JP6308158B2 - コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成型炭と粉炭とをコークス炉の炭化室に装入し乾留してコークスを製造する方法に関し、特に、コークスの強度を高める成型炭と粉炭とを構成する石炭やバインダーの銘柄及びその配合率を決定する方法に関する。
高炉に装入されるコークスは、高炉内の通気性を保つために高強度であることが求められる。コークス用原料となる石炭をコークス炉の炭化室に装入し乾留することで、コークスは製造される。コークスの強度を向上させるためには、炭化室内の石炭の密度を向上させる方法が有効であり、石炭の密度を向上させる方法として、石炭を機械的に圧縮して作製された成型炭と、粉炭と、を炭化室に装入する方法(以下適宜「成型炭配合法」)が提案されている(例えば、非特許文献1〜3)。
成型炭配合法には、成型炭を構成する石炭の銘柄と粉炭の石炭銘柄とを同じものとする同一配合法と、例えば粘結性がないもしくは劣る非微粘結炭を成型炭に集中的に使用することによって、成型炭に含まれる石炭の銘柄を、粉炭を構成する石炭とは異なるものとする集中配合法と、がある。集中配合法は、安価な非微粘結炭を同一配合法の場合よりも多く使用できるので、コスト削減効果が大きい。更には、非特許文献1によれば、集中配合法は、同一配合法と比較して、コークス強度を向上させることができるものとされている。
石炭の品位のうち、石炭化度を表す尺度として、JIS M 8812で規定されている揮発分VM[質量%]があり、石炭は、揮発分VMが減少するほど石炭化が進んだ良好なものとされている。揮発分VMが高い石炭は、高炉用コークスの原料に使用しにくい劣質炭といえる。また、石炭の品位のうち、粘結性を表す尺度のひとつとして、JIS M 8801で規定されているギーセラー最高流動度MF[ddpm]があり、石炭は、ギーセラー最高流動度MFが高いほど、粘結性があるとされている。ギーセラー最高流動度MFが小さいあるいは0だと、石炭は劣質炭といえる。非特許文献1には、集中配合法を採用し、成型炭を構成する石炭の揮発分VM(乾燥基準)を30%以下とし、ギーセラー最高流動度MFの常用対数値(logMF)を1.8〜1.9以下とすることで、コークスの強度を向上させることができるものとされている。非特許文献2には、粉炭と成型炭とを構成する石炭の揮発分VMの差分を所定の範囲内とすれば、コークスの強度を向上させることができると記載され、非特許文献3には、成型炭を構成する石炭の揮発分VMには最適範囲が存在することが記載されている。
阿部利雄、石田一秀、和田保郎:コークス・サーキュラー、第30巻第1号(1981)、第36〜40頁 山根利夫、露口享夫:コークス特別会研究発表要旨、第75巻(1983)、第20〜24頁 岩切治久、北村雅司、阿部利雄、西田清二、山本勲:鉄と鋼、第72巻(1986)−A147
非特許文献1〜3によれば、集中配合法を行う場合において成型炭と粉炭との揮発分VMに着目することが記載されている。特に、非特許文献2からすれば、成型炭と粉炭との揮発分VMの差分を指標とし、揮発分VMの差分が小さくなるように、成型炭及び/または粉炭を調製することで、すなわち、成型炭を構成する石炭やバインダーであるコークス原料の銘柄やその配合率を変更するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄やその配合率を変更することで、コークスの強度を向上させ得るものと期待される。ところが、本発明者らが調査した結果、揮発分VMの差分を小さくしても所望のコークスの強度が得られない場合があることがわかり、揮発分VMの差分を小さくしても、コークスの強度が必ずしも高くなるとは限らないこともわかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、集中配合法で成型炭と粉炭とをコークス炉の炭化室に装入し乾留する場合において、揮発分VMではない新たな指標を用いて、コークスの強度をより確実に高位とし得る成型炭及び/または粉炭を調製してコークスを製造する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
(1)コークス用原料を成型して作製される成型炭と粉炭とをコークス炉に装入し、乾留してコークスを製造する方法であって、乾留したときの前記成型炭と前記粉炭との収縮率[%]の差分を指標として、前記成型炭及び/または前記粉炭を調製することを特徴とするコークスの製造方法。
(2)予め、成型炭を構成するコークス用原料の銘柄及び/またはその配合率を変更するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄及び/またはその配合率を変更することで、成型炭と粉炭とを乾留したときの収縮率の差分が複数得られ、前記成型炭と前記粉炭とを混合し乾留して製造されるコークスの強度が複数得られていて、前記収縮率の差分と前記コークスの強度との関係が求められており、コークスの強度が目標値以上となる収縮率の差分を前記関係から特定し、特定した収縮率の差分以下となるように、前記成型炭及び/または前記粉炭を調製することを特徴とする(1)に記載のコークスの製造方法。
本発明によれば、集中配合法で成型炭と粉炭とをコークス炉に装入して乾留する場合において、コークスの強度を高位とするように、成型炭を構成するコークス原料の銘柄を選択しその配合率を調整するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄を選択しその配合率を調整して、成型炭及び/または粉炭を作製(調製)できる。
成型炭及び粉炭を乾留する装置の一例を示す図である。 図1に示す成型炭及び粉炭の断面の一例を示す図である。 乾留時の温度によって変化する成型炭及び粉炭の断面積の変化率(収縮率の差分)[%]を示すグラフである。 成型炭及び粉炭の収縮率の差分[%]とコークス強度との関係を示すグラフである。 成型炭と粉炭との揮発分VMの差分[%]とコークス強度との関係を示すグラフである。 成型炭を構成するコークス原料の銘柄を変更せずに、粉炭を構成する石炭の銘柄を変更した場合の収縮率の差分[%]とコークス強度との関係を示すグラフである。 粉炭を構成する石炭の銘柄を変更せずに、成型炭を構成するコークス原料の銘柄を変更した場合の収縮率の差分[%]とコークス強度との関係を示すグラフである。 炭化室に装入される石炭のうち、成型炭の質量割合を変更した場合の収縮率の差分[%]とコークス強度との関係を示すグラフである。 成型炭の容積を変更した場合の収縮率の差分[%]とコークス強度との関係を示すグラフである。
本発明者らは、成型炭と粉炭とを混合し乾留する過程における膨張・収縮挙動とそれらの相互作用に着目し、コークス強度に及ぼす影響について検討及び実験を行った結果、成型炭と粉炭との収縮量の差を小さくするほど、コークス強度が高位になる傾向があることを見出した。成型炭と粉炭とを混合した状態で乾留する場合、炭化室に充填されたときにかさ密度(650〜900kg/m)が低くなる粉炭は収縮量が大きく、圧縮されて密度(900〜1200kg/m)が既に高くなっている成型炭は、収縮量が粉炭よりも小さくなる傾向がある。
本発明者らは、成型炭と粉炭との収縮量の差が大きい場合、成型炭と粉炭との界面に生じる熱応力が大きくなるので、成型炭と粉炭とが乾留されて生成されるコークスケーキ中の亀裂量が増加し、コークス強度は低下すると推察し、成型炭と粉炭との収縮量の差が小さい方が、コークス強度を低下させずに高位にすることができると考え、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、成型炭と粉炭とを乾留したときの収縮量の割合(収縮率)[%]の差分を指標とし、収縮率の差分が小さくなるように成型炭及び/または粉炭を調製するものである。
添付図面を参照して、成型炭と粉炭との収縮率の測定方法について説明する。粘結性のある石炭は、乾留されると膨張した後収縮する。乾留前後の石炭の収縮量を測定して該収縮量から収縮率を算出する。成型炭及び粉炭を乾留する装置の一例を図1に示す。図1には、成型炭1と粉炭2とが充填された直方体状のレトルト12の水平断面図を示してある。加熱炉100は、相対する底板と天板(図示は省略)と、これらに間に設けられた一対の側板10と発熱体11と、を有する。加熱炉100に、成型炭1と該成型炭1を囲むように粉炭2とが充填されたレトルト12が設置され、レトルト12を発熱体11で加熱することで、成型炭1と粉炭2とを乾留する。図1では省略しているが、コンピュータ断層撮影を行う装置が加熱炉100の周りに配置され、成型炭1と粉炭2とを乾留している間に、これらの断面を撮影することができる。乾留中及び乾留後における成型炭1と粉炭2との境界を容易に把握するべく、レトルト12に充填する前に、粉末状のシリカ13を成型炭1に付着させておく。
撮影した成型炭1及び粉炭2の断面の一例を図2に示す。粉末状のシリカ13が成型炭1に付着してあれば、X線によるコンピュータ断層撮影で撮像された画像において、成型炭1と粉炭2との境界を容易に把握することができる。図2において、(a)に示すように粉炭2の断面形状を把握し、(b)に示すように成型炭1の断面形状を把握することができる。画像処理を行うことによって、これらの断面の面積(断面積)を測定することができる。なお、コンピュータ断層撮影を行う装置として、例えば、医療用のX線断層撮影装置を用いることができる。
次に、成型炭1と粉炭2との収縮率の算出方法について説明する。石炭(成型炭1と粉炭2)の収縮率は乾留前後の断面積の変化率[%]から算出できる。すなわち、乾留の初期温度における石炭の断面積に対する、乾留時の任意の温度における断面積から前記初期温度における断面積を減算して得られる断面積の差分の割合[%]を、石炭の断面積の変化率として算出できる。乾留時の温度における断面積が、初期温度における断面積よりも大きければ断面積の変化率は正となり、石炭は膨張していることになり、小さければ負となり、石炭は収縮していることになる。断面積の変化率に(−1)を乗算して正負の符号を逆転させた値を収縮率と定義する。乾留時の温度における断面積が小さくなるほど、収縮率は大きくなる。
乾留時の温度と成型炭1及び粉炭2の断面積の変化率との関係を表すグラフを図3に示し、グラフの上方に、乾留時の各温度における成型炭1及び粉炭2の断面形状を示してある。常温である25℃を乾留の初期温度として採用し、25℃における石炭の断面積を基準にして乾留時の各温度における石炭の断面積の変化率を、グラフの断面積の変化率として算出している。
石炭は、常温(25℃)の状態から加熱されると、まずは膨張し、次いで炭化水素(熱分解ガス)の脱離に伴い収縮する。図3に示す例では、成型炭1は、常温の状態から加熱されると膨張し始め、550℃を超えて、更に温度が上昇すると収縮し始める。成型炭1は、700℃では断面積の変化率が550℃の場合よりも低下している。成型炭1は、900℃では断面積の変化率が負の値となり、乾留の初期(乾留前)の状態よりも収縮している。粉炭2は、常温の状態から加熱されると膨張するものの、膨張量はわずかで約500℃を超えると、乾留の初期の状態よりも収縮がかなり進んでいる。レトルト12に充填された状態であっても、密度が低い粉炭2は収縮量が大きく、既に圧縮されて高密度となっている成型炭1は、収縮量が粉炭2よりも小さい傾向があり、成型炭1は、収縮率が粉炭2よりも小さくなる。なお、図3に示す例では、成型炭1は、900℃での断面積の変化率が負の値となっているが、成型炭1を構成する石炭やバインダーの銘柄及びその配合率によっては、正の値となる場合もある。
収縮が概ね終了した状態となる温度での粉炭2の収縮率[%]から成型炭1の収縮率[%]減算して得られた値を、成型炭1と粉炭2とを乾留したときの収縮率[%]の差分として算出する。図3の例のように、収縮が概ね終了した状態となる温度として900℃を用いることができる。但し、図3のグラフに示すように、収縮が概ね終了した状態となる温度として700℃を用いたとしても、収縮率[%]の差分は、900℃の場合とあまり変わらないので、収縮が概ね終了した状態となる温度として700〜900℃の範囲のいずれかの温度を採用してもよい。コークス炉において乾留が概ね終了するとされる温度は900℃程度であるため、コークス強度への影響を検討する場合には、収縮が概ね終了した状態となる温度として900℃程度の温度を用いることが好ましいが、コークス炉における加熱の最高温度を考慮して、900〜1300℃の温度を採用してもよい。また、昇温速度は、300℃以上において、1〜5℃/分が好適である。300℃以下では、実質的に水分蒸発が起こるのみであるので、昇温速度には制約がないが、1〜100℃/分の昇温速度とすることが好適である。なお、乾留温度を制御する際には、石炭層に熱電対を挿入すると膨張・収縮挙動に影響があるため、加熱壁の温度を制御することが好ましい。
成型炭1は、予め粉砕された石炭を圧密成型することで製造することができる。成型炭1は、例えば、形状が印籠形状のものを用いることができ、容積が6〜120ccとなるものを用いることができるが、成型炭配合法で用いることが可能であれば、特に形状やサイズが限定されるものではない。成型炭1の成型性を高めるべく、成型炭1の原料として、粉砕された石炭を接着させるためのバインダーやピッチを、粉砕された石炭に加えてもよい。石炭やバインダーやピッチなどのコークスの原料となり得るものをコークス原料という。粉炭2としては、粒径が3mm以下が70質量%以上となるように粉砕された石炭を用いることが望ましい。しかしながら、粉炭2は、成型炭配合法で用いることが可能であれば、特に大きさが限定されるものではない。
成型炭を複数銘柄のコークス原料から構成するようにしてもよいし、単一銘柄の石炭から構成するようにしてもよい。また、粉炭を複数銘柄のコークス原料から構成するようにしてもよいし、単一銘柄の石炭から構成するようにしてもよい。構成される石炭の銘柄を変更したり、複数銘柄の石炭から成型炭や粉炭を構成させる場合には、各銘柄の配合率を調整することで、揮発分VMや収縮率などの成型炭の性状を適宜変更することができる。
成型炭と粉炭との収縮率の差が大きい場合、成型炭と粉炭との界面に生じる熱応力が大きくなるので、コークス炉の炭化室に充填されている成型炭と粉炭とが乾留されて生成されるコークスケーキ中の亀裂量が増加し、コークス強度は低下するものと推察できる。この推察を検証するべく、成型炭を構成するコークス原料の銘柄及び/またはその配合率を適宜変更するか、及び/または、粉炭を構成するコークス原料の銘柄やその配合率を適宜変更することで、成型炭と粉炭とを乾留したときの収縮率[%]の差分を測定し、更に、収縮率の差分が測定された成型炭及び粉炭を、コークス炉に装入して乾留し、コークスを製造する試験を行い、製造したコークスの強度と収縮率の差分[%]との関係を調査した。
<実験>
実験では、成型炭を構成するコークス原料の銘柄、粉炭を構成する石炭の銘柄や、それらの配合率を適宜変更して、成型炭及び粉炭の揮発分VMや収縮率を変更するとともに、コークス炉に装入される成型炭と粉炭との合計量に対する成型炭の質量割合[質量%]、成型炭の容積[cc]を適宜変更し、コークス炉での炭化室の乾留温度を模擬可能な電気加熱式試験コークス炉で成型炭と粉炭とを混合して乾留して、コークスを製造した。成型炭は、粒度3mm以下85質量%、水分8質量%に調整した石炭に対し、バインダーとしてSOPを6質量%(水分込みの石炭に対して外枠の添加量)添加し、80℃で2分間混練後、ダブルロール成型機で線圧1tf/cmで成型して製造した。製造したコークスについて、JIS K2151に規定された方法でドラム強度DI(150/15)を測定した。JIS K2151に規定されたドラムにおいて150回転後での、コークス全量に対する15mm篩上のコークス量の割合×100で算出された値がドラム強度DI(150/15)であり、ドラム強度DI[−]をコークス強度として評価する。成型炭及び粉炭の揮発分VMや収縮率、ドラム強度DIなどを表1に示す(水準1〜32)。
水準1〜32では、粉炭の水分を8質量%とし、粉炭と成型炭の平均装入密度を820kg/m、粉炭の粉砕粒度を3mm以下100%として混合した粉炭と成型炭を乾留缶に入れて試験コークス炉に装入して乾留した。試験コークス炉では、加熱速度3℃/分の一定条件下で300℃から1050℃まで、成型炭と粉炭とを乾留した。また、前述したように、小型のレトルト12(図1参照)を用いて、900℃まで昇温した際の、水準1〜32の成型炭及び粉炭の収縮率を測定し、収縮率[%]の差分[%]を算出してある。収縮率測定の際の昇温条件は、室温から300℃まで20℃/分で昇温し、300℃で1時間保持した後、2℃/分で900℃まで昇温するように加熱壁の温度を制御した。また、成型炭及び粉炭を構成する配合炭について、JIS M 8812で規定されている揮発分VM[質量%(乾燥基準)]を測定し、揮発分VMの差分も算出してある。
水準1〜12は、乾留缶における成型炭の質量割合を20%とし、成型炭の容積を34ccとしていて、これらが同じである。水準1〜12における、収縮率の差分とコークス強度(ドラム強度DI)との関係を図4に示し、揮発分VMの差分とコークス強度との関係を図5に示す。図4のグラフからわかるように、収縮率の差分とコークス強度との間には、収縮率の差分が小さくなるほど、ドラム強度DIが大きくなるという逆相関関係が成立することがわかる。一方で、図5のグラフからわかるように、揮発分VMの差分とコークス強度との間には、図4に示すような逆相関関係を確認できず、揮発分VMの差分が2未満であっても、ドラム強度DIが83.5を超える場合がある。
予め、成型炭を構成するコークス原料の銘柄及び/またはその配合率を変更するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄またはその配合率を変更して、成型炭と粉炭との収縮率の差分を複数測定し、成型炭と粉炭とをコークス炉で乾留して製造されるコークスの強度を複数測定しておく。そして、図4のグラフに示すように、収縮率の差分とコークス強度との関係を求めておく。
収縮率の差分とコークス強度との間には、相関性の高い逆相関関係が成立しているので、コークス強度が目標値以上となる収縮率の差分を前記関係から特定する。収縮率の差分とコークス強度とのデータセットから最小自乗法を適用したり、グラフ上にフリーハンドで描くことで、収縮率の差分とコークス強度との関係式を得ることができ、関係式から、コークス強度が目標値以上となる収縮率の差分を求め得る。特定した収縮率の差分以下となるように、成型炭及び/または粉炭を調製することが可能となる。
例えば、コークス強度の目標値を、ドラム強度DIで83.5と設定した場合であって、図4のグラフが得られている場合には、83.5のドラム強度DIに対応する収縮率の差分として、概ねの値として30%が求まる。よって、収縮率の差分が30%以下となるように、成型炭を構成するコークス原料の銘柄及び/またはその配合率を変更するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄またはその配合率を変更することで、成型炭及び/または粉炭を調製することになる。コークス原料や石炭の銘柄及びその配合率を調整することで成型炭及び/または粉炭の収縮率を調整しようとする場合、乾留時における成型炭及び/または粉炭の収縮率の測定を繰り返して、好適なコークス原料や石炭の銘柄及びの銘柄及びその配合率を決定してもよい。また、複数の石炭からなる成型炭や粉炭の収縮率を大きくしようとする場合には、単味炭(単一銘柄の石炭)で乾留したときの収縮率の大きな石炭の配合率を大きくしたり、収縮率の小さな石炭の配合率を小さくしたりして調整することができる。また、コークスの組織分析においてモザイク組織が多い場合に収縮率が高くなることを利用して、モザイク組織を多く与える石炭を多く配合することもできる。収縮率を小さくしたい場合には上記と逆の配合を行えばよい。
水準1〜4では、成型炭を構成するコークス原料の銘柄及びその配合率が同じで、成型炭の断面積の変化率が3.82%であるが、粉炭を構成する石炭の銘柄及びその配合率を変更しており、粉炭の収縮率は異なる。水準1〜4における収縮率の差分[%]とドラム強度DIとの関係を図6に示す。また、水準5〜8は、粉炭を構成する石炭の銘柄及びその配合率が同じで、粉炭の断面積の変化率が−33.00%であるが、成型炭を構成するコークス原料の銘柄及びその配合率を変更しており、成型炭の収縮率が異なる。水準5〜8における収縮率の差分[%]とドラム強度DIとの関係を図7に示す。図6及び7のグラフからは、成型炭のみあるいは粉炭のみの収縮率を変更することで、収縮率の差分を変更したとしても、図4のグラフと同様に、収縮率の差分とコークス強度との間には、収縮率の差分が小さくなるほど、ドラム強度DIが大きくなる逆相関関係が成立していることがわかる。
水準17〜20では、成型炭の質量割合を30質量%とし、水準5〜8では質量割合を20質量%とし、水準13〜16では質量割合を5質量%としており、乾留缶における成型炭の質量割合が異なるが、水準5〜8及び13〜20では、粉炭と成型炭の容積とが同じである。水準5〜8及び13〜20における収縮率の差分[%]とドラム強度DIとの関係を図8に示す。また、水準21〜24では成型炭の容積を6ccとし、水準5〜8では成型炭の容積を34ccとし、水準25〜28では成型炭の容積を58ccとし、水準29〜32では成型炭の容積を120ccとしており、成型炭の容積が異なるが、水準5〜8及び21〜32では、粉炭と成型炭の質量割合とが同じである。水準5〜8及び21〜32における収縮率の差分[%]とドラム強度DIとの関係を図9に示す。図8及び図9のグラフからは、乾留缶における成型炭の質量割合や成型炭の容積が変わっても、図4のグラフと同様に、収縮率の差分とコークス強度との間には、収縮率の差分が小さくなるほど、ドラム強度DIが大きくなる関係が成立していることがわかる。なお、成型炭の質量割合を60%まで大きくしても、収縮率の差分とドラム強度との間に同様の傾向が認められた。
上記実験では、成型炭及び粉炭につき収縮率を直接測定して、収縮率の差分を算出し、成型炭及び粉炭を乾留してドラム強度DI(コークス強度)を直接測定しているが、本発明は、必ずしも、これらを直接測定する必要はない。収縮率の差分とコークス強度とのデータセットが第三者によって測定されて得られており、そのデータセットを提供されれば、収縮率の差分とコークス強度との関係式を求めることができ、コークス強度の目標値以上となる収縮率の差分の範囲を求めることができる。
本実施形態では、収縮率を算出するに際し、乾留の初期温度として25℃を採用し、乾留の終了温度として900℃を採用して、25℃から900℃まで乾留したときの成型炭と粉炭との断面積の変化率を用いているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。膨張を開始する前の300℃以下の任意の温度を、乾留の初期温度に採用できる。また、700℃以上の温度を、乾留の終了温度に採用できる。なお、初期温度から終了温度まで乾留したときの粉炭と成型炭のそれぞれの長さ、断面積、あるいは、容積の初期温度における値からの変化率に(−1)を乗算して、正負の符号を逆転させた値を収縮率として採用してもよい。容積や長さの変化率を測定する装置としては、熱機械分析装置(TMA)や高温ジラトメータなどを用いることができる。また、試料を粉コークスや無煙炭中で乾留して乾留前後の容積や寸法の変化を計測してもよい。
本実施形態のように、成型炭と粉炭とが炭化室に充填されて乾留されるときの状態を模擬するべく、レトルトに充填された状態の成型炭と粉炭との断面を測定して収縮率を算出することが望ましい。しかしながら、本発明はこの形態に限定されるものではない。成型炭1及び粉炭2を個別に乾留し、それぞれの断面積を測定し、断面積の変化率を算出してもよい。
なお、成型炭1の断面積を測定する場合には、断面積が比較的大きい部分の断面積を測定することが好ましい。印籠型の成型炭の場合には、中心部分の断面積を測定することがよいことになり、最大となる断面積を基準として、その断面積の80〜100%の断面積を有する断面における断面積の変化率を測定することが望ましい。小さい断面積の部分では測定結果の信頼性が低いからである。
本実施形態では、成型炭1と粉炭2との境界を表す物質としてシリカ13を用いているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。コンピュータ断層撮影によって、成型炭にシリカを付着させて乾留することによって、確かに、成型炭と粉炭との境界が視認し易くなる。しかしながら、シリカを付着させなくても、境界が視認可能であれば、特に、シリカ13を必要とするものではない。また、シリカ13の代わりに、アルミナなど、炭素よりも原子量の大きい元素を含み、高温でも石炭と反応せず、石炭中に留まる物質を使用することもできる。コンピュータ断層撮影に代えて、成型炭1と粉炭2との断面を測定できる方法を採用してもよい。例えば、乾留後のコークスを切断してその切断面を観察してもよい。
成型炭と粉炭とをコークス炉の炭化室に装入して乾留する場合において、成型炭と粉炭との収縮率の差分を指標として、該差分が小さくなるように、成型炭を構成するコークス原料の銘柄を選択しその配合率を調整するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄を選択しその石炭の配合率を調整することで、成型炭と粉炭とを調製し、コークスの強度を高位とすることができる。
1 成型炭
2 粉炭
10 側板
11 発熱体
12 レトルト
13 シリカ
100 加熱炉

Claims (1)

  1. コークス用原料を成型して作製される成型炭と粉炭とをコークス炉に装入し、乾留してコークスを製造する方法であって、
    下記の算出方法により求められる、乾留したときの前記成型炭と前記粉炭との収縮率[%]の差分を指標として、
    予め、成型炭を構成するコークス用原料の銘柄及び/またはその配合率を変更するか、及び/または、粉炭を構成する石炭の銘柄及び/またはその配合率を変更することで、成型炭と粉炭とを乾留したときの収縮率の差分が複数得られ、前記成型炭と前記粉炭とを混合し乾留して製造されるコークスの強度が複数得られていて、前記収縮率の差分と前記コークスの強度との関係が求められており、
    コークスの強度が目標値以上となる収縮率の差分を前記関係から特定し、
    特定した収縮率の差分以下となるように、前記成型炭及び/または前記粉炭を調製することを特徴とするコークスの製造方法。
    ここで、成型炭と粉炭の収縮率の算出方法は、以下の通りである;
    成型炭と粉炭の収縮率は乾留前後の断面積の変化率[%]から算出できる。すなわち、乾留の初期温度における石炭の断面積に対する、乾留時の700℃〜1300℃のいずれかの温度における断面積から前記初期温度における断面積を減算して得られる断面積の差分の割合[%]を、石炭の断面積の変化率として算出する。更に、断面積の変化率に(−1)を乗算して正負の符号を逆転させた値を収縮率と定義する。
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