3、略40gのコークスを用いた。
膨張比容積の測定では、先ず、JIS M8801に規定された細管に、配合炭を粉体のまま、所定の装入密度(0.85[dry、g/cm3])で高さ60mmに装入し、次に、細管内の配合炭の上にピストンを装入し、ピストンを装入した状態で細管を3.0±0.1℃/minの昇温速度で300℃から600℃まで加熱し、加熱終了した後の配合炭の高さを測定した。
なお、この調査においては、ピストンが配合炭に及ぼす荷重は約110gとした。加熱終了後の配合炭高さをL[mm]とした。そして、以下の式から膨張比容積[cm3/g]を求めた。
膨張比容積=L/(60×0.85)
なお、この調査においては、ピストンが配合炭に及ぼす荷重は約110gとした。加熱終了後の配合炭高さをL[mm]とした。そして、以下の式から膨張比容積[cm3/g]を求めた。
膨張比容積=L/(60×0.85)
膨張性阻害係数IFCの算出方法では、先ず、非微粘結炭と、粘結炭と、非微粘結炭及び粘結炭を配合させた配合炭との膨張比容積をそれぞれ算出した。なお、膨張比容積は、前述の方法を用いて算出した。そして、以下の式から求めた。
IFC=(1−(配合炭の膨張比容積の実測値−非微粘結炭の膨張比容積の実測値×非微粘結炭の配合割合α/100)÷(粘結炭の膨張比容積の実測値×(1−α/100)))÷α
IFC=(1−(配合炭の膨張比容積の実測値−非微粘結炭の膨張比容積の実測値×非微粘結炭の配合割合α/100)÷(粘結炭の膨張比容積の実測値×(1−α/100)))÷α
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
まず、空隙充填度SV×BDとコークス表面破壊強度DI150 6との関係を求めるため、ビトリニット反射率0.9以下の種々の非微粘結炭並びにビトリニット0.9超の種々の粘結炭を用い、それぞれを3mm篩下比率が75質量%となるように粉砕し、それらの比容積を前述の方法で測定した。
次に、非微粘結炭の石炭を配合してコークスを製造した。その際、石炭装入時の嵩密度を測定した。製造されたコークスの表面破壊強度DI150 6を、例えばIIS K 2151のドラム試験法により測定した。同様に粘結炭についてもコークスを製造し、コークスの表面破壊強度DI150 6を測定した。
得られた粘結炭(高石炭度化炭)を用いた場合の空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6の関係(a1)と低石炭化度非微粘結炭を用いた場合の同様の関係(a2)を図3に示す。なお、ここでの配合炭の膨張比容積は、単味炭の加重平均値を用いた。
次に、非微粘結炭の石炭を配合してコークスを製造した。その際、石炭装入時の嵩密度を測定した。製造されたコークスの表面破壊強度DI150 6を、例えばIIS K 2151のドラム試験法により測定した。同様に粘結炭についてもコークスを製造し、コークスの表面破壊強度DI150 6を測定した。
得られた粘結炭(高石炭度化炭)を用いた場合の空隙充填度とコークスの表面破壊強度DI150 6の関係(a1)と低石炭化度非微粘結炭を用いた場合の同様の関係(a2)を図3に示す。なお、ここでの配合炭の膨張比容積は、単味炭の加重平均値を用いた。
次に、粉砕粒度の異なる非微粘結炭Cを配合したときのコークス表面破壊強度DI150 6を測定した。表1に示す性状の非微粘結炭並びに粘結炭を用い、粘結炭X、Yを3mm篩下比率が95質量%になるように、低石炭化度非微粘結炭Aを3mm篩下比率が75質量%になるようにそれぞれ粉砕し、低石炭化度非微粘結炭Cを3mm篩下比率が75質量%、85質量%、95質量%となるように粉砕し、それらの石炭を、表5のNo.1〜3に示すように組み合わせて、表1に示す比率で配合し、嵩密度0.82t/m3に充填して、試験コークス炉にてコークスを製造し、製造されたコークスの表面破壊強度DI150 6を測定した。得られた値を表5の実測値の欄に示す。本実施例では、基準粒度を3mm篩下比率75質量%とした。
次に、表5のNo.1〜3の場合について、非微粘結炭の粉砕粒度の影響を考慮してコークス表面破壊強度DI150 6を次のようにして推定し、上記実測値との比較を行った。
低石炭化度非微粘結炭Cについて、3mm篩下比率が75質量%に粉砕した場合を基準値とし、85質量%、95質量%となるように粉砕した場合の膨張性阻害変動率ΔIFC(基準値との差分)を求めた。
先ず、粉砕した低石炭化度非微粘結炭Cの粒子から1mm〜3mm粒度の粒子を採取し、その膨張比容積を前述の方法を用いて算出した。
そして、更にその1mm〜3mm粒度の粒子を、あらかじめ膨張比容積の値が既知である粘結炭(1mm篩下比率が100質量%)に、30質量%の割合で添加し、この配合炭の膨張比容積を測定することで、膨張性阻害係数IFC0を算出した。この粘結炭の膨張比容積SVは2.10cm3/gである。
先ず、粉砕した低石炭化度非微粘結炭Cの粒子から1mm〜3mm粒度の粒子を採取し、その膨張比容積を前述の方法を用いて算出した。
そして、更にその1mm〜3mm粒度の粒子を、あらかじめ膨張比容積の値が既知である粘結炭(1mm篩下比率が100質量%)に、30質量%の割合で添加し、この配合炭の膨張比容積を測定することで、膨張性阻害係数IFC0を算出した。この粘結炭の膨張比容積SVは2.10cm3/gである。
更に、上述の1mm〜3mm粒度の粒子を、0.3mm〜0.6mmもしくは0.1mm以下に粉砕した。粉砕した粒子を前記と同様に、粘結炭に添加して、その配合炭の膨張比容積を測定した。この膨張比容積から、各粒度区分の膨張性阻害係数IFCを算出した。得られた非微粘結炭の粒度低下によるIFCの変化を図5に示す。
また、得られた粉砕物のうち、1mm以下の微粉を、4粒度区分(1mm〜0.6mm、0.6mm〜0.3mm、0.3mm〜0.1mm、0.1mm以下)に分け、図5に示された隣接するプロット間を直線でそれぞれ繋いだ線に基づき、前記4粒度区分の中央値IFCiのIFC0からの増加分ΔIFC(=IFCi−IFC0)を推定した。
また、得られた粉砕物のうち、1mm以下の微粉を、4粒度区分(1mm〜0.6mm、0.6mm〜0.3mm、0.3mm〜0.1mm、0.1mm以下)に分け、図5に示された隣接するプロット間を直線でそれぞれ繋いだ線に基づき、前記4粒度区分の中央値IFCiのIFC0からの増加分ΔIFC(=IFCi−IFC0)を推定した。
更に、前述の3mm篩下比率が75質量%、85質量%、95質量%となるようにそれぞれ粉砕した非微粘結炭Cの粒度分布を篩分けによって測定した。非微粘結炭Cの粉砕強化による粒度分布の変化を図6に示す。
また、前記粉砕して得られた粉砕物のうち、1mm以下の微粉を、前記と同様に4粒度区分に分け、粒度区分毎に質量比率増分△Wiを算出した。
また、前記粉砕して得られた粉砕物のうち、1mm以下の微粉を、前記と同様に4粒度区分に分け、粒度区分毎に質量比率増分△Wiを算出した。
次に、前記得られた△IFCiの差分と△Wiとから膨張性阻害変動率ΔIFC(=Σ(△IFCi×△Wi))を基準値からの差分として算出した。
得られたそれぞれの値を表2に示す。
得られたそれぞれの値を表2に示す。
粘結炭の膨張比容積SV0を測定し、低石炭化度非微粘結炭を配合割合25%で添加した時の、基準粒度3mm篩下75%における粘結炭の膨張比容積SV1を、SV1=SV0×(1−IFC×α)の式より求めた。IFCは、図5に示す非微粘結炭のIFCiと、基準粒度3mm篩下75%でのWiより、IFC=ΣIFCi×Wiの関係から算出した。ΔSV1を、前述で求めたΔIFCと非微粘結炭の配合率α=25%を用い、ΔSV1=SV1×(1−ΔIFC×α)より求めた。なお、本実施例の配合では、粘結炭を2銘柄用いているが、SV0は、各粘結炭単味のSV値と粘結炭種内における配合率との加重平均値として求めてよい。
また、非微粘結炭の3mm篩下75%における膨張比容積(SV2)を実測するとともに、85%および95%のそれぞれについても実測した。表3に実測したSV2の値を示す。
また、非微粘結炭の3mm篩下75%における膨張比容積(SV2)を実測するとともに、85%および95%のそれぞれについても実測した。表3に実測したSV2の値を示す。
粘結炭の膨張比容積SV1と配合炭嵩密度0.82t/m3から空隙充填度を求め、予め求めておいた粘結炭に関する空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)からコークス表面破壊強度DI150 6を求めた。さらにSV1+ΔSV1と配合炭嵩密度0.82t/m3から空隙充填度を求め、同様に空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)からコークス表面破壊強度DI150 6を求め、この差分として、DI150 6の変化量ΔDI(a)を求めた。
また、低石炭化度非微粘結炭の膨張比容積SV2と配合炭の嵩密度から空隙充填度を求め、予め求めておいた低石炭化度炭に関する空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)から、基準粒度におけるコークス表面破壊強度DI150 6を求めた。さらに、表3に示す細粒化したときの膨張比容積から同様にコークス表面破壊強度DI150 6を求め、基準粒度におけるDI150 6からの変化量ΔDI(b)を求めた。
なお、本実施例では、低石炭化度炭を2銘柄用いているが、空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係からコークス表面破壊強度DI150 6を求める際の低石炭化度炭のSVは、各低石炭化度炭単味のSV値と低石炭化度炭種内における配合率との加重平均値として求めてよい。また、低石炭化度非微粘結炭Cの細粒化によるSVの低下度合いは、低石炭化度炭中のC炭の割合分だけ低下するとする。
なお、本実施例では、低石炭化度炭を2銘柄用いているが、空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係からコークス表面破壊強度DI150 6を求める際の低石炭化度炭のSVは、各低石炭化度炭単味のSV値と低石炭化度炭種内における配合率との加重平均値として求めてよい。また、低石炭化度非微粘結炭Cの細粒化によるSVの低下度合いは、低石炭化度炭中のC炭の割合分だけ低下するとする。
前記で求めたΔDI(a)とΔDI(b)を足し合わせることにより、低石炭化度非微粘結炭の細粒化に伴う膨張性低下によるコークス表面破壊強度DI150 6の増加分ΔDI(1)を算出した。
一方、1mm超の粗大粒子に関して、低石炭化度非微粘結炭Cを3mm篩下比率75質量%に粉砕した際の7〜5mmを採取し、石炭Xに30質量%配合して、小型の試験炉にて乾留し、略72cm3、略40gのコークスを製造し、コークス表面破壊強度DI150 6を測定した。
さらに、7〜5mm粒子を3〜5mm、または1〜3mmに細粒化し、同様にコークスを製造して、コークス表面破壊強度DI150 6を測定した。
このようにして求められたコークス強度より粗大粒子を細粒化した際のコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDIjを求めた。
さらに、7〜5mm粒子を3〜5mm、または1〜3mmに細粒化し、同様にコークスを製造して、コークス表面破壊強度DI150 6を測定した。
このようにして求められたコークス強度より粗大粒子を細粒化した際のコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDIjを求めた。
図6の粒度分布の変化より、1mm超の粒度区分を前記と同様に3粒度区分に分け、粒度区分毎の質量比率減少分ΔWjを算出した。その後、配合炭中における比率ΔWj ’とした。なお、7mm以上は微量のため、便宜上、7〜5mm区分の質量に合算した。
前記ΔDIjとΔWj ’を用いて、△DI=Σ(△DIj×ΔWj ’)により、1mm超の粗大粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕して細粒化した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の増加分ΔDI(2)を算出した。
表4に、算出されたΔDIj、ΔWj、ΔDI(2)の値を示す。
表4に、算出されたΔDIj、ΔWj、ΔDI(2)の値を示す。
前記で算出したΔDI(1)とΔDI(2)を足し合わせることで、基準粒度(3mm篩下比率75質量%で粉砕した時の粒度)からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDIを推定し、基準粒度におけるコークス表面破壊強度DI150 6推定値にΔDIを加算することにより、全体のコークス表面破壊強度DI150 6推定値を求めた。
表5に、コークス表面破壊強度DI150 6の実測値、本発明に従って粉砕粒度を考慮した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の推定値、粉砕粒度を考慮しない場合(基準粒度での値を使用する)のコークス表面破壊強度DI150 6の推定値をそれぞれ示す。
本発明に従った場合は、表5のNo.1をベースとして、低石炭化度非微粘結炭Cが細粒化されたNo.2およびNo.3でも、実測値とほぼ同じ推定値が得られた。
本発明に従った場合は、表5のNo.1をベースとして、低石炭化度非微粘結炭Cが細粒化されたNo.2およびNo.3でも、実測値とほぼ同じ推定値が得られた。
Claims (2)
- 配合炭の一部に、ビトリニット反射率Roが0.9以下である低石炭化度の非微粘結炭を粉砕して用いてコークスを製造する場合のコークス強度の推定方法であって、
(A)予め、ビトリニット反射率Roが0.9を超える粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)、及び、前記非微粘結炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)をそれぞれ求めておき、
(B)前記非微粘結炭の粉砕による粒度変化に伴う膨張性阻害の程度を膨張性阻害係数IFCとして係数化し、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合の、粒度区分ごとのIFCの変化と質量割合から、粉砕した場合のIFCの変化の総量を求めることにより、1mm以下の前記非微粘結炭の粒子による配合炭への膨張性阻害の度合いを膨張性阻害変動率△IFCとして定量化し、
(C)膨張性阻害変動率△IFCと、粘結炭の膨張比容積SV1と、前記非微粘結炭の配合率を用いて、粘結炭の膨張比容積SV1の変化量ΔSV1を求め、
(D)前記非微粘結炭の粉砕による細粒化に伴う前記非微粘結炭自身の膨張比容積を求め、
(E)前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定するに当たり、
(e1)前記(C)で求められた粘結炭のSV1及びΔSV1を用いて、配合炭の嵩密度から、SV1及びSV1+ΔSV1における空隙充填度を求め、前記(A)で求めておいた空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)を用い、SV1及びSV1+ΔSV1のそれぞれの空隙充填度におけるコークス表面破壊強度DI150 6の差分として、前記非微粘結炭を1mm以下に粉砕した場合における、粘結炭に関するΔDI(a)を算出し、
(e2)前記(D)で求めた非微粘結炭の膨張比容積と非微粘結炭の嵩密度から、前記非微粘結炭を所望の粒度に細粒化した場合の空隙充填度を求め、前記(A)で求めておいた非微粘結炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を用い、非微粘結炭に関する基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量ΔDI(b)を算出し、
(e3)ΔDI(a)とΔDI(b)を足し合わせる
ことで、コークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定し、
(F)一方、前記非微粘結炭の銘柄ごとに、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合の、配合炭から得られるコークスのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を、前記非微粘結炭の粒度区分ごとに求めておき、
さらに、配合炭中の低石炭化度非微粘結炭の1mm超の粒子の粒度区分ごとの配合炭における質量割合を用いて、粉砕した場合のコークス表面破壊強度DI150 6の変化の総量を求めることにより、前記非微粘結炭の1mm超の粒子を1mmまでの粒度区分に粉砕した場合における、基準とする粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定し、
(G)前記(E)と(F)から求められたそれぞれのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を足し合わせることによって、基準粒度からのコークス表面破壊強度DI150 6の変化量を推定することを特徴とするコークス強度の推定方法。 - 前記(B)において、
(b1)基準粒度で粉砕した場合の1〜3mm粒度の石炭について、基準となる膨張阻害係数IFC0をあらかじめ実験的に求めておき、
(b2)前記1〜3mm粒度の石炭を粉砕して生ずる1mm篩下における石炭について、粒度区分i(iは自然数)毎に石炭の膨張性阻害係数IFCiを求め、
(b3)粒度区分iについて、前記IFC0からの質量比率増分として増加係数△IFCiを算出し、
(b4)前記1mm篩下における石炭について、粒度i毎に累積篩下質量割合Wiを求め、前記非微粘結炭の全量を100としたときの粉砕粒度区分iにおける質量比率増分△Wiを求め、
(b5)前記△IFCiと前記△Wiの積を、それぞれの粒度区分i毎に合計して、膨張性阻害変動率ΔIFCを算出し、
前記(C)において、粘結炭の膨張比容積の変化ΔSV1を、求められた前記膨張性阻害変動率△IFCを用いて、下記の式により算出することを特徴とする請求項1に記載のコークス強度の推定方法。
ΔSV1=SV1×(1−ΔIFC×α)
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-
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