JP5652060B2 - ニードルコークス製造用石炭系原料の製造方法及びニードルコークスの製造方法 - Google Patents
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Description
ニードルコークス製造用の石炭系原料油(コールタールピッチ)を改質する方法としては、例えば、コールタールピッチに多孔質無機物を添加して、粘度を200ポイズ以下に調整した後、該多孔質無機物を分離除去する方法(特許文献1)があり、この方法では、不溶成分に含まれるQi成分をある程度除去することは可能だが、β成分を調整することは困難である。
ところで、石炭系原料油中の成分を表す指標であるQiやβは、コールタールやコールタールピッチの有機溶剤に対する溶解度の違いを利用して、不溶分を定量し、重質度の目安とするものであるが、非特許文献1には、キノリンやトルエン以外の他の有機溶剤に対する溶解度、例えば、ニトロベンゼンやモルホリン、クロロホルム、アセトン、酢酸メチル等の溶剤に対する溶解度が示されている。しかし、これらの溶剤に対する不溶分差量を、ニードルコークスを製造する際に用いる原料のコールタールやコールタールピッチの評価指標に使用することは示されていない。
トン不溶分を8.0重量%以上とすることを特徴とするニードルコークス製造用石炭系原料油の製造方法。
ニードルコークスの製造に用いる原料油としては、一般的に、石油精製の際に発生する、石油系重質油と、製鉄用コークスを製造する際に発生するコールタールを出発原料とする石炭系原料油が挙げられる。これらのうち、本発明では、石炭系原料油を用いる。本発明で使用するニードルコークス製造用石炭系原料油としては、コールタール、又はコールタールピッチを出発原料として用いることが好ましく、コールタールとしては、石炭を乾留してコークスを製造する際に得られる直留のコールタールがより好ましい。また、コールタールピッチとしては、コールタールを蒸留する際に塔底から抜き出される軟化点0℃以上、好ましくは、30〜100℃の軟ピッチ又は中ピッチと称されるピッチである。また、本発明の石炭系原料油としては、これらのコールタール又はコールタールピッチに石油系原料油を添加したものでもよい。
このときに使用する出発原料であるコールタール又はコールタールピッチは、Qiが0
.0〜10.0重量%、好ましくは1.0〜8.0重量%、より好ましくは2.0〜6.0重量%であり、βが1.0〜15.0重量%、好ましくは2.0〜10.0重量%、より好ましくは3.0〜8.0重量%のものであれば、特に制限はない。なお、本発明におけるQi及びβは、後述する測定方法により求めることができる。
本発明において、Qiを除去する処理方法としては、特に限定されないが、遠心分離法、重量沈降法、濾過法など公知の方法を採用することができるが、残存Qiを少なくするため、濾過法または重量沈降法によりQiを除去することが好ましい。また、この場合、各操作を容易にするために必要に応じて適宜の溶媒を使用してもよい。濾過法によりQiを除去する際は、圧力が0.05〜1.0MPa、好ましくは0.1〜0.5MPaであり、温度が20〜200℃、好ましくは50〜150℃の条件下でおこなう。また、濾過に使用するフィルターの目開きは3ミクロン以下が望ましい。
このようにして、Qiを除去処理した後のコールタール、又はコールタールピッチに含まれるQiは0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下である。また、Qi除去操作後のコールタール、又はコールタールピッチに含まれるβは、1.0〜15.0重量%であり、好ましくは4.0〜10.0重量%である。また、このときのコールタール又はコールタールピッチ中のα成分の含有量は、特に限定されないが、通常、5.0〜8.0重量%であり、好ましくは、5.5〜7.5重量%であり、また、β1成分の含有量は、特に限定されないが、0.3〜2.0重量%であり、好ましくは、0.8〜1.5重量%である。
本発明において、石炭系原料油中のαは、8.0重量%以上であり、好ましくは、9.
0重量%以上であり、更に好ましくは、9.5重量%以上である。また、一方、上限としては、20重量%以下である。αが大きくなるほど、コークス化の際に配向しやすい組織の割合が多くなり、ニードルコークスの熱膨張係数が低くなる傾向にあり、小さくなるほど、ニードルコークスの熱膨張係数が高くなる傾向にある。
加圧熱ろ過とは、多孔質のフィルターなどに、コールタール、又はコールタールピッチなどの石炭系原料油を透過させることであり、具体的には、フィルターを付けた耐圧容器に、所定の温度に加温したコールタール、又はコールタールピッチなどの石炭系原料油を入れ、窒素等により所定の圧力をかけること、あるいは、ポンプにより加圧された石炭系原料油をフィルターを付けた容器に通すことである。
超音波処理とは、超音波振動を機械的振動に変換して、振動子に伝達させ、この振動子を石炭系原料油中に浸すことで分散を行うことであり、具体的には超音波分散器(ホモジナイザー)を使用することで実現できる。超音波処理の条件としては、処理時間5〜60分であり、好ましくは10〜40分である。処理温度は150℃以下が望ましい。
例えば、Qi除去後のコールタール、又はコールタールピッチを、目開き1ミクロン以下のフィルターを用い、50〜300℃の温度、1MPa以下の圧力で、熱濾過すればβ
1は低くなる。β1の大半はコールタール、又はコールタールピッチに含まれる有機分子の凝集体であり、例えばα成分などが凝集したものである。これを熱濾過すると凝集がほぐれ、β1が減少し、α成分が増加する傾向がある。
上記のようにして得られた原料油は、通常のニードルコークス製造法によりコークス化されニードルコークスが製造される。すなわち、ディレードコーカーに原料油を装入して生コークスを得、次いで、か焼してニードルコークスを得る。得られたニードルコークスは所定の割合に粒度配合され加熱混合しながらバインダーピッチを適当量添加捏合後、押し出し成形して生電極が製造される。この生電極を焼成、黒鉛化した後、加工して製品である黒鉛電極を製造することができる。
<Qi、β、α、及びβ1の測定方法>
溶媒として、アセトン(純度95.0%以上、和光純薬工業社製)、キノリン(純度9
5.0%以上、和光純薬工業社製)、ニトロベンゼン(純度99.5%以上、和光純薬工
業社製)、モルホリン(純度98.0%以上、和光純薬工業社製)、及びトルエン(純度99.5%以上、和光純薬工業社製)を用意し、これら、各溶媒に対するニードルコークス製造用石炭系原料油中の不溶分について、以下の(1)〜(6)の手順によって測定した。
秤する(W1)。
(2)試料の入ったフラスコに上記測定溶媒(例えばキノリン)を100mlを注ぎ、冷却器を取り付け、110℃のオイルバスに入れる。(トルエンは130℃にする。)液を攪拌しながら30分間加熱し、溶解させる。
(4)濾過残渣の乗った濾紙を110℃の乾燥器に60分間入れ乾燥させる。
(5)濾過残渣の乗った濾紙を乾燥器から取り出し、デシケータ-内で30分放冷した後
、その重量を精秤する(W3)。
溶剤不溶分(重量%)=(溶解後残渣重量/試料重量)× 100
=((W3−W2)/W1 )× 100
測定溶媒を上記のアセトン、キノリン、ニトロベンゼン、モルホリン、トルエンと変更し、上記(1)〜(6)の方法で測定した各溶媒の不溶分(重量%)を、それぞれ、アセトン不溶分、キノリン不溶分、ニトロベンゼン不溶分、モルホリン不溶分、トルエン不溶分とする。
β(キノリン可溶トルエン不溶分)=(トルエン不溶分)−(キノリン不溶分)
α(トルエン可溶アセトン不溶分)=(アセトン不溶分)−(トルエン不溶分)
β1(ニトロベンゼン可溶モルホリン不溶分)=(モルホリン不溶分)−(ニトロベンゼン不溶分)
なお、本発明において、各溶媒に対する可溶分とは、100(重量%)より上記の方法で測定した不溶分(重量%)を差し引いた値とする。
押し棒式熱膨張計(ULVAC理工製 型番 DLY-96OOR)に黒鉛化されたテストピー
スをセットする。赤外線イメージ炉で30℃から130℃まで昇温し、この間の伸びを測定する(△L)。テストピースの代わりにテストピースと同サイズの石英を熱膨張計にセットし、同様に30℃から130℃まで昇温し、この間の伸びを測定する(△L‘)。
熱膨張係数(×10-7/℃)=(△L−△L‘)/(L×△T)+5.1×10-7
(上記式中、L=テストピースの長さ、△T=伸びを測定した温度差(ここでは100
℃)、5.1×10-7=石英の熱膨張係数(30℃から130℃))
<実施例1>
重量沈降法によりQiを除去したコールタールピッチ(Qi成分含有量:0.009重量%、β成分含有量:5.9重量%)を、1目開き0.5ミクロンのPTFEメンブランフィルターを用い、120℃、0.2MPaにて加圧熱濾過した。加圧熱ろ過後のコールタールピッチのQi成分含有量は0.002重量%、β1成分含有量は0.08重量%、α成分含有量は9.2重量%であった。処理後のソフトピッチを150mlの反応容器に仕込み、480℃、0.34MPaで12時間コーキングし、生コークスを得た。次いでこの生コークスを1300℃で2時間か焼し、ニードルコークスを製造した。更にこのニードルコークスを2800℃で黒鉛化し、熱膨張係数を測定したところ2.8×10-7/℃で
あった。結果を表−1に示す。
重量沈降法によりQiを除去したコールタールピッチ(Qi成分含有量:0.009重量%、β成分含有量:5.9重量%)を、超音波ホモジナイザーで30分、分散処理を行った。超音波処理後のコールタールピッチのQi成分含有量は0.002重量%、β1成分含有量は0.96重量%、及びα成分含有量は10.8重量%であった。このコールタールピッチを実施例1と同様にコーキング、か焼して、ニードルコークスを製造し、そのニードルコークスを黒鉛化して、熱膨張係数を測定したところ2.9×10-7/℃であっ
た。結果を表−1に示す。
実施例1のQiを除去したコールタールピッチ(β1成分含有量: 1.1重量%、α
成分含有量:7.7%)を、そのまま実施例1と同様にコーキング、か焼、黒鉛化を行い
熱膨張係数を測定したところ3.8×10-7/℃であった。結果を表−1に示す。
<比較例2>
重量沈降法によりQiを除去したコールタールピッチ(Qi成分含有量:0.009重量%、β成分含有量:5.9重量%)を、1目開き10ミクロンのPTFEメンブランフィルターを用い、120℃、0.2MPaにて加圧熱濾過した。加圧熱ろ過後のコールタールピッチのQi成分含有量は0.006重量%、β1成分含有量は1.1重量%、α成分含有量は7.5重量%であった。このコールタールピッチを実施例1と同様にコーキング、か焼して、ニードルコークスを製造し、そのニードルコークスを黒鉛化して、熱膨張係数を測定したところ3.8×10-7/℃であった。結果を表−1に示す。
Claims (2)
- キノリン不溶分が0〜10重量%、トルエン不溶キノリン可溶分が1〜10重量%である石炭系原料油を用いて、ニードルコークス製造用石炭系原料油を得るにあたり、該石炭系原料油を熱ろ過処理又は超音波処理して、石炭系原料油中のトルエン可溶アセトン不溶分を8.0重量%以上とすることを特徴とするニードルコークス製造用石炭系原料油の製造方法。
- 請求項1に記載のニードルコークス製造用石炭系原料油の製造方法により得られた石炭系原料油をコークス化して、ニードルコークスを得ることを特徴とするニードルコークスの製造方法。
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