JP2017048380A - 水素化コールタールピッチの製造方法 - Google Patents
水素化コールタールピッチの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017048380A JP2017048380A JP2016157927A JP2016157927A JP2017048380A JP 2017048380 A JP2017048380 A JP 2017048380A JP 2016157927 A JP2016157927 A JP 2016157927A JP 2016157927 A JP2016157927 A JP 2016157927A JP 2017048380 A JP2017048380 A JP 2017048380A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coal tar
- tar pitch
- pitch
- hydrogenated
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【解決手段】 原料コールタールピッチから軽質油を分離し、得られたコールタールピッチの重質油成分を水素化する、水素化コールタールピッチの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ニードルコークスの原料として好適に用いることが出来る水素化コールタールピッチを製造する方法に関する。
これらのうち、コールタールピッチから製造されるニードルコークスは特に付加価値の高い製品として重要な位置を占めており、主に電気製鋼用黒鉛電極の骨材に使用される。黒鉛電極の製造工程においては、まずニードルコークス粒とバインダーピッチとを所定の割合で配合し、加熱捏合した後、押し出し成型して生電極を製造する。この生電極を焼成し、黒鉛化した後、加工することにより黒鉛電極製品が得られる。
このパッフィング現象は、主として黒鉛化過程の1500〜2000℃の領域において、ピッチ系ニードルコークスに含まれるヘテロ化合物から窒素が、同様に2500〜2800℃の領域において硫黄が急激に揮散するための異常膨張と考えられている。
特許文献1、2では、1500℃以上でピッチコークスを加熱処理して脱窒素することでパッフィングを低減する方法が提案されている。また、特許文献3では、生コークスを予め酸化処理等の前処理をした後に、通常のか焼温度で熱処理する手法が示されている。これらの方法は、前者は高温加熱に伴うエネルギー消費が大きくなり、後者は従来方法に比べて工程が複雑化するという課題がある。
特許文献4には、ディレードコークス法により得た生コークスを、先ず通常のか焼温度より低い温度範囲でか焼し、一旦冷却した後、再び通常の温度範囲でか焼を行うニードルコークスの製造方法が開示されている。この方法は、石油系原料油を使用したニードルコークスの熱膨脹係数の低減には有効であるものの、パッフィングの発生機構の異なるピッチ系(石炭系)ニードルコークスに適用したとしても、パッフィングの低減効果は僅かである。
特許文献5、6では、原油を減圧蒸留したときに残渣油として得られる重質油と、所定の原料油を流動接触分解して得られる硫黄及び窒素含有量の小さい原料油とを混合してコークス化する石油系ニードルコークスの製造方法を示している。しかし、この方法は歩留りが低く、かつ低CTEニードルコークスを製造することを目的としているだけで、パッフィングの低減を目的としたものではない。
特許文献8では、石炭系重質油と石油系重質油とを混合して窒素分、硫黄分を共に特定値以下となるように調整配合した原料より生コークスを製造し、この生コークスを2段か焼することによりパッフィングの低いニードルコークスを得られるとしている。しかしこの方法での効果は限定的であり、かつ2段か焼によるコークス歩留の低下、コークスの多孔質化により黒鉛電極の嵩密度が低下するという懸念がある。
また、コールタールピッチの水素化処理において、処理前のコールタールピッチ成分を如何なる組成としておけば、効率の良い水素化がなされるのか、性能の良好なピッチ系ニードルコークスが得られるのか、等についても従来は何ら知見が無かった。
また、本発明は、コールタールピッチから水素化コールタールピッチを製造するに際し、水素の消費量を削減し、効率の良い水素 化反応を行うことが可能な水素化コールタールピッチの製造方法を提供することを目的とする。
[1]原料コールタールピッチから軽質油を分離し、得られたコールタールピッチの重質油成分を水素化する、水素化コールタールピッチの製造方法。
[3]原料コールタールピッチから軽質油を分離して得られた、360℃以下の留分が0.02〜9重量%であるコールタールピッチを用いる、[1]又は[2]に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[4] 原料コールタールピッチから軽質油を分離して得られた、ナフタレン含有量及びアセナフテン含有量の合計量が0.01〜2重量%であるコールタールピッチを用いる、[1]〜[3]の何れかに記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[5]水素化処理の条件が、300〜450℃、水素/ピッチ流量比が、ピッチ1キロリットル当たり100〜700Nm3/kL、水素分圧が5〜20MPa、液空間速度が0.1〜2h-1である[1]〜[4]のいずれかに記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[6]水素化処理を連続固定床反応装置にて行う[1]〜[5]の何れかに記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[7]軽質油の分離を蒸留塔により行う[1]〜[6]の何れかに記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[8]更に、得られた水素化コールタールピッチから軽質油を分離する工程を有する[1]〜[7]の何れかに記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[9]水素化コールタールピッチから分離された軽質油を、水素化を行う反応器の冷却に用いる[8]に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
[11]2600℃迄のパッフィングが3.4%以下であるピッチ系ニードルコークスを製造する、[10]に記載のピッチ系ニードルコークスの製造方法。
[12]熱膨張係数(CTE)が3.4×10-7/℃以下であるピッチ系ニードルコークスを製造する、[10]又は[11]に記載のピッチ系ニードルコークスの製造方法。
本発明の水素化コールタールピッチを原料として製造されたピッチ系ニードルコークスは、電気製鋼用黒鉛電極の骨材などの用途に好適である。
本発明により、性能が良好なピッチ系ニードルコークスの原料として好適な水素化コールタールピッチが得られるとともに、カーボンブラックの原料等として利用価値の高い軽質油を歩留り良く併産することが出来る。
更に、コールタールピッチを水素化する際に、用いる水素の使用量を低減することが出来る。
なお、本発明において「ピッチ系」と「石炭系」は同義の語として扱うものとする。
本発明でいう「窒素分」とは、コールタールピッチについてはJIS M8819、石油系油についてはJIS K2609、コークスについてはJIS M8819に従い測定される値を、それぞれ意味する。
また、コールタールピッチの比重、キノリン不溶分、トルエン不溶分、360℃以下の留分は何れもJIS K2425に従い測定される値を意味し、粘度はB型回転粘度計で測定した値を意味する。
本発明において、軽質油を分離する前のコールタールピッチを「原料コールタールピッチ」という。本発明において、原料コールタールピッチは限定されないが、以下の特性を有するものであることが好ましい。
キノリン不溶分を除去する手段としては公知の方法を適用することができるが、例えばタール系重質油を、芳香族系油や脂肪族系油で処理する方法が挙げられ、これらの混合溶剤で処理することも好ましい。脂肪族系油としては、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式化合物、アセトン、エーテル等のカルボニル基をもつ化合物、軽油等を使用することが出来る。芳香族系油としては、タール系洗浄油、アントラセン油等を使用することが出来る。ピッチと溶剤を適当な条件にて混合、加熱した後に必要により静置し、その後、この混合物を蒸留して低沸点成分を留去することにより、キノリン不溶分を殆ど含まない原料コールタールピッチとすることが出来る。
コールタールピッチは、大部分が芳香族化合物で構成されているが、芳香族性を示す指標として芳香族指数がある。芳香族指数は大きいほど好ましく、例えば0.9以上であることが好ましい。コールタールピッチにおいては、芳香族指数が小さくなるとメソフェースの成長が不十分となり、水素化コールタールピッチから得られるニードルコークスの熱膨張係数(CTE)の抑制が不十分となる傾向がある。
原料コールタールピッチのH/Cが0.5未満の場合は、水素化反応において消費される水素量が多くなる傾向がある。一方、原料コールタールピッチのH/Cが0.8を超えると、脂肪族の含有量が多くなり、水素化コールタールピッチから得られるニードルコークスの熱膨張係数(CTE)が大きくなる傾向がある。また、H/Cは、前記と同様の理由により0.55〜0.7であることがより好ましい。
なお、「H/C」はJIS M8819に準拠して測定した値を意味し、後述する実施例に記載した測定方法を採用するものとする。
原料コールタールピッチの比重(15℃/4℃)が1.0未満の場合は、コークスの収率が下がる傾向があり、コークスの熱膨張係数が大きくなる傾向がある。一方、原料コールタールピッチの比重(15℃/4℃)が1.4を超えると、原料コールタールピッチに含まれる重質成分の含有率が多くなり、水素化処理後のコールタールピッチのコークス化過程におけるメソフェースの成長速度が大き過ぎることにより、ニードルコークスの熱膨張係数が大きくなる傾向がある。また、比重(15℃/4℃)は、前記と同様の理由により1.1〜1.3であることがより好ましい。
本発明において、原料コールタールピッチから軽質油を分離する方法は限定されないが、例えば、遠心分離、溶剤抽出、ストリッピング、水蒸気蒸留、フラッシュ蒸留、薄膜蒸留、常圧蒸留、減圧蒸留等が挙げられる。
本発明における軽質油とは、一般に軽質油(軽油)と呼ばれるものであれば限定されない。軽質油を構成する化合物の炭素数は限定されないが、通常36以下であり、好ましくは24以下である。軽質油は単一の化合物であってもよいが、通常は複数の化合物の混合物である。
なお、上記した蒸留手段により軽質油を分離する場合においては、蒸留装置の上部より得られる物質(軽質留分)を軽質油とする。すなわち、蒸留装置の上部より得られたものであれば、上記で例示した軽質油成分以外の物質を含んだものも「軽質油」という。軽質油を分離する蒸留装置上部の温度は特に限定されないが、常圧蒸留で400℃以下、好ましくは360℃以下、より好ましくは320℃以下である。
本発明では、原料コールタールピッチから軽質油を分離することによって得られたコールタールピッチ(重質油成分)を、後述する水素化処理の原料として用いる(以下、軽質油を分離することによって得られた、水素化処理の原料として用いるコールタールピッチを「処理前ピッチ」という場合がある。)。以下に処理前ピッチの諸特性について説明する。
なお、本発明における処理前ピッチは、キノリン不溶分の下限値は限定されず、より低い値であることが好ましいが、コールタールを出発原料とする限り0(ゼロ)にすることは困難であるため、通常は0.0001重量%以上である。
なお、本発明における処理前ピッチは、硫黄分の下限値は限定されず、より低い値であることが好ましいが、コールタールを出発原料とする限り0(ゼロ)にすることは困難であるため、通常は0.05重量%以上である。
なお、本発明における処理前ピッチは、窒素分の下限値は限定されず、より低い値であることが好ましいが、コールタールを出発原料とする限り0(ゼロ)にすることは困難であるため、通常は0.20重量%以上である。
なお、上記した処理前ピッチの諸特性は各々独立したものであり、必ずしも全ての特性を兼ね備えている必要は無い。
ニードルコークスは、針状が発達した結晶構造を有することにより、低い熱膨張係数を得ていると考えられている。この発達した針状構造は、メソフェース生成時に生じる芳香族環からのガス、特に水素の発生により形成されると考えられている。本発明では、コークス化に寄与の低い軽質油を留去し、このガス発生時の粘度を増加させることにより、より効率的にメソフェースの成長を促した結果、得られるニードルコークスの熱膨張係数を低下させることが可能となったものと考えられる。
本発明においては、原料コールタールピッチを得るに際し、キノリン不溶分を除去する前のコールタールもしくはコールタールピッチに石油系重質油を混合して用いてもよい。また、原料コールタールピッチと石油系重質油とを混合してから軽質油を分離してもよい。更には、軽質油を分離して得られた処理前ピッチと石油系重質油とを混合し、これを用いて後述する水素化処理を行ってもよい。
本発明の製造方法では、処理前ピッチまたは処理前ピッチと石油系重質油を混合して得られた混合原料油(以下、「ピッチ系原料油」と表記する場合がある。)を、水素化処理装置に装入して水素化処理することにより水素化コールタールピッチとする。
本発明において処理前ピッチを水素化処理する方法は限定されないが、通常、処理前ピッチを水素化処理装置に装入して水素化反応を行うことによってなされる。具体的な方法を以下に説明する。
本発明の製造方法に用いる水素化処理装置は限定されないが、反応性と生産性の観点から連続反応式装置であることが好ましい。触媒層は流動床または固定床のいずれか、またはこれらを組み合わせたもののいずれも本発明に含まれるが、長期運転のしやすいこと、建設費用等の経済性の観点から固定床式が好ましい。すなわち連続固定床式水素化処理装置が本発明には好適である。回分式反応装置は水素化反応率が小さい等の理由により好ましくない場合がある。
水素化処理における水素分圧は、上記と同様の理由により、好ましくは8MPa以上、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは12MPa以上であり、好ましくは18MPa以下、より好ましくは16MPa以下である。
反応温度、水素/ピッチ流量比、水素分圧、液空間速度(LHSV)を上記範囲内とすることにより、処理前ピッチの最適な水素化が進行し、十分にパッフィングが抑制されたニードルコークスが得られる程度の脱硫率、脱窒素率になり、さらに、低い熱膨張係数のニードルコークスを得るに十分なメソフェースの成長を促すことができる。
低粘度化するために用いることが可能な原料は限定されないが、例えば、水素化コールタールピッチ又は水素化コールタールピッチから分離して得た軽質油(後述する「水素化油」)等が挙げられる。更には、前記した石油系重質油や、重質油以外の石油系油、処理前ピッチを得るために分離された軽質油の一部を使用することも出来る。これらのうち、水素消費量が少ないという観点から、水素化コールタールピッチ、水素化油、或いは、石油系重質油や重質油以外の石油系油のうち飽和度の高いものや芳香性の低いものが好適に用いられる。
特に、低粘度化するために用いる原料として、水素化コールタールピッチや水素化油など、本発明の製造ライン内で発生する物質を用いる場合は、ライン(配管)を合流させるのみで混合する方法が望ましい。更には、処理前ピッチと低粘度化するために用いる原料とを合流させた後の流体が、乱流となるように設計されていることが望ましい。また、混合場所は限定されないが、水素化処理装置に装入する直前で混合されることが望ましい。
反応系内に冷媒を装入することによって反応熱を除去する場合は、通常、当該冷媒を水素化処理装置の途中段階で装入する。具体的には、例えば、棚段状に触媒層が設置されている装置であれば、当該触媒層の位置に冷媒を装入する方法が挙げられる。冷媒は装置中の1個所に装入してもよいし、2個所以上から装入してもよい。
反応熱を除去する際に用いられる冷媒は限定されず、水素ガスやその他のリサイクルガス等でもよいが、後述する水素化油を好適に用いることができる。水素化油は既に水素化処理された軽質油であるため、これを再度水素化処理装置に供しても反応活性が低く、しかも上述の通り、反応系内の粘度を低下させることができ、更には、反応後に分離する必要も無いため好適である。
脱硫率(%)=〔([処理前ピッチ中の硫黄分(重量%)]−[水素化コールタールピッチ中の硫黄分(重量%)])/[処理前ピッチ中の硫黄分(重量%)]〕×100
脱窒素率(%)=〔([処理前ピッチ中の窒素分(重量%)]−[水素化コールタールピッチ中の窒素分(重量%)])/[処理前ピッチ中の窒素分(重量%)]〕×100
上記の様に、原料コールタールピッチから軽質油を分離して得られた処理前ピッチを更に水素化処理して得られる水素化コールタールピッチの諸特性は限定されないが、以下の特性をもつものであることが好ましい。これらの値である水素化コールタールピッチを原料として得られるピッチ系ニードルコークスは、パッフィングが低い値を示すだけでなく、熱膨張係数も十分に小さい値を示すため好ましい。
なお、本発明の製造方法で得られる水素化コールタールピッチは、キノリン不溶分の下限値は限定されず、より低い値であることが好ましいが、コールタールピッチを原料とする限り0(ゼロ)にすることは困難であるため、通常は0.0001重量%以上である。
なお、本発明の製造方法で得られる水素化コールタールピッチは、硫黄分の下限値は限定されず、より低い値であることが好ましいが、コールタールピッチを原料とする限り0(ゼロ)にすることは困難であるため、通常は0.05重量%以上である。
なお、本発明の製造方法で得られる水素化コールタールピッチは、窒素分の下限値は限定されず、より低い値であることが好ましいが、コールタールピッチを原料とする限り0(ゼロ)にすることは困難であるため、通常は0.20重量%以上である。
なお、上記した水素化コールタールピッチの諸特性は各々独立したものであり、必ずしも全ての特性を兼ね備えている必要は無い。
本発明においては、水素化処理して得られた水素化コールタールピッチから軽質油を分離する工程を有していてもよい。また、当該工程は前記の通り、本発明における水素化処理の工程の一部として包含されるものである。
水素化コールタールピッチから軽質油を分離する方法としては、遠心分離、溶剤抽出、ストリッピング、水蒸気蒸留、フラッシュ蒸留、薄膜蒸留、常圧蒸留、減圧蒸留等が挙げられる。
常圧蒸留により軽質油を分離する場合、蒸留装置の上部温度は限定されないが、通常400℃以下、好ましくは380℃以下、より好ましくは360℃以下である。
水素化コールタールピッチから分離する軽質油の割合は限定されないが、通常2重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、一方、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下である。
なお、前記した通り、水素化コールタールピッチから軽質油を分離する工程も、任意な工程として本発明における水素化処理工程の一部を構成するものである。従って、軽質油を分離後の水素化コールタールピッチに望まれる諸特性も、前記したものと同様である。
水素化コールタールピッチから分離された軽質油(以下、「水素化油」という場合がある。)の使途は限定されないが、前記した通り、処理前ピッチの粘度を下げる目的で、水素化処理を行う原料として処理前ピッチと混合して用いることができる。また、水素化油は、前記した通り、水素化反応における反応熱を除去するための冷媒として用いることが出来る。
さらに、水素化油は、冷媒(冷却オイル)、各種化学工業の原料、溶剤、潤滑剤、改質剤、燃料等としても有用に用いることができる。
水素化油の窒素含有率は0.7重量%以下であることが好ましく、0.4重量%以下であることがより好ましい。水素化油に含まれる窒素含有率が0.7重量%を超えると、反応器で生じる脱窒素反応が過度になり、水素化油に消費される水素量が増加する傾向がある。
水素化油は、水素原子数と炭素原子数の比(H/C)が0.8以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。水素化油のH/Cが0.8未満の場合、水素化油の水素化に使われる水素量が増加し、反応の効率が低下する傾向がある。
水素化油の100℃における粘度が6mPa・sを超えると、処理前ピッチと混合しにくくなる傾向がある。このため、処理前ピッチの粘度を下げる目的で使用する場合には、充分に粘度を下げられない傾向があり、また、水素化反応における冷媒として用いる場合には、反応器内を流れる反応液(処理前ピッチ又は水素化コールタールピッチ)と充分に混合されず、反応器の均一な冷却が行われない傾向がある。
水素化油を処理前ピッチの粘度を下げる目的で使用する場合において、水素化油の比重が0.8未満、或いは1.2を超える場合には、処理前ピッチとの比重差が大きく、処理前ピッチと混合しにくい傾向がある。そのため、処理前ピッチに水素化油が充分に混合されず、処理前ピッチの粘度を充分に下げられない傾向がある。
また、水素化油を水素化反応における冷媒として用いる場合において、水素化油の比重が0.8未満の場合は、軽沸点成分が多く、反応器内で気化が生じ、均一な冷却が行われない傾向があり、一方、水素化油の比重が1.2以上の場合は、重質な成分が多く、反応器内を流れる反応液(処理前ピッチ又は水素化コールタールピッチ)と充分に混合されず、反応器の均一な冷却が行われない傾向がある。
本発明の製造方法で得られた水素化コールタールピッチは、コークス化することによって、熱膨張係数が小さく且つパッフィングが十分に抑制されたピッチ系ニードルコークスを得ることが出来る。以下に、ニードルコークスの製造について説明する。
本発明の製造方法で得られた水素化コールタールピッチをコークス化する方法は限定されないが、ディレードコーキング法、ビスブレーキング法、フレキシコーキング法、ユリカプロセスなどが挙げられ、これらの中でも、得られるコークスの生産性や品質安定性の点からディレードコーキング法が好ましい。
なお、本発明では、原料コールタールピッチから軽質油を分離して処理前ピッチを得るにあたり、軽質油の分離割合(除去率)を増やすことで、上述したコーキング装置への装入量当りのコークス歩留りを増やすことができる。また、前述の通り、水素化コールタールピッチから軽質油を分離する場合においても、同様の効果を奏することができる。
また、このようにして得られるコークスをロータリーキルン、シャフト炉等でか焼することが好ましい。か焼の際の温度は1000〜1500℃が好ましく、時間は1〜6時間が好ましい。
水素化コールタールピッチと他の原料との混合割合は限定されないが、水素化コールタールピッチを通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上となる割合で用いることが好ましい。
本発明の製造方法で得られた水素化コールタールピッチを用い、上記のようにして得られたピッチ系ニードルコークスは、硫黄分及び窒素分の含有割合が低いため、熱膨張係数が小さく且つパッフィングが十分に抑制されたピッチ系ニードルコークスとすることが出来る。具体的には、ピッチ系ニードルコークスの硫黄分は0.3重量%以下、更には0.15重量%以下とすることが出来、窒素分は0.8重量%以下、更には0.6重量%以下とすることが出来る。
また、得られるピッチ系ニードルコークスは、熱膨張係数(CTE)が3.4×10-7/℃以下、更には3.2×10-7/℃以下であり、パッフィングが3.4%以下、更には3.0%以下とすることができる。ここでパッフィングの値は、後述する実施例記載の方法で測定した、2600℃迄のパッフィングを意味する。
このため、本発明で得られるピッチ系ニードルコークスは、電炉製鋼用黒鉛電極の骨材として好適に使用することが出来る。
原料コールタールピッチ、軽質油を除去したコールタールピッチ、水素化コールタールピッチ及びコークス中の硫黄分は、JIS M8813に準拠して測定した。具体的には、試料0.1gを1000℃以上に熱した燃焼炉に投入し、発生したガスを硫酸を1%含む35%過酸化水素水に吸収させ、その電気伝導度の変化により測定した。
原料コールタールピッチ、軽質油を除去したコールタールピッチ及び水素化コールタールピッチ中の炭素、水素、窒素の含有率の測定は、JIS M8819に準拠して測定した。具体的には、装置名:Vario Max全自動元素分析装置(エレメンタール社)にサンプルを供することにより測定を行った。
H/Cは、上記測定法にて得た炭素原子と水素原子の含有量をモル数にし、次式により算出した。
H/C=水素原子数/炭素原子数
コークス中の窒素含有率(窒素分)の測定は、JIS M8819に準拠して測定した。具体的には、装置名:NC−22A(住化分析センター社製)にサンプルを供することにより測定を行った。
15℃の比重は、JIS K2425に従い測定した。
<キノリン不溶分の測定>
キノリン不溶分(Qi)の測定は、JIS K2425に従い測定した。
<トルエン不溶分の測定>
トルエン不溶分(Ti)の測定は、JIS K2425に従い測定した。
<360℃以下の留分の測定>
360℃以下の留分の測定は、JIS K2425に従い測定した。
粘度の測定は、B型回転粘度計(VISCOMETER DV−II+PRO(ブルックフィールド社製))を用いて行った。
<ナフタレン含有量の測定>
ナフタレン含有量の測定は、ガスクロマトグラフ(GC−2014(島津製作所製))にBPX5(長さ:60m、直径:0.32μm、膜厚:0.25μm(SGE社製))を装着した装置で内部標準法を用いて分析を行った。
<アセナフテン含有量の測定>
アセナフテン含有量の測定は、ガスクロマトグラフ(GC−2014(島津製作所製))にBPX5(長さ:60m、直径:0.32μm、膜厚:0.25μm(SGE社製))を装着した装置で内部標準法を用いて分析を行った。
か焼コークスを粉砕した後、各サンプルとも一定の粒度に調整した。これに石炭系のバインダーピッチをか焼コークスに対して30重量%加え、各サンプルとも同一の温度で加熱捏合した後、押出し成形機を用いて円柱状の成形体を作製した。
この成形体を焼成炉を用いて1000℃で3時間焼成した後、タンマン炉にて2800℃で黒鉛化して得られた試験片について、その長さ方向の線熱膨張係数(以下、CTE)を測定した。CTEの値が低い方が良好である。
なお、測定に際しては、押し棒式熱膨張計に前述の試験片をセットし、赤外線イメージ炉で30℃から130℃まで昇温し、この間の伸びを測定した(ΔL)。試験片と同サイズの石英を用いて同様に測定し(ΔL’)、次式により熱膨張係数を計算した。
熱膨張係数(×10-7/℃)=(ΔL−ΔL’)/(L×ΔT)+5.1×10-7
(上記式中、Lは試験前のテストピースの長さ、ΔTは伸びを測定した温度差(100℃)、「5.1×10-7」は30℃から130℃での石英の熱膨張係数である)
熱膨張係数(CTE)の測定と同様に加熱捏合した後、モールド成形し、成形時の加圧方向へボーリング加工して円柱状の成形体を作製した。この成形体を1000℃で焼成した後、試験片をタンマン炉を用いて昇温速度20℃/分にて室温から2600℃の温度間の円柱体の長さ方向の寸法の伸びを押し棒式熱膨張計にて測定し、下記式により計算してパッフィングとして示した。なお、この成形体の円柱の長さ方向の寸法の伸びは、上記押出し成形体の押出し方向に対し垂直方向に該当する。パッフィングの値が3.4%以下を合格とし、より低い値である方がよい。
パッフィング(%)=(ΔL/L)×100
(上記式中、Lは試験前のテストピースの長さ、ΔLは2600℃までの昇温間の伸びである)
コークス製造設備由来のコールタールを常圧蒸留して得られた重質成分からキノリン不溶分を除去することにより精製コールタールピッチを得て、これを原料コールタールピッチとした。
原料コールタールピッチは、キノリン不溶分(Qi)が0.008重量%、トルエン不溶分(Ti)が8.34重量%、H/Cが0.65、硫黄分0.62重量%、窒素分1.11重量%、360℃以下の留分が9.8%、100℃の粘度が183mPa・s、15℃の密度が1.234g/cm3、ナフタレン含有量が0.8重量%、アセナフテン含有量が1.4重量%であった。
軽質油を除去したコールタールピッチは、キノリン不溶分(Qi)が0.008重量%、トルエン不溶分が9.02重量%、H/Cが0.62、硫黄分0.66重量%、窒素分1.18重量%、360℃以下の留分が0.7重量%、100℃の粘度が1965mPa・s、15℃の密度が1.257g/cm3、ナフタレン含有量が0.001重量%、アセナフテン含有量が0.1重量%であった。
得られた水素化コールタールピッチは、キノリン不溶分が0.003重量%、トルエン不溶分が1.37重量%、H/Cが0.83、硫黄分0.24重量%、窒素分0.75重量%、100℃の粘度が101mPa・s、15℃における密度が1.178g/cm3、360℃以下の留分が22.5重量%であった。これらの値を表−1に示す。
得られたか焼コークスについて、熱膨張係数(CTE)及びパッフィングを測定した結果を表−1に示す。
原料コールタールピッチを蒸留(軽質油の分離)、水素化処理の何れも行わずにそのまま使用した以外は実施例1と同様にしてコークス化し、か焼コークスとした。これを実施例1と同様の評価を行った結果を表−1に示す。
原料コールタールピッチを蒸留(軽質油の分離)せずに、実施例1と同様の条件で水素化処理を実施し、水素化コールタールピッチを得た。
得られた水素化コールタールピッチは、キノリン不溶分が0.002重量、トルエン不溶分が0.54重量%、H/Cが0.87、硫黄分0.20重量%、窒素分0.69重量%、360℃以下の留分が30.4重量%、100℃の粘度が33mPa・s、15℃における密度が1.160g/cm3であった。これらの値を表−1に示す。
これを実施例1と同様にしてコークス化し、か焼コークスとした。これを実施例1と同様の評価を行った結果を表−1に示す。
原料コールタールピッチを実施例1と同様の条件で蒸留(軽質油の分離)して軽質油を13重量%除去し、軽質油を除去したコールタールピッチとした。これを水素化処理をせずにそのまま使用した以外は実施例1と同様にしてコークス化し、か焼コークスとした。これを実施例1と同様の評価を行った結果を表−1に示す。
これに対し、原料コールタールピッチをそのまま用いて製造されたピッチ系ニードルコークス(比較例1)及び、原料コールタールピッチから軽質油を分離したのみで水素化処理を行わなかったコールタールピッチを用いて製造されたピッチ系ニードルコークス(比較例3)は、何れもCTE及びパッフィングの何れも不十分であった。
また、原料コールタールピッチから軽質油の分離を行わずに水素化処理のみを行った水素化コールタールピッチを用いて製造されたピッチ系ニードルコークスは、実施例1に比較してCTEが不十分であった(比較例2)。
また、比較例2に対し、実施例1においては、水素化処理工程における水素の消費量に改善効果がみられた。
Claims (12)
- 原料コールタールピッチから軽質油を分離し、得られたコールタールピッチの重質油成分を水素化する、水素化コールタールピッチの製造方法。
- 原料コールタールピッチから軽質油を6〜40重量%分離する請求項1に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 原料コールタールピッチから軽質油を分離して得られた、360℃以下の留分が0.02〜9重量%であるコールタールピッチを用いる、請求項1又は2に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 原料コールタールピッチから軽質油を分離して得られた、ナフタレン含有量及びアセナフテン含有量の合計量が0.01〜2重量%であるコールタールピッチを用いる、請求項1〜3の何れか1項に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 水素化処理の条件が、300〜450℃、水素/ピッチ流量比が、ピッチ1キロリットル当たり100〜700Nm3/kL、水素分圧が5〜20MPa、液空間速度が0.1〜2h-1である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 水素化処理を連続固定床反応装置にて行う請求項1〜5の何れか1項に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 軽質油の分離を蒸留塔により行う請求項1〜6の何れか1項に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 更に、得られた水素化コールタールピッチから軽質油を分離する工程を有する請求項1〜7の何れか1項に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 水素化コールタールピッチから分離された軽質油を、水素化を行う反応器の冷却に用いる請求項8に記載の水素化コールタールピッチの製造方法。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の方法で水素化コールタールピッチを製造し、得られた水素化コールタールピッチをコークス化する、ピッチ系ニードルコークスの製造方法。
- 2600℃迄のパッフィングが3.4%以下であるピッチ系ニードルコークスを製造する、請求項10に記載のピッチ系ニードルコークスの製造方法。
- 熱膨張係数(CTE)が3.4×10-7/℃以下であるピッチ系ニードルコークスを製造する、請求項10又は11に記載のピッチ系ニードルコークスの製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015172253 | 2015-09-01 | ||
JP2015172253 | 2015-09-01 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017048380A true JP2017048380A (ja) | 2017-03-09 |
Family
ID=58278923
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016157927A Pending JP2017048380A (ja) | 2015-09-01 | 2016-08-10 | 水素化コールタールピッチの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017048380A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019188280A1 (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-03 | 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 | ニードルコークス用原料油及びニードルコークス |
CN113604241A (zh) * | 2021-08-26 | 2021-11-05 | 西北大学 | 中低温煤焦油沥青复合萃取改质制备针状焦的方法 |
CN114088877A (zh) * | 2021-10-21 | 2022-02-25 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高效溶解高温焦油的方法 |
CN115029156A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-09-09 | 中海油天津化工研究设计院有限公司 | 一种用于劣质重油精制制备炭材料的方法 |
-
2016
- 2016-08-10 JP JP2016157927A patent/JP2017048380A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019188280A1 (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-03 | 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 | ニードルコークス用原料油及びニードルコークス |
JPWO2019188280A1 (ja) * | 2018-03-26 | 2021-05-27 | 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 | ニードルコークス用原料油及びニードルコークス |
JP7252208B2 (ja) | 2018-03-26 | 2023-04-04 | 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 | ニードルコークス用原料油及びニードルコークス |
CN113604241A (zh) * | 2021-08-26 | 2021-11-05 | 西北大学 | 中低温煤焦油沥青复合萃取改质制备针状焦的方法 |
CN114088877A (zh) * | 2021-10-21 | 2022-02-25 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高效溶解高温焦油的方法 |
CN114088877B (zh) * | 2021-10-21 | 2024-03-12 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高效溶解高温焦油的方法 |
CN115029156A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-09-09 | 中海油天津化工研究设计院有限公司 | 一种用于劣质重油精制制备炭材料的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5483334B2 (ja) | 石油コークスの製造方法 | |
JP5266504B2 (ja) | 低cte黒鉛電極の原料となる針状コークスの製造方法 | |
JP2017048380A (ja) | 水素化コールタールピッチの製造方法 | |
US20110044881A1 (en) | Method For The Catalytic Extraction Of Coal | |
KR20110121694A (ko) | 코크스 제조용 점결재의 제조 방법 및 코크스의 제조 방법 | |
EP0175518B1 (en) | Process for the preparation of super needle coke | |
JP2017048379A (ja) | コールタールピッチ及びその製造方法 | |
JP4809676B2 (ja) | 石油コークス及びその製造方法 | |
JP7252208B2 (ja) | ニードルコークス用原料油及びニードルコークス | |
JP2018123322A (ja) | 水素化コールタールピッチの製造方法 | |
Elkasabi et al. | Biobased tar pitch produced from biomass pyrolysis oils | |
JPS6328477B2 (ja) | ||
JP2008150399A (ja) | 石油コークス及びその製造方法 | |
JP6766528B2 (ja) | 水素化コールタールピッチの製造装置 | |
JP2015193805A (ja) | 水素化コールタールピッチの製造方法 | |
JPS60149690A (ja) | ニ−ドルコ−クスの製造方法 | |
JP2019006995A (ja) | コールタールピッチの水素化反応装置及び水素化コールタールピッチの製造装置 | |
CN111892950B (zh) | 一种组合工艺生产针状焦的方法 | |
CN104862005A (zh) | 一种生产石油焦的方法 | |
JP2015166444A (ja) | 水素化コールタールピッチ及びその製造方法 | |
JP2015166443A (ja) | 水素化コールタールピッチ及びその製造方法 | |
CN109370630B (zh) | 一种制备煤系针状焦原料的方法 | |
JP5652060B2 (ja) | ニードルコークス製造用石炭系原料の製造方法及びニードルコークスの製造方法 | |
CN116376596A (zh) | 一种针状焦原料的生产方法 | |
JP5652059B2 (ja) | ニードルコークス製造用石炭系原料油及びニードルコークスの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170421 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190802 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200529 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200616 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20200807 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20201215 |