JP2020094200A - 高炉用コークスの製造における石炭の配合方法及び炭種の選択方法 - Google Patents

高炉用コークスの製造における石炭の配合方法及び炭種の選択方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コークスの製造において、より多くの非微粘結炭を配合できる石炭の配合方法を提供する。【解決手段】配合炭の空隙充填度とコークスの表面破壊強度との関係(α1)及び配合炭の収縮率とコークスの体積破壊粉率との関係(α2)を求め、炭種、目標のコークス強度、目標の収縮率jをそれぞれ設定し、収縮率jとなる粘結炭と高VM非微粘結炭とのベース配合に収縮率jが変わらないように低VM非微粘結炭をさらに配合したときの非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を満たす配合炭の空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を求め、収縮率jを満たす体積破壊粉率を(α2)から求め、表面破壊強度を満たすために必要な空隙充填度dを(α1)から求め、空隙充填度dと(β2)及び(β1)から非微粘結炭の配合比率上限値fを求める。【選択図】図4

Description

本発明は、非微粘結炭を含む配合炭を使用して高炉用コークスを製造する場合における石炭の配合方法及び炭種の選択方法に関する。
高炉用コークスは、高炉の要求品質に応じて複数種の石炭を配合し、コークス炉で乾留して製造される。用いるコークスの強度が低いと、高炉に装入された際に、コークスから発生した粉コークスにより高炉内の還元ガスの移動(上昇)が妨げられる。この場合には、鉄鉱石の還元反応が阻害され、高炉の安定的な操業が困難になる。したがって、高炉用コークスは、所定値以上の強度と粒径を有することが求められる。
また、このようなコークス製造用の石炭において、良質な石炭は、資源的に枯渇状態にあるのに対して、劣質な石炭は、埋蔵量が豊富である。そのため、安価な非微粘結炭の配合比率を高くすることが望まれているが、非微粘結炭の配合比率を高くすると、石炭粒子の膨張及び結合が不十分となりコークス強度の低下を招く恐れがある。
このため、石炭の配合を変更する際には、所定強度(目標値とする強度)以上のコークスを製造するために、配合される各種石炭の性状に基づいて、コークスの表面破壊強度や体積破壊粉率を推定し、コークスの強度を推定することが有効であり、そのための方法が、例えば特許文献1、2などに開示されている。
特許文献1、2には、高石炭化度炭と低石炭化度炭とを配合し、表面破壊粉コークス量と体積破壊粉コークス量の和より乾留後のコークス強度を推定する際、前記表面破壊粉コークス量を、石炭軟化時の膨張比容積SVと装入嵩密度BDの積(SV×BD)で表される空隙充填度に基づいて推定するにあたり、高石炭化度炭の膨張性に対する低石炭化度炭の影響をイナートファクター(イナート係数)という指標によって定量化して、高石炭化度炭の表面破壊粉コークス量の推定値を求め、この推定値と低石炭化度炭の表面破壊粉コークス量の推定値を用いて、配合炭中の高石炭化度炭と低石炭化度炭の配合割合で加重平均することにより、上記推定に用いる表面破壊粉コークス量とするコークス強度の推定方法が開示されている。
特許第4299680号公報 特開2016−69469号公報
特許文献1、2では石炭を、低石炭化度炭(主に非微粘結炭)と高石炭化度炭(主に粘結炭)の2種類に分類し、粘結性に乏しい非微粘結炭を多量に配合した場合のコークス強度の低下を防止する観点からコークス強度を推定しており、特許文献1に関しては、非微粘結炭をどの程度まで配合できるかについて導出可能であると明記されている。しかし、石炭化度の高い(VMが低い)非微粘結炭を配合する場合に関しては開示されていない。
そこで、本発明は、粘結炭に低VM非微粘結炭も含めた非微粘結炭を配合した配合炭について、高炉の操業上必要なコークス強度を確保できる非微粘結炭の配合比率を求めて、より多くの非微粘結炭を配合できるようにすることを課題とする。
非微粘結炭は、すべてが石炭化度が低い(VMが高い)ものとは限らず、石炭化度が高い(VMが低い)ものもあることが知られている。しかし、低VM非微粘結炭は、粘結炭や高VM非微粘結炭と比較して粘結性が乏しいため、今までほとんど使用されてこなかった。
本発明者は、低VM非微粘結炭は粘結性が乏しいものの、高VM非微粘結炭よりも収縮率が小さいことに着目し、粘結炭に高VM非微粘結炭だけでなく低VM非微粘結炭も併せて配合することで、非微粘結炭を従来よりも増配合可能とすることを着想した。
そして、粘結炭と高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭を混合した配合炭を用いることを前提に、必要なコークス強度を確保できる非微粘結炭の配合方法を検討した結果、目標とするコークス強度と配合炭の加重平均収縮率を設定し、最初にそれらを同時に満たす粘結炭と高VM非微粘結炭の組み合わせを求め、その組み合わせに対して低VM非微粘結炭を増配合したときでも、それらを同時に満たすことができる非微粘結炭の配合比率を求めることにより、目標のコークス強度を満たす非微粘結炭配合比率の上限値の算出ができることを見出した。
本発明者はさらに、上記のような配合方法を用いることで、非微粘結炭を含む配合炭の種々の炭種組合せの中から、非微粘結炭の配合比率が最大となる炭種組合せを選択できることを見出した。
そのようになされた本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
[1] 非微粘結炭を含む配合炭を用いて高炉用コークスを製造する際の石炭の配合方法であって、
配合炭は、粘結炭と、非微粘結炭としての高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭からなり、
粘結炭は、揮発分VMが10質量%超、30質量%未満で、全膨張率が10%以上の石炭と、VMが30質量%以上で、全膨張率が100%以上の石炭であり、高VM非微粘結炭は、全膨張率が100%未満で、VMが30質量%以上の石炭であり、低VM非微粘結炭は、全膨張率が10%未満で、VMが10質量%超、30質量%未満の石炭であり、
非微粘結炭の配合比率を決定するに際し、
(A)予め、種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度DI150 との関係(α1)、及び、実測した配合炭の収縮率と配合炭から得られるコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係(α2)を求めておき、
(B)次に、配合炭に用いる粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の炭種、目標のコークス強度DI150 15、目標の配合炭の収縮率(j)をそれぞれ設定し、
(C)まず、粘結炭と高VM非微粘結炭を配合した配合炭について、個々の石炭の収縮率を加重平均した加重平均収縮率が設定した収縮率(j)となる粘結炭と高VM非微粘結炭の配合比率をベース配合として求め、かつ、ベース配合での配合炭の空隙充填度を求め、
(D)前記ベース配合に、収縮率(j)が変わらないように低VM非微粘結炭をさらに配合したときの非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を求め、
(E)前記関係(β1)を満たすように粘結炭高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭を配合した配合炭における空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を求め、
(F)収縮率(j)を満たす体積破壊粉率DI150 6−15を前記(α2)の関係を用いて求め、目標とするコークス強度DI150 15に体積破壊粉率DI150 6−15を加算して、配合炭の表面破壊強度DI150 を求め、求められたDI150 を満たすために必要な空隙充填度(d)を前記(α1)の関係を用いて求め、
(G)求められた空隙充填度(d)と前記関係(β2)を用いて、空隙充填度(d)を満たす低VM非微粘結炭の配合割合(k)を求め、この配合割合(k)と前記関係(β1)を用いて非微粘結炭の配合比率(f)を求め、
(H)求められた配合比率(f)を非微粘結炭の配合比率の上限値として非微粘結炭の配合比率を決定する
ことを特徴とする石炭の配合方法。
[2] 配合炭の収縮率と配合炭から得られるコークスの粒径との関係(α3)を予め求めておき、目標の配合炭の収縮率(j)の設定に当たり、必要なコークス粒径を設定して、関係(α3)を用いて目標の配合炭の収縮率(j)を設定することを特徴とする上記[1]に記載の石炭の配合方法。
[3] 非微粘結炭を含む配合炭を用いて高炉用コークスを製造する際の石炭の配合方法であって、
前記配合炭は、粘結炭と、非微粘結炭としての高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭からなり、
粘結炭は、揮発分VMが10質量%超、30質量%未満で、全膨張率が10%以上の石炭と、VMが30質量%以上で、全膨張率が100%以上の石炭であり、高VM非微粘結炭は、全膨張率が100%未満で、VMが30質量%以上の石炭であり、低VM非微粘結炭は、全膨張率が10%未満で、VMが10質量%超、30質量%未満の石炭であり、
非微粘結炭の配合比率を決定するに際し、
(A’)予め、種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度DI150 との関係(α1)、及び、実測した配合炭の収縮率と配合炭から得られたコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係(α2)を求めておき、
(B’)次に、配合炭に用いる粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の炭種、目標のコークス強度DI150 15を設定し、各石炭の収縮率の範囲内で目標とする配合炭の加重平均収縮率を、収縮率(j1)〜収縮率(jn)(ただし、n:自然数)の複数定め、
(C’)まず、配合炭の目標とする収縮率を収縮率(j1)とし、粘結炭と高VM非微粘結炭を配合した配合炭について、収縮率(j1)となる粘結炭と高VM非微粘結炭の配合比率をベース配合として求め、かつ、ベース配合での配合炭の空隙充填度を求め、
(D’)ベース配合に、収縮率(j1)が変わらないように低VM非微粘結炭を配合したときの非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を求め、
(E’)前記関係(β1)を満たすように粘結炭高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭を配合した配合炭における空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を求め、
(F’)収縮率(j1)を満たす体積破壊粉率DI150 6−15を前記(α2)の関係を用いて求め、目標とするコークス強度DI150 15に体積破壊粉率DI150 6−15を加算して、配合炭の表面破壊強度DI150 を求め、求められたDI150 を満たすために必要な空隙充填度(d1)を前記(α1)の関係を用いて求め、
(G’)求められた空隙充填度(d1)と前記関係(β2)を用いて、空隙充填度(d1)を満たす低VM非微粘結炭の配合割合(k1)を求め、この(k1)と前記関係(β1)を用いて非微粘結炭の配合比率(f1)を求め、
(G”)次に、配合炭の目標とする収縮率を収縮率(j2)として、(C’)〜(G’)の計算を行い、低VM非微粘結炭の配合割合(k2)と非微粘結炭の配合比率(f2)を求め、以降、収縮率を(j3)〜(jn)まで変更して、(C’)〜(G’)の計算を繰り返して行い、低VM非微粘結炭の配合割合(k3)〜(kn)、非微粘結炭の配合比率(f3)〜(fn)を求め、
(H’)求められた配合比率(f1)〜(fn)の最大値を非微粘結炭の配合比率の上限値として非微粘結炭の配合比率を決定する
ことを特徴とする石炭の配合方法。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載の石炭の配合方法を用いて、配合炭に用いる炭種を選択する方法であって、
既定の粘結炭及び既定の高VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の低VM非微粘結炭の各々との組合せであるか、又は、既定の粘結炭及び既定の低VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の高VM非微粘結炭の各々との組合せである、複数の炭種配合を準備し、
コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の目標値を設定し、
前記複数の炭種配合の各々について、前記目標値に基づいて上記[1]〜[3]のいずれかに記載の石炭の配合方法を用いて非微粘結炭の配合比率上限値を求め、
前記複数の炭種配合のうち、非微粘結炭の配合比率上限値が最大となる炭種配合を選択することを特徴とする、炭種の選択方法。
[5] コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の仮目標値を設定し、
コークス強度DI150 15の仮目標値を満たし得る炭種配合のみで前記複数の炭種配合を構成し、
前記複数の炭種配合の全てが、コークス強度DI150 15と配合炭の収縮率との両者の仮目標値を満たし得る配合比率を有する場合には、コークス強度DI150 15及び収縮率の両者の仮目標値を、コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の目標値としてそれぞれ設定し、
前記複数の炭種配合のうち少なくとも1つが、配合炭の収縮率の仮目標値を満たし得る配合比率を有さない場合は、前記複数の炭種配合の各々について最大設定収縮率を下記手順で決定し、前記最大設定収縮率の前記複数の炭種配合間での最小値を配合炭の収縮率の目標値として設定するとともに、コークス強度DI150 15の仮目標値をコークス強度DI150 15目標値として設定し、
前記最大設定収縮率は、前記仮目標値であるコークス強度DI150 15と前記仮目標値よりも小さい値に設定した設定収縮率とを用いて表面破壊強度DI150 を求め、前記表面破壊強度DI150 から定まる空隙充填度、及び前記空隙充填度から定まる低VM非微粘結炭配合比率を求めたときの、前記低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値をとり得る設定収縮率のうちの最大値として決定される、上記[4]に記載の炭種の選択方法。
本発明の一態様によれば、粘結炭と高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭を混合した配合炭における各石炭の配合割合を決定する際、配合炭に用いる石炭の炭種、目標とするコークス強度DI150 15、配合炭の加重平均収縮率を設定することで、目標のDI150 15を満たす非微粘結炭の配合比率の上限値の算出が可能となり、配合炭における非微粘結炭の配合比率を多くして、必要な強度を有するコークスを安定して製造することができる。また本発明の一態様によれば、非微粘結炭を含む配合炭の種々の炭種組合せの中から非微粘結炭の配合比率が最大となる炭種組合せを選択できる。
粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭のそれぞれの範囲を説明するための全膨張率−揮発分VM含有量マップである。 配合炭の空隙充填度と配合炭から得られるコークスの表面破壊強度の関係の一例を示す図である。 配合炭の加重平均収縮率と配合炭から得られたコークスの体積破壊粉率との関係の一例を示す図である。 コークス粒径と加重平均収縮率の関係の一例を示す図である。 非微粘結炭の配合比率の上限値の算出するための手順の一例を説明するための模式図である。 実施例1における、非微粘結炭の配合比率の上限値を算出するための、低VM非微粘結炭配合比率に対する、非微粘結炭配合比率と空隙充填度(SV×BD×IF)の関係を表す図である。 実施例2における、非微粘結炭の配合比率の上限値を算出するための図7と同様の図である。 実施例3における、非微粘結炭の配合比率の上限値を算出するため図7と同様の図である。
本発明は、原料石炭として、粘結炭に非微粘結炭を配合した配合炭を用いる場合の原料石炭の配合方法に関するもので、最初に本発明に関連する石炭ついて説明する。なお、石炭の量的比率を表す「%」は、特に断りがない限り「質量%」を示す。
本発明では、粘結炭に、非微粘結炭として高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭を配合した配合炭において、非微粘結炭の配合比率の決定方法を提案する。
ここで、粘結炭は、図1の石炭の全膨張率−揮発分マップに示すように、揮発分VMが10質量%超、30質量%未満(2<酸素量[質量%]<7に相当)で、全膨張率が10%以上の石炭と、VMが30質量%以上(7≦酸素量[質量%]に相当)で、全膨張率が100%以上の石炭であり、高VM非微粘結炭は、全膨張率が100%未満で、VMが30質量%以上の石炭であり、低VM非微粘結炭は、全膨張率が10%未満で、VMが10質量%超、30質量%未満の石炭である。
本発明では、非微粘結炭のうちで石炭化度の高い低VM非微粘結炭を活用し、以下に示す配合方法をとることにより、配合炭における非微粘結炭の配合比率を高めることができる。
また、本発明では、目標とするコークス強度を定め、そのコークス強度を達成できる非微粘結炭の配合比率の上限値を求め、その上限値に基づいて非微粘結炭の配合比率を決定できるようにする。
コークス強度としては、JIS K 2151に規定されるドラム法に準拠して得られるドラム強度指数を用いる。コークス強度DI150 15は、ドラムを150回転させた後の篩目15mmの篩でふるい分けた篩上(粒径15mm超)のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率であり、表面破壊強度DI150 とは、同じく6mm篩上(粒径6mm超)のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率である。また、体積破壊粉率DI150 6−15は、同じく15mmの篩下で、6mm篩上のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率である。これらの間には以下の関係がある。
DI150 15=DI150 −DI150 6−15
そのような本発明について、非微粘結炭の配合比率の決定方法を順次説明する。
<第1の態様>
本開示の第1の態様においては、粘結炭と高VM非微粘結炭とからなるベース配合に対して低VM非微粘結炭を増配合するという手順を経て、非微粘結炭の配合比率の最大値を求めることができる。以下具体的手順を説明する。
(I)準備
(A)予め、非微粘結炭の配合比率を求めるために必要な以下に示す関係を求めておく。
(A1)種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度DI150 との関係(α1)を求めておく。図2に、関係(α1)の一例を示す。
(A2)配合炭の加重平均収縮率と配合炭から得られたコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係(α2)を求める。なお、加重平均収縮率は、配合された個々の石炭の収縮率を配合比率に応じて加重平均した収縮率のことで、以下、Σ収縮率と記載する場合もある。図3に、関係(α2)の一例を示す。
(II)非微粘結炭の配合比率上限値の算出
本発明では、以上求めた関係を用いて非微粘結炭の配合量の上限値を求める。
以下、粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭をそれぞれ1銘柄用いる単純化した場合を例に説明する。
(B)上限値の算出のための前提条件を以下のように定める。
(B1)配合炭に用いる粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の炭種を定める。
配合炭に用いる各石炭の膨張比容積SV、収縮率を測定する。また、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭については、イナートファクター係数IFCを測定する。ちなみに、既知の値がある場合は、その値を用いてもよい。
なお、それぞれの求め方については後述する。
(B2)目標のコークス強度DI150 15と目標の配合炭のΣ収縮率(j)を定める。
目標とするΣ収縮率(j)は、配合炭に用いる個々の石炭の収縮率の範囲から設定することができるが、例えば、予め配合炭のΣ収縮率と配合炭から得られたコークスの粒径との関係(α3)を求めておき、高炉の操業条件等に応じた目標のコークス粒径を設定して、(α3)の関係から求めることもできる。図4に、関係(α3)の一例として、特許第4299693号に示された図を示す。
(C)まず、粘結炭と高VM非微粘結炭のみを配合した配合炭について、次のようにして、目標のΣ収縮率(j)を満たす配合割合と空隙充填度を求める。
(C1)粘結炭と高VM非微粘結炭を配合した配合炭について、Σ収縮率(j)を満たす粘結炭の配合比率:x[%]と高VM非微粘結炭の配合比率:y[%]を下記の連立方程式を解いて求める。
=100−x
=(j×100−a×x)/b
ここで、a:粘結炭の収縮率、b:高VM非微粘結炭の収縮率とする。
このときの配合をベース配合とし、高VM非微粘結炭の配合比率yを定数g[%]として定める。
(C2)ベース配合における配合炭全体の空隙充填度(e)を、次式で示される、粘結炭と高VM非微粘結炭の空隙充填度の加重平均から求める。
配合炭の空隙充填度(e)={粘結炭の空隙充填度(SVx×BD×IF)×x
+高VM非微粘結炭の空隙充填度(SVy×BD)×y}/100
なお、SVx、SVyは、それぞれ粘結炭、高VM非微粘結炭の石炭軟化時の膨張比容積であり、BDは充填嵩密度である。また、IFは、高VM非微粘結炭による粘結炭に対する膨張性阻害の程度を示す指標であるイナートファクターであり、下記式で定義される。
IF=1.00−IFC×x
ここで、IFC:イナートファクター係数[-]、x:非微粘結炭の配合比率[質量%]を示す。
IFCは、粘結炭と高VM非微粘結炭の膨張比容積Vi、各石炭の配合割合Xi(iは配合炭を構成する各石炭種)のときの配合炭の膨張時最大比容積(膨張比容積)Vを測定し、複数の配合比率でのIFを下記式により求め、高VM非微粘結炭の配合比率とIFの関係を示す直線を得て、その直線の傾きから得られる。
V=ΣIF×Xi×Vi (ただし、高VM非微粘結炭のIFは1とする。)
(D)次に、ベース配合に、Σ収縮率(j)が変わらないように低VM非微粘結炭を配合した場合の非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を、次のようにして求める。
(D1)収縮率がcである低VM非微粘結炭を配合比率;z[%]で配合した場合、粘結炭の配合比率:x[%]と高VM非微粘結炭の配合比率:y[%]の間には、以下の関係が成り立つ。
1=(x+y+z)/100
j=(a×x+b×y+c×z)/100
ここで、j、c、zが定数であるので、この連立方程式を解いてxとyを求める。
(D2)次に、ベース配合での非微粘結炭の配合比率gである点と、低VM非微粘結炭がzで、非微粘結炭がy+zである点を結ぶ直線Aを示す関係式を求める。
この直線が、コークスの収縮率(j)が得られる非微粘結炭の配合比率の上限値の変化を示している。
この直線Aは、図5aに示すように、下記の式で表される。
(非微粘結炭の配合比率上限値[%])={(y+z−g)/z}×(低VM非微粘結炭の配合割合[%])+g
ここで、この直線の傾き{(y+z−g)/z}をmとすると、上記関係(β1)として、下記の(1)式で表される関係が求められる。
(非微粘結炭の配合比率上限値[%])=m×(低VM非微粘結炭の配合割合[%])+g
・・・(1)
(E)粘結炭高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭を配合した配合炭における空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を、次のようにして求める。
ここで、低VM非微粘結炭は膨張性に乏しく、単味の膨張比容積を実質的に測定することができないため、嵩密度の逆数を単味の膨張比容積とし、その値を用いて低VM非微粘結炭のみの空隙充填度を求める。しかし、低VM非微粘結炭の空隙充填度は、粘結炭や高VM非微粘結炭の空隙充填度と比較して低く見積もられることから、粘結炭高VM非微粘結炭のそれぞれの空隙充填度を加重平均して配合炭の空隙充填度求めると、配合炭の空隙充填度も過度に低く見積もられてしまうことが判明した。
そのため、低VM非微粘結炭の空隙充填度を、粘結炭と高VM非微粘結炭の配合割合によってそれぞれに割り振り、配合炭の空隙充填度を求めることで、低VM非微粘結炭の空隙充填度が過度に低く見積もられることの影響が緩和されることが確認されたので、この方法により配合炭の空隙充填度を求めることとした。
(E1)前記(1)式を満たす配合炭の空隙充填度(h)を、粘結炭と低VM非微粘結炭の一部{粘結炭/(粘結炭+高VM非微粘結炭)}の空隙充填度と、高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭の残部{高VM非微粘結炭/(粘結炭+高VM非微粘結炭)}の空隙充填度の加重平均値から求める。
石炭の配合比率が、粘結炭:x2、高VM非微粘結炭:y、低VM非微粘結炭:zである配合炭の粘結炭と低VM非微粘結炭の一部の空隙充填度は、下記の式で表される。
Figure 2020094200
同じく配合炭の高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭の残部の空隙充填度は、下記の式で表される。
Figure 2020094200
ここで、各符号の意味は以下のとおりである。
SVx:粘結炭の膨張比容積[g/cm
SVy:高VM非微粘結炭の膨張比容積[g/cm
SVz:低VM非微粘結炭の膨張比容積[g/cm
IFCy:高VM非微粘結炭の粘結炭に対するイナートファクター係数
IFCzx:低VM非微粘結炭の粘結炭に対するイナートファクター係数
IFCzy:低VM非微粘結炭の高VM非微粘結炭に対するイナートファクター係数
なお、低VM非微粘結炭を配合した場合には、高VM非微粘結炭の膨張が低VM非微粘結炭により阻害されるため、高VM非微粘結炭に対するイナートファクター係数IFCzyを求める必要がある。IFCzyは、高VM非微粘結炭に低VM非微粘結炭を配合した配合炭の膨張比容積と低VM非微粘結炭の膨張比容積を測定し、低VM非微粘結炭の膨張比容積が測定可能な場合は測定値を用い、測定ができない場合は嵩密度の逆数の値を用いて、前記IFCと同様に求められる。
(E2)空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係式を次のようにして求める。
低VM非微粘結炭が配合比率0%で、空隙充填度の値がeである点と、低VM非微粘結炭がzで、空隙充填度の値がhである点を直線で近似した直線Bが、コークスの収縮率j1が得られる配合炭の空隙充填度を示している。
この直線Bは、図5bに示されるように、下記式で表される。
(空隙充填度[-])={(h−e)/z}×(低VM非微粘結炭の配合割合[%])+e
ここで、この直線の傾き{(h−e)/z}をnとすると、上記関係(β2)として、下記の(2)式で表される関係が求められる。
(空隙充填度[-])=n×(低VM非微粘結炭の配合割合[%])+e ・・・(2)
(F)収縮率(j)を満たす体積破壊粉率DI150 6−15を(α2)の関係を用いて求め、目標とするコークス強度DI150 15に体積破壊粉率DI150 6−15を加算して、配合炭の表面破壊強度DI150 を求め、求められたDI150 を満たすために必要な空隙充填度(d)を(α1)の関係を用いて求める。
(G)求められた空隙充填度(d)を(2)式に代入して、空隙充填度(d)を満たす低VM非微粘結炭の配合割合(k)を求める(図5c)。
kは次式で表される。
k=(d−e)/n
このkを(1)式に代入した下記の式より、非微粘結炭の配合比率上限値f[%]を求める。
f=m×(d−e)/n+g
これにより、配合炭のΣ収縮率(j)を満たす最適な配合として、粘結炭:100−f[%]、高VM非微粘結炭:f−k[%]、低VM非微粘結炭k[%]が求まるので、この配合比率に基づいて配合を決定することができる。
以上の例では、コークス強度と配合炭の収縮率の目標値を決め、それらを同時に満たす非微粘結炭の配合比率を求めることにより、最適な非微粘結炭の配合比率を求めるようにしたが、配合炭の各石炭の収縮率の範囲から仮の収縮率の目標値を複数設定し、コークス強度の目標値と仮の収縮率の1番目の目標値の両方を同時に満たす非微粘結炭全体の配合比率を求め、以降、配合炭の収縮率の目標値を順次変化させて、同様の計算を繰り返し行って、順次非微粘結炭の配合比率を求め、求められた配合比率の中の最大値を最適な非微粘結炭の配合比率とすることにより、最適な非微粘結炭の配合比率を求めることができる。
次に、その例について同様に説明する。
(I)準備
前記の(A1)、(A2)と同様に、空隙充填度と表面破壊強度DI150 との関係(α1)、及び配合炭の収縮率とコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係(α2)を求める。
(II)非微粘結炭の配合比率上限値の算出
(B’)配合炭に用いる粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の炭種及び目標のコークス強度DI150 15を定める。
また、各石炭の収縮率の範囲内で、目標とする配合炭の加重平均収縮率(Σ収縮率)を、収縮率(j1)〜収縮率(jn)の複数定める。ここで、nは自然数とする。なお、非微粘結炭の配合比率の最大値を求めるためには、例えば、nは4以上で設定することが推奨される。
(C’)1番目の目標のΣ収縮率をj1として、前記(C1)、(C2)のようにして、ベース配合での高VM非微粘結炭の配合比率yを定数g1[%]として定め、ベース配合における配合炭全体の空隙充填度(e1)を求める。
(D’)ベース配合に、Σ収縮率(j1)が変わらないように低VM非微粘結炭を配合した場合の非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を表す関係式(1−1)を、前記(D1)と(D2)と同様にして求める。
(非微粘結炭の配合比率上限値[%])=m1×(低VM非微粘結炭の配合割合[%])+g1
・・・(1−1)
ここで、m1={(y+z−g1)/z}である。
(E’)前記(1−1)式を満たす配合炭の空隙充填度(h1)を前記(E1)と同様にして求め、粘結炭高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭を配合した配合炭における空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を表す関係式(2−1)を前記(E2)と同様にして求める。
(空隙充填度[-])=n1×(低VM非微粘結炭の配合割合[%])+e1 ・・・(2−1)
ここで、n1={(h1−e1)/z}である。
(F’)収縮率j1を満たす体積破壊粉率DI150 6−15を(α2)の関係を用いて求め、目標とするコークス強度DI150 15に体積破壊粉率DI150 6−15を加算して、配合炭の表面破壊強度DI150 を求め、求められたDI150 を満たすために必要な空隙充填度(d1)を(α1)の関係を用いて求める。
(G’)求められた空隙充填度(d1)を(2−1)式に代入して、空隙充填度(d1)を満たす低VM非微粘結炭の配合割合(k1)を求める。
k1は次式で表される。
k1=(d1−e1)/n1
このk1を(1’)式に代入した下記の式より非微粘結炭の配合比率(f1)を求める。
f1=m1×(d1−e1)/n1+g1
(G”)次に、配合炭の目標とする収縮率をΣ収縮率(j2)とし、(C’)〜(G’)と同様にして、関係式(1−2)、(2−2)を求め、その関係式を用いて非微粘結炭の配合比率(f2)を求める。
さらに、Σ収縮率を(j3)〜(jn)まで変化させて、同様に非微粘結炭の配合比率(f3)〜(fn)を得る。
(H’)配合比率(f1)〜(fn)の中で最大の配合比率を非微粘結炭の配合比率上限値とし、その上限値をもとに配合を決定することができる。
<第2の態様>
本開示の石炭の配合方法(例えば、第1の態様として前述した方法)を用いることによって、目標のコークス品質を満たしつつ非微粘結炭の配合比率が最大となるように、種々の非微粘結炭の中から最適な炭種を選択できる。すなわち、本開示の第2の態様は、本開示の石炭の配合方法を用いて、配合炭に用いる炭種を選択する方法であって、
既定の粘結炭及び既定の高VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の低VM非微粘結炭の各々との組合せであるか、又は、既定の粘結炭及び既定の低VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の高VM非微粘結炭の各々との組合せである、複数の炭種配合を準備し、
コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の目標値を設定し、
前記複数の炭種配合の各々について、前記目標値に基づいて本開示の石炭の配合方法を用いて非微粘結炭の配合比率上限値を求め、
前記複数の炭種配合のうち、非微粘結炭の配合比率上限値が最大となる炭種配合を選択することを特徴とする、炭種の選択方法を提供する。
粘結炭及び高VM非微粘結炭の炭種が既に決定されており、種々の低VM非微粘結炭から最適な炭種を選択しようとする場合には、既定の粘結炭及び既定の高VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の低VM非微粘結炭の各々との組合せである、複数の炭種配合を準備する。また、粘結炭及び低VM非微粘結炭の炭種が既に決定されており、種々の高VM非微粘結炭から最適な炭種を選択しようとする場合には、既定の粘結炭及び既定の低VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の高VM非微粘結炭の各々との組合せである、複数の炭種配合を準備する。
一態様において、コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の目標値は、全ての炭種配合に共通の1つの値を設定してよい。この場合、ある1つの収縮率について求められた非微粘結炭の配合比率上限値(具体的には、前述の(A)〜(G)の手順で求められた値)を炭種配合間で比較して、当該上限値が最大となる炭種配合を、最適配合として選択できる。
又は、一態様において、コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の目標値は、各炭種配合について、前述の収縮率(j1)〜収縮率(jn)のように複数定めてもよい。この場合、各炭種配合について前述の(A’)〜(H’)の手順に従って(f1)〜(fn)のうちの最大値を求め、次いで、この最大値同士を炭種配合間で比較する。すなわち、炭種配合に応じた最適な収縮率で求められた非微粘結炭の配合比率上限値同士を、炭種配合間で比較し、当該上限値が最大となる炭種配合を、最適配合として選択できる。
上記炭種の選択方法の好適例においては、
コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の仮目標値を設定し、
コークス強度DI150 15の仮目標値を満たし得る炭種配合のみで前記複数の炭種配合を構成し、
前記複数の炭種配合の全てが、コークス強度DI150 15と配合炭の収縮率との両者の仮目標値を満たし得る配合比率を有する場合には、コークス強度DI150 15及び収縮率の両者の仮目標値を、コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の目標値としてそれぞれ設定し、
前記複数の炭種配合のうち少なくとも1つが、配合炭の収縮率の仮目標値を満たし得る配合比率を有さない場合は、前記複数の炭種配合の各々について最大設定収縮率を下記手順で決定し、前記最大設定収縮率の前記複数の炭種配合間での最小値を配合炭の収縮率の目標値として設定するとともに、コークス強度DI150 15の仮目標値をコークス強度DI150 15目標値として設定し、
前記最大設定収縮率は、前記仮目標値であるコークス強度DI150 15と前記仮目標値よりも小さい値に設定した設定収縮率とを用いて表面破壊強度DI150 を求め、前記表面破壊強度DI150 から定まる空隙充填度、及び前記空隙充填度から定まる低VM非微粘結炭配合比率を求めたときの、前記低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値をとり得る設定収縮率のうちの最大値として決定する。なお当該ゼロ超の値は、最大設定Σ収縮率を最大化する観点から、操業上配合可能な範囲で極力小さい値に設定され得る。
複数の炭種配合のうち少なくとも1つが、配合炭の収縮率の仮目標値を満たし得る配合比率を有さない場合のより具体的な手順は、以下のとおりであり得る。
(1)目標のコークス強度DI150 15と、目標のΣ収縮率よりも小さい値に設定した第1の設定Σ収縮率から図3に従って導出した体積破壊粉率DI150 6−15とから、表面破壊強度DI150 を求める。
(2)その表面破壊強度DI150 の値を与える空隙充填度を図2の関係式より導出する。
(3)その空隙充填度を与える低VM非微粘結炭配合比率を図5bの関係式より導出する。
(4)上記(3)の低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値となった場合は、上記第1の設定Σ収縮率を上記最大設定Σ収縮率とし、上記(3)の低VM非微粘結炭配合比率がゼロ又は負の値となった場合は、第1の設定Σ収縮率よりも小さくした第2の設定Σ収縮率を用いた他は上記(1)〜(3)と同様の手順を繰り返す。このように、設定Σ収縮率をより小さい値に修正しながら、低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値となるまで(1)〜(3)の手順を繰り返すことで、最大設定Σ収縮率を求める。
粘結炭、高VM非微粘結炭及び低VM非微粘結炭の炭種の組合せによっては、配合比率を如何に調整しても目標のコークス強度DI150 15及び目標のΣ収縮率の両者を同時に達成することができない場合がある。このような炭種の組合せは、選択候補から予め除外しておくことが好ましい。すなわち、複数の炭種配合は、少なくとも目標のコークス強度DI150 15を満たし得る炭種配合のみで構成されていることが好ましい。
また、粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の性状によっては、目標のΣ収縮率を達成しようとすると目標のコークス強度DI150 15が達成できないことがあるものの、このような高VM非微粘結炭であっても、目標のΣ収縮率をより低い値に修正することが可能な場合は、非微粘結炭を高配合比率で含む配合炭を構成しても良い。その理由は、配合炭のΣ収縮率が目標値よりも高くなると体積破壊粉率が上昇しコークス強度が悪化するが、当該Σ収縮率が目標値よりも低くなっても、体積破壊粉率が低下し、コークス強度は極僅かではあるが向上するためである。このように、目標のコークス強度DI150 15が得られる限度で目標のΣ収縮率をより低い値に下方修正することで、コークス品質は維持しながら、より広範な非微粘結炭種をコークス製造に利用できる。このとき、Σ収縮率を当初の目標値よりも低くすると、コークス炉内での焼減り量が低下し、押し出し機で押し出す際の押出力が大きくなり、炉体を損傷させる可能性がある。しかし、目標の収縮率をより低い値に修正しても、炉体を損傷させる可能性のある押出力まで余裕代がある場合、当該範囲内で、下限値を修正することができる。なお、より低い値に修正されるΣ収縮率は、当然のことながら、配合炭を構成する単味炭の各々の収縮率のうちの最小値を下回らないように設定される。なお、目標のΣ収縮率の下限値は、対象とするコークス炉の操業実績に基づき、予め求めることができる。
以上では、粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭にそれぞれ1銘柄の石炭を用いた場合を説明したが、複数銘柄を用いる場合についても、粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭のそれぞれのグループにおいて銘柄ごとの値を加重平均したものをそのグループの値とすることにより、1銘柄の場合と同様にして非微粘結炭の上限値を求めることができる。例えば粘結炭の膨張比容積を求める際には、焼結炭グループで、個々の銘柄ごとの膨張比容積を各銘柄の配合比率で加重平均したものを粘結炭グループの膨張比容積とすることができる。
また、前提条件となる石炭の性状については、以下のような方法で測定できる。
膨張比容積SVは以下のようにして測定する。
先ず、JIS M8801に規定された細管に、1.5mm以下が100%となるように粉砕した石炭を粉体のまま、所定の装入密度(0.85[dry、g/cm])で高さ60mmに装入し、次に、細管内の配合炭の上にピストンを装入し、ピストンを装入した状態で細管を3.0±0.1℃/分の昇温速度で300℃から600℃まで加熱し、加熱終了した後の配合炭の高さL[mm]を測定し、以下の式から膨張比容積[cm/g]を求める。なお、ピストンが石炭に及ぼす荷重は約110gが例示される。
膨張比容積=L×ピストンの底面積/挿入した石炭の量
石炭の収縮率は、例えば、特開2005−232349号公報に記載の方法で測定する。すなわち、石炭を容器内において石炭の再固化温度以上の温度T(℃)まで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値をその石炭から生成したコークスの温度Tにおける収縮率とする方法で求める。温度Tは1000℃が例示される。
以下、本発明の実施可能性及び効果の確認のための実施例を示す。
[測定方法]
(1)コークス強度DI150 15、表面破壊強度DI150 、体積破壊粉率DI150 6−15
JIS K 2151に規定されるドラム法に準拠して測定した。コークス強度DI150 15は、ドラムを150回転させた後の篩目15mmの篩でふるい分けた篩上(粒径15mm超)のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率であり、表面破壊強度DI150 は、同じく6mm篩上(粒径6mm超)のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率であり、体積破壊粉率DI150 6−15は、同じく15mmの篩下で、6mm篩上のコークス質量の全装入コークス質量に対する百分率である。
(2)膨張比容積SV
JIS M8801に規定された細管に、1.5mm以下が100%となるように粉砕した石炭を粉体のまま、所定の装入密度(0.85[dry、g/cm])で高さ60mmに装入し、次に、細管内の配合炭の上にピストンを装入し、ピストンを装入した状態で細管を3.0±0.1℃/分の昇温速度で300℃から550℃まで加熱し、加熱終了した後の配合炭の高さL[mm]を測定し、以下の式から膨張比容積[cm/g]を求めた。なお、ピストンが石炭に及ぼす荷重は約110gとした。
膨張比容積=L×ピストンの底面積/挿入した石炭の量
(3)石炭の収縮率
特開2005−232349号公報に記載の方法で測定した。すなわち、石炭を容器内において石炭の再固化温度以上の温度T(℃)まで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値をその石炭から生成したコークスの温度Tにおける収縮率とする方法で求めた。温度Tは1000℃とした。
[非微粘結炭の配合比率上限値の計算]
(実施例1)
粘結炭としてA炭、高VM非微粘結炭としてB炭、低VM非微粘結炭としてC炭を配合した配合炭を用いて非微粘結炭の配合比率の上限値を求めた。表1に各石炭の性状を示す。低VM非微粘結炭については、粘結炭に対するイナートファクター係数IFCに加え高VM非微粘結炭に対するイナートファクター係数IFCを示した(他の実施例でも同様である。)。なお、C炭に関してはSVを実測することが出来なかったので、SVには嵩密度の逆数の値を用いた。
計算にあたり、目標のコークス強度DI150 15を85.3とし、Σ収縮率を14.1%とする。収縮率は、目標のコークス粒径を45.5mmとして、図4から設定した。
また、非微粘結炭の配合の上限値を求めるために必要な、配合炭の空隙充填度と得られるコークスの表面破壊強度DI150 との関係、及び、実測した配合炭の収縮率と配合炭から得られたコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係を求めた。空隙充填度とDI150 との関係の一例を図2に、収縮率とDI150 6−15の関係の一例を図3に示す。目標のコークス強度DI150 15は空隙充填度から求めたコークスの表面破壊強度DI150 から、配合炭の収縮率から得られた体積破壊粉率DI150 6−15を差し引くことで求めることが出来る。
まず、A炭とB炭のみでΣ収縮率14.1%になるように配合したところ、A炭47%、B炭53%となり、空隙充填度は1.21となった。この配合をベース配合として、低VM非微粘結炭であるC炭を増配合したときの非微粘結炭配合比率と空隙充填度の変化を、前記(E)のようにして求めて、図6に示す2本の直線で表した。
各直線の傾きとy切片は以下のとおりとなった。
非微粘結炭配合比率(直線A1) 傾きm:0.7 y切片g:53.0
空隙充填度(直線B1) 傾きn:−0.004 y切片e:1.21
次に、設定した収縮率14.1%とDI150 1585.3を満たす空隙充填度を、前記予め求めておいた関係を用いて前記(F)のようにして求め、この空隙充填度のときのC炭の配合割合を直線B1より求め、非微粘結炭の配合比率の上限値を直線A1より求めた。この結果、非微粘結炭の配合比率73%(粘結炭27%、高VM非微粘結炭46%、低VM非微粘結炭27%)が求められた。
Figure 2020094200
(実施例2)
粘結炭としてA炭、高VM非微粘結炭としてB炭、低VM非微粘結炭としてD炭を配合した配合炭を用いて非微粘結炭の配合比率の上限値を求めた。表2に各石炭の性状を示す。なお、D炭に関してはSVを実測することが出来なかったので、嵩密度の逆数の値を用いた。
計算にあたり、目標のコークス強度DI150 15を85.3とし、Σ収縮率を14.1%とした。収縮率は、目標のコークス粒径を45.5mmとして、図4から設定した。
まず、A炭とB炭のみでΣ収縮率14.1%になるように配合したところ、A炭47%、B炭53%となり、空隙充填度は1.21となった。この配合をベース配合として、低VM非微粘結炭であるD炭を増配合したときの非微粘結炭配合比率と空隙充填度の変化を、前記(E)のようにして求めて、図7に示す2本の直線で表した。
各直線の傾きとy切片は以下のとおりとなった。
非微粘結炭配合比率(直線A2) 傾きm:1.5 y切片g:53.0
空隙充填度(直線B2) 傾きn:−0.019 y切片e:1.21
次に、設定した収縮率=14.1%とDI150 15=85.3を満たす空隙充填度を、前記実施例1で求めておいた関係を用いて前記(F)のようにして求め、この空隙充填度のときのD炭の配合割合を直線B2より求め、非微粘結炭の配合比率の上限値を直線A2より求めた。この結果、非微粘結炭の配合比率61%(粘結炭39%、高VM非微粘結炭56%、低VM非微粘結炭5%)が求められた。
Figure 2020094200
(実施例3)
表3に示す性状の粘結炭E炭、高VM非微粘結炭F炭、低VM非微粘結炭G炭を用い、高炉の操業条件を満たす目標値として、コークス強度DI150 15を84.5、Σ収縮率を14.2%(コークス粒径45.0mmに相当)にそれぞれ設定して、本発明の方法によって非微粘結炭配合比率上限値を求め、その上限値に基づいて配合した配合炭からコークスを製造し、コークス強度の目標値と実測値の比較を行った。なお、G炭に関してはSVを実測することが出来なかったので、嵩密度の逆数の値を用いた。
高VM非微粘結炭F炭と低VM非微粘結炭G炭の配合上限値を、実施例1、2と同様にして、図8の通りの2本の直線で表した。このときの2本の直線の関係は、以下の式の通りとなった。
非微粘結炭比率=1.22(低VM非微粘結炭比率)+43.50
空隙充填度=−0.02(低VM非微粘結炭比率)+1.66
また、設定した収縮率=14.2%とDI150 15=84.5を同時に満たすための条件として、DI150 =86.7、DI150 6−15=2.2が求められ、この結果から空隙充填度=0.99が求められた。これにより、図8から非微粘結炭の配合比率80%(粘結炭20%、高VM非微粘結炭50%、低VM非微粘結炭30%)が求められた。
次に非微粘結炭比率80%とした配合炭からコークスを作製する実験を、同じ炭種を用いて行った。石炭は3mm以下90%に粉砕し、嵩密度は0.875dry.t/m(実機0.825dry.t/m相当)にて、小型乾留炉を用いて乾留した。
得られたコークスの強度を測定した結果、3回測定を行った平均値は、表4に示すようにDI150 =86.9、DI150 6−15=1.8、DI150 15=85.1という値が得られた。
以上の結果より、本発明でのDI150 15の目標値と実測値の差は、0.6となった。ちなみに、宮津の論文(宮津隆, 標準化と品質管理, 30, 53, 1977; 宮津隆, 燃料誌, 58, 915, 1979)によると、コークス強度DI150 15が80以上の範囲でのコークス強度の測定誤差範囲は0.4〜0.6であるデータが開示されている。
このように、コークス強度DI150 15が80以上と配合炭の膨張性が十分に保たれている石炭を用いて製造されたコークス強度の測定誤差範囲は0.4〜0.6程度であることが広く知られている。本発明のコークス強度DI150 15の目標値と実測値も80以上であり、目標値と実測値の差は、測定誤差範囲内であることから、本発明の効果が確認された。
さらに、特許文献1に示される粘結炭に対する高VM非微粘結炭の膨張性阻害のみを考慮した方法を用いて求められる最大の非微粘結炭比率は、本発明のベース条件の非微粘結炭比と同一である43.5%であるのに対し、本発明が示す通り低VM非微粘結炭を配合することによって、非微粘結炭比率が最大80%まで配合可能であることが明らかとなり、特許文献1に示される従来技術よりも非微粘結炭の増配合が可能となることが確認された。
Figure 2020094200
Figure 2020094200
(実施例4)
表5に示す性状の石炭を配合した配合炭について、非微粘結炭の配合比率の上限を求めた。なお、J炭に関してはSVを実測することが出来なかったので、嵩密度の逆数の値を用いた。
目標とするコークス強度DI150 15の値を、低VM非微粘結炭にG炭を用いた場合は84.1とし、J炭を用いた場合は84.5とした。
Σ収縮率が、配合する石炭の単味の収縮率の範囲に収まるよう、Σ収縮率の範囲として12.9〜14.7%の範囲を設定した。
Σ収縮率の値を前記範囲内で0.1%刻みの割合で増加させながら、実施例1、2と同様の計算を繰り返し行って、そのときの収縮率で非微粘結炭の配合比率の上限値を求めた。
表6に低VM非微粘結炭をG炭とした場合について、表7に低VM非微粘結炭をJ炭とした場合について、それぞれの繰り返し計算の結果を抜粋して示す。
低VM非微粘結炭にG炭を用いた場合は、Σ収縮率14.5%のときに、非微粘結炭比率87.7%の最高値が得られ、J炭を用いた場合は、Σ収縮率14.3%のときに、非微粘結炭比率96.0%の最高値が得られた。
この結果、粘結炭H炭:12.3%、高VM非微粘結炭I炭:72.7%、低VM非微粘結炭G炭:15.0%が非微粘結炭の配合割合が最大となる配合系であり、粘結炭H炭:4.0%、高VM非微粘結炭I炭:70.0%、低VM非微粘結炭J炭:26.0%が非微粘結炭の配合割合が最大となる配合系であるという結果が得られた。
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(実施例5)
粘結炭として粘結炭1、高VM非微粘結炭として高VM非微粘結炭1、低VM非微粘結炭として低VM非微粘結炭1〜9を配合した配合炭を用いて非微粘結炭の配合比率の上限値を求め、低VM非微粘結炭1〜9のうち、非微粘結炭の配合比率上限値が最大となる低VM非微粘結炭種を検討した。表8に各石炭の性状を示す。なお、低VM非微粘結炭1〜9に関してはSVを実測することが出来なかったので、嵩密度の逆数の値を用いた。
計算にあたり、目標のコークス強度DI150 15を85.3とし、Σ収縮率を14.1%とした。収縮率は、目標のコークス粒径を45.5mmとして、図4から設定した。
まず、粘結炭1及び高VM非微粘結炭1のみをΣ収縮率=14.1%になるように配合したところ、粘結炭の配合比率65.4%、高VM非微粘結炭の配合比率34.6%、空隙充填度1.46となった。この配合をベース配合として、低VM非微粘結炭1〜9の各々を増配合したときの、非微粘結炭配合比率及び空隙充填度の変化を、前記(E)のようにして求めて、図5a及びbに示す2本の直線(すなわち直線A及びB)で表した。各直線の傾きとy切片は表9のとおりとなった。
次に、設定したΣ収縮率=14.1%及びDI150 15=85.3を満たす空隙充填度を、前記実施例1で求めておいた関係を用いて前記(F)のようにして求め、この空隙充填度のときの低VM非微粘結炭の配合比率を直線Bより求め、非微粘結炭の配合比率の上限値を直線Aより求めた。この結果、表10に示す非微粘結炭の配合比率が求められた。
表10に示す結果から、上記前提条件で、粘結炭1及び高VM非微粘結炭1との組合せにおいて、低VM非微粘結炭1〜9のうち非微粘結炭を最も多く配合できる炭種は低VM非微粘結炭3であることが分かった。
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(実施例6)
粘結炭として粘結炭1(実施例5の粘結炭1と同じ)、高VM非微粘結炭として高VM非微粘結炭2〜6、低VM非微粘結炭として低VM非微粘結炭3(実施例5の低VM非微粘結炭3と同じ)を配合した配合炭を用いて非微粘結炭の配合比率の上限値を求め、高VM非微粘結炭2〜6のうち、非微粘結炭の配合比率上限値が最大となる高VM非微粘結炭種を検討した。表11に各石炭の性状を示す。なお、高VM非微粘結炭2、5、6に関してはSVを実測することが出来なかったので、嵩密度の逆数の値を用いた。
計算にあたり、目標のコークス強度DI150 15を85.3とし、Σ収縮率を14.1%とした。収縮率は、目標のコークス粒径を45.5mmとして、図4から設定した。
まず、粘結炭1及び高VM非微粘結炭2〜6の各々のみをΣ収縮率=14.1%になるように配合したときの配合比率は表12に示すとおりである。この配合をベース配合として、低VM非微粘結炭3を増配合したときの、非微粘結炭配合比率及び空隙充填度の変化を、前記(E)のようにして求めて、図5a及びbに示す2本の直線(すなわち直線A及びB)で表した。
次に、設定したΣ収縮率=14.1%及びDI150 15=85.3を満たす空隙充填度を、前記実施例1で求めておいた関係を用いて前記(F)のようにして求め、この空隙充填度のときの低VM非微粘結炭の配合比率を直線Bより求め、非微粘結炭の配合比率の上限値を直線Aより求めた。この結果、表13に示す非微粘結炭の配合比率が求められた。このとき、高VM非微粘結炭5、6は、ベース配合において目標コークス強度を満たさず、低VM非微粘結炭を増配合しても表12の傾きnがマイナスを示した。よって、高VM非微粘結炭5、6がΣ収縮率を満たし、非微粘結炭比率が最大となる配合比率は、ベース条件での配合比率となり、その際のコークス強度DI150 15は、それぞれ84.4、84.7であり、目標のコークス強度DI150 15の85.3を満たさなかったので、炭種選択の選択肢からは除いた。
表13に示す結果から、上記前提条件で、粘結炭1及び低VM非微粘結炭との組合せにおいて、高VM非微粘結炭2〜4のうち非微粘結炭を最も多く配合できる炭種は高VM非微粘結炭3であることが分かった。
次に、目標のΣ収縮率をより低い値に修正しても、炉体を損傷させる可能性のある押出力まで余裕代がある場合を想定して、目標Σ収縮率の下限値を下方修正するケースについて検討した。
目標のΣ収縮率=14.1%において目標のコークス強度DI150 15=85.3を満たすことができなかった高VM非微粘結炭5、6について、以下の手順で、低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超となり且つ目標のコークス強度DI150 15=85.3を満足し得る設定Σ収縮率の最大値(最大設定Σ収縮率)を求めた。なお当該ゼロ超の値は、最大設定Σ収縮率を最大化する観点から、操業上配合可能な範囲で極力小さい値に設定した。
(1)目標のコークス強度DI150 15と、目標のΣ収縮率よりも小さい値に設定した第1の設定Σ収縮率から図3に従って導出した体積破壊粉率DI150 6−15とから、表面破壊強度DI150 を求める。
(2)その表面破壊強度DI150 の値を与える空隙充填度を図2の関係式より導出する。
(3)その空隙充填度を与える低VM非微粘結炭配合比率を図5bの関係式より導出する。
(4)上記(3)の低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値となった場合は、上記第1の設定Σ収縮率を上記最大設定Σ収縮率とし、上記(3)の低VM非微粘結炭配合比率がゼロ又は負の値となった場合は、第1の設定Σ収縮率よりも小さくした第2の設定Σ収縮率を用いた他は上記(1)〜(3)と同様の手順を繰り返す。このように、設定Σ収縮率をより小さい値に修正しながら、低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値となるまで(1)〜(3)の手順を繰り返すことで、最大設定Σ収縮率を求める。
得られた最大設定Σ収縮率は、高VM非微粘結炭5を用いた場合で13.96%、高VM非微粘結炭6を用いた場合で14.00%であった(表14)。
そこで、目標コークス強度は85.3を維持し、目標のΣ収縮率を、高VM非微粘結炭2〜6で算出した最大設定Σ収縮率のうちの最小値である13.96%に修正して、高VM非微粘結炭2〜6の各々を用いた配合炭における非微粘結炭の配合比率の上限値を計算し直したところ、表15、16に示すとおりとなった。
表15、16に示す結果から、目標のΣ収縮率=13.96%の場合、粘結炭1及び低VM非微粘結炭3との組合せにおいて、高VM非微粘結炭2〜6のうち非微粘結炭を最も多く配合できる炭種は高VM非微粘結炭4であることが分かった。
以上のように、非微粘結炭の配合比率を最大化できる炭種を高VM非微粘結炭2〜6から選択する際、目標のΣ収縮率=14.1%では高VM非微粘結炭3、目標のΣ収縮率=13.96%では高VM非微粘結炭4がそれぞれ選択された。
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Claims (5)

  1. 非微粘結炭を含む配合炭を用いて高炉用コークスを製造する際の石炭の配合方法であって、
    配合炭は、粘結炭と、非微粘結炭としての高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭からなり、
    粘結炭は、揮発分VMが10質量%超、30質量%未満で、全膨張率が10%以上の石炭と、VMが30質量%以上で、全膨張率が100%以上の石炭であり、高VM非微粘結炭は、全膨張率が100%未満で、VMが30質量%以上の石炭であり、低VM非微粘結炭は、全膨張率が10%未満で、VMが10質量%超、30質量%未満の石炭であり、
    非微粘結炭の配合比率を決定するに際し、
    (A)予め、種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度DI150 との関係(α1)、及び、実測した配合炭の収縮率と配合炭から得られるコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係(α2)を求めておき、
    (B)次に、配合炭に用いる粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の炭種、目標のコークス強度DI150 15、目標の配合炭の収縮率(j)をそれぞれ設定し、
    (C)まず、粘結炭と高VM非微粘結炭を配合した配合炭について、個々の石炭の収縮率を加重平均した加重平均収縮率が設定した収縮率(j)となる粘結炭と高VM非微粘結炭の配合比率をベース配合として求め、かつ、ベース配合での配合炭の空隙充填度を求め、
    (D)前記ベース配合に、収縮率(j)が変わらないように低VM非微粘結炭をさらに配合したときの非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を求め、
    (E)前記関係(β1)を満たすように粘結炭高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭を配合した配合炭における空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を求め、
    (F)収縮率(j)を満たす体積破壊粉率DI150 6−15を前記(α2)の関係を用いて求め、目標とするコークス強度DI150 15に体積破壊粉率DI150 6−15を加算して、配合炭の表面破壊強度DI150 を求め、求められたDI150 を満たすために必要な空隙充填度(d)を前記(α1)の関係を用いて求め、
    (G)求められた空隙充填度(d)と前記関係(β2)を用いて、空隙充填度(d)を満たす低VM非微粘結炭の配合割合(k)を求め、この配合割合(k)と前記関係(β1)を用いて非微粘結炭の配合比率(f)を求め、
    (H)求められた配合比率(f)を非微粘結炭の配合比率の上限値として非微粘結炭の配合比率を決定する
    ことを特徴とする石炭の配合方法。
  2. 配合炭の収縮率と配合炭から得られるコークスの粒径との関係(α3)を予め求めておき、目標の配合炭の収縮率(j)の設定に当たり、必要なコークス粒径を設定して、関係(α3)を用いて目標の配合炭の収縮率(j)を設定することを特徴とする請求項1に記載の石炭の配合方法。
  3. 非微粘結炭を含む配合炭を用いて高炉用コークスを製造する際の石炭の配合方法であって、
    前記配合炭は、粘結炭と、非微粘結炭としての高VM非微粘結炭と低VM非微粘結炭からなり、
    粘結炭は、揮発分VMが10質量%超、30質量%未満で、全膨張率が10%以上の石炭と、VMが30質量%以上で、全膨張率が100%以上の石炭であり、高VM非微粘結炭は、全膨張率が100%未満で、VMが30質量%以上の石炭であり、低VM非微粘結炭は、全膨張率が10%未満で、VMが10質量%超、30質量%未満の石炭であり、
    非微粘結炭の配合比率を決定するに際し、
    (A’)予め、種々の配合炭を用いて、実測した配合炭の膨張比容積SVと装入嵩密度BDとの積(SV×BD)で表される空隙充填度と、得られるコークスの表面破壊強度DI150 との関係(α1)、及び、実測した配合炭の収縮率と配合炭から得られたコークスの体積破壊粉率DI150 6−15との関係(α2)を求めておき、
    (B’)次に、配合炭に用いる粘結炭、高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭の炭種、目標のコークス強度DI150 15を設定し、各石炭の収縮率の範囲内で目標とする配合炭の加重平均収縮率を、収縮率(j1)〜収縮率(jn)(ただし、n:自然数)の複数定め、
    (C’)まず、配合炭の目標とする収縮率を収縮率(j1)とし、粘結炭と高VM非微粘結炭を配合した配合炭について、収縮率(j1)となる粘結炭と高VM非微粘結炭の配合比率をベース配合として求め、かつ、ベース配合での配合炭の空隙充填度を求め、
    (D’)ベース配合に、収縮率(j1)が変わらないように低VM非微粘結炭を配合したときの非微粘結炭の配合比率上限値と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β1)を求め、
    (E’)前記関係(β1)を満たすように粘結炭高VM非微粘結炭、低VM非微粘結炭を配合した配合炭における空隙充填度と低VM非微粘結炭の配合割合の関係(β2)を求め、
    (F’)収縮率(j1)を満たす体積破壊粉率DI150 6−15を前記(α2)の関係を用いて求め、目標とするコークス強度DI150 15に体積破壊粉率DI150 6−15を加算して、配合炭の表面破壊強度DI150 を求め、求められたDI150 を満たすために必要な空隙充填度(d1)を前記(α1)の関係を用いて求め、
    (G’)求められた空隙充填度(d1)と前記関係(β2)を用いて、空隙充填度(d1)を満たす低VM非微粘結炭の配合割合(k1)を求め、この(k1)と前記関係(β1)を用いて非微粘結炭の配合比率(f1)を求め、
    (G”)次に、配合炭の目標とする収縮率を収縮率(j2)として、(C’)〜(G’)の計算を行い、低VM非微粘結炭の配合割合(k2)と非微粘結炭の配合比率(f2)を求め、以降、収縮率を(j3)〜(jn)まで変更して、(C’)〜(G’)の計算を繰り返して行い、低VM非微粘結炭の配合割合(k3)〜(kn)、非微粘結炭の配合比率(f3)〜(fn)を求め、
    (H’)求められた配合比率(f1)〜(fn)の最大値を非微粘結炭の配合比率の上限値として非微粘結炭の配合比率を決定する
    ことを特徴とする石炭の配合方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の石炭の配合方法を用いて、配合炭に用いる炭種を選択する方法であって、
    既定の粘結炭及び既定の高VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の低VM非微粘結炭の各々との組合せであるか、又は、既定の粘結炭及び既定の低VM非微粘結炭と、選択候補となる複数種の高VM非微粘結炭の各々との組合せである、複数の炭種配合を準備し、
    コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の目標値を設定し、
    前記複数の炭種配合の各々について、前記目標値に基づいて請求項1〜3のいずれか一項に記載の石炭の配合方法を用いて非微粘結炭の配合比率上限値を求め、
    前記複数の炭種配合のうち、非微粘結炭の配合比率上限値が最大となる炭種配合を選択することを特徴とする、炭種の選択方法。
  5. コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の両者の仮目標値を設定し、
    コークス強度DI150 15の仮目標値を満たし得る炭種配合のみで前記複数の炭種配合を構成し、
    前記複数の炭種配合の全てが、コークス強度DI150 15と配合炭の収縮率との両者の仮目標値を満たし得る配合比率を有する場合には、コークス強度DI150 15及び収縮率の両者の仮目標値を、コークス強度DI150 15及び配合炭の収縮率の目標値としてそれぞれ設定し、
    前記複数の炭種配合のうち少なくとも1つが、配合炭の収縮率の仮目標値を満たし得る配合比率を有さない場合は、前記複数の炭種配合の各々について最大設定収縮率を下記手順で決定し、前記最大設定収縮率の前記複数の炭種配合間での最小値を配合炭の収縮率の目標値として設定するとともに、コークス強度DI150 15の仮目標値をコークス強度DI150 15目標値として設定し、
    前記最大設定収縮率は、前記仮目標値であるコークス強度DI150 15と前記仮目標値よりも小さい値に設定した設定収縮率とを用いて表面破壊強度DI150 を求め、前記表面破壊強度DI150 から定まる空隙充填度、及び前記空隙充填度から定まる低VM非微粘結炭配合比率を求めたときの、前記低VM非微粘結炭配合比率がゼロ超の値をとり得る設定収縮率のうちの最大値として決定される、請求項4に記載の炭種の選択方法。
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