JP6874524B2 - コークス強度の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低石炭化度炭を粉砕して用いてコークスを製造する場合のコークス強度の推定方法に関する。
コークスの製造では、安価な原料である低石炭化度炭の増使用が資源拡大の観点から求められている。低石炭化度炭は、本発明ではビトリニット反射率Roが0.9以下の石炭をいい、十分な資源量が見込まれている。
このような低石炭化度炭の粗大粒子は、再固化後の収縮過程で微小なクラックを生成しやすいため、粉砕して用いられている。粉砕することにより、発生するクラックのサイズが小さくなり、亀裂生成に起因するコークス強度の低下が抑制できると考えられる。このため粉砕粒度を小さくすることが望ましいが、粉砕粒度を更に小さくすると、膨張性が低下することが知られている。
このように、低石炭化度炭を細粒に粉砕すると、コークス強度は向上するが、過粉砕すると膨張性が低下してしまい、かえって、コークス強度は低下すると考えられる。
従って、膨張性の低下によるコークス強度の低下を引き起こさずに、粉砕によるコークス強度の向上効果を享受することが望まれている。
このため、低石炭化度炭の粉砕粒度の程度によるコークス強度の変化を予測することで、低石炭化度炭をどれだけ多く配合することが可能になるか判断ができるようになり、より多くの低石炭化度炭を使用することが可能になる。また、実操業では、粉砕後の石炭粒度のバラツキが大きくなることもあるため、粉砕粒度の変動に対し、コークス強度を予測することで高炉操業の安定化に繋がることが期待される。
従来の石炭の粉砕の調整方法やコークス強度の推定方法として、たとえば次の方法が提案されている。
特許文献1には、高石炭化度炭と低石炭化度炭とを配合し、配合する各石炭について乾留前に測定した石炭性状に基づいて、表面破壊粉コークス量および体積破壊粉コークス量を推定し、これらの量の合計に基づいて乾留後のコークス強度を推定するコークス強度の推定方法において、配合する高石炭化度炭の平均反射率及び低石炭化度炭の配合率、さらに配合炭の嵩密度とコークス炉温の両方の影響に基づいて体積破壊粉コークス量を推定するコークス強度の推定方法が開示されている。しかし、粉砕された石炭の粒度によるコークス強度への影響は考慮されていない。
特許文献2には、最大長さ0.6mm以上のイナート組織を、長さサイズで区分し、サイズ区分別の体積率が異なるイナート組織を含有する石炭を、配合炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積(SV×BD)が異なる条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6に基づいて、サイズ区分別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度を予め定め、影響度の違いを考慮して原料炭の粉砕及び配合を調整して、目標のコークス強度を得る方法が開示されている。しかし、石炭中のイナート組織によるコークス強度への影響をサイズ別に定量化しているが、低石炭化度炭の粒度変化に伴うコークス強度への影響については考慮されていない。
特開2005−194358号公報 特許第4551494号公報
そこで、本発明は、石炭化度の低い低石炭化度炭を粉砕して配合炭の一部として使用するにあたり、その低石炭化度炭をさまざまな粒度に粉砕した場合のコークス強度を予測できるようにすることを課題とする。
本発明者らは、低石炭化度炭を粉砕して高石炭化度炭に添加する場合において、低石炭化度炭の粒度がコークス強度に及ぼす影響を検討した。
その結果、低石炭化度炭におけるサイズが3mm以上(+3mm)の粗大なビトリニット組織(以降、本明細書では便宜上、粗大低石炭化度ビトリニットと記載する)が、コークス強度を低下させる要因になることを知見した。さらに、3mm以上の低石炭化度ビトリニット組織について、サイズによってコークス強度への悪影響の度合いが異なることも知見した。
そのような知見に基づいてなされた本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
[1] 配合炭として、ビトリニット反射率Roが0.9以下である低石炭化度炭を粉砕して用い、かつ、Roが0.9を超える高石炭化度炭であって粗大イナート高含有炭を3mm以下90質量%以上に粉砕して用いてコークスを製造する場合に、低石炭化度炭の粉砕粒度が基準粒度から変化した際のコークス強度DI150 6の推定方法であって、
(A)石炭の膨張比容積への影響について、
(A1)予め、基準粒度1に粉砕した低石炭化度炭を用いて、低石炭化度炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a1)と、基準粒度2に粉砕したビトリニット反射率Roが0.9を超える高石炭化度炭を用いて、高石炭化度炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a2)をそれぞれ求めておき、
(A2)実施予定粒度1における低石炭化度炭自身の膨張比容積を求め、予め求めておいた低石炭化度炭の前記空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a1)から、低石炭化度炭の実施予定粒度1における低石炭化度炭に関するコークス強度DI150 6(a1)を推定し、
(A3)前記低石炭化度炭が実施予定粒度1における、高石炭化度炭の膨張比容積を求め、予め求めておいた高石炭化度炭の前記空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a2)から、低石炭化度炭の実施予定粒度1における高石炭化度炭に関するコークス強度DI150 6(a2)を推定し、
(A4)前記DI150 6(a1)に配合炭中の低石炭化度炭比率を掛け、前記DI150 6(a2)に配合炭中の高石炭化度炭比率を掛け、それぞれを足し合わせることで、低石炭化度炭の実施予定粒度1における膨張性を反映したコークス強度DI150 6(a)を求め、
(B)低石炭化度のイナート組織のサイズおよび低石炭化度のビトリニット組織のサイズのコークス強度DI150 6への影響について、
(B1)イナート組織のサイズ区分別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度1および実施予定粒度1におけるイナート組織のサイズ別含有量から、粉砕によるイナート組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b1)を推定し、
(B2)低石炭化度炭のビトリニット組織サイズの粒度区分別に、ビトリニット組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度1および実施予定粒度1におけるビトリニット組織のサイズ別含有量から、粉砕によるビトリニットサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b2)を推定し、
(C)低石炭化度炭の粉砕粒度を変化させた際のコークス強度DI150 6を、次の式、
コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)、
により推定することを特徴とするコークス強度DI150 6の推定方法。
ここで、基準粒度1は、前記(a1)の関係を求める際の基準となる粒度であり、3mm以下が70%以上の粒度、基準粒度2は前記(a2)の関係を求める際の基準となる粒度であり、3mm以下が90%以上の粒度を意味している。
また、粗大イナート高含有炭は、3mm以下が70〜85%に粉砕された石炭中に、最大長さが1.5mm以上のイナート組織を5%以上含有する石炭を意味している。
また、実施予定粒度1は、低石炭化度炭について実施を予定している粒度である。
[2] 前記の関係(a2)を求める際に用いた高石炭化度炭の基準粒度2と、高石炭化度炭について実施を予定している粒度である実施予定粒度2が異なる場合、高石炭化度炭のイナート組織のサイズ区分別に、該イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度2および実施予定粒度2におけるイナート組織のサイズ別含有量から、粉砕によるイナート組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(d)を推定し、前記の(C)の過程で、次の式、
コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(d)、
により推定することを特徴とする上記[1]に記載のコークス強度DI150 6の推定方法。
[3] 前記のRoが0.9を超える高石炭化度炭が粗大イナート低含有炭の場合、前記の基準粒度2が3mm以下が70%以上であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のコークス強度DI150 6の推定方法。
ここで、粗大イナート低含有炭は、3mm以下が70〜85%に粉砕された石炭中に、最大長さが1.5mm以上のイナート組織を5%未満含有する石炭を意味している。
本発明によれば、低石炭化度炭の粉砕粒度に応じてコークス強度を精度良く予測できる。
低石炭化度炭におけるSV×BDとコークス強度DI150 6との関係(a1)と、高石炭化度炭における、SV×BDとコークス強度DI150 6との関係(a2)のイメージ図である。 低石炭化度炭による膨張阻害影響Φおよび膨張阻害係数IFCの求め方を説明するための図である。 低石炭化度炭の粒度変化によるΔIFCの求め方の手順を説明するための図である。 イナート組織のサイズ別の影響度Aのイメージ図である。 乾留後の低石炭化度炭粒子のX線CT画像の一例を示す図である。 低石炭化度ビトリニット組織のサイズ別の影響度Bのイメージ図である。
本発明では、複数銘柄の原料炭を銘柄別に粉砕する際に、粉砕する石炭において、ビトリニット反射率Roが0.9以下の低石炭化度炭の粉砕粒度変化に応じたコークス強度を推定するに当たり、粉砕粒度変化がコークス強度に及ぼす影響を、(A)粉砕による低石炭化度炭自身の石炭膨張性変化による影響と低石炭化度炭によるビトリニット反射率Roが0.9を超える高石炭化度炭の膨張阻害への影響、及び(B)粉砕による低石炭化度炭のイナート組織とビトリニット組織のサイズ変化による影響に分けて評価する。
すなわち、次の(A)〜(C)の過程によりコークス強度を評価する。
(A)石炭の膨張比容積への影響について、
(A1)予め、基準粒度1に粉砕した低石炭化度炭を用いて、低石炭化度炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a1)と、基準粒度2に粉砕したビトリニット反射率Roが0.9を超える高石炭化度炭を用いて、高石炭化度炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a2)をそれぞれ求めておき、
(A2)実施予定粒度1における低石炭化度炭自身の膨張比容積を求め、予め求めておいた低石炭化度炭の前記空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a1)から、低石炭化度炭の実施予定粒度1における低石炭化度炭に関するコークス強度DI150 6(a1)を推定し、
(A3)前記低石炭化度炭が実施予定粒度1における、高石炭化度炭の膨張比容積を求め、予め求めておいた高石炭化度炭の前記空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a2)から、低石炭化度炭の実施予定粒度1における高石炭化度炭に関するコークス強度DI150 6(a2)を推定し、
(A4)前記DI150 6(a1)に配合炭中の低石炭化度炭比率を掛け、前記DI150 6(a2)に配合炭中の高石炭化度炭比率を掛け、それぞれを足し合わせることで、低石炭化度炭の実施予定粒度1における膨張性を反映したコークス強度DI150 6(a)を求め、
(B)低石炭化度のイナート組織のサイズおよび低石炭化度のビトリニット組織のサイズのコークス強度表面破壊粉率DI150 6への影響について、
(B1)イナート組織のサイズ区分別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度1および実施予定粒度1におけるイナート組織のサイズ別含有量から、粉砕によるイナート組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b1)を推定し、
(B2)低石炭化度炭のビトリニット組織のサイズの区分別に、ビトリニット組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度1および実施予定粒度1におけるビトリニット組織のサイズ別含有量から、粉砕によるビトリニット組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b2)を推定し、
(C)低石炭化度炭の粉砕粒度を変化させた際のコークス強度DI150 6を、次の式、
コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)、
により推定することを特徴とするコークス強度DI150 6の推定方法。
なお、本発明において、コークス強度はドラム試験実施後のコークスを6mmで篩分けた際の6mm以上の歩留まりである表面破壊強度DI150 6(以降、単にコークス強度やDIと記載することがある)を対象とする。
また、本発明を実施する際には、高石炭化度の粗大イナート高含有炭は、3mm以下が90%以上に細粒化されている必要がある。ここで、本発明において粗大イナートは最大長さが1.5mm以上のものをいい、粗大イナート高含有炭とは、3mm以下70〜85%に粉砕した際の粗大イナート量が5%以上の石炭のこととする。3mm以下90%以上に細粒化する理由は、特開2013―6958号公報に記載されている通り、配合炭中に粗大イナートが多く存在する条件では、粗大イナートがコークス強度を低下させる影響の方が大きいことから、低石炭化度ビトリニットの粗大粒子を細粒化してもコークス強度の向上があまり発揮されないためと考えられる。
以下、上記(A)〜(C)の過程について、図面を参照して順次説明する。なお、以下の説明で石炭などの量的比率を表す「%」は、特に断りがない限り「質量%」を示す。また、イナート組織を単にイナート、ビトリニット組織を単にビトリニットと記載することがある。
(A)粉砕による石炭膨張性への影響の推定
(A1)空隙充填度とコークス強度の関係を求める。
図1に一例を示すが、特開2005−194358号公報に示されるように、石炭の銘柄(単味炭または複数銘柄の混合炭)・嵩密度の一方または両方を種々変更して乾留し、石炭の膨張比容積SVと嵩密度BDから求められる空隙充填度SV×BDと、得られたコークスのコークス表面破壊強度DI150 の関係を求める。低石炭化度炭と高石炭化度炭それぞれに分けて前記関係を求める。低石炭化度炭について前記関係を求めたものを(a1)とし、高石炭化度炭での関係を(a2)とする。なお、膨張比容積SVの求め方は、後述の段落[0026]、[0027]にて説明する。
本発明では、基準の粉砕粒度から、粉砕粒度が変化した時のコークス強度の変化を求める。そのため、基準粒度に粉砕した石炭を用いて、SV×BDとコークス表面破壊強度DI150 の関係を求める必要がある。
このときの基準粒度は、基本思想として、mmオーダーの粗大イナートや粗大低石炭化度ビトリニットは、コークス強度低下要因となるため、その含有量によりコークス強度が変化するため、様々な石炭種を用いて関係を求める場合、粗大イナートや粗大低石炭化度ビトリニットの含有量が、石炭種間で同程度となるような粉砕粒度を基準粒度とすることが望ましい。
そこで、高石炭化度炭であって粗大イナート高含有炭の基準粒度(本発明では「基準粒度2」と記載する。)は、3mm以下90%以上とする。これは、3mm以下90%未満になると粗大イナート量が多くなるためである。
なお、本発明は、高石炭化度炭が粗大イナート高含有炭でなくて粗大イナート低含有炭(3mm以下70〜85%に粉砕した際の粗大イナート量が5%未満の石炭)である場合にも当然に適用できるが、その場合の粗大イナート低含有炭の基準粒度については、特に制限するものはなく、粗大イナートが多くならないよう、3mm以下が70%以上としても良い。
一方、低石炭化度炭の基準粒度(本発明では「基準粒度1」と記載する。)は3mm以下70%以上とする。ここで、低石炭化度炭は膨張比容積が低い銘柄が多いため、細粒化しすぎると低石炭化度炭自身の膨張比容積が低下し、SV×BDとコークス表面破壊強度DI150 の関係が、低SV×BD領域に集中する傾向がある。このため、幅広いSV×BDの領域でコークス強度の推定を可能とするという観点から、3mm以下を70〜85%程度にすることが好ましい。但し、3mm以下を85%以上に粉砕して細粒化しても、BDを大きな値に調整することで、実施することができる。
なお、低石炭化度炭であっても粗大イナート高含有炭を用いる際には、基準粒度を3mm以下90%以上とし、別途(a1)の関係を求めることがより好ましい。
以上の考えに基づき、求めた関係(a1)および(a2)を基準とし、そこから低石炭化度炭の粉砕粒度を変更したときのコークス強度DI150 の変化を推定していく。
ここで、膨張比容積SVの求め方について説明する。
膨張比容積の測定では、先ず、JIS M8801に規定された細管に、石炭を粉体のまま、所定の装入密度(0.85[dry、g/cm])で高さ60mmに装入し、次に、細管内の配合炭の上にピストンを装入し、ピストンを装入した状態で細管を3.0±0.1℃/minの昇温速度で300℃から600℃まで加熱し、加熱終了した後の配合炭の高さを測定した。
なお、この調査においては、ピストンが石炭に及ぼす荷重は約110gとした。加熱終了後の配合炭高さをL[mm]とした。そして、以下の式(1)から膨張比容積[cm/g]を求めた。
膨張比容積=L/(60×0.85) ・・・(1)
粉砕した石炭の膨張比容積を測定する際、JIS M8801に規定された細管の内径が8mmであるため、大きな粒子を含む石炭を充填させると測定誤差が大きくなることが懸念される。そのため、例えば3mmを超える大きな粒子は、1mm〜3mm程度に粉砕してから混合して測定する方法が好ましい。
3mmを超える粒子を1mm〜3mm程度に粉砕して膨張比容積を測定して良い理由は、3mmを超える粒子と1mm〜3mm程度の粒子の比表面積は大差がないため、石炭中の熱分解ガスの粒子外への拡散に大差はなく、膨張性を同等として扱ってよいと推察されるためである。
また、後述するIFCを算出するために膨張比容積を測定する場合、低石炭化度炭が1mm未満になると、IFCが増加してしまう可能性があるので、この観点からも1〜3mmに粉砕することが好ましい。
(A2)低石炭化度炭自身の膨張比容積変化によるコークス強度への影響を推定する。
石炭は、一般的に粒度が細かくなると石炭自身の膨張性が低下することが知られている。そこで、低石炭化度炭の粉砕粒度を変化させたときのコークス表面破壊強度DI150 6を以下の手順(A2-1)、(A2-2)で算出する。なお、以降では、実施を予定している粒度を、実施予定粒度と呼ぶ場合がある。また、低石炭化度炭の場合を実施予定粒度1、高石炭化度炭の場合を実施予定粒度2と記載する場合がある。
(A2-1) 基準粒度1における低石炭化度炭の膨張比容積をSVとし、実施予定粒度1での低石炭化度炭自身の膨張比容積をSV’とし、そのSV’を次のように求める。
すなわち、SV’は、実施予定粒度1での粉砕の都度、前述の方法で実験により求めるか、予め、粉砕粒度と低石炭化度炭自身のSVの関係を求めておき、その関係から求める。
なお、どちらの方法においても、低石炭化度炭を複数銘柄配合する場合には、低石炭化度炭中の各低石炭化度炭銘柄の構成比に応じて、それぞれの銘柄の加重平均値とすればよい。
(A2-2) 低石炭化度炭の実施予定粒度1での膨張比容積SV’と、実施するときの配合炭嵩密度BDから空隙充填度SV×BDを求め、前記(A1)の過程で求めておいた低石炭化度炭の空隙充填度SV×BDとコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a1)を用い、実施予定粒度1における低石炭化度炭に関するコークス表面破壊強度DI150 6(a1)を求める。
(A3)低石炭化度炭の粒度変化に伴う高石炭化度炭の膨張比容積およびコークス強度への影響を推定する。
低石炭化度炭は、高石炭化度炭に比較して再固化温度が低いため、高石炭化度炭と配合した際に、高石炭化度炭の膨張を阻害し、高石炭化度炭の膨張性を低下させることが知られている。
本発明者らは、高石炭化度炭に低石炭化度炭を配合する場合、低石炭化度炭の粒度によって、高石炭化度炭の膨張性への影響が異なり、1mm以下の粒度において、細粒ほど高石炭化度炭の膨張を阻害する影響(膨張阻害影響)が大きくなることを知見している。また、低石炭化度炭の銘柄によって、1mm以下に細粒化されたときの膨張阻害影響の増加度合いが異なることも知見している。
そのため、低石炭化度炭の粉砕粒度によって、高石炭化度炭に対する膨張阻害影響の度合いは変化する。
低石炭化度炭を一部に配合した配合炭のコークス表面破壊強度DI150 6を、空隙充填度(SV×BD)とコークス表面破壊強度DI150 6の関係を用いて推定する場合には、低石炭化度炭の粒度変化に伴う、低石炭化度炭による膨張阻害影響の変化を考慮した高石炭化度炭の膨張性の変化を評価することが必要である。
そこで、低石炭化度炭による、高石炭化度炭に対する膨張阻害影響を、膨張阻害影響Φおよび膨張阻害係数IFCで評価する。
ここで、ΦおよびIFCは、非特許文献のCAMP−ISIJ Vol.29(2016)−641に記載の考え方をもとにして求めた。その考え方を図2を用いて説明する。
先ず、低石炭化度炭単味、高石炭化度炭単味、および低石炭化度炭と高石炭化度炭とを配合した配合炭の膨張比容積をそれぞれ実験にて求める。低石炭化度炭を配合したことによる高石炭化度炭に対する膨張阻害影響をΦとして、以下の式(2)から求める。
SV(配合炭実測値)=SVL×α/100+Φ×SVH×(1−α/100)
・・・(2)
ここで、SVLおよびSVHは、それぞれ低石炭化度炭単味および高石炭化度炭単味の膨張比容積(cm/g)、αは低石炭化度炭の配合率(%)、Φは低石炭化度炭による高石炭化度炭に対する膨張阻害影響(−)である。
これは、低石炭化度炭の膨張比容積は他の石炭からの膨張阻害を受けない(Φ=1)と考え、実測の配合炭の膨張比容積(図2では、低石炭化度炭配合率25%としたときのSV)が、低石炭化度炭の膨張比容積(図2中の横軸100%でのSV)と、高石炭化度炭の膨張比容積の加重平均値であるとした場合、その高石炭化度炭の膨張比容積は、膨張阻害を受けない高石炭化度炭のSVに膨張阻害影響Φを掛けた値であるとするものである。
膨張阻害影響がない場合、Φ=1となり、膨張阻害影響が大きいほど、Φは1より小さくなる。
このΦについて、低石炭化度炭の配合率1%当りの影響度として、膨張阻害係数IFCを定め、以下の式(3)より求める。
Φ=1―IFC×α ・・・(3)
上記の考えに基づき、低石炭化度炭を配合した高石炭化度炭の膨張比容積を求めるが、その求め方には2通りある。
1つ目の方法は、IFCを用いずに求める方法であって、実際に、低石炭化度炭の実施予定粒度(実施予定粒度1)に粉砕した低石炭化度炭と、高石炭化度炭の実施予定粒度(実施予定粒度2)に粉砕した高石炭化度炭を、実施する際の配合比率で混合して膨張比容積の実験結果より求める方法である。
実施予定粒度1での低石炭化度炭のSV(図2中のSVLに相当)と、実施予定粒度2での高石炭化度炭のSV’(図2中のSVに相当)と、それぞれの配合比で配合した際の膨張比容積SVを求める。段落[0035]、[0036]にて述べた考え方に基づき、実施予定粒度での高石炭化度炭のSV’を、SV’=Φ×SV’として求める。
なお、複数銘柄を配合する際には、低石炭化度炭および高石炭化度炭それぞれにおいて、複数銘柄配合したSVおよびSV’をそれぞれ測定して用いればよい。
2つ目の方法では、まず、所定の粉砕粒度に粉砕した低石炭化度炭を用いた場合のIFCを求めておく。さらに、低石炭化度炭の粒度変化に伴う膨張阻害の度合の変化を、所定の粒度に粉砕した低石炭化度炭の1〜3mm粒子によるIFCから、1〜3mm粒子を1mm以下に細粒化したときのIFCの変化を求め、所定粒度および実施予定粒度1における1mm以下の粒子サイズごとの質量割合から、膨張阻害係数IFCの変化ΔIFCを求め、所定粒度でのIFCにΔIFCを足し合わせることで、実施予定粒度1でのIFC’を求めることにより、低石炭化度炭による高石炭化度炭への膨張阻害影響を定量化し、高石炭化度炭のSV'を求める。
具体的には下記の(A3-1)〜(A3-7)の手順により求める。以下、図3を参照しながら説明する。
(A3-1) 所定の粉砕粒度に粉砕した低石炭化度炭を配合した場合のIFCを、式(2)、(3)を用いた前述の方法にて求める。
IFCを求める方法は、実際に配合する際と同じ低石炭化度炭を、実際の低石炭化度炭の構成比で配合した配合炭でのIFCを実験にて求めてもよいし、事前に配合する銘柄毎に所定の粒度でのIFCを求めておき、各低石炭化度炭のIFCおよび配合構成比の加重平均値から、低石炭化度炭によるIFCを求めてもよい。ここでの低石炭化度炭の所定の粒度とは、特に規定されるものではなく、任意の粒度でよい。
また、IFCを求めるときに配合する高石炭化度炭は、膨張性を有していること、また、実際に実施されるときに想定される高石炭化度炭の石炭化度と同程度の石炭を用いることが好ましい。
(A3-2) 低石炭化度炭を所定粒度で粉砕した際の1〜3mmの石炭粒子について、膨張阻害係数IFCを予め実験的に求めておく。
1〜3mmの粒子を用いてIFCとした理由は、図3(a)に示すように、粘結性の異なる低石炭化度炭を用いても、1〜3mm粒子では、銘柄によってIFCに大差がないことから、1〜3mmの粒子で粗大粒子を代表させられると考えられるためである。
(A3-3) 前記1〜3mm粒度の石炭をさらに粉砕して生ずる1mm篩下(−1mm)における石炭の粒度区分iについて、粒度区分i毎に石炭の膨張阻害係数IFCを求める。
(A3-4) 粒度区分iについて、前記IFCからの増加係数△IFCを算出する。(以上、図3(a)参照)
このように、予め実験して低石炭化度炭の各粒度区分のIFCを求めておけば、都度実施粉砕粒度1にて実験してIFCを求めなくても、膨張阻害影響を評価することができる。
(A3-5) 各粉砕粒度における粒度区分i毎に質量割合Wを求め、所定粒度から実施予定粒度への各粒度区分の質量比率の変化分△Wを求める。(図3(b)参照)
例えば、低石炭化度炭の所定粒度を3mm篩下75質量%とし、95%の粒度まで細粒化した場合、それぞれの粉砕粒度において、粒度区分をいくつかに分けて、低石炭化度炭の全量を1としたときの各粉砕粒度iにおける質量比率をWとして求め、3mm篩下75質量%におけるWから3mm篩下95質量%におけるWへの増加分をΔWとする。
(A3-6) 前記△IFCと前記△Wの積を、それぞれの粒度区分i毎に合計して、△IFC=Σ(△IFC×△W)より、低石炭化度炭の粉砕粒度が、所定粒度から変化した際の膨張阻害係数の変化ΔIFCを算出する。
この膨張阻害係数の変化を求めることで、低石炭化度炭の粉砕粒度を変化させた際の高石炭化度炭の膨張比容積の変化を予測できる。
なお、複数銘柄の低石炭化度炭を用いる際には、各銘柄についてΔIFCを求めておき、低石炭化度炭全体における各銘柄の配合構成比に応じて、それぞれの銘柄のΔIFCの加重平均値とすればよい。
(A3-7) 実施予定粒度1における、高石炭化度炭の膨張比容積SV’を、下記式(4)、(4’)で算出する。
SV’=SV×{1−(IFC')×α} ・・・(4)
=SV×{1−(IFC+ΔIFC)×α} ・・・(4’)
ここで、SVは基準粒度2に粉砕した高石炭化度炭のみの場合の膨張比容積であり、IFCは(A3-1)で求めた、低石炭化度炭が所定粒度でのIFCである。また、αは低石炭化度炭の配合率(%)である。
以上のようにして、いずれかの方法にて求めた、低石炭化度炭の粉砕粒度が実施予定粒度1における高石炭化度炭の膨張比容積SV2’と、実施するときの配合炭嵩密度BDから、前記低石炭化度炭の粉砕粒度が実施予定粒度1の際の高石炭化度炭の空隙充填度を求め、前記(A1)の過程で求めておいた高石炭化度炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6との関係(a2)を用い、実施予定粒度1での高石炭化度炭に関するコークス表面破壊強度DI150 6(a2)を求める。
(A4)低石炭化度炭の前記DI150 6(a1)に、実施する配合炭中の低石炭化度炭の配合比X(−)を掛け、高石炭化度炭の前記DI150 6(a2)に、実施する配合炭中の高石炭化度炭の配合比(1−X)を掛け、それぞれを足し合わせることで、低石炭化度炭の粉砕粒度が実施予定粒度1の場合におけるコークス表面破壊強度DI150 6(a)を推定する。
以上により、低石炭化度炭の粉砕粒度の変化による膨張性の変化を反映したコークス表面破壊強度DI150 6を求めることができる。
次に、低石炭化度炭の粗大粒子中のクラック生成要因となるイナート組織および粗大ビトリニット組織のサイズ変化に伴うコークス強度変化を推定する。以降では、石炭が再固化した後に生成するクラックに関する強度推定についての説明である。
(B)低石炭化度炭のイナート組織のサイズおよび低石炭化度炭のビトリニット組織のサイズ変化によるコークス表面破壊粉率DI 150 -6 の変化量の推定
(B1)イナート組織のサイズ変化によるコークス表面破壊粉率の変化量の推定 石炭中の粗大イナート組織はコークス強度を低下させるが、細粒化によりコークス強度の低下を抑制することが知られている。ここでは、イナート組織のサイズとコークス表面破壊粉率の関係について検討を行った。
定量化に当たっては、特許文献2に記載された方法を使用することができる。
特許文献2に記載された方法では、粉砕された石炭中のイナートサイズ分布を求め、求められたイナートサイズとコークス表面破壊粉率の関係から、基準とする石炭粉砕粒度から、石炭の細粒化(粗粒化)による表面破壊粉率の変化を求める。以下その手順を説明する。
(B1-1) まず、粉砕された石炭中のイナートサイズ分布について、次のようにして求めることができる。
基準粒度1および実施予定粒度1に粉砕した低石炭化度炭において、それぞれの粒度の低石炭化度炭を単味炭で乾留し、得られたそれぞれのコークスについて、特許文献2に記載のように、乾留後のコークスの切断面に樹脂を埋め込み、その切断面を研磨した後、顕微鏡で写真撮影し、写真中のイナート組織をマーキングして画像解析にて求めることができる。また、コークス試料をX線CTを用いて、一定の見かけ密度以上の領域をイナートとして判別して画像解析してもよい(例えば、特開2011-162724参照)。
なお、単味炭ではコークスの塊が得られない石炭の場合では、粗大イナートの少ない高石炭化度炭を0.6mm以下に粉砕し、粉砕した高石炭化度炭と配合して乾留し、得られたコークスに対してイナート組織の含有量を求め、評価対象の銘柄の配合比で割り戻すことで求めることができる。
また、コークス中のイナートサイズ分布を測定するが、これは、石炭中のイナート組織の存在態様は、コークス化してもほとんど変化せず同じ存在態様で残存するので、コークス中のイナート組織のサイズおよび体積率を石炭中のイナート組織として用いることができる。さらに、通常、2次元断面における面積比は、3次元空間における体積比と扱うことができるので、求めたイナートの面積比をイナートの体積比として扱うことができる。
(B1-2) 次に、イナート組織のサイズ別のコークス表面破壊粉率への影響度を求める。その手順を説明する。
なお、特許文献2では、配合炭の石炭軟化時の空隙充填度SV×BD(SV:配合炭の石炭軟化時の比容積、BD:石炭装入時の嵩密度)によって場合分けをして詳細に求めているが、実操業相当でのSV×BD条件で実施すればよい。
また、特許文献2において、最大長さ0.6mm以上のイナート組織を対象として、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度を求めている。これは通常、実施される空隙充填度(SV×BD)の範囲では、最大長さ0.6mm未満のイナート組織はコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度がないためである。
従って、本発明においても、以下の通り、最大長さ0.6mm以上のイナート組織を対象として、表面破壊粉率DI150 −6へ与える影響度を求めている。
まず、サイズ区分iのイナート組織がコークス表面破壊粉率DI150 −6へ与える影響度A(-/体積%)を、次の手順で予め定めておく。ここで、コークス表面破壊粉率DI150 −6とは、ドラム試験後の6mm以下の粉率を表す。つまり100からコークス表面破壊強DI150 を引いた値である。
ここで、イナート組織だけを石炭から分離するのは実際には困難であるため、イナート組織が濃縮された石炭(以降、「イナート濃縮炭」と記載する場合がある)を用いて、検討を行った。イナート濃縮炭の作成方法としては、例えば、高石炭化度炭の原炭を粉砕し、6mmの篩で篩分けて6mm以上の粒子を得る。粉砕後の粒度の大きな石炭にはイナート組織が濃縮されやすいため、この6mm以上の粒子にはイナートが濃縮されている。
この様にして得られたイナート濃縮炭を粉砕して、いくつかの粒度区分1〜m(自然数)のイナート濃縮炭を作成する。0.6mm以上の各粒度区分のイナート濃縮炭を、実操業相当の石炭軟化時の空隙充填度SV×BD(SV:配合炭の石炭軟化時の比容積、BD:石炭装入時の嵩密度)となるよう、単味または複数銘柄を配合した石炭に前記粒度区分iのイナート濃縮炭を混合して乾留して得たコークスのDI150 −6に基づいて、サイズ区分iのイナート組織がDI150 −6へ与える影響度A(-/体積%)を予め定める。
なお、石炭粒子やイナート濃縮炭や後述するビトリニット濃縮炭を、所定の粒度範囲に区分した場合は、粒度区分と記載し、イナートやビトリニットを画像解析により求めたサイズに応じて、所定のサイズ範囲に区分する場合は、サイズ区分と記載する。
具体的には、
(i) 粒度が0.6mm以上のイナート濃縮炭を、粒度区分1〜m(自然数)の粒度区分に区分する。
(ii) 粒度区分iが異なるイナート濃縮炭を含有する配合炭を調製し、これらの配合炭を乾留した後、粒度区分iごとにDI150 −6を測定し、各粒度区分iのイナート組織がDI150 −6に与える影響を調べる。
なお、本発明では低石炭化度のイナート組織が配合炭のコークス強度への影響度を求めるものであるが、後述の通り、低石炭化度のビトリニットもコークス強度へ影響することから、低石炭化度ビトリニットによるコークス強度への影響を含まずに、イナート組織のみのコークス強度への影響を調べるため、低石炭化度炭由来ではない0.6mm以上のイナート組織を用いることが好ましい。なお、ここでは、イナート組織だけを石炭から分離するのは実際には困難であるため、イナート組織が濃縮された石炭を用いる。また、イナート組織は、高石炭化度炭由来と、および低石炭化度炭由来とで、性状差が小さいことが示されている(非特許文献:鉄と鋼 vol.99(2013)No.3,p175参照)。このことから、低石炭化度炭中のイナート組織によるコークス強度影響を求める際に、高石炭化度炭由来のイナートを用いることが好ましい。
粒度区分としては、例えば、イナート濃縮炭の粒度区分iを、0.6mm以上15mm未満の間で、5つの粒度区分(0.6mm以上1.5mm未満、1.5mm以上3mm未満、3mm以上5mm未満、5mm以上10mm未満、10mm以上)に分け、これらのサイズの異なるイナート濃縮炭を、それぞれ、単味または複数銘柄を配合した石炭(0.6mm以上のイナート組織を殆ど含有しないように粉砕した石炭)に配合した配合炭を用意し、これらの4種類の配合炭を乾留炉で乾留しコークスを製造し、コークス表面破壊粉率DI150 −6を得る。
(iii) 次に、各サイズ区分iのイナート組織がコークス表面破壊粉率DI150 -6へ与える影響度A(-/体積%)を定める。その際、影響度Ai(-/体積%)は、下記の(式5)の最小二乗法による回帰分析により求める。その結果を、図4に例示する。
なお、サイズ区分iのイナート組織がコークス表面破壊粉率DI150 −6へ与える影響度Aは、サイズ区分iに存在するイナート組織体積1%当りの値である。
DI150 -6−DI150 -6(基準)=Σi=1〜m×Ibi,j ・・・(式5)
ここで、Ibi,jは、銘柄jにおけるサイズ区分i(=1〜m)のイナート組織の含有量(体積%)であり、イナート濃縮炭の粒度区分i毎の表面破壊粉率を求める際と同じ配合炭につい乾留して得られたコークスに対し、段落[0052]で述べたように樹脂埋めした試料について画像解析により求めることができる。
また、DI150 −6(基準)は、それぞれ、イナート組織の影響がない場合のコークス表面破壊強度であり、イナート組織がコークス表面破壊強度に影響を与えないようにイナート濃縮炭の粒度が0.6mm未満となるように粉砕して配合した配合炭を用いて製造したコークスの表面破壊強度を測定して得られた値を用いる。
(B1-3) 上記により求められた影響度Aと別途求めておいた銘柄jの基準粒度1および実施予定粒度1に粉砕粒度を変化させた後のイナート組織のサイズ別含有量から、粉砕によるイナート組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b1)を求める。
変化量ΔDI150 -6(b1)は、銘柄jの粉砕粒度変化に伴うサイズ区分iのイナート組織の含有量変化ΔIbi,j(体積%)の測定値、サイズ区分iのイナート組織がコークス表面破壊粉率DI150 -6へ与える影響度A(-/体積%)を基にして、下記の(式6)により求めることができる。
ΔDI150 -6(b1)=Σi=1〜m×ΔIbi,j×Xj ・・・(式6)
ここで、Xjは、低石炭化度炭である銘柄jの配合比(−)である。また、
低石炭化度炭が複数銘柄の場合は、各銘柄についてΔDI150 -6(b1)を求め、それらを足し合わせれば良い。
(B2)低石炭化度ビトリニットのサイズ変化によるコークス表面破壊粉率の変化の推定
コークス炉内では、炉壁側と炭中側で温度勾配が生じており、粗大粒子の高温側と低温側では収縮係数が異なる。特に、低石炭化度炭ビトリニットは、再固化直後での温度に対する収縮係数の変化が大きいため、温度勾配によって熱応力が発生する。この熱応力によって低石炭化度炭ビトリニットの粗大粒子の内部にはクラックが生成する。
本発明者ら、水分量を0〜4%程度に低減させた乾燥石炭の乾留において、低石炭化度炭ビトリニットは、3mm以上のサイズでクラックが生成することを実験的にて知見した。
そこで、低石炭化度炭ビトリニットのサイズ分布が、コークス強度に及ぼす影響を検討した。
クラック生成の有無にとって低石炭化度炭ビトリニットのサイズが重要であるので、最初に、石炭粉砕粒度とビトリニットサイズ分布の関係を以下のようにして調べた。
ある粉砕粒度(例えば3mm以下比率75%)に粉砕した低石炭化度炭において、3mm以上の粒子について、いくつかの粒度区分に分けた。粒度区分としては、3つの粒度区分(3mm以上5mm未満、5mm以上10mm未満、10mm以上)に分けることが例示される。
次に、乾留容器に粉コークスを充填した中に、それぞれ粒度区分毎の石炭粒子を配置し、乾留した。乾留後の粒子をX線CTを用いて撮影した。図5に乾留後粒子のX線CT画像の一例を示す。図5の粒子は、3〜5mmの粒度区分の低石炭化度炭の乾留後粒子である。
撮影した画像に対し、粒子中の気孔構造を有する部分をビトリニットとして判別してサイズおよび粒子中での面積比の測定を行う。ここでは、ビトリニットとして判別された粒子の円相当径をビトリニットサイズとした。また、通常、2次元断面における面積比は、3次元空間における体積比と扱うことができるので、求めたビトリニットの面積比をビトリニットの体積比として扱うことができる。
測定して得られた各粒度区分におけるビトリニット組織のサイズ分布に、各粉砕粒度における粒度区分の質量比(−)を掛け、全ての粒度区分を足し合わせることで、ある粉砕粒度の低石炭化度炭中でのビトリニット組織のサイズ分布を求めることができる。
このようなビトリニットサイズの測定を、他の粉砕粒度で粉砕した場合について同様に行い、粉砕粒度とビトリニットサイズ分布の関係を求めた。
なお、このX線CTにより撮像した画像を解析する方法は、簡便で精度良く測定できるので好ましいが、粒度分布測定はこの方法に限られるものではない。
次に、粒径3mm以上の低石炭化度炭ビトリニットをいくつかのサイズ区分に区切り、各サイズ区分のビトリニットによるコークス強度への影響を調べた。
影響を調べる方法には、2通りの方法がある。
一つ目の方法は、ビトリニット組織の粒子を抽出し、ビトリニット組織によるコークス強度への影響を直接的に調べる方法である。
(B2-1) この方法では、まず、低石炭化度炭粒子を所定の比重に調製された液体に低石炭化度炭粒子を投入することにより、比重の軽いビトリニットが濃縮された粒子が浮上するため、この浮上した粒子を得ることで、ビトリニット濃縮炭を得る。ここで得られたビトリニット濃縮炭は、ビトリニット組織単体の粒子として扱うことができる。なお、液体の比比重としては、1.25から1.35が例示される。
(B2-2) 得られたビトリニット濃縮炭を、いくつかの粒度区分1〜m(自然数)毎に分け、各粒度区分iに対し、単味または複数銘柄を配合した高石炭化度炭(0.6mm以上のイナート組織を殆ど含有しないように粉砕した石炭)に対して前記粒度区分iのビトリニット濃縮炭を配合し、乾留してコークス表面破壊粉率DI150 −6を求める。
粒度区分としては、3つの粒度区分(3mm以上5mm未満、5mm以上10mm未満、10mm以上)に分けることが例示される。
(B2-3) 各サイズ区分iのビトリニットがコークス表面破壊粉率DI150 -6へ与える影響度B(-/体積%)を定める。その際、影響度Bi(-/体積%)は、下記の(式7)の最小二乗法による回帰分析により求める。その結果を、図6に例示する。
なお、サイズ区分iのビトリニットがコークス表面破壊粉率DI150 −6へ与える影響度Bは、サイズ区分iに存在するビトリニット体積1%当りの値である。
DI150 -6−DI150 -6(基準)=Σi=1〜m×Vbi,j ・・・(式7)
ここで、Vbi,jは、銘柄jにおけるサイズ区分i(=1〜m)のビトリニット組織の含有量(体積%)であり、ビトリニット濃縮炭の粒度区分i毎に、段落[0066]で述べたような粉コークス中で乾留した粒子のX線CT画像について画像解析により求めることができる。また、DI150 −6(基準)は、粗大ビトリニット組織の影響がない場合のコークス表面破壊粉率であり、粗大ビトリニット組織がコークス表面破壊粉率に影響を与えないようにビトリニット組織のサイズ(円相当径)が1〜3mmとなるように粉砕して配合した配合炭を用いて製造したコークスの表面破壊粉率を測定して得られた値を用いる。
二つ目の方法は、低石炭化度炭粒子によるコークス表面破壊粉率への影響度から、イナートの影響分を差し引くことで、ビトリニットによるコークス表面破壊粉率への影響を間接的に調べる方法である。
(B2-1’) この方法では、同様に、低石炭化度炭をいくつかの粒度区分に分けて、単味または複数銘柄を配合した高石炭化度炭(0.6mm以上のイナート組織を殆ど含有しないように粉砕した石炭)に対して1mm以上の粒度区分iの低石炭化度炭を配合し、乾留してDI150 −6(区分i)を求める。粒度区分としては、4つの粒度区分(1mm以上3mm未満、3mm以上5mm未満、5mm以上10mm未満、10mm以上)に分けることが例示される。
(B2-2’) 下記の式8に示されるように、得られたDI150 −6から、前記(B1-1)で求めたサイズ区分iのイナート組織によるコークス表面破壊粉率への影響を差し引きしたDI150 −6’を求める。
DI150 −6’= DI150 −6− Σi=1〜m×Ibi,j ・・・(式8)
(B2-3’) 求められたDI150 −6’より、各サイズ区分iのビトリニットがコークス表面破壊粉率DI150 -6へ与える影響度B(-/体積%)を定める。その際、影響度Bi(-/体積%)は、下記の(式9)の最小二乗法による回帰分析により求める。
なお、サイズ区分iのビトリニットがコークス表面破壊粉率DI150 −6へ与える影響度Bは、サイズ区分iに存在するビトリニット体積1%当りの値である。
DI150 -6’−DI150 -6’(基準)=Σi=1〜m×Vbi,j ・・・(式9)
ここで、Vbi,jは、銘柄jにおけるサイズ区分i(=1〜m)のビトリニット組織の含有量(体積%)である。
ここで、DI150 −6’(基準)は、イナート組織およびビトリニット組織の影響がない場合のコークス表面破壊粉率であり、1〜3mmに粉砕した低石炭化度炭を配合して得られたコークスの表面破壊粉率から、(式8)により、イナート組織によるコークス強度への影響を差し引いたDI150 −6’である。粗大低石炭化度ビトリニットによるDI150 −6への影響を無くすためには、低石炭化度ビトリニットを3mm未満に粉砕すればよいが、1mm以下にすると、低石炭化度炭による高石炭化度炭への膨張阻害影響が大きくなるため1〜3mmとすることが好ましい。
(B2-4) 一つ目の方法または二つ目の方法にて求められた影響度Bを用いて、下記(式10)の通り、別途段落[0065]、[0066]の方法にて求めておいた基準粒度1および実施予定粒度1に粉砕粒度を変化させた後のビトリニット組織のサイズ別含有量から、粉砕粒度変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 −6の変化量ΔDI150 -6(b2)を求める。
ΔDI(b2)=Σi=1〜m×ΔVbi,j ×X ・・・(式10)
ここで、Xjは、低石炭化度炭である銘柄jの配合比(−)である。
また、低石炭化度炭が複数銘柄の場合は、各銘柄についてΔDI150 -6(b2)を求め、それらを足し合わせればよい。
なお、影響度Bを求める一つ目及び二つ目の方法いずれにおいても、石炭粒子の接着が十分な配合炭をベースとして使用し、充填時の嵩密度も高いことが好ましい。また、特許文献である特開2013−6958より、配合炭中に粗大なイナートが多く存在する条件では、低石炭化度ビトリニットの粗大粒子を細粒化してもコークス強度がそれほど向上しないことが分かっている。つまり、粗大な低石炭化度ビトリニットの影響度Bが小さくなる可能性が考えられるため、用いる高石炭化度炭中には、1.5mm以上の粗大イナートを極力含まないよう、粉砕して用いることが重要である。
また、二つ目の方法では、イナート組織による影響度Aiの測定条件と揃えるため、配合炭のSV×BDはAを求めるときと同等にすることが好ましい。さらに、第2の方法では、低石炭化度炭中に灰分が多いと、ビトリニット中に細かく灰分が分散する可能性があるため、灰分が8%程度までの方が好ましい。さらに、可能な限りビトリニット粒子のみのほうが好ましいため、極力低イナート炭である低石炭化度炭を用いた方が好ましい。なお、上記のようにして求めたBは、銘柄毎に求める必要はなく、一度求めておけばよい。
(C)基準粒度から実施予定粒度1に粉砕粒度を変化させた際のコークス表面破壊強度DI 150 6 の推定
前記(A)の過程で求められた低石炭化度炭の粉砕粒度を変化させた際の膨張性変化によるコークス表面破壊強度DI150 6(a)から、前記(B)の過程で求められた低石炭化度炭中の粗大イナートのサイズ変化に伴うΔDI150 -6(b1)と、同じく低石炭化度炭中の粗大ビトリニットのサイズ変化に伴うΔDI150 -6(b2)を減じること、すなわち以下の式(10)により、基準粒度から実施予定粒度1に粉砕粒度を変化させた際のコークス表面破壊強度DI150 6を求めることができる。
コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2) ・・・(式10)
なお、前記「(A)(A1)」の項にて、高石炭化度炭の基準粒度を3mm以下90%以上と記載したが、SV×BDとDIの関係(a2)を求める際に用いた高石炭化度炭の基準粒度2と、実際に粉砕をしたときの粒度(実施予定粒度2)が異なる場合、低石炭化度炭について前記(B)の過程で求めた方法と同様にして、すなわち、高石炭化度炭のイナート組織のサイズ区分別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Aをあらかじめ定めておき、基準粒度2および実施予定粒度2に粉砕粒度を変化させた後のイナート組織のサイズ別含有量から、基準粒度2と実施予定粒度2での高石炭化度炭のイナート含有量の変化ΔIdを求め、粉砕によるイナートサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(d)を推定し、この場合の基準粒度2から粉砕粒度を変化させた際のコークス表面破壊強度DI150 -6を以下の式(11)により推定することが好ましい。
コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(d) ・・・(式11)
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例の
記載内容に何ら制限されるものではない。
表1に示す性状の高石炭化度炭A炭、B炭および低石炭化度炭C炭を、それぞれ10%、30%、および60%配合したものを配合炭Iとし、A炭を20%、B炭を20%、C炭を40%およびD炭を20%配合したものを配合炭IIとした。なお、粗大イナート含有量は、各石炭を3mm以下85%に粉砕して測定した値である。
高石炭化度炭の粉砕粒度は3mm以下90%とした。低石炭化度炭C炭およびD炭の粉砕粒度を3mm以下75%を基準粒度1とし、実施予定粒度1としては、85%,95%の2ケースについて変化させた。
配合した配合炭は、水分を2.5%とし、それぞれ嵩密度0.82t/mにて装炭し、実機を模擬した試験コークス炉にて18.5時間乾留した。得られたコークスをドラム試験に供し、コークス表面破壊強度DI150 を測定した。
Figure 0006874524
次に、低石炭化度炭の粉砕粒度の影響を考慮してコークス表面破壊強度DI150 6を次のようにして推定し、実測値との比較を行った。
(A1) まず、低石炭化度炭の基準粒度1を3mm以下75%、高石炭化度炭の基準粒度2を3mm以下90%とし、低石炭化度炭のSV×BDとコークス強度DI150 の関係(a1)と、高石炭化度炭のSV×BDとコークス強度DI150 の関係(a2)を求めた。
(A2−1) 次に、低石炭化度炭C炭およびD炭の粉砕粒度を変更した場合の、単味炭の膨張比容積をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
なお、以下において、粉砕粒度の3mm以下比率を表記する際に、−3mmと記載することがある。
Figure 0006874524
(A2−2)
C炭およびD炭の単味での膨張比容積の値および、配合炭IおよびIIそれぞれの低石炭化度炭の配合比より、低石炭化度炭のSVおよびSV’を求め、それに伴うSV×BDおよび、低石炭化度炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度との関係(a1)を用いてコークス強度DI150 6を求めた。結果を表3に示す。なお、配合炭IIのSVは、C炭のSV×(0.4/0.6)+D炭のSV×(0.2/0.6)として、各粉砕粒度にてSVを求めた。
Figure 0006874524
(A3) 次に、低石炭化度炭の粉砕粒度が変化した際の、高石炭化度炭の膨張比容積を求める。
(A3−1) 基準粒度1である3mm以下75%に粉砕したC炭またはD炭を、それぞれA炭に内数で30%の割合で配合し、膨張比容積の結果からIFCを求めたところ、C炭は0.004、D炭は0.005であった。
これより、配合炭Iおよび配合炭IIにおける、低石炭化度炭によるIFCは、0.004および0.0042(=0.004×0.4/0.6+0.005×0.2/0.6)と求められた。
(A3−2、3、4)
次に、低石炭化度炭C炭またはD炭を3mm以下75%に粉砕したときの1〜3mmを、C炭およびD炭それぞれを1.5mm以下に粉砕した高石炭化度炭Aに30%の割合で配合して、膨張比容積を測定し、IFCを求めた。さらに1〜3mmの石炭を1mm以下に粉砕して、各粒度区分の単味膨張比容積および同様に高石炭化度炭Aと混合した配合炭膨張比容積を測定して、1mm以下の各粒度区分iのIFCiを求めた。それらの結果を表4に示す。合わせて、IFC0からの増加分ΔIFCを示す。
Figure 0006874524
(A3−5)
また、低石炭化度炭C炭またはD炭を3mm以下75%、85%、95%に粉砕し、篩分けによって各粉砕粒度における粒度区分の割合Wを求めた。その値を表5、表6に示す。合わせて、基準粒度1である3mm以下75%からのWの増加分ΔWを示す。
Figure 0006874524
Figure 0006874524
(A3−6)
表4に示したΔIFCおよびΔWより、C炭およびD炭それぞれについて求めたΔIFC(=ΣΔIFC×ΔW)を表7に示す。また、配合炭IおよびIIにおけるC炭とD炭の配合比より、各配合炭でのΔIFCを求めた。その結果を表8に示す。
Figure 0006874524
Figure 0006874524
3mm以下90%に粉砕した高石炭化度炭A炭単味およびB炭単味の膨張比容積を測定したところ、それぞれ1.81cm/gおよび2.28cm/gであった。これらより、配合炭Iおよび配合炭IIの高石炭化度炭の膨張比容積SVは、2.16cm/gおよび2.05cm/gとなる。
(A3−7、8)
(A3−1)で求めたIFCおよび、(A3−6)で求めたΔIFCより、配合炭I、IIそれぞれでの高石炭化度炭のSVおよびSV’を求めた。その結果を表9に示す。合わせて、それに伴うSV×BDおよび、低石炭化度炭の空隙充填度とコークス表面破壊強度との関係(a1)を用いて求めたコークス強度DI150 6も示す。
Figure 0006874524
(A4)
DI150 6(a1)およびDI150 6(a2)、高石炭化度炭および低石炭化度炭の配合比より、DI150 6(a)を求めた。その値を表10に示す。低石炭化度炭C炭の粉砕粒度が3mm以下75%(基準粒度1)でのDIも、関係a1およびa2から求めたものを併記する。
Figure 0006874524
(B1)イナート組織のサイズ変化によるコークス表面破壊粉率の変化量の推定
事前に、低石炭化炭C炭およびD炭を3mm以下75%、85%、95%にそれぞれ粉砕し、低石炭化炭C炭は単独で乾留し、低石炭化炭D炭は0.6mm以下に粉砕した高石炭化度炭A炭と等量(すなわち内数でそれぞれ50質量%)に混合して乾留して得られたコークスを、樹脂埋め研磨し、画像解析によりイナート組織のサイズ分布を求めた。求めたイナート組織のサイズ分布を、表11に示す。合わせて、基準粒度1の3mm以下75%から3mm以下85%、95%に変化したときの各サイズ区分のイナート含有量の変化量ΔIbも示す。
Figure 0006874524
また、式(5)DI150 -6−DI150 -6(基準)=Σi=1〜m×Ibi,jを用い、イナートの影響度Aを求めた。高石炭化度炭A炭由来のイナート濃縮炭を5の粒度区分に分け、それぞれを、0.6mm以下に粉砕した高石炭化度炭Aおよび低石炭化度炭C炭を7:3の比率で混合した石炭に、外数で15%の割合で混合し、それぞれのコークス表面破壊粉率を測定し、さらに、イナート濃縮炭を0.6mm未満に粉砕して同様に外数で15%配合した場合のコークス表面破壊粉率(基準)を求めた。また、Ibiを測定し、式(5)の最小二乗法による回帰分析により、それぞれのイナートのサイズ区分における影響度Aを求めた。その結果を表12に示す。
Figure 0006874524
粉砕粒度の変化に伴う、イナート組織のサイズ変化によるコークス表面破壊粉率の変化ΔDI150 -6(b1)は、(式6)ΔDI150 -6(b1)=A×ΔIbi,j×Xより、C炭およびD炭それぞれでのΔDI150 -6(b1)を求め、配合比より、配合炭Iおよび配合炭IIにおいて、低石炭化度炭C炭およびD炭を基準粒度1である3mm以下75%より粉砕粒度を変化させた時の、それぞれの3mm以下の粉砕比率でのイナートのサイズ変化によるコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b1)の推定値を表13に示す。
Figure 0006874524
(B2)低石炭化度ビトリニットのサイズ変化によるコークス表面破壊粉率の変化の推定
低石炭度化炭C炭およびD炭を3mm以下75%、85%、95%にそれぞれ粉砕し、石炭粒子を3〜5mm、5〜10mm、+10mmの3つの粒度区分に分けて、それぞれを粉コークス中で乾留した。乾留後の粒子をX線CTにて観察して画像解析により、ビトリニット組織のサイズ分布を求めた。求めたビトリニット組織のサイズ分布を、表14に示す。合わせて、基準粒度1の3mm以下75%から3mm以下85%、95%に変化したときの各サイズ区分のビトリニット含有量の変化量ΔVbも示す。
Figure 0006874524
また、(式7)DI150 -6−DI150 -6(基準)=Σi=1〜m×Vbi,jを用い、ビトリニットの影響度Bを求めた。低石炭化度炭C炭由来のビトリニット濃縮炭を3つの粒度区分に分け、それぞれを、0.6mm以下に粉砕した高石炭化度炭A炭に内数で30%混合し、それぞれのコークス表面破壊粉率を測定し同じく1〜3mmのビトリニット濃縮炭を内数で30%混合した場合のコークス表面破壊粉率(基準)を求めた。また、Vbを測定し、式(7)の最小二乗法による回帰分析により、ビトリニットによる影響度Bを求めた。それぞれのサイズ区分における影響度Bを表15に示す。
Figure 0006874524
粉砕粒度の変化に伴う、粗大低石炭化度ビトリニットのサイズ変化によるコークス表面破壊粉率の変化ΔDI150 -6(b2)は、(式10)ΔDI150 -6(b2)=B×ΔVbi,j×Xより、C炭およびD炭それぞれでのΔDI150 -6(b2)を求め、配合比より、配合炭Iおよび配合炭IIにおいて、低石炭化度炭C炭およびD炭を基準粒度1である3mm以下75%より粉砕粒度を変化させた時の、それぞれの3mm以下の粉砕比率での粗大低石炭化度ビトリニットのサイズ変化によるコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b2)の推定値を表16に示す。
Figure 0006874524
以上の結果を用い、コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)―コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)の式より、全体のコークス強度を推定した。
配合炭Iおよび配合炭IIにおいて、低石炭化度炭C炭およびD炭の粉砕粒度変化によるコークス表面破壊強度の変化をまとめると、表17および表18の通りである。
Figure 0006874524
Figure 0006874524
以上、空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6の関係(a1)および(a2)から推定した推定値(粉砕粒度の影響なし)に対し、上記(A)の膨張性変化の影響と上記(B1)のイナートのサイズ変化による影響、上記(B2)による低石炭化度ビトリニットのサイズ変化による影響を考慮した推定値を、3mm以下の粉砕比率毎に表19、20に示す。
なお、3mm以下75%での推定値は、いずれの場合においても空隙充填度とコークス表面破壊強度DI150 6の関係(a1)および(a2)から推定した値である。
低石炭化度炭の粉砕粒度変化に伴う影響を考慮して推定することで、より実測値に近い値を推定することができた。
Figure 0006874524
Figure 0006874524
さらに、配合炭Iにおいて、低石炭化度炭-3mm95%の条件において、高石炭化度炭A炭を、基準粒度の3mm以下90%から3mm以下95%に変化させて配合した配合炭のコークス強度DI150 6を求めた。
また、高石炭化度炭A炭を3mm以下90%から3mm以下95%に変化させた際のイナートサイズの変化に伴うΔDI150 −6(d)は、−0.1と推定された。
高石炭化度炭A炭の基準粒度からの粒度変化に伴うDI150 6の変化を考慮した場合のコークス強度の推定値と、考慮した場合の推定値、および得られたコークスの実測したDI150 6を表21に示す。
高石炭化度炭A炭の粒度変化に伴うDI150 6の変化を推定することで、より実測値に近い値を推定することができた。
Figure 0006874524

Claims (3)

  1. 配合炭として、ビトリニット反射率Roが0.9以下である低石炭化度炭を粉砕して用い、かつ、Roが0.9を超える高石炭化度炭であって粗大イナート高含有炭を3mm以下90質量%以上に粉砕して用いてコークスを製造する場合に、低石炭化度炭の粉砕粒度が基準粒度から変化した際のコークス強度DI150 6の推定方法であって、
    (A)石炭の膨張比容積への影響について、
    (A1)予め、基準粒度1に粉砕した低石炭化度炭を用いて、低石炭化度炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a1)と、基準粒度2に粉砕したビトリニット反射率Roが0.9を超える高石炭化度炭を用いて、高石炭化度炭の膨張比容積SVと嵩密度BDの積SV×BDで表される空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a2)をそれぞれ求めておき、
    (A2)実施予定粒度1における低石炭化度炭自身の膨張比容積を求め、予め求めておいた低石炭化度炭の前記空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a1)から、低石炭化度炭の実施予定粒度1における低石炭化度炭に関するコークス強度DI150 6(a1)を推定し、
    (A3)前記低石炭化度炭が実施予定粒度1における、高石炭化度炭の膨張比容積を求め、予め求めておいた高石炭化度炭の前記空隙充填度とコークス強度DI150 6との関係(a2)から、低石炭化度炭の実施予定粒度1における高石炭化度炭に関するコークス強度DI150 6(a2)を推定し、
    (A4)前記DI150 6(a1)に配合炭中の低石炭化度炭比率を掛け、前記DI150 6(a2)に配合炭中の高石炭化度炭比率を掛け、それぞれを足し合わせることで、低石炭化度炭の実施予定粒度1における膨張性を反映したコークス強度DI150 6(a)を求め、
    (B)低石炭化度のイナート組織のサイズおよび低石炭化度のビトリニット組織のサイズのコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響について、
    (B1)イナート組織のサイズ区分別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度1および実施予定粒度1におけるイナート組織のサイズ別含有量から、粉砕によるイナート組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b1)を推定し、
    (B2)低石炭化度炭のビトリニット組織サイズの区分別に、ビトリニット組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度1および実施予定粒度1におけるビトリニット組織のサイズ別含有量から、粉砕によるビトリニット組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(b2)を推定し、
    (C)低石炭化度炭の粉砕粒度を変化させた際のコークス強度DI150 6を、次の式、
    コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)、
    により推定することを特徴とするコークス強度DI150 6の推定方法。
    ここで、基準粒度1は、前記(a1)の関係を求める際の基準となる粒度であり、3mm以下が70質量%以上の粒度、基準粒度2は前記(a2)の関係を求める際の基準となる粒度であり、3mm以下が90質量%以上の粒度を意味している。
    また、粗大イナート高含有炭は、3mm以下が70〜85質量%に粉砕された石炭中に、最大長さが1.5mm以上のイナート組織を5体積%以上含有する石炭を意味している。
    また、実施予定粒度1は、低石炭化度炭について実施を予定している粒度である。
  2. 前記の関係(a2)を求める際に用いた高石炭化度炭の基準粒度2と、高石炭化度炭について実施を予定している粒度である実施予定粒度2が異なる場合、高石炭化度炭のイナート組織のサイズ区分別に、該イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度をあらかじめ定めておき、基準粒度2および実施予定粒度2におけるイナート組織のサイズ別含有量から、粉砕によるイナート組織のサイズ変化に伴うコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化量ΔDI150 -6(d)を推定し、前記の(C)の過程で、次の式、
    コークス強度DI150 6=コークス強度DI150 6(a)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b1)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(b2)−コークス表面破壊粉率の変化量ΔDI150 -6(d)、
    により推定することを特徴とする請求項1に記載のコークス強度DI150 6の推定方法。
  3. 前記のRoが0.9を超える高石炭化度炭が粗大イナート低含有炭の場合、前記の基準粒度2は3mm以下が70質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のコークス強度DI150 6の推定方法。
    ここで、粗大イナート低含有炭は、3mm以下が70〜85質量%に粉砕された石炭中に、最大長さが1.5mm以上のイナート組織を5体積%未満含有する石炭を意味している。
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