JP5942971B2 - コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、劣質炭を配合してなる成型炭を、別の配合炭を粉砕して形成した粉炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法に関する。
高炉操業において、コークスには、炉内の通気性を確保するために、所要の強度が求められるが、コークス用原料としての良質の強粘結炭は、資源的に枯渇状態にあるので、劣質炭を用いて必要な強度を有するコークスを製造する方法が多く提案されている。
その一つとして、劣質炭を配合して成型炭とし、その成型炭と、別の配合炭を粉砕して調製した粉炭とを混合してコークス炉に装入する方法がある。
この方法は、図1のフロー図に示すように、少なくとも劣質炭を含む配合炭Aを準備し、これを粉砕機で粉砕し、粉砕後の配合炭にバインダーを添加して混練機で混練した後、成型機で成型して成型炭とし、他方、別の配合炭Bを粉砕して粉炭とし、例えば粉炭70〜90質量%、成型炭10〜30質量%の割合で両者を混合してコークス炉に装入し、乾留してコークスを製造する方法である。
この方法では、劣質炭を配合した石炭を見掛密度の高い成型炭とするため、コークス強度が改善される利点がある。また、装入嵩密度の低い粉炭に見掛密度の高い成型炭を混合することにより、全体の嵩密度が向上し、粉炭のみを使用した場合よりもコークス品質を改善する利点もある。
このような成型炭を用いる方法において、成型炭中の劣質炭の使用量をさらに増加するためには、劣質炭の使用量が増加しても冷間強度の高いコークスを製造できるようにすることが必要である。
従来、上記の成型炭を用いるコークスの製造において、強度の高いコークスを製造する方法として、例えば特許文献1、2に開示されている方法がある。
特許文献1には、成型炭部と粉炭部のコークス強度をそれぞれ推定し、両者のコークス化時の重量割合からコークス強度を推定する際、成型炭に用いる原料の粒度、真比重、揮発分、膨張率と、成型炭の密度と、乾留条件から成型炭部のコークス強度を推定し、粉炭部も同様にして推定することにより、強度の高いコークスが得られる原料石炭の配合調整をより適正に行うことができる方法が開示されている。
特許文献2には、原料炭に、低品質コークス原料を成型して製造した成型炭を、成型炭の粒径を調整して配合し、従来以上に強度の高いコークスを製造する高強度コークスの製造方法が開示されている。
また、石炭を粉砕して塊成化する方法として、特許文献3には、粘結力指数80未満の石炭を3mm以下70質量%以上100質量%以下に粉砕し、粘結力指数80以上の石炭を2mm以下90質量%以上に粉砕し、これらの石炭を配合して塊成化し、塊成化した石炭のみを乾留して、高強度の成型コークスを得る方法が記載されている。
特開昭60−174951号公報 特開2008−120898号公報 特開2002−121568号公報
劣質炭を配合した成型炭を粉炭とともにコークス炉に装入してコークスを製造する際、特許文献1による方法でコークス強度を推定して使用する石炭原料を調整したり、特許文献2による方法で、成型炭の粒径を調整したりしても、コークス強度が低下して、十分な強度が得られない場合があった。
また、特許文献3に開示されている方法は、石炭を全量塊成化してコークス炉に装入し、塊成炭間の空隙を介した伝熱を利用して乾留時間を短縮する方法であり、成型炭を粉炭に混合して乾留する場合における劣質炭の多量使用については特に知見がない。
そこで、本発明では、成型炭を粉炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、成型炭に配合する劣質炭の量を増加しても、強度の高いコークスを安定して製造できる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、劣質炭を多量配合した成型炭を用いてもコークス強度が低下しないようにするための要件について検討した。その結果、劣質炭の配合量を増加しても、コークスの成型炭に由来する部分(成型炭部)のコークス強度が低下しないようにすること、及び、乾留途中で成型炭が膨張して粉炭部を圧密化し、成型炭部と粉炭部の接着が強化されることが必要であることを見出した。
そして、その要件を満たすための条件についてさらに検討した結果、成型炭の原料となる配合炭の粉砕粒度が成型炭部の強度に大きな影響を与えること、及び成型炭用の配合炭の全膨張率に応じて、必要なコークス強度を得るための配合炭の粉砕粒度に最適値があることを見出した。
そのような検討を通してなされた本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 少なくとも劣質炭を含む成型炭用の配合炭を粉砕し、粉砕後の配合炭にバインダーを添加して混練した後、成型機で成型して成型炭とし、この成型炭を、粉炭用の別の配合炭を粉砕して調製した粉炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、
成型炭用の配合炭に配合される石炭の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率をΣTDとし、成型炭用の配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率をRDとしたとき、成型炭用の配合炭のΣTDを求め、求められたΣTDの値に応じて、成型炭用の配合炭を以下の(x)または(y)のRDで粉砕することを特徴とするコークスの製造方法。
(x)ΣTDが40%未満の場合は、RDが75〜95質量%となるように粉砕する。
(y)ΣTDが40%以上の場合は、RDが95質量%以下となるように粉砕する
本発明によれば、成型炭を粉炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、成型炭に劣質な石炭をより多量に使用することができるようになる。
成型炭と粉炭とを混合してコークス炉で乾留してコークスを製造する際の処理フローを示す図である。 成型炭用の配合炭の−3mm比率RDと加重平均全膨張率ΣTDを変化させた場合におけるΣTDと成型炭に由来する部分のコークス強度DIの関係をRDごとに示す図である。 成型炭用の配合炭中の粒径が3mm以下の石炭粒子が占める比率(−3mm比率)とコークス強度DIとの関係を示す図である。 成型炭と粉炭よりコークスを製造する際、成型炭部コークス強度と成型炭部の膨れが全体のコークス強度に及ぼす影響を模式的に示す図である。
成型炭と粉炭とを混合して乾留したコークスにおいて、コークス強度は、成型炭部と粉炭部のそれぞれの強度に依存すると考えられる。
ここで、成型炭部とは、コークスの原料の成型炭に由来する部分をいい、粉炭部とは、コークスの原料の粉炭に由来する部分をいう。
劣質炭を成型炭に集中配合する場合でも、全体のコークス強度が低下しないようにするには、劣質炭の配合により成型炭部の強度が低下しないようにすることが必要である。
特許文献3には、成型炭のみを乾留してコークスを製造する場合ではあるが、石炭の粉砕粒度を細かくすれば、コークス強度は向上することが開示されている。しかし、成型炭と粉炭を配合した配合炭を乾留して得られるコークス強度については、開示されていない。そこで、本発明者らは、成型炭と粉炭を配合した配合炭(以降、「全体の配合炭」と記載する場合がある)を乾留して得られるコークス強度に対する、成型炭の原料に用いる配合炭(以降、「成型炭用の配合炭」と記載する場合がある)の粉砕粒度の影響を検討した。
まず、本発明者らも、種々の石炭配合の配合炭を用いて、成型炭の原料に用いる配合炭の粉砕粒度をさまざまに変化させて成型炭を作製して、成型炭部からなるコークス強度の変化を調べた。
成型炭用の配合炭として、強粘結炭に対して劣質炭の配合量を変えた配合炭A〜Fを準備し、配合炭A〜Fを−3mm比率が60、75、85、90%になるようにそれぞれ粉砕して、劣質炭の配合量と粉砕粒度(−3mm比率)の異なる多数の配合炭を用意し、それぞれの配合炭を用いて成型炭を作製した。成型炭は乾留後に単独で取り出して評価できるように紙で包んで所定の性状の粉炭(ΣVM=28dry%、ΣTD=80%、水分=10%)に一定の配合量で混合し、混合した原料を乾留してコークスを製造した。得られたコークスは、成型炭部分からなるコークスの周囲に不活性な紙が存在することで、周囲の粉炭部分からなるコークスと分断されたような形になっており、成型炭部分からなるコークスを取り出すことができる。この様にして得られた成型炭部分のコークスについて、強度を測定した。
成型炭部分のコークス強度は、通常のコークスと同様、コークスをJIS K2151記載のドラム試験機により150回転した後、15mmふるい上のコークスの百分率DI150 15を実測して求めた。なお、コークス強度DI150 15を、以下ではコークス強度DIと簡略化して記載する。
配合炭A〜Fについて、成型炭に配合される個々の石炭種(強粘結炭と劣質炭)の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率ΣTDを求め、配合炭A〜Fをそれぞれ用いて得られた成型コークスについて、成型炭部コークス強度DIを、粉砕粒度ごとに、加重平均全膨張率ΣTDとの関係で整理した。
結果を図2に示す。図2から次のような知見が得られた。
加重平均全膨張率ΣTDの値にかかわらず、同一の配合炭を用いた成型炭においては、成型炭用の配合炭−3mm比率が大きくなればなるほど、コークス強度DIが向上する傾向が認められた。
また、成型炭部に用いる配合炭の粉砕粒度の−3mm比率が60%のときは、成型炭用の配合炭の加重平均全膨張率ΣTDが40未満となる領域で、成型炭部のコークス強度が著しく低下した。一方、成型炭部に用いる配合炭の−3mm比率が75%以上のときは、成型炭部のΣTDによらず、同レベルのコークス強度DIの成型炭部コークスが得られた。
次に、図2の結果をもとに、同一配合の成型炭を用いたときの、成型炭用配合炭−3mm比率と、この成型炭と粉炭を配合した全体の配合炭を乾留して得られたコークスのコークス強度DIとの関係を調べた。
すなわち、成型炭の原料に用いる配合炭を粉砕し、粉砕後の配合炭にバインダーを添加して混練した後、成型して成型炭とするにあたり、粉砕粒度がさまざまに変化するように粉砕して成型炭を作製し、この成型炭を、別の配合炭を粉砕した粉炭(ΣVM=28.5dry%、ΣTD=75%、水分=約10%)とともに室炉式コークス炉に装入して乾留し、得られたコークスのコークス強度を調べた。ここで、粉砕粒度は、粒径が3mm以下の石炭粒子の比率(−3mm比率)で求め、コークスをJIS K2151記載のドラム試験機により150回転した後、15mmふるい上のコークスの百分率DI150 15を実測して求めた。
図3に、得られた結果の1例を示す。コークス強度DIの向上効果は、成型炭部の配合炭の−3mm比率が90%までは−3mm比率が大きくなればなるほど大きくなる。一方で、コークス強度DIは、−3mm比率が93〜95%あたりを頂点として、−3mm比率が95%を超えると、逆に、コークス強度DIは低下することも知見された。成型炭に用いる配合炭および配合割合を、種々、変更させて、図3と同様の評価をしたところ、コークス強度DIの変化幅の絶対値は異なるものの、同様の傾向が認められた。
コークス強度DIが、成型炭用の配合炭の−3mm比率によって図3のように変化するのは、次のように考えられる。以下、図4の模式図を用いて説明する。
成型炭と粉炭の配合炭を用いて得られたコークスの強度は、基本的には、成型炭部の強度と粉炭部の強度の両方に依存する。
成型炭の製造に用いる配合炭の粉砕粒度を細かくすればするほど、成型炭部の強度が増加する。また、成型炭は乾留途中で膨張し、成型炭の周囲にある粉炭を圧密して周囲の粉炭との接着を強化することにより、コークス強度を向上させる。しかし、成型炭用の配合炭の粉砕粒度を細かくするほど、成型炭の膨張性が低下し膨れの量が減少するため、成型炭部の膨れによるコークス強度の向上効果が低下する。
この膨れの量の減少の影響は、粉砕粒度が細かくなるに従い大きくなる。従って、成型炭用の配合炭の粉砕粒度を増加させることに伴い、成型炭と粉炭の配合炭を乾留して得られるコークス強度(以降、「全体のコークス強度」と記載する場合がある)の向上効果は飽和し、最終的には、膨れの量の減少の影響が大きくなり、−3mm比率が95%を超えると全体のコークス強度が低下すると考えられる。
以上検討結果をまとめると、以下の通りである。
(i)成型炭部コークス強度は、同一の石炭配合では成型炭部に用いる配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率(以降、「RD」と記載する場合がある。)が大きくなるほど成型炭部コークス強度DIが向上する。
(ii)成型炭部に用いる配合炭のRDが60%のとき、ΣTDが40未満で成型炭部コークス強度DIが大幅に低下する。
(iii)成型炭部に用いる配合炭のRDが75%以上のときは、ΣTDによらず、同レベルの成型炭部コークス強度DIが得られる。
(iv)成型炭部に用いる配合炭のRDが95%を超えるようになると、全体のコークス強度DIは低下する。
本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明について、さらに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。
[粉炭]
本発明では、配合炭を粉砕した粉炭に成型炭を混合して、コークス炉に装入し、乾留してコークスを製造する。粉炭と成型炭の混合割合としては、粉炭70〜90質量%、成型炭10〜30質量%が例示される。
粉炭としては、限定はされないが、強粘結炭を含む通常の配合炭(ΣTD=50〜100%、ΣVM=26〜29dry%)を、−3mm比率60%〜95%の粒度に粉砕したものが例示される。
[成型炭]
成型炭は、原料となる配合炭を粉砕し、これにバインダーを添加して混練し、この混練物をブリケットマシンなどで所定の形状に成型することにより製造される。
成型条件としては、バインダー添加率6〜10%とし、大きさ:4cc〜125cc、密度:1.1〜1.2g/cmの範囲が例示される。
近年では、劣質炭の配合量が増加しており、成型炭中に劣質炭を40〜70質量%配合することが好ましい。成型炭に劣質炭を集中的に配合することにより、劣質炭を多量に使用しても、高炉に使用するために必要な強度をもつコークスを製造できる。
ここで、劣質炭とは、石炭化度が低く(ビトリニットの平均最大反射率が0.85%以下)、かつ、粘結性の乏しい又は粘結性のない(最高流動度2.5(log (ddpm))以下)石炭をいう。
[成型炭部配合炭の粉砕粒度]
成型炭は、原料となる配合炭を粉砕して製造する。成型炭に配合される石炭を細かく粉砕する程、石炭中に存在するイナートもより粉砕される。イナートは揮発分が低いため、他の軟化溶融する組織とは乾留時における収縮率が異なり、その差によって両組織の界面に応力が発生し、イナートの内部又は周辺に亀裂が発生する。イナートを粉砕することによってそのような亀裂の発生が抑制され、成型炭部の強度が向上する。
そこで、要求されるコークス強度に設定するために、配合される石炭の全膨張率に応じて、成型炭用の配合炭を次のような粒度で粉砕する。
成型炭用の配合炭に配合される個々の単味炭の全膨張率TDを加重平均した加重平均全膨張率をΣTDとし、成型炭用の配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率をRDとしたとき、
(x)ΣTDが40%未満の場合は、RDが75〜95質量%となるように粉砕し、
(y)ΣTDが40%以上の場合は、RDが60〜95質量%となるように粉砕する。
より強度の高いコークスを要求される場合は、RDが80〜95質量%となるように粉砕するのが好ましい。
また、劣質炭をより多量に使用しても、コークス強度を低下させないようにするためには、ΣTDを30%未満とした場合は、RDが85〜95質量%となるように粉砕するのが例示でき、ΣTDを20%未満とした場合は、RDが90〜95質量%となるように粉砕することが例示できる。
成型炭に配合される石炭の加重平均全膨張率ΣTDが40%未満の場合では、石炭の粉砕粒度RDが60%のときは、図2に示されるように、成型炭部コークス強度が急落する。
そのため、高炉での使用に必要なコークス強度を得るためには、ΣTDが40%未満では、RDが75%以上になるように配合炭を粉砕することが重要である。
前記のΣTDが40%未満の場合に、石炭の粉砕粒度RDが60%と粗くなった場合に、成型炭部コークス強度が急落する理由は、以下の様に推察される。通常、成型炭部分は見掛密度が高く、膨張率が低い石炭でも乾留過程において相互に接着する。しかし、成型炭中に粗い石炭粒子が存在すると、その粒子の周囲に局所的な空隙が発生し、ΣTD40%未満では成型炭部分の配合炭の膨れが十分でなく、その空隙を充填できないものと考えられる。
これに対して、成型炭に配合される配合炭の加重平均全膨張率ΣTDが40%以上の場合には、成型炭部分の配合炭の膨れが十分であり、成型炭部配合炭の粉砕粒度が粗い場合でも成型炭内の局所的な空隙を充填出来るため、成型炭部に用いる配合炭の粉砕粒度は粗くてもよいと考えられる。従って、RDの下限値は特に限定されないが、装置への詰まりなど操業上の問題を考慮すると、RDは60%以上が例示される。
一方、RDの上限は、前述の通り成型炭用の配合炭のΣTDによらず95%とする。なぜなら、RDが95%を超えて粉砕すると図2に示されるように、コークス強度が低下するためである。
また、成型炭部のコークス強度DIは、図2に示されるように、同一粉砕粒度の場合において、炭成型炭用の配合炭のΣTDが50%を超えると飽和するため、ΣTDに特に上限は限定されない。ちなみに、劣質炭を配合する条件下であれば、ΣTDの上限は100%程度が例示できる。
石炭の全膨張率TDは、JIS M8801に記載の膨張性試験方法(ジラトメータ法)により測定される。
石炭の全膨張率TDはすでに多くのものが調べられており、成型炭を構成する石炭の配合が決まれば、配合量(質量割合)に応じた単味炭の全膨張量TDを加算して平均をとった加重平均膨張量ΣTDを知ることができる。
なお、コークス強度に対する、上記ΣTDと−3mm比率RDの関係は、使用する石炭種、成型炭の見掛密度およびバインダーの添加量が異なる場でも有効であることを確認しているが、粉砕負担の観点からは、−3mm比率がより小さい値で粉砕することが好ましいので、使用する石炭種や、成型炭の成型条件が変わる場合には、図4のような関係を予め調べて、目標とするコークス強度DIを得ることができるより小さい値の−3mm比率を選択するのが好ましい。
以上、本発明の実施の態様について説明したが、更に、実施例により本発明の実施可能性及び効果について説明する。
表1に示す全膨張量TDの異なる4種類の単味炭(A炭〜D炭)を用い、表2に示す配合1、2の配合炭を準備し、それを−3mm比率が60〜95%の間の種々の粒度に粉砕した後、バインダーを添加してそれぞれの配合炭をブリケットマシンにより表3に示す性状の成型炭に成型した。
次に、配合1あるいは2を用いた成型炭のいずれかを、表3に示す条件の粉炭80質量%に対して、20質量%の割合で混合した。
次に、配合1、2の成型炭20質量%と粉炭80質量%とをコークス炉に装入して乾留し、得られたコークスのコークス強度DIを調べた。
結果を表4に示す。
比較例1では、成型炭に用いた配合炭のΣTDが33と低く、かつ−3mm比率も75%に達していないので、十分なコークス強度が得られないが、成型炭に用いた配合炭の−3mm比率が75%以上である実施例2〜4では、十分なコークス強度を有するコークスが得られることが確認された。
また、実施例1では、−3mm比率が60%と低かったが、用いた配合1のΣTDが40%以上であったので、十分なコークス強度を有するコークスが得られた。
比較例2、3では、−3mm比率が95%を超えて高く、同じ配合炭を用いた実施例2に比べてコークス強度が低下しており、粉砕負荷の点で不適合となった。
Figure 0005942971
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以上のように、劣質炭を多く成型炭に含有させても、より細かく粉砕した配合炭を用いて成型炭を作製すれば、十分なコークス強度を有するコークスが得られることが確認された。

Claims (1)

  1. 少なくとも劣質炭を含む成型炭用の配合炭を粉砕し、粉砕後の配合炭にバインダーを添加して混練した後、成型機で成型して成型炭とし、この成型炭を、粉炭用の別の配合炭を粉砕して調製した粉炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、
    成型炭用の配合炭に配合される石炭の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率をΣTDとし、成型炭用の配合炭を粉砕した後の粒径が3mm以下の石炭粒子の比率をRDとしたとき、
    成型炭用の配合炭のΣTDを求め、求められたΣTDの値に応じて、成型炭用の配合炭を以下の(x)または(y)のRDで粉砕することを特徴とするコークスの製造方法。
    (x)ΣTDが40%未満の場合は、RDが75〜95質量%となるように粉砕する。
    (y)ΣTDが40%以上の場合は、RDが95質量%以下となるように粉砕する
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