JP4625253B2 - 高炉用コークスの製造方法 - Google Patents

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本発明は、高炉用コークスの製造方法に関し、特に、コークス炉の損傷低減及びコークス押し出し性の向上のための高炉用コークスの製造方法に関するものである。
コークス炉の炭化室で石炭を乾留してコークスを製造する過程で、石炭は加熱されることにより膨張し、コークス炉の炉壁に圧力を及ぼすが、この圧力のことを一般に膨張圧と呼んでいる。この膨張圧が高いと、コークスを炭化室から炉外へ排出するとき(押し出し時)の抵抗(押し出し抵抗)が増大し、炉壁に過大な負荷が作用して、炉壁が損傷することがある。さらに、膨張圧が異常に高くなると、コークス炉の炉壁が直接損傷して操業不能となることもある。このため、コークス炉の操業において膨張圧をコークス炉損傷の許容限界値以下に管理することは、重要な課題である。特に、近年コークス炉の老朽化が進み、炉体強度が低下することにより許容限界値が低下するとともに、近年の調湿炭法などの石炭事前処理技術の導入によりコークス炉炭化室内の石炭装入嵩密度が上昇し、膨張圧は増加傾向にあり、コークス炉の延命のために膨張圧管理はますます重要な課題となっている。
特許文献1では、配合炭を構成するそれぞれの銘柄の石炭の最大膨張圧の相加平均値、非微粘結炭の配合率、および粘結炭のみの配合炭の全膨張率、粘結材添加率から配合炭膨張圧を算出し、この算出配合炭膨張圧を、あらかじめ定めたコークス炉の許容限界圧以下にするように、石炭の銘柄、配合割合および粘結材添加率を調整するコークス炉の操業方法が提案されている。
特開2001−214171号公報
コークス炉に装入する石炭は、高膨張圧炭、非微粘結炭、および粘結炭の大きく三種類に分類することができる。高膨張圧炭とは、装入密度0.85t/m3で炉温1250℃で乾留したときに、最大膨張圧が15kPa以上となる石炭のことである。非微粘結炭とは、平均最大反射率(JIS M8816の石炭の微細組織成分及び反射率測定方法記載の方法で測定されるビトリニットの平均最大反射率、以下Roと略称する)が0.8以下の石炭、あるいは流動度(JIS M8801の流動性試験方法(ギーセラープラストメーター法)により測定される最高流動度、以下MFと略称する)が10ddpm以下の石炭のことである。粘結炭とは、高膨張圧炭にも非微粘結炭にも該当しないコークス製造用原料炭を指す。
上記に示すような高膨張圧炭は、主に低揮発分の強粘結炭であり、高膨張圧炭から製造したコークスの強度は高いのが通例であるが、一方で高膨張圧炭をコークス炉装入石炭に配合するとコークス炉の膨張圧が高くなり、結果としてコークス炉への悪影響が大きいことがコークス製造業者に知られているため、需要が伸び悩み、市場価格が低くなっている。このため、コークス炉の膨張圧を上昇させずに、高膨張圧炭の使用割合を現状よりもさらに向上させることができれば、資源の有効利用を図ることが可能となる。
本発明は、コークス炉の膨張圧を上昇させずに、高膨張圧炭の使用割合を増大することのできる高炉用コークスの製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、高膨張圧炭に対して5質量%以上の粘結材を事前に添加、混練した後に、残りの配合炭と混合し、コークス炉で乾留することを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
ここで高膨張圧炭とは、装入炭の粒度を−3mmの比率が80%とし、装入密度0.85t/m 3 として、炉幅400mm、炉温1250℃で乾留したときに、最大膨張圧が15kPa以上となる石炭をいう。
(2)コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、高膨張圧炭の0.7mm以下の粒子の割合を45質量%以上にすることを特徴とする上記(1)に記載の高炉用コークスの製造方法。
(3)コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、非微粘結炭の全膨張率の加重平均値が30%以下となるように調整することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の高炉用コークスの製造方法。
(4)分級機を用いて前記高膨張圧炭を分級点0.7mmで分級して、その篩上の高膨張圧炭のみを粉砕機を用いて粉砕することを特徴とする上記(2)又は(3)の何れかに記載の高炉用コークスの製造方法。
本発明において、高膨張圧炭とは、装入密度0.85t/m3で炉温1250℃で乾留したときに、最大膨張圧が15kPa以上となる石炭をいう。非微粘結炭とは、平均最大反射率(JIS M8816の石炭の微細組織成分及び反射率測定方法記載の方法で測定されるビトリニットの平均最大反射率)が0.8以下の石炭、あるいは流動度(JIS M8801の流動性試験方法(ギーセラープラストメーター法)により測定される最高流動度)が10ddpm以下の石炭をいう。
本発明により、コークス炉の膨張圧を上昇させずに、従来少量しか使用できなかった高膨脹圧炭の使用可能量が飛躍的に増加する。これにより原料選択範囲が拡大し、資源の有効利用が図れる。
本発明は第1に、コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち高膨張圧炭を細粒化し、すなわち高膨張圧炭の0.7mm以下の粒子の割合を45質量%以上にする。これにより、コークス炉炭化室で石炭を乾留するに際し、膨張圧を大きく低減することができる。ここで高膨張圧炭とは、装入密度0.85t/m3で炉温1250℃で乾留した時に、最大膨張圧が15kPa以上となる石炭のことである。
図1には、高膨張圧炭の−0.7mmの比率を横軸に、配合炭のコークス炉における膨張圧を縦軸に示す。高膨張圧炭の−0.7mmの比率が高いほど、即ち高膨張圧炭を細粒化するほど、配合炭のコークス炉における膨張圧が低減することがわかる。ここで、図1において、高膨張圧炭、粘結炭、非微粘結炭の配合比率はそれぞれ20質量%、40質量%、40質量%であり、粘結炭および非微粘結炭の粉砕粒度は−3mm 80質量%である。また、粘結材は添加していない。高膨張圧炭は、Ro1.56%、MF200ddpm、最大膨張圧100kPaの強粘結炭である。粘結炭はRo1.22%、MF900ddpmである。非微粘結炭は、Ro0.78%、MF100ddpm、全膨張率(JIS M8801の膨張性試験方法(ジラトメータ法)により測定される収縮率と膨張率の和、Total Dilatation。以下、TDと称する)は40%である。
高膨張圧炭の細粒化により膨張圧が低下する原因は以下のように考えられる。つまり、石炭は、乾留過程において軟化溶融した後に再固化してコークスとなるが、膨張圧の発生要因は軟化溶融した石炭層内にトラップされた石炭の熱分解ガスの圧力である。高膨張圧炭は、軟化溶融した際の粘度が非常に高いという特徴を有している。そのため、高膨張圧炭を配合した石炭を乾留する場合において、発生ガスは粘度の高い軟化溶融層から容易に抜けることはできず、石炭層の内部にトラップされ、ガスの圧力上昇によりコークス層を介して、膨張圧としてコークス炉壁に作用する。これに対し、上記本発明のように高膨張圧炭の粒径を小さくすると、ガスが石炭粒子外に逃げやすく、粒子内の圧力が低下すると考えられる。
本発明では、コークス炉に装入する石炭のうち、高膨張圧炭の0.7mm以下の粒子の割合を45質量%以上にすることにより、コークス炉炭化室で石炭を乾留する際の膨張圧を大幅に低減できる。
通常、コークス炉に装入する石炭の粉砕粒度は3mmの篩下重量百分率で管理するのが通例であり、粉砕粒度は平均で−3mmが80質量%前後である。通常コークス製造用原料炭を粉砕するために用いられる粉砕機を用いて粉砕のみで、本発明で規定する上記高膨張圧炭の0.7mm以下の粒子の割合を45質量%以上にするには、高膨張圧炭の3mm以下の粒子の割合が85質量%以上になるように粉砕し細粒化すれば良い。
配合炭の膨張圧を低減する効果は、粉砕機を用いて高膨張圧炭を強粉砕し細粒化すればするほど効果は大きくなる。しかし、粉砕機を用いて高膨張圧炭を強粉砕するにしたがって微粉化した石炭が増加し、搬送時およびコーク炉装入時の発塵などのハンドリングやキャリーオーバー等の問題が生じるため、これらの問題が顕在化する0.3mm以下の粒度が少なくなるような粉砕した石炭の粒度制御を行なうことが好ましい。
一方、特殊な粉砕機を使用したり、篩と組み合わせることにより高膨張圧炭の粒度分布を制御することにより、その粒度を発塵などのコークス炉操業に悪影響がない粒度の下限値に制御するのが好ましい。
発明者らの検討によると、高膨張圧炭を粉砕した後の粒度分布のうち0.7mm以下の比較的微粉な粒度の範囲では、配合炭の膨張圧低減効果に及ぼす影響は粒度によらず同じであることを見いだした。すなわち、発明者らの検討結果によれば、−0.7mmが100質量%の高膨張圧炭と−0.3mmが100質量%の高膨張圧炭では、配合炭の膨張圧は同じであった。その理由は、高膨張圧炭の石炭粒子の大きさが小さくなると、粒子内から外部へのガスの拡散に及ぼす粒子サイズの影響が小さくなるためと考えられる。一方、上記のようにコークス炉の操業に悪影響を及ぼす微粉の粒度は0.3mm以下であるため、高膨張圧炭を粉砕した後になるべく−0.3mmの微粉を低減し、0.3−0.7mmの粒度範囲を増加させるようにするのが好ましい。
高膨張圧炭を粉砕した後に−0.3mmの微粉を低減し、0.3−0.7mmの粒度範囲を増加させるようにするための具体的な方法としては、例えば、図2に示すように、分級機1を用いて高膨張圧炭2を分級点0.7mmで分級して、その篩上の高膨張圧炭2のみを粉砕機3を用いて粉砕することにより、高膨張圧炭2の原炭中の0.7mm以下の微粉の過粉砕を抑制でき、高膨張圧炭2の0.7mm以下の粒子を45質量%以上にし、かつ−0.3mmの微粉を低減することが可能となる。
例えば、発明者らがこのような粉砕機と分級機を用いて高膨張圧炭の0.7mm以下の粒子を45質量%以上にした場合、0.3mm以下の粒子の質量割合は21質量%まで低減でき、分級機を用いずに粉砕する場合(0.3mm以下の粒子の質量割合は28質量%)に比較して0.3mm以下の粒子の質量割合を大きく低減することが可能であった。
一方、粘結炭については、もともと膨張圧が低いので、細粒化による膨張圧抑制効果は小さく、むしろ、細粒化により、(1)石炭をハンドリングする際の発塵が増える、(2)コークス炉に装入する時の装入嵩密度が低下し、コークス炉一窯当りのコークス生産量が低下する、(3)コークス炉への石炭装入時の発塵微粉(キャリーオーバー)が増加し、コークス炉炉壁付着カーボンが増加してコークス押出性を悪化させたり、コークス炉ガス排出用の上昇管を閉塞させてり、コークス炉ガス処理系統においてキャリーオーバーによる処理効率の低下が発生する、などの悪影響が生じる。したがって、膨張圧抑制のための上記のような強粉砕は、高膨張圧炭のみとするのが好ましい。
また、非微粘結炭については、粉砕して細粒化することにより配合炭の膨張圧が低下する効果があることを発明者らは確認しており、上記のように高膨張圧炭を強粉砕することに加えて、非微粘結炭を強粉砕することにより、配合炭の膨張圧をさらに低下することが可能である。発明者の検討によれば、例えば、上述した図1の実験条件において高膨張圧炭の−0.7mmの比率が45質量%の場合に配合炭の膨張圧は8kPaまで低減できるが、この条件で、さらに、配合炭中の非微粘結炭を強粉砕し微細化することで非微粘結炭の−0.7mmの比率を3質量%増加させる(通常の粉砕では−3mmの比率が4質量%程度増加することに相当する)場合には配合炭の膨張圧はさらに1kPa低下し、また、−0.7mmの比率を6質量%増加させる(通常の粉砕では−3mmの比率が7質量%程度増加することに相当する)場合には配合炭の膨張圧はさらに2kPa低下した。
本発明は第2に、コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、非微粘結炭の炭種、配合比率を調整し、非微粘結炭の全膨張率の加重平均値が30質量%以下となるように調整する。これによりコークス炉炭化室で石炭を乾留するに際し、配合炭の膨張圧を大きく低減することができる。
非微粘結炭の配合比を増加させることにより配合炭の膨張圧が抑制可能であることは、既に特許文献1に示されているが、非微粘結炭の炭種により膨張圧抑制効果が異なることは従来知られていなかった。本発明者らは、図3に示すように、非微粘結炭の中でも全膨張率(JIS M8801の膨張性試験方法(ジラトメータ法)により測定される収縮率と膨張率の総和、Total Dilatation)の小さい非微粘結炭の炭種ほど配合炭の膨張圧を低減する効果が大きいことを見いだした。
図3において、高膨張圧炭、粘結炭、非微粘結炭の配合比率はそれぞれ22.5質量%、42.5質量%、35質量%である。高膨張圧炭は、Ro1.44%、MF400ddpm、最大膨張圧40kPaの強粘結炭であり、粘結炭はRo1.18%、MF170ddpmである。また、全体の配合炭の粉砕粒度は−3mm 80質量%であり、配合炭のうち、高膨張圧炭の−0.7mmの質量比率は40質量%である。また、粘結材は添加していない。
全膨張率が低いと膨張圧が低くなるのは当然ではないかと考えがちであるが、図4に示すように一般に全膨張率と膨張圧には全く相関がない。これは、全膨張率は、自由膨張条件下で軟化溶融した石炭がどの程度膨張するかを示す数値でありるのに対して、膨張圧は軟化溶融した石炭層内にトラップされた石炭の熱分解ガスに起因する圧力であるからである。つまり、いくら石炭の全膨張率が高くても、拘束条件下において軟化溶融した石炭層からガスが抜けやすければ膨張圧は低くなるためである。このため従来は、配合炭の膨張圧を低減するために全膨張率が小さい石炭、特に全膨張率が小さい炭種の非微粘結炭を用いるという発想はなかった。
全膨張率が小さい炭種の非微粘結炭を配合することにより配合炭の膨張圧が低下する理由は以下のように考えられる。すなわち、非微粘結炭4は高膨張圧炭5よりも石炭化度が低く再固化温度が低いため、石炭化度が高い高膨張圧炭5が軟化溶融している時に既に再固化しており、図5(a)に示すように高膨張圧炭5から発生した熱分解ガス6が軟化溶融石炭層内に保持されにくいためと推定される。
また、全膨張率が低い炭種の非微粘結炭4bほど配合炭の膨張圧が低減する理由としては、以下のように推定される。すなわち、全膨張率が高い炭種の非微粘結炭4aに比べて、全膨張率が低い炭種の非微粘結炭4bを用いた場合には、非微粘結炭同士が十分に接着せず、図5(b)に示すように高膨張圧炭5から発生した熱分解ガス6が抜ける通路がより増加するためにガスが外部へ抜けやすくなり、軟化溶融石炭層内のガス圧が低下したものと推定される。
本発明において配合炭中に複数炭種の非微粘結炭を配合する場合には、各炭種の単味非微粘結炭の全膨張率をそれぞれ測定し、これらを加重平均した値を、非微粘結炭の全膨張率とすることができる。そして、非微粘結炭の全膨張率加重平均を30%以下にすれば、配合炭の膨張圧を許容値以下に低減することが可能である。配合炭中に配合する非微粘結炭の全膨張率の加重平均は低ければ低いほど配合炭の膨張圧低減効果が大きいので、必要とする強度のコークスが得られる範囲で低下させればよい。非微粘結炭の全膨張率の過度の低下に伴なうコークス強度の低下の影響を少なくし所要コークス強度を維持するためにはその全膨張率の下限値を5%とするのがより好ましい。
本発明は第3に、コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、高膨張圧炭を細粒化する上記第1の発明と、非微粘結炭の炭種選択によって非微粘結炭の全膨張率を調整する上記第2の発明とを併用する。これにより、上述した第1及び第2の発明の相乗作用により配合炭の膨張圧をさらに大きく低減させることが可能である。
本発明は第4に、コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、高膨張圧炭に対して5質量%以上の粘結材を事前に混練した後に、残りの配合炭と混合し、コークス炉で乾留する。これにより、コークス炉炭化室で石炭を乾留するに際し、膨張圧を大きく低減することができる。
配合炭への粘結材の添加により膨張圧が抑制可能であることは、特許文献1に示されているが、図6に示すように、対配合炭当りの粘結材の添加率が同一(1.5質量%)の条件では、配合炭のうちで高膨張圧炭に選択的にタールやピッチなどの粘結材を添加(高膨張圧炭に対する添加率:10質量%)、混練し、その後に残りの非微粘結炭および粘結炭と混合することにより配合炭の膨張圧をより低下させることが可能となる。
図6において、高膨張圧炭、粘結炭、非微粘結炭の配合比率はそれぞれ15質量%、45質量%、40質量%である。高膨張圧炭は、Ro1.59%、MF120ddpm、最大膨張圧60kPaの強粘結炭であり、粘結炭はRo1.22%、MF900ddpmであり、非微粘結炭は、Ro0.76%、MF50ddpm、TD40%である。また、全体の配合炭の粉砕粒度は−3mm 80質量%であり、配合炭のうち、高膨張圧炭の−0.7mmの質量比率は40質量%である。
高膨張圧炭に対して選択的に粘結材を添加することにより膨張圧が低下する理由は、粘結材添加により高膨張圧炭が軟化溶融した石炭層の粘度が低下し、ガスが抜けやすくなるためと考えられ、高膨張圧炭は他の粘結炭、非微粘結炭に比べて、特にこの粘度低下による効果が大きいものと考えられる。
粘結材としては、例えば、コールタール、アスファルトおよびタールやアスファルトを蒸留または重質化したピッチなどの瀝青物が用いられるが、これらに限定するものではない。
高膨張圧炭に選択的に粘結材を添加する場合の粘結材の添加率については、充分な膨張圧低減効果を得るためには高膨張圧炭に対して5質量%以上の添加が必要であり、より望ましくは8質量%以上であることが好ましい。
上記の粘結材添加率の上限値については、添加率が大きいほど膨張圧抑制効果は大きいが、多量の粘結材を添加、混練すると、搬送時などに付着などにより石炭のハンドリングが困難となるので、上記添加率の上限は18質量%、より望ましくは14質量%とするのが好ましい。
配合炭のうち、高膨張圧炭に対して5質量%以上の粘結材を高膨張圧炭に選択的に添加する上記第4の発明は、高膨張圧炭を細粒化する前記第1の発明と、非微粘結炭の全膨張率を制限する前記第2の発明のいずれか、あるいは両方と併用することにより、膨張圧をさらに大きく低減させることが可能である。
表1に示すような配合炭を、水分3%に調整した後、装入密度0.85t/m3で可動壁型試験コークス炉(炉幅400mm、炉長1000mm、炉高1000mm)に装入し、炉温1250℃で18時間乾留した。この時、乾留過程において可動壁に作用する膨張圧を測定した。高膨張圧炭と非微粘結炭の配合比率は表1に示すとおりであり、高膨張圧炭の配合比率は15質量%(実施例1〜17、比較例1)と25質量%(実施例18〜34、比較例2)の2種類とした。高膨張圧炭と非微粘結炭以外の残部は通常の粘結炭を配合している。
ここで用いた高膨張圧炭は、Ro1.56%、MF200ddpm、最大膨張圧100kPaの強粘結炭である。粘結炭はRo1.22%、MF900ddpmである。非微粘結炭Aは全膨張率5%、非微粘結炭Bは全膨張率15%、非微粘結炭Cは全膨張率25%、非微粘結炭Dは全膨張率35%の石炭である。
ここで、配合炭をコークス炉で乾留する際に目標とする膨張圧の許容範囲は8kPa以下である。
実施例1〜4、18〜21は、高膨張圧炭の粉砕強化を実施した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
実施例5〜8、22〜25は、非微粘結炭の炭種選択を実施した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
実施例9〜12、26〜29は、高膨張圧炭を粉砕強化し、かつ非微粘結炭の炭種選択を実施した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
実施例13,14、30、31は高膨張圧炭に粘結材を選択添加した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
実施例15、32は、高膨張圧炭の粉砕強化を実施し、かつ高膨張圧炭に粘結材を選択添加した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
実施例16、33は、非微粘結炭の炭種選択を実施し、かつ高膨張圧炭に粘結材を選択添加した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
実施例17、34は、高膨張圧炭を粉砕強化し、かつ非微粘結炭の炭種選択を実施し、かつ高膨張圧炭に粘結材を選択添加した場合の実施例であり、最大膨張圧は8kPa以下であり、目標を満足している。
一方、比較例1、2は、高膨張圧炭の粉砕強化、非微粘結炭の炭種選択、高膨張圧炭への粘結材選択添加のいずれも実施しなかった比較例であり、最大膨張圧は8kPaを超えており、目標を達成することができなかった。
以上より、本発明の実施により高膨張圧炭比率が高い条件で膨張圧を許容値以下に抑制できていることがわかる。
Figure 0004625253
高膨張圧炭の粒度と膨張圧の関係を示す図である。 高膨張圧炭の微粉を低減し粉砕するための実施形態を示す図である。 非微粘結炭の全膨張率と膨張圧の関係を示す図である。 全膨張率と膨張圧の関係を示す図である。 非微粘結炭による膨張圧抑制効果を示す模式図であり、(a)は全膨張率が高い非微粘結炭を用いた場合、(b)は全膨張率が低い非微粘結炭を用いた場合である。 粘結材添加率と膨張圧の関係を示す図である。
符号の説明
1 分級機
2 高膨張圧炭
3 粉砕機
4a 全膨張率が高い非微粘結炭
4b 全膨張率が低い非微粘結炭
5 高膨張圧炭
6 熱分解ガス

Claims (4)

  1. コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、高膨張圧炭に対して5質量%以上の粘結材を事前に添加、混練した後に、残りの配合炭と混合し、コークス炉で乾留することを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
    ここで高膨張圧炭とは、装入炭の粒度を−3mmの比率が80%とし、装入密度0.85t/m 3 として、炉幅400mm、炉温1250℃で乾留したときに、最大膨張圧が15kPa以上となる石炭をいう。
  2. コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、高膨張圧炭の0.7mm以下の粒子の割合を45質量%以上にすることを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの製造方法。
  3. コークス炉に装入する高膨張圧炭、非微粘結炭、および、粘結炭により構成される配合炭のうち、非微粘結炭の全膨張率の加重平均値が30%以下となるように調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉用コークスの製造方法。
  4. 分級機を用いて前記高膨張圧炭を分級点0.7mmで分級して、その篩上の高膨張圧炭のみを粉砕機を用いて粉砕することを特徴とする請求項2又は3に記載の高炉用コークスの製造方法。
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