JP5942971B2 - コークスの製造方法 - Google Patents
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Description
その一つとして、劣質炭を配合して成型炭とし、その成型炭と、別の配合炭を粉砕して調製した粉炭とを混合してコークス炉に装入する方法がある。
従来、上記の成型炭を用いるコークスの製造において、強度の高いコークスを製造する方法として、例えば特許文献1、2に開示されている方法がある。
特許文献2には、原料炭に、低品質コークス原料を成型して製造した成型炭を、成型炭の粒径を調整して配合し、従来以上に強度の高いコークスを製造する高強度コークスの製造方法が開示されている。
また、特許文献3に開示されている方法は、石炭を全量塊成化してコークス炉に装入し、塊成炭間の空隙を介した伝熱を利用して乾留時間を短縮する方法であり、成型炭を粉炭に混合して乾留する場合における劣質炭の多量使用については特に知見がない。
そのような検討を通してなされた本発明の要旨は以下の通りである。
成型炭用の配合炭に配合される石炭の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率をΣTDとし、成型炭用の配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率をRDとしたとき、成型炭用の配合炭のΣTDを求め、求められたΣTDの値に応じて、成型炭用の配合炭を以下の(x)または(y)のRDで粉砕することを特徴とするコークスの製造方法。
(x)ΣTDが40%未満の場合は、RDが75〜95質量%となるように粉砕する。
(y)ΣTDが40%以上の場合は、RDが95質量%以下となるように粉砕する。
ここで、成型炭部とは、コークスの原料の成型炭に由来する部分をいい、粉炭部とは、コークスの原料の粉炭に由来する部分をいう。
特許文献3には、成型炭のみを乾留してコークスを製造する場合ではあるが、石炭の粉砕粒度を細かくすれば、コークス強度は向上することが開示されている。しかし、成型炭と粉炭を配合した配合炭を乾留して得られるコークス強度については、開示されていない。そこで、本発明者らは、成型炭と粉炭を配合した配合炭(以降、「全体の配合炭」と記載する場合がある)を乾留して得られるコークス強度に対する、成型炭の原料に用いる配合炭(以降、「成型炭用の配合炭」と記載する場合がある)の粉砕粒度の影響を検討した。
加重平均全膨張率ΣTDの値にかかわらず、同一の配合炭を用いた成型炭においては、成型炭用の配合炭−3mm比率が大きくなればなるほど、コークス強度DIが向上する傾向が認められた。
また、成型炭部に用いる配合炭の粉砕粒度の−3mm比率が60%のときは、成型炭用の配合炭の加重平均全膨張率ΣTDが40未満となる領域で、成型炭部のコークス強度が著しく低下した。一方、成型炭部に用いる配合炭の−3mm比率が75%以上のときは、成型炭部のΣTDによらず、同レベルのコークス強度DIの成型炭部コークスが得られた。
成型炭と粉炭の配合炭を用いて得られたコークスの強度は、基本的には、成型炭部の強度と粉炭部の強度の両方に依存する。
成型炭の製造に用いる配合炭の粉砕粒度を細かくすればするほど、成型炭部の強度が増加する。また、成型炭は乾留途中で膨張し、成型炭の周囲にある粉炭を圧密して周囲の粉炭との接着を強化することにより、コークス強度を向上させる。しかし、成型炭用の配合炭の粉砕粒度を細かくするほど、成型炭の膨張性が低下し膨れの量が減少するため、成型炭部の膨れによるコークス強度の向上効果が低下する。
この膨れの量の減少の影響は、粉砕粒度が細かくなるに従い大きくなる。従って、成型炭用の配合炭の粉砕粒度を増加させることに伴い、成型炭と粉炭の配合炭を乾留して得られるコークス強度(以降、「全体のコークス強度」と記載する場合がある)の向上効果は飽和し、最終的には、膨れの量の減少の影響が大きくなり、−3mm比率が95%を超えると全体のコークス強度が低下すると考えられる。
(i)成型炭部コークス強度は、同一の石炭配合では成型炭部に用いる配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率(以降、「RD」と記載する場合がある。)が大きくなるほど成型炭部コークス強度DIが向上する。
(ii)成型炭部に用いる配合炭のRDが60%のとき、ΣTDが40未満で成型炭部コークス強度DIが大幅に低下する。
(iii)成型炭部に用いる配合炭のRDが75%以上のときは、ΣTDによらず、同レベルの成型炭部コークス強度DIが得られる。
(iv)成型炭部に用いる配合炭のRDが95%を超えるようになると、全体のコークス強度DIは低下する。
本発明では、配合炭を粉砕した粉炭に成型炭を混合して、コークス炉に装入し、乾留してコークスを製造する。粉炭と成型炭の混合割合としては、粉炭70〜90質量%、成型炭10〜30質量%が例示される。
粉炭としては、限定はされないが、強粘結炭を含む通常の配合炭(ΣTD=50〜100%、ΣVM=26〜29dry%)を、−3mm比率60%〜95%の粒度に粉砕したものが例示される。
成型炭は、原料となる配合炭を粉砕し、これにバインダーを添加して混練し、この混練物をブリケットマシンなどで所定の形状に成型することにより製造される。
成型条件としては、バインダー添加率6〜10%とし、大きさ:4cc〜125cc、密度:1.1〜1.2g/cm3の範囲が例示される。
ここで、劣質炭とは、石炭化度が低く(ビトリニットの平均最大反射率が0.85%以下)、かつ、粘結性の乏しい又は粘結性のない(最高流動度2.5(log (ddpm))以下)石炭をいう。
成型炭は、原料となる配合炭を粉砕して製造する。成型炭に配合される石炭を細かく粉砕する程、石炭中に存在するイナートもより粉砕される。イナートは揮発分が低いため、他の軟化溶融する組織とは乾留時における収縮率が異なり、その差によって両組織の界面に応力が発生し、イナートの内部又は周辺に亀裂が発生する。イナートを粉砕することによってそのような亀裂の発生が抑制され、成型炭部の強度が向上する。
成型炭用の配合炭に配合される個々の単味炭の全膨張率TDを加重平均した加重平均全膨張率をΣTDとし、成型炭用の配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率をRDとしたとき、
(x)ΣTDが40%未満の場合は、RDが75〜95質量%となるように粉砕し、
(y)ΣTDが40%以上の場合は、RDが60〜95質量%となるように粉砕する。
また、劣質炭をより多量に使用しても、コークス強度を低下させないようにするためには、ΣTDを30%未満とした場合は、RDが85〜95質量%となるように粉砕するのが例示でき、ΣTDを20%未満とした場合は、RDが90〜95質量%となるように粉砕することが例示できる。
そのため、高炉での使用に必要なコークス強度を得るためには、ΣTDが40%未満では、RDが75%以上になるように配合炭を粉砕することが重要である。
前記のΣTDが40%未満の場合に、石炭の粉砕粒度RDが60%と粗くなった場合に、成型炭部コークス強度が急落する理由は、以下の様に推察される。通常、成型炭部分は見掛密度が高く、膨張率が低い石炭でも乾留過程において相互に接着する。しかし、成型炭中に粗い石炭粒子が存在すると、その粒子の周囲に局所的な空隙が発生し、ΣTD40%未満では成型炭部分の配合炭の膨れが十分でなく、その空隙を充填できないものと考えられる。
また、成型炭部のコークス強度DIは、図2に示されるように、同一粉砕粒度の場合において、炭成型炭用の配合炭のΣTDが50%を超えると飽和するため、ΣTDに特に上限は限定されない。ちなみに、劣質炭を配合する条件下であれば、ΣTDの上限は100%程度が例示できる。
石炭の全膨張率TDはすでに多くのものが調べられており、成型炭を構成する石炭の配合が決まれば、配合量(質量割合)に応じた単味炭の全膨張量TDを加算して平均をとった加重平均膨張量ΣTDを知ることができる。
次に、配合1あるいは2を用いた成型炭のいずれかを、表3に示す条件の粉炭80質量%に対して、20質量%の割合で混合した。
次に、配合1、2の成型炭20質量%と粉炭80質量%とをコークス炉に装入して乾留し、得られたコークスのコークス強度DIを調べた。
比較例1では、成型炭に用いた配合炭のΣTDが33と低く、かつ−3mm比率も75%に達していないので、十分なコークス強度が得られないが、成型炭に用いた配合炭の−3mm比率が75%以上である実施例2〜4では、十分なコークス強度を有するコークスが得られることが確認された。
また、実施例1では、−3mm比率が60%と低かったが、用いた配合1のΣTDが40%以上であったので、十分なコークス強度を有するコークスが得られた。
比較例2、3では、−3mm比率が95%を超えて高く、同じ配合炭を用いた実施例2に比べてコークス強度が低下しており、粉砕負荷の点で不適合となった。
Claims (1)
- 少なくとも劣質炭を含む成型炭用の配合炭を粉砕し、粉砕後の配合炭にバインダーを添加して混練した後、成型機で成型して成型炭とし、この成型炭を、粉炭用の別の配合炭を粉砕して調製した粉炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、
成型炭用の配合炭に配合される石炭の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率をΣTDとし、成型炭用の配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率をRDとしたとき、
成型炭用の配合炭のΣTDを求め、求められたΣTDの値に応じて、成型炭用の配合炭を以下の(x)または(y)のRDで粉砕することを特徴とするコークスの製造方法。
(x)ΣTDが40%未満の場合は、RDが75〜95質量%となるように粉砕する。
(y)ΣTDが40%以上の場合は、RDが95質量%以下となるように粉砕する。
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