JP4058019B2 - 高強度コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉に装入する石炭粒子を、石炭粒子の組織に着目して粉砕・配合し、高強度のコークスを製造する方法に関するものである。
高炉用のコークスは、多数の銘柄の石炭を配合し粉砕した後、又は、多数の銘柄の石炭をそれぞれ粉砕し配合した後、コークス炉に装入して製造される。この時、所定のコークス強度を確保するため、配合後の石炭粒度は、一般的に、配合炭全体で、3mm以下の質量比が70〜90%になるように調整される。
一般に、コークスの構造を均質化し、所定のコークス強度を確保するため、石炭を微粉砕し、配合石炭の性状の均一化を図るが、微粉砕し過ぎると、コークス炉に装入した際の嵩密度が低下し、逆に、コークス強度が低下することがある。
即ち、コークス炉内の嵩密度が低下すると、石炭粒子間の空隙が大きくなり、乾留過程において、強固な石炭粒子間の接着が得られず、コークス中に脆弱部が形成される。
このように、石炭の粉砕や配合石炭の粒度調整は、コークス強度に大きく影響する要因であり、これまで、これらの要因との関連で、コークス特性の向上を図る石炭の粉砕方法や、所要の特性を備えるコークスの製造方法が幾つか提案されている(特許文献1〜5、参照)。
特許文献1には、2種類以上の石炭を石炭性状に応じて別々に粉砕し、性状別に粒度分布を調整する冶金用コークスの製造方法が記載されている。しかし、特許文献1記載の製造方法は、強度の低下を抑制しつつ気孔率の向上を図るものであるので、この製造方法においては、コークス強度が所望のレベルに達しない場合がある。
また、特許文献2には、安価な石炭を大量に配合することを目的として、反射率が0.8未満の石炭を、5mm篩下が実質的に100%でかつ3mm篩下が80%以上となるように微粉砕し、反射率が0.8以上の石炭を、全体として反射率が0.8%未満の石炭よりも粗く粉砕する粉砕方法が記載されている。
しかし、特許文献2記載の粉砕方法によっても、コークスの強度は、DIで83程度であり、所望強度のコークスが得られない場合がある。
特許文献3には、高強度コークスを得ることが可能なコークス炉装入用石炭として、非微粘結炭粒子を20〜80重量%含み、該粒子の粒径が所定の範囲にある石炭が記載されている。
さらに、特許文献4及び5には、複数銘柄の石炭を性状(コークス化度)に応じて複数のグループに分け、所定粒度となるように粉砕してコークス炉装入用石炭を得る方法が記載されている。
しかし、上記特許文献記載の石炭又は方法によっても、所望強度のコークスが得られない場合がある。
このように、コークスの製造においては、主として、各種銘柄の石炭を粉砕することにより、配合石炭の粒度が所定粒度となるように調整して、コークス特性の向上を図っているが、強度の点でみると、上記特許文献記載のいずれの方法においても、期待するレベルに達しない場合がある。
そこで、本発明者は、石炭の粒度調整だけではコークス強度の向上に限界があるのではないかとの認識にたち、特許文献2記載の粉砕方法においては、石炭の組織中のイナート(軟化溶融しない不活性物質の組織)の含有量に基づいて粉砕する石炭を選択していることに着目し、石炭中の粗大イナート組織の累積体積比と粉砕粒度との関係を調査研究し、特許文献6にて、高強度のコークスを製造し得る配合炭の粒度の調整方法を提案した。
特許文献6提案の調整方法によれば、低品位の非微粘結炭を多量に使用しても、DI85〜86程度の強度を有するコークスを定常的に製造できるので、上記調整方法は、コークス強度の向上の点で顕著な効果を奏するものである。
しかし、高炉操業のより効率化、安定化のため、コークス強度のさらなる向上が求められているのが実情である。
特開平11−181441号公報 特開2000−336373号公報 特開2001−181644号公報 特開2001−181650号公報 特開2001−279254号公報 特願2002−195636号の明細書及び図面
本発明は、コークス強度のより一層の向上が求められている実情に鑑み、石炭中のイナート組織のサイズに応じて石炭の粉砕、配合を制御し、極めて高い強度を有するコークスを製造する高強度コークスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、既に、石炭中のイナート組織に関する調査研究において、以下の知見を得た(特許文献6、参照)。
(a)サイズの小さいイナート組織が分散している石炭においては、全イナート組織の体積百分率(総イナート比率又はトータルイナート)が大きいにも拘らず、粗大なイナート組織が少ない。
(b)上記(a)の石炭を微粉砕しても、イナート組織が微細分散することにより得られるコークス強度向上効果は小さい。
(c)トータルイナートを粉砕粒度設定の基準として用いると、所期のコークス強度を、期待どおりに得ることができない場合がある。
本発明者は、上記知見を踏まえ、イナート組織のサイズ(絶対最大長さ)とコークス強度の向上との相関関係について、さらに調査研究を進め、次の知見を得るに至った。
(d)+6.7mmの粒度の石炭中には、絶対最大長さで1.0mm以上のサイズの粗大イナート組織が濃縮されている。
(e)上記粗大イナート組織を粉砕してコークスを製造すると、コークス強度は著しく向上する。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、以下のとおりである。
(1) 銘柄又は性状の異なる石炭を粉砕、配合し、高強度のコークスを製造する方法において、
(x)絶対最大長さで1.0mm以上の粗大イナート組織の累積体積比が異なる複数銘柄の石炭を用い、粉砕後の石炭における+6.7mmの質量比が10%から3%に変化した場合のコークス強度(DI)の変化(ΔDI150/15)が大きくなる前記粗大イナート組織の累積体積比の境界値を基準値とし、
(a)各種銘柄の石炭を、銘柄別に、前記粗大イナート組織の累積体積比が前記基準値以下になるように、粉砕機で粉砕し、
(b)上記粉砕した石炭を、単独で、又は、他銘柄の1種以上の粉砕した又は粉砕しない石炭と配合してコークス炉に装入する、
ことを特徴とする高強度コークスの製造方法。
(2) 銘柄又は性状の異なる石炭を粉砕、配合し、高強度のコークスを製造する方法において、
(x)絶対最大長さで1.0mm以上の粗大イナート組織の累積体積比が異なる複数銘柄の石炭を用い、粉砕後の石炭における+6.7mmの質量比が10%から3%に変化した場合のコークス強度(DI)の変化(ΔDI150/15)が大きくなる前記粗大イナート組織の累積体積比の境界値を基準値とし、
(a)前記粗大イナート組織の累積体積比を(15±2)%で2つの範囲に区分して、各種銘柄の石炭を、複数のグループに分け、該グループ別に、粗大イナート組織の累積体積比が前記基準値以下になるように、粉砕機で粉砕し、
(b)上記粉砕した石炭を、前記グループ別に、又は、適宜グループ間で配合してコークス炉に装入する、
ことを特徴とする高強度コークスの製造方法。
) 前記複数のグループ分けに際し、前記粗大イナート組織の累積体積比を(15±2)%で2つの範囲に区分し、かつ、石炭化度を(0.70±0.1)%、(0.85±0.1)%、(1.50±0.1)%、及び、(1.7±0.05)%で5つの範囲に区分し、これら範囲の組み合せで、各種銘柄の石炭を、複数のグループに分けたことを特徴とする前記()に記載の高強度コークスの製造方法。
) 前記複数のグループが、GrA:石炭化度≦(0.70±0.1)%、GrB:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrC:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrD:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、及び、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、GrE:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、及び、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、GrF:(1.50±0.1)%≦石炭化度≦(1.7±0.05)%、及び、GrG:(1.7±0.05)%≦石炭化度、の7つのグループであることを特徴とする前記()に記載の高強度コークスの製造方法。
) 前記複数のグループ分けに際し、前記粗大イナート組織の累積体積比を(15±2)%で2つの範囲に区分し、石炭化度を(0.70±0.1)%、(0.85±0.1)%、(1.50±0.1)%、及び、(1.7±0.05)%で5つの範囲に区分し、かつ、全膨張率を(45±10)%で2つの範囲に区分し、これら範囲の組み合せで、各種銘柄の石炭を、複数のグループに分けたことを特徴とする前記()に記載の高強度コークスの製造方法。
) 前記複数のグループが、GrA:石炭化度≦(0.70±0.1)%、GrB:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrC:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrD1:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、(45±10)%≦全膨張率、GrD2:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、全膨張率≦(45±10)%、GrE1:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、(45±10)%≦全膨張率、GrE2:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、全膨張率≦(45±10)%、GrF:(1.50±0.1)%≦石炭化度≦(1.7±0.05)%、及び、GrG:(1.7±0.05)%≦石炭化度、の9つのグループであることを特徴とする前記()に記載の高強度コークスの製造方法。
) 前記粉砕は、+6.7mmの粒度の石炭に対して行なうことを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の高強度コークスの製造方法。
) 前記粉砕において、前記粗大イナート組織の累積体積比の基準値が10%であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の高強度コークスの製造方法。
) 前記粉砕において、石炭のグループ毎に目標粉砕粒度を設定することを特徴とする前記()〜(のいずれかに記載の高強度コークスの製造方法。
10) 前記目標粉砕粒度が、+6.7mmを指標とし、GrAの石炭:+6.7mm≦8%、GrC及びE2の石炭:+6.7mm≦14%、GrBの石炭:+6.7mm≦12%、GrD1、D2及びE1の石炭:+6.7mm≦7%、GrF及びGの石炭:+6.7mm≦5%、であることを特徴とする前記()に記載の高強度コークスの製造方法。
11) 前記目標粉砕粒度が、+6.7mmを指標とし、GrAの石炭:+6.7mm≦10%、GrC及びE2の石炭:+6.7mm≦4%、GrBの石炭:+6.7mm≦3%、GrD1、D2及びE1の石炭:+6.7mm≦5%、GrF及びGの石炭:+6.7mm≦3%、であることを特徴とする前記()に記載の高強度コークスの製造方法。
12) 前記粉砕において、粉砕後の微粉発生量、粉砕後の粗大石炭量、及び、粉砕後の粒度分布及び水分量に基づく装入密度推定値のいずれか1つ又は2つ以上に基づいて、粉砕機を制御することを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の高強度コークスの製造方法。
13) 前記粉砕において、所期のコークス強度に応じて、粉砕機を制御することを特徴とする前記(12)に記載の高強度コークスの製造方法。
14) 前記(b)における配合後、さらに、
(c)粗粒の石炭と微粒の石炭に分級し、
(d)上記微粒の石炭、又は、上記微粒の石炭と上記粗粒の石炭の一部との混合物を、粒状に成型し、
(e)上記粒状に成型した石炭と、上記粗粒の石炭、又は、上記粗粒の石炭の残部を混合してコークス炉に装入する、
ことを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載の高強度コークスの製造方法。
15) 前記分級において、0.3mm以上の粗粒の石炭と0.3mm未満の微粒の石炭に分級することを特徴とする前記(14)に記載の高強度コークスの製造方法。
16) 前記粒状に成型した石炭のサイズが、円相当径で6.7mm以上であることを特徴とする前記(15)に記載の高強度コークスの製造方法。
17) 前記配合において、配合後の前記粗大イナート組織の累積体積比が基準値の10%以下になるように、前記粉砕、及び/又は、配合を行なうことを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載の高強度コークスの製造方法。
18) 前記配合後の前記粗大イナート組織の累積体積比Zを、下記式により算出することを特徴とする前記(17)に記載の高強度コークスの製造方法。
Z=Σ(粉砕後の銘柄別又はグループ別粗大イナート組織累積体積比)×配合比
19) 前記配合後の前記粗大イナート組織の累積体積比Zに替わり、下記式により、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比Z’を算出することを特徴とする前記(17)に記載の高強度コークスの製造方法。
Z’=Σ(粉砕後の銘柄別又はグループ別粗大石炭粒子量)×粗大イナート組織比率
×配合比
本発明によれば、コークス強度の低下をもたらす粗大なイナート組織の累積体積比を低減して、極めて高い強度を有するコークスを製造することができる。
また、本発明によれば、安価かつ低品位の非微粘結炭の使用比率を高めても、粗大イナート組織の累積体積比、該累積体積比及び石炭化度、又は、該累積体積比、石炭化度及び全膨張率で区分ないしグループ化して粉砕・配合し、石炭性状をより均質化した状態で乾留するので、高強度でかつ均質のコークスを生産性よく製造することができる。
石炭中に存在するイナート組織(以下、単に「イナート組織」ということがある。)は、乾留過程で軟化溶融する組織(ピトリニットやエグジニット)に比べ揮発分が少ない。
そのため、イナート組織と軟化溶融する組織は、乾留時における収縮率が異なり、この収縮率の差により、両組織の界面に応力が発生し、イナート組織の内部又は周辺にクラックが発生する。
図1に、コークス中に存在するイナート組織とその周辺の組織の一例を示す。図1中のイナート組織のサイズ(絶対最大長さ)は3mm弱であるが、イナート組織は、通常、石炭中において、0.1μm〜10mmの幅広いサイズ(絶対最大長さ)範囲で存在する。
そして、mmオーダー(1.0mm以上)サイズ(絶対最大長さ)の粗大なイナート組織の内部又は周辺には、mmオーダー(1.0mm以上)の大きなクラックが生成する(図1、参照。イナート組織の周辺にクラックが生成している。)。
グリフィスの破壊条件式(例えば、「J.F.Knott(宮本博訳)、「破壊力学の基礎」、p.107」[培風館(1977)発行]、参照)によれば、大きなクラックは、小さなクラックよりも低い応力で、進展・拡大するから、上記粗大イナート組織の内部又は周辺に生成したmmオーダーの大きなクラックは、コークスが衝撃を受けた時、脆性破壊の起点(欠陥)として作用する。
それ故、上記mmオーダーの大きなクラックを多数含むコークスは、著しく強度が低く、容易に粉化してしまう。
そこで、本発明者は、「クラック生成原因の一つである粗大なイナート組織を粉砕し、粗大イナート組織の存在量(比)を低減すれば、大きなクラックの生成を抑制できる」との発想に至り、コークス中の粗大なイナート組織の存在量(比)を表す指標として、粗大イナート組織の累積体積比を用い、各種銘柄の石炭を微粉砕して製造したコークスの強度(DI)と、各種サイズの粗大イナート組織の累積体積比との関係について調査した。
粗大イナート組織の累積体積比は、単一銘柄の石炭が粗大イナート組織をどの程度の量(比)含んでいるのかを表す指標であり、本発明において、石炭粉砕のための指標として採用する。
通常、2次元断面における面積比は、三次元空間における体積比として扱うことができるので、粗大イナート組織の2次元断面における面積比を、粗大イナート組織の累積体積比として扱うことができる。
これは、JIS M8816(1992)の石炭の微細組織成分及び反射率測定方法において、研磨試料の2次元断面における各微細組織成分の含有率を、容量百分率として扱うのと同様である。
そして、石炭中のイナート組織の存在態様は、コークス化してもほとんど変化せず同じ存在態様で残存するので、コークス中の粗大イナート組織の累積体積比を、石炭中の粗大イナート組織の累積体積比として用いることができる。
勿論、コークス中の粗大イナート組織の2次元断面における累積面積比を、コークス中の粗大イナート組織の累積体積比として扱うが、この累積面積比は、例えば、顕微鏡写真の画像解析法を用い、次の手順(1)〜(5)で求めることができる。
(1)石炭を、原炭のまま、又は、所定の粒度に粉砕して乾留(好ましくは、炉温1000〜1300℃で乾留し、炭中温度700〜1200℃に到達するまで乾留)し、コークスを製造する。
(2)コークスの切断面に樹脂を埋め込み、その切断面を、顕微鏡で写真撮影する。
(3)切断面写真において、イナート組織をマーキングし、画像解析ソフトを用い、所定の絶対最大長さ以上のマーキング領域(累積面積)が、切断面写真の全領域(面積)に占める割合Si(%)を計測する。
(4)切断面写真において、コンピューター画像処理にてコークス壁を白、気孔を黒に処理し(コークス壁と気孔を2値化し)、気孔の領域(累積面積)が切断写真の全領域(面積)に占める割合Sp(%)を計測する。
(5)X(面積比)=Si/(100−Sp)×100 を算出する。
なお、石炭中の粗大イナート組織の累積体積比を、顕微鏡写真の画像解析法を用い、上記手順(3)〜(5)に従って、直接、算出することもできる。
石炭の場合は、上記(3)の手順において、切断面写真の全領域の代わりに、観察領域内における石炭粒子の面積和を用いる。また、石炭粒子中の気孔は無視できるので、上記(4)の手順は不要であり、Sp=0としても差し支えない。
本発明者の検討によれば、コークスを試料として用いた方が、イナート組織の判別が容易であり、また、測定時間が短いという長所があるが、一方で、乾留過程において、イナート組織の一部が分離したり又は溶融したりして、イナート組織のサイズが多少変わる場合があるので、どちらの方法を用いるかは、必要とされる精度により選択すればよい。
本発明において、マーキングするイナート組織のサイズは、絶対最大長さで1.0mm以上とするが、好ましくは、1.5mm以上とする。これは、コークスがドラム試験で落下衝撃を受けた際、特に、1.5mm以上のイナート組織の内部又は周辺において発生するクラックが、より早く進展、拡大するからである。
本発明者が、各種銘柄の石炭を微粉砕して製造したコークスの強度(DI)と、各種サイズのイナート組織の累積体積比との関係について調査した結果、粗大なイナート組織を粉砕し、粗大イナート組織の累積体積比を低減して製造したコークスにおいては、コークス強度が著しく向上していることを見出した。
図2に、粉砕した石炭の装入密度を0.85t/m3とし、全部のイナート組織の累積体積比(即ち、JIS M8816で測定されるイナーチニットグループの容量百分率、以下「総イナート比率」と称する。)を42%とし、サイズが+1.5mmの粗大イナート組織に着目し、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比とコークス強度(DI)との関係を調査した結果を示す。
図2から、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比が小さくなると、コークス強度(DI)が、著しく向上していることが解かる。
粗大イナート組織を微粉砕することによりコークス強度が向上するという効果(コークス強度向上効果)の存在を確認するため、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比は10%と一定とし、総イナート比率を変え、コークス強度(DI)を測定した。
その結果を、図3に示す。なお、石炭の装入密度は、図2の場合と同じく、0.85t/m3とした。
図3によれば、コークス強度(DI)は、総イナート比率によらず、ほぼ一定(DI:85)である。このことは、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比が、コークス強度(DI)を支配する因子の一つであることを意味している。
また、図2及び図3においては、粗大イナート組織のサイズを+1.5mmとしたが、本発明者は、粗大イナート組織のサイズを+1.0mmとしても、同様の結果が得られることを実験的に確認した。
このように、本発明者の調査結果から、
(a)+1.0mmの粗大イナート組織の存在が、コークス強度を著しく損なう原因であること、即ち、
(b)+1.0mmの粗大イナート組織の累積体積比の低減が、コークス強度を著しく高めること、
が判明した。この点が、本発明における第1の特徴である。
図4に、コークス中の+1.5mmの粗大イナート組織(図中、太い黒線でマーキングしたのが粗大イナート組織)の存在量(比)の低減前後の対比で、イナート組織の存在態様とコークス強度(DI)との対応関係を示す。
この図からも、+1.5mmの粗大イナート組織の存在量(比)の低減が、コークス強度を著しく高めることが解かる。
しかし、+1.0mmの粗大イナート組織も含めイナート組織の存在態様は、石炭(銘柄)によって様々であり、石炭の粉砕が、必ずしも粗大イナート組織の粉砕、低減に有効に結びつかない場合があることが予想される。
そこで、本発明者は、実際の石炭の粉砕工程において、+1.0mmの粗大イナート組織をより効果的に粉砕し、その累積体積比を低減するため、各種銘柄の石炭におけるイナート組織の存在態様を調査した。その一結果を、図5に示す。
図5は、特定の銘柄の石炭につき、粉砕前の石炭粒度(原炭粒度)と、粒度区分別のイナートの割合(%)(総イナート比率、及び、+1.5mmの粗大イナート組織の累積積比)との関係を示すものである。
この図から、+6.7mmの粒度の石炭中に、+1.5mmの粗大イナートが濃縮されていることが解かる。
さらに、表1に、3つの銘柄(HC−A、HC−C、NC−A)の石炭について、総イナート比率と+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比を調査した結果を示す。なお、定性的にではあるが、適用する粉砕強度の強弱を付した。
この表から、石炭の銘柄により、原炭中の+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比が大きく異なることが解かる。
このように、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比は、石炭の銘柄又は石炭粒度によって、大きく異なることが判明した。
図5及び表1においては、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比について調査したが、本発明者は、粗大イナート組織のサイズを+1.0mmとしても、その累積体積比は、+1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比と同じく、石炭の銘柄又は石炭粒度によって大きく異なることを、実験的に確認した。
そこで、本発明においては、上記実験結果及び確認を踏まえ、各種銘柄の石炭の中でも、特に、+1.0mmの粗大イナート組織が濃縮されている石炭を粉砕の対象とする。
そして、通常、石炭は、JIS規格に従って作製された篩によって篩い分けられるので、JIS規格(JIS Z8801、網ふるい)における篩目6.7mm(呼び寸法)を、粉砕対象石炭の好ましい臨界粒径として採用する。即ち、本発明においては、好ましくは、+6.7mmの石炭を粉砕の対象とする。
このように、JIS規格で規定する篩目に則り、好ましい石炭粒径を+6.7mmと規定した点が、本発明における第2の特徴である。
本発明者は、+6.7mmよりも大きな呼び寸法の篩で篩い分けした石炭粒子、例えば、+8.0mmや+9.5mmの粒子中にも、粗大イナート組織が濃縮されていることを実験的に確認した。
しかしながら、篩目が大きくなるほど、篩上粒子質量百分率は低下し、測定誤差が大きくなる。例えば、+6.7mm及び+9.5mmの篩上粒子質量百分率が、それぞれ、5質量%及び1質量%であったとすると、篩の測定精度を0.1質量%とした場合、精度は、それぞれ、5±0.1%(誤差2%)、及び、1±0.1%(誤差10%)となる。
また、+6.7mmよりも小さな5.6mmや4.75mmの粒子中にも粗大イナート組織がある程度は濃縮されているが、+6.7mmに比べると粗大イナート組織の濃縮度は低い。
以上の結果より、コークス強度を向上させるための目標粉砕粒度を決定する管理指標として、最も好ましいのが、+6.7mmであるが、コークス強度向上効果やコークス品質設計の精度を問わなければ、8.0mm、9.5mmの大きい呼び寸法の篩や、5.6mmや4.75mmの小さい呼び寸法の篩を用いることも可能である。
そして、本発明においては、各種銘柄の石炭を、
(1a)銘柄毎に、粗大イナート組織の累積体積比が基準値以下になるように、粉砕機で粉砕するか、又は、
(2a)グループ別に(粗大イナート組織の累積体積比、又は、該累積体積比と石炭化度に応じて、必要なら、石炭の全膨張率(後で、詳述する)をも考慮して、2つ以上のグループにグループ化)、粗大イナート組織の累積体積比が基準値以下になるように、粉砕機で粉砕する。
まず、本発明における粉砕について説明する。
粗大イナート組織の累積体積比が基準値(この定義については後述する。)を超える石炭については、粗大イナート組織の累積体積比が基準値以下になるように微粉砕し、該累積体積比が基準値以下の石炭については、粉砕しないか、又は、粗粉砕して粒度を調整する。
前述したように、例えば、+1.0mmの粗大イナート組織の累積体積比は、石炭の銘柄又は石炭粒度によって大きく異なるから、上記微粉砕により、上記累積体積比を基準値以下に迅速かつ適確に下げるため、各種銘柄の石炭を、次の(a)〜(b-3)のうちの1つ又は2つ以上の粉砕態様で粉砕する。
(1a) 銘柄別に粉砕する。
(2a-1) 粗大イナート組織の累積体積比に応じて2つ以上にグループ化し、グループ別に粉砕する。
(2a-2) 粗大イナート組織の累積体積比及び石炭化度に応じて2つ以上にグループ化し、グループ別に粉砕する。
(2a-3) 粗大イナート組織の累積体積比、石炭化度、及び、全膨張率に応じて2つ以上にグループ化し、グループ別に粉砕する。
粉砕は粉砕機を用いて行なうが、単純な強粉砕により石炭を粉砕すると、微粉(−0.3mm)が多量に発生し、その結果、コークス炉への装入時の嵩密度(t/m3)が低下してしまい、コークス強度が低下するとともに、コークス生産量が低下するし、また、発塵量や炉壁へのカーボン付着量が増加する懸念も生じる。
それ故、石炭を粉砕機で粉砕する場合、微粉炭、特に、−0.3mmの微粉炭が発生しないように、かつ、コークス炉内での嵩密度を大きく変化させない粒度分布になるように、粉砕機を制御する必要がある。
そのため、粉砕機の粉砕強度を、銘柄別に粉砕する場合は、粗大イナート組織の累積体積比(特に、+1.0mmの粗大イナート組織の累積体積比)、粗大イナート組織の累積体積比と石炭化度、又は、粗大イナート組織の累積体積比、石炭化度及び全膨張率に応じて設定し、また、グループ別に粉砕する場合は、グループの粗大イナート組織の累積体積比(特に、+1.0mmの粗大イナート組織の累積体積比)平均値、グループの粗大イナート組織の累積体積比平均値と石炭化度平均値、又は、粗大イナート組織の累積体積比平均値、石炭化度平均値及び全膨張率平均値に応じて設定する。
そして、粉砕機を、粉砕後の微粉発生量、粉砕後の粗大石炭量、及び、粉砕後の粒度分布及び水分量に基づく装入密度推定値のいずれか1つ又は2つ以上に基づいて、フィードバック制御する。
粉砕後の微粉発生量については、銘柄別に粉砕する場合は、銘柄毎の粉砕後の微粉発生量を用いることが好ましいが、配合後の微粉発生量を近似的に用いることも可能である。また、グループ別に粉砕する場合は、グループ毎の粉砕後の微粉発生量を用いることが好ましいが、配合後の微粉発生量を近似的に用いることも可能である。
ここでいう微粉とは、0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下の大きさの粒子のことである。
粉砕後の粗大石炭量については、銘柄別に粉砕する場合は、銘柄毎の粉砕後の粗大石炭量を用いることが好ましいが、配合後の粗大石炭量を近似的に用いることも可能である。また、グループ別に粉砕する場合は、グループ毎の粉砕後の粗大石炭量を用いることが好ましいが、配合後の粗大石炭量を近似的に用いることも可能である。
ここでいう粗大石炭とは、前述したように、粗大イナート組織が濃縮されている+6.7mmの石炭粒子のことであるが、精度を問わなければ、+8.0mm、+9.5mmや+5.6mm、+4.75mmの石炭粒子を用いてもよい。
粉砕後の粒度分布及び水分量に基づく装入密度推定については、銘柄別粉砕及びグループ別粉砕の両方の場合とも、配合後の石炭の粒度分布及び水分量に基づく装入密度推定値を用いる。
さらに、粉砕機の制御においては、粉砕機を、上記フィードバック制御で得られたコークス強度の実績値を考慮して設定したコークス強度に応じて制御してもよい。
粉砕機としては、例えば、速度可変型のハンマークラッシャーを用い、+1.0mmの粗大イナート組織の累積体積比、又は、該累積体積比と石炭化度に応じて粉砕強度を変える。例えば、表1に示すように、上記累積体積比が大きい場合には粉砕強度を高く設定して、石炭を強粉砕し、また、上記累積体積比が小さい場合には粉砕強度を低く設定して、石炭を弱粉砕する。
なお、実機において粉砕機系列を構成する場合、例えば、図6に示すように、速度可変型のハンマークラッシャー1を3機並列に配置し、強粉砕、中粉砕、及び、弱粉砕の3系統で粉砕機系列を構成してもよい。
このように粉砕機系列を構成することは、各種銘柄の石炭のグループ化とも関連して、実際の粉砕において重要なことである。
このようにして、銘柄別の石炭、又は、グループ別の石炭を、微粉炭、特に、−0.3mmの微粉炭の発生を抑制して、粉砕後の粒度分布が、コークス炉内での嵩密度を大きく変化させない粒度分布になるように、効率よく粉砕することができる。
表2に、速度可変型のハンマークラッシャーを用い、粗大イナート組織の累積体積比が12%以上の石炭を、粗大イナート組織の累積体積比が6%以下になるように粉砕強度を設定して粉砕した場合の粒度分布と、上記石炭を、従来の単純な強粉砕で粉砕した場合の粒度分布を示す。
そして、本発明者は、粗大なイナート組織を多く含む石炭ほど、本発明に従う粉砕により粉砕した場合、コークス強度向上効果がより大きいことを確認した。
次に、本発明における粗大イナート組織の累積体積比の基準値について説明する。
本発明においては、前述した粉砕により、+1.0mmの粗大なイナート組織の累積体積比を基準値以下に低減するが、該基準値は、石炭の銘柄や性状によって異なるので、あらかじめ、銘柄別又はグループ別に、粗大イナート組織の累積体積比とコークス強度との関係を求めておく。
通常、上記関係において、図7に模式的に示すように、コークス強度は、粗大イナート組織の累積体積比Zの増大に伴い、ほぼ直線的に減少するから、基準値は、該累積体積比の低減幅(Z1−Z2=ΔZ)とコークス強度(DI)の向上幅(DI2−DI1=ΔDI)に基づいて設定する。
ここで、粗大イナート組織の累積体積比とコークス強度の関係は、直線に限定されず、石炭性状、乾留条件等によって異なる。また、具体的な基準値は、目標とするコークス強度がDI1の場合はZ1とし、目標とするコークス強度がDI2の場合はZ2とすればよい。
複数の銘柄で構成される配合炭の場合には、各単味炭のΔDIの加重平均が配合炭のΔDIとなるので、目標とするΔDIを得るため、石炭の銘柄構成、配合比率、粉砕粒度(即ち、粗大イナート累積体積比)を、適宜、調整すればよい。
複数グループで構成される配合炭の場合には、各グループのΔDIの加重平均が配合炭のΔDIとなるので、目標とするΔDIを得るため、各グループ内の石炭銘柄構成、グループ構成比率、粉砕粒度(即ち、粗大イナート累積体積比)を、適宜、調整すればよい。
また、上記基準値は、次のように設定してもよい。図8に、粗大イナート組織の累積体積比(横軸)が異なる複数銘柄の石炭を用い、粉砕後の石炭粒度において、+6.7mmの質量比を10%から3%に変化させた場合(この変化で、粗大イナート組織の累積体積比がある程度低減されている。)におけるコークス強度(DI)の変化(即ち、+6.7mm 10%の石炭で製造したコークスのDIと、+6.7mm 3%の石炭で製造したコークスのDIの差:ΔDI150/15、縦軸)を示す。
この図から、図中で境界値とした粗大イナート量の値を境に、粉砕によるDI変化(ΔDI150/15)が急激に大きくなることが解かる。
即ち、粗大イナート組織の累積体積比が境界値以上の石炭においては、該累積体積比の低減によるコークス強度の増大量が大きく、一方、粗大イナート組織の累積体積比が境界値未満の石炭においては、該累積体積比の低減によるコークス強度の増大量は小さい。
このことから、上記境界値を、粗大イナート組織の累積体積比を低減する場合の目安として扱い、基準値として採用することができる。
複数の銘柄で構成される配合炭の場合には、各単味炭のΔDIの加重平均が配合炭のΔDIとなるので、目標とするΔDIを得るため、石炭の銘柄構成、配合比率、粉砕粒度(即ち、粗大イナート累積体積比)を調整すればよい。
複数グループで構成される配合炭の場合には、各グループのΔDIの加重平均が配合炭のΔDIとなるので、目標とするΔDIを得るため、各グループ内の石炭銘柄構成、グループ構成比率、粉砕粒度(即ち、粗大イナート累積体積比)を、適宜、調整すればよい。
例えば、図8に、6種類の異なる石炭のデータ(ΔDI150/15)が示されているが、基準値Zよりも右側に位置する石炭3種類を粗大イナート累積体積比の基準値以下になるように粉砕し(ここでは、+6.7mmの質量割合3%に粉砕し)、それぞれの配合比率が20%であるとすると(残りの40%は、基準値よりも左側に位置する石炭)、配合炭に期待されるDI向上効果は、
1.1×0.2+0.7×0.2+0.6×0.2=0.48
となる。
なお、ここでは、基準値よりも左側に位置する石炭については粗粉砕するので、DI向上効果は得られないと仮定している。
このように、DI向上効果が大きい石炭のみを選択的に粉砕し、微粉の発生を抑制して、大きなDI向上効果を得ることが可能である。一方、DI向上効果を目標値に合わせたい場合には、石炭配合比率、粉砕粒度、及び/又は、乾留条件を、適宜、調整すればよい。
ただし、図8に示す6種類の異なる石炭のデータ(ΔDI150/15)は、あくまでも一例であり、上記計算は、6種類の異なる石炭について、所定の乾留条件にて、石炭粉砕粒度を、+6.7mmの質量比で10%から3%に変化させた場合におけるコークス強度の変化である。
乾留条件(装入密度、コークス炉の炉温、石炭水分等)、試験に用いる石炭性状、石炭粉砕粒度等が変化すると、図8に例示する曲線は、当然に、上下・左右方向にシフトするので、目標とするDI向上効果に併せて、適正な条件を選択することが可能である。
例えば、図8において、右から順番にA炭、B炭、C炭とし、配合炭のDI向上効果を“0.66”としたい場合、A炭の配合比率を60%とし、B炭及びC炭の配合比率を0%とすれば、配合炭に期待されるDI向上効果は、
1.1×0.6+0.7×0+0.6×0=0.66
となる。
また、石炭粉砕粒度や乾留条件、使用する石炭銘柄、及び/又は、配合比率を変化させることで、基準値を設定して、DI向上効果が大きい石炭のみを選択的に粉砕し、微粉の発生を抑制して、ΔDIを目標値に合わせることができる。
本発明においては、各種銘柄の石炭を、粗大イナート組織の累積体積比に応じてグループ分けし、グループ別に、粉砕後の粗大イナート組織の累積体積比が基準値以下になるように粉砕してもよい。
単一銘柄の石炭を粉砕する場合や、同程度の石炭化度を有する複数銘柄の石炭を、粗大イナート組織の累積体積比でグループ化して粉砕する場合は、粉砕機の粉砕強度を、粗大イナート組織の累積体積比に応じて設定すればよい。
一方、石炭化度が大きく異なる複数銘柄の石炭を、粗大イナート組織の累積体積比に応じてグループ化する場合は、石炭化度(Ro)も考慮してグループ化し、グループ別に、粉砕後の粗大イナート組織の累積体積比が基準値以下になるように粉砕してもよい。グループ分けに、粗大イナート組織の累積体積比だけでなく、石炭化度を用いる理由は、下記の通りである。
石炭は、銘柄によって粉砕性が異なり、一般的に、炭素含有量90%C付近(Ro〜1.5%)で石炭の粉砕性を評価する指数であるハードグローブ指数が極大となる(即ち、最も砕きやすくなる)ことが知られている(「石炭化学と工業」(増補版)木村英雄、藤井修治、三共出版(株)、1986、p.83)。
また、石炭の種類により、粉砕前の石炭の粒度分布は大きく異なるので、石炭化度が異なる石炭を、同じ粉砕機で、同じ粉砕強度で粉砕しても、粉砕後の粒度分布は大きく異なることになる。
それ故、粗大イナート組織の累積体積比が同程度でも、石炭化度が大きく異なる石炭を混合して粉砕する場合、上記累積体積比に応じた粉砕強度で粉砕しても、粉砕後のグループ別石炭において、コークス炉装入に適する粒度分布が得られないことがある。
このため、石炭のグループ分けに、粗大イナート組織の累積体積比だけでなく、石炭化度を用いることが好ましい。
さらに、石炭の全膨張率が大きく異なる複数の銘柄の石炭を用いる場合、グループ分けに、粗大イナート組織の累積体積比と石炭化度だけでなく、石炭の全膨張率も考慮してグループ化し、グループ別に、粉砕後の粗大イナート組織の累積体積比が基準値以下になるように粉砕してもよい。
ここで、石炭の全膨張率とは、JIS M8801で定める膨張性試験方法により測定される収縮率と膨張率の和である全膨張率(以下TD(%)と称する。)のことである。石炭のグループ分けの際に全膨張率を用いる理由は、下記の通りである。
膨張率が低い石炭を強粉砕して微粒化すると、石炭の膨張率がさらに低下する。強度が高いコークスを製造するには、石炭粒子が膨張して粒子同士が接着することが重要であるので、膨張率の低下は、コークス強度に悪影響を及ぼす可能性がある。
このため、粗大イナート組織の累積体積比、及び/又は、石炭化度が同程度の場合、膨張率が低い石炭は、膨張率が高い石炭よりも、粗く粉砕する方が好ましい。
本発明者が、各種銘柄の石炭につき、粗大イナート組織の累積体積比、石炭化度(Ro)、石炭の全膨張率(TD)、及び、適切な粒度分布を得るための“粉砕機の粉砕強度”の関係を調査したところ、この関係は、図9に概括的に示すように、A〜Gにグループ化でき、それぞれのグループ毎の目標値に応じて粉砕することが好ましいことが判明した。
また、グループE、及び、グループEの上に位置するグループDは、ともに、図10に示すように、石炭の全膨張率“45±10%”を境に、それぞれ、グループE1とグループE2、及び、グループD1とグループD2に細分化でき、それぞれのグループ毎の目標値に応じて粉砕することが好ましいことが判明した。
即ち、図9及び図10に示すように、
(a)0.85±0.1≦石炭化度Ro≦1.50±0.1、及び、
(b)15±2%≦粗大イナート組織累積体積比
のグループDの石炭(石炭D)は、全膨張率=45±10%で、
(c1)全膨張率≦45±10%
のグループD2の石炭(石炭D2)と、
(c2)45±10%≦全膨張率
のグループD1の石炭(石炭D1)に区分できる。
また、(a)0.85±0.1≦石炭化度Ro≦1.50±0.1であるが、
(b)粗大イナート組織累積体積比≦15±2%
のグループEの石炭(石炭E)は、全膨張率=45±10%で、
(c1)全膨張率≦45±10%
のグループE2の石炭(石炭E2)と、
(c2)45±10%≦全膨張率
のグループE1の石炭(石炭E1)に区分できる。
このように、各種銘柄の石炭は、粗大イナート組織の累積体積比、及び、石炭化度(Ro)、さらには、全膨張率を含む石炭性状と、粉砕機の粉砕強度の程度との関係で、9つのグループ(A、B、C、D1、D2、E1、E2、F、及び、G)に分類できることが判明した。
したがって、特定の銘柄の石炭が、どのグループに属するものであるかを判別すれば、該石炭を粉砕する際の適切な粉砕強度を知ることができる。
各グループに属する石炭の粉砕後の石炭粒度は、下記粒度を目標値とすることが好ましい。
石炭A(+6.7mm≧8%)、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦14%)、石炭B(+6.7mm≦12%)、石炭D1、石炭D2、石炭E1(+6.7mm≦7%)、石炭F、石炭G(+6.7mm≦5%)
ここで、粘結性を有する石炭B、石炭C、石炭D1、石炭D2、石炭E1、及び、石炭E2において、石炭D1、石炭D2、及び、石炭E1を、石炭B、石炭C、及び、石炭E2よりも細かく粉砕する理由は、一般的に、石炭B及び石炭Cは、膨張率が低く、強粉砕することによって膨張率が低下して、コークス強度に影響を及ぼす可能性があるためであり、また、石炭E2についても、同様に、膨張率が低く、強粉砕することによって膨張率が低下して、コークス強度に影響を及ぼす可能性があるためである。
上記粉砕後の石炭粒度の目標値において、好ましい目標値は、次のとおりである。
石炭A(+6.7mm≧10%)、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦4%)、石炭B(+6.7mm≦3%)、石炭D1、石炭D2、石炭E1(+6.7mm≦5%)、石炭F、石炭G(+6.7mm≦3%)
さらに好ましくは、次の通りである。
石炭A(+6.7mm≧12%)、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦3%)、石炭B(+6.7mm≦2%)、石炭D1、石炭D2、石炭E1(+6.7mm≦4%)、石炭F、石炭G(+6.7mm≦2%)
ここで、粘結性を有する石炭B、石炭C、石炭D1、石炭D2、石炭E1、石炭E2において、石炭B、石炭C、及び、石炭E2を、石炭D1、石炭D2、及び、石炭E1よりも細かく粉砕する理由は、これらの石炭は、粒度が細かい領域で、コークス強度を向上させる効果が大きいからである。
ここで、各グループの石炭の粒度は、使用する石炭の種類(銘柄)、目標とするコークス強度、許容される微粉発生量等により、それぞれ上記の範囲となるように選択すればよい。
例えば、石炭B、石炭C、及び、石炭E2について、なるべく配合炭全体で微粉を発生させたくない場合、及び/又は、配合炭全体の膨張性が不足傾向にある場合には、どちらかというと、粗く粉砕し、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦14%)、石炭B(+6.7mm≦12%)の目標粒度となるようにする。
また、微粉を発生させてもよい場合、及び/又は、配合炭全体の膨張性が不足傾向にない場合には、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦4%)、石炭B(+6.7mm≦3%)又は、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦3%)、石炭B(+6.7mm≦2%)の目標値となるようにすればよい。
また、石炭D1、石炭D2、及び、石炭E1については、石炭D1≧石炭E1≧石炭D2の順番で強く粉砕することがより好ましい。この理由は、次のとおりである。
粗大イナート組織の累積体積比の比較からすれば、石炭E1の粉砕は、石炭D1及び石炭D2よりも弱粉砕とすべきであるが、石炭D2は、もともと、膨張率が低い石炭であり、粉砕して石炭を微粒化すると、石炭の膨張率がさらに低下して、コークス強度に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、粉砕強度の順番は、石炭D1≧石炭E1≧石炭D2とすることが好ましい。
ここで、図9において、石炭化度(Ro)が(0.70±0.1)%以下のグループAの石炭(石炭A)を、粗く粉砕するのは、次の理由による。
石炭化度が低く粘結性がほとんどない石炭を乾留すると、石炭から比較的低温で発生する酸素を多く含む熱分解ガス及びタールが、周囲の粘結炭と化学的な相互作用を起こし、石炭の粘結性を大きく阻害する。また、石炭化度が低く粘結性がほとんどない石炭は、粒径が小さいと周囲の石炭との接触面積が大きくなるため、より粘結性を阻害する。
したがって、このような特性・性状の石炭Aをコークス炉用原料炭中に配合する場合には、なるべく弱粉砕して、粗いまま使用することが好ましい。
また、石炭化度Roが(0.70±0.1)%以上(0.85±0.1)%以下のグループBとCの石炭(石炭B、石炭C)は、石炭B>石炭Cの順番で強く粉砕することが、より好ましい。この理由は、石炭Cは、粗大イナート組織の累積体積比率が小さく、強粉砕によるコークス強度向上効果が小さいからである。
また、グループFの石炭(石炭F)を細かく粉砕するのは、次の理由による。石炭Fのような石炭化度が極めて高くかつ粘結性を有する石炭の粗大粒子を乾留すると、粒子内に小さな気孔が多く生じ、この小気孔が破壊の原因となる欠陥になってしまうからである。
このように、石炭粒子内に小さな気孔が生じるのは、石炭の特性・性状によるものであるところ、本発明者は、このような特性・性状の石炭については、強粉砕した方がよいことを、試験の結果確認した。
石炭化度Roが(1.7±0.05)%以上の石炭は、粘結性がほとんどなく、ほとんど溶融しない。即ち、上記石炭は、石炭自体が、いわば粗大イナート組織のような作用をするので、細粒化するほど、コークス強度への悪影響を小さくすることができる。それ故、石炭化度Roが(1.7±0.05)%以上のグループGの石炭(石炭G)は強粉砕する。
なお、上記9つの石炭グループに分けて粉砕できない場合は、目標粒度を満足する範囲で2つ以上のグループをまとめて1つのグループとして、一緒に粉砕してもよい。
例えば、粉砕機が四系列ある作業所においては、グループ1:石炭B、石炭C、グループ2:石炭D1、石炭D2、石炭E1、グループ3:石炭F、石炭G、及び、グループ4:石炭A、石炭E2の4グループに分類し、それぞれのグループを、別々の粉砕機で粉砕すれば、石炭A(+6.7mm≧8%)、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦14%)、石炭B(+6.7mm≦12%)、石炭D1、石炭D2、石炭E1(+6.7mm≦7%)、石炭F、石炭G(+6.7mm≦5%)の粒度目標を達成することができる。
ここで、石炭E2を、石炭Cや石炭Bと同じグループにしないのは、石炭の粉砕性が大きく異なるからである。
また、グループ1:石炭B、石炭C、グループ2:石炭D1、石炭D2、石炭E1、石炭E2、グループ3:石炭F、石炭G、及び、グループ4:石炭Aの4グループに分類し、それぞれのグループを、別々の粉砕機で粉砕すれば、石炭A(+6.7mm≧10%)、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦4%)、石炭B(+6.7mm≦3%)、石炭D1、石炭D2、石炭E1(+6.7mm≦5%)、石炭F、石炭G(+6.7mm≦3%)の粒度目標を達成することができる。
この場合、グループ1の粉砕機は、硬い石炭Bと石炭Cを細粒に粉砕するため、粉砕機の粉砕強度を高める必要がある。
各粉砕強度の目標値は、当然のことながら、使用する石炭の種類(銘柄)、目標とするコークス強度、許容される微粉発生量等により変わるものである。粉砕機の粉砕強度の設定方法は、粉砕機の回転数や、ギャップの間隔などで調整でき、一般的に、回転数が早く、ギャップ間隔が狭いほど、粉砕強度は強い。
粉砕機系列が3系列の作業所においては、例えば、グループ1:石炭B、石炭C、グループ2:石炭D1、石炭D2、石炭E1、石炭F、石炭G、及び、グループ3:石炭A、石炭E2の3グループに分類し、それぞれのグループを、別々の粉砕機で粉砕すれば、石炭A(+6.7mm≧8%)、石炭C、石炭E2(+6.7mm≦14%)、石炭B(+6.7mm≦12%)、石炭D1、石炭D2、石炭E1(+6.7mm≦7%)、石炭F、石炭G(+6.7mm≦5%)の粒度目標を達成することができる。
配合炭の構成によっては、その分類に値する石炭が存在しない場合もあり、その場合は、グループ分けは、さらに簡単となる。
なお、石炭化度を表す指標としては、ビトリニットの最大反射率(Ro、JIS M8816)、揮発分(JIS M8812)、炭素含有率(JIS M8813)、発熱量(JIS M8814)等があるが、ビトリニットの最大反射率、又は、平均反射率を用いるのが好ましい。
次に、本発明における粉砕後の石炭の配合、及び、コークス炉への装入について説明する。
本発明においては、
(1b)銘柄別に粉砕した石炭を、単独で、又は、他銘柄の1種以上の粉砕した又は粉砕しない石炭と配合してコークス炉に装入するか、又は、
(2b)グループ別に粉砕した石炭を、グループ別に、又は、適宜グループ間で配合してコークス炉に装入する。
前述したように、粉砕により、微粉(−0.3mm)が多量に発生し、コークス炉への装入時の嵩密度(t/m3)が低下すると、コークス強度が低下するとともに、コークス生産量が低下するし、また、発塵量や炉壁へのカーボン付着量が増加する懸念もある。
粉砕後の石炭の粒度分布が適切であれば、そのままコークス炉に装入することができるが、粗大イナート組織の累積体積比が大きい石炭を強粉砕すると、微粉(−0.3mm)が多量に発生し、装入密度が低下する傾向にある。
そこで、装入密度の低下を防止するために、粉砕した石炭と、他銘柄の1種以上の粉砕した又は粉砕しない石炭とを配合し、コークス炉へ装入する石炭の粒度を平均化してコークス炉に装入する。
他銘柄の1種以上の粉砕した又は粉砕しない石炭の粒度は、コークス炉へ装入する石炭の粒度を平均化する限りにおいて、特定の粒度に限定されない。
また、所定のコークス強度を確保できる装入密度となるような目標粒度をあらかじめ定めておき、該目標粒度となるように、粉砕した石炭と他銘柄の1種以上の粉砕した又は粉砕しない石炭とを配合してもよい。
グループ別に粉砕した石炭を、グループ別に、又は、適宜グループ間で配合してコークス炉に装入する場合も、配合する理由は、銘柄間で配合する場合の上記理由と同じである。
粉砕した石炭を銘柄間又はグループ間で配合する場合、配合後の粗大イナート組織の累積体積比が、該累積体積比の低減目標値である「基準値」を超えないように配合することが望ましい。
配合後の粗大イナート組織の累積体積比が、上記「基準値」を超えても、所要強度を有するコークを得ることができるが、安定的にコークス強度の向上を図るには、配合後の粗大イナート組織の累積体積比が、上記「基準値」を超えないように配合することが望ましい。
配合後の粗大イナート組織の累積体積比(Z)は、下記式で算出する。
Z=Σ(粉砕後の銘柄別粗大イナート組織累積体積比)×配合比
Z=Σ(粉砕後のグループ別粗大イナート組織累積体積比)×配合比
また、配合後の粗大イナート組織の累積体積比(Z)に替わり、例えば、下記式で算出する配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比Z’を用いてもよい。
Z’=Σ(粉砕後の銘柄粗大石炭粒子量)×粗大イナート比率×配合比
Z’=Σ(粉砕後のグループ別粗大石炭粒子量)×粗大イナート比率×配合比
本発明の配合においては、高強度でかつ均質のコークスを安定的に製造するうえで、配合後の粗大イナート組織の累積体積比Zが10%以下、好ましくは6%以下、さらに、より好ましくは3%以下になるように配合することが好ましい。
また、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比Z’を用いる場合、該近似累積体積比Z’が10%以下、好ましくは6%以下、さらに、より好ましくは3%以下になるように配合することが好ましい。
さらに、本発明においては、粉砕して配合した石炭を、配合後、
(c)粗粒の石炭と微粒の石炭に分級し、
(d)微粒の石炭、又は、微粒の石炭と粗粒の石炭の一部を混合して粒状に成型し、
(e)上記粒状に成型した石炭と、上記粗粒の石炭、又は、上記粗粒の石炭の残部を混合してコークス炉に装入する。
粉砕した石炭、及び、粉砕したグループ別石炭を、粗粒と微粒に分級し、分級した微粒の石炭を粒状に成型する理由の一つは、コークス炉装入炭の嵩密度低下を抑制するとともに、発塵を抑制し、炉壁へのカーボン付着量を抑制するためである。
さらに、本発明者らの検討によると、粗大イナート組織の累積体積比に応じて石炭を粉砕することにより、従来法で粉砕するよりも、微粒中の総イナート量が増加し、この総イナート量が多い微粉を成型することにより、コークスの熱間反応後強度を向上させることが可能であることを見いだした。
従来の粉砕方法では、強粉砕しても粗大なイナート組織がコークス中に多く残留していた。粗大なイナート組織の内部及び周囲には、乾留すると微細な気孔が生成し、CO2と反応する反応面積が増加する。
その結果、コークスの反応率が増加し、反応後に機械的衝撃により剥離する脆弱な部分が増加するため、強粉砕によりコークスの冷間強度(DI)が向上しても、熱間反応後強度はあまり向上しなかった。
一方、本発明の粉砕方法では、粗大なイナート組織が減少するため、上記の問題を解決することができた。
さらに、本発明者は、総イナート量が多い微粉を成型することにより、微細イナート周囲での微細気孔生成が抑制され、コークスの反応率を低下させ、熱間反応後強度を大きく向上させることが可能であることを見いだした。
ここでいうコークスの熱間反応後強度とは、ASTM D5341記載のCSRのことを指し、20mmの塊コークス試料200gをCO2雰囲気中1100℃で2時間反応させた試料にI型ドラムで600回転衝撃を加えた後の9.52mm篩上重量の反応後重量に対する百分率で表される。
コークス炉における乾留条件は、通常の乾留条件の範囲内で適宜調整して採用すればよい。本発明においては、粗大イナート組織の累積体積比や、該累積体積比と石炭化度で区分ないしグループ化し、石炭性状をより均質化した状態で乾留するので、高強度でかつ均質のコークスを生産性よく製造することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、該形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態を採り得るものである。
次に、本発明の実施例について説明する。実施例において用いた条件等は、本発明の実施再現性を説明するための代表的な条件等であり、本発明は、該条件等に限定されるものではない。本発明を実施するための条件等は、本発明の目的を達成し得る範囲内で、適宜、設定ないし採用し得るものである。
(実施例1)
実機コークス炉をシミュレートすることができる試験用コークス炉を用いて、石炭の乾留試験及び乾留後コークスの評価試験を実施した。石炭試料としては、表3に示すような3種類の石炭を用いた。
粗大イナート組織累積体積比は、1.0mm以上のイナート組織を粗大イナートと定義して求めた。また、TDは、JIS M8801で規定する石炭の全膨張率である。
石炭は、以下に示すような条件で粉砕した後、石炭D1:30%、石炭E2:30%、石炭B:40%の割合で配合し、水分を3%に調整した後、試験コークス炉に、装入密度0.85dryt/m3で装入し、炉温1250℃相当で18.5時間乾留した。乾留後、コークスを窒素ガスで冷却し、ドラム強度とCSRを測定した。その結果を表4に示す。
比較例1は、石炭D1、石炭E2、及び、石炭Bを、それぞれ、同じ粉砕機を用い、同じ粉砕強度の下で粉砕した場合である。それぞれの石炭の原炭粒度及び硬さが異なるため、粉砕後の粗大粒子量及び粗大イナート組織累積体積比は、石炭銘柄により大きく異なり、ドラム強度は83.7で、CSRは59.0であった。
実施例1-1は、粗大イナート組織累積体積比の基準値を6%とし、各石炭の粗大イナート組織累積体積比が、この目標値以下となるように粉砕した場合である。
ここで、粗大イナート組織の累積体積比の基準値は、コークス強度(DI)85以上のコークスの製造を目標として、本明細書に記載の方法により決定した。
その結果、ドラム強度は85.8と大きく向上し、また、CSRも61.0と向上している。
実施例1-2は、粗大イナート組織累積体積比の基準値を6%とし、各石炭の粗大イナート組織累積体積比がこの目標値以下となるように、各石炭の粗大粒子量の目標値を5%以下になるように調整して粉砕した場合である。
この結果、各石炭の粗大イナート組織累積体積比は6%以下となっており、ドラム強度は85.9と大きく向上し、また、CSRも61.2と向上している。
実施例1-3は、配合後の粗大イナート組織累積体積比(Z)の基準値を6%とし、各石炭の粗大イナート組織累積体積比が、この目標値以下となるように粉砕した場合である。
その結果、配合後の粗大イナート組織累積体積比は目標の6%以下となっており、ドラム強度は85.7と大きく向上し、また、CSRも61.0と向上している。
実施例1-4は、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比(Z‘)の基準値を6%とし、各石炭の粗大イナート組織累積体積比がこの目標値以下となるように粉砕した場合である。
その結果、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比は目標の6%以下となっており、ドラム強度は85.5と大きく向上し、また、CSRも61.0と向上している。
実施例1-5は、実施例1と同様に、粗大イナート組織累積体積比の基準値を6%とし、各石炭の粗大イナート組織累積体積比がこの目標値以下となるように調整して粉砕した後、所定の混合比率で混合し、水分を調整し、その後、微粒と粗粒に分級し、微粒部分を成型して粗粒部分とまぜた場合である。
ここで、微粒は0.3mm以下、成形炭のサイズは、円相当径で10mmである。また、装入密度は、実施例2と同じ0.85dryt/m3となるように調整した。
その結果、ドラム強度は85.9、CSRは63.5であり、いずれも、実施例1-1の場合より向上している。
(実施例2)
実機コークス炉をシミュレートすることができる試験用コークス炉を用いて、石炭の乾留試験及び乾留後コークスの評価試験を実施した。石炭試料としては、表5に示すような6種類の石炭を用いた。
ここで、粗大イナート組織累積体積比は1.0mm以上のイナート組織を粗大イナートと定義して求めた。また、TDはJIS M8801に規定する石炭の全膨張率である。
石炭は、本発明にあるように、粗大イナート組織累積体積比と石炭化度(Ro)により分類し、石炭D1-aと石炭D1-bはグループ1(表中Gr1)、石炭E2-aと石炭E2-bはグループ2(表中Gr2)、石炭B-aと石炭B-bはグループ3(表中Gr3)とした。
また、石炭は、以下に示すような条件で粉砕した後、グループ1:30%(石炭D1-a:15%、石炭D1-b:15%)、グループ2:30%(石炭E2-a:15%、石炭E2-b:15%)、グループ3:40%(石炭B-a:20%、石炭B-b:20%)の割合で配合し、水分を3%に調整した後、試験コークス炉に装入密度0.85dryt/m3で装入し、炉温1250℃相当で18.5時間乾留した。
乾留後、コークスを窒素ガスで冷却し、ドラム強度とCSRを測定した。その結果を表6に示す。
比較例2は、石炭D1-a、石炭D1-b、石炭E2-a、石炭E2-b炭、石炭B-a及び石炭B-bを、それぞれ、同じ粉砕機で、同じ粉砕強度の下で粉砕した場合である。
それぞれの石炭の原炭粒度及び硬さが異なるため、粉砕後の粗大粒子量及び粗大イナート組織累積体積比は、石炭銘柄により大きく異なり、ドラム強度は84.0で、CSRは59.0であった。
実施例2-6は、粗大イナート組織累積体積比の基準値を6%とし、各グループの粗大イナート組織累積体積比が、この目標値以下となるように粉砕した場合である。
その結果、ドラム強度は85.8と大きく向上し、また、CSRも61.1と向上している。
実施例2-7は、粗大イナート組織累積体積比の基準値を6%とし、各グループの粗大イナート組織累積体積比がこの目標値以下となるように、各グループの粗大粒子量の目標値を5%以下になるように調整して粉砕した場合である。
その結果、各グループの粗大イナート組織累積体積比は6%以下となっており、ドラム強度は86.0と大きく向上し、また、CSRも61.6と向上している。
実施例2-8は、配合後の粗大イナート組織累積体積比(Z)の基準値を6%とし、各グループの粗大イナート組織累積体積比がこの目標値以下となるように粉砕した場合である。
その結果、配合後の粗大イナート組織累積体積比は目標の6%以下となっており、ドラム強度は85.7と大きく向上し、また、CSRは60.8と向上している。
実施例2-9は、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比(Z‘)の基準値を6%とし、各グループの粗大イナート組織累積体積比がこの目標値以下となるように粉砕した場合である。
その結果、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比は基準値の6%以下となっており、ドラム強度は85.6と大きく向上し、また、CSRも60.7と向上している。
実施例2-10は、実施例2-6と同様に、粗大イナート組織累積体積比の基準値を6%とし、各グループの粗大イナート組織累積体積比がこの基準値以下となるように調整して粉砕した後、所定の混合比率で混合し、水分を調整し、その後、微粒と粗粒に分級し、微粒部分を成型して粗粒部分と配合した場合である。
ここで、微粒は0.3mm以下、成形炭のサイズは円相当径で10mmである。また、装入密度は、実施例2-6と同じ0.85dryt/m3となるように調整した。
その結果、ドラム強度は86.0、CSRは63.5であり、いずれも、実施例6の場合より向上している。
(実施例3)
実機コークス炉をシミュレートすることができる試験用コークス炉を用いて、石炭の乾留試験及び乾留後コークスの評価試験を実施した。石炭試料としては、表7に示すように、図9に示すグループ化に従う9種類の石炭を用いた。
なお、粗大イナート組織累積体積比は、1.0mm以上のイナート組織を粗大イナート組織と定義して求めた。また、TD(%)は、JIS M8801の規格に従う石炭の全膨張率である。
表7に示す9種類の石炭のそれぞれを、表8に示す粉砕強度で粉砕して所要の粒径分布とし、適宜選択した石炭を、適宜配合量を変えて配合し、水分3%に調整した後、試験コークス炉に装入し、炉温1250℃相当で18.5時間乾留してコークスを製造した。
装入密度は、配合例1〜5では0.68dryt/m3、配合例6〜13では0.75dryt/m3、配合例14〜18では0.83dryt/m3である。
乾留後、コークスを窒素ガスで冷却し、コークス強度DIとCSRを測定した。その結果を表8に示す。
配合例1〜18において、(石炭B+石炭C)の配合量(%)は、20〜60%にわたっているが、いずれの配合例においても、極めて高いコークス強度が得られている。
(実施例4)
実機コークス炉をシミュレートすることができる試験用コークス炉を用いて、石炭の乾留試験及び乾留後コークスの評価試験を実施した。石炭試料としては、表9に示す7種類の石炭のそれぞれについて、粉砕強度を変えて、粉砕後の+6.7mm粒子の割合(%)を調整した石炭を使用した。この粒子の割合(%)を表9に併せて示す。
上記7種類の石炭を、粘結炭に配合して、水分を3%に調整した後、試験コークス炉に装入し、炉温1250℃相当で18.5時間乾留してコークスを製造した。
配合割合は、石炭B、石炭C及び石炭D1は20%、石炭D2、石炭E1、石炭E2及び石炭Fは10%とし、装入密度は0.83dryt/m3とした。
乾留後、コークスを窒素ガスで冷却し、コークス強度DIとCSRを測定した。その結果を表9に併せて示す。
いずれの場合においても、極めて高い強度のコークスが製造されている。
前述したように、本発明によれば、極めて高い強度を有するコークスを製造することができ、また、安価かつ低品位の非微粘結炭の使用比率を高めても、高強度でかつ均質のコークスを生産性よく製造することができる。
したがって、本発明は、高炉操業におけるコークスの利用度を高めるとともに、コークスの製造費を低減するという顕著な効果をもたらすものであり、産業上の利用可能性の高いものである。
コークス中に存在するイナート組織とその周辺の組織を示す図である。 +1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比とコークス強度(DI)との関係を示す図である。 1.5mmの粗大イナート組織の累積体積比は一定とし、コークス中全部のイナート組織の累積体積比(総イナート比率)を変えた場合の、コークス強度(DI)を示す図である。 コークス中の+1.5mmの粗大イナート組織の存在量(比)の低減前後の対比で、イナート組織の存在態様とコークス強度(DI)との対応関係を示す図である。 特定銘柄の石炭における、粉砕前の石炭粒度(原炭粒度)と、粒度区分別の総イナート比率、及び、+1.5mmのイナート組織の累積体積比との関係を示す図である。 実機における粉砕機系列を示す図である。 粗大イナート組織の累積体積比とコークス強度との関係を模式的に示す図である。 粗大イナート組織の累積体積比(横軸)が異なる複数銘柄の石炭を用い、粉砕後の石炭粒度において、+6.7mmの質量比を10%から3%に変化させた場合におけるコークス強度(DI)の変化(即ち、+6.7mm 10%の石炭で製造したコークスのDIと、+6.7mm 3%の石炭で製造したコークスのDIの差:ΔDI150/15、縦軸)を示す図である。 適正な粉砕粒度とするための、粗大イナート組織の累積体積比及び石炭化度による石炭のグループ分けを示す図である。 適正な粉砕粒度とするための、粗大イナート組織の累積体積比、及び、全膨張率による石炭のグループ分けを示す図である。
符号の説明
1…ハンマークラッシャー

Claims (19)

  1. 銘柄又は性状の異なる石炭を粉砕、配合し、高強度のコークスを製造する方法において、
    (x)絶対最大長さで1.0mm以上の粗大イナート組織の累積体積比が異なる複数銘柄の石炭を用い、粉砕後の石炭における+6.7mmの質量比が10%から3%に変化した場合のコークス強度(DI)の変化(ΔDI150/15)が大きくなる前記粗大イナート組織の累積体積比の境界値を基準値とし、
    (a)各種銘柄の石炭を、銘柄別に、前記粗大イナート組織の累積体積比が前記基準値以下になるように、粉砕機で粉砕し、
    (b)上記粉砕した石炭を、単独で、又は、他銘柄の1種以上の粉砕した又は粉砕しない石炭と配合してコークス炉に装入する、
    ことを特徴とする高強度コークスの製造方法。
  2. 銘柄又は性状の異なる石炭を粉砕、配合し、高強度のコークスを製造する方法において、
    (x)絶対最大長さで1.0mm以上の粗大イナート組織の累積体積比が異なる複数銘柄の石炭を用い、粉砕後の石炭における+6.7mmの質量比が10%から3%に変化した場合のコークス強度(DI)の変化(ΔDI150/15)が大きくなる前記粗大イナート組織の累積体積比の境界値を基準値とし、
    (a)前記粗大イナート組織の累積体積比を(15±2)%で2つの範囲に区分して、各種銘柄の石炭を、複数のグループに分け、該グループ別に、粗大イナート組織の累積体積比が前記基準値以下になるように、粉砕機で粉砕し、
    (b)上記粉砕した石炭を、前記グループ別に、又は、適宜グループ間で配合してコークス炉に装入する、
    ことを特徴とする高強度コークスの製造方法。
  3. 前記複数のグループ分けに際し、前記粗大イナート組織の累積体積比を(15±2)%で2つの範囲に区分し、かつ、石炭化度を(0.70±0.1)%、(0.85±0.1)%、(1.50±0.1)%、及び、(1.7±0.05)%で5つの範囲に区分し、これら範囲の組み合せで、各種銘柄の石炭を、複数のグループに分けたことを特徴とする請求項に記載の高強度コークスの製造方法。
  4. 前記複数のグループが、GrA:石炭化度≦(0.70±0.1)%、GrB:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrC:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrD:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、及び、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、GrE:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、及び、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、GrF:(1.50±0.1)%≦石炭化度≦(1.7±0.05)%、及び、GrG:(1.7±0.05)%≦石炭化度、の7つのグループであることを特徴とする請求項に記載の高強度コークスの製造方法。
  5. 前記複数のグループ分けに際し、前記粗大イナート組織の累積体積比を(15±2)%で2つの範囲に区分し、石炭化度を(0.70±0.1)%、(0.85±0.1)%、(1.50±0.1)%、及び、(1.7±0.05)%で5つの範囲に区分し、かつ、全膨張率を(45±10)%で2つの範囲に区分し、これら範囲の組み合せで、各種銘柄の石炭を、複数のグループに分けたことを特徴とする請求項に記載の高強度コークスの製造方法。
  6. 前記複数のグループが、GrA:石炭化度≦(0.70±0.1)%、GrB:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrC:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、及び、(0.70±0.1)%≦石炭化度≦(0.85±0.1)%、GrD1:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、(45±10)%≦全膨張率、GrD2:(15±2)%≦粗大イナート組織の累積体積比、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、全膨張率≦(45±10)%、GrE1:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、(45±10)%≦全膨張率、GrE2:粗大イナート組織の累積体積比≦(15±2)%、(0.85±0.1)%≦石炭化度≦(1.50±0.1)%、及び、全膨張率≦(45±10)%、GrF:(1.50±0.1)%≦石炭化度≦(1.7±0.05)%、及び、GrG:(1.7±0.05)%≦石炭化度、の9つのグループであることを特徴とする請求項に記載の高強度コークスの製造方法。
  7. 前記粉砕は、+6.7mmの粒度の石炭に対して行なうことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の高強度コークスの製造方法。
  8. 前記粉砕において、前記粗大イナート組織の累積体積比の基準値が10%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の高強度コークスの製造方法。
  9. 前記粉砕において、石炭のグループ毎に目標粉砕粒度を設定することを特徴とする請求項8のいずれか1項に記載の高強度コークスの製造方法。
  10. 前記目標粉砕粒度が、+6.7mmを指標とし、GrAの石炭:+6.7mm≦8%、GrC及びE2の石炭:+6.7mm≦14%、GrBの石炭:+6.7mm≦12%、GrD1、D2及びE1の石炭:+6.7mm≦7%、GrF及びGの石炭:+6.7mm≦5%、であることを特徴とする請求項に記載の高強度コークスの製造方法。
  11. 前記目標粉砕粒度が、+6.7mmを指標とし、GrAの石炭:+6.7mm≦10%、GrC及びE2の石炭:+6.7mm≦4%、GrBの石炭:+6.7mm≦3%、GrD1、D2及びE1の石炭:+6.7mm≦5%、GrF及びGの石炭:+6.7mm≦3%、であることを特徴とする請求項に記載の高強度コークスの製造方法。
  12. 前記粉砕において、粉砕後の微粉発生量、粉砕後の粗大石炭量、及び、粉砕後の粒度分布及び水分量に基づく装入密度推定値のいずれか1つ又は2つ以上に基づいて、粉砕機を制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の高強度コークスの製造方法。
  13. 前記粉砕において、所期のコークス強度に応じて、粉砕機を制御することを特徴とする請求項12に記載の高強度コークスの製造方法。
  14. 前記(b)における配合後、さらに、
    (c)粗粒の石炭と微粒の石炭に分級し、
    (d)上記微粒の石炭、又は、上記微粒の石炭と上記粗粒の石炭の一部との混合物を、粒状に成型し、
    (e)上記粒状に成型した石炭と、上記粗粒の石炭、又は、上記粗粒の石炭の残部を混合してコークス炉に装入する、
    ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の高強度コークスの製造方法。
  15. 前記分級において、0.3mm以上の粗粒の石炭と0.3mm未満の微粒の石炭に分級することを特徴とする請求項14に記載の高強度コークスの製造方法。
  16. 前記粒状に成型した石炭のサイズが、円相当径で6.7mm以上であることを特徴とする請求項15に記載の高強度コークスの製造方法。
  17. 前記配合において、配合後の前記粗大イナート組織の累積体積比が基準値の10%以下になるように、前記粉砕、及び/又は、配合を行なうことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の高強度コークスの製造方法。
  18. 前記配合後の前記粗大イナート組織の累積体積比Zを、下記式により算出することを特徴とする請求項17に記載の高強度コークスの製造方法。
    Z=Σ(粉砕後の銘柄別又はグループ別粗大イナート組織累積体積比)×配合比
  19. 前記配合後の前記粗大イナート組織の累積体積比Zに替わり、下記式により、配合後の粗大イナート組織の近似累積体積比Z’を算出することを特徴とする請求項17に記載の高強度コークスの製造方法。
    Z’=Σ(粉砕後の銘柄別又はグループ別粗大石炭粒子量)×粗大イナート組織比率
    ×配合比
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