JP5900531B2 - コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、劣質炭を配合してなる成型炭を、石炭を粉砕した配合炭とともにコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法に関する。
高炉操業において、コークスには、炉内の通気性を確保するために、所要の強度が求められるが、コークス用原料としての良質の強粘結炭は、資源的に枯渇状態にあるので、劣質炭を用いて必要な強度を有するコークスを製造する方法が多く提案されている。
その一つとして、劣質炭を配合して成型炭とし、その成型炭と、石炭を粉砕して粉炭とした配合炭とを混合してコークス炉に装入する方法がある。この方法では、劣質炭を配合した石炭を見掛密度の高い成型炭とするため、コークス強度が改善される利点がある。また、装入嵩密度の低い粉炭に見掛密度の高い成型炭を混合することにより、全体の嵩密度が向上し、粉炭のみを使用した場合よりもコークス品質を改善する利点もある。
しかし、このような成型炭を用いる方法において、成型炭中の劣質炭の使用量をさらに増加するためには、コークス強度を一層改善する必要があり、そのための方法として、例えば特許文献1、2に開示されている方法がある。
特許文献1には、成型炭部と粉炭部のコークス強度をそれぞれ推定し、両者のコークス化時の重量割合からコークス強度を推定する際、成型炭に用いる原料の粒度、真比重、揮発分、膨張率と、成型炭の密度と、乾留条件から成型炭部のコークス強度を推定し、粉炭部も同様にして推定することにより、強度の高いコークスが得られる原料石炭の配合調整をより適正に行うことができる方法が開示されている。
また、特許文献2には、原料炭に、低品質コークス原料を成型して製造した成型炭を、粒径を調整して配合し、従来以上に強度の高いコークスを製造する高強度コークスの製造方法が開示されている。
特開昭60−174951号公報 特開2008−120898号公報
劣質炭を配合してなる成型炭を配合炭とともにコークス炉に装入してコークスを製造する際、特許文献1による方法でコークス強度を推定して使用する石炭原料を調整したり、特許文献2による方法で、成型炭の粒径を調整したりしても、コークス強度が低下して、十分な強度が得られない場合があり、成型炭の原料として劣質炭の使用量を増加させる際の障害になっていた。
そこで、本発明では、成型炭と、石炭を粉砕した配合炭とをコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、成型炭に配合する劣質炭の量を多量に使用しても、強度の高いコークスを安定して製造できる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討する過程で、コークス炉の石炭充填状態を試験的に再現し、その再現された状態をX線CTで観察することを試みた。その結果、成型炭の周囲に局所的に空隙が形成されることが見出された。成型炭の周囲に局所的な空隙が形成されることは従来知られておらず、その空隙がコークス化後も残存すると、コークス強度に影響することが予想された。
そこでさらに検討した結果、その空隙がコークス化後も充填されずに残ることが原因で、予想されたコークス強度が得られない場合があることを知見した。
成型炭は、特許文献2にも記載されているように、乾留時の軟化溶融温度域で乾留前の体積を超えて膨張することが知られており、本発明者らはその性質を利用して上記のような空隙を埋めることを着想して本発明に到達した。
そのようにしてなされた本発明の要旨は以下の通りである。
(1)成型炭と石炭を粉砕した配合炭とをコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、
試験装置を用いて自然落下により成型炭と石炭を粉砕した配合炭とを容器に充填して、X線CTにより容器内の断面画像を撮像し、
得られた断面画像から、成型炭周囲に形成されている空隙の最大幅Wを定量化し、
さらに、試験装置を用いて成型炭の乾留時の最大膨張体積を測定して、成型炭の膨張量を膨張前後の円相当径の変化量Δr(mm)として求め、
求められた変化量Δrが前記最大幅W(mm)の40%未満の場合は成型炭を構成する石炭配合を変更し、
前記変化量Δrが前記最大幅Wの40%以上となる石炭配合を求め、この配合に基づき製造した成型炭を用いることを特徴とするコークスの製造方法。
(2)前記の成型炭周囲に形成されている空隙の最大幅Wを定量化するに際し、
前記断面画像を用いて、成型炭周縁から単位幅a(mm)ずつ、成型炭と相似的に段階的に領域を膨張させる処理を行うことで、粉炭部から当該領域を取り除き、当該領域を取り除いた粉炭部嵩密度をそれぞれ定量化し、
成型炭の周縁から取り除いた領域の幅x(mm)と幅成型炭周縁からx(mm)の幅の領域を取り除いた領域の粉炭部嵩密度との関係を求め、
x(mm)に対する粉炭部嵩密度の変化が、所定の範囲内に収束するx(mm)を成型炭周囲に形成されている空隙の最大幅W(mm)とすることを特徴とする前記(1)に記載のコークスの製造方法。
(3)前記(1)または(2)に記載のコークスの製造方法において、
前記成型炭の膨張前後の円相当径の変化量Δr(mm)を求めた後、該変化量Δrと成型炭に配合される石炭の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率との関係を予め求めておき、
成型炭の加重平均全膨張率と前記変化量Δrの関係から、前記最大幅W(mm)の40%を超える成型炭の膨張量が得られるように、成型炭の加重平均全膨張率の目標値を定め、
求められた変化量Δrが前記最大幅Wの40%未満の場合は、前記の目標値以上になるように成型炭を構成する石炭の配合を変更することを特徴とするコークスの製造方法。
本発明では、成型炭を石炭を粉砕した配合炭とともにコークス炉に装入する場合、装入後の成型炭周囲に形成される空隙の大きさを予め求めておくことにより、その空隙を適切に埋めることができる最適な成型炭の石炭配合設計をすることができるようになり、それによって、劣質な石炭をより安定的に多量に使用することができるようになる。
成型炭と石炭を粉砕した配合炭とが充填された容器のX線CTによる断層画像の一例を示す図である。 容器内の断層画像の一部を拡大した図である。 画像解析方法の概念を示す図であり、aは、成型炭部以外を全て粉炭部とした状態を示し、bは、成型炭の周りxmmを除いた領域を粉炭部とする状態を示す。 成型炭周囲からxの幅の領域を取り除いた時の粉炭部嵩密度BDとxの関係を示す図である。 粉炭部嵩密度の変化BDp,n+1−BDp,nと成型炭周囲から取り除いた領域の幅xの間の関係を示す図である。 成型炭の膨張性の測定の概要を説明するための図である。 成型炭の膨張前後の円相当径の変化量Δrと成型炭周囲の最大空隙幅Wの比Δr/Wと全体のコークス強度DI150 15の関係を示す図である。 最大空隙幅の残存率と最大空隙幅Wに対する取り除いた領域の成型炭の周縁からの幅xの比x/Wとの関係を示す図である。 成型炭の加重平均全膨張率と、成型炭の膨張前後の円相当径の変化量Δrとの間の関係を示す図である。 実施例で作製したコークスのコークス強度を比較して示す図である。
本発明者らは、成型炭と石炭を粉砕した配合炭(以下、この配合炭を粉炭という。)とをコークス炉に装入する際の石炭充填状態を試験的に再現し、その再現された状態をX線CTで撮像し、得られた断層画像(図1参照)を観察した。
その結果、図2に示すように、成型炭の周囲に空間(黒で表示されている部分)が形成されていることが認められた。
このことから、成型炭と粉炭とをコークス炉に装入する場合、成型炭の周囲に空隙が形成された箇所があり、乾留後もその空隙が多く残る場合に、予想されたコークス強度が得られない場合があることを知見した。
そこで、その空隙を乾留時に適切に埋めることにより、コークス強度の低下を防ぐことを考えた。
成型炭を構成する石炭の配合によっては、乾留時の軟化溶融温度域で乾留前の体積を超えて膨張する成型炭があることが、例えば特許文献2などによって知られている。
そのため、成型炭の膨張量が前記空隙を埋めることができる程度かどうか調べて、空隙を埋めることができない時は、成型炭を構成する石炭の配合を膨張量が大きくなるようなものに変え、得られた成型炭を用いてコークスを製造したところ、コークス強度の高いコークスが製造できることが確認された。
以上のようにしてなされた本発明について、以下順次説明する。
まず、試験装置を用いて、次のような手順で、成型炭と粉炭とをコークス炉に装入する際の石炭充填状態を再現するように容器に充填して、成型炭の周囲に形成される空隙の最大幅W(mm)を測定する。
a1)コークス炉に装入する成型炭とそれに混合する粉炭とを準備する。
成型炭は、原料となる石炭にバインダーを添加して混練し、この混練物をブリケットマシンなどで所定の形状に成型することにより製造される。劣質炭を集中的に成型炭に配合することにより、劣質炭を多量に使用しても必要な強度をもつコークスを製造できる。
成型炭としては、バインダー添加率6〜10%とし、大きさ:4cc〜125cc、密度:1.1〜1.2g/cmの範囲に成型したものが用いられ、粉炭としては、配合炭を粒度:−3mm60%〜−3mm95%に粉砕したものが用いられる。
a2)前記成型炭と粉炭とをコークス炉の石炭充填状態を再現できるように容器に充填する。
容器への石炭の充填は、ホッパーより容器に自然落下させることにより行う。例えば、嵩密度測定装置の粉粒体落下装置を用いて行うことができる。
a3)容器に充填された配合炭を、X線CTを用いて3次元の断層画像を撮影する。その際、3次元の各方向へのスライス幅は、例えば5mmとする。
図1に断層画像の1例を、図2に断層画像の1部拡大図を示す。図2に示されるように、成型炭の周囲(白色の破線で囲った箇所)に黒色部分として現れる空間が存在していることが判る。
a4)続いて、得られた断層画像から成型炭の周囲に形成されている空隙の最大幅Wを定量化する。最大幅Wの定量化は、複数枚の断層画像を目視して測定することによってもできるが、測定精度の観点から本発明者らは画像解析で行うこととした。
本発明者らは空隙の最大幅Wを定量化する手段として、次の画像解析方法を試みた。
本発明者らは成型炭の周囲から成型炭の相似形で単位幅ずつ膨張させて、成型炭の周囲の空隙を単位幅ずつ取り除くことにより、この空隙が取り除かれた領域の粉炭部の嵩密度を定量化し、この粉炭部の嵩密度の変化を調べることで、空隙の最大幅Wを定量化することを考えた。
すなわち、成型炭周囲に形成された空隙を含む領域を取り除いていくことで、粉炭部嵩密度に対する成型炭周囲の空隙の影響が取り除かれていき、粉炭部分の嵩密度は向上する。一方、成型炭周囲に形成された空隙の影響を全て取り除いた後は、空隙の影響がなくなるため、粉炭部分の嵩密度の変化は小さくなる、もしくは所定の値に留まると考えた。
しかしながら、成型炭周囲の領域を取り除いた際の粉炭部分の嵩密度の変化は、直接測定することは困難であるため、前記断層画像を用いて画像解析により成型炭周囲の領域を取り除いた際の粉炭部分の嵩密度の変化を定量化した。
以下では、成型炭の周囲に形成される空隙の最大幅Wを定量化する方法について具体的に述べる。なお、成型炭周囲から取り除く領域の単位幅をa、成型炭周囲から取り除いた領域の幅をx、成型炭周囲から領域を取り除く作業の回数をn(0以上の整数)と表記する場合がある。さらに、成型炭周囲から単位幅aの領域を取り除く作業をn回繰り返した時の成型炭周囲から取り除いた領域の幅をx=n(回)×a(mm)とする。また、輝度分布をLB、嵩密度をBDとし、粉炭部分であればpを添え字として表記し、成型炭部分であればBriを添え字として表記する。
成型炭の周囲からxを取り除いた領域の粉炭部嵩密度を求める画像解析方法の一例を、図3を引用して示す。
まず、前記断層画像をモノクロ化する。ここで、容器の側面および底面の近くは壁効果により石炭が充填されにくい状態になっているがこの範囲は実炉のスケールに比べると非常に小さいため取り除く必要がある。そこで、粉粒体落下装置の容器の側面および底面からそれぞれ数mm離れた領域を、関心領域ROI(:Region Of Interest)として設定し(図3a参照)、このROI内の輝度分布をLBallと定義する。
今回の検討では、壁面から5mm離れた領域をROIとして設定したが、壁面からどれだけ離れた領域を設定するかについては測定に支障のない範囲であれば上限に規定はなく、下限は5mm程度とすることが推奨される。
設定されたROI内にて、まずは成型炭部分のみを選択領域とする処理を実行する。成型炭部分のみを選択領域とする処理として、はじめに、二値化によりROI内で、所定の閾値を超える輝度の領域を選択する。所定の閾値は、選択される側に成型炭が含まれており、かつ、成型炭以外の粒子が少量しか含まれていない値を選定すれば良い。
その後、クロージング処理・穴埋め処理・収縮膨張処理を実行することで、成型炭部のみが選択領域となるようにする。ここで、膨張・収縮処理は六方格子など、形状が変化しにくい形式を用いて行うことが望ましい。
以上の処理により、成型炭部分のみを選択領域とした後、当該領域の輝度分布を測定する。この時の輝度分布をLBBri,0とする。
続けて選択されている領域を、膨張処理により成型炭部分の形状を保持したまま、相似形でaずつ拡大させて(図3b参照)、それぞれの輝度分布を測定する。なお、本発明者らの測定条件では、1回の膨張処理につきa=0.488mmずつ膨張を進めた。
すなわち、成型炭部分のみを選択領域としてn回膨張処理を実施し、選択領域がx=n(回)×a(mm)だけ膨張した時の選択領域の輝度分布をLBBri,nとする。
続けて、成型炭部分のみを選択した選択領域をn回膨張処理した時の粉炭部の輝度分布LBp,nを下記の式に従って算出する。なお、LBallとは、前記ROI内の成型炭および粉炭が混在した状態での輝度分布であり、成型炭の選択や膨張処理を実施する前の輝度分布を示す。
LBp,n=LBall−LBBri,n
ここで、あらかじめ使用したX線CT装置における輝度値と嵩密度の関係を調べておき、得られたLBp,nから成型炭をn回膨張処理したときの粉炭部分の嵩密度BDp,nを算出する。
このようにして、成型炭周縁からx離れた領域を除いた部分の粉炭部の嵩密度をそれぞれ定量化することができる。
同様の手順により、それぞれのxに対応するBDp,nの定量化の画像処理を、複数枚数の断層画像に対して行った後、各断層画像間でのBDp,nの平均値をとることで平均BDp,nを求める。このように各画像間BDp,nの平均を取ることにより、粉粒体落下装置の容器内におけるxとBDp,nの関係をより精度良く求めることができる。このため、解析対象とする断層画像の枚数は多ければ多いほど望ましく、特に規定されるものではないが、例えば、20枚以上の画像を分析してWを算出することが推奨される。
それぞれの画像のxにおける平均BDp,nをそれぞれ定量化した後、成型炭周囲から取り除いた領域の幅xと粉炭部嵩密度BDの関係を求め、xに対する粉炭部嵩密度BDの変化量が、所定の範囲に収束した際のxを最大空隙幅W(mm)として得る。
すなわち、xに対する平均BDp,n+1−平均BDp,nの変化量が、所定の範囲に収束したxを、最大空隙幅Wとした。
以上の手順よりなる最大空隙幅Wの解析の一例として、粉炭部水分1.5%、成型炭容量30ccの条件で空隙を定量化した例を、図4、5に示す。
なお、以上説明した例では、成型炭部分を選択領域として全体の輝度部分布から差し引くことで粉炭部分の輝度分布を求めたが、直接粉炭部分の輝度分布を求める方法により解析を行っても差支えない。
このような空隙の最大幅Wの測定は、コークス炉に装入する成型炭や粉炭の配合条件ごとに実施するのが好ましい。但し、空隙の最大幅Wは、装入物の装入条件(装入高さや装入方法など)、成型炭のサイズおよび配合比率と、粉炭の粒度分布および水分が同じであれば、炭種によらず、一定とみなしてよいことを確認しているので、X線CTの断層画像の解析による最大幅Wの測定は、成型炭のサイズおよび成型炭の配合比率と、粉炭の粒度分布および水分と、装入物の装入条件(装入高さや装入方法など)が大幅に異なる場合に測定すれば、実用上、問題はない。
従って、装入物の装入条件(装入高さや装入方法など)、成型炭のサイズおよび配合比率と、粉炭の粒度分布および水分を、大幅に変化させる場合には、それによって空隙の最大幅Wが変化することが予想されるので、同じ炭種を使用する場合であっても、空隙の最大幅Wを測定することが好ましい。
次に、成型炭の膨張前後の円相当径の変化量Δr(mm)を次の手順で測定する。
b1)まず、成型炭の最大膨張体積を測定する。
成型炭の最大膨張体積の測定は、試験装置を用いて行う。試験装置としては、JIS M 8801 に記載されているディラトメーター用の試験装置を用いることができる。具体的には、石炭粒度、見掛け密度、バインダー添加量を成型炭に模擬した円錐台の成型物を作成し、それを加熱して行う。すなわち、成型炭に模擬した成型物(底面の径8mm、高さ60mm)を図7に示す反応管に装入し、その上部にピストンを載置し、その容器を加熱して、成型物の上端の上昇量をピストンの変位量から読み取って、その最大値から成型物の最大膨張体積Vを求める。
その際の加熱温度は、石炭は400℃前後の温度で軟化し始めてその後膨張し、500℃前後の温度で再固化して縮小することから、550℃までで充分である。
b2)次に、得られた成型物の最大膨張体積Vに基づいて成型炭の膨張前後の円相当径の変化量Δrを求める。
成型炭が球の場合、その膨張前後の半径の変化量Δr(mm)は下記式(1)よって表される。
成型炭の膨張比容積SVは、成型炭の最大膨張体積V(cm3)とその成型炭の質量M(g)を用いて、下記式(2)によって求められる。
SV=V/M ・・・(2)
ここで、膨張試験で用いた成型物は成型炭を模擬したものであるから、最大膨張体積Vとしては、膨張試験で測定した値を用いることができる。
したがって、成型炭に模擬した成型物の膨張試験から式(2)を用いて成型炭の膨張比容積を求めれば、式(1)から成型炭の円相当径の変化量Δrを求めることができる。
なお、成型炭の形状が球状ではなく、アーモンド、ピロー、マセック、プリズム等さまざまな形状の成型炭においても、上記の(1)式を用いてΔrを算出しても、問題ないことを確認している。
以上のようにして、成型炭周囲の空隙の最大幅Wと成型炭の膨張前後の円相当半径の変化量Δrとを求めることができるので、求められたWに対して、変化量Δrがどの程度であれば、コークス強度DIの急落を防ぐことが出来るかを検討した。
検討に当たって、まず、粉炭、および、あらかじめΔrを変更させた種々の成型炭を用意し、さらに成型炭周囲の空隙の最大幅Wを測定する方法により、成型炭ならびに粉炭が充填された状態のWを測定した。
次に、このWを測定した充填物を試験炉にて乾留し、得られたコークスの強度DIを測定した上で、Δrとの関係を調べた。その結果、Δr<0.4×Wとなる配合条件において強度が急落することがわかった。典型的な例を図に示すが、Δr/Wが0.4よりも小さくなると、DIが急落する傾向が認められた。この関係は、種々のWにおいて成り立つことが、Wを変更させた試験により、分かった。
なお、x=0におけるBDp,0とそれぞれのxにおけるBDp,nの差を、BDp,0で割った(BDp,n−BDp,0)/BDp,0で、最大空隙幅の残存率を定義し、この最大空隙幅の残存率と、最大空隙幅Wに対する取り除いた領域の成型炭の周縁からの幅xの比x/Wとの関係を、種々の条件に対して調べた。その結果、空隙幅の分布を求めたところ、0.4×W以上の空隙は全体の50%を下回ることが分かった(図参照)。すなわち、Δr<0.4×Wの条件では、空隙の50%以上を埋めることが出来なくなり、このためにコークス強度が急落したと考えられる。
以上の検討結果により、求められた成型炭の前記径の変化量Δrが測定された成型炭周囲の空隙の最大幅Wの40%以上か否かを判定して、次のように強度が向上したコークスが得られるようにする。
コークス強度が向上したコークスを得るには、成型炭が乾留時に膨張して、コークス炉への石炭装入時に形成されていた成型炭周囲の空隙を低減させることが必要である。
そのため、径の変化量Δrが空隙の最大幅Wの40%以上か否かを判定し、変化量Δrが最大幅Wの40%以上の場合には、乾留時の膨張によって空隙を適切に埋めることができるとして、その配合を用いることができる。また、径の変化量Δrが空隙の最大幅Wの60%以上となる場合、すなわちΔr≧0.6Wを満たす場合は、空隙の内70%を埋めることができるため、より好ましい。
さらに、径の変化量Δrが空隙の最大幅Wよりも大きい方が、より確実に乾留時の膨張によって空隙を埋めることができるため、変化量Δrが最大幅W以上となる場合、すなわちΔr≧Wを満たす場合が、より好ましい。
変化量Δrが空隙の最大幅Wの40%未満の場合には、その成型炭を用いてもコークス強度の向上が期待できないため、成型炭の原料となる石炭の配合比率や炭種を変えて、再度、新たな配合の成型炭について膨張試験を行い、成型炭の膨張前後の径の変化量Δrを求めて、径の変化量Δrが最大幅Wの40%以上となる石炭配合の成型炭をコークス炉に装入するようにする。
以上の態様では、成型炭の膨張量について成型炭を構成する石炭配合ごとに膨張試験を行って測定する例について説明したが、本発明者らは、成型炭の膨張量を直接測定しなくても、成型炭に配合される単味炭の全膨張率TDから間接的に求める方法について検討した。
石炭の全膨張量TDはすでに多くのものが調べられており、成型炭を構成する石炭の配合が決まれば、その配合から、単味炭の全膨張量TDを加算して平均をとった加重平均膨張量ΣTDを知ることができるので、成型炭部への使用を予定している石炭を用いて加重平均膨張量ΣTDの異なるさまざまな配合の成型炭を作製し、各成型炭の最大膨張体積Vを前記の方法で測定し、前記(1)式を用いて各成型炭の膨張前後の径の変化量Δrを計算して、両者の関係を求めた。
配合の異なる各成型炭について、その成型炭の加重平均膨張量ΣTDと得られた径の変化量Δrをプロットして図9に示す。
図9から、成型炭の加重平均膨張量ΣTDと膨張前後の径の変化量Δrの間には、良好な相関関係が認められた。従って、使用を予定している石炭を用いて、あらかじめΣTDとΔrの関係を求めておくことで、成型炭を構成する石炭を任意の配合量で構成しても、その成型炭の膨張前後の径の変化量Δrを予測できることが確認された。
なお、この関係は、使用する石炭種、成型炭の見掛け密度およびバインダーの添加量が異なる場合には、上記の相関関係は有するものの、ΣTDに対するΔrの値が変化する場合があるため、再度その条件にてΣTDとΔrの関係を求めることが好ましい。
なお、成型炭の加重平均全膨張率ΣTDは次のようにして求められる。
成型炭に配合を予定している石炭a、b、cの各々について全膨張率をTDを調べておく。成型炭が石炭a:x%、b:y%、c:z%からなっており、それら石炭の全膨張率TD(%)が、それぞれ、TDa、TDb、TDcである時、成型炭の加重平均全膨張率ΣTD(%)を、式ΣTD=(x・TDa+y・TDb+z・TDc)/100から求める。
次に、前記ΣTDとΔrの関係から、測定した最大幅Wの40%を超える成型炭の変化量Δrが得られるように、成型炭の加重平均全膨張率ΣTDの目標値を求め、その目標値以上になるように成型炭の配合を調整する。
その際、劣質炭を40%以上使用するような配合が望ましい。本発明では、膨張性の低い劣質炭を多く使用しても、膨張性の高い強粘結炭を使用することにより、前記目標値以上の加重平均全膨張率ΣTDを有する成型炭とすることができ、冷間強度の高いコークスを得ることができる。
このように、この態様の場合には、成型炭の変化量Δrを成型炭の配合ごとに測定しなくても、成型炭の加重平均全膨張率ΣTDから予想できるようにした。
以上、本発明の実施の態様について説明したが、更に、実施例により本発明の実施可能性及び効果について説明する。
表1に示すように、全膨張量TDと揮発分含有量VMの異なる5種類の単味炭を準備し、表2に示す配合1〜3の配合炭を用い、それぞれの配合炭をブリケットマシンにより、ピロー型、体積=46cc、円相当径r=20mm、見かけ密度=1.12g/cm3の成型炭1〜3に成型した。
次に、この成型炭1〜3のいずれかと粉炭とを混合し、上記a2)のようにして容器に充填して、X線CTを用いて断層画像を得て、それを画像解析して、成型炭の周りに形成される空隙の最大幅Wを求めたところ、成型炭1〜3のいずれを用いた場合でもWは5.37mmであった。ここで、粉炭に用いた石炭は水分10%、粉砕粒度−3mm85%とした。
このことから、成型炭の周りに形成され空隙を消滅させるためには、5.37mmの40%である2.15mmを超える成型炭の膨張量Δrが必要であり、さらに、5.37mm全てを充填できる膨張量である5.37mm以上の膨張量Δrが好ましいことが予想された。
そこで、図のプロットを用いてそれぞれのΔrに対応する全膨張率ΣTDを求めたところ、Δrが2.15mmである場合に必要な全膨張率ΣTDは約40%以上であり、5.37mmでは90%以上であることが知見された。
このことから、配合2による成型炭は、ΣTDが14.7%であって十分な膨張量が得られないが、配合1と配合3では、いずれもΣTDは、40%以上であり、十分な膨張量が得られることが予想された。
次に、配合1〜3の成型炭と粉炭とをコークス炉に装入して乾留し、得られたコークスのコークス強度を調べたところ、図10に示す結果が得られた。
配合2では、成型炭の膨張量が低く、予想された通り十分なコークス強度を有するコークスが得られないが、成型炭が十分な膨張量を有する配合1と2では、十分なコークス強度を有するコークスが得られることが確認された。
以上のように、劣質炭を多く成型炭に含有させても、膨張性の高い粘結炭を使用して成型炭の膨張性を大きくすれば、十分なコークス強度を有するコークスが得られることが確認された。

Claims (3)

  1. 成型炭と石炭を粉砕した配合炭とをコークス炉に装入して乾留するコークスの製造方法において、
    試験装置を用いて自然落下により成型炭と石炭を粉砕した配合炭とを容器に充填して、X線CTにより容器内の断面画像を撮像し、
    得られた断面画像から、成型炭周囲に形成されている空隙の最大幅Wを定量化し、
    さらに、試験装置を用いて成型炭の乾留時の最大膨張体積を測定して、成型炭の膨張量を膨張前後の円相当径の変化量Δr(mm)として求め、
    求められた変化量Δrが前記最大幅W(mm)の40%未満の場合は成型炭を構成する石炭配合を変更し、
    前記変化量Δrが前記最大幅Wの40%以上となる石炭配合を求め、この配合に基づき製造した成型炭を用いることを特徴とするコークスの製造方法。
  2. 前記の成型炭周囲に形成されている空隙の最大幅Wを定量化するに際し、
    前記断面画像を用いて、成型炭周縁から単位幅a(mm)ずつ、成型炭と相似的に段階的に領域を膨張させる処理を行うことで、粉炭部から当該領域を取り除き、当該領域を取り除いた粉炭部嵩密度をそれぞれ定量化し、成型炭の周縁から取り除いた領域の幅x(mm)と幅成型炭周縁からx(mm)の幅の領域を取り除いた領域の粉炭部嵩密度との関係を求め、x(mm)に対する粉炭部嵩密度の変化が、所定の範囲内に収束するx(mm)を成型炭周囲に形成されている空隙の最大幅W(mm)とすることを特徴とする請求項1に記載のコークスの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のコークスの製造方法において、
    前記成型炭の膨張前後の円相当径の変化量Δr(mm)を求めた後、該変化量Δrと成型炭に配合される石炭の全膨張率を加重平均した加重平均全膨張率との関係を予め求めておき、
    成型炭の加重平均全膨張率と前記変化量Δrの関係から、前記最大幅W(mm)の40%を超える成型炭の膨張量が得られるように、成型炭の加重平均全膨張率の目標値を定め、
    求められた変化量Δrが前記最大幅Wの40%未満の場合は、前記の目標値以上になるように成型炭を構成する石炭の配合を変更することを特徴とするコークスの製造方法。
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