JP5582271B2 - 石炭間の接着性の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2種の石炭を含む配合炭を乾留してコークスを製造する際に、強度の高いコークスを得るために、石炭間の接着性を評価する方法に関する。
高炉において溶銑を製造する際の高炉原料として用いられるコークスは、高強度のものが望ましい。コークスの強度が低いと高炉内で粉化し、高炉の通気性が阻害され、安定的な溶銑の生産が行えなくなるためである。
室炉式コークス炉において石炭を乾留して製鉄用コークスを製造する場合には、生成されるコークスの強度は、原料石炭の選択方法、事前処理方法、乾留条件、消火条件、事後処理条件などの影響を受ける。その中で、設備や操業条件に係わる条件は設備的制約のため大きく変更することが難しい。このため、原料石炭の選択はコークス品質を制御するための最も重要な要素と認識されている。
望ましい強度のコークスを得るための原料配合方法としては、非特許文献1に述べられている方法を始めとして種々の方法が知られており、いずれも、配合する原料の性状に基づいて製造されるコークスの強度を予測することで好ましい配合を決定する方法が取られている。
しかしながら、前述のような公知の方法では、時にコークス強度を良好に予測できない場合があることが知られている。その場合の理由として、「石炭の相性(compatibility)」と呼ばれている現象が生じていると考えられる。非特許文献2に示すように、配合する前の単一銘柄の石炭のみから得られるコークス強度と、それぞれの特性が異なる複数の銘柄を含む配合炭から得られるコークスの強度との間に加成性が成立しない場合があることが知られている。「石炭の相性」は、コークスの強度についての加成値と実測値の差により表すことができ、加成値よりも実測値が大きい場合には「相性が良い」、加成値よりも実測値が小さい場合には「相性が悪い」と言われる。そのような「相性」効果が発生する原因を探るため、種々の検討が行なわれている。しかしながら、「石炭の相性」を評価し、相性の良い石炭の組み合わせを明確化するための技術は確立されていない。
上記の石炭の相性には、異種石炭間の接着強度の差異が影響すると考えられており、これまで、異種石炭界面の接着強度を評価するための様々な手法が検討されてきた。例えば、様々な組み合わせの異種石炭間の界面接着状態を観察し、相溶接着、単純接着、破断接合、空隙接合の4つの接着状態に区分し、これらの状態が生じる要因を、各石炭の粘結性と、加熱により溶融し固化した後に生じる収縮により発生したミクロ亀裂とによるものと考え、粘結性指数であるギーセラープラストメータの最高流動度および固化温度により接着性を評価した方法がある(非特許文献3、4参照)。
宮津、奥山、鈴木、福山、森、日本鋼管技報、第67巻、1ページ、(1975年) 坂本、井川、CAMP−ISIJ、第11巻、689ページ(1998年) 荒牧寿弘ら:燃料協会誌,Vol.69(1990),p355 荒牧寿弘ら:燃料協会誌,Vol.70(1991),p525
上述のように石炭の相性については不明な点が多く、互いに接する2種の石炭を乾留した際の接着強度を評価することや、生成されるコークスの強度を予測することは困難であった。例えば非特許文献2の方法では、実際に配合試験を行って強度を定める必要があるため、簡便ではない。また、非特許文献3、4に記載されている方法は、ギーセラープラストメータの最高流動度および固化温度と接着状態を結びつけているものの、こうした物性値と接着強度の関係は明確ではなく強度推定モデルを用いた評価にとどまっている。
接着強度を評価する技術の上記の現状に鑑み、コークス製造における石炭間の相性を評価し、相性を考慮して石炭を配合して望ましい強度のコークスを製造するために、2種の石炭を乾留した際の接着強度を石炭の物性に基づいて評価する技術を提供することが本発明の目的である。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]互いに接し、乾留される2種の石炭間の接着性を評価する方法であって、前記2種の石炭を熱処理して得られる2種のセミコークスの表面張力の差に基づいて前記接着性を評価する石炭間の接着性の評価方法。
[2]前記2つの表面張力の測定値の差が、所定の閾値以上である場合には、石炭間の接着性が不良であると評価する上記[1]に記載の石炭間の接着性の評価方法。
[3]互いに接し、乾留される2種の石炭間の接着性を評価する方法であって、前記2種の石炭を熱処理して得られる2種のセミコークス間の界面張力値に基づいて前記接着性を評価する石炭間の接着性の評価方法。
[4]前記2種のセミコークスの表面張力の測定値から前記界面張力値を算出する上記[3]に記載の石炭間の接着性の評価方法。
[5]下記(3)式によって、前記界面張力値を算出する上記[4]に記載の石炭間の接着性の評価方法。
Figure 0005582271
但し、γA:前記2種のセミコークスのうち、一方のセミコークスAの表面張力、γB:他方のセミコークスBの表面張力、γAB:2種のセミコークスA,B間の界面張力、φ:相互作用係数、である。
[6]下記(9)式によって、前記界面張力値を算出する上記[4]に記載の石炭間の接着性の評価方法。
Figure 0005582271
但し、γA:前記2種のセミコークスのうち、一方のセミコークスAの表面張力、γB:他方のセミコークスBの表面張力、γAB:2種のセミコークスA,B間の界面張力、β:定数、である。
[7]前記界面張力値が所定の閾値以上である場合には、石炭間の接着性が不良であると評価する上記[3]〜[6]に記載の石炭間の接着性の評価方法。
[8]前記表面張力は、フィルム・フローテーション法によって測定される上記[1]〜[7]のいずれかに記載の石炭間の接着性の評価方法。
本発明によれば、コークス製造用石炭の異種界面の接着性の良し悪しを、互いに接触する石炭を熱処理して得られるセミコークスの表面張力または界面張力から評価することが可能となる。この評価に基づいて、コークス製造用原料として用いられる、相性の良い石炭の組み合わせを選択することが可能となる。この評価に基づき石炭を選択して、強度の高いコークスを製造することが可能となる。
本発明によって、従来の方法では不可能であった石炭間の接着性(石炭の相性の良し悪し)の評価が石炭の物性に基づいて可能になる。このことで、購買や販売における石炭の効果的な選定が可能になる。例えば、石炭の購入ないし販売にあたり、既に使用している銘柄の石炭イと相性がよく、石炭イと配合して、高強度のコークスの原料になると予想される石炭ロを意図的に選んで購入ないし販売することが可能となる。また、石炭を供給する場合においても、その供給者自身が供給しようとする石炭イと相性の良い石炭ロを意図的に特定し、それらの石炭イと石炭ロとを組み合わせて供給するということも可能となる。
図1は、フィルム・フローテーション法による表面張力測定の原理を示す説明図である。 図2は、表面張力の分布を頻度分布曲線で示したグラフである。 図3は、表面張力の差と接着強度の関係を示すグラフである。 図4は、表面張力から計算された界面張力(γinter)と接着強度の関係を示すグラフである。
まず、本発明者らは、2種の石炭を乾留した際のこれらの石炭間の接着性を次の手順で評価できることを知見した。なお、本発明は、2種の石炭が乾留されることを前提とし、この2種の石炭が含まれる配合炭を乾留してコークスを得ることを前提としている。
手順1.2種の石炭を熱処理して得られる2種の熱処理物の表面張力の測定値を得る。この表面張力の測定値は、その2種の熱処理物の表面張力を実測してもよいし、第3者から得てもよい。
手順2.得られた2つの表面張力の測定値の差に基づいて、この2種の石炭間の接着性の良し悪しを評価する。
また、本発明者らは、2種のセミコークスの表面張力の測定値の差は、それらのセミコークス間の界面張力と一定の関係がある点に着目し、その2種のセミコークス間の界面張力に基づいて、この2種の石炭間の接着性の良し悪しを評価することが可能であることを知見した。
次に、本発明に関する上記の手順及び知見を詳細に説明する。一般に、表面張力の異なる2種の物質が接着した場合には、その表面張力の差が小さいほど接着の強度は高くなることが知られている。石炭がコークス化する過程では、加熱により石炭が一旦溶融して再固化し、コークスが生成される。その過程において、異なる石炭同士が接着し、強固なコークス構造が形成される。従来、これらの接着構造は石炭同士の融着によって形成されるものと考えられており、石炭の溶融性(例えばギーセラー最高流動度MF)が重要な役割を担っていると考えられてきた。この考えに対し、本発明者らは、異種の石炭が接着する現象自体に着目し、この接着の強さもコークスの強度に何らかの影響を及ぼしているのではないかと考え、接着現象を検討し、表面張力差とコークス強度の関係を実験的に確認した。
上記の接着現象を検討する場合には、実際に石炭が軟化溶融を開始し、石炭が接着、固化してコークス化が完了するまでの温度(350〜800℃)における溶融物の表面張力を求め、その表面張力の値を利用することが望ましいと考えられる。なぜならば、石炭間の接着強度は、軟化溶融を開始してコークス化するまでの石炭軟化溶融物の表面張力の影響を受けていると考えられるためである。従って、この温度域での接着強度を発現する石炭の表面張力を測定することが好ましいと推察される。
ところが、こうした高温域での物質の表面張力の測定方法は知られていない。そこで、本発明者らは種々の代替法を検討した結果、一旦熱処理した石炭を常温に冷却した後の表面張力、好ましくは急冷却した後に得られる石炭の熱処理物の表面張力を用いることで石炭間の接着強度をよく表すことができ、これらの接着現象がコークスの強度にも影響を及ぼすことを見出した。この石炭の熱処理物をセミコークスといい、セミコークスは、具体的には、石炭が軟化溶融を開始し、石炭が接着、固化してコークス化が完了するまでの温度(350〜800℃)まで加熱されてから、冷却された石炭の熱処理物であることが好ましい。
[石炭間の接着性を評価する手順1.の表面張力の測定]
物質の表面張力の測定方法としては、静滴法、毛管上昇法、最大泡圧法、液重法、懸滴法、輪環法、プレート(Wilhelmy)法、拡張/収縮法、滑落法、などが知られている。石炭は様々な分子構造で構成されており、その表面張力も一様ではないことが予想されるため、表面張力分布が評価できる方法、例えばフィルム・フローテーション法(D.W.Fuerstenau、International Journal of Mineral Processing、20、153ページ(1987年)参照)を用いることが特に好ましく、この方法は、その石炭を熱処理して得られる熱処理物であっても同様に適用することができ、微粉砕した物質を試料として用いて、表面張力の分布を求めることができる。
フィルム・フローテーション法の基本原理を、図1を用いて説明する。フィルム・フローテーション法は、粉砕した試料粒子3を気相1中から液体2の表面上に落下させて、試料粒子3が液体2にまさに浸漬する時(試料粒子3が浸漬した状態は、図1の中央の試料粒子で示されており、接触角がほぼ0°に等しい)、試料粒子3と液体2の表面張力が等しいとする考え方を応用した手法である。図1の矢印4は試料粒子3の表面張力を示している。図1中央の白矢印は浸漬の向きを、水平方向の矢印は、左側(H側)が液体の表面張力が高く、右側(L側)が液体の表面張力が低い場合であることを示している。種々の表面張力を持つ液体に試料粒子を落下させ、それぞれの液体に対して浮遊した試料粒子の質量割合を求め、その結果を頻度分布曲線に表すことで、図2に示すような表面張力分布を得ることができる。
表面張力を示す指標として、表面張力分布の平均値、表面張力分布の標準偏差、表面張力分布のピーク値の表面張力、表面張力分布の最大表面張力と最小表面張力、表面張力分布の分布関数などが挙げられる。表面張力分布の平均値(γにオーバーラインをつけて示す)は次の式で表される。
Figure 0005582271
上記(1)式において、γ:表面張力、f(γ):表面張力分布の頻度である。
表面張力分布の標準偏差(σγ)は次の式で表される。
Figure 0005582271
図2に示す表面張力の頻度分布曲線には、表面張力分布のピーク値5、表面張力分布の最小表面張力6、表面張力分布の最大表面張力7が存在している。表面張力の分布関数については、表面張力分布と形状の似ている分布、例えば、正規分布、対数正規分布、F分布、χ2乗分布、指数分布、ガンマ分布、ベータ分布などが挙げられる。得られた表面張力の分布の平均値をもって、その試料の表面張力の代表値とすることができるし、その分布を考慮し、例えば、表面張力分布の最大表面張力の値を表面張力の代表値とすることもできる。
石炭の熱処理物(セミコークス)を試料として用いる場合には、熱処理温度をその試料が軟化溶融する温度域に設定することが好ましい。軟化溶融する温度域は、具体的には350〜800℃の温度域とすることが適当であるが、特に接着に寄与している温度は軟化溶融時の温度、すなわち350〜550℃であり、接着構造は500℃近傍で決まると考えられるので、加熱する温度としては特に500℃近傍の温度、例えば、480〜520℃とすることが好ましい。
本発明においては、石炭を、空気を遮断してあるいは不活性ガス中で、350℃以上に加熱(乾留)した後冷却して得られる熱処理物(セミコークス)を、フィルム・フローテーション法に用いる試料とすることが好ましい。フィルム・フローテーション法で石炭の表面張力を測定することは可能であり、石炭の表面張力はコークスの強度に相関しており、コークス強度の推定に使用し得る。しかしながら、セミコークスの表面張力の方が、石炭の表面張力よりコークスの強度に相関しているので、石炭の表面張力よりも、コークス強度の推定にセミコークスの表面張力を使用する方が望ましい。
不活性ガス中で石炭を冷却する理由は、表面張力測定誤差を抑えるためである。なぜならば、加熱直後の石炭は高温であり、含酸素雰囲気で冷却した場合表面が部分的に酸化して構造変化を起こし、表面張力測定値に誤差が生じるからである。不活性雰囲気としては、ヘリウムやアルゴンガス等の希ガスまたは窒素ガスを用いた雰囲気が使用可能であり、、通常は窒素ガスを用いる。
すなわち、本発明において、石炭に施す熱処理の操作は、次の通りである。
(a)石炭を粉砕する。石炭の粉砕粒度は、組織、性状などが不均一である石炭から均質な試料を作製するという観点から、JIS M8812に記載されている石炭の工業分析における粉砕粒度である250μm以下に石炭を粉砕することが望ましく、さらに細かい200μm以下に粉砕することが特に望ましい。
(b)操作(a)で粉砕した石炭を、空気を遮断してあるいは不活性ガス中で、適当な加熱速度で加熱する。前述の350〜800℃の範囲内の温度まで石炭を加熱すればよい。また、界面張力による評価の対象となるコークスが製造されるときの加熱速度に応じて、この加熱速度を決めることが最も好適である。
(c)操作(b)で加熱した石炭を冷却する。この冷却では、上述の方法で急冷することが望ましい。
上記の熱処理操作および熱処理につづいて実施する表面張力測定用試料調製操作の一例を示す。
操作1.石炭を粒径200μm以下に粉砕し、粉砕した石炭を不活性ガス雰囲気下、3℃/minで500℃まで加熱する(乾留操作)。コークス炉においてコークスが製造されるときの加熱速度が約3℃/minであるので、加熱速度を3℃/minとしている。
操作2.不活性ガス雰囲気で冷却(冷却操作)後、150μm以下に粉砕する。
操作3.粉砕した石炭を乾燥された不活性ガス気流中120℃で2時間乾燥する(乾燥操作)。なお、乾燥方法については表面に付着した水分を除去できる方法ならばどのような方法でも構わず、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で100〜200℃に加熱する方法の他にも、真空乾燥してもよいし、減圧下で乾燥する方法なども採用できる。なお、乾燥した不活性ガスは、ガスを、シリカゲルなどの乾燥剤の充填層を通過させることで得られる。
これらの操作1.〜3.を経て、石炭を熱処理して得られるセミコークスを、表面張力測定用試料とすることが可能である。このような操作を行う理由を以下に説明する。
仮に、石炭を、フィルム・フローテーション法の試料として用いる場合には、上記操作のうち、1.乾留操作(500℃までの加熱)を行わず、操作2.のうちの試料粉砕及び3.乾燥操作を行った石炭をフィルム・フローテーション法の試料とする。
フィルム・フローテーション法で直接求められる表面張力は、臨界表面張力(接触角が0°の時の液体表面張力)である。まず、異なる物質A及び物質Bについての表面張力について説明する。グリファルコ−グッド(Girifalco−Good)の式を用いて、物質A,B間の界面張力と物質A,Bの表面張力とは次の関係が成立する。
Figure 0005582271
(3)式において、γA、γB:物質A、Bの表面張力、γAB:物質AB間の界面張力、φ:相互作用係数である。相互作用係数φは実験によって求めることができ、物質A、Bによって異なることが知られている。この(3)式から、固体(石炭やセミコークス)の表面張力γSと液体の表面張力γLと、液体と固体との間の界面張力γSLとの間には、次の関係が成立する。
γSL=γS+γL−2φ(γSγL0.5 ・・・(4)
また、ヤング(Young)の式より、固体(石炭やセミコークス)の表面張力γSと液体の表面張力γLと、液体と固体との間の界面張力γSLとの間には、次の関係が成立する。
γS=γLcosθ+γSL ・・・(5)
ここで、θ:液体に対する固体(石炭)の接触角である。
上記(4)及び(5)式から、次の関係式が導かれる。
1+cosθ=2φ(γS/γL0.5 ・・・(6)
(6)式にθ=0°とγ=γC(γC:臨界表面張力)を代入すると、次の関係式が導かれる。
1+1=2φ(γS/γC0.5 ・・・(7)
(7)式の両辺を2乗すると、固体(石炭やセミコークス)の表面張力γと臨界表面張力γCとには次の関係が成立する。
φγS=γC ・・・(8)
(8)式によって、臨界表面張力γと相互作用係数φとにより石炭の表面張力γを求めることができる。
フィルム・フローテーション法で用いる液体と石炭やセミコークスとの構造は大きく異なるが、その違いに比べると石炭の種類(炭種)による違いは小さいものと考えられる。相互作用係数φは互いの分子構造に影響を受ける係数(定数)であるため、この相互作用係数φは石炭銘柄によらず一定と仮定すると、固体(石炭やセミコークス)の表面張力γは臨界表面張力γのみで表される。よって、石炭やセミコークスの表面張力は臨界表面張力のみでも評価できると言える。
フィルム・フローテーション法で用いる液体は、石炭、また軟化溶融時の石炭の表面張力値が20〜73mN/mの範囲に分布していることから、この範囲内の表面張力を持つ液体を用いればよい。例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、tert−ブタノール、アセトンなどの有機溶媒を用いて、これらの有機溶媒の水溶液から20〜73mN/mの表面張力を持つ液体を作製することが可能である。表面張力を測定する試料の粒度については、測定原理より接触角がほぼ0°に等しいときの表面張力を測定することが望ましく、粉砕した試料粒子の粒径が大きくなるにつれて接触角が増加するため粒径は小さいほど望ましいが、試料粒子の粒径が53μm未満の場合は凝集しやすいため、試料粒子は粒径53〜150μmに粉砕することが好ましい。
また、フィルム・フローテーション法は表面張力による物質(試料粒子)の浮遊現象を利用するため、物質の重力が無視できる条件下で測定を行う必要がある。物質の密度が高いと重力の影響を受け、接触角が大きくなってしまうからである。よって、重力が接触角に影響を及ぼさないと考えられる、密度が2000kg/m3以下の物質を測定することが望ましい。様々な種類の石炭やセミコークスはこの条件を満たすことから、強粘結炭、非微粘結炭、無煙炭など、炭種を問わず、あらゆる石炭やセミコークスの粉体を、フィルム・フローテーション法の試料粒子に採用することができ、その表面張力を測定できる。さらには、ピッチ、オイルコークス、粉コークス、ダスト、廃プラスチック、その他バイオマスなどの添加材も同様に測定可能である。
以上のようにして、石炭、または、その石炭から得られるセミコークスの表面張力の測定を行うことができる。
[石炭間の接着性を評価する手順2.接着性の良し悪しの評価]
上述の方法によって、コークス製造用原料として用いる2種の石炭から得られる2つのセミコークスについて、品種(種類)毎に、上記方法により表面張力の値を予め求めておく。なお、複数品種の石炭が混合されてなる混合石炭をコークス製造用原料として用いる場合には、その混合石炭を熱処理して得られるセミコークスについて、表面張力を実際に測定してもよいし、混合石炭を構成する各品種の石炭から得たセミコークスの各々の表面張力を、各品種の炭の混合比率を重みにして加重平均することで得られる値を、混合石炭を熱処理して得られるセミコークスの表面張力としてもよい。2種の石炭の相性を判定する場合には、それぞれの種類のセミコークス間の表面張力の測定値の差をとり、その値が大きければ相性が悪く、差の値が小さければ相性が良い、と評価(判定)する。
種々の配合について検討した結果、セミコークスの表面張力の値の差が1.5[mN/m]以上となると、確実に、生成されるコークスの強度が著しく低下することが認められたことから、その2種の石炭間の接着性についての相性の良し悪しを判定する所定の閾値としては上記値を用いることが可能である。セミコークスの表面張力の値の差が1.5以上であると、石炭間の接着性が不良であると評価すればよい。それぞれのセミコークスの表面張力の測定値は、同じ熱処理温度で熱処理して得られたセミコークスの値同士を比較することが最も好ましいが、ある温度域で熱処理して得られたセミコークスの表面張力の平均値を比較に用いることもできる。また、石炭毎に、軟化溶融特性温度(例えば、最高流動温度や、軟化開始温度、再固化温度)で熱処理して得られるセミコークスの表面張力の測定値を比較することもできる。
このようにして、石炭間の相性が定量的に評価できると、好ましい石炭銘柄を選択することが可能となり、選択された石炭からなる配合炭を乾留することで、相性を考慮しないで配合して得られる配合炭からコークスを作製する場合よりも、高強度のコークスを製造することができる。
[2種の石炭間の界面張力値に基づく石炭間の接着性の評価]
上述の表面張力の差は、接着界面における界面張力にも影響する。すなわち、定量的には2種の物質の界面の接着強度は、その界面張力に影響され、界面張力が大きいほど、接着強度が弱くなるとも言える。従って、上記表面張力差の代わりに界面張力の値を用いることも可能である。2種の物質の界面張力については、その測定を行なうことも可能ではあるが、個々の物質の表面張力の値から推算する方法も知られており、単に表面張力の差を取るだけでなく、より精度の高い推定理論に基づいて界面張力の値を求め、その界面張力を用いて上記と同様の相性を評価することも可能である。
前述したように、異なる物質A及び物質Bについて、物質A,B間の界面張力は物質A,Bの表面張力から求めることができ、前述の(3)式で表される。
Figure 0005582271
リーとニューマン(D.Li、A.W.Neumann)らは、(3)式中の相互作用係数φの値が物質A、Bの表面張力γ、γの値が離れるほど大きくなると仮定し、(3)式を拡張した次の式を提案している。
Figure 0005582271
上記(9)式において、β:定数である。βは実験によって導出される値であり、リーとニューマンらは0.0001247(m2/mJ)2と計算している(J.K.Spelt and D.Li,「The equation of state approach to interfacial tentions,in Applied Surface Thermodynamics」,A.W.Neumann and J.K.Spelt(Eds),Advances in Chemistry Series,vol.63,Marcel Dekker,New York,1996年、p.239−292参照)。よって、物質A、B間の界面張力は、物質A、Bの表面張力を測定し、表面張力の測定値を(3)式、または(9)式に代入することによって導出することができるといえる。(3)式を用いる場合はφの値を実験から求めなければならないため、界面張力の導出を簡便にするという意味で、φの値を推定している(9)式を用いることが望ましい。
上述の方法によって、セミコークスの表面張力の値の差が1.5[mN/m]に対応する、(3)式または(9)式によって求められる界面張力の値は、0.03[mN/m]以上となると、確実に、生成されるコークスの強度が著しく低下することが認められたことから、その2種の石炭間の接着性についての相性の良し悪しを、界面張力の値で判定する場合の、界面張力の閾値として、0.03[mN/m]を用いることが可能である。
ここで、(3)式または(9)式においては、物質Aを、2種のセミコークスのうち、一方のセミコークスAとし、物質Bを、他方のセミコークスBとすると、(3)式または(9)式において、γA:一方のセミコークスAの表面張力、γB:他方のセミコークスBの表面張力、γAB:2種のセミコークスA,B間の界面張力、となる。
本発明では、コークス原料用の大部分を占める石炭についての適用を示したが、それ以外の配合原料、たとえばオイルコークス類、ピッチ類、その他有機物類に対する適用も原理的に可能である。
以上のようにして、コークス製造用石炭における相性を評価することにより、以下に示す判断が可能になる。例えば、石炭の購入にあたり、他に使用している銘柄と相性がよく、コークスを製造した場合に高強度のコークスが製造できると予想されるような石炭銘柄を選んで購入することが可能となる。また、石炭を販売する場合には、その石炭と相性のよい銘柄を常用している購入先に販売することで、その工場において高強度のコークスを製造可能とさせることができる。また、石炭を使用する場合においては、なるべく相性のよい(表面張力値の近い)石炭を組み合わせて使用することによって高強度のコークスを製造できる。
このように、セミコークスの表面張力値に基づいて、従来の方法では不可能であった石炭の物性にもとづく石炭間の接着強度の評価が可能になったことで、販売、購買、使用における石炭の効果的な選定が可能になる。
様々な石炭(種類・銘柄)を熱処理して得られるセミコークスの表面張力をフィルム・フローテーション法によって、測定し、それらの石炭のうちから2種の石炭からなる配合炭を作製し、その配合炭を乾留してコークスを作製した。そのコークスの強度を測定し、セミコークスの表面張力値の差とコークスの強度との関係を確認した。用いた石炭を表1に示す。
Figure 0005582271
表1の石炭に対して性状試験を実施し、従来の石炭性状パラメータであるビトリニット平均最大反射率(Ro、JIS M 8816準拠)、ギーセラープラストメータの最高流動度MFの常用対数値(logMF、JIS M 8801準拠)、そしてフィルム・フローテーション法による表面張力(γ)を測定した。
次の操作で、フィルム・フローテーション法による表面張力の測定試料を得た。
操作1.石炭を粒径200μm以下に粉砕し、3℃/minで500℃まで加熱する。
操作2.窒素雰囲気で冷却後、150μm以下に粉砕する。
操作3.乾燥窒素気流中120℃で2時間乾燥する。
上記操作1.〜3.によって得られたセミコークスを試料に用いた。フィルム・フローテーション法での表面張力測定に利用する液体には安価かつ取り扱いが簡便なエタノール水溶液を用いた。測定した表面張力分布より(1)式を用いて表面張力分布の平均値を導出し、この表面張力分布の平均値を石炭の表面張力の測定値(γ)とした。表1には、各石炭のビトリニット平均最大反射率Ro[%]とギーセラー最高流動度の常用対数値logMF[log dddpm]と、各石炭から得られたセミコークスの表面張力の測定値γ[mN/m]とを示している。
表1に示す石炭のうち2種類の石炭を選択し、その選択した2種の石炭間の接着強度を測定した。抽出した石炭の組み合わせを表2に示す。
Figure 0005582271
表2に示す2種の石炭間の接着強度の測定は次のように行なった。
1.2種類の石炭を質量比1:1の割合でよく混合し、石炭を70μm以下に粉砕した。
2.成形物の寸法が直径6.6mm、厚さ2.5mmとなるよう石炭量を調整し、直径6.6mmの孔を持つモールドへ石炭を装入した。
3.モールドに対して、14MPaの荷重を10秒間付加して成形物を作成した。1種類の配合炭あたり10個の成形物を作成した。
成形物の嵩密度は石炭銘柄により異なっており、それらの値は860から920kg/mの範囲にあった。成形物は、1mm以下に調整された粉コークス充填層に10個配置し、乾留した。粉コークスは200mm×200mm×H500mmの鉄製容器に充填した。乾留条件は、窒素雰囲気下で、3℃/minで1000℃まで乾留し、乾留後は窒素雰囲気下で冷却した。圧縮強度の測定は島津製作所製のオートグラフを用いて行った。測定試料の厚さ方向に荷重をかけ、破壊時の荷重を測定した。荷重を測定試料の荷重付加面の面積で除した圧力を接着強度とした。1水準10個の測定試料の圧縮強度、荷重付加面の面積を測定し、それぞれの接着強度の平均をその水準の接着強度とした。接着強度の測定結果を表2に示す。なお、2種類の石炭のlogMFを平均することで算出される平均logMFも表2に示している。
接着強度の試験方法においては、2種の石炭が混合されていることから、試料中にはそれらの石炭の多数の界面が存在する。圧縮強度はその界面における接着強度のみならず、それぞれの石炭のみから得られるコークス自体の強度や、単一銘柄の石炭同士の接着強度も反映したものとなるが、石炭を微粉砕して界面を増大させていることおよび、確率的に石炭粒子の接触点の1/2が異種石炭間の界面となることから、界面の接着性を反映した強度となるものと考えられる。
図3は、それぞれの石炭の表面張力の差(Δγ)[mN/m]と接着強度[MPa]との関係を示したグラフである。このグラフにおいて、平均logMFが2より小さくなる石炭の組み合わせの接着強度を示す点は塗り潰しており、平均logMFが2以上の石炭の組み合わせの接着強度を示す点は白抜きとなっている。また、表2には、石炭の表面張力のΔγ[mN/m]を示している。図3に示すように、2つのセミコークスの表面張力の差Δγが小さいほど強度が高く、2種の石炭間の接着性が良好であることが示され、表面張力の差が大きい組合せでは接着性が悪いことがわかる。特に、平均logMFが2より小さくなる石炭の組み合わせの接着強度については、表面張力の差が小さくなるほど、接着強度が大きくなるという関係が顕著になっている。平均logMFが小さい配合炭では、石炭が溶融して溶け合った界面を形成するよりも、単純に溶けた石炭同士が接触するような形態のコークスとなりやすいため、表面張力の差と接着強度とに関する上記の関係がより顕著になる傾向があると推測される。
表2のΔγの項目及び図3に示すように、Δγが1.5[mN/m]以上となると確実に、生成されるコークスの強度が著しく低下している。また、Δγが1.3[mN/m]以下であると、接着強度が向上している石炭の組み合わせが多くなり、Δγが1.1[mN/m]以下となれば、確実に接着強度が高い石炭の組み合わせが得られる。このため、2種の石炭間の接着性についての相性の良し悪しを判定する閾値には、Δγが1.5[mN/m]を用いることが好ましく、更には、1.3[mN/m]を用いることがより好ましく、最も好ましくは、1.1[mN/m]を用いることである。
図4は、2つ表面張力の測定値から(9)式に基づき算出された界面張力と接着強度の関係を示すグラフである。このグラフにおいても、図3の場合と同様に、接着強度を示す点を塗り潰しまたは白抜きにしてある。図4のように、表面張力の差が大きいほど、界面張力の値も大きくなるので、図4でも、図3と同様の傾向を示すことが確認された。
表2のγinterの項目及び図4に示すように、γinterが0.03[mN/m]以上となると確実に、生成されるコークスの強度が著しく低下している。また、γinterが0.027[mN/m]以下であると、接着強度が向上している石炭の組み合わせが極端に多くなり、γinterが0.020[mN/m]以下となれば、確実に接着強度が高い石炭の組み合わせが得られる。このため、2種の石炭間の接着性についての相性の良し悪しを判定する閾値には、γinterが0.03[mN/m]を用いることが好ましく、更には、0.027[mN/m]を用いることがより好ましく、最も好ましくは、0.020[mN/m]を用いることである。
以上のようにして、2種の石炭を熱処理して得られる2種のセミコークス間の表面張力の差または界面張力と、その2種の石炭からなる配合炭から得られるコークスの強度(接着強度)とに相関関係があることが確認され、この表面張力の差または界面張力に基づいて、2種の石炭の接着性を評価可能であることが確認された。
次に、セミコークス間の表面張力の差または界面張力が、コークスの強度に及ぼす影響を検討した。一般に、石炭を混合して得られた配合炭をコークス炉で乾留して得られるコークスの強度は、接着強度以外にも、配合炭のRoやlogMFに影響されることが知られているため(例えば、非特許文献1)、表2の配合炭を実際に乾留してもコークスの強度への表面張力の影響を調べることはできない。なぜならば、表2の配合炭では、RoやlogMFが様々であるため、その影響が無視できないためである。
従って、コークス強度に対する表面張力の差または界面張力の影響を明らかにするためには、配合炭の平均Roと平均logMFを一定とした条件で、表面張力の差または界面張力の影響を調査することが望ましい。その調査を行なう場合において、例えば、ある石炭Xと石炭Y1の組合せと、石炭Xと石炭Y2の組合せを比較しようとする際には、Y1とY2はRoとlogMFが同じで、セミコークスの表面張力が異なるものである必要がある。しかも、配合炭のRoとlogMFは好適な範囲に調整しなければ評価に耐え得るコークスは製造できないため、試験に用いる石炭の選択は極めて限られたものとなる。
このため、本発明者らは、Roが0.71〜1.62[%]、logMFが0.95〜4.43[log ddpm]、実施例1に記載の方法で測定したセミコークスの表面張力γが37.2〜41.6[mN/m]の石炭から選択された5〜8種類の石炭を混合して、RoとlogMFが等しくγが異なる3種類の混合炭A、B、Cを調製した。次いで、石炭J30%[乾燥基準質量%]と、混合炭A、混合炭B、及び、混合炭Cのうちから選択される1つを70%[乾燥基準質量%]と、を混合して、配合炭a、b、cを調製した。石炭J,混合炭A、B、Cの性状を表3に示す。
Figure 0005582271
ここで、混合炭のRoおよびlogMFは、配合した単一銘柄の石炭のRoとlogMFを、その石炭の各々の配合率を重みにして加重平均した値である。表面張力γは実施例1に記載の方法により、それぞれの混合炭について実測した値である。
調製した配合炭16kgを、粒度3mm以下100mass%、水分8mass%に調整し、嵩密度750kg/mになるように乾留缶に充填し、電気炉で乾留した。乾留は炉壁温度1100℃で6時間行ない、窒素冷却してコークスを得た。生成したコークスの強度は、JIS K2151の回転強度試験法に基づくドラム強度DI150/15および、ISO18894に基づくCO反応後強度CSRで評価した。表3には、コークス強度の測定結果も示している。
表3より、2種の石炭から得られたセミコークス間の表面張力の差Δγが小さいほど、また、界面張力γinterの値が小さいほど、得られたコークスの強度が高くなったことがわかる。この結果より、2炭種間の接着性の評価方法は、コークス強度の予測にも適用可能であることが示された。従って、コークス強度の評価も本発明における接着性の評価に含まれる。
石炭K、石炭Lについて、熱処理温度を変えて実施例1の方法と同様にセミコークスを作製し、その表面張力を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0005582271
表4より、350℃以上の温度域において、熱処理温度が高くなるほど、表面張力の値が大きくなる傾向が認められる。しかし、同一の熱処理温度における2種のセミコークスの表面張力の差はほぼ一定であった。従って、セミコークスを調製する際の熱処理温度は、350℃〜800℃の範囲であれば、本発明の方法は有効である。なお、2種のセミコークスの表面張力を用いて石炭間の接着性を評価する場合には、実質的に同一の熱処理温度で作製した試料で評価を行なう必要がある。
1 気相
2 液体
3 試料粒子
4 表面張力
5 表面張力分布のピーク値
6 表面張力分布の最小表面張力
7 表面張力分布の最大表面張力

Claims (8)

  1. 互いに接し、乾留される2種の石炭間の接着性を評価する方法であって、
    前記2種の石炭を熱処理して得られる2種のセミコークスの表面張力の差に基づいて前記接着性を評価する石炭間の接着性の評価方法。
  2. 前記2つの表面張力の測定値の差が、所定の閾値以上である場合には、石炭間の接着性が不良であると評価する請求項1に記載の石炭間の接着性の評価方法。
  3. 互いに接し、乾留される2種の石炭間の接着性を評価する方法であって、
    前記2種の石炭を熱処理して得られる2種のセミコークス間の界面張力値に基づいて前記接着性を評価する石炭間の接着性の評価方法。
  4. 前記2種のセミコークスの表面張力の測定値から前記界面張力値を算出する請求項3に記載の石炭間の接着性の評価方法。
  5. 下記(3)式によって、前記界面張力値を算出する請求項4に記載の石炭間の接着性の評価方法。
    Figure 0005582271
    但し、γA:前記2種のセミコークスのうち、一方のセミコークスAの表面張力、
    γB:他方のセミコークスBの表面張力、
    γAB:2種のセミコークスA,B間の界面張力、
    φ:相互作用係数、である。
  6. 下記(9)式によって、前記界面張力値を算出する請求項4に記載の石炭間の接着性の評価方法。
    Figure 0005582271
    但し、γA:前記2種のセミコークスのうち、一方のセミコークスAの表面張力、
    γB:他方のセミコークスBの表面張力、
    γAB:2種のセミコークスA,B間の界面張力、
    β:定数、である。
  7. 前記界面張力値が所定の閾値以上である場合には、石炭間の接着性が不良であると評価する請求項3〜6に記載の石炭間の接着性の評価方法。
  8. 前記表面張力は、フィルム・フローテーション法によって測定される請求項1〜7のいずれかに記載の石炭間の接着性の評価方法。
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