JP2015218219A - バインダーピッチの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭化歩留りおよび炭素材料の密度が高く、電極としての炭素材料として用いて機械強度の向上や電気抵抗の低減を図ることが可能なバインダーピッチの製造方法を提供する。【解決手段】キノリン不溶分が20〜60質量%である、コールタール、コールタールピッチおよびコールタール滓からなる群から選択される少なくとも1つと、キノリン不溶分が0質量%超、20質量%未満である、コールタールおよびコールタールピッチからなる群から選択される少なくとも1つとを混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を蒸留する蒸留工程と、得られた蒸留物を熱改質して、軟化点が90.0℃超、120.0℃以下、キノリン不溶分が12質量%超、30質量%以下、トルエン不溶分が24.0質量%以上、固定炭素量が58.0質量%以上、炭素(C)と水素(H)の原子数比C/Hが1.85以上であるバインダーピッチを得る工程とを有する、バインダーピッチの製造方法。【選択図】なし

Description

発明は、アルミニウム製錬用電極、製鋼用黒鉛電極等の炭素材料に使用されるバインダーピッチおよびその製造方法に関する。
バインダーピッチはフィラーコークスのバインダー材として使用されるピッチであり、通常、軟ピッチを熱改質して製造される。
軟ピッチは、原料のコールタールから蒸留操作によりナフタレン油、アントラセン油等の低沸点油を留出させた残渣である。この軟ピッチは、軟化点が40〜70℃と低く、軽質分が過剰であり、かつ重質分が不足するため、炭素電極材料等の炭素材料用のバインダーとして利用するためには、350〜450℃で熱改質して所定の規格まで濃縮および重質化されることが知られている。
バインダーピッチは、軟化点以上の温度で骨材のフィラーコークスと混練する際、フィラーコークスの表面を良く濡らし、フィラーコークス中の開気孔への浸透性が良く、さらに炭化歩留り(固定炭素量)が高いほど、炭素材料の密度を増大させることができる。炭化歩留りを高くし、炭素材料の密度を増大させると、機械強度の向上や電気抵抗率の低減を図ることが可能であり、アルミニウム製錬用電極、製鋼用黒鉛電極等にとって望ましい特性を得ることができる。
炭化歩留りを向上させるためには、バインダーピッチ中の重質分を増大させることが有効である。そして、バインダーピッチ中の重質分は、バインダーピッチの軟化点を高くすることにより、増大させることが可能である。しかし、フィラーコークスと混練する際に、軟化点よりおよそ50℃高い温度が必要とされているため、軟化点が高いと、設備的な負荷が非常に大きくなってしまうという問題がある。また、熱改質によってバインダーピッチ中の粘結成分を増加させる際に、メソフェーズを多量に発生させてしまうと、バインダーピッチのフィラーコークスの開気孔への浸透性を大きく阻害してしまうという問題がある。
特許文献1には、フィラーコークスとの混合が充分に行われる軟化点を有すること、およびバインダーピッチとフィラーコークスとの相互の濡れ性を良くすることを志向した、フリーカーボン含有量が5〜10wt%になるように調整し、350〜450℃の温度範囲で、0.5〜5wt%のメソフェーズを発生せしめるように熱処理して製造されるバインダーピッチが記載されているが、同一軟化点に対する炭化歩留りの向上が不十分である。
特許文献2には、バインダーピッチの軟化点を変動させることなく、炭化歩留り(固定炭素)を向上させるには、フリーカーボンの量を適正に制御することであると記述されているが、原料がコールタール単一のものに限定されている。
特開平9−87636号公報 特開2013−237747号公報
バインダーピッチは、炭化歩留りが高いほど炭素材料の密度が高くなり、機械強度の向上や電気抵抗の低減を図ることが可能であるが、従来技術では、同一軟化点に対する炭化歩留りの向上は不十分であり、電極性能を向上させる効果はあまり期待できない。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、キノリン不溶分の異なる2種類以上のコールタール、コールタールピッチあるいはコールタール滓を混合し、蒸留、熱処理すれば、特性の優れたバインダーピッチが得られることを知見し本発明を完成させるに至った。
本発明のバインダーピッチは、軟化点を変動させることなく炭化歩留りが高いので、これを用いて製造される炭素材料の密度を高くして、機械強度の向上や電気抵抗率の低減を図ることができ、特に、アルミニウム製錬用電極、製鋼用黒鉛電極等の炭素材料を製造するためのバインダーピッチとして有用である。
すなわち、本発明は、
[混合工程]
キノリン不溶分が20〜60質量%であるコールタール、コールタールピッチおよび/またはコールタール滓とキノリン不溶分が0質量%超、20質量%以下であるコールタールおよび/またはコールタールピッチを混合する混合工程と、
[蒸留工程]
前記混合工程で得られた混合物を蒸留する蒸留工程と、
[熱改質工程]
得られた蒸留物を熱改質して、
軟化点が90.0℃超、120.0℃以下、
キノリン不溶分が12質量%超、30質量%以下、
トルエン不溶分が24.0質量%以上、
固定炭素量が58.0質量%以上、
炭素(C)と水素(H)の原子数比C/Hが1.85以上であるバインダーピッチを得る熱改質工程とを備えるバインダーピッチの製造方法である。
〔バインダーピッチ〕
本発明のバインダーピッチは以下の特性を有する。
発明のバインダーピッチは、軟化点が90.0℃超、120.0℃以下、キノリン不溶分が12質量%超、30質量%以下、トルエン不溶分が24質量%以上、固定炭素量が58.0質量%以上、炭素(C)と水素(H)の原子数比C/Hが1.85以上である。
本発明のバインダーピッチの軟化点(SP)は、90.0℃超、120.0℃以下であり、従来技術の軟化点からおおきな変動はない。
〈軟化点(SP)〉
本発明のバインダーピッチの軟化点(SP)は90.0℃超、120.0℃以下であり、好ましくは110.0℃超、120.0℃以下である。バインダーピッチの軟化点(SP)は、バインダーピッチの流動性が発現する温度指標である。この指標は、バインダーピッチとフィラーコークスとの混練物を形成する工程で特に重要である。バインダーピッチの軟化点(SP)が高いと、既存の設備を利用することができず、高温に対応した設備が必要になったり、加熱のためのエネルギー消費量の増大を招いたりするため、従来のバインダーピッチの軟化点から大きく変動させないことが要求されている。
軟化点(SP)の測定方法は、JISK 2425:2006(クレオソート油、加工タール及びタールピッチ試験方法)の8.1(手動式測定方法)または8.2(自動式測定方法)が好ましく、8.1(手動式測定方法)がより好ましい。
〈C/H比〉
本発明のバインダーピッチにおいては、バインダーピッチの炭素(C)の水素(H)に対するモル組成比(C/H比)は、1.85以上である。
C/H比が1.85以上であると、キノリン不溶分(QI)含有量が大きくなるとともに、バインダーピッチの芳香族性が高くなり、固定炭素(FC)量(炭化歩留り)も高くなることが期待される。
C/H比は、バインダーピッチの元素組成を分析し、その分析値から、炭素(C)の水素(H)に対するモル組成比(C/H比)を算出することが好ましい。元素組成の分析は、例えば、試料を完全燃焼させ、発生したCOガスおよびHOガスを定量して当該試料中の炭素(C)および水素(H)の含有量を測定する方法が挙げられ、元素分析計を用いてもよい。
〈キノリン不溶分(QI)含有量〉
キノリン不溶分(QI)は重質分の成分であり、石炭を乾留する際に生成する気相生成炭素であるフリーカーボン(粒径1μm以下程度)と、ピッチの熱改質の際に生成する高分子化した粒径1〜50μm程度のサイズを有するメソフェーズとからなり、前者は1次QI、後者は2次QIとも呼ばれる。
本発明のバインダーピッチのキノリン不溶分(QI)含有量は、12質量%超、30質量%以下であり、好ましくは15質量%超、30質量%以下である。
キノリン不溶分(QI)含有量がこの範囲内であると、炭素材料の焼成時にバインダーピッチが成型体から流出することが防止され、また、固定炭素(FC)量(炭化歩留り)が低下したりする等の弊害を避けることができ、しかもバインダーピッチのフィラーコークスとの混錬時の粘度を、混錬に支障がでない範囲とすることができる。
キノリン不溶分(QI)量の測定方法は、JISK 2425:2006(クレオソート油、加工タール及びタールピッチ試験方法)の15.1(ろ過法)または15.2(遠心法)が好ましく、15.1(ろ過法)がより好ましい。
《フリーカーボン(1次QI)含有量》
本発明のバインダーピッチのフリーカーボン(1次QI)含有量は、好ましくは、12.0〜30.0質量%、より好ましくは12.0〜25.0質量%である。
フリーカーボン(1次QI)含有量がこの範囲内であると、バインダーピッチの粘結性が担保され、炭素材料の焼成時にバインダーピッチが成型体から流出することが防止され、また、固定炭素(FC)量(炭化歩留り)が低下したりする等の弊害を避けることができ、しかもバインダーピッチのフィラーコークスとの混錬時の粘度を、混錬に支障がでない範囲とすることができる。
《メソフェーズ(2次QI)含有量》
本発明のバインダーピッチのメソフェーズ(2次QI)含有量は、好ましくは、0.50質量%以下である。メソフェーズ(2次QI)は熱改質によってバインダーピッチ中の粘結成分を増加させる際に発生する。
メソフェーズ(2次QI)含有量が0.50質量%以下であると、混練時の粉砕で生成するシェル状のメソフェーズがフィラーコークス表面に付着してフィラーコークスの充填性が悪くなることを防ぐことができ、炭素材料の密度を増大させることができる。
〈トルエン不溶分(TI)含有量〉
本発明のバインダーピッチのトルエン不溶分(TI)含有量は24.0質量%以上である。
トルエン不溶分(TI)含有量が24.0質量%以上であると、炭化歩留りが高くなり、キノリン不溶分増加によるバインダーピッチ高性能化を期待することができる。
トルエン不溶分(TI)含有量の測定方法は、JIS K 2425:2006(クレオソート油、加工タール及びタールピッチ試験方法)の14.2(加工タール及びタールピッチのトルエン不溶分定量方法)が好ましい。
〈固定炭素(FC)量〉
本発明のバインダーピッチの固定炭素(FC)量は58.0質量%以上であり、58.0〜65.0質量%が好ましい。
固定炭素(FC)量は炭化歩留りを示す指標であり、一般的には軟化点(SP)と正の相関がある。しかし、本発明においては、上記構成を採用することにより、軟化点(SP)を変動させることなく固定炭素(FC)量を向上させている。
固定炭素(FC)量の測定方法は、JISK 2425:2006(クレオソート油、加工タール及びタールピッチ試験方法)の11(固定炭素分定量方法)が好ましい。
〈粘度〉
粘度はバインダーピッチの特性を表す指標のひとつである。バインダーピッチとフィラーコークスとの混練時におけるバインダーピッチの粘度が重要である。混練温度(混練時の温度)は、バインダーピッチの軟化点よりも約50℃高い温度に設定することが好ましいから、本発明のバインダーピッチの粘度を測定する場合の測定温度は、140〜170℃の範囲内が好ましく、160℃がより好ましい。
また、本発明のバインダーピッチの粘度を測定する場合の測定方法は、ASTMD5018−89(2009)(Standard Test Method for Shear Viscosity of Coal-Tar and Petroleum)や、JIS Z 8803:2011(液体の粘度測定方法)に準拠することが好ましく、ASTMD5018−89(2009)に準拠することがより好ましい。
[バインダーピッチの製造方法]
本発明のバインダーピッチの製造方法は、キノリン不溶分が20〜60質量%であるコールタール、コールタールピッチおよび/またはコールタール滓と、キノリン不溶分が0質量%超、20質量%以下であるコールタールおよび/またはコールタールピッチとを混合したキノリン不溶分が多い原料(好ましくはキノリン不溶分(QI)が9〜25質量%)を、蒸留、熱処理する方法である。ここで加熱等の処理がされて、キノリン不溶分を高くした軟ピッチは含まないことが好ましい。
本発明により、軟化点を変動させることなく、炭化歩留り(固定炭素量)を向上させたバインダーピッチの製造が可能となる。
蒸留は、蒸留塔内を減圧にすることが好ましく、軽質分を効率的に留出させることができる。
蒸留により得られた残渣の軟ピッチである蒸留ピッチは、重質分であるβ成分が不足している場合があるため、熱改質工程によりピッチを重質化させる。熱改質条件としては、温度を320〜360℃、時間を0.5〜8時間にするのが好ましく、より好ましくは330〜350℃、1〜6時間である。温度が320℃未満では、重質化が起こりにくく、360℃以上では、ピッチの一部が熱分解したり、メソフェーズが大量に発生してしまう。
〔実施例、比較例のバインダーピッチの試験方法〕
結果は表1に示す。
1.軟化点の測定方法
バインダーピッチの軟化点を、JISK 2425の8.1(タールピッチの軟化
点測定方法(環球法)−手動式測定方法)に準拠した方法により測定した。まず、840μm(20メッシュ)篩下のサンプルを推定軟化点より50℃を超えない温度で加熱溶解して、φ16×H6.4mmの環に注いで固定させた。次に、この環を試料棚に置き、環の中央部にφ9.525mm、質量3.5gの鋼球を置いた。この棚をグリセリン中に浸し、浴温を5℃/分で上昇させ、サンプルが軟化して鋼球が環の25.4mm下にある底板に達したときの温度を軟化点とした。
2.キノリン不溶分含有量の測定方法
バインダーピッチのキノリン不溶分を、JISK 2425の15.1(タールピッチのキノリン不溶分定量方法−ろ過法)に準拠した方法により測定した。まず、250μm(60メッシュ)篩下のサンプル1gを、75℃のキノリン20mLに30分溶解した。次に、可溶分を吸引ろ過により取り除き、残分をキノリンおよびアセトンで洗浄、乾燥、秤量してキノリン不溶分を算出した。
3.トルエン不溶分含有量の測定方法
バインダーピッチのトルエン不溶分を、JISK 2425の14.2(加工タール及びタールピッチのトルエン不溶分定量方法)に準拠した方法により測定した。まず、250μm(60メッシュ)篩下のサンプル2gを、温トルエン100mLに混ぜ、還流操作により30分加熱溶解した。次に、熱いうちに可溶分を吸引ろ過により取り除き、残分をトルエンおよびアセトンで洗浄、乾燥および秤量してトルエン不溶分を算出した。
4.固定炭素含有量の測定方法
バインダーピッチの固定炭素量を、JISK 2425の11(固定炭素分定量方法)に準拠した方法により測定した。まず、250μm(60メッシュ)篩下のサンプル1gを、落とし蓋付き磁器るつぼに入れ、蓋をしないで430℃に保った電気炉中で30分加熱して揮発分を除去した。次に、蓋をして磁器B型るつぼ内に置き、周囲をコークス粒で敷き詰めて蓋をかぶせたあと、800℃に保った電気炉中で30分加熱し、冷却後、秤量して固定炭素を算出した。
5.粘度の測定方法
ASTM D5018−89(2009)に準拠した方法により、ブルックフィールド社製のデジタル回転粘度計(MODEL: DV−II+)を用いて測定した。
まず、840μm(20メッシュ)篩下のサンプル11gを専用チャンバーに入れ、
160℃に保ったサーモコンテナー内で溶融した。次に、スピンドルを溶融したサンプルに浸し、スピンドルが160℃に到達したら、回転速度をトルク値が100%近くになるように合わせ、そのときの粘度を読み取った。
6.バインダーピッチ、そのキノリン不溶分のC/H比の測定方法
バインダーピッチ、そのキノリン不溶分の炭素(C)および水素(H)の含有量を、ThermoQuest社製の元素分析計(MODEL:EA1110−CHNS−0)を用いて測定し、C/H(モル組成比)を算出した。具体的には、250μm(60メッシュ)篩下のピッチ5mgを元素分析計(EA1110−CNHS−0)の専用セルに入れ、サンプルを完全燃焼させ、発生したCOガスおよびHOガスを定量してサンプル中のC、Hの含有量を測定し、C/H(モル組成比)を算出した。
〔バインダーピッチの製造〕
(実施例1)
高炉用コークス炉から発生したキノリン不溶分2.3質量%のコールタール80質量%にキノリン不溶分40.0質量%のコールタール滓を20質量%混合してキノリン不溶分を9.8質量%とした原材料を製造した。この原材料を蒸留およびそれに続く熱改質工程により、軟化点111.4℃、キノリン不溶分19.2質量%、トルエン不溶分37.2%、固定炭素63.5質量%、160℃での粘度2154mPa・s、C/Hが1.93のバインダーピッチを得た。焼成した電極の特性は、かさ密度1.647g/cm、圧縮強度57.6MPa、電気抵抗率60.3μΩ・mであった。また、キノリン不溶分のC/Hは3.49であった。
(比較例1)
高炉用コークス炉から発生したキノリン不溶分2.9質量%のコールタールを原料タールとし、蒸留およびそれに続く熱改質工程により、軟化点110.0℃、キノリン不溶分5.6質量%、トルエン不溶分30.1質量%、固定炭素57.0質量%、160℃での粘度1953mPa・s、C/Hが1.81のバインダーピッチを得た。焼成した電極の特性は、かさ密度1.564g/cm、圧縮強度49.3MPa、電気抵抗率64.3μΩ・mであった。また、キノリン不溶分のC/Hは3.46であった。
(比較例2)
高炉用コークス炉から発生したキノリン不溶分5.5質量%のコールタールを原料タールとし、蒸留およびそれに続く熱改質工程により、軟化点111.2℃、キノリン不溶分9.1質量%、トルエン不溶分23.6質量%、固定炭素56.2質量%、160℃での粘度1523mPa・s、C/Hが1.84のバインダーピッチを得た。焼成した電極の特性は、かさ密度1.532g/cm、圧縮強度48.4MPa、電気抵抗率69.7μΩ・mであった。また、キノリン不溶分のC/Hは3.48であった。
(比較例3)
高炉用コークス炉から発生したキノリン不溶分5.5質量%のコールタールを加熱して、キノリン不溶分を9.8質量%まで増加させた。このキノリン不溶分を増加させたものを原材料とし、蒸留およびそれに続く熱改質工程により、軟化点112.5℃、キノリン不溶分10.2質量%、トルエン不溶分24.5質量%、固定炭素56.7質量%、160℃での粘度1648mPa・s、C/Hが1.85のバインダーピッチを得た。焼成した電極の特性は、かさ密度1.536g/cm、圧縮強度48.7MPa、電気抵抗率69.8μΩ・mであった。また、キノリン不溶分のC/Hは3.52であった。
[試験用電極の製造]
実施例1および比較例1〜3のバインダーピッチを用いて、実施例・比較例のそれぞれについて試験用電極を製造した。
(1)フィラーコークス
コークスを粉砕し、粒径範囲4〜8mm、2〜4mm、1〜2mm、0.5〜1mm、0.25〜0.5mmおよび0.25mm未満に分級した。
粒径範囲4〜8mmを13質量%、2〜4mmを13質量%、1〜2mmを13質量%、0.5〜1mmを13質量%、0.25〜0.5mmを13質量%、0.25mm未
満を35質量%の割合で混合し、粒度調整したフィラーコークスを得た。
(2)混錬
有効容積1Lの2軸型ニーダーをあらかじめ160℃に加熱しておき、粒度調整したフィラーコークス800gを160℃に予熱後、そのニーダーに投入した。フィラーコークス投入後5分間撹拌し、上記「バインダーピッチの製造」において製造した粉状のバインダーピッチ130.2gをニーダーに投入し、さらに30分間混錬し、フィラーコークスとバインダーピッチからなるペーストを調製した。
(3)成型
調製したペーストをステンレス製バットに移し変え、120℃まで徐冷した。
次いで、徐冷したペーストを120℃に加熱された内部が直径70mm、高さ100mmのステンレス製円筒容器に投入し、45MPaで60秒間加圧し、試験電極を成型した。
(4)焼成
成型した試験電極を1170℃で、5時間焼成した。
(5)加工
焼成した試験電極を、直径50mm、高さ50mmの円筒型試験電極に加工した。
[試験電極の電極特性の測定]
上記により製造した試験電極を用いて、かさ密度の測定(JISR 7222:1997の7かさ比重の測定方法による)、万能試験機を用いた圧縮強度の測定(JIS R 7222:1997の9 圧縮強さの測定方法による)、および四端針法による電気抵抗率(体積抵抗率)の測定(JIS R 7222:1997の12 固有抵抗の測定方法による)を行った。結果は表2に示す。
比較例1から、キノリン不溶分が少ない原料を蒸留、熱処理したものをバインダーピッチとして用いても電極性能は不十分である。また、比較例3から、キノリン不溶分が少ない原料を熱処理してキノリン不溶分を多くしても、該熱処理時にメソフェーズ発生量が多くなってしまう。この原材料を蒸留、熱処理してバインダーピッチを製造しても電極性能は不十分である。
実施例の電極は、比較例の電極に比べて、かさ密度が大きく、圧縮強度が大きく、しかも抵抗率が低かった。
本発明のバインダーピッチをアルミニウム製錬用電極、製鋼用黒鉛電極等の炭素材料に使用すると、炭素材料の密度を高くすることができ、機械強度の向上や電気抵抗の低減を図ることが可能である。

Claims (1)

  1. キノリン不溶分が20〜60質量%である、コールタール、コールタールピッチおよびコールタール滓からなる群から選択される少なくとも1つと、
    キノリン不溶分が0質量%超、20質量%未満である、コールタールおよびコールタールピッチからなる群から選択される少なくとも1つとを混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた混合物を蒸留する蒸留工程と、
    得られた蒸留物を熱改質して、
    軟化点が90.0℃超、120.0℃以下、
    キノリン不溶分が12質量%超、30質量%以下、
    トルエン不溶分が24.0質量%以上、
    固定炭素量が58.0質量%以上、
    炭素(C)と水素(H)の原子数比C/Hが1.85以上であるバインダーピッチを得る工程とを有する、バインダーピッチの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017218486A (ja) * 2016-06-06 2017-12-14 Jfeケミカル株式会社 バインダーピッチ及びその製造方法

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