JP5780011B2 - コークス表面破壊強度の推定方法及びそれを用いたコークスの製造方法 - Google Patents

コークス表面破壊強度の推定方法及びそれを用いたコークスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、石炭を乾留して高炉用コークスを製造する際にコークスの表面破壊強度を推定する方法、及びこの推定方法を利用してコークスの表面破壊強度を推定した上でコークスを製造する方法に関する。
コークスは、通常、多くの種類の石炭を配合してコークス炉で乾留して製造される。なかでも高炉用コークスは、高炉までの輸送や高炉内での衝撃に耐えるため、所定の値以上の強度を持つことが要求される。ところが、配合する原料石炭の性状は銘柄ごとに異なるため、要求される強度のコークスを安定して製造するためには、得られるコークスの強度を原料石炭の性状に基づいて精度良く推定した上で、それらを踏まえて石炭配合及びコークス炉の操業条件を設定することが必要になる。
コークス強度を示す代表的な指数として、JIS K2151に規定されたドラム強度指数DIやASTMのタンブラー強度指数TIなどがあり、これらの指数はいずれも内側に羽の付いた円筒形の容器にコークスを入れ、容器を規定回数回転させた後にコークスを取り出して、規定の大きさの篩上(又は篩下)の試料質量の初期試料質量に対する百分率によって表すものである。
そして、例えば、特許文献1には、コークス強度試験において生成する粉コークスを表面破壊による粉コークスと体積破壊による粉コークスとに分けて、それぞれについて配合炭を構成する各石炭の性状に基づいて推定する方法が開示されている。すなわち、コークス強度試験において生成する粉コークスのうち6mm以下のものを表面破壊によるものとして、石炭の膨張性からその表面破壊強度を推定し、また、6mm超15mm以下のものを体積破壊によるものとして、石炭再固化時の収縮係数と炉温との関係からその体積破壊強度を推定する。
また、特許文献2では、コークスの表面破壊が石炭の軟化膨張時の非接着粒界と連結気孔による欠陥に起因することを見出し、石炭が400℃前後の温度で軟化し始めて膨張し、500℃前後で再固化する間に、石炭粒子が空隙をどの程度充填するかを判定することで、コークスの表面破壊強度DI150 6を推定できることが報告されている。すなわち、石炭の軟化膨張時の非接着粒界とは、石炭粒子が十分接触しないままコークス化して粒子と粒子の境界に空隙が存在する場合に発生するものであり、連結気孔とは、石炭粒子が自由膨張状態になった結果、気泡が破裂して連結してできた大きな孔であり、これらの発生の程度を石炭の軟化時比容積Svと装入嵩密度BDを基に石炭軟化時の空隙充填度(Sv×BD)を求めることで、コークスの表面破壊強度を推定している。
更に、特許文献3では、配合炭を構成する各石炭のビトリニット平均反射率Ro、各石炭の空隙充填度S、及び各石炭の配合率から、乾留後のコークスの表面破壊強度DI150 6を推定している。すなわち、上記特許文献2に記載の方法によって推定したコークスの表面破壊強度DI150 6は、石炭の炭化度の指標であるビトリニットの平均反射率Roの値によっては実測したDI150 6から外れてしまうことから、石炭のビトリニット平均反射率Roを推定式のパラメーターに加えることで、表面破壊強度DI150 6の推定精度を向上させるものである。
特開平9−263764号公報 特開2002−21565号公報 特開2005−194462号公報
このような状況のもと、本発明者等が上記特許文献3記載の方法を使ってコークスの表面破壊強度を推定していくうちに、推定結果が実測の表面破壊強度DI150 6から外れる場合があるという問題が発生した。その原因を検討したところ、一般に知られている性状と相違する石炭を使用した場合によるものであることが分った。
そこで、本発明の目的は、一般に知られている性状と相違する石炭を使用した場合でも、コークスの表面破壊強度を推定できる方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、この方法を用いて適正なコークスを製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、石炭化度が高く、かつ、石炭組織中のエクジニット含有量が比較的高いといった特異な性状の石炭の存在を考慮して、高石炭化度の石炭におけるエクジニット含有量をパラメーターに加えてコークスの表面破壊強度を推定することで、従来手法における推定精度を更に高めることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)石炭を乾留して得られるコークスの表面破壊強度を石炭の性状から推定する方法であって、(A)石炭のビトリニット平均反射率Roと、その石炭を下記式(1)で定義される石炭軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係、及び、(B)石炭軟化時の空隙充填度Sとコークスの表面破壊強度DI150 6との関係を基に、i)石炭のビトリニット平均反射率Ro、ii)石炭の空隙充填度S、及びiii)各石炭の配合率からコークスの表面破壊強度の一次推定値を求め、また、(C)実測したコークスの表面破壊強度に対する前記一次推定値の差ΔDIと、ビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭におけるエクジニット含有量Eとの関係を基に、iv)石炭のエクジニット含有量Eを用いて前記一次推定値を補正することを特徴とするコークス表面破壊強度の推定方法。
空隙充填度S(−)=石炭軟化時の比容積×コークス炉装入時の石炭の嵩密度 ・・・(1)
〔但し、石炭軟化時の比容積は、JIS M8801に規定されるディラートメーターで石炭を膨張させた際の最大膨張体積Vを、装入した石炭質量Wで除した値(V/W)を示す。〕
(2)下記式(2)を用いて補正後のコークス表面破壊強度の推定値を得る前記第(1)項に記載のコークス表面破壊強度の推定方法。
推定DI150 6=H(ΣE)+ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax ・・・(2)
〔但し、推定DI150 6は補正後のコークスの表面破壊強度の推定値(−)、Eは石炭のエクジニット含有量(%)、Roは石炭のビトリニット平均反射率(%)、Sは石炭の空隙充填度(−)、ΣEは石炭のエクジニット含有量について各石炭の配合率で加重平均した値(但し、Ro<1.0の石炭の場合にはE=0とする)、H(ΣE)は前記ΔDIと前記ΣEとの関係から実験的に求められる関数、G(Ro)は空隙充填度Sが1.3以上の条件にて乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6と、石炭のビトリニット平均反射率Roとの関係から実験的に求められる関数、ΣG(Ro)はG(Ro)について各石炭の配合率で加重平均した値、F(S)は石炭の空隙充填度Sとコークスの表面破壊強度DI150 6との関係から実験的に求められる関数、ΣSは石炭の空隙充填度Sについて各石炭の配合率で加重平均した値、FmaxはS≧1.3で決められるF(S)の最大値(定数)を示す。〕
(3)前記H(ΣE)は下記の関数で表される前記第(2)項に記載のコークス表面破壊強度の推定方法。
H(ΣE)=m×E+n ・・・(E≦5.0の場合)
H(ΣE)=n ・・・(E>5.0の場合)
〔但し、m及びnは実験的に求められた関数の定数を示す。〕
(4)前記第(1)項〜第(3)項のいずれかに記載の方法を利用してコークスの表面破壊強度を推定した上で、石炭を乾留してコークスを製造することを特徴とするコークスの製造方法。
本発明によれば、一般に知られている性状と相違する石炭を使用した場合でも、コークスの表面破壊強度を推定することができ、特に、高石炭化度であって、かつエクジニット含有率が高い石炭を用いてコークスを得るような場合に好適である。そして、本発明の推定方法を用いれば、品質変動の少ない所望の強度を有したコークス製造が可能となって、高炉に安定供給することができるため、効率的かつ安定した高炉操業につながる。また、コークス表面破壊強度の推定精度が高まれば、安価な非粘結炭をできるだけ多量に使用しつつも、強度に優れたコークスを安定して製造することが可能となることから、コークスを得るための石炭のコストを大幅に削減することができる。
図1は、実測したコークス表面破壊強度と従来手法(特許文献3記載の方法)で推定したコークス表面破壊強度との差ΔDI(実測値−推定値)に対して、石炭のエクジニット含有量Eの関係を求めた図である。 図2は、前記ΔDIに対して、ビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭におけるエクジニット含有量Eとの関係を求めた図である。 図3は、石炭のビトリニット平均反射率Roと、その石炭を石炭軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係を示す図である。 図4は、石炭軟化時の空隙充填度Sと、その石炭を乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係を示す図である。 図5は、本発明の方法によって推定したコークス表面破壊強度の推定値と実測値との関係を示す図である。 図6は、従来手法(特許文献3記載の方法)により推定したコークス表面破壊強度DI150 6と実測したコークス表面破壊強度DI150 6との関係を示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
石炭組織におけるエクジニット(Exinite)は、ビトリニット(Vitrinite)及びイナーチニット(Inertinite)と並んで石炭の微細組織成分群(マセラル・グループ)のひとつであり、主として植物の葉、小枝などの角皮、胞子、花粉、種子、水藻及び樹脂質に由来すると考えられ、反射光線下(油浸)では一般に暗灰色から暗黒色に見える。このエクジニットには、微細組織成分としてスポリニット、クチニット、アルギニット、及びレジニットが含まれる。
一般に石炭組織中のエクジニットは、ビトリニットやイナーチニットに比べて水素含有量が高いという特徴を有している。ただし、石炭化度が高い石炭の場合には石炭組織中のエクジニット含有量が少ないことが知られており、そもそも高炭化度中のエクジニットの存在が稀少である。ところが、銘柄によっては高石炭化度であっても、エクジニット含有率が高い石炭が存在し、このような特異な石炭を用いてコークスを製造すると、これまで知られていた方法では、推定した表面破壊強度が実測値から外れて実用上問題になってしまう。
図6は、1種又は2種以上の石炭からなる石炭を乾留して得られるコークスについて、特許文献3記載の方法によって推定したコークス表面破壊強度DI150 6と実測したコークス表面破壊強度DI150 6との関係を示すグラフである。多くの推定値は実測値と良好に一致するが、一部のものは実測値よりも低く見積もられてしまうことが分る。なお、本明細書で言うコークスの表面破壊強度DI150 6は、JIS K2151に規定されているドラム試験法により測定されるものである。
そこで、図6の関係に関して、図1は、実測したコークス表面破壊強度DI150 6と特許文献3記載の方法によって推定した推定値(すなわち本発明で言う一次推定値)との差(実測値−推定値)であるΔDIに対して、石炭材料を構成する石炭のエクジニット含有量Eの関係をグラフにしたものである。このグラフによれば、石炭のエクジニット含有量Eが比較的高い場合に推定値が実測値から外れてしまう傾向が確認できる。この理由について、本発明者等は、上述した特異的な性状を有する石炭が影響しているものと推察した。
すなわち、石炭組織中のエクジニットは水素含有量が比較的高いことは先に述べたとおりであり、このエクジニットの含有量が高いと熱分解により生成したラジカルを安定化することができ、高強度のコークスが得られると考えられる。つまり、高石炭化度であって、かつエクジニット含有率が高い石炭は、粘結性に優れた原料炭になると言える。そこで本発明では、(C)前記の差ΔDIと、石炭化度の指標であるビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭におけるエクジニット含有量Eとの関係を基に、iv)石炭材料を構成する各石炭のエクジニット含有量Eを用いて、特許文献3記載の方法によって推定したコークス表面破壊強度DI150 6を補正する。
ここで、(C)の関係を導く際にビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭を選択する理由は、石炭化度を示すRoが1.0未満の石炭では芳香族性が低いため、高強度のコークスが得られないことを実験的に知見しているためである。これは、石炭化度を示すRoが1.0未満の石炭では、エクジニットの含有水素量が多くてもラジカルの安定化に寄与し難いことによると考えられる。
上記(C)の関係について、詳しくは、実測したコークス表面破壊強度DI150 6と、特許文献3記載の方法によって推定したコークス表面破壊強度DI150 6(一次推定値)との差ΔDIに対して、ビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭におけるエクジニット含有量Eの関係をグラフにして求めることができる。図2はこの関係を示すグラフの一例であり、図1と同様、実測したコークス表面破壊強度DI150 6と、特許文献3記載の方法によって推定したコークス表面破壊強度DI150 6とのデータを基にΔDIを算出し、ビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭について予めそのエクジニット含有量Eを求めておき、両者の関係をグラフにしたものである。ここで、ビトリニット平均反射率Roが1.0未満の石炭については、上述したように含有水素によるラジカル安定化の寄与が少ないと考えられることから、エクジニット含有量Eは便宜上、ゼロとしている。なお、JIS M8816には石炭の微細組織成分及び反射率の測定法が記載されており、石炭のエクジニット含有量E(%)及びビトリニット平均反射率Ro(%)は、それぞれこれに記載の方法で測定することができる。
図2に示したようなグラフを基に、最小二乗法等を用いれば、上述した(C)の関係は関数H(ΣE)で表すことができる。ここで、ΣEは石炭材料を構成する石炭のエクジニット含有量Eについて各石炭の配合率で加重平均した値である(但し、上述の通り、Ro<1.0の石炭の場合にはE=0とする)。このH(ΣE)が、特許文献3記載の方法によって推定したコークスの表面破壊強度(一次推定値)に対する補正項に相当するものであり、具体的には、少なくとも2点以上のデータを基に、最小二乗法から下記の一次関数で表すことができることを実験的に知見した。
H(ΣE)=m×E+n ・・・(E≦5.0の場合)
H(ΣE)=n ・・・(E>5.0の場合)
〔但し、m及びnは実験的に求められた関数の定数を示す。〕
これまでに述べたような知見によれば、この補正項H(ΣE)により、一般に知られている性状と相違する石炭を用いた場合であっても、コークスの表面破壊強度を推定することができるようになる。特に、高石炭化度であって、かつエクジニット含有率が高い石炭を用いてコークスを得る場合、詳しくはRo(%)が1.0以上であって、かつエクジニット含有量E(%)が2.0以上の石炭を含む場合、より詳しくはRo(%)が1.2以上であって、かつエクジニット含有量E(%)が5.0以上の石炭を含む場合、精度良くコークス表面破壊強度DI150 6を推定するのに本発明の推定方法は好適である。
ちなみに、本発明においてコークス表面破壊強度DI150 6の一次推定値を得る際には、特許文献3に記載された方法を利用すればよい。すなわち、先ずは、(A)石炭のビトリニット平均反射率Roと、その石炭を石炭軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係、及び、(B)石炭軟化時の空隙充填度Sとコークスの表面破壊強度DI150 6との関係を求めるようにする。
このうち(A)の関係については、予め単銘柄の石炭のビトリニット平均反射率Roを測定しておき、その石炭を軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係をグラフにすることで、そのグラフを基に最小二乗法等から関数を実験的に求めることができる。図3はその一例であり、図3中の曲線は、少なくとも4点以上のデータを基に、最小二乗法から例えば下記のような3次関数で表すことができる。なお、空隙充填度Sが1.3以上であれば、石炭の軟化膨張時に石炭粒子全体がほぼ全表面で接着し、自由膨張が抑制され連結気孔も少ないため、表面破壊強度はほぼ一定となることが従来から広く知られているため、空隙充填度Sを1.3以上とした。
G(Ro)=h×Ro3+i×Ro2+j×Ro+k
〔但し、h、i、j、及びkは、図3のグラフのデータから求められる定数である。〕
そして、石炭を乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6の一次推定値を得る際は、上記関数G(Ro)を基に各石炭のG(Ro)を求めて、各石炭の配合率で加重平均した値ΣG(Ro)を算出する。なお、石炭軟化時の空隙充填度Sは下記式(1)で定義されるものである。ここで、石炭軟化時の比容積は、JIS M8801に規定されるディラートメーター(膨張性測定装置)を使用して測定することができ、石炭を膨張させた際の最大膨張体積Vを、装入した石炭質量Wで除した値(V/W)を示す。また、コークス炉装入時の石炭の嵩密度は、石炭の装入量とコークス炉の容積から求めることができる。
空隙充填度S(−)=石炭軟化時の比容積×コークス炉装入時の石炭の嵩密度 ・・・(1)
一方、(B)の関係は、予め石炭の軟化時の空隙充填度Sを変化させて、その石炭を乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係をグラフにすることで、そのグラフを基に最小二乗法等から関数を実験的に求めることができる。図4はその一例であり、図4中の曲線は、少なくとも7点以上のデータを基に、最小二乗法から例えば次のような6次関数で表すことができる。
F(S)=a×S6+b×S5+c×S4+d×S3+e×S2+f×S+g
〔但し、a、b、c、d、e、f、及びgは、図4のグラフのデータから求められる定数である。〕
そして、石炭を乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6の一次推定値は、空隙充填度Sが1.3未満の条件で乾留して得られるコークスについても求めることができる。
具体的には、図4に示したグラフにおけるS≧1.3の範囲でほぼ一定の表面破壊強度DI150 6に収束しているとみなし、S≧1.3の範囲の任意の値における表面破壊強度DI150 6の値を、F(S)の最大値(定数)としてFmaxで示すと、F(S)/Fmaxにより、Fmaxを基準とした際のF(S)の相対値が求まる。
従って、前記の(A)では、石炭のビトリニット平均反射率Roと、その石炭を石炭軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6(すなわちFmax)との関係が得られているため、これに上記のF(S)/Fmaxを乗じることにより、空隙充填度Sが1.3未満の条件で乾留して得られるコークスについても求めることができる。
なお、上記では、FmaxをS≧1.3の範囲の任意の値における表面破壊強度DI150 6の値として説明したが、S≧1.3の任意の値であれば良いため、例えば、S≧1.3の任意の範囲におけるF(S)の平均値等を用いても良い。
また、通常のコークス製造では、配合炭を用いるため、石炭の軟化時の空隙充填度Sについては、各石炭の配合率で加重平均した値ΣSを求めるようにする。この加重平均した値ΣSは、図4に示す単一銘柄の石炭の軟化時の空隙充填度(S)の場合と同様に、コークスの表面破壊強度DI150 6と良い相関性を示すことを確認している。従って、上記(B)の関係はF(ΣS)/Fmaxで表すことができる。
上記(A)及び(B)の関係に基づいて下記の式(3)を用いれば、i)石炭材料における各石炭のビトリニット平均反射率Ro(%)、ii)各石炭の空隙充填度S(−)、及びiii)各石炭の配合率からコークスの表面破壊強度DI150 6(−)の一次推定値を得ることができる。
一次推定DI150 6=ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax ・・・(3)
その上で、本発明では、先に述べた(C)の関係に基づき、iv)石炭材料における各石炭のエクジニット含有量Eを用いてこの一次推定DI150 6を補正することで、詳しくは、補正項H(ΣE)を含んだ下記の推定式(2)を用いることで、高石炭化度であって、かつエクジニット含有率が高い石炭を用いてコークスを得る場合であっても、コークスの表面破壊強度DI150 6を推定できるようになる。
補正後推定DI150 6=H(ΣE)+ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax ・・・(2)
そして、実際に1種又は2種以上の石炭を乾留してコークスを製造する際には、上記式(2)を基に、i)石炭のビトリニット平均反射率Ro、ii)石炭の空隙充填度S、iii)各石炭の配合率、及びiv)石炭のエクジニット含有量Eから、コークスの表面破壊強度DI150 6を推定することができる。また、本発明の推定方法を利用してコークスの表面破壊強度を推定した上で、石炭材料を乾留してコークスを製造すれば、品質変動の少ない所望の強度を有したコークス製造が可能になる。
先ず、表1に示す石炭1〜9の単味炭(A炭〜I炭)を、それぞれ炭化室容積34m3のコークス炉を用いて炉温1150℃で乾留して高炉用コークスを製造し、その後、採取したコークスについて表面破壊強度DI150 6を測定した。ここで、表面破壊強度DI150 6(−)は、JIS K2151に規定されるドラム強度試験で測定したものであり、ドラム試験機で150回転した後の6mm篩上の百分率を表す。ビトリニット平均反射率Ro(%)及びエクジニット含有量E(%)については、JIS M8816の石炭の微細組織成分及び反射率測定法に記載の方法で測定した。石炭軟化時の比容積Sv(cm3/g)は、JIS M 8801に規定されている膨張性測定装置を用いて石炭の最大膨張体積Vを求め、装入した石炭質量Wで除した値(V/W)である。また、石炭の嵩密度BD(g/cm3)は石炭装入量とコークス炉の容積から求められ、石炭軟化時の比容積Svとコークス炉装入時の石炭の嵩密度BDとの積(Sv×BD)から石炭軟化時の空隙充填度S(−)を算出した。
なお、表1中の「E(Ro≧1.0)」欄は、ビトリニット平均反射率Ro(%)が1.0以上の石炭についてそのエクジニット含有量E(%)を示したものであり、Ro<1.0の石炭の場合(G炭及びI炭)はE=0としている。また、表1中に項目として挙げる表面破壊強度DI150 6等の値について、特に断りのない限り、以下でも上記の方法で求めた。
また、上記単味炭を用いて、表1に記した配合率(質量%)で石炭10〜16の配合炭を形成し、単味炭の場合と同様にしてコークスを製造して、表面破壊強度DI150 6を測定した。ここで、配合炭に関するビトリニット平均反射率Roは、単味炭のビトリニット平均反射率Roを各石炭の配合率で加重平均して求めた値である。エクジニット含有量Eについても同様に加重平均した値である。但し、「E(Ro≧1.0)」欄では、Ro<1.0の石炭についてはE=0として計算した値を示している。また、石炭軟化時の比容積Svと装入嵩密度BDは、単味炭の場合と同様にして、各配合炭を測定した値であり、これらの実測値から空隙充填度S(−)を求めている。
Figure 0005780011
また、表2に示したJ炭〜T炭について、事前にビトリニット平均反射率Ro、石炭軟化時の比容積Sv、及び装入嵩密度BDを求めた上で、それぞれ表2に示した空隙充填度Sの条件で乾留してコークスを製造し、得られたコークスの表面破壊強度DI150 6を測定した。
Figure 0005780011
表2に示したJ炭〜T炭の性状、及び得られたコークスの表面破壊強度DI150 6を基に、以下のようにして(A)及び(B)の関係からそれぞれの関数等を導き出した。先ず、(A)石炭のビトリニット平均反射率Roと、その石炭を石炭軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係をグラフにしたところ、図3が得られた。このグラフについて、市販されている汎用ソフトを用いて関数を算出したところ、下記のような関係式が得られた。
G(Ro)=h×Ro3+i×Ro2+j×Ro+k
〔但し、h、i、j、及びkは、図3のグラフのデータから求められる定数である。〕
また、(B)石炭軟化時の空隙充填度Sとコークスの表面破壊強度DI150 6との関係をグラフにしたところ、図4が得られた。このグラフについても、市販されている汎用ソフトを用いて関数を算出したところ、下記のような関係式が得られた。
F(S)=a×S6+b×S5+c×S4+d×S3+e×S2+f×S+g
〔但し、a、b、c、d、e、f、及びgは、図4のグラフのデータから求められる定数である。〕
これらの関係式を基に、表1に記した石炭材料1〜16について、以下の式から各石炭材料を乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6(−)の一次推定値を得た。結果を表1に示す。
一次推定DI150 6=ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax
ここで、ΣG(Ro)は、図3から求めた関係式G(Ro)を基に、石炭材料を構成する各石炭のビトリニット平均反射率Roを求め、各石炭の配合率で加重平均した値である。また、F(ΣS)は、図4から求めた関係式F(S)を基に、石炭材料を構成する各石炭の軟化時の空隙充填度Sを求め、石炭材料を構成する各石炭の配合率で加重平均した値ΣSに対応するものである。更に、Fmaxは空隙充填度Sが1.3におけるF(S)の値として求めたものである。
次に、石炭1〜16について、(C)実測したコークスの表面破壊強度に対する前記一次推定値の差ΔDIと、ビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭におけるエクジニット含有量Eとの関係を求めた。すなわち、コークス表面破壊強度DI150 6の実測値から上記で得られた一次推定DI150 6を引いてΔDIを求め、このΔDIと石炭材料を形成する石炭のエクジニット含有量Eとの関係をグラフにした。結果を図2に示す。その際、ビトリニット平均反射率Roが1.0未満の石炭については、エクジニット含有量Eを0(ゼロ)としている。そして、このグラフを基に、最小二乗法から下記の関係式を得た。なお、ΣEは石炭材料を構成する石炭のエクジニット含有量Eについて各石炭の配合率で加重平均した値である(但し、Ro<1.0の石炭の場合にはE=0としている)。
H(ΣE)=m×E+n ・・・(E≦5.0の場合)
H(ΣE)=n ・・・(E>5.0の場合)
〔但し、m及びnは実験的に求められた関数の定数であり、本実施例ではm=0.44、n=2.2であった。〕
上記で得られたH(ΣE)を補正項として、下記式(2)を用いて先に得られたコークス表面破壊強度の一次推定値を補正して、補正後のコークス表面破壊強度の推定値(推定DI150 6)を求めた。結果を表1に示す。
推定DI150 6=H(ΣE)+ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax ・・・(2)
また、上記式(2)から得られた石炭1〜16の補正後の推定DI150 6を横軸に取り、石炭材料1〜16の実測したコークス表面破壊強度DI150 6を縦軸にとってグラフにしたものが図5である。このグラフからも分るように、石炭が単味炭からなる場合と配合炭からなる場合ともに、実測値に対して推定結果は良好に一致している。一方で、石炭1〜16の一次推定値DI150 6を横軸にして、実測したコークス表面破壊強度DI150 6との関係を示したものが図6であり、こちらは一部の推定値が実測値から外れてしまうものが存在することが分る。

Claims (3)

  1. 石炭を乾留して得られるコークスの表面破壊強度を石炭の性状から推定する方法であって、(A)石炭のビトリニット平均反射率Roと、その石炭を下記式(1)で定義される石炭軟化時の空隙充填度Sが1.3以上の条件で乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI150 6との関係、及び、(B)石炭軟化時の空隙充填度Sとコークスの表面破壊強度DI150 6との関係を基に、下記式(3)を用いて、i)石炭のビトリニット平均反射率Ro、ii)石炭の空隙充填度S、及びiii)各石炭の配合率からコークスの表面破壊強度の一次推定値を求め、また、(C)実測したコークスの表面破壊強度に対する前記一次推定値の差ΔDIと、ビトリニット平均反射率Roが1.0以上の石炭におけるエクジニット含有量Eとの関係を基に、下記式(2)により、iv)石炭のエクジニット含有量Eを用いて前記一次推定値を補正して、補正後のコークス表面破壊強度の推定値を得ることを特徴とするコークス表面破壊強度の推定方法。
    空隙充填度S(−)=石炭軟化時の比容積×コークス炉装入時の石炭の嵩密度 ・・・(1)
    〔但し、石炭軟化時の比容積は、JIS M8801に規定されるディラートメーターで石炭を膨張させた際の最大膨張体積Vを、装入した石炭質量Wで除した値(V/W)を示す。〕
    一次推定DI 150 6 (−)=ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax ・・・(3)
    補正後推定DI 150 6 (−)=H(ΣE)+ΣG(Ro)×F(ΣS)/Fmax ・・・(2)
    〔但し、Eは石炭のエクジニット含有量(%)、Roは石炭のビトリニット平均反射率(%)、Sは石炭の空隙充填度(−)、ΣEは石炭のエクジニット含有量について各石炭の配合率で加重平均した値(但し、Ro<1.0の石炭の場合にはE=0とする)、H(ΣE)は前記ΔDIと前記ΣEとの関係から実験的に求められる関数、G(Ro)は空隙充填度Sが1.3以上の条件にて乾留して得られるコークスの表面破壊強度DI 150 6 と、石炭のビトリニット平均反射率Roとの関係から実験的に求められる関数、ΣG(Ro)はG(Ro)について各石炭の配合率で加重平均した値、F(S)は石炭の空隙充填度Sとコークスの表面破壊強度DI 150 6 との関係から実験的に求められる関数、ΣSは石炭の空隙充填度Sについて各石炭の配合率で加重平均した値、FmaxはS≧1.3で決められるF(S)の最大値(定数)を示す。〕
  2. 前記H(ΣE)は下記の関数で表される請求項に記載のコークス表面破壊強度の推定方法。
    H(ΣE)=m×E+n ・・・(E≦5.0の場合)
    H(ΣE)=n ・・・(E>5.0の場合)
    〔但し、m及びnは実験的に求められた関数の定数を示す。〕
  3. 前記請求項1又は2に記載の方法を利用してコークスの表面破壊強度を推定した上で、石炭を乾留してコークスを製造することを特徴とするコークスの製造方法。
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