JP2019007943A - コークス強度の評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
その場合、得られるコークス強度向上の程度は、使用する石炭の種類、粘結材の種類や添加量によって異なるため、実操業では、事前に向上度を予測することが重要である。
向上度を予測するための一つの方法は、石炭と粘結材の混合物を試験コークス炉で乾留して、得られたコークスのコークス強度を評価することである。しかし、試験コークス炉で処理する石炭は数10kgであること、また乾留に10〜20時間かかること、その他に乾留後のコークス冷却時間やコークス強度の測定時間を考慮すると、この方法では時間および労力がかかるという問題がある。
しかしながら、本発明者がそれらの関係について調査した結果、従来のJIS M 8801で規定される方法により測定された膨張比容積を用いる場合には、粘結材の添加によるコークス強度の向上効果の評価にばらつきがあることが判明した。
図4に、JISに規定されたジラトメーター法を用いて測定した膨張比容積とコークス強度DIの関係を調べる試験を行い、得られた結果の一例を示す。
そこで、本発明は、粘結材の添加によるコークス強度の向上効果に対する評価を、簡便な方法でより精度よく行うことができる評価方法を提供することを課題とする。
その結果、実際の炭化室では、炉壁側が先に温度が上昇するため、炉壁側の粘結材が揮発してその一部が炭化室中心側の低温側に位置する石炭に作用するが、全体を均一に加熱するジラトメーターでは、この揮発成分による作用を評価することができていなかったことが考えられた。
そこで、石炭と粘結材の混合物の膨張比容積をジラトメーター法を用いて測定する際、
粘結材を別に揮発させ、その揮発成分による膨張比容積向上代を含めて膨張比容積を評価できるようにし、それによって得られた補正膨張比容積を用いることにより、コークス強度との相関が大幅に向上することを見出した。
(1) 粘結材を添加した石炭を乾留して製造したコークスのコークス強度を、石炭の膨張比容積との相関関係に基づいて評価する方法において、
膨張比容積として、石炭をジラトメーターの反応管に充填して測定した膨張比容積aと、石炭に粘結材を添加して混合したものをジラトメーターの反応管に充填して測定した膨張比容積bと、ジラトメーターの反応管に、下層として粉コークスに粘結材を添加した混合物を充填し、その上部に石炭のみを上層として充填して測定した膨張比容積cとを用いて下記の式によって表される補正膨張比容積dを用いることを特徴とするコークス強度の評価方法。
d=b+(c−a)
膨張比容積として、ジラトメーターの反応管に、下層として粉コークスに粘結材を添加した混合物を充填し、その上部に石炭に粘結材を添加して混合したものを上層として充填して測定した膨張比容積d’を用いることを特徴とするコークス強度の評価方法。
その際に、発明者は、まず、ジラトメーターでの加熱とコークス炉の炭化室での加熱の違いによる粘結材の作用の違いについて着目した。
このため、全体が均一に加熱されるジラトメーターの加熱では、加熱されて揮発した粘結材が別の部位に移動することはないが、コークス炉の炭化室では、高温の炉壁に近い石炭から炉中央の石炭まで大きな温度分布があるため、実際のコークス炉の加熱では、ジラトメーターの加熱に対して粘結材の作用に差が出ることが予想される。
具体的には、図1bに示すように、ジラトメーターの反応管1の下部に、液体状の粘結材を混合した粉コークスを充填する。さらにその上に、石炭を充填し、ジラトメーター法の標準条件である、300℃から550℃まで加熱速度3℃/minで加熱し、石炭層の高さ変化を測定する。以後、この粘結材の揮発成分による影響を取り出す方法を分割法と呼ぶ。
そのような加熱により揮発した粘結材による改質効果を確認するために、ジラトメーター法による測定結果と比較する試験を行った。
(a)石炭のみを反応管に充填して加熱(粘結材添加なし)
(b)石炭に、粘結材を石炭に対する外数で3質量%添加し混合したものを反応管に充填して加熱(粘結材3%添加)
(c)反応管に、下層として、粉コークスに上記(b)と同量の粘結材(石炭に対する外数で3質量%添加)を添加し混合したものを充填し、その上部に石炭のみを上層として充填して加熱(分割法で粘結材3%添加)
それぞれの条件で反応管を加熱して膨張比容積を測定した結果を表2に示す。
また、A炭とB炭では、上層部石炭層の膨張比容積向上代[(c)−(a)]に差があったことから、炭種により上層部石炭層の比容積向上代が異なることも見出された。
すなわち、図2に示すように、石炭のみを反応管1に充填してジラトメーター法により測定した膨張比容積a(図2a参照)と、石炭に粘結材を一定量添加して混合したものを同じくジラトメーター法により測定した膨張比容積b(図2b参照)と、反応管1に、下層として粉コークスに前記一定量と同量の粘結材を添加した混合物を充填し、その上部に石炭のみを上層として充填してジラトメーター法により測定した膨張比容積c(図2c参照)とを用いて下記の式によって表される補正膨張比容積dを用いて評価する。
d=b+(c−a)
すなわち、図3のように、ジラトメーターの反応管1に、下層として粉コークスに粘結材を添加した混合物を充填し、その上部に石炭に粘結材を添加して混合したものを上層として充填して補正膨張比容積d’を測定する。
また、A〜D炭について、上記第2の方法を実施して膨張比容積d’を測定した。
また、A炭、B炭、C炭については、補正膨張比容積dとd’はほぼ一致することがわかる。
D炭についても補正膨張比容積dとd’は概ね近い値となるが、A炭、B炭、C炭に比べると精度はやや低下する。このことから、補正膨張比容積d’は全膨張率10%以上の石炭に対して用いることがより好ましい。
ここで得られた補正膨張比容積dと先の試験で得られたコークス強度の関係をプロットした結果を図5に示す。
図5では、図4の各プロットに対して、それぞれに求められた膨張比容積向上代が加算された結果、各プロットはそれぞれの膨張比容積向上代分だけ右側にシフトしている。その結果、図5に示すように、補正膨張比容積とコークス強度の関係を示すプロットでは、図4と比較して、ばらつきが解消されていることが確認できた。
図3に示す方法を用いても、使用する石炭の補正膨張比容積を測定し、上記と同様にコークス強度を推定することもできるが、その場合は、全膨張率10%以上の石炭に対して用いることがより好ましい。
また、図5は、粘結材添加量および石炭の充填嵩密度を一定にした結果であり、図5でも、粘結材添加量や石炭の充填嵩密度が異なる場合の粘結材の添加効果を評価できるが、粘結材添加量や石炭の充填嵩密度が異なる条件で、補正膨張比容積dまたはd’とコークス強度の関係を求めおくことにより、コークス強度をより精度よく推定することができる。
また、石炭に添加する粘結材は、使用温度において液体状、固体状のいずれも使用可能であり、タール、ピッチ、石油系重質油および重質残渣など、通常のものが使用できる。また、これらの粘結材は、組み合わせて用いても良い。下層の粉コークス層に粘結材を添加するにあたり、固体粘結材の場合は、粉コークス層と充分に混合することが好ましい。
Claims (3)
- 粘結材を添加した石炭を乾留して製造したコークスのコークス強度を、石炭の膨張比容積との相関関係に基づいて評価する方法において、
膨張比容積として、石炭をジラトメーターの反応管に充填して測定した膨張比容積aと、石炭に粘結材を添加して混合したものをジラトメーターの反応管に充填して測定した膨張比容積bと、ジラトメーターの反応管に、下層として粉コークスに粘結材を添加した混合物を充填し、その上部に石炭のみを上層として充填して測定した膨張比容積cとを用いて下記の式によって表される補正膨張比容積dを用いることを特徴とするコークス強度の評価方法。
d=b+(c−a) - 粘結材を添加した石炭を乾留して製造したコークスのコークス強度を、石炭の膨張比容積との相関関係に基づいて評価する方法において、
膨張比容積として、ジラトメーターの反応管に、下層として粉コークスに粘結材を添加した混合物を充填し、その上部に石炭に粘結材を添加して混合したものを上層として充填して測定した補正膨張比容積d’を用いることを特徴とするコークス強度の評価方法。 - 前記の粘結材は、タール、ピッチ、石油系重質油および重質残渣の1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のコークス強度の評価方法。
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