JP5309943B2 - 高炉用コークスの製造方法 - Google Patents

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本発明は、非微粘結炭と粘結炭を配合した配合炭を使用した高炉用コークスの製造方法に関し、特に、非微粘結炭と粘結炭を問わず、各種銘柄の原料炭中に存在するイナート(不活性)組織に起因するコークス強度の低下を抑制して、コークス強度を向上するための高炉用コークスの製造方法に関するものである。
一般に、製鉄プロセスにおける還元材、及び、熱源として使用される高炉用コークスは、複数の銘柄の原料炭を、それぞれ粉砕し、所定の割合で配合し、所定の粒度を有する配合炭を形成した後、コークス炉に装入して、所定時間、乾留することで製造される。
この際、コークス強度DI150 15は、配合炭を構成する複数の銘柄の原料炭の性状と、配合炭の粒度により影響される。なお、ここで、DI150 15は、JIS K 2151で規定されたドラム試験機による150回転後の15mm篩上の割合(−)であり、コークスの強度(ドラム強度ともいう。)を表す指標である。
コークス強度DI150 15に影響する石炭の性状として、石炭の粘結性が挙げられる。石炭の粘結性は、JIS M 8801のギーセラープラストメーターによる流動性試験で測定する最高流動度や、JIS M 8801のディラトメーターによる膨張性試験で測定する全膨張率により求めることができる。これらの測定値が高くなるほど、石炭の軟化溶融時の流動性及び膨張性は高くなる。
原料炭は、石炭の粘結性に基づいて、粘結性が高い粘結炭と、粘結性が低い非微粘結炭に分けられる。粘結炭は、軟化溶融時の流動性及び膨張性が高いので、石炭粒子間の接着を容易にし、コークス強度を高める効果がある。一方、非微粘結炭は、粘結炭の軟化溶融時の流動性及び膨張性が低いので、石炭粒子間の接着が不十分となり、非微粘結炭を多量に配合すると、コークス強度が低下する。
また、コークス強度DI150 15に影響する石炭の性状として、粘結炭及び非微粘結炭を問わず、石炭中に存在し、石炭の加熱時に軟化溶融しない不活性成分からなる組織(以下「イナート組織」という。)が挙げられる。
石炭中のイナート組織は、石炭の軟化溶融時に膨張せず、石炭の再固化時に収縮し難い組織であるので、石炭の膨張による石炭粒子間の接着を阻害するとともに、石炭の収縮時に亀裂を発生させ、コークス強度を低下させる原因となる。
一方、配合炭の粒度は、コークス炉装入時の嵩密度に影響する。配合炭の粒度が粗い場合は、炉内の充填構造は最密充填構造に近づき、コークス炉装入時の嵩密度は向上し、石炭の軟化溶融、膨張時に、石炭粒子間の接着を容易にするが、配合炭中に粗大な石炭粒子が存在すると、その粒子界面から割れが誘発て、コークスの破壊強度が低下する。
逆に、配合炭の粒度が小さ過ぎると、コークス炉に装入した際の嵩密度が低下し、石炭粒子間の空隙が大きくなるため、軟化膨張時に、石炭粒子間の接着が不十分となり、コークス強度が低下する。
このため、一般に、石炭の性状を均一化し、かつ、コークス装入時の嵩密度を、所定レベルに維持して、コークス強度を高めるために、配合炭全体の粒度を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように調整している。
近年、石炭資源の枯渇化に伴い、非微粘結炭を多量に使用するとともに、イナート組織を多く含有する粘結炭及び非微粘結炭を使用し、高強度のコークスを製造することが要求されている。
コークス強度の低下の原因となる非微粘結炭、及び/又は、イナート組織を多く含有する石炭を使用し、所定レベルのコークス強度を確保する上で、配合炭を構成する各銘柄の石炭の粉砕による粒度調整は重要なことである。それ故、従来から、石炭の性状及び銘柄に応じた石炭の粉砕方法と、これを利用した高強度コークスの製造方法が、幾つか提案されている(特許文献1〜3、参照)。
例えば、特許文献1には、複数の銘柄の石炭を、平均反射率が0.9体積%以下の非微粘結炭、平均反射率が0.9%超で、かつ、全イナート量が35体積%以上の高イナート炭、及び,平均反射率が0.9%超で、かつ、全イナート量が35体積%未満の低イナートのグループに分け、非微粘結炭の粒径3mm以下の質量割合が、配合炭の粒径3mm以下の質量割合より高く、高イナート炭の粒径3mm以下の質量割合が、非微粘結炭の粒径3mm以下の質量割合以下に、低イナート炭の粒径3mm以下の質量割合が、高イナート炭の粒径3mm以下の質量割合未満になるように粉砕し、粉砕後の全ての石炭を混合し、コークス炉で乾留することを特徴とする方法が開示されている。
しかし、特許文献1記載の方法によっても、コークス強度は、DI150 15で、78程度であり、所望のコークス強度が得られない場合がある。
また、特許文献2には、硬度の高い石炭、又は、イナート量の多い石炭を、粒径の大きな石炭と粒径の小さな石炭に分級し、粒径の大きな石炭を粉砕し(第一の粉砕工程)、第一の粉砕工程で処理された石炭と前記粒径の小さな石炭を配合した後、配合した石炭を、さらに粉砕し(第二の粉砕工程)、残りの石炭を配合した後、粉砕し(第三の粉砕工程)、前記第二の粉砕工程で処理した石炭と配合して、コークス炉に装入することを特徴とする方法が開示されている。
しかし、特許文献2記載の方法によっても、コークス強度は、DI30 15で、最高94.3(DI150 15で84程度に相当する)であり、所望のコークス強度が得られない場合がある。
このように、特許文献1及び2に提案される方法は、主として、石炭の平均反射率、イナート組織などの性状、非微粘結炭などの銘柄毎に石炭を粉砕することにより、石炭組織の均一化を図るとともに、配合石炭全体の粒度分布を調整して、コークス強度の向上を図っているが、いずれにおいても、コークス強度が、期待するDI150 15に達しない場合がある。
また、本発明者らの検討結果によれば、コークス強度は、イナート組織の合計量ではなく、特定サイズ以上の粗大なイナート組織に支配されることが確認されており、特許文献1及び2に開示の方法における石炭中のイナート組織の合計量に基づく石炭粉砕では、コークス強度が十分に向上しない場合がある。
本出願人は、これらの方法による石炭の粒度調整では、コークス強度の向上に限界があるとの認識にたち、配合炭中のサイズが最大長さで1.5mm以上の粗大イナート組織の累積体積比と、粉砕粒度との関係を調査研究し、高強度のコークスを製造し得る配合炭の粒度調整方法を、特許文献3で提案した。
特許文献3で提案した配合炭の粒度調整方法によれば、高度低下の原因となる低品位の非微粘結炭を多量に使用しても、DI150 15で、86〜87程度の強度を有するコークスを定常的に製造することができる。
しかし、この方法では、DI150 15で87以上の高い強度が要求される場合には、粗大イナート組織の累積体積比を低減するため、石炭を、粉砕強度を高めて粉砕する必要があるが、粉砕強度を高めると、粒径0.3mm以下の微粉炭が増加し、配合炭全体の嵩密度も低下するので、目標とする、DI150 15で87以上のコークス強度を達成できない場合がある。
また、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加は、石炭の搬送過程及びコークス炉装入時における発塵の問題を招き、さらには、コークス炉での炉壁カーボン付着量の増加によるコークス押出し負荷の増大や、タール品質の低下などをもたらし、好ましくない。
したがって、粗大イナート組織を含む石炭の強粉砕に伴う、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭全体の嵩密度(t/m3)の低下を抑制しつつ、安定的かつ効果的にコークス強度を高めることができる粒度調整方法が求められている。
特開2006−273884号公報 特開2006−348309号公報 特開2004−339503号公報
本発明は、従来技術の上記実情に鑑み、強度低下の原因となる、サイズが最大長さで1.5mm以上の粗大イナート組織を含む石炭を効果的に粉砕し、石炭粉砕に伴う、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭全体の嵩密度の低下を抑制することで、安定的かつ効果的にコークス強度を高めることができる高炉用コークスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する石炭の粉砕、粒度調整、及び、配合について、鋭意研究した。
その結果、イナート組織を、長さサイズで、サイズ区分i(=1〜m[自然数])に区分し、サイズ区分i別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率(DI150 -6)への影響度、及び/又は、イナート組織のコークス体積破壊粉率(DI150 6-15)への影響度を予め定め、これら影響度の違いを考慮して原料炭の粉砕及び配合を調整すれば、目標とするコークス強度を得ることができることが判明した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、以下のとおりである。
(1)複数銘柄の原料炭を銘柄別に粉砕し、目標コークス強度DI150 15となるように配合した配合炭をコークス炉に装入して高炉用コークスを製造する方法において、
(A)(A1)最大長さ0.6mm以上のイナート組織を、長さサイズで、サイズ区分i(=1〜m[自然数])に区分し、
(A2)サイズ区分i(=1〜m)別の体積率(体積%)が異なるイナート組織を含有する石炭を、配合炭の平均収縮率が異なる条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6に基づいて、サイズ区分i別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)を予め定め、
(B)(B1)粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の銘柄j(=1〜n[自然数])の原料炭について、最大長さが1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)、及び、上記サイズ区分i別のイナート組織の含有量Ibi,j(体積%)を測定し、
(B2)上記粗大イナート組織の含有量(体積%)の測定値に基づいて、銘柄jの原料炭を区分するための境界値を、5〜7体積%の範囲内で定め、
(C)(C1)銘柄jの原料炭を、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値以上の高イナート含有炭と、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値未満の低イナート含有炭の2種類に区分し、
(C2)低イナート含有炭に区分される銘柄j’の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕し、高イナート含有炭に区分される銘柄j”の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が、低イナート含有炭の粒径3mm以下の累積%より大きくなるように粉砕し、
(C3)粉砕後の銘柄j別の原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Iai,j(体積%)を測定し、
(D)粉砕後の銘柄jの原料炭を、下記(1)式を満足するように配合する
ことを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
目標DI150 -6−基準DI150 -6=Σj=1~n{Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)}
×Xj ・・・(1)
但し、
目標DI150 -6:目標とするコークス強度(−)
基準DI150 -6:銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕して配合した配合炭で製造したコークスのコークス強度(−)
j:配合炭を構成する銘柄jの原料炭の配合割合(質量%)
(2)複数銘柄の原料炭を銘柄別に粉砕し、目標コークス強度DI150 15となるように配合した配合炭をコークス炉に装入して高炉用コークスを製造する方法において、
(A)(A1)最大長さ0.6mm以上のイナート組織を、長さサイズで、サイズ区分i(=1〜m[自然数])に区分し、
(A2)サイズ区分i(=1〜m)別の体積率(体積%)が異なるイナート組織を含有する石炭を、配合炭の平均収縮率が異なる条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6及びコークス体積破壊粉率DI150 6-15に基づいて、サイズ区分i別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、イナート組織のコークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)を予め定め、
(B)(B1)粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の銘柄j(=1〜n[自然数])の原料炭について、最大長さが1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)、及び、上記サイズ区分i別のイナート組織の含有量Ibi,j(体積%)を測定し、
(B2)上記粗大イナート組織の含有量(体積%)の測定値に基づいて、銘柄jの原料炭を区分するための境界値を、5〜7体積%の範囲内で定め、
(C)(C1)銘柄jの原料炭を、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値以上の高イナート含有炭と、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値未満の低イナート含有炭の2種類に区分し、
(C2)低イナート含有炭に区分される銘柄j’の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕し、高イナート含有炭に区分される銘柄j”の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が、低イナート含有炭の粒径3mm以下の累積%より大きくなるように粉砕し、
(C3)粉砕後の銘柄j別の原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Iai,j(体積%)を測定し、
(D)粉砕後の銘柄jの原料炭を、下記(1)式を満足するように配合する
ことを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
目標DI150 15−基準DI150 15=Σj=1~n{Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j
+Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)}×Xj ・・・(1)
但し、
目標DI150 15:目標とするコークス強度(−)
基準DI150 15:銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕して配合した配合炭で製造したコークスのコークス強度(−)
j:配合炭を構成する銘柄jの原料炭の配合割合(質量%)
(3)前記サイズ区分を、m=5として、i=1(サイズ区分1:0.6〜1.5mm未満)、i=2(サイズ区分2:1.5〜3mm未満)、i=3(サイズ区分3:3〜5mm未満)、i=4(サイズ区分4:5〜10mm未満)、及び、i=5(サイズ区分5:10mm以上)に区分することを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉用コークスの製造方法。
本発明によれば、コークス強度の低下をもたらす、最大長さ0.6mm以上のイナート組織を長さサイズで区分し、イナート組織のサイズ別によるコークス強度への影響度を予め定めるとともに、影響度の違いを考慮して、効果的に石炭を粉砕しかつ配合することにより、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭の嵩密度の低下を招かずに、極めて高い強度を有するコークスを製造することができる。
また、安価であるが低品位の非微粘結炭の使用比率を高めても、複数銘柄の原料炭を、イナート組織の累積体積比でグループ化し、イナート組織のサイズ別によるコークス強度への影響度を考慮して粉砕・配合し、配合炭を、空隙充填度の高い状態で乾留するので、高強度でかつ均質のコークスを製造することができる。
一般に、コ−クス強度は、ヤング率等の物性と欠陥によって支配される。しかし、通常の高炉用コークスの製造プロセスで使用する原料炭の炭種や、その配合比率、及び、通常の乾留温度の条件で生成するコークスの基質におけるヤング率等の物性は、大きく変化しないので、コークス強度は、コ−クス中の欠陥により支配されると考えられている。
コークス強度を支配するコークス中の欠陥は、構造上、主として、石炭の軟化膨張時に生じる石炭粒子間の接着不良及び粗大気孔と、その他、主として、再固化後の収縮時に生じるクラックの2種類に大きく分けられる。
通常のコークス製造用の原料炭は、コークス炉内で、400℃前後の温度で軟化、膨張を開始し、500℃前後の温度で再固化し、コークス化する。
石炭の軟化、膨張時に、軟化溶融した石炭が、石炭粒子間の空隙に入り込み、石炭粒子同士が、接着する。その後、軟化溶融状態の石炭粒子が再固化して、コ−クス化するが、この過程で石炭粒子は収縮する。
石炭粒子の再固化後の収縮過程において、石炭粒子中に収縮率の異なる組織があると、これらの組織間に収縮差が生じ、石炭粒子中にクラックが発生する。この石炭粒子中のクラックは、コークスの破壊の起点となり、コークス強度を低下させる原因となる。
石炭中に存在するイナート組織は、石炭の加熱により軟化溶融するビトリニット組織及びエグジニット組織に比べ、揮発分が少なく、石炭の軟化・膨張時に殆ど膨張せず、再固化後の収縮率が小さい組織である。
石炭の再固化した後の収縮時に生じるクラックは、イナート組織とビトリニット組織やエグジニット組織などの軟化溶融組織との収縮率の差により、イナート組織の界面に応力が発生し、イナート組織の内部又は周辺にクラックが発生することが主な原因であると考えられる。
本発明者らのコークス用原料炭を対象とした調査結果によれば、石炭中に含有するビトリニット組織やエグジニット組織などの軟化溶融組織の収縮率は12〜16%まで幅があるのに対して、イナート組織の収縮率は、石炭銘柄によらずほぼ10%程度と一定であった。
したがって、石炭の再固化した後の収縮時に生じるクラック発生に起因するコークス強度の低下は、イナート組織の収縮率と、ビトリニット組織やエグジニット組織などの軟化溶融組織の収縮率との差に依存し、この収縮率の差は、イナート組織の収縮率がほぼ一定であるため、配合炭の平均収縮率で決まるものと考えられる。
なお、石炭中のイナート組織の収縮率は、以下の方法で測定することができる。
石炭中のイナート組織は、ビトリニット組織やエグジニット組織など、その他の軟化溶融組織よりも比重が大きいため、重液を用いて比重差により分離することができる。
具体的には、石炭を75μm以下の粒度に微粉砕し、これを、比重:1.5〜1.7g/cm3の塩化亜鉛水溶液の比重液に懸濁させ、その後、遠心沈降分離を行うことでイナートを濃縮する。このイナート濃縮物について、顕微鏡を用いた組織分析により、イナート純度を測定するとともに、例えば、特開2005−232349号公報などに開示される石炭の収縮率の測定方法に従って、イナート濃縮物の収縮率を測定する。
具体的には、イナート濃縮物(試料)を容器内に装入し、電気炉で、石炭を、常温から再固化温度以上の温度T(例えば、T=1000℃)(℃)まで加熱し、再固化温度と温度Tにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値を、イナート濃縮物(試料)の収縮率とする。
再固化温度でのイナート濃縮物(試料)の容積:VR及び長さ:LR、温度Tでのイナート濃縮物(試料)の容積:VT及び長さ:LTとすると、温度Tでのコークス収縮率R(−)は、以下の(a)又は(b)式で定義することができる。
R=(VR−VT)/VR (a)
R=(LR−LT)/LR (b)
なお、上記のイナート組織の分離方法で、純度100%のイナート組織が得られない場合は、分離した純度の異なるイナート濃縮物(試料)の収縮率を測定し、これらを基に、外挿法により、純度100%イナート組織の収縮率を求めることができる。
石炭中のビトリニット組織やエグジニット組織などの軟化溶融組織の収縮率も、上記の方法で測定される。
図1に、コークス中に存在するイナート組織と、その周辺の組織の一例を示す。イナート組織は、加熱により軟化溶融せずに、コークス中に残存するので、図1に示すようなコークス、又は、石炭の断面組織を顕微鏡で観察することにより、そのサイズを測定することができる。なお、本発明では、石炭中のイナート組織のサイズは、最大長さ(mm)を意味するものとする。
図1中のイナート組織のサイズ(最大長さ)は、3mm弱であるが、イナート組織は、通常、石炭中において、0.1μm〜10mmの幅広いサイズ(最大長さ)範囲で存在する。
本発明者らの検討の結果、コークス強度を大きく低下させる原因となるコークス中のクラックは、mmオーダー(1.0mm以上)サイズ(最大長さ)の粗大なイナート組織の内部又は周辺に生成する、mmオーダー(1.0mm以上)の大きなクラックであることが確認されている(図1、参照。イナート組織の周辺に、クラックが生成している。)。
つまり、グリフィスの破壊条件式(例えば、「J.F.Knott(宮本博訳)、「破壊力学の基礎」、p.107」[培風館(1977)発行]、参照)によれば、大きなクラックは、小さなクラックよりも低い応力で進展・拡大するから、粗大イナート組織の内部又は周辺に生成したmmオーダーの大きなクラックは、コークスが衝撃を受けた時、脆性破壊の起点(欠陥)として作用する。
それ故、mmオーダー(1.0mm以上)の大きなクラックを多数含むコークスは、著しく強度が低く、容易に粉化してしまう。
本出願人は、以上の知見を踏まえ、配合炭を構成する石炭中の、サイズが最大長さで1.5mm以上の粗大イナート組織の累積体積比と粉砕粒度との関係に基づいて、石炭を粉砕することによりコークス強度を高める粒度調整方法を、特許文献3で提案した。
特許文献3で提案した配合炭の粒度調整方法によれば、強度低下の原因となる低品位の非微粘結炭を多量に使用しても、DI150 15で、86〜87程度の強度を有するコークスを定常的に製造することができる。
しかし、上記方法で、DI150 1587以上の高いコークス強度を達成しようとする場合、上記粗大イナート組織の累積体積比を低減するため、石炭の粉砕強度を高める必要があるが、粉砕強度を高めると、粒径0.3mm以下の微粉炭が増加し、配合炭全体の嵩密度も低下して、目標とするDI150 15で、87以上のコークス強度を達成できない場合がある。
また、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加は、石炭の搬送過程及びコークス炉装入時における発塵の問題を招き、さらには、コークス炉でのプレカーボンの発生によるコークス押出し負荷の増大や、タール品質の低下などをももたらすので、好ましくない。
そこで、本発明者らは、粗大イナート組織を長さサイズで区分し、その組織のサイズ別によるコークス強度への影響度を予め定めるとともに、影響度の違いを考慮し、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭の嵩密度の低下を招かずに、極めて高い強度を有するコークスを製造するための効果的な粉砕・配合方法を、さらに検討した。
具体的には、下記に説明するように、配合炭の平均収縮率が異なる条件毎に、サイズ区分別の体積率(体積%)が異なるイナート組織を含有する石炭を乾留してコークス強度DI150 15を測定し、イナート組織のサイズ区分別に、イナート組織のコークスの強度DI150 15に与える影響について検討した。
石炭として、単銘柄の石炭(イナート組織を殆ど含有しない銘柄の石炭)に、No.1:0.1〜0.3mm未満、No.2:0.3〜0.6mm未満、No.3:0.6〜1.5mm未満、No.4:1.5〜3.0mm、No.5:3.0〜5.0mm未満、No.6:5.0〜10.0mm未満、及び、No.7:10〜15mm未満の7区分の粒度フラクションに篩い分けによって調整したサイズの異なるイナート組織を、それぞれ、10%配合した配合炭を用意し、これらの7種類(No.1〜7)の配合炭を、配合炭の平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の3条件にて、乾留炉で乾留しコークスを製造した。
そして、以下の方法により、石炭中のイナート組織のサイズ(最大長さ)、及び、サイズ区分別のイナート組織の体積率を測定した。
石炭中のイナート組織のサイズ(最大長さ)、及び、サイズ区分別のイナート組織の体積率の測定は、例えば、特開2004−339503号公報に記載の測定方法により行なうことができる。
つまり、得られたコークスの切断面に樹脂を埋め込み、その切断面を顕微鏡で写真撮影した後、切断面の写真において、イナート組織にマーキングを施し、画像解析ソフトを用いて、イナート組織のサイズ(最大長さ)と、その面積率(面積%)を測定し、これらの測定値から、イナート組織のサイズ区分別に、イナート組織の体積率(体積%)を求めることができる。
図2に、7種類の配合炭(No.1〜7)中に存在するイナート組織のサイズ分布を示す。なお、図2の横軸に示すイナート組織のサイズは、上記方法で測定したイナート組織の最大長さ(mm)を示す。縦軸には、サイズ区分別に測定したイナート組織の累積体積率(体積%)を示す。
図3(a)〜(c)に、上記7種類の配合炭(No.1〜7)の平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の3条件にて、配合炭(No.1〜7)を乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6を示す。同様に、図4(a)〜(c)に、平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の場合のコークス体積破壊粉率DI150 6-15を示す。
ここで、コークス表面破壊粉率DI150 -6は、JIS K 2151で規定されたドラム試験機による、150回転後の6mm篩下の割合(粉率)(−)を示し、コークス体積破壊粉率DI150 6-15は、JIS K 2151で規定されたドラム試験機による、150回転後の6mm篩上で、かつ、15mm篩下の割合(粉率)(−)を示す。
通常のコークス強度の管理指標として用いられるコークス強度DI150 15と、コークス表面破壊粉率DI150 -6、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15の関係は、下記(2)式で表すことができる。
DI150 15=100−(DI150 -6+DI150 6-15) ・・・(2)
コークス表面破壊粉率DI150 -6は、破壊単位が小さいので、石炭粒子間の局所的な接着不良部、微小サイズの気孔、及び、イナート組織に起因した微小欠陥により生じた粉率であり、コークス体積破壊粉率DI150 6-15は、DI150 -6に比べて破壊単位が大きいので、連結気孔等の粗大サイズの気孔及び粗大サイズのイナート組織に起因する粗大欠陥により生じた粉率である。
図3(a)より、配合炭の平均収縮率が16%のとき、配合炭中に存在するイナート組織の長さサイズ(最大長さ)が0.6mm未満の場合(篩い分けによるイナート組織の最大サイズが、0.6mm未満のNo.1〜2の配合炭)は、コークス表面破壊粉率DI150 -6は約12.9と低く、コークス表面破壊粉率DI150 -6への影響は小さい。
また、石炭中に存在するイナート組織のサイズが、0.6mm以上、3.0mm未満の場合(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、0.6〜3.0mm未満のNo.3〜4の配合炭)には、イナート組織のサイズの増加とともに、コークス表面破壊粉率DI150 -6は増加する。
さらに、石炭中に存在するイナート組織の長さサイズが、3mm以上となると(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、3.0〜15mm未満のNo.5〜7の配合炭)、コークス表面破壊粉率DI150 -6は、約15.5(−)と一定になる。
図3(b)より、配合炭の平均収縮率が14%のとき、配合炭中に存在するイナート組織の長さサイズ(最大長さ)が、1.5mm未満の場合(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、1.5mm未満であるNo.1〜3の配合炭)は、コークス表面破壊粉率DI150 -6は、約12.2と低く、コークス表面破壊粉率DI150 -6への影響は小さいと推定される。
また、石炭中に存在するイナート組織の長さサイズが、1.5mm以上、5mm未満の場合(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、1.5〜5mm未満のNo.4〜5の配合炭)には、イナート組織の長さサイズの増加とともに、コークス表面破壊粉率DI150 -6は増加する。
さらに、石炭中に存在するイナート組織の長さサイズが、5mm以上となると(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、5〜15mm未満のNo.6〜7の配合炭)、コークス表面破壊粉率DI150 -6は、約14.2(−)と一定になる。
図3(c)より、配合炭の平均収縮率が12%のとき、配合炭中に存在するイナート組織の長さサイズ(最大長さ)が、1.5mm未満の場合(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、1.5mm未満であるNo.1〜3の配合炭)は、コークス表面破壊粉率DI150 -6は、約11.8と低く、コークス表面破壊粉率DI150 -6への影響は小さいと推定される。
また、石炭中に存在するイナート組織の長さサイズが、3mm以上になると(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、3.0〜15mm未満のNo.5〜7の配合炭)、イナート組織のサイズの増加とともに、コークス表面破壊粉率DI150 -6は増加する。
なお、本発明者らの他の実験結果から、図3(c)において、配合炭中に存在するイナート組織のサイズが15mm以上の場合のコークス体積破壊粉率DI150 -6は、No.7の配合炭を用いた場合と同じDI150 -6(=13.7(−))に、一定になることが確認された。
以上、図3(a)〜(c)より、配合炭の平均収縮率の上昇に伴い、配合炭中に存在し、コークス表面破壊粉率DI150 -6に影響を及ぼすイナート組織の長さサイズ(最大長さ)が、細粒側にシフトし、配合炭の平均収縮率が高い配合炭の場合(a)には、配合炭の平均収縮率が低い配合炭の場合(c)に比べて、同一長さサイズのイナート組織に対するコークス表面破壊粉率DI150 -6の増加率が大きいことが解る。
この理由は、以下のように考えられる。
コークスが破壊する場合のイナート組織周辺で発生するクラック(亀裂)のサイズは、イナート組織のサイズに比例する。コークスのような脆性体の強度に関して、長さ2cのクラックが存在する場合の平面引張応力状態における破壊靭性値Kは、下記(3)式(ギリフィスの破壊条件式)よって示される。
K=σ√πc ・・・(3)
K〔Pa・m1/2〕は破壊靭性値、σ〔Pa〕は引張応力、c〔m〕はクラック半長である。
上記(3)式は、クラックが進展を開始するサイズの臨界値を予測する式であり、右辺のσ√πcが、左辺のKの値に達したとき、クラックは進展する。
配合炭の平均収縮率が上昇しても、イナート組織の収縮率は10%程度と一定のため、イナート組織とその周囲のビトリニット組織やエグジニット組織などの軟化溶融組織との収縮率の差が大きくなる。この収縮率の差の増加に起因してイナート組織とその周辺の軟化溶融組織との界面付近での歪みが増大し、上記(3)式の右辺における引張応力σが増加する。
このため、上記(3)式の右辺におけるクラック半長さcが小さいクラックでも、破壊靱性値Kに到達し易くなり、この理由で、図3に示すように、配合炭の平均収縮率の上昇に伴い表面破壊粉率DI150 -6への影響度Aiの変化領域がイナート組織の長さサイズが、細粒側にシフトとものと考えられる。
これらの知見から、サイズが最大長さで0.6mm以上のイナート組織を含有する石炭を対象として、0.6mm以上で、サイズ区分別のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)を定める場合には、イナート組織のサイズ区分を、0.6〜15mm未満の間で、5つのサイズ区分(例えば、0.6〜1.5mm未満、1.5〜3mm未満と、3〜5mm未満、5〜10mm未満、10m以上)に分け、サイズ区分別に、影響度Aiを定める必要があることが解る。
上記知見を得た実験においては、長さサイズ0.6mm以上のイナート組織を、5つのサイズ区分に区分したが、サイズ区分は、5つに限る必要はない。イナート組織の最大長さの長短に応じて、適宜、区分間隔を定め、適宜の数(i=1〜m[自然数])のサイズ区分に区分すればよい。
一方、コークス体積破壊粉率DI150 6-15は、図4(a)〜(c)より、配合炭の平均収縮率がいずれの条件においても、配合炭中に存在するイナート組織の長さサイズ(最大長さ)が、5.0mm未満の場合(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、5.0mm未満のNo.1〜5の配合炭)は、約1.2(−)と低く、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響は小さい。
また、配合炭中に存在するイナート組織の長さサイズが、5mm以上の場合(篩い分けによるイナート組織の長さサイズが、5.0mm未満のNo.6〜7の配合炭)には、イナート組織の長さサイズとともに、コークス体積破壊粉率DI150 6-15は上昇する。
なお、本発明者らの他の実験結果から、図4(a)〜(c)において、配合炭中に存在するイナート組織の長さサイズが15mm以上の場合のコークス体積破壊粉率DI150 6-15は、No.7の配合炭を用いた場合と同じDI150 6-15(=2.2(−))に、一定になることが確認された。
図4(a)〜(c)に示すように、コークス体積破壊粉率DI150 6-15の上昇は、配合炭の平均収縮率によって変化しない。この理由は、コークス体積破壊粉率DI150 6-15に影響を及ぼすサイズの大きなクラック(亀裂)は、イナート組織周囲の基質部の破壊靱性値Kの値にかかわらず、進展するためである。
これらの知見から、長さサイズ0.6mm以上のイナート組織を含有する石炭を対象として、0.6mm以上で、サイズ区分別の粗大イナート組織のコークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)を定める場合には、イナート組織のサイズ区分を、0.6〜5mm未満で、少なくとも1つのサイズ区分とし、5mm以上で、少なくとも2つのサイズ区分(例えば、5〜10mm未満と、10mm以上)とし、合計で、3つのサイズ区分に分け、サイズ区分別に、影響度Biを定める必要があることが解る。
なお、サイズ区分の数は、影響度Aiを定める場合と同様に、イナート組織の最大長さの長短に応じて、適宜、区分間隔を定め、適宜の数(i=1〜m[自然数])のサイズ区分に区分すればよい。
図3及び図4の結果を踏まえ、図5(a)〜(c)に、配合炭の平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の条件において、石炭中に存在する長さサイズ1.5mm以上の粗大イナート組織を長さサイズで区分し、サイズ区分別に、コークス表面破壊粉率DI150 -6、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15を測定し、i=1(サイズ区分1:0.6〜1.5mm未満)、i=2(サイズ区分2:1.5〜3mm未満)、i=3(サイズ区分3:3〜5mm未満)、i=4(サイズ区分4:5〜10mm未満)、及び、i=5(サイズ区分5:10mm以上)のサイズ区分i別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)を定めた例を示す。
本発明において、サイズ区分i別のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)は、配合炭の平均収縮率が異なる条件で乾留したコークスにおいて、サイズ区分iに存在するイナート組織の体積率1%当りコークス表面破壊粉率DI150 -6、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15の影響度を、それぞれ示す。
具体的に、イナート組織のサイズ区分i(=1〜m)別におけるコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)は、下記式(4)及び(5)の最小二乗法による回帰分析により、求めることができる。
DI150 -6(−)−基準DI150 -6=Σi=1~mi×Ibi,j ・・・(4)
DI150 6-15(−)−基準DI150 6-15=Σi=1~mi×Ibi,j ・・・(5)
ここで、Ibi,jは、サイズ区分i(=1〜m)のイナート組織の含有量(体積%)である。
jは、配合炭を構成する原料炭の銘柄である。DI150 -6、及び、DI150 6-15は、それぞれ、コークス表面破壊強度(−)及びコークス体積破壊強度(−)に対し影響が大きい長さサイズ0.6mm以上のイナート組織を、サイズ区分i(=1〜m)を満たすように粉砕した石炭を用いて製造したコークスのコークス表面破壊強度(−)、及び、コークス体積破壊強度(−)である。
基準DI150 -6、及び、基準DI150 6-15は、それぞれ、コークス表面破壊強度(−)及びコークス体積破壊強度(−)に対する影響がないイナート組織の長さサイズ(最大長さ)が0.6mm未満となるように粉砕した石炭を用いて製造したコークスのコークス表面破壊強度(−)、及び、コークス体積破壊強度(−)を示す。
m=5の場合は、下記式(4')及び(5')の最小二乗法による回帰分析により、求めることができる。
DI150 -6(−)−基準DI150 -6=Σi=1~5i×Ibi,j ・・・(4')
DI150 6-15(−)−基準DI150 6-15=Σi=1~5i×Ibi,j ・・・(5')
ここで、Ibi,jは、例えば、i=1(サイズ区分1:0.6〜1.5mm未満)、i=2(サイズ区分2:1.5〜3mm未満)、i=3(サイズ区分3:3〜5mm未満)、i=4(サイズ区分4:5〜10mm未満)、及び、i=5(サイズ区分5:10mm以上)のサイズ区分i別のイナート組織の含有量(体積%)である。
例えば、m=5の場合、基準DI150 -6、及び、基準DI150 6-15は、図3(b)、及び、図4(b)に示すように、配合炭の平均収縮率が14%のとき、それぞれ、12.2(No.1〜3の石炭のDI150 -6)、及び、1.2(No.1〜4の石炭のDI150 6-15)となる。
なお、サイズ区分i別のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、同コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)は、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Ibi,j(体積%)との間に加成性が成立することが確認されている。
また、影響度Ai(−/体積%)及び影響度Bi(−/体積%)は、石炭の銘柄j(=1〜n[自然数])の違いにより受ける影響は小さく、石炭の銘柄jによらず一定であることが確認されている。
したがって、銘柄jの原料炭の粉砕粒度変化によるコークス表面破壊粉率DI150 -6の変化ΔDI150 -6、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15の変化ΔDI150 6-15は、銘柄jの原料炭の粉砕粒度変化によるサイズ区分iのイナート組織の含有量変化ΔIbi,j(体積%)の測定値、サイズ区分iのイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)を基にして、下記(6)及び(7)式により求めることができる。
ΔDI150 -6(−)=Σi=1~mi×ΔIbi,j ・・・(6)
ΔDI150 6-15(−)=Σi=1~mi×ΔIbi,j ・・・(7)
さらに、上記(2)式より、銘柄j(=1〜n)の原料炭を所定条件で粉砕した時のコークス強度変化ΔDI150 15は、下記(8)式で示すことができる。
ΔDI150 15(−)=Σi=1~mi×ΔIbi,j+Σi=1~mi×ΔIbi,j・・・(8)
上記(8)式は、銘柄j(=1〜n)の原料炭の粉砕粒度を変化させたときの、コークス強度DI150 15の変化を示す式であるから、コークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai、及び/又は、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Biが大きいサイズ区分iに相当するイナート組織の含有量(体積%)が少なくなるように原料炭を粉砕すれば、コークス強度DI150 15を効果的に高めることができることを示唆している。
本発明は、複数銘柄の原料炭を銘柄別に粉砕、配合し、目標コークス強度DI150 15となるように配合炭を形成した後、該配合炭をコークス炉に装入し、乾留して高炉用コークスを製造する方法において、配合炭の平均収縮率が異なる条件にて乾留したコークスについて、コークス強度の低下をもたらす、長さサイズ0.6mm以上のイナート組織を長さサイズで区分し、その組織のサイズ区分別のコークス強度への影響度(影響度Ai及び影響度Bi)の違いを考慮し、原料炭を効果的に粉砕することにより、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭の嵩密度の低下を招かずに、極めて高い強度を有するコークスを製造することを、基本的な技術思想とするものである。
このために、本発明では、基準とするコークス強度DI150 15は、配合炭の粉砕条件が、配合炭を構成する銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の粒度(通常のコークス操業での管理基準粒度)となるように粉砕した配合炭のコークス強度(−)とする。
そして、配合炭を構成する銘柄jの原料炭を、原料炭中に存在する長さサイズ1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量“5〜7体積%”を境界値として、上記粗大イナート組織の含有量が境界値以上の高イナート含有炭と、上記イナート組織の含有量が境界値未満の低イナート含有炭の2種類に区分し、低イナート含有炭に区分される銘柄j'の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の粒度となるように粉砕し、高イナート含有炭に区分される銘柄j"の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が、低イナート含有炭の粒径3mm以下の累積%より大きくなるように粉砕する。
基準とするコークス強度DI150 15となる配合炭の粉砕条件を、配合炭を構成する銘柄jの原料炭の全てが、粒径3mm以下の累積%が70%以上とする理由は、下記の通りである。
図6及び図7に、高イナート含有炭(A炭)、及び、低イナート含有炭(B炭)の粉砕粒度(粒径3mm以下の累積比率(質量%))と、各サイズ以上のイナート組織の累積体積比率(体積%)との関係を示す。
これらの図より、3mm以下の累積%が70%未満になると、高イナート含有炭(A炭)だけでなく、低イナート含有炭(B炭)においても、10mm以上及び5mm以上の非常に粗大なイナート組織の累積体積比率が、顕著に上昇することが解る。
これらの粗大なイナート組織は、粒子界面からの割れを誘発して、コークスの破壊強度を著しく低下させる。そのため、基準とするコークス強度DI150 15の配合炭の粉砕条件では、銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70%以上になるように粉砕する。
基準とするコークス強度DI150 15となる配合炭の粉砕条件を、配合炭を構成する銘柄jの原料炭の全てが、粒径3mm以下の累積%が85%以下とする理由は、下記の通りである。
配合炭の粒度が小さ過ぎると、コークス炉に装入した際の嵩密度が低下し、石炭粒子間の空隙が大きくなるので、石炭の軟化・膨張時に、石炭粒子間の接着が不十分となり、コークス強度が低下する。そのため、基準とするコークス強度DI150 15の配合炭の粉砕においては、銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が85%以下になるように粉砕する。
一方、高イナート含有炭と低イナート含有炭を区分する境界値を、イナート組織の含有量が5〜7体積%の範囲内に設定する理由は、下記の通りである。
イナート組織の含有量を、5体積%未満の体積%で区分すると、イナート組織の含有量が比較的少ない銘柄の石炭も、強粉砕の対象となる。イナート組織の含有量が少ない炭種は、図7に示すように、3mm以下の累積%が、通常の粉砕粒度(3mm以下の累積%が70〜85質量%)を超えて増加しても、即ち、強粉砕しても、イナート組織の累積体積比率の低下代は小さい。
したがって、強粉砕しても、コークス強度の向上に寄与せず、強粉砕は、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭の嵩密度の低下のみを引き起こす原因となる。
イナート組織の含有量を、7体積%を超える体積%で区分すると、強粉砕の対象にならないイナート組織の含有量が比較的多い原料炭中に、多くのイナートが残存することになる。したがって、コークス強度を十分に高めることができない。
高イナート含有炭に区分された銘柄j”の原料炭は、低イナート含有炭の粉砕粒度に比べて、粒径3mm以下の累積%が多くなるように粉砕する。つまり、低イナート含有炭の粉砕に比べ、強粉砕する。
この際、高イナート含有炭に区分された銘柄j”の原料炭に存在するイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Biに基づいて、影響度が大きいサイズ区分iに相当するイナート組織の含有量(体積%)が重点的に少なくなるように、原料炭を粉砕する。
このように、配合炭を構成する各銘柄の原料炭を、イナート組織の含有量が境界値以上の高イナート含有炭と、イナート組織の含有量が境界値未満の低イナート含有炭の2種類に区分し、それぞれの粉砕条件で粉砕することにより、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭の嵩密度の低下を招かずに、極めて高い強度を有するコークスを製造することが可能となる。
本発明では、高イナート含有炭と低イナート含有炭に相当する銘柄jの原料炭を、それぞれの粉砕粒度に粉砕し、配合する際、配合炭を構成する銘柄jの原料炭を、下記(1x)式、又は、(1y)式を満足するよう配合する。この点も、本発明の特徴である。
目標DI150 -6−基準DI150 -6=Σj=1~n{Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)}
×Xj ・・・(1x)
目標DI150 15−基準DI150 15=Σj=1~n{Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j
+Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)}×Xj ・・・(1y)
但し、
目標DI150 15、目標DI150 -6:目標とするコークス強度(−)
基準DI150 15、基準DI150 -6:銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の粒度となるように粉砕した配合炭のコークス強度(−)
i(=1〜m[自然数]):最大長さ0.6mm以上のイナート組織のサイズ区分(サイズは、最大長さ(mm)で測定)
j(=1〜n[自然数]):配合炭を構成する原料炭の銘柄
i:配合炭を、平均収縮率が異なる条件で乾留して得た、サイズ区分i別のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度(−/体積%)
i:配合炭を、平均収縮率が異なる条件で乾留して得た、サイズ区分i別のイナート組織のコークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度(−/体積%)
Ibi,j:粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の銘柄jの原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量(体積%)
Iai,j:低イナート含有炭を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕し、高イナート含有炭を、粒径3mm以下の累積%が、低イナート含有炭の粒径3mm以下の累積%より大きくなるように粉砕した後の、銘柄j別の原料炭中におけるサイズ区分i別のイナート組織の含有量(体積%)
j:配合炭を構成する銘柄jの原料炭の配合割合(質量%)
なお、イナート組織のサイズ区分i(=1〜m[自然数])は、m=5として、
サイズ区分1:0.6〜1.5mm未満、サイズ区分2:1.5〜3mm未満、サイズ区分3:3〜5mm未満、サイズ区分3:5〜10mm未満、及び、サイズ区分5:10mm以上)に区分するのが好ましい。
まず、上記(1y)式について説明する。上記(1y)式は、上記(7)式を銘柄jの原料炭の配合割合Xj(質量%)に適用し、コークス強度(DI150 15)を基準とするコークス強度(基準DI150 15)に対し、目標とするコークス強度(目標DI150 15)まで向上するため、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の銘柄jの原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Ibi,jに対して、粉砕後の銘柄jの原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Iai,jを、どの程度変化させればよいかとの粉砕条件を決める式である。
なお、銘柄jの原料炭が、それぞれ、所定の配合割合Xj(質量%)で配合された配合炭においては、上記(1y)式で示すように、銘柄jの原料炭のコークス強度DI150 15は、銘柄jの原料炭の配合割合Xjとの間で、加成性が成立することが知られている。
また、上記(1y)式において、目標とするコークス強度(目標DI150 15)は、コークス炉の生産性と高炉用コークスの品質の要求に応じて設定されるものであり、基準とするコークス強度(基準DI150 15)は、前述したように、銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕した配合炭のコークス強度(−)とする。
本発明では、目標とするコークス強度(目標DI150 15)は、特に限定するものではない。本発明は、例えば、目標とするコークス強度(目標DI150 15)を、86以上、さらには、87以上とする場合において、ナート組織を含有する石炭の強粉砕に伴う、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭全体の嵩密度の低下を抑制して、安定的かつ効果的に、コークス強度を高めることができる。
次に、上記(1x)式について説明する。図5に示すように、サイズ区分i別のイナート組織のコークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%))の変化は、サイズ区分i別のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)の変化に比べ小さいことから、上記影響度Bi(−/体積%))の変化を、近似的に零とすることができる。
上記(1x)式は、Biの変化が小さいことから、上記(1y)式において、(i)Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)=0とし、(ii)目標及び基準とするコークス強度を、DI150 -6(目標DI150 -6、基準DI150 -6)とした式である。
実機コ−クス炉をシミュレートすることができる試験用コ−クス炉を用いて、表1に示す4銘柄の石炭(A1炭〜D1炭)を使用して、石炭の乾留試験、及び、コ−クスの評価試験を実施した。
なお、石炭のイナート組織の収縮率は、以下の方法によって測定した。
石炭を75μm以下の粒度に微粉砕し、これを、比重:1.5〜1.7g/cm3の塩化亜鉛水溶液の比重液に懸濁させ、その後、遠心沈降分離を行うことで、イナートを濃縮した。このイナート濃縮物について、顕微鏡を用いた組織分析により、イナート純度を測定するとともに、例えば、特開2005−232349号公報などに開示される石炭の収縮率の測定方法に従って、イナート濃縮物の収縮率を測定し、これらの測定値を基に、純度100%のイナート組織の収縮率を求めた。
イナート濃縮物の収縮率を測定は、上記のイナート濃縮物(試料)を容器内に装入し、電気炉で石炭を常温から再固化温度以上の温度T=1000℃(℃)まで加熱し、再固化温度における内容物の長さLR、及び、温度Tにおける内容物の長さLTの測定値を基に、下記(b)式を用いて、温度Tでのイナート濃縮物(試料)の収縮率Rを求めた。
R=(LR−LT)/LR (b)
また、石炭の平均収縮率についても、上記の方法により測定した。
最大長さで1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)TIは、測定対象の石炭を乾留して得られたコークスの切断面に樹脂を埋め込み、その切断面を顕微鏡で写真撮影した後、切断面写真におけるイナート組織にマーキングを施し、画像解析ソフトを用いてイナート組織のサイズ(最大長さ)とその面積率(面積%)を測定し、これらの測定値から、イナート組織のサイズ区分毎にイナート組織の体積率(体積%)を求め、最大長さで1.5mm以上の粗大イナート組織の累積%を計算して求めことができる(例えば、特開2004−339503号公報、参照)。
まず、表1に示すA1炭〜D1炭を、粒径3mm以下の累積%が83質量%となるように粉砕し、A1炭〜D1炭のそれぞれに含まれる最大長さでのサイズ区分1:0.6〜1.5mm未満、サイズ区分2:1.5〜3mm未満、サイズ区分3:3〜5mm未満、サイズ区分4:5〜10mm未満、サイズ区分5:10mm以上の各サイズ区分に属するイナート組織の含有量Ib(体積%)を測定するとともに、最大長さで1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)を測定した。その結果を、表2に示す。
次に、表2に示す、粒径3mm以下の累積%が83質量%に粉砕されたA1炭〜D1炭を、表3に示す配合率(A1炭:B1炭:C1炭:D1炭=25%:25%:25%:25%)で配合してコークス炉に装入し、乾留してコークスを製造した。
配合炭を粉砕する際に指標とする、サイズ区分i別のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)は、表1に示す石炭の平均収縮率の条件で乾留して得られたコークス表面破壊粉率DI150 -6、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15に基づいて、予め、表4に示すように設定した。
発明例1では、コークス強度の目標を、表3に示す目標DI150 15=86.5に設定し、高イナート含有炭と低イナート含有炭とを区分するための長さサイズ1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)の境界値を、6%と設定した。
イナート組織の含有量(体積%)が、長さサイズ1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)の境界値:6%より低い、低イナート含有炭であるD1炭を、表3に示す、粒径3mm以下を78%含有する粒度に粉砕し、かつ、サイズ区分1〜5のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)に基づいて、前記(1y)式を満足するように配合した。
また、イナート組織の含有量(体積%)が、最大長さ1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)の境界値:6%以上の高イナート炭であるA1〜C1炭を、それぞれ、表3に示す、粒度3mm以下を93%、88%、85%含有する粒度に粉砕し、かつ、サイズ区分1〜5のイナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)に基づいて、前記(1y)式を満足するように配合した。
発明例1では、本発明に従って配合炭を粉砕し、配合したので、配合炭中に、発塵の原因となる0.3mm以下の微粉の含有量を増加させずに、また、コークス炉装入時の嵩密度も低下させることなく、86.5以上の目標コークス強度DI150 15を達成することができた。
比較例1では、A1〜B1を、全て、粒度3mm以下85質量%となる粒度に粉砕したが、DIは低かった。比較例2では、高イナート炭であるA1〜C1炭を、粒度3mm以下88%、低イナート炭であるD1炭を、78%となるように粉砕したが、DIは低かった。
本発明によれば、効果的に石炭を粉砕することにより、粒径0.3mm以下の微粉炭の増加や、配合炭の嵩密度の低下を招かずに、極めて高い強度を有するコークスを製造することができる。また、本発明によれば、安価であるが低品位の非微粘結炭の使用比率を高めても、高強度でかつ均質のコークスを製造することができる。よって、本発明は、コークス製造産業において、利用可能性が高いものである。
コークス中に存在するイナート組織とその周辺の組織を示す図である。 サイズ区分別の体積率(体積%)が異なるイナート組織を含有する石炭(No.1〜No.7)のイナート組織のサイズ分布を示す図である。 No.1〜No.7の異なるサイズのイナート組織を含む石炭を、石炭の平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の3条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6を示す図である。(a)は、石炭の平均収縮率が16%の場合を示し、(b)は、石炭の平均収縮率が14%の場合を示し、(c)は、石炭の平均収縮率が12%の場合を示す。 No.1〜No.7の異なるサイズのイナート組織を含む石炭を、石炭の平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の3条件で乾留して得たコークスのコークス体積破壊粉率DI150 6-15を示す図である。(a)は、石炭の平均収縮率が16%の場合を示し、(b)は、石炭の平均収縮率が14%の場合を示し、(c)は、石炭の平均収縮率が12%の場合を示す。 サイズ区分別のイナート組織を含む石炭を、石炭の平均収縮率が、16%、14%、及び、12%の3条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度、及び、コークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度を示す図である。(a)は、石炭の平均収縮率が16%の場合を示し、(b)は、石炭の平均収縮率が14%の場合を示し、(c)は、石炭の平均収縮率が12%の場合を示す。 高イナート含有炭(A炭)の粉砕粒度(粒径3mm以下の累積比率)と、各サイズ以上のイナート組織の累積体積比率との関係を示す図である。 低イナート含有炭(B炭)の粉砕粒度(粒径3mm以下の累積比率)と、各サイズ以上のイナート組織の累積体積比率との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 複数銘柄の原料炭を銘柄別に粉砕し、目標コークス強度DI150 15となるように配合した配合炭をコークス炉に装入して高炉用コークスを製造する方法において、
    (A)(A1)最大長さ0.6mm以上のイナート組織を、長さサイズで、サイズ区分i(=1〜m[自然数])に区分し、
    (A2)サイズ区分i(=1〜m)別の体積率(体積%)が異なるイナート組織を含有する石炭を、配合炭の平均収縮率が異なる条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6に基づいて、サイズ区分i別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)を予め定め、
    (B)(B1)粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の銘柄j(=1〜n[自然数])の原料炭について、最大長さが1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)、及び、上記サイズ区分i別のイナート組織の含有量Ibi,j(体積%)を測定し、
    (B2)上記粗大イナート組織の含有量(体積%)の測定値に基づいて、銘柄jの原料炭を区分するための境界値を、5〜7体積%の範囲内で定め、
    (C)(C1)銘柄jの原料炭を、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値以上の高イナート含有炭と、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値未満の低イナート含有炭の2種類に区分し、
    (C2)低イナート含有炭に区分される銘柄j’の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕し、高イナート含有炭に区分される銘柄j”の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が、低イナート含有炭の粒径3mm以下の累積%より大きくなるように粉砕し、
    (C3)粉砕後の銘柄j別の原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Iai,j(体積%)を測定し、
    (D)粉砕後の銘柄jの原料炭を、下記(1x)式を満足するように配合する
    ことを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
    目標DI150 -6−基準DI150 -6=Σj=1~n{Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)}
    ×Xj ・・・(1x)
    但し、
    目標DI150 -6:目標とするコークス強度(−)
    基準DI150 -6:銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕して配合した配合炭で製造したコークスのコークス強度(−)
    j:配合炭を構成する銘柄jの原料炭の配合割合(質量%)
  2. 複数銘柄の原料炭を銘柄別に粉砕し、目標コークス強度DI150 15となるように配合した配合炭をコークス炉に装入して高炉用コークスを製造する方法において、
    (A)(A1)最大長さ0.6mm以上のイナート組織を、長さサイズで、サイズ区分i(=1〜m[自然数])に区分し、
    (A2)サイズ区分i(=1〜m)別の体積率(体積%)が異なるイナート組織を含有する石炭を、配合炭の平均収縮率が異なる条件で乾留して得たコークスのコークス表面破壊粉率DI150 -6及びコークス体積破壊粉率DI150 6-15に基づいて、サイズ区分i別に、イナート組織のコークス表面破壊粉率DI150 -6への影響度Ai(−/体積%)、及び、イナート組織のコークス体積破壊粉率DI150 6-15への影響度Bi(−/体積%)を予め定め、
    (B)(B1)粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%の銘柄j(=1〜n[自然数])の原料炭について、最大長さが1.5mm以上の粗大イナート組織の含有量(体積%)、及び、上記サイズ区分i別のイナート組織の含有量Ibi,j(体積%)を測定し、
    (B2)上記粗大イナート組織の含有量(体積%)の測定値に基づいて、銘柄jの原料炭を区分するための境界値を、5〜7体積%の範囲内で定め、
    (C)(C1)銘柄jの原料炭を、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値以上の高イナート含有炭と、上記粗大イナート組織の含有量が上記境界値未満の低イナート含有炭の2種類に区分し、
    (C2)低イナート含有炭に区分される銘柄j’の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕し、高イナート含有炭に区分される銘柄j”の原料炭を、粒径3mm以下の累積%が、低イナート含有炭の粒径3mm以下の累積%より大きくなるように粉砕し、
    (C3)粉砕後の銘柄j別の原料炭中における、サイズ区分i別のイナート組織の含有量Iai,j(体積%)を測定し、
    (D)粉砕後の銘柄jの原料炭を、下記(1y)式を満足するように配合する
    ことを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
    目標DI150 15−基準DI150 15=Σj=1~n{Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j
    +Σi=1~mi×(Ibi,j−Iai,j)}×Xj ・・・(1y)
    但し、
    目標DI150 15:目標とするコークス強度(−)
    基準DI150 15:銘柄jの原料炭を、全て、粒径3mm以下の累積%が70〜85質量%となるように粉砕して配合した配合炭で製造したコークスのコークス強度(−)
    j:配合炭を構成する銘柄jの原料炭の配合割合(質量%)
  3. 前記サイズ区分を、m=5として、i=1(サイズ区分1:0.6〜1.5mm未満)、i=2(サイズ区分2:1.5〜3mm未満)、i=3(サイズ区分3:3〜5mm未満)、i=4(サイズ区分4:5〜10mm未満)、及び、i=5(サイズ区分5:10mm以上)に区分することを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉用コークスの製造方法。
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