JP5548777B2 - 同期機起動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、同期機起動装置に関し、特に、同期機の回転子位置を検出する同期機起動装置に関する。
発電機および電動機等の同期機を起動するための同期機起動装置が開発されている。従来、同期機起動装置では、同期機の回転子の位置を近接スイッチ等により検出する機械式分配器が用いられている。しかしながら、機械式分配器は壊れやすく、配線が多いためにノイズの影響を受けやすい。
本願の発明者らは、このような機械式分配器を不要とする同期機起動装置を発明し、国際特許出願として出願した(国際公開第2010/038282号(特許文献1)参照)。以下、この特許文献に記載された実施の一形態に従う同期機器同装置について説明する。
この同期機起動装置は、電力変換部と、交流電圧検出器と、交流電流検出器と、回転子位置検出部と、電力変換制御部とを備える。交流電圧検出器および交流電流検出器は、同期機の電機子に供給されるまたは電機子で生成される三相交流電圧および三相交流電流をそれぞれ検出し、検出値を回転子位置検出部へ出力する。回転子位置検出部は、ゼロクロス検出部と、第1のPLL(Phase Locked Loop)部と、第2のPLL部と、選択回路とを含む。ゼロクロス検出部は、交流電圧検出器によって検出された交流電圧のゼロクロス検出を行なう。第1のPLL部は、所定周波数を有する交流信号である位置信号を出力する。ここで、所定周波数は、同期機の待機時における回転子の予め定められた回転速度に対応する周波数である。第1のPLL部は、ゼロクロス検出部から受けた検出信号に基づいて位置信号の位相を調整する。第2のPLL部は、交流電圧検出器および交流電流検出器から受けた検出値に基づいて、電機子の誘起電圧の誤差が小さくなるようにフィードバック演算によって同期機の回転子位置を示す推定位相を算出し、算出した推定位相から得られる位置信号を出力する。選択回路は、同期機の起動時、ゼロクロス検出部からの検出信号、第1のPLL部からの位置信号、および第2のPLL部からの位置信号をこの順番で選択し、選択した位置信号を、同期機の回転子位置を示す回転子位置信号として電力変換制御部へ出力する。
国際公開第2010/038282号
ところで、同期機の定格回転速度は、たとえば、3000rpm〜3600rpmであるのに対して、待機時の回転速度は低速であり、たとえば、数rpmである。同期機を停止した場合には、同期機の回転子はしばらくの間は惰性で回転し続けるので、すぐには待機時の回転速度まで戻らない。
上記の同期機起動装置は、待機状態にある同期機を安定して起動することを目的としているため、同期機の停止後しばらくの間は再起動がかけられず、待機状態の回転速度に戻ってから再起動する必要がある。
それゆえに、本発明の目的は、待機状態だけでなく、同期機の停止後で待機状態の回転速度に戻っていないときでも同期機を安定して起動することができる同期機起動装置を提供することである。
この発明の第1の局面に係る同期機起動装置は、電力変換部と、交流電圧検出部と、交流電流検出部と、回転子位置検出部と、電力変換制御部とを備える。電力変換部は、供給された電力を交流電力に変換して同期機の電機子に供給する。交流電圧検出部は、同期機の電機子に供給されるまたは電機子で生成される交流電圧を検出する。交流電流検出部は、同期機の電機子に供給されるまたは電機子で生成される交流電流を検出する。回転子位置検出部は、検出された交流電圧および交流電流に基づいて、同期機の回転子位置を検出する。電力変換制御部は、検出された回転子位置に基づいて、電力変換部を制御する。上記の回転子位置検出部は、タイミング検出部と、フィードバック演算部と、周波数検出部と、選択回路とを含む。タイミング検出部は、検出された交流電圧の値が所定の基準レベルを通過するタイミングを示す第1の位置信号を出力する。フィードバック演算部は、回転子位置を示す推定位相、同期機の回転子の推定回転速度、ならびに検出された交流電圧および交流電流に基づいて推定位相の誤差を算出し、算出された位相誤差に基づいて推定位相および推定回転速度を更新し、更新された推定位相を示す第2の位置信号を出力する。周波数検出部は、推定回転速度の初期値に対応する初期周波数として用いるために、第1の位置信号に基づいて同期機起動装置の起動時における同期機の回転子の回転速度に対応する第1の周波数を検出する。選択回路は、第1の位置信号または第1の位置信号に基づいて得られる位置信号を選択して、同期機の回転子位置を示す信号として電力変換制御部へ出力し、第1の位置信号または第1の位置信号に基づいて得られる位置信号の選択を解除した後に、第2の位置信号を選択して同期機の回転子位置を示す信号として電力変換制御部へ出力する。
好ましくは、回転子位置検出部は、さらに、上記の第1の周波数および所定の第2の周波数のいずれか一方を初期周波数として選択する初期周波数選択部を含む。この場合、第2の周波数は、同期機の待機時における回転子の予め定められた回転速度に対応する周波数である。初期周波数選択部は、同期機起動装置の起動時に、検出された交流電圧の絶対値が所定値以上の場合に第1の周波数を選択する。初期周波数選択部は、同期機起動装置の起動時に、検出された交流電圧の絶対値が所定時間内に所定値に達しない場合に第2の周波数を選択する。
もしくは、上記のように第1または第2の周波数を選択する初期周波数選択部を含む場合に、初期周波数選択部は、同期機起動装置の起動時において、検出された交流電圧の値が基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数以上の場合に第1の周波数を選択する。初期周波数選択部は、同期機起動装置の起動時において、検出された交流電圧の値が基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数未満の場合に第2の周波数を選択する。
この発明の第2の局面において、上記の第1の局面の選択回路は、最初に第1の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力し、次に第2の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力する。
この発明の第3の局面において、上記の第1の局面の回転子位置検出部は、さらに、上記の初期周波数を有し、第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部を含む。第3の局面では、選択回路は、第1の位置信号、第3の位置信号および第2の位置信号をこの順番で選択して電力変換制御部へ出力する。
この発明の第4の局面において、上記の第1の局面の回転子位置検出部は、さらに、上記の初期周波数を有し、第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部を含む。第4の局面では、選択回路は、最初に第3の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力し、次に第2の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力する。
この発明の第5の局面において、上記の第1の局面の回転子位置検出部は、さらに、上記の初期周波数を有し、第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部を含む。第5の局面では、選択回路は、同期機起動装置の起動時に、検出された交流電圧の絶対値が所定値以上の場合に、最初に第1の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力し、次に第2の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力する。そして、選択回路は、同期機起動装置の起動時に、検出された交流電圧の絶対値が所定時間内に所定値に達しない場合に、第1の位置信号、第3の位置信号、および第2の位置信号をこの順番で選択して電力変換制御部へ出力する。
この発明の第6の局面において、上記の第1の局面の回転子位置検出部は、さらに、上記の初期周波数を有し、第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部を含む。第6の局面では、選択回路は、同期機起動装置の起動時において、検出された交流電圧の値が基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数以上の場合に、最初に第1の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力し、次に第2の位置信号を選択して電力変換制御部へ出力する。選択回路は、同期機起動装置の起動時において、検出された交流電圧の値が基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数未満の場合に、第1の位置信号、第3の位置信号、および第2の位置信号をこの順番で選択して電力変換制御部へ出力する。
上記の第2〜第4の局面において、好ましくは、選択回路は、検出された交流電圧の値が基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数を超えたとき、第2の位置信号を選択する。
上記の第2〜第4の局面において、好ましくは、選択回路は、検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となったとき、第2の位置信号を選択する。
上記の第2〜第4の局面において、好ましくは、選択回路は、検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となってから所定時間経過したとき、第2の位置信号を選択する。
上記の第3の局面において、好ましくは、選択回路は、検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となったとき、第3の位置信号を選択する。
上記の第3の局面において、好ましくは、選択回路は、検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となってから所定時間経過したとき、第3の位置信号を選択する。
上記の第2および第3の局面において、好ましくは、回転子位置検出部は、さらに、第1の位置信号をフィードバック演算部へ出力するか否かを切り替える切り替え回路を含む。フィードバック演算部は、切り替え回路から受けた第1の位置信号に基づいて第2の位置信号の位相を調整する。選択回路は、フィードバック演算部が第1の位置信号に基づいて第2の位置信号の位相を調整した後、第2の位置信号を選択する。
上記の第3および第4の局面において、好ましくは、回転子位置検出部は、さらに、第1の位置信号を交流信号生成部へ出力するか否かを切り替える第1の切り替え回路を含む。交流信号生成部は、第1の切り替え回路から受けた第1の位置信号に基づいて第3の位置信号の位相を調整する。選択回路は、交流信号生成部が第1の位置信号に基づいて第3の位置信号の位相を調整した後、第3の位置信号を選択する。
上記の第3および第4の局面において、さらに好ましくは、回転子位置検出部は、さらに、第3の位置信号をフィードバック演算部へ出力するか否かを切り替える第2の切り替え回路を含む。フィードバック演算部は、第2の切り替え回路から受けた第3の位置信号に基づいて第2の位置信号の位相を調整する。選択回路は、フィードバック演算部が第3の位置信号に基づいて第2の位置信号の位相を調整した後、第2の位置信号を選択する。
本発明によれば、待機状態だけでなく、同期機の停止後で待機状態の回転速度に戻っていないときでも、同期機を安定して起動することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置の構成を示す図である。 回転子位置検出部11の構成を示す図である。 PLL部22の構成を概念的に示す図である。 PLL部22によって生成される位相信号PH1および位置信号POS1の波形を示す図である。 PLL部22による位相信号PH1の位相調整を示す図である。 PLL部23の構成を示す図である。 PLL回路34の構成を概念的に示す図である。 図2の切り替え制御部27による制御手順を示すフローチャートである。 同期機を初期状態から起動する場合の手順を示すフローチャートである。 図8の制御手順の変形例を示すフローチャートである。 回転子位置検出部の動作を示すタイムチャートである。 回転子位置検出部11の変形例の構成を示す図である。 回転子位置検出部11の変形例のPLL回路34における積分部の構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る回転子位置検出部の構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るPLL回路34における積分部の構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る同期機起動装置における積分部の変形例の構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る回転子位置検出部の構成を示す図である。 図17の切り替え制御部27による制御手順を示すフローチャートである。 同期機を初期状態から起動する場合の手順を示すフローチャートである。 図18の制御手順の変形例を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る回転子位置検出部の構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置の構成を示す図である。
図1を参照して、同期機起動装置101は、電力変換部71と、交流電圧検出器8と、交流電流検出器9と、回転子位置検出部11と、インバータ制御部(電力変換制御部)19とを備える。電力変換部71は、コンバータ1と、インバータ2と、直流リアクトル3とを含む。インバータ制御部19は、基準正弦波演算器12と、ゲートパルス発生器13と、β指令回路14とを含む。
同期機4およびモータMは、軸SHを介して接続されている。同期機4はたとえば同期発電機または同期電動機であり、電機子および回転子を有する。モータMは、同期機4の待機時、所定速度で回転する。この回転速度は低速であり、たとえば数rpmである。これに対して、通常時の回転速度は3000rpm〜3600rpmである。このため、起動時に同期機4の電機子に印加される電圧は、前述のように定常時の1/1000と非常に小さく、交流電圧検出器8による検出電圧は歪んでいる場合も多いことから、正確に検出することは困難である。
コンバータ1は、サイリスタなどの複数の素子からなり、交流電源e1からの交流電力を直流電力に変換する。
インバータ2は、サイリスタなどの複数の素子からなり、コンバータ1により得られる直流電力を交流電力に変換して同期機4の電機子に供給することにより、同期機4を駆動する。
コンバータ1およびインバータ2は、直流リアクトル3を介して接続されている。インバータ2の交流側は同期機4の電機子に接続されている。
交流電圧検出器8は、同期機4の電機子に供給されるまたは電機子で生成される三相交流電圧(以下、電機子電圧と称する)を検出し、電圧検出値V1,V2,V3を回転子位置検出部11へ出力する。
交流電流検出器9は、同期機4の電機子に供給される三相交流電流(以下、電機子電流と称する)を検出し、電流検出値I1,I2,I3を回転子位置検出部11へ出力する。
回転子位置検出部11は、交流電圧検出器8および交流電流検出器9から受けた各検出値に基づいて、同期機4の回転子位置(位相)を検出し、同期機4の回転子位置を示す回転子位置信号POSをインバータ制御部19へ出力する。
インバータ制御部19は、回転子位置検出部11から受けた回転子位置信号POSに基づいてインバータ2を制御する。
インバータ制御部19において、基準正弦波演算器12は、回転子位置検出部11から受けた位置信号POSに基づいて、基準正弦波sinφを出力する。
β指令回路14は、制御進み角指令値βを演算し、ゲートパルス発生器13へ出力する。
ゲートパルス発生器13は、基準正弦波演算器12から受けた基準正弦波sinφと、β指令回路14から受けた制御進み角指令値βとに基づいて、インバータ2における各素子へゲートパルスを出力する。
図2は、回転子位置検出部11の構成を示す図である。
図2を参照して、回転子位置検出部11は、ゼロクロス検出部(タイミング検出部)21と、PLL(Phase Locked Loop)部(交流信号生成部)22と、PLL部(フィードバック演算部)23と、周波数検出部24と、周波数記憶部25と、切り替え制御部27と、選択回路SELと、切り替え回路SW3と、切り替え回路(初期周波数選択部)SW8とを含む。選択回路SELは、切り替え回路SW1およびSW2を含む。
ゼロクロス検出部21は、交流電圧検出器8から受けた電圧検出値V1,V2,V3に基づいて、同期機4の電機子電圧のゼロクロス検出を行なう。すなわち、ゼロクロス検出部21は、同期機4の電機子電圧の値が基準レベルとしての略ゼロボルトを通過するタイミングを検出し、検出したタイミングを示す検出信号ZDETを出力する。さらに、ゼロクロス検出部21は、検出信号ZDETから推定される同期機4の回転子の位相を示す検出信号SETを出力する。
切り替え回路SW3は、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETをPLL部22へ出力するか否かを切り替える。切り替え回路SW3の切り替えは、切り替え制御部27から出力された制御信号CTL2によって制御される。
周波数検出部24は、同期機起動装置の起動時に、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETに基づいて、同期機4の回転子の回転速度に対応する周波数F1を検出する。たとえば、周波数F1は、各相のゼロクロス周期の逆数として求めることができる。
周波数記憶部25は、予め設定された周波数F2を記憶する。周波数F2は、同期機4の待機時における回転子の予め定められた回転速度に対応する周波数である。
切り替え回路SW8は、周波数検出部24によって検出された周波数F1および周波数記憶部25に記憶された周波数F2のうち一方を選択し、選択した周波数を初期周波数FIとしてPLL部22および23へ入力する。切り替え回路SW8による周波数F1またはF2の選択は、切り替え制御部27から出力された制御信号CTL3によって制御される。
PLL部22は、切り替え回路SW8から入力された初期周波数FIを有する交流信号である位置信号POS1を出力する。PLL部22は、切り替え回路SW3から受けた検出信号SETに基づいて位置信号POS1の位相を調整する。
図3は、PLL部22の構成を概念的に示す図である。図4は、PLL部22によって生成される位相信号PH1および位置信号POS1の波形を示す図である。図5は、PLL部22による位相信号PH1の位相調整を示す図である。
図3〜図5を参照して、PLL部22は、積分器INTと、位置信号生成器PGENとを含む。積分器INTは、切り替え回路SW8から入力された初期周波数FIに相当する値を積分して位相θに変換し、位相信号PH1として出力する。積分器INTは、位相θが360°になると0°にリセットする。すなわち、位相信号PH1は、0°から360°まで値が変化する交流信号である。さらに、積分器INTは、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETが示す30°、90°、150°等の角度に基づいて、位相θを補正する。位置信号生成器PGENは、積分器INTから受けた位相信号PH1の示す位相に基づいて位置信号POS1を生成する。図4に示すように、たとえば、位置信号生成器PGENは、位相信号PH1を従来の機械式分配器と同様のパルス状の交流信号に変換し、位置信号POS1として出力する。より詳細には、たとえば、位置信号POS1は、位相信号PH1の示す位相が360°から0°に遷移したときに論理レベルがローレベルからハイレベルへ立ち上がり、位相信号PH1の示す位相が180°に遷移したときに論理レベルがハイレベルからローレベルへ立ち下がる。
PLL部22では、最初は任意のタイミングで位相θの増加が開始されるが、検出信号SETを受けて位相θが調整され、同期機4の電機子電圧と同期する、すなわち位相が一致するようになる。
再び図2を参照して、PLL部23は、同期機4の回転子位置を示す推定位相(すなわち後述する位相信号PH2)、同期機4の回転子の推定回転速度、交流電圧検出器8から受けた電圧検出値V1,V2,V3、および交流電流検出器9から受けた電流検出値I1,I2,I3に基づいて推定位相の誤差を算出し、算出された位相誤差に基づいて推定位相および推定回転速度を更新する。そして、PLL部23は、更新した推定位相から得られる位置信号POS2を出力するとともに、更新した推定位相および更新した推定回転速度と、新たに交流電圧検出器8から受けた電圧検出値V1,V2,V3および新たに交流電流検出器9から受けた電流検出値I1,I2,I3とに基づいて推定位相の誤差を新たに算出するフィードバック演算を行なう。
図6は、PLL部23の構成を示す図である。
図6を参照して、PLL部23は、三相二相変換回路31および32と、誘起電圧演算回路33と、PLL回路34と、位置信号生成器35とを含む。
三相二相変換回路31は、基準位相φに基づいて、交流電圧検出器8から受けた電圧検出値V1,V2,V3を三相二相変換(d−q変換)する。
三相二相変換回路32は、基準位相φに基づいて、交流電流検出器9から受けた電流検出値I1,I2,I3を三相二相変換(d−q変換)する。
誘起電圧演算回路33は、三相二相変換回路31によって変換された電圧値VdおよびVqならびに三相二相変換回路32によって変換された電流値IdおよびIqに基づいて、同期機4の電機子に誘起される誘起電圧を演算する。
三相二相変換回路31および32によって電圧および電流の座標変換すなわち三相二相変換を行なうためには、同期機4の回転子の回転に同期した基準位相が必要になる。ところが、機械式分配器などの位置センサが無い場合、この信号が直接得られない。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置では、三相二相変換回路31および32は、同期機起動装置101の起動時に基準位相φの初期値が与えられ、座標変換を行なう。
そして、誘起電圧演算回路33は、三相二相変換回路31および32によって変換されたd−q軸上の電圧値および電流値に基づいて同期機4のd軸(同相成分)−q軸(直交成分)上での電機子の誘起電圧を計算する。誘起電圧を計算するためには、回転速度ωが必要になるが、位置センサがないため、同期機起動装置101の起動時に同期機4の回転速度ωの初期値に対応する初期周波数として、切り替え回路SW8によって選択された周波数FIが誘起電圧演算回路33に与えられる。
誘起電圧演算回路33によって計算された誘起電圧のq軸成分Zqすなわち基準位相φに対する直交成分がゼロでない場合には、計算結果が基準位相φに対してずれている。この誘起電圧のq軸成分Zqが、同期機4における回転子の推定位相の誤差に相当する。そこで、誘起電圧のq軸成分Zqがゼロとなるような制御を行なうPLL回路34を設ける。PLL回路34は、誘起電圧のq軸成分Zqがゼロになるような回転速度ωすなわち同期機4の回転子の推定回転速度と、基準位相φすなわち同期機4の回転子の推定位相とを算出する。
図7は、PLL回路34の構成を概念的に示す図である。
図7を参照して、PLL回路34は、PI制御器36と、積分器INTとを含む。PI制御器36は、図6の誘起電圧演算回路33から出力された誘起電圧のq軸成分Zqに対して比例演算および積分演算を行ない、比例演算結果と積分演算結果との和を出力する。PI制御器36から出力された信号は、同期機4の回転子の推定回転速度ωとなる。積分器INTは、PI制御器36から出力された推定回転速度ωを積分して位相θに変換する。積分器INTは、位相θが360°になると位相θの値を0°にリセットする。すなわち、図7において積分器INTを含む積分部70から出力される位相信号PH2は、0°から360°まで値が変化する交流信号である。位相信号PH2は、回転子の基準位相φとなる。
再び図6を参照して、PLL回路34によって算出された基準位相φは、三相二相変換回路31および32にフィードバックされるとともに、位置信号生成器35へ出力される。そして、位置信号生成器35によって機械式分配器と同様のパルス状波形を有する位置信号POS2が選択回路SELへ出力される。三相二相変換回路31および32は、以後、PLL回路34からの基準位相φに基づいて三相二相変換を行なう。
PLL回路34によって算出された回転速度ωは、誘起電圧演算回路33に与えられる。誘起電圧演算回路33は、以後、PLL回路34からの回転速度ωに基づいて、誘起電圧(同相成分)Zdおよび誘起電圧(直交成分)Zqを演算する。
本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置では、PLL回路34は、誘起電圧のq軸成分Zqのみに基づいて回転速度ωおよび基準位相φを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。PLL回路34は、q軸成分Zqおよびd軸成分Zdに基づいて回転速度ωおよび基準位相φを算出する構成であってもよい。このような構成により、さらに正確な演算が可能となる。
再び図2を参照して、選択回路SELは、検出信号ZDET、位置信号POS1および位置信号POS2のいずれか1つを選択し、同期機4の回転子位置を示す回転子位置信号POSとしてインバータ制御部19へ出力する。選択回路SELによる検出信号ZDET、位置信号POS1、および位置信号POS2の選択は、切り替え制御部27から出力された制御信号CTL1によって制御される。
切り替え制御部27は、主として、交流電圧検出器8によって検出された電機子電圧の振幅に基づいて、選択回路SEL、切り替え回路SW3、および切り替え回路SW8を制御する。そして、切り替え制御部27は、これらを制御するための制御信号CTL1,CTL2,CTL3を、選択回路SEL、切り替え回路SW3、および切り替え回路SW8にそれぞれ出力する。
図8は、図2の切り替え制御部27による制御手順を示すフローチャートである。
図2、図8を参照して、同期機起動装置が起動され、同期機4が励磁されると、同期機4の電機子巻線には現在の回転子の回転速度に応じた交流電圧が発生する。切り替え制御部27は、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETが回転子位置信号POSとして出力されるように、選択回路SELを制御する(ステップS1)。さらに、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオン状態にする(ステップS2)。
次のステップS3で、切り替え制御部27は、同期機起動装置の起動時における電機子電圧の振幅AMPが所定の基準値R1以上であるか否かを判定する。電機子電圧の振幅AMPが基準値R1以上の場合(ステップS3でYES)、切り替え制御部27は、周波数検出部24で検出された周波数F1が初期周波数FIとして出力されるように、切り替え回路SW8を制御する(ステップS5)。振幅AMPが基準値R1以上であることは、電機子電圧の絶対値が基準値R1に達した時点で判定できる。以上の切り替え回路SW3,SW8の切り替えによって、PLL部22は、ゼロクロス検出部21から出力される検出信号ZDETと周波数および位相が略等しい位置信号POS1を出力する。
ステップS5より後の制御手順は、電機子電圧の振幅AMPが基準値R2(R2はR1よりさらに大きな値に設定される)以上であるか否かによって異なる。電機子電圧の振幅AMPが基準値R2未満の場合には(ステップS6でNO)、切り替え制御部27は、図1のインバータ2が起動する直前に、PLL部22から出力された位置信号POS1を選択回路SELによって選択し、選択した位置信号POS1を回転子位置信号POSとして出力させる(ステップS7)。さらに、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオフ状態にする(ステップS8)。この結果、PLL部22は、ゼロクロス検出部21の影響を受けずに自走状態となるので、インバータ2の起動直後のスイッチングノイズの影響を避けることができる。切り替え制御部27は、インバータ2の起動後に選択回路SELによって、PLL部23から出力された位置信号POS2を回転子位置信号POSとして選択して出力させる(ステップS9)。
一方、電機子電圧の振幅AMPが基準値R2以上の場合には(ステップS6でYES)、インバータ2の起動直後のスイッチングノイズは問題とならないので、上記のステップS7,S8は実行されない。この場合、切り替え制御部27は、たとえば、所定時間内のゼロクロス回数が所定回数に達すると(すなわち、同期機の回転子の現在の回転速度に対応する周波数が所定周波数を超えると)、選択回路SELによって、PLL部23から出力された位置信号POS2を回転子位置信号POSとして選択する(ステップS9)。
ステップS3において、電機子電圧の振幅AMPが基準値R1未満の場合には(ステップS3でNO)、同期機起動装置はリセットされ(ステップS4)、同期機は初期状態(ターニング運転)から起動される。具体的な手順は図9に示される。
図9は、同期機を初期状態から起動する場合の手順を示すフローチャートである。同期機を初期状態(ターニング運転)から起動する場合には、図2の交流電圧検出器8によって検出される電機子電圧はかなり小さな値でありオフセットも含んでいる。したがって、周波数検出部24によって回転子の回転速度に対応する周波数F1を検出することは困難であるので、初期周波数FIとして所定の周波数F2が用いられる。
図2、図9を参照して、まず、切り替え制御部27は、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETが回転子位置信号POSとして出力されるように、選択回路SELを制御する(ステップS1)。さらに、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオン状態にするとともに(ステップS2)、所定の周波数F2が初期周波数FIとして出力されるように、切り替え回路SW8を制御する(ステップS5A)。これによって、PLL部22は、ゼロクロス検出部21から出力される検出信号ZDETと周波数および位相が略等しい位置信号POS1を出力する。その後、切り替え制御部27は、図1のインバータ2が起動する直前に、選択回路SELによって、PLL部22から出力された位置信号POS1を回転子位置信号POSとして選択して出力させる(ステップS7)。さらに、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオフ状態にする(ステップS8)。この結果、PLL部22は、ゼロクロス検出部21の影響を受けずに自走状態となるので、インバータ2の起動直後のスイッチングノイズの影響を避けることができる。切り替え制御部27は、インバータ2の起動後に選択回路SELによって、PLL部23から出力された位置信号POS2を回転子位置信号POSとして選択して出力させる(ステップS9)。
図10は、図8の制御手順の変形例を示すフローチャートである。図8のステップS3,S6では電機子電圧の振幅AMPに基づいて制御が行われたが、図10のステップS3A,S6Aでは所定時間内のゼロクロス回数に基づいて制御が行われる。すなわち、図10のステップS3Aでは、切り替え制御部27は、ゼロクロス検出部21の検出信号ZDETに基づいて、所定時間内のゼロクロス回数が所定の基準回数N1以上であるか否かを判定する。所定時間内のゼロクロス回数が基準回数N1以上の場合には処理はステップS5に進み、基準回数N1未満の場合には処理はステップS4に進む。図10のステップS6Aでは、切り替え制御部27は、所定時間内のゼロクロス回数が所定の基準回数N2(N2はN1より大きな値に設定される)以上であるか否かを判定する。所定時間内のゼロクロス回数が基準回数N2以上の場合には処理はステップS9に進み、基準回数N1未満の場合には処理はステップS7に進む。図10のその他の点は図8と同じであるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
図11は、回転子位置検出部の動作を示すタイムチャートである。
以下、図2、図11を参照して図8、図9の制御手順についてさらに説明する。以下の説明では、同期機4の電機子電圧の振幅AMPは基準値R2より小さいとする。
まず、インバータ2の起動前(すなわち、待機時のターニング運転中または同期機停止直後の惰性回転中)に、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETを選択する(図8、図9のステップS1)。すなわち、検出信号ZDETが回転子位置信号POSとして基準正弦波演算器12へ出力される。
インバータ2の起動前には、図2の切り替え回路SW3はオンされ(図8、図9のステップS2)、切り替え回路SW8によって周波数F1またはF2が選択される(図8のステップS5、図9のステップS5A)。PLL部22は、ゼロクロス検出部21から検出信号SETを受けてゼロクロス検出部21と同期し、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETと周波数および位相が略等しい位置信号POS1を出力する。
次に、インバータ2が起動されるタイミングT2の直前のタイミングT1において、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、PLL部22からの位置信号POS1を選択する(図8、図9のステップS7)。すなわち、位置信号POS1が回転子位置信号POSとして基準正弦波演算器12へ出力される。
タイミングT1においては、制御信号CTL2に従って、切り替え回路SW3がオフされる(図8、図9のステップS8)ため、PLL部22はゼロクロス検出部21の影響を受けず、自走状態となる。
ここで、同期機4の起動時においては、特にターニング運転中で回転子が極めて低速で回転している場合には、同期機4の電機子電圧は非常に小さい。このため、インバータ2の起動直後において、ゼロクロス検出部21はインバータ2のスイッチングノイズの影響を受けやすい。すなわち、ゼロクロス検出部21がゼロクロス点を誤検出してしまい、図11のNZで示すように誤った検出信号ZDETを出力してしまう。
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置では、タイミングT1においてPLL部22からの位置信号POS1を選択し、かつPLL部22を自走状態とする構成により、インバータ2のスイッチングノイズの影響を防ぐことができる。タイミングT1より前において切り替え回路SW3をオンしてPLL部22とゼロクロス検出部21との同期をとることにより、自走状態における位置信号POS1と同期機4の電機子電圧の位相とを略一致させることができる。
上記の構成に代えて、選択回路SELは、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値より大きくなる時をタイミングT1とし、PLL部22からの位置信号POS1を選択する構成であってもよい。これにより、同期機4の励磁が行なわれた後、同期機4の電機子電圧の振幅が、ゼロクロス検出を行なうために十分な大きさとなった状態において、PLL部22がゼロクロス検出部21と同期をとることができる。
起動直後は同期機4の回転速度が低速であるため、同期機4の電機子電圧の周期が長い場合がある。このため、選択回路SELは、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値より大きくなってから所定時間経過した時をタイミングT1とし、PLL部22からの位置信号POS1を選択する構成であってもよい。この所定時間は、ゼロクロス検出を正確に行なうことが可能となるような時間が設定される。これにより、同期機4の電機子電圧をより正確に検出することができる。
次に、インバータ2が起動されるタイミングT2から所定時間経過したタイミングT3において、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、PLL部23からの位置信号POS2を選択する(図8、図9のステップS9)。すなわち、位置信号POS2が回転子位置信号POSとして基準正弦波演算器12へ出力される。
インバータ2が起動されるタイミングT2から所定時間経過したタイミングT3では、同期機4の電機子電圧の振幅は起動時と比べて大きくなることから、インバータ2のスイッチングノイズの影響はほぼなくなり、同期機4の電機子電圧および電機子電流を用いてより正確に回転子位置を推定することができ、同期機4を安定して回転させることができる。
上記の構成に代えて、選択回路SELは、インバータ2が起動されるタイミングT2の後、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値を超えた時をタイミングT3とし、PLL部23からの位置信号POS2を選択する構成であってもよい。
選択回路SELは、インバータ2が起動されるタイミングT2の後、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値を超えてから所定時間経過したときをタイミングT3とし、PLL部23からの位置信号POS2を選択する構成であってもよい。
もしくは、選択回路SELは、インバータ2が起動されるタイミングT2の後で、ゼロクロス検出部21で得られた所定時間内のゼロクロス回数が所定回数を超えたとき(すなわち、同期機の現在の回転速度に対応する周波数が所定周波数を超えたとき)をタイミングT3とし、PLL部23からの位置信号POS2を選択する構成であってもよい。
ここで、回転子位置検出部11の機能をソフトウェアによって実現する、たとえば同期機起動装置101において各種制御を行なうDSP(Digital Signal Processor)などに回転子位置検出部11の機能を組み込むことにより、製造コストを低減することができる。
さらに、同期機4およびモータMが設置される場所に分配器を取り付ける手間を省くことができる。
本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置では、回転子位置検出部11は、ゼロクロス検出部21と、PLL部22と、PLL部23とを含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。回転子位置検出部11がPLL部22を備えない構成であっても、すなわち、同期機4の起動時、回転子位置信号POSとして、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETおよびPLL部23からの位置信号POS2をこの順番で選択する構成であっても、起動時において同期機4の電機子電圧を高精度で検出することができるため、同期機4を安定して起動することが可能である。
回転子位置検出部11がPLL部22を備えない場合においても、タイミングT3は、タイミングT2から所定時間経過したとき、タイミングT2の後であって同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値を超えたとき、タイミングT2の後であって同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値を超えてから所定時間経過したときのいずれかに設定することができる。タイミングT3は、タイミングT2の後であって、ゼロクロス検出部21で得られた所定時間内のゼロクロス回数が所定回数を超えたとき(すなわち、同期機の現在の回転速度に対応する周波数が所定周波数を超えたとき)に設定することもできる。
図12は、回転子位置検出部11の変形例の構成を示す図である。
図12を参照して、回転子位置検出部81は、ゼロクロス検出部(タイミング検出部)21と、PLL部(交流信号生成部)22と、PLL部(フィードバック演算部)23と、周波数検出部24と、周波数記憶部25と、切り替え制御部27と、選択回路SELと、切り替え回路SW3と、切り替え回路(初期周波数選択部)SW8とを含む。選択回路SELは、切り替え回路SW1およびSW2を含む。
図8で説明したように、同期機起動装置の起動時において、電機子電圧の振幅AMPが基準値R2以上の場合(図8のステップS6でYES)、交流電圧検出器8による検出電圧がインバータ2の起動直後におけるスイッチングノイズの影響を受けにくい。この場合には、選択回路SELが、PLL部22からの位置信号POS1を省略し、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETをPLL部23からの位置信号POS2に直接切り替える(図8のステップS9)。
このように、選択回路SELが検出信号ZDETを位置信号POS2に直接切り替える場合には、位置信号POS2を電機子電圧に早期に同期させる必要がある。そこで、図12の切り替え回路SW3は、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETをPLL部22および23へ出力するか否かを切り替える。
PLL部23は、切り替え回路SW3から受けた検出信号SETに基づいて位置信号POS2の位相を調整する。
図13は、回転子位置検出部11の変形例のPLL回路34における積分部72の構成を示す図である。
図13を参照して、PLL回路34は、図7の積分部70に代えて積分部72を含む。積分部72は、図3に示すPLL部22と同様の構成を有する。すなわち、積分器INTは、図7のPI制御器36によって算出された回転速度ωを積分して位相θに変換し、基準位相φすなわち位相信号PH2として出力する。積分器INTは、位相θが360°になると0°にリセットする。さらに、積分器INTは、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETが示す30°、90°、150°等の角度に基づいて、位相θを補正する。
積分部72では、最初は任意のタイミングで位相θの増加が開始されるが、検出信号SETを受けて位相θが調整され、同期機4の電機子電圧と同期する、すなわち位相が一致するようになる。
再び図12を参照して、選択回路SELは、検出信号ZDETを選択し、その後、PLL部23が検出信号SETに基づいて位置信号POS2の位相を調整した後、位置信号POS2を選択する。
上記の積分部72の構成とすることによって、回転子位置検出部81では、検出信号ZDETから位置信号POS2へ切り替えた後、同期機4の電機子電圧に位置信号POS2を早期に同期させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る同期機起動装置では、電力変換部71は、コンバータ1と、インバータ2と、直流リアクトル3とを含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。電力変換部71は、コンバータ1、インバータ2および直流リアクトル3の代わりに、マトリックスコンバータ等、供給された電力を交流電力に変換して同期機4の電機子に供給する何らかの回路を含む構成であればよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る同期機起動装置と比べて位置信号POS2の初期位相の調整機能を変更した同期機起動装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る同期機起動装置と同様である。
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る回転子位置検出部の構成を示す図である。
図14を参照して、回転子位置検出部82は、本発明の第1の実施の形態に係る回転子位置検出部11と比べて、さらに、切り替え回路SW4を含む。
切り替え回路SW4は、PLL部22から受けた位相信号PH1をPLL部23へ出力するか否かを切り替える。
PLL部23は、切り替え回路SW4から受けた位相信号PH1に基づいて位置信号POS2の位相を調整する。
たとえば、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、位置信号POS1を選択し、その後、PLL部23が位相信号PH1に基づいて位置信号POS2の位相を調整した後、位置信号POS2を選択する。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係るPLL回路34における積分部の構成を示す図である。
図15を参照して、PLL回路34は、図7の積分部70に代えて積分部73を含む。積分部73は、図3に示すPLL部22と同様の構成を有する。すなわち、積分器INTは、図7のPI制御器36によって算出された回転速度ωを積分して位相θに変換し、基準位相φすなわち位相信号PH2として出力する。積分器INTは、位相θが360°になると0°にリセットする。さらに、積分器INTは、PLL部22から受けた位相信号PH1が示す角度に基づいて、位相θを補正する。
積分部73では、最初は任意のタイミングで位相θの増加が開始されるが、位相信号PH1を受けて位相θが調整され、同期機4の電機子電圧と同期する、すなわち位相が一致するようになる。
ところで、位相信号PH2は、交流電圧検出器8から受けた電圧検出値V1,V2,V3および交流電流検出器9から受けた電流検出値I1,I2,I3に基づいて生成される。インバータ2が起動されるタイミングT2から所定時間経過したタイミングT3において、選択回路SELによる選択が位置信号POS1から位置信号POS2へ切り替えられる。このタイミングT3は、同期機4の電機子電圧の振幅が十分に大きくなるまでの過渡期にあるため、積分部73を任意のタイミングで動作させると、同期機4の電機子電圧に位置信号POS2が同期するまでに時間を要する場合がある。
しかしながら、本発明の第2の実施の形態に係る同期機起動装置では、位相信号PH2の初期値を位相信号PH1に合わせることにより、PLL部23による同期機4の回転子位置推定を、同期機4の電機子電圧と略一致した位相から開始することができる。すなわち、位置信号POS1から位置信号POS2へ切り替えた後、同期機4の電機子電圧に位置信号POS2を早期に同期させることができる。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る同期機起動装置における積分部の変形例の構成を示す図である。
図16を参照して、積分部74は、積分器INTと、切り替え回路SW5,SW6,SW7とを含む。積分部74は、PLL部22および23によって共有されている。
より詳細には、切り替え回路SW5は、図14の切り替え回路SW8によって選択された周波数FIを積分器INTに与えるか図7のPI制御器36によって算出された回転速度ωを積分器INTに与えるかを切り替える。
切り替え回路SW6は、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETを積分器INTに与えるか否かを切り替える。
切り替え回路SW7は、積分器INTからの位相θを位相信号PH1として位置信号生成器へ出力するか位相信号PH2として位置信号生成器へ出力するかを切り替える。
積分部74は、図3に示すPLL部22と同様の構成を有する。すなわち、積分器INTは、切り替え回路SW5から与えられた周波数FIまたは回転速度ωを積分して位相θに変換して出力する。積分器INTは、位相θが360°になると0°にリセットする。さらに、積分器INTは、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETが示す30°、90°、150°等の角度に基づいて、位相θを補正する。
積分部74では、最初は任意の初期位相から位相θの増加が開始されるが、検出信号SETを受けて位相θが調整され、同期機4の電機子電圧と同期する、すなわち位相が一致するようになる。
次に、積分部74の動作について説明する。
まず、選択回路SELが制御信号CTL1に従ってPLL部22からの位置信号POS1を選択しているときには、切り替え回路SW5,SW6,SW7を端子a側に切り替える。すなわち、切り替え回路SW5は周波数FIを積分器INTに与え、切り替え回路SW6はゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETを積分器INTに与え、切り替え回路SW7は積分器INTからの位相θを位相信号PH1として位置信号生成器へ出力する。
次に、選択回路SELが制御信号CTL1に従ってPLL部23からの位置信号POS2を選択するのと同時に、切り替え回路SW5,SW7を端子b側に切り替え、切り替え回路SW6を開放状態とする。すなわち、切り替え回路SW5は、PI制御器36によって算出された回転速度ωを積分器INTに与え、切り替え回路SW6は、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETを積分器INTに与えず、切り替え回路SW7は、積分器INTからの位相θを位相信号PH2として位置信号生成器へ出力する。
このように、積分部74によれば、PLL部22および23における積分部を共通化することができるため、小型化を図ることができる。図14に示す回転子位置検出部82と比べて、PLL部22および23間において位相信号PH1を受け渡すことが不要となる。すなわち、積分器INTは、選択回路SELによる選択が位置信号POS1から位置信号POS2へ切り替えられるタイミングT3の直前の積分結果をそのまま引き継いで積分動作を行なえばよい。このような構成により、回路構成の簡略化を図ることができる。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る同期機起動装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る同期機起動装置と比べて回転子位置信号POSとして検出信号ZDETを選択しない構成とした同期機起動装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る同期機起動装置と同様である。
図17は、本発明の第3の実施の形態に係る回転子位置検出部の構成を示す図である。
図17を参照して、回転子位置検出部83は、本発明の第1の実施の形態に係る回転子位置検出部11と比べて、選択回路SELが切り替え回路SW1を含まない構成である。
選択回路SELは、位置信号POS1および位置信号POS2のいずれか一方を選択し、同期機4の回転子位置を示す回転子位置信号POSとしてインバータ制御部19へ出力する。
図18は、図17の切り替え制御部27による制御手順を示すフローチャートである。
図17、図18を参照して、同期機起動装置が起動され、同期機4が励磁されると、同期機4の電機子巻線には現在の回転子の回転速度に応じた電圧が発生する。切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオン状態にする(ステップS2)。
次のステップS3で、切り替え制御部27は、同期機起動装置の起動時における電機子電圧の振幅AMPが所定の基準値R1以上であるか否かを判定する。電機子電圧の振幅AMPが基準値R1以上の場合は(ステップS3でYES)、切り替え制御部27は、周波数検出部24で検出された周波数F1が初期周波数FIとして出力されるように、切り替え回路SW8を制御する(ステップS5)。以上の切り替え回路SW3,SW8の切り替えによって、PLL部22は、ゼロクロス検出部21から出力される検出信号ZDETと周波数および位相が略等しい位置信号POS1を出力する。
その後、図1のインバータ2が起動する直前に、切り替え制御部27は、選択回路SELによって、PLL部22から出力された位置信号POS1を回転子位置信号POSとして出力させる(ステップS7)。さらに、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオフ状態にする(ステップS8)。この結果、PLL部22は、ゼロクロス検出部21の影響を受けずに自走状態となる。切り替え制御部27は、インバータ2の起動後に選択回路SELによって、PLL部23から出力された位置信号POS2を回転子位置信号POSとして出力させる(ステップS9)。
一方、ステップS3でNOの場合(すなわち、電機子電圧の振幅AMPが基準値R1未満の場合)には、同期機起動装置はリセットされ(ステップS4)、同期機は初期状態(ターニング運転)から起動される。具体的な手順は図19に示される。
図19は、同期機を初期状態から起動する場合の手順を示すフローチャートである。
図17、図19を参照して、まず、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオン状態にするとともに(ステップS2)、所定の周波数F2が初期周波数FIとして出力されるように、切り替え回路SW8を制御する(ステップS5A)。これによって、PLL部22は、ゼロクロス検出部21から出力される検出信号ZDETと周波数および位相が略等しい位置信号POS1を出力する。その後、切り替え制御部27は、図1のインバータ2が起動する直前に、選択回路SELによって、PLL部22から出力された位置信号POS1を回転子位置信号POSとして選択して出力させる(ステップS7)。さらに、切り替え制御部27は、切り替え回路SW3をオフ状態にする(ステップS8)。この結果、PLL部22は、ゼロクロス検出部21の影響を受けずに自走状態となるので、インバータ2の起動直後のスイッチングノイズの影響を避けることができる。切り替え制御部27は、インバータ2の起動後に選択回路SELによって、PLL部23から出力された位置信号POS2を回転子位置信号POSとして選択して出力させる(ステップS9)。
図20は、図18の制御手順の変形例を示すフローチャートである。図18のステップS3では電機子電圧の振幅AMPに基づいて制御が行われたが、図20のステップS3Aでは所定時間内のゼロクロス回数に基づいて制御が行われる。すなわち、図20のステップS3Aでは、切り替え制御部27は、ゼロクロス検出部21の検出信号ZDETに基づいて、所定時間内のゼロクロス回数が所定の基準回数N1以上であるか否かを判定する。所定時間内のゼロクロス回数が基準回数N1以上の場合には処理はステップS5に進み、基準回数N1未満の場合には処理はステップS4に進む。図20のその他の点は図18と同じであるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
再び図11を参照して図18、図19の制御手順についてさらに説明する。
インバータ2の起動前(すなわち、待機時のターニング運転中または同期機停止直後の惰性回転中)に、まず、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、PLL部22からの位置信号POS1を選択する(図18、図19のステップS7)。すなわち、位置信号POS1が回転子位置信号POSとして基準正弦波演算器12へ出力される。
インバータ2の起動前には、切り替え回路SW3はオンされ(図18、図19のステップS2)、切り替え回路SW8によって周波数F1またはF2が選択される(図18のステップS5、図19のステップ5A)。PLL部22は、ゼロクロス検出部21から検出信号SETを受けてゼロクロス検出部21と同期し、ゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETと周波数および位相が略等しい位置信号POS1を出力する。
次に、インバータ2が起動されるタイミングT2の直前のタイミングT1において、制御信号CTL2に従って、切り替え回路SW3がオフされる(図18、図19のステップS8)。このため、PLL部22はゼロクロス検出部21の影響を受けず、自走状態となる。
ここで、同期機4の起動時においては、特にターニング運転中で回転子が極めて低速で回転している場合には、同期機4の電機子電圧は非常に小さい。このため、インバータ2の起動直後において、ゼロクロス検出部21はインバータ2のスイッチングノイズの影響を受けやすい。すなわち、ゼロクロス検出部21がゼロクロス点を誤検出してしまい、図11のNZで示すように誤った検出信号ZDETを生成してしまうことにより、誤った検出信号SETを出力してしまう。
しかしながら、本発明の第3の実施の形態に係る同期機起動装置では、タイミングT1においてPLL部22を自走状態とする構成により、インバータ2のスイッチングノイズの影響を防ぐことができる。タイミングT1より前において切り替え回路SW3をオンしてPLL部22とゼロクロス検出部21との同期をとっているため、自走状態においても位置信号POS1と同期機4の電機子電圧の位相とを略一致させることができる。
上記の構成に代えて、回転子位置検出部83は、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値より大きくなる時をタイミングT1とし、PLL部22を自走状態とする構成であってもよい。これにより、同期機4の励磁が行なわれた後、同期機4の電機子電圧の振幅が、ゼロクロス検出を行なうために十分な大きさとなった状態において、PLL部22がゼロクロス検出部21と同期をとることができる。
起動直後は同期機4の回転速度が低速であるため、同期機4の電機子電圧の周期が長い場合がある。このため、回転子位置検出部83は、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値より大きくなってから所定時間経過した時をタイミングT1とし、PLL部22を自走状態とする構成であってもよい。この所定時間は、ゼロクロス検出を正確に行なうことが可能となるような時間が設定される。これにより、同期機4の電機子電圧をより正確に検出することができる。
次に、インバータ2が起動されるタイミングT2から所定時間経過したタイミングT3において、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、PLL部23からの位置信号POS2を選択する(図18、図19のステップS9)。すなわち、位置信号POS2が回転子位置信号POSとして基準正弦波演算器12へ出力される。
インバータ2が起動されるタイミングT2から所定時間経過したタイミングT3では、同期機4の電機子電圧の振幅は起動時と比べて大きくなることから、インバータ2のスイッチングノイズの影響はほぼなくなり、同期機4の電機子電圧および電機子電流を用いてより正確に回転子位置を推定することができ、同期機4を安定して回転させることができる。
上記の構成に代えて、選択回路SELは、インバータ2が起動されるタイミングT2の後、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値を超えた時をタイミングT3とし、PLL部23からの位置信号POS2を選択する構成であってもよい。
選択回路SELは、インバータ2が起動されるタイミングT2の後、同期機4の電機子電圧の絶対値が所定値を超えてから所定時間経過した時をタイミングT3とし、PLL部23からの位置信号POS2を選択する構成であってもよい。
もしくは、選択回路SELは、インバータ2が起動されるタイミングT2の後で、ゼロクロス検出部21で得られた所定時間内のゼロクロス回数が所定回数を超えたとき(すなわち、同期機の現在の回転速度に対応する周波数が所定周波数を超えたとき)をタイミングT3とし、PLL部23からの位置信号POS2を選択する構成であってもよい。
本発明の第3の実施の形態に係る同期機起動装置では、PLL部22は、ゼロクロス検出部21から受けた検出信号SETに基づいて位置信号POS1の位相を調整する。これにより、回転子位置信号POSとしてゼロクロス検出部21からの検出信号ZDETを選択しなくても、回転子位置信号POSとして位置信号POS1を選択することで同期機4の回転子位置を良好に検出することが可能である。このような構成により、選択回路SELが切り替え回路SW1を含まない構成とすることができるため、同期機起動装置の小型化を図ることができる。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る同期機起動装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第3の実施の形態に係る同期機起動装置と比べて位置信号POS2の初期位相の調整機能を変更した同期機起動装置に関する。以下で説明する内容以外は第3の実施の形態に係る同期機起動装置と同様である。
図21は、本発明の第4の実施の形態に係る回転子位置検出部の構成を示す図である。
図21を参照して、回転子位置検出部84は、本発明の第3の実施の形態に係る回転子位置検出部83と比べて、さらに、切り替え回路SW4を含む。
切り替え回路SW4は、PLL部22から受けた位相信号PH1をPLL部23へ出力するか否かを切り替える。
PLL部23は、切り替え回路SW4から受けた位相信号PH1に基づいて位置信号POS2の位相を調整する。
たとえば、選択回路SELは、制御信号CTL1に従って、位置信号POS1を選択し、その後、PLL部23が位相信号PH1に基づいて位置信号POS2の位相を調整した後、位置信号POS2を選択する。
回転子位置検出部84のPLL回路34における積分部73および74の構成および動作は本発明の第2の実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
その他の構成および動作は第3の実施の形態に係る同期機起動装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 コンバータ、2 インバータ、3 直流リアクトル、8 交流電圧検出器、9 交流電流検出器、11,81,82,83,84 回転子位置検出部、12 基準正弦波演算器、13 ゲートパルス発生器、14 β指令回路、19 インバータ制御部(電力変換制御部)、21 ゼロクロス検出部(タイミング検出部)、22 PLL部(交流信号生成部)、23 PLL部(フィードバック演算部)、24 周波数検出部、25 周波数記憶部、27 切り替え制御部、31,32 三相二相変換回路、33 誘起電圧演算回路、34 PLL回路、71 電力変換部、101 同期機起動装置、SEL 選択回路、SW1〜SW7 切り替え回路、SW8 切り替え回路(初期周波数選択部)、INT 積分器、35,PGEN 位置信号生成器。

Claims (16)

  1. 同期機起動装置であって、
    供給された電力を交流電力に変換して同期機(4)の電機子に供給する電力変換部(71)と、
    前記同期機(4)の電機子に供給されるまたは電機子で生成される交流電圧を検出する交流電圧検出部(8)と、
    前記同期機(4)の電機子に供給されるまたは電機子で生成される交流電流を検出する交流電流検出部(9)と、
    前記検出された交流電圧および交流電流に基づいて、前記同期機(4)の回転子位置を検出する回転子位置検出部(11,81,82,83,84)と、
    前記検出された回転子位置に基づいて、前記電力変換部(71)を制御する電力変換制御部(19)とを備え、
    前記回転子位置検出部(11,81,82,83,84)は、
    前記検出された交流電圧の値が所定の基準レベルを通過するタイミングを示す第1の位置信号を出力するタイミング検出部(21)と、
    前記回転子位置を示す推定位相、前記同期機の回転子の推定回転速度、ならびに前記検出された交流電圧および交流電流に基づいて前記推定位相の誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて前記推定位相および前記推定回転速度を更新し、前記更新された推定位相を示す第2の位置信号を出力するフィードバック演算部(23)と、
    前記推定回転速度の初期値に対応する初期周波数として用いるために、前記第1の位置信号に基づいて前記同期機起動装置の起動時における前記同期機(4)の回転子の回転速度に対応する第1の周波数を検出する周波数検出部(24)と、
    前記第1の位置信号または前記第1の位置信号に基づいて得られる位置信号を選択して、前記同期機(4)の回転子位置を示す信号として前記電力変換制御部(19)へ出力し、前記第1の位置信号または前記第1の位置信号に基づいて得られる位置信号の選択を解除した後に、前記第2の位置信号を選択して前記同期機(4)の回転子位置を示す信号として前記電力変換制御部(19)へ出力する選択回路(SEL)とを含む同期機起動装置。
  2. 前記回転子位置検出部(11,81,82,83,84)は、さらに、前記第1の周波数および所定の第2の周波数のいずれか一方を前記初期周波数として選択する初期周波数選択部(SW8)を含み、
    前記第2の周波数は、前記同期機(4)の待機時における前記回転子の予め定められた回転速度に対応する周波数であり、
    前記初期周波数選択部(SW8)は、前記同期機起動装置の起動時に、前記検出された交流電圧の絶対値が所定値以上の場合に前記第1の周波数を選択し、
    前記初期周波数選択部(SW8)は、前記同期機起動装置の起動時に、前記検出された交流電圧の絶対値が所定時間内に前記所定値に達しない場合に前記第2の周波数を選択する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  3. 前記回転子位置検出部(11,81,82,83,84)は、さらに、前記第1の周波数および所定の第2の周波数のいずれか一方を前記初期周波数として選択する初期周波数選択部(SW8)を含み、
    前記第2の周波数は、前記同期機(4)の待機時における前記回転子の予め定められた回転速度に対応する周波数であり、
    前記初期周波数選択部(SW8)は、前記同期機起動装置の起動時において、前記検出された交流電圧の値が前記基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数以上の場合に前記第1の周波数を選択し、
    前記初期周波数選択部(SW8)は、前記同期機起動装置の起動時において、前記検出された交流電圧の値が前記基準レベルを前記所定時間内に通過する回数が前記所定回数未満の場合に前記第2の周波数を選択する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  4. 前記選択回路(SEL)は、最初に前記第1の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力し、次に前記第2の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  5. 前記回転子位置検出部(11,81,82)は、さらに、前記初期周波数を有し、前記第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部(22)を含み、
    前記選択回路(SEL)は、前記第1の位置信号、前記第3の位置信号、および前記第2の位置信号をこの順番で選択して前記電力変換制御部(19)へ出力する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  6. 前記回転子位置検出部(83,84)は、さらに、前記初期周波数を有し、前記第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部(22)を含み、
    前記選択回路(SEL)は、最初に前記第3の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力し、次に前記第2の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  7. 前記回転子位置検出部(11,81,82)は、さらに、前記初期周波数を有し、前記第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部(22)を含み、
    前記選択回路(SEL)は、前記同期機起動装置の起動時に、前記検出された交流電圧の絶対値が所定値以上の場合に、最初に前記第1の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力し、次に前記第2の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力し、
    前記選択回路(SEL)は、前記同期機起動装置の起動時に、前記検出された交流電圧の絶対値が所定時間内に前記所定値に達しない場合に、前記第1の位置信号、前記第3の位置信号、および前記第2の位置信号をこの順番で選択して前記電力変換制御部(19)へ出力する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  8. 前記回転子位置検出部(11,81,82)は、さらに、前記初期周波数を有し、前記第1の位置信号に同期するように位相が調整された交流信号である第3の位置信号を出力する交流信号生成部(22)を含み、
    前記選択回路(SEL)は、前記同期機起動装置の起動時において、前記検出された交流電圧の値が前記基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数以上の場合に、最初に前記第1の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力し、次に前記第2の位置信号を選択して前記電力変換制御部(19)へ出力し、
    前記選択回路(SEL)は、前記同期機起動装置の起動時において、前記検出された交流電圧の値が前記基準レベルを前記所定時間内に通過する回数が前記所定回数未満の場合に、前記第1の位置信号、前記第3の位置信号、および前記第2の位置信号をこの順番で選択して前記電力変換制御部(19)へ出力する請求の範囲第1項に記載の同期機起動装置。
  9. 前記選択回路(SEL)は、前記検出された交流電圧の値が前記基準レベルを所定時間内に通過する回数が所定回数を超えたとき、前記第2の位置信号を選択する、請求の範囲第4〜6項のいずれか1項に記載の同期機起動装置。
  10. 前記選択回路(SEL)は、前記検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となったとき、前記第2の位置信号を選択する請求の範囲第4〜6項のいずれか1項に記載の同期機起動装置。
  11. 前記選択回路(SEL)は、前記検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となってから所定時間経過したとき、前記第2の位置信号を選択する請求の範囲第4〜6項のいずれか1項に記載の同期機起動装置。
  12. 前記選択回路(SEL)は、前記検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となったとき、前記第3の位置信号を選択する請求の範囲第5項に記載の同期機起動装置。
  13. 前記選択回路(SEL)は、前記検出された交流電圧の絶対値が所定値以上となってから所定時間経過したとき、前記第3の位置信号を選択する請求の範囲第5項に記載の同期機起動装置。
  14. 前記回転子位置検出部(11,81,82)は、さらに、前記第1の位置信号を前記フィードバック演算部(23)へ出力するか否かを切り替える切り替え回路(SW3)を含み、
    前記フィードバック演算部(23)は、前記切り替え回路(SW3)から受けた前記第1の位置信号に基づいて前記第2の位置信号の位相を調整し、
    前記選択回路(SEL)は、前記フィードバック演算部(23)が前記第1の位置信号に基づいて前記第2の位置信号の位相を調整した後、前記第2の位置信号を選択する請求の範囲第4または5項に記載の同期機起動装置。
  15. 前記回転子位置検出部(11,81,82,83,84)は、さらに、前記第1の位置信号を前記交流信号生成部(22)へ出力するか否かを切り替える第1の切り替え回路(SW3)を含み、
    前記交流信号生成部(22)は、前記第1の切り替え回路(SW3)から受けた前記第1の位置信号に基づいて前記第3の位置信号の位相を調整し、
    前記選択回路(SEL)は、前記交流信号生成部(22)が前記第1の位置信号に基づいて前記第3の位置信号の位相を調整した後、前記第3の位置信号を選択する請求の範囲第5または6項に記載の同期機起動装置。
  16. 前記回転子位置検出部(11,81,82,83,84)は、さらに、前記第3の位置信号を前記フィードバック演算部(23)へ出力するか否かを切り替える第2の切り替え回路(SW4)を含み、
    前記フィードバック演算部(23)は、前記第2の切り替え回路(SW4)から受けた前記第3の位置信号に基づいて前記第2の位置信号の位相を調整し、
    前記選択回路(SEL)は、前記フィードバック演算部(23)が前記第3の位置信号に基づいて前記第2の位置信号の位相を調整した後、前記第2の位置信号を選択する請求の範囲第15項に記載の同期機起動装置。
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